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【発明の名称】 電子写真感光体の製造方法
【発明者】 【氏名】芝田 豊子

【氏名】▲崎▼村 友子

【要約】 【課題】繰り返し使用しても電位安定性が良好で、低温低湿から高温高湿までの環境下で鮮明な複写画像を与え、耐傷性に優れ、紙粉及びトナー付着が少なく、下層と表面層の剥離が生じない耐久性に優れた電子写真感光体の製造方法の提供。

【解決手段】導電性支持体上に、感光層及び一般式(1)で表される有機ケイ素化合物又はその加水分解縮合物を含有する塗布液を塗布、熱硬化反応させて得られる表面層を有する電子写真感光体であり、熱硬化後3分以内に硬化温度から感光層のガラス転移点(Tg)まで急速冷却することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 導電性支持体上に、感光層及び一般式(1)で表される有機ケイ素化合物又はその加水分解縮合物を含有する塗布液を塗布、熱硬化反応させて得られる表面層を有する電子写真感光体であり、熱硬化後3分以内に硬化温度から感光層のガラス転移点(Tg)まで急速冷却することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
一般式(1) (R1n−Si(X1(4-n)〔式中、R1はケイ素原子に炭素原子が直接結合した形の有機基を表し、X1は水酸基又は加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。〕
【請求項2】 導電性支持体上に、感光層及び前記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物又はその加水分解縮合物と結合して樹脂層を形成することができる一般式(2)で表される電荷輸送性を有する構造単位を含む化合物を含有する塗布液を塗布、熱硬化反応させて得られる表面層を有する電子写真感光体に於いて、熱硬化後3分以内に硬化温度から感光層のガラス転移点(Tg)まで急速冷却することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
一般式(2) A−(OH)m〔式中、Aは電荷輸送性を有する構造単位を含む1価又は多価の基を表し、mは1〜4の整数を表す。〕
【請求項3】 20℃以下の冷風が送風されている冷却槽にて冷却を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繰り返し使用ても電位安定性が良好で、低温低湿から高温高湿までの環境下で鮮明な複写画像を与え、耐傷性に優れ、紙粉及びトナー付着が少なく、下層と表面層の剥離が生じない耐久性に優れた電子写真感光体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真感光体(以下、単に感光体とも云う)としては、セレン、酸化亜鉛、硫化カドミウム、シリコン等の無機光導電性物質を主成分とする感光層を有する無機感光体が、広く用いられてきた。しかし、これらは感度、熱安定性、耐湿性、耐久性等に於いて必ずしも満足するものではなく、又一部の無機感光体は人体に有害な物質を含むため廃棄の際に問題があった。
【0003】近年、無機感光体の欠点を克服する目的で様々な有機光導電性化合物を主成分とする感光層を有する有機感光体の研究、開発が盛んに行われている。特に電荷発生機能と電荷輸送機能とを異なる物質にそれぞれ分担させた機能分離型の感光体は、それぞれの材料を広い範囲から選択出来、比較的容易に作製しうることから多くの研究がなされており、一部実用に供されているものがある。
【0004】しかし、このような有機感光体は、画像形成装置内でコロナ帯電、像露光、トナー現像、紙への転写及びクリーニング処理等の電気的、機械的外力が加えられるため、有機感光体の内部及び表面に於いて様々な性能の劣化現象が現れる。
【0005】具体的には、コロナ帯電極で発生するオゾン及び窒素酸化物(NOx)等の放電生成物や像露光時の紫外線等により電位特性の劣化(帯電電位の低下、感度の低下、残留電位の上昇等)、トナー現像及びクリーニング時の摩擦により摩耗や傷の発生、転写紙からの紙粉の付着及びトナーの付着(トナーフィルミング)等により画像品質の低下が生じる。
【0006】上述のような問題に対する技術的対策の1つとして、感光体の表面に表面層を設けて機械的耐久性を向上させ、感光体の摩耗を抑制し、かつ傷の発生や紙粉及びトナーの付着を抑えることが検討されている。
【0007】例えば、感光体表面に硬化性シロキサン樹脂層を表面層として設けることが特開昭61−72256号公報、特開昭61−51155号公報、特開平1−217364号公報、特開平1−200366号公報、特開平3−129360号公報、特開平3−155558号公報、特開平3−139655号公報、特開平5−40359号公報等で提案されている。
【0008】しかしながら、従来の製造方法ではせっかく高硬度の硬化性シロキサン樹脂を表面層として設けても、熱硬化後、感光体を通常の冷却速度で冷却すると、表面層と感光層との層間絡み合いが無くなるため、シロキサン樹脂の表面層と下層の感光層との接着力が弱くなり、現像、クリーニング時の摩擦等によるストレスで表面層が感光層から剥離してしまう問題が生じていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、繰り返し使用ても電位安定性が良好で、低温低湿から高温高湿までの環境下で鮮明な複写画像を与え、耐傷性に優れ、紙粉及びトナー付着が少なく、下層と表面層の剥離が生じない耐久性に優れた電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は下記構成を採ることにより達成される。
【0011】(1)導電性支持体上に、感光層及び前記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物又はその加水分解縮合物を含有する塗布液を塗布、熱硬化反応させて得られる表面層を有する電子写真感光体であり、熱硬化後3分以内に硬化温度から感光層のガラス転移点(Tg)まで急速冷却することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【0012】(2)導電性支持体上に、感光層及び前記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物又はその加水分解縮合物と結合して樹脂層を形成することができる前記一般式(2)で表される電荷輸送性を有する構造単位を含む化合物を含有する塗布液を塗布、熱硬化反応させて得られる表面層を有する電子写真感光体に於いて、熱硬化後3分以内に硬化温度から感光層のガラス転移点(Tg)まで急速冷却することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【0013】(3)20℃以下の冷風が送風されている冷却槽にて冷却を行うことを特徴とする前記1又は2に記載の電子写真感光体の製造方法。
【0014】以下、本発明についてさらに詳細に説明する。本発明のシロキサン樹脂は通常の炭化水素系樹脂と異なり相溶性が悪く、十分な表面層と感光層の層間接着力が得られにくい。さらに、本発明のシロキサン樹脂を含有する表面層のガラス転移点は150℃程度で下層の感光層のガラス転移点50〜70℃と大きく異なっている。
【0015】一般的に熱収縮はガラス転移点以上では大きく、ガラス転移点以下では小さいことから、表面層の熱硬化後、通常の速度で感光体を冷却すると、感光層の収縮は大きく、表面層の収縮は小さいので、感光層と表面層で熱収縮に差が生じ、層間の絡み合いが無くなり、接着力が低下して感光層から表面層剥離が発生したものと推定した。
【0016】本発明者らは、表面層の熱硬化後、急速に感光層のガラス転移点以下まで冷却すれば、感光層が熱収縮により安定状態へ移行するのを阻止出来、表面層と感光層との層間に熱収縮差が生じなくなるため、層間の接着力が良好に保たれる事を見いだし、本発明に至った。
【0017】本発明の感光体は、感光層上にシロキサン樹脂を主成分とする表面層を塗布し、80〜160℃の恒温槽で10分〜6時間熱硬化反応を行い、その後恒温槽から取り出し、20℃以下の冷風が送風されている冷却槽で急速に、好ましくは30秒〜3分以内に、より好ましくは30秒〜1分以内に、感光層のガラス転移点以下まで冷却することで製造出来る。
【0018】《有機ケイ素化合物》前記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物に於いて、R1で示されるケイ素原子に炭素原子が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル及びブチル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル及びビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル及びγ−メタアクリロキシプロピル等の含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル及び2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル及びプロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等のメルカプト基を置換した基、γ−アミノプロピル及びN−β−アミノエチル−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフロオロプロピル、ノナフルオロヘキシル及びパ−フルオロオクチルエチル等の含ハロゲン原子を置換した基、その他ニトロ及びシアノ置換アルキル基等を挙げることが出来る。
【0019】X1で示される加水分解性基としては、メトキシ及びエトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基及びアシルオキシ基等が挙げられる。好ましくは炭素数6以下のアルコキシ基である。
【0020】又、前記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物は、単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
【0021】具体的有機ケイ素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】《シロキサン樹脂》本発明の請求項1の発明のシロキサン樹脂は前記有機ケイ素化合物を酸性条件下から塩基性条件下で加水分解してオリゴマー化した加水分解縮合物である。
【0023】前記有機ケイ素化合物又はその加水分解縮合物にはコロイダルシリカを加えてもよい。コロイダルシリカの添加は有機ケイ素化合物の加水分解縮合時でも良く、その後で加えても良い。添加量は樹脂層を形成する有機ケイ素化合物の固形分100部に対し1〜30部が好ましい。
【0024】《電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物》本発明の請求項1の発明のシロキサン樹脂層には、前記有機ケイ素化合物やコロイダルシリカと結合して樹脂層を形成することが出来る電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物を添加することが出来る。本発明の電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物の添加は本発明の有機ケイ素化合物の加水分解縮合時でも良く、その後で加えても良い。又、本発明で用いられる電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物の添加量は有機ケイ素化合物やコロイダルシリカと結合して形成される樹脂層の固形分100部に対して10〜200部が好ましい。
【0025】前記有機ケイ素化合物と結合して樹脂層を形成することが出来る電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物は前記一般式(2)で表される水酸基を有する電荷輸送性化合物が好ましいがこれに限定されるものではない。
【0026】本発明の請求項2の発明のシロキサン樹脂とは、前記一般式(1)で表される有機ケイ素化合物と結合して樹脂層を形成することができる前記一般式(2)で表される電荷輸送性を有する構造単位を含む化合物と反応して得られるシロキサン樹脂である。
【0027】前記一般式(2)で表される電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物に於いて、Aで表される電荷輸送性能を有する構造単位とは単独で電子或いは正孔のドリフト移動度を有する性質を示す構造のものであって、一般的に電荷輸送物質として用いられている化合物を示す。
【0028】例えば、電子輸送型の電荷輸送物質としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、テトラニトロベンゼン、ニトロベンゾニトリル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、クロラニル、ブロマニル、ベンゾキノン、ナフトキノン、ジフェニルキノン、トロポキノン、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、4−ニトロベンゾフェノン、4,4´−ジニトロベンゾフェノン、4−ニトロベンザルマロンジニトリル、α−シアノ−β−(p−シアノフェニル)−2−(p−クロロフェニル)エチレン、2,7−ジニトロフルオレノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、9−フルオロニリデンジシアノメチレンマロニトリル、ポリニトロ−9−フルオロニリデンジシアノメチレンマロニトリル、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−ジニトロサリチル酸、フタル酸及びメリット酸等の構造単位を含む化合物及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0029】一方、正孔輸送型の電荷輸送物質としては、オキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾリン、ビスイミダゾリジン、スチリル、ヒドラゾン、ベンジジン、ピラゾリン、トリアリールアミン、オキサゾロン、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、キナゾリン、ベンゾフラン、アクリジン及びフェナジン等の構造単位を含む化合物及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらの構造に限定されるものではない。
【0030】本発明の電荷輸送性能を有する構造単位の別の定義としては、通常のTime−Of−Flight法等の電荷輸送性能を検知できる公知の方法にて、電荷輸送に起因する検出電流が得られるものとして表現することもできる。
【0031】つぎに、本発明の上記有機ケイ素化合物やコロイダルシリカと結合して樹脂層を形成することが出来る電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物(HCT)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
【化1】

【0033】
【化2】

【0034】
【化3】

【0035】
【化4】

【0036】
【化5】

【0037】《酸化防止剤の添加》又、本発明のシロキサン樹脂には、例えば、ヒンダートフェノール、ヒンダートアミン、チオエーテル又はホスファイト部分構造を持つ酸化防止剤を添加することが出来、電位及び画質の向上に効果的である。
【0038】酸化防止剤としては、例えば、ヒンダートフェノール系の3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシビフェニル、商品名「イルガノックス245」、「イルガノックス1010」、「イルガノックス1076」、「イルガノックス1098」、「イルガノックス1330」及び「イルガノックス3114」(チバガイギー株式会社製)、ヒンダートアミン系の商品名「サノールLS744」、「サノールLS765」、「サノールLS770」及び「サノールLS2626」(三共株式会社製)、「チヌビン144」及び「チヌビン622LD」(チバガイギー株式会社製)、「マークLA57」、「マークLA62」、「マークLA63」、「マークLA67」及び「マークLA68」(旭電化株式会社製)が、チオエーテル系の商品名「スミライザーTP−D」及び「スミライザーTPS」(住友化学株式会社製)、ホスファイト系の商品名「マーク2112」、「マーク329K」、「マークHP−10」、「マークPEP−8」、「マークPEP−24G」及び「マークPEP−36」(旭電化株式会社製)が挙げられる。好ましくはヒンダードフェノール系及びヒンダートアミン系の酸化防止剤である。
【0039】酸化防止剤の添加量は、シロキサン樹脂層組成物100部に対して0.1〜10部が好ましい。
【0040】《シリコンオイルの添加》又、本発明は、反応性シリコンオイルを添加しても良い。この反応性シリコンオイルは、分子内に反応性を持つ有機基を含有したシリコンオイルを示し、その多くは反応性基を有するポリシロキサンである。
【0041】ポリシロキサンは2官能のアルコキシシランの縮合反応により得られるが、ここで言う反応性基とはポリシロキサン主鎖形成に関与する2官能のアルコキシシランとは異なり、下記一般式(3)に示すようなシリコンオイルの側鎖或いは末端に位置する反応基である。
【0042】
【化6】

【0043】式中、R1〜R8は炭素数1〜10のアルキル基、アリール基又は−Ry−Bを表し、R1〜R8は各々同一であっても異なっても良い。但し、Ryは炭素数1〜4のアルキレン基を表し、Bは水酸基、カルビノール基、アミノ基及びエポキシ基等の反応性基を表す。nは10〜200の整数を表す。反応性シリコンオイルの添加量としては、樹脂層を形成する有機ケイ素化合物の固形分100部に対して0.1〜20部が好ましい。
【0044】《触媒の使用》又、本発明は架橋反応を促進するため触媒を添加しても良い。触媒としては、有機カルボン酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸及びチオシアン酸の各アルカリ金属塩、有機アミン塩(水酸化テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウムアセテート等)、スズ有機酸塩(スタンナスオクトエート、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジブチルチンメルカプチド、ジブチルチンチオカルボキシレート、ジブチルチンマリエート等)、アルミニウム、亜鉛のオクテン酸、ナフテン酸塩及びアセチルアセトン錯化合物等を用いることが出来る。
【0045】《感光体の層構成》本発明の感光体の層構成は、電荷発生物質と電荷輸送物質がバインダー樹脂中に分散された単層構成でも、電荷発生物質を含む電荷発生層と電荷輸送物質を含む電荷輸送層が積層された構成でもよい。又、電荷発生層や電荷輸送層の上に表面層を設けてもよい。又、必要に応じ導電性支持体と感光層との間に中間層を設けてもよい。
【0046】本発明のシロキサン樹脂を含有する層は感光体中の何れの層にも用いることが出来るが、高温高湿下で実写しても画像の流れ、低温低湿下で実写しても画像ボケ等の画像欠陥が発生せず、クリーニング特性にも優れ、感光体を繰り返し使用しても摩耗が少ないので、感光体の表面層に用いることが望ましい。
【0047】《表面層の形成》本発明のシロキサン樹脂を含有する表面層は、少なくとも溶剤に溶解したシロキサン樹脂を塗布により形成される。前記の溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセルソルブ及びエチルセルソルブ等のアルコール類及びこの誘導体、メチルエチルケトン及びアセトン等のケトン類、酢酸ブチル等のエステル類が用いられる。
【0048】表面層の加熱乾燥、架橋硬化条件としては、塗布に用いる溶剤の種類、触媒の有無等によって異なるが、60℃〜160℃の範囲で10分〜5時間の加熱が好ましく、より好ましくは90℃〜120℃の範囲で30分〜2時間である。表面層の膜厚は0.1μm〜5μmが好ましい。
【0049】《電荷発生層、電荷輸送層の形成》本発明の感光層に用いられる電荷発生物質としては、公知のどのようなものでも使用出来るが、例えば種々のフタロシアニン化合物としてA型、B型及びY型のチタニルフタロシアニン、X型及びτ型の無金属フタロシアニン、銅フタロシアニンに代表される金属フタロシアニン類、ナフタロシアニン類、又これら2種類のフタロシアニン混晶が挙げられる。この他にアゾ化合物、ピリリウム化合物、ペリレン化合物、シアニン化合物、スクアリウム化合物及び多環キノン化合物等が挙げられる。これらの電荷発生物質は単独で、又はバインダー樹脂液中に分散し、電荷発生層の形成が行われる。
【0050】又、本発明の感光層に用いられる電荷輸送物質としては、公知のどのようなものでも使用出来るが、例えばトリアリールアミン化合物、トリアリールアミンスチリル化合物、ヒドラゾン化合物及びピラゾリン化合物が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独で、又は適当なバインダー樹脂溶液中に溶解し、電荷輸送層の形成が行われる。
【0051】電荷発生物質、電荷輸送物質の分散、溶解に使用される溶剤としては、トルエン、キシレン等の炭化水素類、メチレンクロライド、1,2−ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メタノール、エタノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ等のアルコール類及びこれらの誘導体、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類、ピリジン、ジエチルアミン等のアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、その他の脂肪酸及びフェノール類、2硫化炭素や燐酸トリエチル等の硫黄、燐化合物等の1種又は2種以上を用いることが出来る。
【0052】本発明の感光層のバインダー樹脂としては、下記のような公知のものを用いることが出来る。
【0053】例えば、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、メラミン樹脂、ならびにこれらの樹脂の繰り返し単位のうち2つ以上を含む共重合体樹脂が挙げられる。又、上記の絶縁性樹脂の他に、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。
【0054】感光体における感光層のバインダー樹脂と電荷発生物質との混合割合は、バインダー樹脂100部に対して電荷発生物質50〜600部が好ましい。又、バインダー樹脂と電荷輸送物質との混合割合は、バインダー樹脂100部に対して電荷輸送物質10〜100部が好ましい。
【0055】本発明の感光層の膜厚は、電荷発生層と電荷輸送層の2層構成の場合は電荷発生層にて0.01μm〜10μmが好ましく、電荷輸送層にて1μm〜30μmが好ましく、感光層が単層構成の場合は1μm〜30μmが好ましい。
【0056】《導電性支持体》本発明に用いられる導電性支持体としては、アルミニウム又はニッケル等の金属板、金属ドラム又はアルミニウム、酸化錫又は酸化インジウム等を蒸着したプラスチックフィルム又はプラスチックドラム、導電性物質を塗布した紙、プラスチックフィルム又はびプラスチックドラム等を用いることが出来る。
【0057】《中間層》本発明は中間層を設けても良い。本発明の中間層に用いられる材料としては、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ならびにこれらの樹脂の繰り返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、シランカップリング剤及びチタンカップリング剤等の有機金属化合物により熱硬化する樹脂化合物等が挙げられる。中間層の膜厚は、0.01μm〜2μmが好ましい。
【0058】又、本発明の電子写真感光体には、その他、感色性補正の染料や感光層に酸化防止剤等の添加剤を添加しても良い。
【0059】《塗布加工》本発明の電子写真感光体のために調製された塗布液の塗布加工は、ディップ塗布、スプレー塗布及び円形量規制型塗布方法等が用いられる。特に感光層の表面層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又均一塗布を達成するためスプレー塗布及び円形量規制型塗布を用いるのが好ましい。
【0060】尚、前記スプレー塗布については特開平3−90250号公報、特開平3−269238号公報にその記載があり、前記円形量規制型塗布(円形スライドホッパーがその代表例である)については特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0061】《本発明感光体の用途》本発明の電子写真感光体は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真画像形成装置に適用することが出来るが、さらには電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用することが出来る。
【0062】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0063】実施例1下記の如くして感光体を作製し、評価を行った。
【0064】
〈有機ケイ素化合物液の調製〉 メチルトリメトキシシラン 30部 ジメチルジメトキシシラン 16部 2.5%酢酸水溶液 17部 tert−ブタノール 150部を混合し、溶解した後、室温にて16時間加水分解させ「有機ケイ素化合物液」を調製した。
【0065】
〈表面層用塗布液の調製〉 有機ケイ素化合物液 全量 ブチラール樹脂「#3000K」(電気化学社製) 0.5部 酸化防止剤「サノールLS2626」(三共社製) 1部 電荷輸送性構造単位含有化合物(HCT−3) 20部 コロイダルシリカ(メタノール分散品、固形分30質量%) 40部 アルミニウムアセチルアセテート(硬化触媒) 1部を混合し、溶解して「表面層用塗布液」を調製した。
【0066】
〈中間層の形成〉 チタンキレート化合物「TC−750」(松本製薬社製) 20部 シランカップリング剤「KBM−503」(信越化学社製) 13部 イソプロパノール:水=100:3の混合溶剤 100部を混合し、溶解して中間層用塗布液を調製した。この塗布液を円筒形アルミニウムドラム上に塗布し、乾燥した後、150℃で30分熱硬化して膜厚1.0μmの「中間層」を形成した。
【0067】
〈電荷発生層の形成〉 X線回折におけるブラック角2θが9.5度、24.1度、 27.2度を有するチタニルフタロシアニン 6部 シリコン樹脂「KR−5240」(信越化学社製) 7部 酢酸t−ブチル 200部を混合した後、サンドグラインダーを用いて10時間分散し、電荷発生層用塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層上にディップ塗布し、乾燥して膜厚0.3μmの「電荷発生層」を形成した。
【0068】
〈電荷輸送層の形成〉 電荷輸送物質(CT−1) 200部 酸化防止剤「サノールLS2626」(三共社製) 5部 ビスフェノールZ型ポリカーボネート「パンライトTS−2050」
(帝人化成社製) 300部 1,2−ジクロロエタン 2,000部を混合し、溶解して電荷輸送層用塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層上に円形スライドホッパーを用い塗布し、乾燥して膜厚20μmの「電荷輸送層」を形成した。
【0069】
【化7】

【0070】〈表面層の形成〉次いで、前記「表面層用塗布液」を円形スライドホッパーにて前記電荷輸送層上に塗布し、110℃の恒温槽中で90分熱硬化して膜厚2.0μmの「表面層」を形成した。
【0071】〈感光体の冷却〉その後、前記表面層を形成した円筒形アルミニウムドラムを恒温槽から取り出し、15℃の冷風が送風されている冷却槽に投入し、ドラムを30℃まで1分間で急速冷却して「感光体1」を作製した。
【0072】実施例2実施例1における冷風を15℃から20℃に変え、ドラムを30℃まで1分30秒で急速冷却した他は、実施例1と同様にして「感光体2」を作製した。
【0073】実施例3実施例1における有機ケイ素化合物液中のメチルトリメトキシシラン/ジメシルジメトキシシラン=30部/16部からメチルトリメトキシシラン/ジメチルジメトキシシラン/フェニルトリメトキシシラン=15/16/11.4に変えた他は、実施例1と同様にして「感光体3」を作製した。
【0074】実施例4実施例1における有機ケイ素化合物液中のt−ブタノール150部に変えてt−ブタノール/エタノール=90部/60部を用いた他は、実施例1と同様にして「感光体4」を作製した。
【0075】実施例5実施例4における表面層用組成物中にカルビノール反応性シリコンオイルX−22−160AS(信越化学社製)0.1部を添加した他は、実施例4と同様にして「感光体5」を作製した。
【0076】比較例1実施例1において、送風が無い部屋で、ドラムを110℃から30℃まで20分かけて冷却した他は実施例1と同様にして「感光体6」を作製した。
【0077】比較例2実施例1において、送風の無い部屋で、ドラムを110℃から30℃まで2時間かけて冷却した他は実施例1と同様にして「感光体7」を作製した。
【0078】〈評価1〉各実施例、比較例で得られた感光体を用い、表面層の接着性評価を行った。接着性評価はJIS−K−5400第6,15項に準じ、感光層を鋭利なカッターナイフを用い被膜が貫通するように1cm四方を縦、横各1mmの幅で100マスの碁盤目に切り、商品名「セロテープ」(ニチバン株式会社製)を表面に貼り付けた後、一気にセロテープを剥離し、感光体に残った表面層マス目の残存数にて行った。評価結果を表1に示す。
【0079】
【表1】

【0080】〈評価2〉各実施例、比較例で得られた感光体を、コニカ株式会社製デジタルコピー機「Konica7050」に搭載し、初期電位を−650Vに設定した。
【0081】実写は高温高湿環境下(30℃、80%RH)にて3万回及び低温低湿環境下(15℃、30%RH)にて3万回行った。
【0082】画像のカブリ、画像濃度及び画像の欠陥はコピー画像を目視で評価した。表面の傷の有無、表面の剥げは実写後の感光体表面を目視観察し評価した。感光体の膜厚減耗量は実写前と後の膜厚を測定し、その膜厚差から求めた。評価結果を表2に示す。
【0083】
【表2】

【0084】
【発明の効果】実施例で実証した如く、本発明による電子写真感光体の製造方法は、帯電性、感度、残留電位に問題が無く、繰り返し使用しても電位安定性が良好で、低温低湿から高温高湿までの環境下で鮮明な複写画像を与え、耐傷性に優れ、紙粉及びトナー付着が少なく、下層と表面層の剥離が生じない耐久性に優れた効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカ株式会社
【出願日】 平成12年3月23日(2000.3.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−265016(P2001−265016A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−82002(P2000−82002)