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【発明の名称】 平版印刷版用版面処理液及び処理方法
【発明者】 【氏名】黒川 博幸

【要約】 【課題】画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版の版面処理液である中和液(安定液)やエッチ液に於いて、実質的に有機溶剤を使用せずに、メルカプト基またはチオン基を有する水不溶性の化合物を安定に含有させ、かつ、低温保管中における前記化合物の析出を防止する。

【解決手段】メルカプト基又はチオン基を有する水不溶性の化合物の少なくとも一種と、下記の化1の化合物を含有することを特徴とする画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版の版面処理液。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 メルカプト基又はチオン基を有する水不溶性の化合物の少なくとも一種と、下記の化1の化合物を含有することを特徴とする画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版の版面処理液。
【化1】

式中、R1は水素原子又はC1〜C4のアルキル基、R2は水素原子、アルキル基、化2で表される基を表す。nは1〜100の整数、mは、0〜50の整数を表す。
【化2】

式中、R3は水素原子又はC1〜C4のアルキル基を表す。
【請求項2】 前記版面処理液を、現像処理後の中和安定液として用いる画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版の処理方法。
【請求項3】 現像処理後の中和安定処理が塗布機構を有する処理方式である請求項2記載の平版印刷版の処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版の版面処理液に関する。詳しくは、中和液(安定液)や感脂化液(エッチ液)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高い感度を有し、かつスペクトル増感できるハロゲン化銀乳剤を用いた印刷版は、既にいくつかの形で実用化されている。そのうち銀画像をインキ受理性にして利用するオフセット印刷版としては、米国特許第3721559号、同第3490905号、特公昭48−30562号、米国特許第3385701号、同第3814603号、特公昭44−27242号、特開昭53−21602号、米国特許第3454398号、同第3764323号、同第3099209号、特開昭53−9603号などがある。
【0003】これらは印刷版の製造方法としては、いくつかのタイプに大別されるけれども、画像銀をインキ受理性にする点に於いては共通するものである。平版印刷版は、親油性のインキを受理する画線部分と親水性で水を受理する非画線部分とから構成される。従って、通常の平版印刷は水とインキの両方を版面に供給し、画線部分は着色性のインキを、非画線部分は水を選択的に受け入れ、該画線上のインキを例えば紙などの基質に転写させることによってなされる。
【0004】良好な印刷物を得るためには、画線部分と非画線部分の表面の親油性及び親水性の差が十分に大きいことが要求される。
【0005】前述のハロゲン化銀乳剤を用いた印刷版の製版法は、簡便、確実及び迅速であり、自動化することが出来、高い感度、高い解像力、高い画像再現性という特徴を有しているが、ジアゾ感光材料等の有機コロイドから現実化されている印刷版(PS版)等に比べて、画像部分と非画像部分との親油性及び親水性の差が十分に大きいものではなかった。
【0006】かかる欠点を克服するために、特公昭48−29723号、特開昭58−127928号、同平2−103185、同平2−103187、同平2−251490、同平2−254454、同平2−284146号等に、メルカプト基またはチオン基を有する水不溶性の化合物を印刷する前に銀画像に作用しインキ受理性を良くすることが示されている。すなわち、該化合物のメルカプト基またはチオン基が画像銀に吸着し同化合物の疎水性部分が画像銀を覆い画線部分と非画線部分との親油性及び親水性の差が相対的に大きくなるものと考えられている。
【0007】一般に、画像銀をインキ受理性とするDTR平版印刷材料は、印刷版を作成するに際し、画像露光後、高pH(pH13以上)で現像するため、現像後、平版印刷版の版面を中和、安定化させる必要があり、中性から弱酸性の中和液が用いられている。
【0008】この中和安定後、前記したように銀画像部を感脂化させるためにメルカプト基またはチオン基を有する化合物を含有する感脂化液(エッチ液)で処理していた。
【0009】メルカプト基またはチオン基を有する化合物は、一般に、アルカリ溶液または有機溶剤で溶解するが、中性、弱酸性水溶液には溶解しないため、エッチ液には有機溶剤で溶解し添加していた。
【0010】近年、画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版の大版化にともない、印刷機に版を掛け印刷前に感脂化液(エッチ液)でエッチングすることが作業的にやりにくい状態にあり、現像処理後の中和液にも感脂化機能を持たせ、上記感脂化液(エッチ液)の省略、または、エッチ液との併用による感脂化力アップという試みがなされている。
【0011】しかしながら、メルカプト基またはチオン基を有する化合物を中性から弱酸性の中和液やエッチ液に溶解させるために、従来から用いられるエチルアルコ−ルやイソプロピルアルコール等の有機溶剤の使用は環境上、安全衛生上の問題があり好ましくない。特に中和液においては有機溶剤は、処理装置内で蒸発しメルカプト基またはチオン基を有する化合物が析出しやすくなるという問題がある。
【0012】上記問題を解決するために、特開平6−79982、同平7−248630号にアミン化合物を用いて、版面処理液中にメルカプト基またはチオン基を有する化合物を溶解し含有させる方法が開示されている。
【0013】しかしながら、上記方法でメルカプト基またはチオン基を有する化合物を溶解した版面処理液は、メルカプト基またはチオン基を有する化合物の溶解安定性が低いことに起因する新たな問題が発生した。すなわち、該処理液の保管中、特に冬時期の低温で保管した場合、メルカプト基またはチオン基を有する化合物が析出するという問題が生じた。この析出物は温度を上げても容易に再溶解しないという厄介なものであった。
【0014】一方、製版に用いられる現像、中和処理方式はタンクに多量の処理液を貯溜する浸漬処理方式が従来から一般的に用いられているが、近年、環境対応(廃液量の減少)や処理装置のメンテナンス性向上等が求められており、少量の処理液で処理できる塗布処理方式が開発されている。
【0015】この塗布処理方式は、感光材料の感光面に処理に必要な量の処理液を塗布するもので、例えば、特開昭48−76603、同平4−307245、同平6−27682、同平7−175219号公報等に記載されている。これらの中でも特にワイヤーバー等を用いたローラ塗布方式は、一定量の塗布量に計量することが可能であり好ましい。
【0016】しかしながら、これらの塗布処理方式に前記したメルカプト基またはチオン基を有する化合物を含有する中和液を用いたとき、塗布ローラ等にメルカプト基またはチオン基を有する化合物が析出するという問題が生じた。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版の版面処理液である中和液(安定液)や感脂化液(エッチ液)に於いて、実質的に有機溶剤を使用せずに、メルカプト基またはチオン基を有する水不溶性の化合物を安定に含有させることであり、特に低温保管中におけるのメルカプト基またはチオン基を有する化合物の析出を防止し、該化合物の溶解状態を安定に保つことによって、高いインキ受理性を安定に維持させることである。本発明の他の目的は、塗布機構を有する塗布処理方式に好適な中和安定液を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、メルカプト基又はチオン基を有する水不溶性の化合物の少なくとも一種と、下記の化3の化合物を含有することを特徴とする画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版の版面処理液によって達成された。
【0019】
【化3】

【0020】式中、R1は水素原子又はC1〜C4のアルキル基、R2は水素原子、アルキル基、化4で表される基を表す。nは1〜100の整数、mは、0〜50の整数を表す。
【0021】
【化4】

【0022】式中、R3は水素原子又はC1〜C4のアルキル基を表す。
【0023】上記化3の化合物を含有することにより、画像部のインキ受理性は損なわずに、処理液中でのメルカプト基またはチオン基を有する水不溶性の化合物の溶解状態を安定に保つことができ、版面処理液の安定性を高め、平版印刷版に安定したインキ受理性をもたせることができた。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明において、インキ受理性能を向上させるために用いられる化合物は、メルカプト基またはチオン基を有する水不溶性の化合物である。本発明において、好ましくは炭素数が3個以上のアルキル基、アルケニル基またはアリール基等の親油性基を有する化合物であり、例えば、特公昭48−29723号、特開昭58−127928号等に記載されている。
【0025】本発明のメルカプト基またはチオン基を有する水不溶性の化合物の代表例として、次の化5に示される一般式を有するものが好ましく用いられる。
【0026】
【化5】

【0027】(式中のR1、R3は炭素数3以上、好ましくは3〜12のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基で、R2は水素、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基を表す。m、nは1以上の整数を表すが、R2が炭素数3以上のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基の場合は、nは0であってもよい。Zは、式中のN、Cと共に5ないし6員環を形成するのに必要な結合の残りの原子団を示す。)
【0028】5ないし6員環の具体的な例としては、イミダゾール、イミダゾリン、チアゾール、チアゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、ピラゾリン、トリアゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等であり、又これらの環は2個以上の縮合生成した環であってもよく、ベンゼン環やナフタリン環と縮合したものであってもよい。
【0029】係る化合物の具体例としては、2−メルカプト−4−フェニルイミダゾール、2−メルカプト−1−ベンジルイミダゾール、2−メルカプト−1−ブチル−ベンズイミダゾール、1,3−ジベンジル−イミダゾリジン−2−チオン、2−メルカプト−4−フェニルチアゾール、3−ブチル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、3−ドデシル−ベンゾチアゾリン−2−チオン、2−メルカプト−4,5−ジフェニルオキサゾール、3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオン、1−フェニル−3−メチルピラゾリン−5−チオン、3−メルカプト−4−アリル−5−ペンタデシル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−5−ノニル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アセタミド−5−ヘプチル−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−4−アミノ−5−ヘプタデシル−1,2,4−トリアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサチアゾール、2−メルカプト−5−nヘプチル−オキサジアゾール、2−メルカプト−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−ヘプタデシル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、5−メルカプト−1−フェニル−テトラゾール、3−メルカプト−4−メチル−6−フェニル−ピリダジン、2−メルカプト−5,6−ジフェニル−ピラジン、2−メルカプト−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−アミノ−4−メルカプト−6−ベンジル−1,3,5−トリアジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】本発明に用いられるメルカプト基またはチオン基を有する化合物の使用量は、版面処理液1l当り0.01〜10gであるが、好ましくは0.02〜5gの範囲で添加する。
【0031】本発明に用いられるメルカプト基またはチオン基を有する化合物を水を主体とする中性から弱酸性(pH5〜7)の版面処理液に溶解する方法は、例えば、アルカリ溶液で溶解しpHを調節する方法、アミン化合物による方法、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤による方法等、種々考えられるが、好ましくはアミン化合物による方法であるが、これらに限定されるものではない。前記したごとく、本発明において、有機溶剤、特に低沸点(100℃以下)の有機溶剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール等は実質的に用いないが、安全上問題のない程度(危険物に該当しない程度)、例えば処理液に対して20%以下、特に10%以下の量を用いた場合でも本発明は効果的に働く。
【0032】上記アミン化合物は、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン等のアミノアルコール類、プロピルアミン、ブチルアミン等のモノアミン類、ジメチルアミノエチルアミン等のジアミン類、N−アミノプロピルプロパンジアミン等のポリアミン類及びピリジンやピペリジン等の環状アミン等である。好ましくはアミノアルコール類である。これらのアミン化合物は日本乳化剤(株)、広栄化学工業(株)等から入手することが出来る。
【0033】本発明に用いられるアミン化合物は、前記のメルカプト基またはチオン基を有する化合物に対して重量比で1:1〜100:1、好ましくは1:1〜50:1の範囲の割合で添加する。その後該混合溶液に必要に応じてその他化合物等を添加することによって調製する。
【0034】本発明において、上記のように溶解されたメルカプト基またはチオン基を有する化合物の溶解安定性を向上させるために、化3の化合物を含有する。
【0035】これらの化合物が、中性から弱酸性の中和液や感脂化液の溶液中で、メルカプト基またはチオン基を有する水不溶性の化合物の溶解状態を極めて安定に保ち、低温条件下での析出を防止することは予想外の発見であった。
【0036】これらの化合物の具体例を以下に示す。これらの化合物は、各メーカーより市販されており、容易に入手することができる。これらの化合物は、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0037】
【化6】

【0038】
【化7】

【0039】
【化8】

【0040】
【化9】

【0041】
【化10】

【0042】この化合物の含有量は、約0.1重量%から20重量%が適当であり、メルカプト基またはチオン基を含有する化合物に対して約1から100倍(重量比)の組み合せが好ましい。
【0043】版面処理液には、特開平9−240162、同平9−27737に記載されている、(1)カルボキシル基を有する数平均分子量約2万以下の水溶性重合体、(2)芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、(3)ポリオキシエチレン基を有するアニオン界面活性剤または、(4)有機のジスルフィド化合物等を含有することができる。
【0044】版面処理液には、上記の化合物以外にも一般に使われている緩衝剤、保恒剤、保存剤、湿潤剤及び界面活性剤等を混合することができる。例えば、緩衝剤にはりん酸、硫酸等の無機酸、コハク酸、クエン酸等の有機酸を用いることが出来るが、好ましくはりん酸である。りん酸は、正りん酸、メタりん酸、ポリりん酸、それらの塩になっていてもよい。保恒剤としては、亜硫酸塩、重亜硫酸塩等がある。更に、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸等の錯化剤も混合することができる。又、コロイダルシリカ等の無機の微粒子もメルカプト基等を有する化合物の作用を阻害しない範囲で混合することが出来る。
【0045】本発明において、前記版面処理液は、感脂化液または中和安定液として用いられる。中和安定液として用いる場合は、保存経時での安定性はもちろんのこと、実際の製版処理において、塗布機構を有する塗布処理方式で効果を発揮する。
【0046】即ち、塗布部を構成する部材、例えば塗布ローラ等に、メルカプト基またはチオン基を有する水不溶性の化合物の析出が、従来の有機溶剤で溶解した中和液または、アミン化合物のみで溶解した中和液に比べ、顕著に減少する。
【0047】本発明において、塗布機構を有する処理装置は、前記した如く特開平4−307245、同平6−27682、同平7−175219号公報に記載の塗布ローラを有する装置が挙げられる。これらの装置は現像処理と中和安定化処理を連続的に行うものであり、本発明においても現像処理及び中和処理を塗布機構を有する処理方式で行うのが好ましい。
【0048】画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版について、ハロゲン化銀乳剤は印刷原版そのものに有しても、あるいは銀拡散転写法によって受像層を有する印刷原版シートに対する銀供給源として、別のネガシート上に有していてもよい。
【0049】該ハロゲン化銀乳剤は、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀及びこれらにヨウ化物を含んだもののいずれでもよく、このバインダーはゼラチンが好ましいが、ゼラチンの一部又は全部を他のコロイド物質、例えばカゼイン、アルブミン、セルロース誘導体等で置換されてもよい。ハロゲン化銀は硝酸銀に換算して0.5−7g/m2、バインダーは0.5−10g/m2の範囲で通常使用することが出来る。
【0050】ハロゲン化銀乳剤の製造法は、通常の写真業界で公知の方法で製造することが出来、特に印刷版に使用する為の製法も既述の公知特許文献中に開示されているので参考にすることが出来る。
【0051】本発明に用いる平版印刷版は、一般に画像露光後アルカリ現像液で処理される。係る現像液は、ハイドロキノンのごとき現像主薬を含む通常の写真現像液、ハイポ等を含む銀拡散転写法の現像液あるいはそれらをアクチベーター化した高アルカリ現像液等いかなるものでも使用することが出来る。
【0052】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明するが、勿論これだけに限定されるものではない。
【0053】実施例1下引き処理したポリエステルフィルム支持体の片面に平均粒子サイズ5μのシリカ粒子を含有するマット化層を設け、反対側の面に光反射率が3%になる量のカーボンブラックを含み、写真用ゼラチンに対して20重量%の平均粒径3.5μのシリカ粉末を含むハレーション防止用下塗り層(pH4に調整)と、化学増感された後に平均粒径3.5μのシリカ粉末を写真用ゼラチンに対して5重量%の割合で含む緑感域にスペクトル増感された高感度塩化銀乳剤(pH4に調整)とを設けた。
【0054】下塗り層のゼラチンは3.5g/m2、乳剤層のゼラチンは0.8g/m2、硝酸銀に換算したハロゲン化銀1.0g/m2の割合で塗布された。この下塗り層と乳剤層は硬膜剤としてホルマリンをゼラチンに対して5.0mg/gゼラチン量で含んでいる。乾燥後40℃で5日間加熱した後、この乳剤層の上に、特開昭54−103104号公報の実施例2のプレートNo.31記載の核塗液を塗布、乾燥し、平版印刷版を製造する。ハロゲン化銀乳剤は、物理熟成時にハロゲン化銀1モル当たり4×10-6モルの塩化ロジウムを添加したものであり、平均粒径0.4ミクロンであった。
【0055】この様にして得られた平版印刷版の原版に像反転機構を有する製版カメラで像露光し、下記の現像液(使用液)により30℃で30秒間現像処理した。
<現像液>水酸化ナトリウム 24g水酸化カリウム 8g無水亜硫酸ナトリウム 50g2-メチル-2-アミノ-1-フ゜ロハ゜ノール 30gメルカプト化合物 0.2g水で1lとする。メルカプト化合物は2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサジアゾールである。
【0056】上記の現像処理後、下記に示すような中和液(安定液)のフレッシュ液(作成直後)で常温で20秒間処理をおこなった。また下記の中和液(安定液)をポリ容器に入れ、5℃で1カ月の経時試験をおこない、同様の処理を行い、印刷試験とメルカプト化合物の析出の有無を調べた。現像及び中和安定化処理は三菱製紙(株)社製の製版カメラプロセッサーCP−286S(浸漬現像方式)を用いた。
【0057】<中和液>リン酸 1.2g第一リン酸ナトリウム 25g無水亜硫酸ナトリウム 2.5gエチレングリコール 5gメルカプト化合物 0.2gジエタノールアミン 5g化合物A 0.2g水で1lとする。
(pH6に調整)
メルカプト化合物と化合物Aの組み合せは、表1の通りである。
【0058】以上の操作により作成した印刷版をオフセット印刷機にセットし、印刷機にリョービ3200CD(RYOBI社製オフセット印刷機の商標)、インキは、AB−Dick3−1012墨インキ、給湿液にOD30(三菱製紙社製給湿液)を使用し、水道水でエッチングを行い、印刷を行った。
【0059】
【表1】

【0060】表中のSH1は2−メルカプト−5−n−ヘプチル−オキサジアゾール、SH2は3−ペンチル−ベンゾオキサゾリン−2−チオンである。
【0061】インキ受理性の評価は、版面にインキを接触させると同時に紙を送り始め、良好な画像濃度で濃度ムラのない印刷物が得られるまでの印刷枚数として評価した。印刷結果と経時試験の結果を表2に示した。
【0062】
【表2】

【0063】本発明の実施態様によれば、インキ受理性を損なわずに、経時性の優れた中和液が得られた。
【0064】実施例2実施例1の現像液及び以下の中和液を用い実施例1と同様に処理を行い印刷版を作成した。
<中和液>リン酸 1.2g第一リン酸ナトリウム 25gエチレングリコール 5g水で1lとする。
(pH6に調整)
【0065】上記のようにして作成した印刷版を、以下に示す感脂化液(エッチ液)でエッチングを行い、実施例1と同様の印刷試験を行った。また、エッチ液の経時試験も実施例1と同様に行い、経時後の液にてエッチングを行い同様の印刷試験を行った。
【0066】〈エッチ液〉りん酸一ナトリウム 15gコロイダルシリカ(20%溶液) 10gメルカプト化合物 0.5gジエタノールアミン 10g化合物A 0.5g水で1lとする。
(pH6に調整)
【0067】メルカプト化合物及び化合物Aの組合せは、実施例1に準じる。印刷結果及び低温経時での析出状態は、実施例1とほぼ同じ結果が得られ、本発明の効果が証明された。
【0068】実施例3塗布機構を有する処理装置として、特開平7−175219号記載の装置を作成した。平版印刷版、現像液及び中和安定液は実施例1と同じものを用いた。版サイズ254×400mmを10枚づつ、10分間の間隔で10回処理した時のローラへの析出物を観察した。その結果、比較2、3の中和液を用いた場合、かなりの析出物があったが、本発明の中和液を用いた場合は、ほとんど析出物は観察されなかった。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、画像銀をインキ受理性として利用する平版印刷版の版面処理液において、メルカプト基またはチオン基を有する水不溶性の化合物を安定に含有させることが可能になり、低温保管での析出を防止できる。これによって、常に安定したインキ受理性を得ることができる。また、該版面処理液を中和液として、塗布機構を有する処理方式に適用した場合、塗布ローラへの析出物の付着が防止できる。
【出願人】 【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
【出願日】 平成12年3月15日(2000.3.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−264988(P2001−264988A)
【公開日】 平成13年9月28日(2001.9.28)
【出願番号】 特願2000−71375(P2000−71375)