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【発明の名称】 電子写真用感光体
【発明者】 【氏名】富内 芳昌

【氏名】横内 浩明

【要約】 【課題】有機電子写真用感光体の利点を保ちながら、膜削れが少なくかつフィルミングが発生しにくい、長期にわたる繰り返し特性の安定な感光体を提供する。

【解決手段】導電性基体上に電荷発生物質、電荷輸送物質および結着樹脂を含有する感光層を有する感光体において、前記結着樹脂の分子量分布の幅を表し、z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比で表される分散度d1(d1=Mz/Mw)の値が、ポリスチレン標準換算値において1.6以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性基体上に電荷発生物質、電荷輸送物質および結着樹脂を含有する感光層を有する感光体において、前記結着樹脂の分子量分布の幅を表し、z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比で表される分散度d1(d1=Mz/Mw)の値が、ポリスチレン標準換算値において1.6以上であることを特徴とする電子写真用感光体。
【請求項2】 導電性基体上に電荷発生物質、電荷輸送物質および結着樹脂を含有する感光層を有する感光体において、前記結着樹脂の分子量分布の幅を表し、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比で表される多分散度d2(d2=Mw/Mn)の値が、ポリスチレン標準換算値において2以上であることを特徴とする電子写真用感光体。
【請求項3】 前記結着樹脂として、ポリカーボネート樹脂を使用する請求項1又は2記載の電子写真用感光体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真用感光体(以下、単に「感光体」とも称する)に関し、詳しくは導電性基体上に電荷発生物質、電荷輸送物質および結着樹脂(バインダー樹脂)を含有する感光層を設けた電子写真方式のプリンター、複写機などに用いられる電子写真用感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真用感光体は、導電性基体上に光導電機能を有する感光体層を積層した構造をとる。電荷の発生や輸送を担う機能成分として有機化合物を含有するいわゆる有機電子写真用感光体、とりわけ電荷発生層、正孔輸送層などの機能層を積層してなる積層型有機電子写真用感光体は、材料の選択性が高く機能設計が容易であり、塗工法による生産性が高く、安全性に優れているなどの利点から、複写機をはじめとして各種プリンターへの応用が近年活発に研究されている。特に、トリフェニルアミン骨格を有するジスチリル系化合物を正孔輸送物質として、ポリカーボネートを正孔輸送層バインダーとして用いた系では、その高い正孔移動度から、応答性に優れた感光体が期待できる。
【0003】しかし、かかる積層型有機感光体を実用条件下で長時間使用すると、像露光時に発生する転写やトナー剥離時に加えられるブレードによる機械的ストレスによって、摩耗してしまうという問題があった。
【0004】近年、有機電子写真用感光体は、優れた特性を有する電荷発生物質や電荷輸送物質の発明と、優れた機械的強度や相溶性を発揮する樹脂の発明とによって、高感度化、高耐刷化の発展が著しい。しかし、無機のSe,Te系感光体やアモルファスSi感光体に比較すると、未だ耐刷性の点では劣っていた。
【0005】上述の問題を解決すべく、粘度平均分子量(Mv)の大きいポリカーボネートを用いることで耐刷性を向上させるなどの試みが種々なされている。その中でも、例えばビスフェノールA型のポリカーボネートの使用が特開昭62−160458号公報に、またビスフェノールZ型のポリカーボネート樹脂の使用が特開平5−165230号公報に、夫々報告されているが、膜削れ量や、トナーが感光体表面に付着することによるフィルミングの発生の抑制等に関して、未だ要求性能を満足し得る技術は確立されていないというのが現状であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的は、上述の現状に鑑みて、有機電子写真用感光体の利点を保ちながら、膜削れが少なくかつフィルミングが発生しにくい、長期にわたる繰り返し特性の安定な感光体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の電子写真用感光体は、導電性基体上に電荷発生物質、電荷輸送物質および結着樹脂を含有する感光層を有する感光体において、前記結着樹脂の分子量分布の幅を表し、z平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比で表される分散度d1(d1=Mz/Mw)の値が、ポリスチレン標準換算値において1.6以上であることを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の他の電子写真用感光体は、導電性基体上に電荷発生物質、電荷輸送物質および結着樹脂を含有する感光層を有する感光体において、前記結着樹脂の分子量分布の幅を表し、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比で表される多分散度d2(d2=Mw/Mn)の値が、ポリスチレン標準換算値において2以上であることを特徴とするものである。
【0009】本発明においては、前記結着樹脂として、ポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。
【0010】本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、感光層の耐摩耗性を向上させ、かつ、フィルミングの発生を抑えるためには、結着樹脂として使用する高分子樹脂の分子量に幅をもたせて、ポリマー主鎖が互いに絡み合って形成する重なりを大きくすればよいと考えるに至った。
【0011】合成高分子は分子量の異なる分子の集合体であり、分子量の平均値はその計算法によって異なる値が得られる。即ち、z平均からとったz平均分子量Mz、分子の重さの総量で平均をとった重量平均分子量Mw、および単純に算術的平均をとった数平均分子量Mnである。分子量分布に幅のある分子からなる集合体では、これらのうちの2つの平均分子量、z平均分子量と重量平均分子量との差、または重量平均分子量と数平均分子量との差が大きくなる。このうち、z平均分子量Mzおよび重量平均分子量Mwの2つの平均分子量の比Mz/Mwは、分散度(d1)と呼ばれ、分子量分布の幅を表す一つの指標となる。また一方、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnの2つの平均分子量の比Mw/Mnは、多分散度(polydispersity)(d2)と呼ばれ、分子量分布の幅を表すもう一つの指標となる。従って、分散度d1または多分散度d2を指標として用いることにより、結着樹脂として使用する高分子樹脂の分子量分布の幅を考慮することが可能となる。
【0012】ここで、z平均分子量Mz、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnは、SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)クロマトグラムから、以下の実際の計算式により求めることができる。


式中、wは試料の重量、Mは分子量、Nは分子数、Hはクロマトグラムの高さであり、iはi番目の保持容量を示している。
【0013】本発明者らは、これらの値をもとに感光体の耐刷性(膜削れ、耐フィルミング)および塗工性を鑑みながら検討した結果、感光層中の結着樹脂における分子量分布の幅を表すz平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比、分散度d1(d1=Mz/Mw)の値が、ポリスチレン標準換算値において1.6以上である感光体、もしくは重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比、多分散度d2(d2=Mw/Mn)の値が、ポリスチレン標準換算値において2以上である感光体によって、優れた耐刷性および感度特性が得られるという新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。とりわけ、樹脂に各種ポリカーボネートを使用する時にこの効果が顕著であることも検討の過程において見出された。
【0014】感光体に用いる樹脂の分子量に幅を持たせることにより、上記の点に加え、塗工性の点でも利点が生まれる。すなわち、数平均分子量の大きい樹脂を単独で使用した場合、粘度が高すぎることや、溶剤を多量に使用するために乾燥時に気化熱により感光体ドラムが露点以下に下がり結露することなどの不都合を生じる原因となり、耐久性と塗工性とがトレード・オフの関係にあったが、分子量にある値以上の幅を持たせることによってこれも解決が可能となった。
【0015】本発明に係る上記感光層は、長時間にわたって繰り返し使用した場合でも優れた電子写真特性を維持するものであり、特に画像信頼性や繰り返し安定性に優れている。さらにこの感光体は、電子写真用複写機以外にも、レーザープリンター、電子写真方式製版システム等の電子写真応用分野においても利用できる。
【0016】本発明の感光体によれば、実際の電子写真装置による長期の使用を経ても電位特性あるいは感度特性の経時変化はないことが確認されており、像露光時に発生する光疲労、帯電、転写ローラーやトナー剥離時に接触するブレードなどにより加えられる機械的ストレスや熱などの疲労による膜削れやフィルミングの発生を抑制することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の感光体の好適例の具体的構成について、図面を参照しながら説明する。図1に示す所謂負帯電積層型感光体は、支持体1と、電荷発生層2および電荷輸送層3からなる感光層6より構成されてなる。図2に示す所謂正帯電積層型感光体は、支持体1と、電荷輸送層3および電荷発生層2からなる感光層6と、保護層4とにより構成されてなる。図3に示す所謂正帯電単層型感光体は、支持体1と、単層型の感光層5と、保護層4とにより構成されてなる。尚、保護層4は設けても設けなくてもよく、また、支持体と機能層との間には、必要に応じて中間層(図示せず)を形成することもできる。以下、本発明を、負帯電型の積層型感光体に適用した場合について詳述する。
【0018】支持体1としては、アルミニウム製円筒やアルミニウム蒸着のフィルム等の導電性基体単独か、または該導電性基体の表面をアルマイト化したもの、あるいは樹脂皮膜などにより表面修飾を施したものを用いることができる。
【0019】導電性基体の表面修飾に用いる高分子分散皮膜の材料としては、カゼイン、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリアミド、メラミン、セルロースなどの絶縁性高分子、あるいはポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子、あるいはこれら高分子に金属酸化物粉末、低分子化合物等を含有せしめたもの等が挙げられる。
【0020】電荷発生層2は、電荷発生物質と結着樹脂より構成される。電荷発生物質としては、具体例として下記の化学式(I−1)〜(I−18)に示すような、各種フタロシアニン化合物、アゾ化合物およびこれらの誘導体等を用いることができる。
【0021】

【0022】

【0023】

【0024】電荷発生層用のバインダーとしては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ホルマール樹脂、セルロース樹脂、またはこれらの共重合体、およびこれらのハロゲン化物、シアノエチル化合物等を、単独で、または混合して用いることができる。
【0025】電荷輸送層3は、電荷輸送物質と結着樹脂とにより構成される。電荷輸送物質としては、具体例として下記の化学式(II−1)〜(II−12)に示すような、各種ヒドラゾン系化合物およびアミン系化合物を、単独で、または適宜組み合わせて用いることができる。
【0026】

【0027】

【0028】電荷輸送層の結着樹脂としては、具体例として下記の化学式(III−1)〜(III−8)に示す各種ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリフェニレンエーテルアクリル樹脂などを用いることができ、好適にはポリカーボネートを用いるが、これらに限定されるものではない。
【0029】

【0030】本発明においては、これらの電荷輸送層に用いる結着樹脂は、その分子量分布の幅を表す分散度d1の値が、ポリスチレン標準換算値において1.6以上となるように調整するか、もしくは、多分散度d2の値が、ポリスチレン標準換算値において2以上になるように調整して使用する。尚、特に好ましい結果を得ることができるのは、分散度d1の値が1.6〜2.5の範囲にあるように調整した樹脂、もしくは多分散度d2の値が、2.0〜3.0の範囲にあるように調整した樹脂を使用して感光体を作製した場合である。
【0031】前記具体例に示した各種ポリカーボネート樹脂は、エステル交換反応による溶融重縮合や、ジカルボン酸クロリドとアルカリ塩との界面縮合といった既知の手法で合成して、種々の分散度をもつ分子量分布を有するポリカーボネート樹脂として得ることができる。
【0032】さらに、感光体中に添加する酸化防止剤としては、例えば、具体例として下記の化学式(IV−1)〜(IV−45)に示すような化合物を用いることができる。尚、単層型の場合の感光層5は、電荷発生物質、電荷輸送物質および結着樹脂を含有し、この結着樹脂の分子量分布の幅を表す分散度d1または多分散度d2の値が前述の条件を満たしていればよく、上述の積層型の場合と同様の材料を用いて形成することができる。
【0033】

【0034】

【0035】

【0036】

【0037】

【0038】

【0039】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳説するが、本実施例は本発明の請求範囲を限定するものではない。尚、本実施例においては、導電性基体として、アルミニウム製の肉厚1mm、長さ310mm、外径60mmの円筒基体を洗浄、乾燥したものを用いた。
【0040】実施例1アルコール可溶性共重合体ポリアミド樹脂(東レ(株)製CM8000)10重量部をメタノール45重量部と塩化メチレン45重量部とを混合した溶剤に溶解して調製した樹脂皮膜塗布液を、上述のアルミニウム円筒基体表面上にディッピング塗布し、その後、90℃で30分間乾燥して、樹脂皮膜厚0.1μmの中間層を形成した。
【0041】次に、ポリビニルアセタール樹脂(積水化学(株)製 エスレックKS−1)1重量部と、電荷発生物質としての前記式(I−17)のビスアゾ化合物1重量部とを、メチルエチルケトン150重量部と混合し、ボールミルで48時間分散処理を行った。これにより得られた塗布液を前述の中間層上にディッピング塗布し、その後、90℃で30分間乾燥して、樹脂皮膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0042】更に、電荷輸送物質としての前記式(II−7)のジアミン化合物100重量部と結着樹脂としての前記式(III−2)のビスフェノールZ型ポリカーボネート(Mw=58847,Mz=97215,Mn=28224,Mz/Mw=1.652,Mw/Mn=2.085)100重量部とを混合したものと、前記式(IV−9)のヒンダードフェノール系化合物5重量部とを、ジクロロメタン700重量部に溶解し、電荷輸送塗布液を調整した。これを前述と同様の方法で電荷発生層上に塗布後、90℃で30分間乾燥して、膜厚20μmの電荷輸送層を作製した。
【0043】実施例2実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−2)のビスフェノールZ型ポリカーボネート(Mw=90703,Mz=166894,Mn=42031,Mz/Mw=1.840,Mw/Mn=2.157)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0044】実施例3実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−2)のビスフェノールZ型ポリカーボネート(Mw=125775,Mz=408768,Mn=53361,Mz/Mw=3.250,Mw/Mn=2.375)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0045】実施例4実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−1)のビスフェノールA型ポリカーボネート(Mw=55659,Mz=90724,Mn=24354,Mz/Mw=1.630,Mw/Mn=2.285)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0046】実施例5実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−1)のビスフェノールA型ポリカーボネート(Mw=118527,Mz=256374,Mn=47354,Mz/Mw=2.163,Mw/Mn=2.503)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0047】実施例6実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−3)のイソフォロン型ポリカーボネート(Mw=64030,Mz=114166,Mn=31950,Mz/Mw=1.783,Mw/Mn=2.004)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0048】実施例7実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−4)のビスフェノールC型ポリカーボネート(Mw=88945,Mz=167306,Mn=33794,Mz/Mw=1.881,Mw/Mn=2.632)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0049】実施例8実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−5)のポリカーボネート(Mw=118908,Mz=193107,Mn=37987,Mz/Mw=1.624,Mw/Mn=3.130)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0050】実施例9実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−6)の共重合ポリカーボネート(Mw=107046,Mz=276285,Mn=35072,Mz/Mw=2.581,Mw/Mn=3.052)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0051】実施例10実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−7)の共重合ポリカーボネート(Mw=68212,Mz=121758,Mn=31404,Mz/Mw=1.785,Mw/Mn=2.017)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0052】実施例11実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−8)の共重合ポリカーボネート(Mw=156578,Mz=367958,Mn=41423,Mz/Mw=2.350,Mw/Mn=3.800)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0053】実施例12実施例1で用いた電荷発生物質を、前記式(I−3)の金属フタロシアニン化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0054】実施例13実施例1で用いた電荷発生物質を、前記式(I−7)のビスアゾ化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0055】実施例14実施例1で用いた電荷輸送物質を、前記式(II−4)のブタジエン化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0056】実施例15実施例1で用いた電荷輸送物質を、前記式(II−11)のスチリル化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0057】実施例16実施例1で用いた電荷輸送層への添加剤を、前記式(IV−30)の化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0058】実施例17実施例1で用いた電荷輸送層への添加剤を、前記式(IV−37)の化合物に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0059】比較例1実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−2)のビスフェノールZ型ポリカーボネート(Mw=40686,Mz=62290,Mn=22548,Mz/Mw=1.531,Mw/Mn=1.804)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0060】比較例2実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−2)のビスフェノールZ型ポリカーボネート(Mw=60845,Mz=93580,Mn=38028,Mz/Mw=1.538,Mw/Mn=1.600)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0061】比較例3実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−2)のビスフェノールZ型ポリカーボネート(Mw=93562,Mz=135010,Mn=53259,Mz/Mw=1.443,Mw/Mn=1.757)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0062】比較例4実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−1)のビスフェノールA型ポリカーボネート(Mw=52831,Mz=80673,Mn=32542,Mz/Mw=1.527,Mw/Mn=1.623)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0063】比較例5実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−1)のビスフェノールA型ポリカーボネート(Mw=86158,Mz=132597,Mn=47223,Mz/Mw=1.539,Mw/Mn=1.825)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0064】比較例6実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−3)のイソフォロン型ポリカーボネート(Mw=55705,Mz=82332,Mn=31232,Mz/Mw=1.478,Mw/Mn=1.783)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0065】比較例7実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−4)のビスフェノールC型ポリカーボネート(Mw=54789,Mz=83772,Mn=33129,Mz/Mw=1.529,Mw/Mn=1.654)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0066】比較例8実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−5)のポリカーボネート(Mw=60612,Mz=89039,Mn=34524,Mz/Mw=1.469,Mw/Mn=1.756)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0067】比較例9実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−6)の共重合ポリカーボネート(Mw=80106,Mz=126728,Mn=45283,Mz/Mw=1.582,Mw/Mn=1.769)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0068】比較例10実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−7)の共重合ポリカーボネート(Mw=78943,Mz=119362,Mn=42580,Mz/Mw=1.512,Mw/Mn=1.854)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0069】比較例11実施例1で用いた結着樹脂を、前記式(III−8)の共重合ポリカーボネート(Mw=85191,Mz=132983,Mn=45242,Mz/Mw=1.561,Mw/Mn=1.883)100重量部に代えた以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。
【0070】感光体の評価上述の実施例および比較例で作製したCT(電荷輸送)液中のポリカーボネートの分散度及び多分散度と、感光体の電子写真特性(膜削れ量、耐フィルミング性、ドラムの曇り発生具合)とについて、比較を行った。
【0071】分散度および多分散度を測定する方法としては、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法を用いた。測定は、CT層0.02gをTHF(テトラヒドロフラン)5mlに溶解させた溶液を100μl注入して行った。流速は毎分1mlとし、カラム温度を40℃に設定した。GPCとカラムには、夫々Waters社製のものを使用し、標準試料のポリスチレンには、TOSOH社製のTSK standardを使用した。測定結果を以下の表1〜表5に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
【表3】

【0075】
【表4】

【0076】
【表5】

【0077】上記表1〜5の結果から明らかになった知見は、結着樹脂における分子量分布の幅を表す指標としてのz平均分子量Mzと重量平均分子量Mwとの比、即ち、分散度Mz/Mwの値がポリスチレン標準換算値において1.6以上になるように調整した樹脂か、または、同じく結着樹脂における分子量分布の幅を表す他の指標としての重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比、即ち、多分散度Mw/Mnの値がポリスチレン標準換算値において2以上になるように調整した樹脂を使用した感光体において、優れた耐刷性が得られるということである。
【0078】分散度Mz/Mwが1.6以上のポリカーボネート、あるいは多分散度Mw/Mnが2以上のポリカーボネートを使用した実施例の電子写真用感光体は、膜削れや、フィルミング発生、ドラムの塗布乾燥時の曇り等が少なく、バランスのとれた特性を有する電子写真用感光体と言える。
【0079】逆に、比較例の感光体のように、分散度Mz/Mwが1.6より小さい場合、あるいは、多分散度Mw/Mnが2より小さい場合には、分子量の小さいポリカーボネートでは削れ易くなるという問題を生じ、また分子量の大きいものは、削れにくい反面、塗布するのに溶剤が多く必要となり、塗布加工面において、乾燥時にドラム表面に水滴による曇りが生じるなどの不具合が発生する。また、膜削れやフィルミングも発生しやすくバランスが悪い。
【0080】更に、実施例の感光体においては、分子量分布に一定値以上の幅を持たせたポリカーボネート樹脂、すなわち分散度Mz/Mwの値がポリスチレン標準換算値において1.6以上のポリカーボネート、もしくは多分散度Mw/Mnが2以上のポリカーボネートを使用することにより、そのポリカーボネート樹脂の種類や、電荷発生物質、電荷輸送物質、酸化防止剤の種類を問わず、耐摩耗性に優れた、フィルミング発生の少ない長寿命の感光体となっていることがわかる。
【0081】
【発明の効果】本発明によって、長期にわたる連続使用時においても耐摩耗性や耐フィルミング性を保持でき、かつ塗工性に優れた電子写真用感光体が提供された。
【出願人】 【識別番号】399045008
【氏名又は名称】富士電機画像デバイス株式会社
【出願日】 平成12年3月15日(2000.3.15)
【代理人】 【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎 (外1名)
【公開番号】 特開2001−265019(P2001−265019A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−72584(P2000−72584)