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【発明の名称】 半導体装置の製造方法
【発明者】 【氏名】藤田 繁

【要約】 【課題】窒化シリコン層上で行われるフォトリソグラフィの精度を向上させる。

【解決手段】(イ)基体上100に窒化シリコン層12を形成する工程と、(ロ)窒化シリコン層12上にフォトレジスト層13を形成し、露光光を用いてフォトレジスト層13を選択的に露光する工程と、(ハ)露光後のフォトレジスト層13を現像することによって、パターニングされたフォトレジスト層13Pを得る工程、を有する半導体装置の製造方法であって、工程(イ)では、露光光の波長における複素屈折率(n+ik)の虚数部係数kが0.1以上である窒化シリコン層12を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(イ)基体上に窒化シリコン層を形成する工程と、(ロ)窒化シリコン層上にフォトレジスト層を形成し、露光光を用いてフォトレジスト層を選択的に露光する工程と、(ハ)露光後のフォトレジスト層を現像することによって、パターニングされたフォトレジスト層を得る工程、を有する半導体装置の製造方法であって、工程(イ)では、露光光の波長における複素屈折率(n+ik)の虚数部係数kが0.1以上である窒化シリコン層を形成ることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】露光光は、波長2.48×10-7mのエキシマレーザー光であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】工程(イ)では、シランガス流量とアンモニアガス流量の比を制御した減圧CVD法によって窒化シリコン層を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】工程(ハ)の後に、(ニ)パターニングされたフォトレジスト層を用いて窒化シリコン層を除去することにより、パターニングされた窒化シリコン層を得る工程、を更に有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】基体は半導体基板であり、工程(ニ)の後に、(ホ)パターニングされた窒化シリコン層を用いて半導体基板の一部を除去することにより、半導体基板に溝部を形成する工程、を更に有することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】基体は半導体基板であり、工程(ニ)の後に、(ヘ)フォトレジスト層を除去する工程と、(ト)パターニングされた窒化シリコン層を用いて半導体基板を酸化することにより酸化物から成る素子分離領域を形成する工程、を更に有することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、窒化シリコン層上に形成されたフォトレジスト層に対して行われるフォトリソグラフィの精度を向上させることが可能な半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体プロセスの中には、例えば、半導体基板に形成された溝部に研磨法によって絶縁膜を埋め込む際の研磨停止層や、半導体基板を選択的に酸化して素子分離領域を形成する際の熱酸化マスクとして、パターニングされた窒化シリコン層を用いるプロセスがある。パターニングされた窒化シリコン層を形成するための方法としては、一般に、先ず、基体上に窒化シリコン層を形成し、次に、窒化シリコン層上にフォトレジスト層を形成し、露光光を用いてフォトレジスト層を選択的に露光し、次に、露光後のフォトレジスト層を現像することによって、パターニングされたフォトレジスト層を得、このフォトレジスト層を用いて窒化シリコン層を例えばエッチング法により除去する方法が採られている。
【0003】従来、窒化シリコン層を形成する方法としては、比較的優れた膜厚均一性と成膜速度を達成可能であることから、ジクロロシラン(SiCl22)/アンモニア(NH3)混合ガス系を用いた減圧CVD法が広く採用されている。典型的な成膜条件は、SiCl22流量=10〜100SCCM、NH3流量=100〜1000SCCM(但し、SiCl22とNH3の流量比は概ね5〜10)、圧力=10〜100Pa、成膜温度=750〜800゜Cである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、半導体装置のデザインルールが0.25μmの世代では、フォトリソグラフィの露光光として、波長2.48×10-7m(248nm)のKrFエキシマレーザー光が用いられている。しかしながら、上述した従来の窒化シリコン層上で、KrFエキシマレーザー光を用いてフォトレジスト層を選択的に露光し、現像を行うと、パターニングされたフォトレジスト層の寸法や形状が設計通りとならない場合がある。これは、従来の窒化シリコン層によるKrFエキシマレーザー光の吸収が不十分であり、窒化シリコン層からの反射光によってフォトレジスト層の露光量が局部的に過剰となることに起因している。この問題を、図6及び図7を参照して説明する。
【0005】図6は、半導体基板30に溝部を形成し、研磨法でこの溝部に絶縁膜(具体的には、酸化シリコン膜)を埋め込むことによって素子分離領域を形成する、所謂シャロー・トレンチ・アイソレーション(STI)のプロセスを想定し、窒化シリコン層32上に形成されたフォトレジスト層33を選択的に露光している状態を模式的に表す。露光に至るまでのプロセスを簡単に説明する。
【0006】先ず、例えばシリコン半導体基板から成る半導体基板30上に、ウェット酸化により酸化シリコンSiO2から成る厚さ約1×10-8m(10nm)のパッド酸化膜31を形成する。このパッド酸化膜31は、半導体基板30と次工程で形成される窒化シリコン層32との間の応力差を緩和し、半導体基板30における欠陥発生を防止するために形成される。次に、上述の成膜条件による減圧CVDを行うことにより、パッド酸化膜31上に窒化シリコン層32を形成する。この窒化シリコン層32は、後工程で行われる絶縁膜の研磨において、研磨停止層としての役割を果たす層である。次に、窒化シリコン層32上にフォトレジスト層33を形成し、図示しないフォトマスクを介して、波長2.48×10-8m(=248nm)の露光光による選択露光を行う。これにより、露光光に照射されたフォトレジスト層33の部分には露光部33Aが形成される(図6の(A)参照)。
【0007】波長2.48×10-8mにおける窒化シリコン層32の複素屈折率(n+ik)の典型的な値としては、2.3+0.018iが得られている。ここで、複素屈折率(n+ik)の虚数部係数kは、吸収係数あるいは消衰係数とも呼ばれ、光吸収の指標となる値である。因みに、実数部nは、通常、「屈折率」と称されている値である。以下、実数部nと虚数部係数kとを、「光学定数n,k」と総称する場合がある。虚数部係数kが上記のように10-2のオーダーであると、露光光は、窒化シリコン層32では殆ど吸収されず、主として窒化シリコン層32とフォトレジスト層33との界面で反射され、界面近傍のフォトレジスト層33の部分に吸収される。つまり、図6の(B)に拡大して示すように、フォトレジスト層33の露光量は、窒化シリコン層32との界面近傍において局部的に過剰となってしまう。
【0008】フォトレジスト層33がポジ型のフォトレジスト材料から成る場合、過剰な露光量は、フォトレジスト材料の分解を促進し、現像後に得られるフォトレジスト層の線幅を細らせる原因となる(図7の(A)参照)。特に、フォトレジスト層33Pの底辺寸法が狭まることにより、図示するように、フォトレジスト層33Pが倒壊する場合もある。これでは、次工程以降においてフォトレジスト層33Pをマスクとして窒化シリコン層32とパッド酸化膜31をエッチングしたり、更に、半導体基板30をエッチングして溝部を形成することは不可能となってしまう。一方、フォトレジスト層33がネガ型のフォトレジスト材料から成る場合、過剰な露光量は、フォトレジスト材料の架橋を促進し、現像後に得られるフォトレジスト層33Nの線幅を太らせる原因となる(図7の(B)参照)。ネガ型のフォトレジスト材料を用いた場合には、ポジ型の場合と異なり、フォトレジスト層33Nが倒壊する危険は少ないが、フォトレジスト層33Nの底辺寸法が拡がるため、半導体装置の回路パターンの微細化、ひいては高集積化にとって不利となる。
【0009】上述の問題を回避するための対策として、露光光の波長における光吸収が大きい有機系材料あるいは無機系材料から成る反射防止膜を、窒化シリコン層32上に形成することが考えられる。中でも、無機系材料の1つである酸化窒化シリコン(SiON)は、エキシマレーザー波長にて比較的大きな光吸収特性を示し、しかも、成膜条件の制御により光学定数n,kを比較的広範囲に変化させることができるため、0.25μm世代の半導体装置の製造プロセスにおいて有用な反射防止膜材料と目されている。しかし、このように追加の膜を用いる対策では、半導体プロセスにおける工程数や使用材料が増え、生産性や経済性が低下する虞が大きい。そこで、工程数や使用材料の増加を避けるために、例えば上述の窒化シリコン層32を酸化窒化シリコンから成る層に置き換えることも考えられるが、酸化窒化シリコンは研磨速度が酸化シリコンと同等であるため、この層に研磨停止層としての機能を期待することは不可能となり、現実的なプロセスではなくなってしまう。
【0010】従って、本発明は、窒化シリコン層を他の材料層に置き換えずに従来通り使用しながら、窒化シリコン層上で行われるフォトリソグラフィの精度を向上させることが可能な半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するための本発明の半導体装置の製造方法は、(イ)基体上に窒化シリコン層を形成する工程と、(ロ)窒化シリコン層上にフォトレジスト層を形成し、露光光を用いてフォトレジスト層を選択的に露光する工程と、(ハ)露光後のフォトレジスト層を現像することによって、パターニングされたフォトレジスト層を得る工程、を有する半導体装置の製造方法であって、工程(イ)では、露光光の波長における複素屈折率(n+ik)の虚数部係数kが0.1以上である窒化シリコン層を形成することを特徴とする。虚数部係数kの上限は特に限定されず、窒化シリコン層の成膜条件や、得られる膜質に応じて自ずと達成され得る値であってよい。
【0012】露光光は、典型的には、波長2.48×10-7m(248nm)のエキシマレーザー光である。この波長は、KrF励起子による発光波長である。本発明において、波長2.48×10-7mにおける虚数部係数kの値が0.1以上であることは、上述した従来の一般的な成膜条件によって得られる窒化シリコン層の虚数部係数kの値に比べて1桁大きいことを意味する。従って、本発明で用いられる窒化シリコン層は、波長2.48×10-7m(248nm)のエキシマレーザー光を十分に吸収することができ、窒化シリコン層上のフォトレジスト層に向けて余分な反射光を生じない。このため、フォトレジスト層の露光量が局部的に過剰となる不都合を防止することができ、ポジ型、ネガ型のいずれのフォトレジスト材料を用いてフォトレジスト層を構成した場合にも、設計寸法及び設計形状通りのレジスト・パターニングを行うことが可能となる。フォトレジスト層は、ポジ型、ネガ型を問わず、公知のフォトレジスト材料を用いて構成することができる。
【0013】上述の虚数部係数kを有する窒化シリコン層を形成するためには、工程(イ)において、シラン(SiH4)ガス流量とアンモニア(NH3)ガス流量の比を制御した減圧CVD法を行うことが好適である。シランガス流量/アンモニアガス流量の比を、以下、単に流量比と呼ぶ場合がある。窒化シリコン層の光学定数n,kは、ある範囲内では膜中のシリコン含量と相関しており、シリコン含量が多いほど光学定数n,kが大きくなる傾向が知られている。つまり、上記のガス系では、アンモニアガス流量に対してシランガス流量が多くなる程、光学定数n,kが上昇する傾向がある。尚、窒化シリコン層の光学定数n,kに関しては、実数部nの変化と虚数部係数kの変化がほぼ連動する。CVD装置に実際に供給する各ガスの流量は、装置によっても異なるが、シランガス流量、アンモニアガス流量を共に概ね100〜1000SCCMの範囲に選択することが好ましい。本発明において、上記のシラン/アンモニア混合ガス系を用いた場合、成膜温度は概ね600〜650゜C、圧力は概ね10〜100Paの範囲内である。上記の成膜温度は、従来のジクロロシラン/アンモニア混合ガス系を用いた場合の成膜温度よりも50〜200゜Cも低く、半導体プロセスの低温化の観点からも好ましい。尚、本発明で用いるシラン/アンモニア混合ガス系には、キャリアガスとして窒素ガスが含まれていてもよく、また、冷却効果や希釈効果を得る目的でHe、Ar等の希ガスが含まれていてもよい。
【0014】本発明の半導体装置の製造方法は、工程(ハ)の後に、(ニ)パターニングされたフォトレジスト層を用いて窒化シリコン層を除去することにより、パターニングされた窒化シリコン層を得る工程を更に有していることが、実用上好ましい。ここで、基体が半導体基板である場合、本発明の半導体装置の製造方法には、実用性の高い構成として、下記の第1の構成と第2の構成がある。
【0015】第1の構成に係る半導体装置の製造方法は、工程(ニ)の後に、(ホ)パターニングされた窒化シリコン層を用いて半導体基板の一部を除去することにより、半導体基板に溝部を形成する工程を更に有する。この溝部は、後工程で絶縁膜が埋め込まれることによって素子分離領域となる部分であり、得られた溝型の素子分離領域、あるいはかかる素子分離領域を形成するプロセスは、シャロー・トレンチ・アイソレーション(STI)法と通称されている。第1の構成における窒化シリコン層は、絶縁膜を研磨法によって溝部に埋め込む際の研磨停止層、あるいは、絶縁膜をエッチバック法によって溝部に埋め込む際のエッチング停止層として機能する。
【0016】第2の構成に係る半導体装置の製造方法は、工程(ニ)の後に、(ヘ)フォトレジスト層を除去する工程と、(ト)パターニングされた窒化シリコン層を用いて半導体基板を酸化することにより酸化物(半導体基板を構成する物質の酸化物)から成る素子分離領域を形成する工程を更に有する。第2の構成における窒化シリコン層は、半導体基板を酸化しない領域を被覆しておくためのマスクとして機能する。このようにして素子分離領域を形成するプロセスは、選択酸化分離プロセス、あるいはLOCOS(local oxidation of silicon)プロセスと通称されている。
【0017】尚、第1の構成及び第2の構成においては、半導体基板上に窒化シリコン層を直接設けると、双方の応力差によって半導体基板に欠陥が生ずる場合があるので、半導体基板と窒化シリコン層との間に応力緩和層を設けることが好ましい。即ち、応力緩和層を表面に有する半導体基板を、基体として用いることが好ましい。半導体基板がシリコン半導体基板から成る場合、応力緩和層は典型的には酸化シリコンから構成され、一般にパッド酸化膜と称されている。酸化シリコンから成る応力緩和層は、公知のドライ酸化法やウェット酸化法により形成することができる。基体としては、その他、半導体基板上に形成された絶縁層、導電体層を挙げることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、発明の実施の形態(以下、実施の形態と略称する)に基づき本発明を説明する。
【0019】(実施の形態1)実施の形態1では、第1の構成に係る半導体装置の製造方法を適用したシャロー・トレンチ・アイソレーション法について、図1乃至図4を参照しながら説明する。
【0020】[工程−100]図1の(A)は、基体100上に窒化シリコン層12を形成し、窒化シリコン層12上に更にフォトレジスト層13を形成した状態を示している。基体100は、例えばシリコン半導体基板から成る半導体基板10と、この半導体基板10の表面に対して例えばウェット酸化を行うことにより形成された厚さ約1×10-8m(10nm)のパッド酸化膜11から成る。パッド酸化膜11は、応力緩和層として機能する膜である。窒化シリコン層12は、減圧CVD法により約1.5×10-7〜2.0×10-7m(150〜200nm)の厚さに形成されている。尚、シラン(SiH4)/アンモニア(NH3)混合ガス系を使用し、SiH4流量(R1)を400SCCM、NH3流量(R2)を400SCCMとした。即ち、シランガス流量R1とアンモニアガス流量R2の比R1/R2を1とした。また、キャリアガスとして、N2(流量:200SCCM)を用いた。この条件にて形成された窒化シリコン層12の波長2.48×10-7m(248nm)における複素屈折率(n+ik)は、2.6+0.62iである。即ち、虚数部係数k=0.62である。フォトレジスト層13は、例えばノボラック系ポジ型フォトレジスト材料をスピンコート法により窒化シリコン層12に塗布し、プリベークを行って形成する。
【0021】[工程−110]次に、図示しないフォトマスクを介して、フォトレジスト層13を選択的に露光する。露光光としては、波長2.48×10-7mのKrFエキシマレーザー光を用いる。露光光に照射されたフォトレジスト層13の部分は、露光部13Aとなる(図1の(B)参照)。ここでは、フォトレジスト層13をポジ型フォトレジスト材料を用いて構成しているので、露光部13Aではフォトレジスト材料の低分子化反応が進行している。
【0022】[工程−120]次に、露光後のフォトレジスト層13を現像することによって、パターニングされたフォトレジスト層13P(添字Pは、パターニングされたことを示す。以下同様)を得る(図2の(A)参照)。得られたフォトレジスト層13Pは、設計通りの寸法及び形状を有しており、従来問題となっていた底辺寸法の狭まりや、これに起因するフォトレジスト層の倒壊は一切みられない。これは、図2の(B)に示すように、フォトレジスト層13を透過した露光光が窒化シリコン層12に入射しても、窒化シリコン層12の虚数部係数kの値が従来よりも大きいために露光光が吸収され、フォトレジスト層13側へほとんど反射せず、従って、フォトレジスト層13に局部的な過剰露光が生じなかったためである。
【0023】[工程−130]次に、パターニングされたフォトレジスト層13Pを用いて窒化シリコン層12を例えばドライエッチング法で除去することにより、パターニングされた窒化シリコン層12Pを得る。続いて、パッド酸化膜11の表出部もドライエッチング法で除去することにより、パターニングされたパッド酸化膜11Pを得る(図3の(A)参照)。このときの窒化シリコン層12及びパッド酸化膜11のドライエッチングは、例えばマグネトロンRIE(反応性イオン・エッチング)装置とフルオロカーボン系ガスを用いて行うことができる。
【0024】[工程−140]次に、パターニングされた窒化シリコン層12Pを用いて半導体基板10の一部を例えばドライエッチング法で除去することにより、半導体基板10に溝部14を形成する(図3の(B)参照)。尚、ドライエッチング法により溝部14を形成する際、フォトレジスト層13Pを除去し、パターニングされた窒化シリコン層12Pをマスクとしてドライエッチングを行ってもよい。
【0025】[工程−150]次に、酸素プラズマを用いた通常のアッシング条件によりフォトレジスト層13Pを除去し、続いて、溝部14内を含む全面に絶縁層15を形成する(図4の(A)参照)。ここでは、酸化シリコンから成る絶縁層15を、例えば減圧CVD法により形成する。
【0026】[工程−160]次に、化学的/機械的研磨法(CMP法)によって、絶縁層15の上面が基体100の表面と略等しい高さとなるまで、絶縁層15を除去する。溝部14内に残存した絶縁層15の部分が、素子分離領域15Aとなる(図4の(B)参照)。窒化シリコン層12Pは、本来、研磨停止層として機能すべき層であるが、現状では、窒化シリコン層12Pもある程度の速度で研磨される研磨条件を採用せざるを得ず、よって、図4の(B)では、窒化シリコン層12Pと絶縁層15とが同時に除去されるような表現を採っている。尚、図4の(B)は、基体100上に最終的に窒化シリコン層12Pが僅かに残存した状態を示しているが、窒化シリコン層12Pは残存していなくてもよい。実際、溝部14が疎に存在する領域では、溝部14が密に存在する領域に比べて窒化シリコン層12Pの研磨速度が速いので、窒化シリコン層12Pは殆ど残らない。
【0027】[工程−170]最後に、パッド酸化膜11Pを希フッ酸水溶液を用いて除去する。このとき、パッド酸化膜11P上に残存している窒化シリコン層12Pは、パッド酸化膜11Pの除去と共に剥離される(図4の(C)参照)。
【0028】ここで、上記の窒化シリコン層12Pと従来の一般的な窒化シリコン層の特性について比較検討する。比較検討項目は、シリコンに対するドライエッチング選択比、酸化シリコンに対するCMP選択比、及び、酸化シリコンに対するウェットエッチング選択比である。シリコンに対するドライエッチング選択比は、上記[工程−140]において半導体基板10に溝部14を形成するためのドライエッチングを窒化シリコン層12Pをマスクとして行う場合に、マスクの性能(即ち、ドライエッチング耐性)を評価する指標となる。酸化シリコンに対するCMP選択比は、上記[工程−160]において、窒化シリコン層12Pの研磨停止層としての性能(即ち、CMP耐性)を評価する指標となる。結果を、下記の表1に示す。本発明で用いられる窒化シリコン層12Pは、従来の一般的な窒化シリコン層に比べ、シリコンに対するドライエッチング選択比と酸化シリコンに対するCMP選択比とが若干低下しているものの、実用性は従来の一般的な窒化シリコン層と何ら変わらないことが明らかとなった。
【0029】[表1]

【0030】(実施の形態2)実施の形態2では、第2の構成に係る半導体装置の製造方法を適用した選択酸化分離のプロセスについて、図5を参照しながら説明する。
【0031】[工程−200]図5の(A)は、基体200上に窒化シリコン層22を形成し、窒化シリコン層22上に更にフォトレジスト層23を形成し、フォトレジスト層23を選択的に露光する状態を示している。基体200は、例えばシリコン半導体基板から成る半導体基板20と、この半導体基板20の表面に対して例えばウェット酸化を行うことにより形成された厚さ約1×10-8m(10nm)のパッド酸化膜21から成る。パッド酸化膜21は、応力緩和層として機能する膜である。得られる窒化シリコン層22の波長2.48×10-7m(248nm)における複素屈折率(n+ik)は、2.6+0.62iであり、実施の形態1で得られた窒化シリコン層12と同じである。フォトレジスト層23は、実施の形態1のフォトレジスト層13と同様に形成することができる。露光は、図示しないフォトマスクを介し、波長2.48×10-7mのKrFエキシマレーザー光を用いて行う。露光光に照射されたフォトレジスト層23の部分は、露光部23Aとなる。ここでは、フォトレジスト層23をポジ型フォトレジスト材料を用いて構成しているので、露光部23Aではフォトレジスト材料の低分子化反応が進行している。
【0032】[工程−210]次に、露光後のフォトレジスト層23を現像することによって、パターニングされたフォトレジスト層23Pを得る。得られたフォトレジスト層23Pは、設計通りの寸法及び形状を有しており、従来問題となっていた底辺寸法の狭まりや、これに起因するフォトレジスト層の倒壊は一切みられない。更に、パターニングされたフォトレジスト層23Pを用いて窒化シリコン層22を例えばドライエッチング法で除去することにより、パターニングされた窒化シリコン層22Pを得る。続いて、パッド酸化膜21の表出部もドライエッチング法で除去することにより、パターニングされたパッド酸化膜21Pを得る(図5の(B)参照)。このときの窒化シリコン層22及びパッド酸化膜21のドライエッチングは、例えばマグネトロンRIE(反応性イオン・エッチング)装置とフルオロカーボン系ガスを用いて行うことができる。
【0033】[工程−220]次に、酸素プラズマを用いた通常のアッシングを行い、フォトレジスト層23Pを除去する(図5の(C)参照)。
【0034】[工程−230]次に、パターニングされた窒化シリコン層22Pを用いて半導体基板20の表出部を酸化し、半導体基板20の酸化物(ここでは酸化シリコン)から成る素子分離領域20Aを形成する(図5の(D)参照)。酸化は、通常の選択酸化条件にて行うことができる。
【0035】以上、本発明を、発明の実施の形態に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。半導体装置の構成の細部、半導体装置の製造方法における加工条件や使用した材料等の詳細事項は例示に過ぎず、適宜変更、選択、組合せが可能である。
【0036】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発明の半導体装置の製造方法によれば、窒化シリコン層上でフォトリソグラフィを行う場合であっても、露光光の波長における窒化シリコン層の複素屈折率(n+ik)の虚数部係数kが0.1以上とされているために、フォトレジスト層を透過した露光光は窒化シリコン層に概ね吸収され、フォトレジスト層に向けて余分な反射光を生じない。従って、フォトレジスト層の局部的な過剰露光が防止され、精度の高いフォトリソグラフィを行うことが可能となる。本発明は、特に、露光光として波長2.48×10-7mのエキシマレーザー光を用いた場合のフォトリソグラフィ精度の向上に顕著な効果を奏し、これによって、例えば微細な素子分離領域を精度良く形成することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成12年3月17日(2000.3.17)
【代理人】 【識別番号】100094363
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 孝久
【公開番号】 特開2001−264994(P2001−264994A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−75340(P2000−75340)