| 【発明の名称】 |
電子写真感光体の再利用方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】坂元 雅遊亀
【氏名】黒川 誠
【氏名】▲角▼井 幹男
【氏名】森田 和茂
【氏名】藤田 さやか
【氏名】鳥山 幸一
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| 【要約】 |
【課題】感光特性のばらつきがない安定した感光体を再生する。
【解決手段】画像形成プロセスで使用された使用済の感光体1は円筒状の導電性支持体2上に有機感光層3を形成して成る。支持体2上から有機感光層3を除去した後、露出した支持体2の表面を切削加工し、その上に新たな有機感光層4を形成して再生感光体5が作製される。感光体1は、X=((A4サイズ換算で設定された感光体の寿命)/(感光体の円周))×α(αはA4サイズ記録紙を短手方向に沿って搬送して画像形成する場合には1、長手方向に沿って搬送して画像形成する場合には1.4)で表されるX値が440以上である。支持体2の表面はアルマイト未処理である。また、支持体2はAl製であり、Al以外の不純物を0.1重量%以下含有する。切削によって支持体2の表面に形成された酸化被膜が除去されて、感光特性のばらつきの小さい安定した再生感光体5が提供できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 円筒状の導電性支持体上に有機感光層を形成して成り、画像形成プロセスで使用した後の電子写真感光体の再利用方法であって、(a)導電性支持体上から有機感光層を除去する工程と、(b)有機感光層の除去によって露出した導電性支持体の表面を切削加工する工程と、(c)切削加工された導電性支持体上に新たな有機感光層を形成する工程とを含むことを特徴とする電子写真感光体の再利用方法。 【請求項2】 前記工程(a)〜(c)で処理される電子写真感光体は、下記の式(I)で表されるX値が440以上であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の再利用方法。 X=((A4サイズ換算で設定された感光体の寿命)/(感光体の円周))×α …(I) (式(I)中、αはA4サイズの記録紙をその短手方向に沿って搬送して画像形成する場合には1であり、その長手方向に沿って搬送して画像形成する場合には1.4である。) 【請求項3】 前記工程(a)〜(c)で処理される電子写真感光体の導電性支持体の表面にはアルマイト加工が施されていないことを特徴とする請求項2記載の電子写真感光体の再利用方法。 【請求項4】 前記工程(a)〜(c)で処理される電子写真感光体の導電性支持体は主としてアルミニウムから成り、アルミニウム以外の不純物を0.1重量%以下含有することことを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体の再利用方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体、特に感光層が形成される導電性支持体の再利用方法に関する。 【0002】 【従来の技術】現在実用化されている電子写真感光体(以下、単に感光体ともいう)は、アモルファスセレン(a−Se)やアモルファスセレンヒ素(a−As2Se3)などを用いた感光体、色素増感した酸化亜鉛(ZnO)や硫化カドミウム(CdS)を結着剤中に分散して用いた感光体およびアモルファスシリコン(a−Si)を用いた感光体などの無機系感光体と、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン(TNF)とポリ−N−ビニルカルバゾール(PVK)との電荷移動錯体を用いた有機系感光体とに大別できる。無機系感光体のうちセレン系およびCdS樹脂分散系は耐久性や保存安定性が低く、また毒性を有するので材料を確実に回収する必要がある。ZnO樹脂分散系は感度や耐久性が低く現在ほとんど使用されていない。a−Si系は感度や耐久性は高いが、製造プロセスが複雑で製造コストが高く、また成膜時の欠陥に起因して画像欠陥が発生する。これに対して有機系感光体は有機材料自体が多種存在し、合成によって多様なアレンジが可能なことから、材料を適宜選択して保存安定性などに優れかつ毒性のない感光体が実現でき、また低コストでの製造が可能である。よって精力的な検討によって種々の増感方法が提案されている。特に、光照射時に電荷担体を発生する電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷発生層で発生した電荷担体を受入れ輸送する電荷輸送物質を主体とする電荷輸送層とを積層して成る積層型(機能分離型ともいう)の感光体は増感性に優れ、現在実用化されている有機系感光体の大部分を占め、また近年の耐久性の向上に対する要求から材料の改良によって寿命が伸びている。 【0003】一方、上述したような感光体が搭載される複写機などの画像形成装置においては、その小型化が進んでいる。これに伴って、電子写真感光体も小型化が図られ、その直径が小径化されている。 【0004】画像形成装置に搭載された感光体は通常予め設定された寿命まで使用されると交換されるが、その他の様々な場合、たとえばユーザの誤使用に基づく傷によって画像欠陥が発生した場合、または小サイズの記録紙を多量に使用したときにおいて、記録紙端部によって感光層が変質し、これによって画像欠陥が発生した場合に交換される。したがって、使用済の感光体の実際の画像形成回数にはばらつきがある。 【0005】ユーザの誤使用に基づく傷によって画像欠陥が発生した場合に交換された使用済の感光体の多くは、傷が感光層を通り越して導電性支持体(以下、単に支持体ともいう)にまで到達しており、再利用することはできないが、傷が発生していない使用済の感光体は再利用することができる。 【0006】使用済の感光体の再利用に関して、感光体の寿命が短かった以前においては支持体上から感光層を除去し新たな感光層を設けるだけで再利用が可能であった。しかし、感光体の寿命が伸びかつ感光体の小径化が進む現在において、以前と同じ手法では残留電位が増加したり、帯電電位が変化したりする。また再生感光体の感光特性がばらついたりする。したがって、感光体の再利用にはこれらの問題を克服する必要がある。なお、これらの問題は特に不純物が少ない純アルミニウム(Al)製の支持体を用いた場合やアルマイト加工されていない支持体を用いた場合に顕著である。 【0007】再生感光体における感光特性のばらつきは、帯電プロセスで発生したオゾンによる支持体の酸化度合いが感光体毎に異なることに起因する。すなわち、予め設定された寿命まで使用された感光体はオゾンによる酸化を長期間受けるのに対して、寿命に達する前に交換された感光体はオゾンによる酸化をそれほど受けない。使用済の感光体にはこれらが混在し、感光層を除去した支持体の表面には膜厚が異なる酸化被膜が形成されている。このような膜厚が異なる支持体表面の酸化被膜によって再生感光体の感光特性がばらつく。特に、酸化被膜の膜厚のばらつきは(設定された感光体の寿命)/(感光体の円周)で表される比率が大きいほど増大する傾向がある。これは、前記比率が大きくなることによって感光体の単位面積あたりの画像形成回数が増加するためと考えられる。また、記録紙をその短手方向に沿って搬送して画像形成する場合と、その長手方向に沿って搬送して画像形成する場合とでは、両者の画像形成回数が同一であっても、短手方向に沿って搬送する場合に比べて長手方向に沿って搬送する場合の方が感光体の単位面積あたりの画像形成回数が大きくなるためと考えられる。 【0008】再生感光体における感光特性のばらつきはアルマイト加工された支持体を用いた場合には小さい。これは、アルマイト加工によって支持体の表面には既に相当の膜厚の陽極酸化被膜が形成されており、オゾンによるさらなる酸化の影響を受けにくいためと考えられる。これに対して、不純物が少ない純Al製の支持体やアルマイト加工されていない支持体を用いた場合に感光特性のばらつきが大きいのは、他の支持体に比べてオゾンによってより酸化されやすいためと考えられる。 【0009】再生感光体における感光特性のばらつきを低減するために、アルマイト加工された支持体または純Al製以外の支持体を用いることが考えられる。しかし、アルマイト加工された支持体では通常の切削加工のみの支持体に比べて感光体の製造コストが増大し、また純Al製以外の支持体では切削加工時に支持体表面の不純物が起点となってすじ、傷およびクラックなどの加工欠陥が発生し、画像欠陥の原因となる。したがって、一般的には純度の高いAl製の支持体が使用されており、該支持体を有効に再利用できる方法が求められている。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】電子写真感光体の再利用に関する技術として、特開平10−239869号、特開平4−110951号、特開平8−286394号および特開平6−11917号の公報がある。特開平10−239869号は研磨剤スラリーを噴霧しその衝撃によって感光層を除去する方法に関するが、この方法では感光体に応じた所望の表面粗度を得ることが難しい。すなわち、表面粗度の小さい支持体上の感光層を除去する場合と表面粗度の大きい支持体上の感光層を除去する場合とでスラリーの粒径を変えなければならず、加工条件を支持体毎に設定し直す必要がある。また、この方法では感光層とスラリーとが一体となった廃棄物を処理しなければならず、これによって再生感光体の製造コストが上昇する。 【0011】また特開平4−110951号は支持体上にa−Siから成る電荷発生層と電荷輸送物質およびバインダ樹脂を含有する電荷輸送層とを積層して成る電子写真感光体を再利用する方法に関し、特に電荷輸送層を溶融、溶解または切削によって除去した後、残存する電荷発生層上に新たな電荷輸送層を形成する方法である。特開平8−286394号は支持体の表面を損傷させることなく感光層を除去する方法に関し、特に使用済の感光体を有機溶剤中に浸漬した後、熱水に浸漬し、さらに冷水に浸漬して感光層を支持体から遊離させる方法である。特開平6−11917号は被再生支持体よりも半径が大きくなっているとともに軸方向長さが短くなっている再生支持体を再利用する技術に関し、特に再生支持体の両端部に切削などの追加工を施し、新たな組付け部を形成し、さらに搭載される複写機に応じたフランジを組付ける技術である。しかし、これらの3つの公報では上述したような酸化被膜の膜厚のばらつきに起因する感光特性のばらつきを充分に低減して感光体を再生することはできない。 【0012】本発明の目的は、感光特性のばらつきがない安定した感光体を再生することができる電子写真感光体の再利用方法を提供することである。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明は、円筒状の導電性支持体上に有機感光層を形成して成り、画像形成プロセスで使用した後の電子写真感光体の再利用方法であって、(a)導電性支持体上から有機感光層を除去する工程と、(b)有機感光層の除去によって露出した導電性支持体の表面を切削加工する工程と、(c)切削加工された導電性支持体上に新たな有機感光層を形成する工程とを含むことを特徴とする電子写真感光体の再利用方法である。 【0014】本発明に従えば、画像形成プロセスで使用された感光体の支持体表面にはその使用状況に応じた膜厚の酸化被膜が形成されている。このような支持体を再利用する場合、本発明によれば、まず支持体上から有機感光層を除去する。次に、除去によって露出した支持体表面を切削加工し、その後、支持体上に新たな有機感光層を形成する。切削という比較的容易な手法によって支持体表面に形成された酸化被膜を除去することができる。または、その膜厚を均一とすることができる。このような支持体を用いた再生感光体では、その感光特性、特に帯電電位のばらつきを小さく抑えることができ、安定した再生感光体を提供することができる。 【0015】また本発明は、前記工程(a)〜(c)で処理される電子写真感光体は、下記の式(I)で表されるX値が440以上であることを特徴とする。 【0016】 X=((A4サイズ換算で設定された感光体の寿命)/(感光体の円周))×α …(I) (式(I)中、αはA4サイズの記録紙をその短手方向に沿って搬送して画像形成する場合には1であり、その長手方向に沿って搬送して画像形成する場合には1.4である。) 【0017】本発明に従えば、前記X値が440よりも小さい場合、再生時に切削加工を行わなかったときでも感光特性のばらつきは小さいので、切削加工は不要であるのに対して、前記X値が440以上の場合、再生時の切削加工を行わなかったときには感光特性のばらつきが大きく、したがって切削加工が必要である。これによって、安定した再生感光体を効率よく提供することができる。 【0018】また本発明は、前記工程(a)〜(c)で処理される電子写真感光体の導電性支持体の表面にはアルマイト加工が施されていないことを特徴とする。 【0019】本発明に従えば、支持体がアルマイト処理されている場合、再生時に切削加工を行わなくても帯電電位のばらつきは小さい。したがって、アルマイト処理された支持体の場合、切削加工は不要であり、アルマイト処理されていない支持体の場合、切削加工が必要であり、これによって安定した再生感光体を効率よく提供することができる。 【0020】また本発明は、前記工程(a)〜(c)で処理される電子写真感光体の導電性支持体は主としてアルミニウムから成り、アルミニウム以外の不純物を0.1重量%以下含有することことを特徴とする。 【0021】本発明に従えば、支持体がアルミニウム製である場合、アルミニウムの純度によって再生感光体における感光特性のばらつきが異なり、アルミニウムの純度が低いほどばらつきが大きくなり画像の良品率が低下する傾向がある。本発明では、支持体が主としてアルミニウムから成り、アルミニウム以外の不純物を0.1重量%以下含有する場合、再生時に切削加工を行うことによって、感光特性のばらつきを小さく抑え安定した再生感光体を効率よく提供することができる。 【0022】 【発明の実施の形態】電子写真感光体は、比較的純度が高いAlから成る円筒状の支持体上に、有機感光層を形成して成る。 【0023】支持体の外表面および内表面は切削によって所定の表面粗度を有し、特に外表面は要求される感光特性に応じた表面粗度を有する。切削は、主に、潤滑剤として炭素系の溶剤を使用し、ダイヤモンドバイトを用いた旋盤によって行われる。支持体の内表面には、旋盤によるチャッキングを容易とし、回転振れ精度を向上させるための加工(インロー加工)を切削とは別に施しても構わない。切削量は0.025mm〜0.1mm程度、特に0.05mm程度に選ばれ、該切削量が適切でない場合、画像形成プロセスでトナー像の転写を良好に行うことができず、画像の品質が低下する。支持体の表面を所定の粗度に加工する手法として、切削以外に砥石を用いたグラインダによる研磨があるが、加工材料が主にAl、特に高純度なAlであり、砥石に目詰まりが発生して連続加工が困難となるので、一般的には旋盤が採用される。 【0024】切削によって所定の表面粗度とされた支持体には、切削時の潤滑剤や屑の他に搬送時のダストなどが付着しており、これらを除去するために洗浄される。洗浄は、従来では塩素系溶剤による浸漬洗浄が行われていたが、環境汚染を考慮して現在では水系の洗浄が主流である。水系の洗浄には概ね6つの槽が用いられる。第1の槽では、界面活性剤を含有する水溶液に支持体が浸漬されるとともに超音波によるキャビテーションによって潤滑油や屑などが除去される。第2以降の槽では、支持体に付着した界面活性剤を含有する水溶液が市水(水道水)や純水によって洗浄される。洗浄後、支持体に付着した水分が乾燥炉にて蒸発され乾燥される。乾燥後、支持体上には感光層が形成される。 【0025】感光層には、電荷発生層と電荷輸送層との2層を積層して成る積層型(機能分離型)およびこれらが分離されずに単一層で形成された単層型があるが、いずれを用いても構わない。また、感光層の支持体に対する接着性および支持体からのホール注入に対するバリア性などを改善するために、支持体と感光層との間に下引き層を設けても構わない。 【0026】積層型の感光体は支持体または下引き層上に電荷発生物質を含有する電荷発生層を有する。 【0027】電荷発生物質としては、クロロダイアンブルー等のビスアゾ系化合物、ジブロモアンサンスロン等の多環キノン系化合物、ペリレン系化合物、キナクリドン系化合物、フタロシアニン系化合物およびアズレニウム塩系化合物などが使用可能である。特に、レーザ光やLED(発光ダイオード)などの光源を用いた反転現像プロセスでは、620nm〜800nmの比較的長波長の範囲の光に高い感度を示すことが感光体に要求され、このような感光体では高感度で耐久性に優れたフタロシアニン顔料やトリスアゾ顔料、特に優れたフタロシアニン顔料を1種もしくは2種以上併用することが好ましい。 【0028】フタロシアニン顔料としては、無金属フタロシアニン、金属フタロシアニン、これらの混合物および混合化合物などが使用可能である。金属フタロシアニン中の金属としては、酸化状態が零である金属、その塩化物や臭化物などのハロゲン化金属およびその酸化物が挙げられ、特にCu,Ni,Mg,Pb,V,Pd,Co,Nb,Al,Sn,Zn,Ca,In,Ga,Fe,Ge,TiおよびCrなどが挙げられる。 【0029】フタロシアニン顔料の製造方法としては種々の手法が提案されており、これらの手法によって製造されたものが使用可能であり、また各種の精製品や結晶型を変換するための種々の有機溶剤での分散処理品を使用しても構わない。使用可能な結晶型としては、たとえば非晶型、α型、β型、γ型、δ型、ε型、χ型およびτ型が挙げられる。 【0030】電荷発生層は、たとえばフタロシアニン顔料などの電荷発生物質を真空蒸着することによって形成可能であり、また電荷発生物質を結着樹脂および有機溶剤とともに混合し、分散し、塗布することによっても形成可能であるが、一般的には後者の塗布方法が採用される。電荷発生物質は混合分散の前に粉砕機にて予め粉砕してもよい。粉砕機としては、ボートミル、サンドミル、アトライター、振動ミルおよび超音波分散機などが使用可能である。塗布方法としては、スプレー法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬法などが使用可能であり、特に浸漬法は塗布液を満たした塗布槽に支持体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって感光層を形成する方法であり、比較的簡単で生産性に優れ、製造コストが安価であるので好ましい。 【0031】塗布法において用いられる塗布液を構成する結着樹脂としては、たとえばメラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂および塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂やアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの2つ以上の繰返し単位を含む共重合体樹脂が使用可能であるが、これらに限定されず、一般的な樹脂を単独あるいは2種以上混合して使用しても構わない。 【0032】また、塗布液を構成する有機溶剤としては、たとえば塩化メチレンや2塩化エタン等のハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフランやジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドやN,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒、およびこれらの混合溶剤が使用可能である。 【0033】なお、電荷発生物質としてフタロシアニン顔料を用いる場合、結着樹脂に対するフタロシアニン顔料の重量比率を10重量%〜99重量%の範囲とすることが好ましい。フタロシアニン顔料がこの範囲よりも少ない場合、感度が低下し、多い場合、耐久性が低下し、また塗布液の分散性の低下によって粗大粒子が増大して画像欠陥、特に黒ポチが多発する。 【0034】フタロシアニン顔料と結着樹脂と有機溶剤とを混合し分散させて塗布液を調整する際の分散条件は用いる容器や分散メディアの摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適宜選択され、たとえば分散した塗布液中のフタロシアニン顔料の一次粒子および/またはその凝集粒子径が3μm以下となるよう分散条件が選択される。一次粒子および/またはその凝集粒子径が3μmよりも大きい場合、画像欠陥、特に白地上に黒ポチが多発する。 【0035】また特に、フタロシアニン顔料のメジアン径が0.5μm以下となるようまたはモード径が3μm以下となるよう分散条件を選択し、これよりも大きい粒子を含有しないことが好ましい。ここで、フタロシアニン顔料はその化学的構造から微粒子にするためには比較的強い分散条件と長い分散時間を必要とし、これによって製造コストの増大、製造効率の低下および分散メディアの摩耗などによる不純物の混入を招き、また有機溶剤、熱および分散による衝撃などによってフタロシアニン顔料の結晶型が変化して感度が著しく低下する。このため、メジアン径が0.01μm以下となるまでまたはモード径が0.1μm以下となるまで分散ことは好ましくない。また、上述したメジアン径やモード径よりも大きい粒子は濾過などによって除去することが好ましい。濾過に使用するフィルタは使用する有機溶剤によって膨潤したり溶解したりしない一般的なものが使用可能であり、特に孔径が均一なポリ4フッ化エチレン樹脂(商品名テフロン)製メンブランフィルタが好ましい。さらに、遠心分離によって粗大粒子や凝集物を除去しても構わない。 【0036】電荷発生層用塗布液の塗布膜厚は0.2μm〜10μmの範囲に選ばれる。塗布膜厚が上述した範囲よりも小さい場合、感度が低下し、また塗布液調整におけるフタロシアニン顔料の長時間の分散によって該顔料の結晶型が変化する。塗布膜厚が上述した範囲よりも大きい場合、一定の感度を示すが、製造コストが増加するとともに均一な塗布が困難となる。上述したような膜厚で塗布された電荷発生層用塗布液の乾燥後の膜厚、すなわち電荷発生層の膜厚は0.05μm以上5μm以下の範囲、特に0.1μm以上1μm以下の範囲に選ばれる。 【0037】積層型の感光体はさらに電荷発生層上に電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を有する。電荷輸送層は、結着樹脂溶液中に電荷輸送物質を溶解させた電荷輸送用塗布液を調整し、該塗布液を塗布する方法によって形成可能である。電荷輸送物質としては、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物およびオキサジアゾール系化合物などを1種もしくは2種以上併用することができる。結着樹脂としては、前記電荷発生層で使用した結着樹脂を1種もしくは2種以上混合して使用することができる。電荷輸送層の膜厚は5μm以上50μm以下の範囲、特に10μm以上40μm以下の範囲に選ばれる。 【0038】単層型の感光層は支持体または下引き層上に感光層を有する。感光層の膜厚は5μm以上50μm以下の範囲、特に10μm以上40μm以下の範囲に選ばれる。感光層は、結着樹脂溶液中に電荷輸送物質を溶解させ、さらにフタロシアニン顔料などの電荷発生物質を混合し分散して感光層用塗布液を調整し、該塗布液を塗布する方法によって形成可能である。結着樹脂、有機溶剤、電荷輸送物質および電荷発生物質は積層型と同様のものが使用可能で、また分散や塗布の手法も同様の手法が採用可能である。 【0039】なお、下引き層を設けて高いバリア性を得るため、また高い感度や耐久性を得るためには、単層型感光体の感光層および積層型感光体の電荷発生層と電荷輸送層とで構成される感光層、特に電荷発生層を負帯電性とすることが好ましい。 【0040】また、感度の向上および残留電位や繰返し使用時の疲労低減などを目的として、少なくとも1種以上の電子受容性物質を感光層に添加しても構わない。電子受容性物質としては、たとえばパラベンゾキノン、クロラニル、テトラクロロ1,2−ベンゾキノン、ハイドロキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、メチル1,4−ベンゾキノン、α−ナフトキノンおよびβ−ナフトキノン等のキノン系化合物、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、1,3,6,8−テトラニトロカルバゾール、p−ニトロベンゾフェノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノンおよび2−ニトロフルオレノン等のニトロ化合物、テトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、4−(P−ニトロベンゾイルオキシ)−2’,2’−ジシアノビニルベンゼンおよび4−(m−ニトロベンゾイルオキシ)−2’,2’−ジシアノビニルベンゼン等のシアノ化合物が使用可能であり、特にフルオレノン系化合物、キノン系化合物、Cl,CnおよびNO2等の電子吸引性置換基のあるベンゼン誘導体が好ましい。また、紫外線吸収剤や酸化防止剤を感光層に添加しても構わない。紫外線吸収剤や酸化防止剤としては、たとえばトリアゾール化合物、イミダゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物およびこれらの誘導体などの含窒素化合物類、安息香酸、ならびにスチルベン化合物およびその誘導体が挙げられる。 【0041】さらに、感光層の表面を保護するための保護層を設けても構わない。保護層としては、熱可塑性樹脂や光または熱硬化性樹脂が使用可能である。保護層中に前述の紫外線防止剤、酸化防止剤、金属酸化物などの無機材料、有機金属化合物および電子受容性物質などを含有させても構わない。 【0042】またさらに、感光層や保護層に加工性や可撓性を付与し、機械的物性を改良するために、二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステルおよび塩素化パラフィンなどの可塑剤を混合させても構わない。また、シリコン樹脂などのレベリング剤を混合させても構わない。 【0043】以上のようにして構成される感光体は、電子写真複写機、レーザやLEDなどを光源とする各種プリンタおよび電子写真製版システムで採用される画像形成プロセスで用いられる。画像形成プロセスは、大略的に、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、定着工程、クリーニング工程および除電工程から成る。 【0044】まず帯電工程で感光体の表面が所定の電位に帯電され、次の露光工程で形成すべき画像に応じた光によって露光されて静電潜像が形成される。静電潜像は現像工程でトナーによって現像されて可視像とされる。トナー像は転写工程で所定の記録紙に転写され、定着工程で定着される。記録紙に転写されずに感光体上に残存するトナーがクリーニング工程で除去され、次の除電工程で残留する電荷が除去された後、再び帯電工程が繰返される。 【0045】たとえば、複写機は主として1枚〜3枚程度を間欠的に複写するために使用される。この場合、複写枚数によって感光体自身の劣化が増幅され(前回転/後回転等)、またA4サイズ換算による感光体の劣化速度は記録紙の搬送方向によって異なり、短手方向に沿った搬送に比べて長手方向に沿った搬送は約1.4倍の負荷となる。予め設定された寿命が終了した感光体および何らかの外的要因によって使用不可能となった感光体は、市場サービスマンによって新たな感光体と交換され、使用済の感光体は製造メーカに回収される。 【0046】図1は、本発明の実施の一形態である使用済の感光体1の再利用方法を示す図である。支持体2の上に感光層3を備える回収された使用済の感光体1は、まず第1の工程で、支持体2の上から感光層3が除去される。たとえば、感光層3の結着樹脂成分を溶解可能な溶剤(結着樹脂成分の可溶性溶剤)によって洗浄剥離される。このとき、回収された使用済の感光体1はその形状や寸法毎に選別された後、形状に合わせたパレットに装着されて洗浄剥離ラインに投入される。 【0047】洗浄剥離によって感光層3が除去された後に露出した支持体2の表面には、帯電工程で発生したオゾンによる酸化被膜が形成されている。この酸化被膜を除去するために、第2の工程では、支持体2の表面が旋盤によって切削される。酸化被膜を除去するための切削は、支持体2に対して行う初期の切削と同様にして行うことができ、潤滑剤が、たとえばエアーとともに、支持体2の表面および刃物であるダイヤモンドバイトに噴霧される。旋盤時の回転数としては、1500rpm〜5000rpm、特に2500rpmが好ましい。刃物としては焼結バイト、人造ダイヤモンドバイトおよび天然ダイヤモンドバイトが使用可能であるが、特に天然ダイヤモンドバイトの使用が好ましい。支持体2の内表面には前述したインロー加工を施しても構わない。切削量は0.025mm〜0.1mm程度、特に0.05mm程度に選ばれる。切削量が少ない場合、回転振れ精度によって加工残が発生し、酸化被膜を完全に除去することができない。加工量が多い場合、画像形成プロセスでトナー像の転写を良好に行うことができず、画像の品質が低下する。 【0048】切削によって酸化被膜が除去された支持体2には、付着した切削時の潤滑剤や屑および搬送時のダストなどを除去するために上述したのと同様にして洗浄され、乾燥される。その後、第3の工程では、支持体1の上に新たな感光層4が形成され、このようにして再生感光体5が完成する。 【0049】以下に、本発明の再生感光体5について詳説する。まず、本発明の再生感光体5、従来の再生感光体および新品の感光体における電気特性の比較結果について説明する。 【0050】回収された使用済の感光体(直径φ=30mm)1は、その両端部に接着されているフランジを取外した後、以下の手順1〜4にて、支持体2の上に設けられている感光層3および支持体2の表面に形成された酸化被膜を除去した。ここで、支持体2はアルマイト未処理の純アルミニウム製であり、初期の切削が施されているものである。 【0051】1.使用済の感光体1を洗浄カゴに投入し、剥離溶剤が満たされた洗浄槽に浸漬する。 2.浸漬と同時に揺動機構にて洗浄カゴおよび洗浄槽を相対的に揺動させて、支持体2の上の感光層3を溶解剥離する。 3.剥離しきれずに残った感光層3を所定装置にチャッキングさせた溶剤を含ませたベンコット等によって拭き取る。 4.感光層3を剥離し終わった支持体2の表面に形成された酸化被膜を表面切削加工機(豊田工機社製)にて除去する。このとき、切削加工の条件として、回転数を2500rpmとし、送りスピードを0.175mm/rpmとし、加工バイトとして天然ダイヤモンドバイト(東京ダイヤモンド社製)を使用し、切削量を50μmとした。 【0052】感光層3および酸化被膜が除去された支持体2は、洗浄後、浸漬塗布方法によって新たな感光層5を形成して再生感光体5を作製した。なお、回収された使用済の感光体1は、予め設定された寿命が30000回(A4サイズおよび短手方向搬送にて換算した値)のものであり、市場でランダムに使用されたものである。 【0053】以上のようにして作製した本発明の再生感光体5、従来の再生感光体および新品の感光体の各50本について電気特性を評価した。電気特性のばらつきΔと良品率とを表1に示す。なお、従来の再生感光体とは、感光層の剥離後、酸化被膜を除去せずに新たな感光層を形成したものである。また、電気特性として帯電電位、残留電位およびハーフトーン電位を評価機(シャープ製 SF−2414;A4サイズおよび長手方向搬送の装置)にて評価した。 【0054】 【表1】
【0055】表1の結果から、本発明の再生感光体5の感光特性は従来の感光体よりも安定していることが判る。従来の再生感光体では、市場での使用状態よって支持体の表面に形成される酸化被膜の膜厚にばらつきが生じ、表面電位に変化が起こる。具体的に、酸化被膜の膜厚が厚くなると、感光層で発生した電荷の支持体への流れがブロックされて感光体に残留する。残留電位Vrの上昇が顕著となると、これに伴って画像カブリが多数発生する。一定光量にて露光した場合、残留電位Vrの上昇によって所望の電位まで感光体の電位が降下せずに余分な電位が残ることとなり、このような感光体を使用したアナログ複写機による画像には余分なトナーが付着する。残留電位Vrの上昇が多いほどトナーの付着量も多くなり、画像欠陥としてのカブリ、すなわち本来は白く印刷されるべき箇所が黒っぽく印刷される欠陥の発生が多くなる。本発明の再生感光体5は、切削加工によって支持体表面に形成された酸化被膜を除去しており、支持体表面の酸化被膜の膜厚が一定または零になり、よって新品の感光体とほぼ同様の感光特性が再現される。 【0056】次に、本発明の再生感光体5および従来の再生感光体における帯電電位のばらつきを、各再生感光体に対応する回収された使用済の感光体の下記式(I)で表されるX値ごとに比較した結果について説明する。この結果を表2に示す。 【0057】 X=((A4サイズ換算で設定された感光体の寿命)/(感光体の円周))×α …(I) なお、式(I)中、αはA4サイズの記録紙をその短手方向に沿って搬送して画像形成する場合には1であり、その長手方向に沿って搬送して画像形成する場合には1.4である。 【0058】 【表2】
【0059】表2の結果から、設定された感光体の寿命が15000回の場合、切削加工を行った本発明の再生感光体5だけでなく切削加工をしていない従来の再生感光体でも帯電電位のばらつきは小さいが、寿命が30000回の場合、切削加工を行った本発明の再生感光体5では帯電電位のばらつきは小さいが、切削加工をしていない従来の再生感光体では帯電電位のばらつきが大きいことが判る。各寿命におけるX値を求めると、X=(15000/(2×π×15))×1.4≒223X=(30000/(2×π×15))×1.4≒446となる。 【0060】なお、種々の設定された寿命、円周および記録紙送り方向で感光体の再使用について検討を行ったところ、X値がある一定値を超える感光体は該ある一定値を超えない感光体に比べて支持体表面に形成された酸化被膜の厚みのばらつきが大きく、この酸化被膜を切削加工によって除去すると感光特性が安定化することを確認した。ここで、前記ある一定値とは440であった。このことから、上記式(1)のX値が440以上の場合、切削加工が必要であるといえる。 【0061】次に、本発明の再生感光体5および従来の再生感光体にそれぞれ対応する回収された使用済の感光体の支持体がアルマイト処理されたものである場合において、再生時の切削加工の有無と帯電電位のばらつきとの関係について説明する。この結果を表3に示す。 【0062】 【表3】
【0063】表3の結果から、支持体がアルマイト処理されている場合、再生時に切削加工を行わなくても帯電電位のばらつきは小さいことが判り、この場合には切削加工が不要であるといえる。 【0064】次に、支持体のアルミニウムの純度を変えた場合において、再生時の切削加工の有無と帯電電位のばらつきとの関係について説明する。この結果を表4に示す。 【0065】 【表4】
【0066】表4の結果から、設定寿命が15000回の場合、支持体のアルミニウム中の不純物の量が0.1重量%以下では、帯電電位のばらつきは小さく画像の良品率は95%である。これに対して、支持体のアルミニウム中の不純物の量が0.1重量%以上では、帯電電位のばらつきは小さいが画像の良品率は85%となっていた。また、設定寿命が30000回の場合、支持体のアルミニウム中の不純物の量が0.1重量%以下では、帯電電位のばらつきは小さく画像の良品率は95%である。これに対して、支持体のアルミニウム中の不純物の量が0.1重量%以上では、帯電電位のばらつきは大きく画像の良品率は75%となっていた。このことから、支持体が主としてアルミニウムから成り、アルミニウム以外の不純物を0.1重量%以下含有する場合に、切削加工を行って再生することが好ましいといえる。 【0067】以上のように本発明に基づく再使用方法を用いることによって、市場における感光体の使用方法の如何にかかわらず、回収された感光体を、電位特性のばらつきを低減して再生利用することが可能となり、再生品の良品率が向上しかつ形成された画像における画質を安定化することが可能となる。 【0068】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、支持体上から有機感光層を除去し、次に露出した支持体表面を切削加工し、さらに支持体上に新たな有機感光層を形成する。切削加工によって支持体表面の酸化被膜が容易に除去または均一化されるので、感光特性、特に帯電電位のばらつきが小さい安定した再生感光体を提供することができる。 【0069】また本発明によれば、式(I)で表されるX値が440以上である感光体を再生して、安定した再生感光体を効率よく提供することができる。 【0070】また本発明によれば、アルマイト処理された支持体は再生時に切削加工を行わなず、アルマイト処理されていない支持体は再生時に切削加工を行って、安定した再生感光体を効率よく提供することができる。 【0071】また本発明によれば、支持体がアルミニウム製である場合、アルミニウムの純度が低いほどばらつきが大きくなり画像の良品率が低下する傾向があるので、アルミニウム以外の不純物を0.1重量%以下含有する場合、再生時に切削加工を行って、安定した再生感光体を効率よく提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005049 【氏名又は名称】シャープ株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月15日(2000.3.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075557 【弁理士】 【氏名又は名称】西教 圭一郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−265015(P2001−265015A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月28日(2001.9.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−72648(P2000−72648) |
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