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【発明の名称】 熱現像画像記録材料
【発明者】 【氏名】久保 利昭

【要約】 【課題】寸法安定性が良好で、アンチハレーション効果が優れており、支持体での反射分を十分に吸収することができるために高画質画像を形成することができる熱現像画像記録材料を提供すること。

【解決手段】支持体の一方面上に少なくとも1層の画像形成層と露光波長での吸光度が0.3〜1.8であるアンチハレーション層を有することを特徴とする熱現像画像記録材料。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体の一方面上に少なくとも1層の画像形成層と露光波長での吸光度が0.3〜1.8であるアンチハレーション層を有することを特徴とする熱現像画像記録材料。
【請求項2】 前記アンチハレーション層が導電性金属酸化物粒子を含むことを特徴とする請求項1の熱現像記録材料。
【請求項3】 前記支持体の両面上に防水層を有することを特徴とする請求項1または2の熱現像記録材料。
【請求項4】 最外層が含フッ素界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの熱現像画像記録材料。
【請求項5】 最外層が滑り剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの熱現像画像記録材料。
【請求項6】 前記画像形成層が有機銀塩と還元剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかの熱現像画像記録材料。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像再現性が良く、寸度安定性の優れた熱現像記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年印刷分野において環境保全、省スペースの観点から処理廃液の減量が強く望まれている。そこで、従来のような現像、定着、水洗といった工程を経ることの無い記録材料が求められている。熱現像により画像を形成する方法が、例えば米国特許第3,152,904号明細書、同3,457,075号明細書、およびD.クロスタボーア(Klosterboer)による「熱によって処理される銀システム(Thermally Processed SilverSystems)A」(イメージング・プロセッシーズ・アンド・マテリアルズ(Imaging Processes and Materials)Neblette 第8版、J.スタージ(Sturge)、V.ウォールワーズ(Walworth)、A.シェップ(Shepp)編集、第9章、第279頁、1989年)に記載されている。このような感光材料は、還元可能な非感光性の銀源(例えば有機銀塩)、触媒活性量の光触媒(例えばハロゲン化銀)、および銀の還元剤を通常有機バインダーマトリックス中に分散した状態で含有している。感光材料は常温で安定であるが、露光後高温(例えば、80℃以上)に加熱した場合に、還元可能な銀源(酸化剤として機能する)と還元剤との間の酸化還元反応を通じて銀を生成する。この酸化還元反応は露光で発生した潜像の触媒作用によって促進される。露光領域中の還元可能な銀塩の反応によって生成した銀は黒色画像を提供し、これは非露光領域と対照をなし、画像の形成がなされる。
【0003】このような方式に基づく熱現像記録材料は、モノシートでかつ、熱処理のみで画像が形成されると言う利点があるため各分野で応用が期待されている。しかしながら、印刷用途に使用した場合、熱現像方式を用いた画像記録材料は80〜150℃で熱現像されることが多いため、従来の写真感光材料の様にバインダーにゼラチンを使用すると、ゼラチンの収縮により寸度が大きく変化してしまう。このような熱現像時の寸度の変化は、加熱により収縮しないポリマーバインダーを使用することによって解決することができる。ところが、熱現像時の加熱により支持体内の水分がなくなった後、室内に放置されることにより時間と共に支持体が吸湿して、寸度が変化するという問題を生じている。一方、近年では画像記録材料への書き込み精度が高くなり、高精細の書き込みが可能となったことから、アンチハレーション効果が従来のものでは不十分であること判り、改良が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来技術の問題点に鑑みて、本発明は、寸法安定性が良好で、アンチハレーション効果が優れており、支持体での反射分を十分に吸収することができるために高画質画像を形成することができる熱現像画像記録材料を提供することを課題とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、露光波長に対する吸光度が特定の範囲内にあるアンチハレーション層を画像形成層側に設けることにより優れた熱現像画像記録材料を提供しうることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、支持体の一方面上に少なくとも1層の画像形成層と露光波長での吸光度が0.3〜1.8であるアンチハレーション層を有することを特徴とする熱現像画像記録材料を提供する。なお、本明細書において、「〜」はその前後に記載される数値を含む範囲である。本発明の熱現像画像記録材料を構成するアンチハレーション層は導電性金属酸化物粒子を含むことが好ましい。また、支持体の両面上には防水層を有することが好ましい。本発明の熱現像画像記録材料の最外層は含フッ素界面活性剤や滑り剤を含むことが好ましい。また、画像形成層は有機銀塩と還元剤を含むことが好ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】以下において、本発明の熱現像画像記録材料について詳細に説明する。本発明の熱現像画像記録材料は、支持体の一方面上に少なくとも1層の画像形成層を有する熱現像画像記録材料である。その特徴は、画像形成層と同じ側の支持体面上に露光波長での吸光度が0.3〜1.8であるアンチハレーション層を有する点にある。このような特徴を有する本発明の熱現像画像記録材料は、寸法安定性が良好で、アンチハレーション効果が優れている。このため、支持体での反射分を十分に吸収することができて、高画質な画像を形成することができる。
【0007】本発明の熱現像画像記録材料を構成するアンチハレーション層は、当該熱現像画像記録材料を露光する際に使用する波長の吸光度が0.3〜1.8であるものであれば、層を構成する成分や組成は特に制限されない。一般に、露光波長に吸収を有する染料をアンチハレーション層に含有させる。染料の種類は、露光波長に吸収を有するものであれば特に制限されないが、熱現像後に可視光、紫外光をできる限り吸収しない染料を用いることが好ましい。特に、この用途では特開平11‐223898号公報の段落番号[0036]〜[0041]に記載されている染料が好ましく用いられる。また、特開平10‐20437号公報の段落番号[0020]〜[0100]に記載された熱により消色する機構をもつ染料も好ましく用いられる。
【0008】本発明の熱現像画像記録材料を構成するアンチハレーション層は、熱現像時の寸度変化の点からゼラチンの使用量は出来るだけ少ない方がよい。通常は、200mg/m2以下にすることが必要である。ゼラチンを減らすことにより生ずる膜強度の低下は、ポリマーラテックスもしくは高分子ポリマーの添加で補うことができる。これらのバインダーの使用量は、全バインダーの20%〜100%で、好ましくは30%〜95%である。
【0009】本発明の熱現像画像記録材料を構成するアンチハレーション層は、導電性金属酸化物粒子を含むことが好ましい。本発明で用いられる導電性金属酸化物粒子としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In22、MgO、BaO、V210およびMoO2ならびにこれらの複合酸化物、そしてこれらの金属酸化物にさらに異種原子を含む金属酸化物の粒子を挙げることができる。金属酸化物としては、SnO2、ZnO、Al23、TiO2、In22、およびMgOが好ましく、さらに、SnO2、ZnO、In22およびTiO2が好ましく、SnO2が特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiO2に対してNbあるいはTa、In22に対してSn、およびSnO2に対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01〜30mol%(好ましくは0.1〜10mol%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が、0.01mol%未満の場合は酸化物または複合酸化物に充分な導電性を付与することができにくくなり、30mol%を超えると粒子の黒化度が増し、帯電防止層が黒ずんでしまう傾向がある。従って、本発明では導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物または複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。上記異種原子を少量含む導電性金属酸化物微粒子としては、アンチモンがドープされたSnO2粒子が好ましく、特にアンチモンが0.2〜2.0mol%ドープされたSnO2粒子が好ましい。
【0010】本発明に用いる導電性金属酸化物の形状については特に制限はなく、粒状、針状等が挙げられる。また、その大きさは、球換算径で表した平均粒径として0.5〜25μmであることが好ましい。透明性の点では、導電性金属酸化物の形状は針状が好ましい。具体的には、米国特許第5,575,957号明細書、特開平11−223901号公報の段落番号[0012]〜[0020]に記載のアンチモンでドーピングされた針状導電性酸化スズ、特開平4−29134号公報に記載のアンチモンでドーピングされた繊維状酸化スズが挙げられる。
【0011】本発明の熱現像画像記録材料は、支持体の両面上に防水層を有することが好ましい。防水層は、特開昭64−20544号公報、特開平1−180537号公報、特開平1−209443号公報、特開平1−285939号公報、特開平1−296243号公報、特開平2−24649号公報、特開平2−24648号公報、特開平2−184844号公報、特開平3−109545号公報、特開平3−137637号公報、特開平3−141346号公報、特開平3−141347号公報、特開平4−96055号公報、米国特許第4,645,731号明細書、特開平4−68344号公報、登録第2,557,641号明細書P2右欄20行目〜P3右欄30行目、特開平12−39684号公報の段落番号[0020]〜[0037]、特願平11−106881号明細書の段落番号[0063]〜[0080]に記載の塩化ビニリデン単量体の繰り返し単位を70質量%以上含有する塩化ビニリデン共重合体で形成されていることが好ましい。
【0012】塩化ビニリデン単量体が70質量%未満の場合は、十分な防湿性が得られず、熱現像後の時間経過における寸法変化が大きくなってしまう傾向がある。また、塩化ビニリデン共重合体は、塩化ビニリデン単量体のほかの構成繰り返し単位としてカルボキシル基含有ビニル単量体の繰り返し単位を含むことが好ましい。このような構成繰り返し単位を含ませるのは、塩化ビニル単量体のみでは、重合体(ポリマー)が結晶化してしまい、防湿層を塗設する際に均一な膜を作り難くなり、また重合体(ポリマー)の安定化のためにはカルボキシル基含有ビニル単量体が不可欠であるからである。本発明で用いる塩化ビニリデン共重合体の分子量は、質量平均分子量で45000以下、さらには10000〜45000が好ましい。
【0013】塩化ビニリデン共重合体の含有量は、塩化ビニリデン共重合体を含有する防水層の片面当たりの合計膜厚として0.3μm以上であり、好ましくは0.3μm〜4μmの範囲である。なお、本発明の防水層は、通常は片面ごとに1層ずつ設けられるが、場合によっては2層以上設けてもよい。2層以上の多層構成とするときは、塩化ビニリデン共重合体量が合計で本発明の範囲となるようにすればよい。このような層には塩化ビニリデン共重合体のほか、架橋剤やマット剤、界面活性剤などを含有させてもよい。特に、含フッ素界面活性剤は、塗布性を良化させる上で有効である。
【0014】本発明の熱現像画像記録材料の最外層には、バインダーとして、よく知られている天然または合成樹脂(例えば、ゼラチン、ポリビニルアセタール、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテート、セルロースアセテート、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネートなど)、ポリマーラテックスから任意のものを選択して用いることができる。好ましいバインダーは、ポリビニルブチラール、酢酸酪酸セルロース、メタクリレートコポリマー、無水マレイン酸エステルコポリマー、ポリスチレン、ブタジエン−スチレンコポリマー及びポリマーラテックスである。必要に応じて、これらのバインダーを2種またはそれ以上組合せて使用することができる。
【0015】また、本発明の最外層に用いるバインダーは、ポリマーラテックスを全バインダーの50質量%以上含有することが好ましい。ただしここで言う「ポリマーラテックス」とは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。なお本発明のポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などに記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。本発明のポリマーラテックスは通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。本発明のポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は−30℃〜120℃、より好ましくは0℃〜90℃程度が好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
【0016】本発明のポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋されたポリマーでも良い。またポリマーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでも良いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでも良い。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリマーでも良い。ポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜100000程度か好ましい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは製膜性が悪く好ましくない。本発明に用いられるポリマーラテックスのポリマーは25℃相対湿度60%での平衡含水率が2質量%以下、より好ましくは1質量%以下のものであることが好ましい。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」などを参考にすることができる。
【0017】本発明のバインダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例としては以下のようなものがある。メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/2エチルヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスなど。また、このようなポリマーは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。例えばアクリル樹脂の例として、セビアンA−4635,46583、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol Lx811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)、ジュリマーET‐410(以上日本純薬(株)製)など、ポリエステル樹脂としては、ペスレジンA515G、A615G(以上高松油脂(株)製)、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上イーストマンケミカル製)、バイロン200、103、300、500、600(東洋紡(株)製)など、ポリウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、 Nipol Lx416、410、438C、2507、(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL502、L513(以上旭化成工業(株)製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いても良い。
【0018】本発明の最外層は全バインダーの50質量%以上が上記ポリマーラテックスであることが好ましく、70質量%以上が上記ポリマーラテックスであることがより好ましい。本発明の最外層には必要に応じて全バインダーの30質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加しても良い。これらの親水性ポリマーの添加量は最外層の全バインダーの15質量%以下が好ましい。
【0019】本発明の熱現像画像記録材料の最外層には、界面活性剤として含フッ素界面活性剤を使用することが好ましい。これにより塗布面状が向上する。含フッ素界面活性剤としては、炭素数4以上(通常15以下)のフルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、またはフルオロアリール基を有し、イオン性基としてアニオン基(スルホン酸(塩)、硫酸(塩)、カルボン酸(塩)、リン酸(塩))、カチオン基(アミン塩、アンモニウム塩、芳香族アミン塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩)、ベタイン基(カルボキシアミン塩、カルボキシアンモニウム塩、スルホアミン塩、スルホアンモニウム塩、ホスホアンモニウム塩、)またはノニオン基(置換、無置換のポリオキシアルキレン基、ポリグリセリル基またはソルビタン残基)を有する界面活性剤が挙げられる。
【0020】これらの含フッ素界面活性剤は特開昭49−10722号公報、英国特許第1,330,356号明細書、米国特許第4,335,201号明細書、同4,347,308号明細書、英国特許第1,417,915号明細書、特開昭55−149938号公報、同58−196544号公報、英国特許第1,439,402号明細書などに記載されている。含フッ素界面活性剤の添加層は特に制限されないが、画像形成層側の最外層あるいは反対側の最外層などとすることが好ましい。これらは1種のみ用いても2種以上併用してもよく、その添加量は両面合計で0.001〜0.1g/m2であることが好ましい。
【0021】本発明の熱現像画像記録材料の最外層は、滑り剤を含むことが好ましい。本発明における滑り剤とは、特に制限はなく物体表面に存在させた時に、存在させない場合に比べて物体表面の摩擦係数を減少させる化合物であればいずれでもよい。本発明に用いられる滑り剤としては、特開平11−84573号公報段落番号[0061]〜[0064]、特願平11−106881号明細書段落番号[0049]〜[0062]に記載の化合物を挙げることができる。好ましい滑り剤の具体例としては、セロゾール524(主成分カルナバワックス)、ポリロンA,393,H−481(主成分ポリエチレンワックス)、ハイミクロンG−110(主成分エチレンビスステアリン酸アマイド)、ハイミクロンG−270(主成分ステアリン酸アマイド)(以上、中京油脂(株)製)
W‐1 C1633‐O‐SO3NaW‐2 C1837‐O‐SO3NaW‐3 C1225‐O‐SO3NaW‐4 C1429‐SO3Naなどがある。滑り剤の使用量は添加層のバインダー量の0.1〜50質量%であり、好ましくは0.5〜30質量%である。
【0022】本発明の熱現像画像記録材料には有機銀塩を用いることができる。本発明で用いることのできる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、80℃或いはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は銀イオンを還元できる源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に(炭素数が10〜30、好ましくは15〜28の)長鎖脂肪カルボン酸の銀塩が好ましい。配位子が4.0〜10.0の範囲の錯体安定度定数を有する有機または無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜70質量%を構成することができる。好ましい有機銀塩はカルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を含む。これらの例は、脂肪族カルボン酸の銀塩および芳香族カルボン酸の銀塩を含むがこれらに限定されることはない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀及び樟脳酸銀、これらの混合物などを挙げることができる。
【0023】本発明においては、上記に挙げられる有機酸銀ないしは有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含有率75mol%以上の有機酸銀を用いることが好ましく、ベヘン酸銀含有率85mol%以上の有機酸銀を用いることがさらに好ましい。ここでベヘン酸銀含有率とは、使用する有機酸銀に対するベヘン酸銀のモル分率を示す。本発明に用いる有機酸銀中に含まれるベヘン酸銀以外の有機酸銀としては上記に挙げた物を好ましく用いることができる。本発明に好ましく用いられる有機酸銀は、上記に示した有機酸のアルカリ金属塩(Na塩、K塩、Li塩等が挙げられる)溶液または懸濁液と硝酸銀を反応させることで調製される。これらの調製方法については、特願平11‐104187号明細書の段落番号[0019]〜[0021]に記載の方法を用いることができる。
【0024】本発明においては、密閉した液体を混合する手段の中に硝酸銀水溶液及び有機酸アルカリ金属塩溶液を添加することにより有機酸銀を調製する方法を好ましく用いることができる。これらの調製方法については、特願平11‐203413号明細書に記載の方法を用いることができる。本発明においては有機酸銀の調製時、用いる硝酸銀水溶液及び有機酸アルカリ金属塩溶液、あるいは反応液には水可溶な分散剤を添加することができる。用いられる分散剤の種類および使用量の具体的な例は、特願平11‐115457号明細書の段落番号[0052]に記載されている。
【0025】本発明に用いる有機酸銀は第3アルコールの存在下で調製されることが好ましい。第3アルコールとしては好ましくは総炭素数15以下の物が好ましく、10以下が特に好ましい。好ましい第3アルコールの例としては、tert‐ブタノール等が挙げられるが、本発明はこれに限定されない。本発明に用いられる第3アルコールの添加時期は有機酸銀調製時のいずれのタイミングでも良いが、有機酸アルカリ金属塩の調製時に添加して、有機酸アルカリ金属塩を溶解して用いることが好ましい。また、本発明の第3アルコールの使用量は有機酸銀調製時の溶媒としての水に対して質量比で0.01〜10の範囲で任意に使用することができるが、0.03〜1の範囲が好ましい。
【0026】本発明に用いることができる有機銀塩の形状やサイズは特に制限はないが、特願平11‐104187号明細書の段落番号[0024]に記載のものを用いることができる。有機銀塩の形状の測定方法としては有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像より求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下である。測定方法としては例えば液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。この測定法での平均粒子サイズとしては0.05μm〜10.0μmの固体微粒子分散物が好ましい。より好ましくは平均粒子サイズ0.1μm〜5.0μm、更に好ましくは平均粒子サイズ0.1μm〜2.0μmである。
【0027】本発明に用いることのできる有機銀塩は、好ましくは脱塩をすることができる。脱塩を行う方法としては特に制限はなく公知の方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いることができる。限外濾過の方法については、特願平11‐115457号明細書に記載の方法を用いることができる。本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小さく、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画像形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実質的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降下させる分散法を用いることが好ましい。これらの分散方法については特願平11‐104187号明細書の段落番号[0027]〜[0038]に記載の方法を用いることができる。
【0028】本発明で用いる有機銀塩固体微粒子分散物の粒子サイズ(体積荷重平均直径)は、例えば液中に分散した固体微粒子分散物にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積荷重平均直径)や透過型電子顕微鏡像から求めることができる。平均粒子サイズ0.05μm〜10.0μmの固体微粒子分散物が好ましい。より好ましくは平均粒子サイズ0.1μm〜5.0μm、更に好ましくは平均粒子サイズ0.1μm〜2.0μmである。本発明の有機銀塩固体微粒子分散物の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。具体的には、体積荷重平均直径の標準偏差を体積荷重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下である。
【0029】本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物は、少なくとも有機銀塩と水から成るものである。有機銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有機銀塩の全体に占める割合は5〜50質量%であることが好ましく、特に10〜30質量%の範囲が好ましい。前述の分散助剤を用いることは好ましいが、粒子サイズを最小にするのに適した範囲で最少量使用するのが好ましく、有機銀塩に対して0.5〜30質量%、特に1〜15質量%の範囲が好ましい。本発明の有機銀塩は所望の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜3g/m2である。
【0030】本発明にはCa、Mg、Zn及びAgから選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加することが好ましい。Ca、Mg、Zn及びAgから選ばれる金属イオンの非感光性有機銀塩への添加については、ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加することが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処理後の熱現像画像記録材料の光(室内光や太陽光など)による画像保存性、いわゆるプリントアウト性を悪化させるので好ましくない。このため、本発明ではハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加することが好ましい。本発明に好ましく用いられるCa、Mg、Zn及びAgから選ばれる金属イオンの添加時期としては、該非感光性有機銀塩の粒子形成後の、粒子形成直後、分散前、分散後及び塗布液調製前後など塗布直前までであればいずれの時期でもよく、好ましくは分散後、塗布液調製前後である。本発明におけるCa、Mg、Zn及びAgから選ばれる金属イオンの添加量としては、非感光性有機銀1molあたり10-3〜10-1molが好ましく、特に5×10-3〜5×10-2molが好ましい。
【0031】本発明の熱現像画像記録材料には、感光性ハロゲン化銀を用いることができる。本発明で用いられる感光性ハロゲン化銀は、ハロゲン組成として特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩臭化銀を用いることができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成については、特開平11‐119374号公報の段落番号[0217]〜[0224]に記載されている方法で粒子形成することができるが、特にこの方法に限定されるものではない。ハロゲン化銀粒子の形状としては立方体、八面体、十四面体、平板状、球状、棒状、ジャガイモ状等を挙げることができるが、本発明においては特に立方体状粒子あるいは平板状粒子が好ましい。粒子のアスペクト比、面指数など粒子形状の特徴については、特開平11‐119374号公報の段落番号[0225]に記載されているものと同じである。また、ハロゲン組成の分布はハロゲン化銀粒子の内部と表面において均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、或いは連続的に変化したものでもよい。また、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造としては好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。また塩化銀または塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
【0032】本発明で用いるハロゲン化銀粒子の粒径分布は、単分散度の値が30%以下であり、好ましくは1〜20%以下であり、さらに5〜15%である。ここで単分散度は、粒径の標準偏差を平均粒径で割った値の百分率(%)(変動係数)として定義されるものである。なおハロゲン化銀粒子の粒径は、便宜上、立方体粒子の場合は稜長で表し、その他の粒子(八面体、十四面体、平板状など)は投影面積円相当直径で算出する。
【0033】本発明で用いる感光性ハロゲン化銀粒子は、周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属または金属錯体を含有する。周期律表の第VII族あるいは第VIII族の金属または金属錯体の中心金属として好ましくはロジウム、レニウム、ルテニウム、オスニウム、イリジウムである。特に好ましい金属錯体は、(NH43Rh(H2O)Cl5、K2Ru(NO)Cl5、K3IrCl6、K4Fe(CN)6である。これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1molに対し1×10-9mol〜1×10-3molの範囲が好ましく、1×10-8mol〜1×10-4molの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7‐225449号公報等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。これら重金属の種類、添加方法に関しては、特開平11‐119374号公報の段落番号[0227]〜[0240]に記載されている。
【0034】感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている方法の水洗により脱塩することができるが本発明においては脱塩してもしなくてもよい。本発明の感光性ハロゲン化銀乳剤は化学増感することが好ましい。化学増感については、特開平11−119374号公報の段落番号[0242]〜[0250]に記載されている方法を用いる。本発明のハロゲン化銀乳剤は、欧州特許第293,917号明細書に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
【0035】本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀を含有するゼラチンとしては、感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するために、低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。低分子量ゼラチンの分子量は、500〜60,000であり、好ましくは分子量1,000〜40,000である。これらの低分子量ゼラチンは粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用されてもよいが、脱塩処理後の分散時に使用されることが好ましい。また、粒子形成時は通常のゼラチン(分子量100,000程度)を使用し、脱塩処理後の分散時に低分子量ゼラチンを使用してもよい。分散媒の濃度は0.05〜20質量%を用いることができるが、取り扱い上5〜15質量%の濃度域が好ましい。ゼラチンの種類としては、通常アルカリ処理ゼラチンが用いられるが、その他酸処理ゼラチン、フタル化ゼラチンの如き修飾ゼラチンも用いることができる。
【0036】本発明に用いられる熱現像画像記録材料中のハロゲン化銀乳剤は、一種だけでもよいし、二種以上(例えば、平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの)併用してもよい。本発明の感光性ハロゲン化銀の使用量としては有機銀塩1molに対して感光性ハロゲン化銀0.01mol〜0.5molが好ましく、0.02mol〜0.3molがより好ましく、0.03mol〜0.25molが特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中のいずれかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に現れる限りにおいては特に制限はない。また、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましく用いられる方法である。
【0037】本発明の熱現像画像記録材料に適用できる増感色素としてはmハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば、550nm〜750nmの波長領域を分光増感する色素としては、特開平10‐186572号公報一般式(II)で表される色素が挙げられ、具体的にはII‐6、II‐7、II‐14、II‐15、II‐18、II‐23、II‐25の色素である。また、750〜1400nmの波長領域を分光増感する色素としては、特開平11‐119374号公報一般式(I)で表される色素が挙げられ、具体的には(25)、(26)、(30)、(32)、(36)、(37)、(41)、(49)、(54)の色素である。さらに、J‐bAndを形成する色素として、米国特許5,510,236号明細書、同第3,871,887号明細書の実施例5に記載の色素、特開平2‐96131号公報、特開昭59‐48753号公報に開示されている色素が挙げられる。これらの増感色素は単独に用いてもよく、2種以上組合せて用いてもよい。
【0038】これら増感色素の添加については、特開平11‐119374号公報の段落番号[0106]に記載されている方法で添加することができるが、特に、この方法に限定されるものではない。本発明における増感色素の添加量としては、感度やカブリの性能に合わせて所望の量でよいが、感光性層のハロゲン化銀1mol当たり10-6〜1molが好ましく、さらに好ましくは10-4〜10-1molである。
【0039】本発明では分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。本発明に用いられる強色増感剤は、欧州特許第587,338号明細書、米国特許第3,877,943号明細書、同第4,873,184号明細書に開示されている化合物、複素芳香族あるいは脂肪族メルカプト化合物、複素芳香族ジスルフィド化合物、スチルベン、ヒドラジン、トリアジンから選択される化合物などが挙げられる。特に好ましい強色増感剤は、特開平5‐341432号公報に開示されている複素芳香族メルカプト化合物、複素芳香族ジスルフィド化合物、特開平4‐182639号公報一般式(I)あるいは(II)で表される化合物、特開平10‐111543号公報一般式(I)で表されるスチルベン化合物、特開平11‐109547号公報一般式(I)で表わされる化合物である。具体的には特開平5‐341432号公報のM‐1〜M‐24の化合物、特開平4‐182639号公報のd‐1)〜d‐14)の化合物、特開平10‐111543号公報のSS‐01〜SS‐07の化合物、特開平11‐109547号公報の31、32、37、38、41〜45、51〜53の化合物である。これらの強色増感剤の添加量としては乳剤層中にハロゲン化銀1mol当たり10-4〜1molの範囲が好ましく、さらに好ましくは、ハロゲン化銀1mol当たり0.001〜0.3molの量である。
【0040】本発明の熱現像画像記録材料には造核剤を用いることが好ましい。本発明で用いる造核剤の種類は特に限定されないが、好ましい造核剤の例として、特願平11‐87297号明細書に記載の式(H)で表されるヒドラジン誘導体で、具体的には同明細書の表1〜表4に記載のヒドラジン誘導体、特開平10‐10672号公報、特開平10‐161270号公報、特開平10‐62898号公報、特開平9‐304870号公報、特開平9‐304872号公報、特開平9‐304871号公報、特開平10‐31282号公報、米国特許第5,496,695号明細書、欧州特許第741,320A号明細書に記載のすべてのヒドラジン誘導体;特願平11‐87297号明細書に記載の式(1)〜(3)で表される置換アルケン誘導体、置換イソオキサゾール誘導体および特定のアセタール化合物、さらに好ましくは同明細書に記載の式(A)または式(B)で表される環状化合物(具体的には同明細書の化8〜化12に記載の化合物1〜72)を挙げることができる。これらの造核剤は複数を併用してもよい。
【0041】上記造核剤は、水または適当な有機溶媒、例えばアルコ−ル類(メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、フッ素化アルコ−ル)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレ−ト、トリクレジルフォスフェ−ト、グリセリルトリアセテ−トあるいはジエチルフタレ−トなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、造核剤の粉末を水等の適当な溶媒中にボ−ルミル、コロイドミル、あるいは超音波によって分散し用いることができる。造核剤は、支持体に対して画像形成層側の該画像形成層あるいは他のどの層に添加してもよいが、該画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加することが好ましい。造核剤の添加量は銀1molに対し1×10-6〜1molが好ましく、1×10-5〜5×10-1molがより好ましく、2×10-5〜2×10-1molが最も好ましい。
【0042】また上記の化合物の他に、米国特許第5,545,515号明細書、同第5,635,339号明細書、同第5,654,130号明細書、国際公開WO97/34196号公報、米国特許第5,686,228号明細書に記載の化合物、或いはまた特開平11‐119372号公報、特願平9‐309813号明細書、特開平11‐119373号公報、特願平9‐282564号明細書、特開平11‐95365号公報、特開平11‐95366号公報、特願平9‐332388号明細書に記載された化合物を用いても良い。
【0043】本発明では超硬調画像形成のために、前記の造核剤とともに硬調化促進剤を併用することができる。例えば、米国特許第5,545,505号明細書に記載のアミン化合物、具体的にはAM‐1〜AM‐5、米国特許第5,545,507号明細書に記載のヒドロキサム酸類、具体的にはHA‐1〜HA‐11、米国特許第5,545,507号明細書に記載のアクリロニトリル類、具体的にはCN‐1〜CN‐13、米国特許第5,558,983号明細書に記載のヒドラジン化合物、具体的にはCA‐1〜CA‐6、特開平9‐297368号公報に記載のオニュ−ム塩類、具体的にはA‐1〜A‐42、B‐1〜B‐27、C‐1〜C‐14などを用いることができる。
【0044】非感光性銀塩、感光性ハロゲン化銀およびバインダーを有する熱現像画像記録材料において、蟻酸あるいは蟻酸塩は強いかぶらせ物質となる。本発明では、熱現像画像記録材料の感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側の蟻酸あるいは蟻酸塩の含有量が銀1mol当たり5mmol以下、さらには1mmol以下であることが好ましい。
【0045】本発明の熱現像画像記録材料には五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩を造核剤と併用して用いることが好ましい。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としては、メタリン酸(塩)、ピロリン酸(塩)、オルトリン酸(塩)、三リン酸(塩)、四リン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)などである。特に好ましく用いられる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩としてはオルトリン酸(塩)、ヘキサメタリン酸(塩)であり、具体的な塩としてはオルトリン酸ナトリウム、オルトリン酸二水素ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸アンモニウムなどがある。本発明において好ましく用いることができる五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩は、少量で所望の効果を発現するという点から画像形成層あるいはそれに隣接するバインダー層に添加する。五酸化二リンが水和してできる酸またはその塩の使用量(熱現像画像記録材料1m2あたりの塗布量)としては感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好ましく、0.5〜100mg/m2がより好ましい。
【0046】本発明の熱現像画像記録材料には好ましくは、有機銀塩のための還元剤を含む。有機銀塩のための還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質である。フェニドン、ハイドロキノンおよびカテコールなどの従来の写真現像剤は有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が好ましい。還元剤は、画像形成層を有する面の銀1molに対して5〜50mol含まれることが好ましく、10〜40molで含まれることがさらに好ましい。還元剤の添加層は画像形成層を有する面のいかなる層でも良い。画像形成層以外の層に添加する場合は銀1molに対して10〜50molと多めに使用することが好ましい。また、還元剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。
【0047】有機銀塩を利用した熱現像画像記録材料においては広範囲の還元剤が特開昭46‐6074号公報、同47‐1238号公報、同47‐33621号公報、同49‐46427号公報、同49‐115540号公報、同50‐14334号公報、同50‐36110号公報、同50‐147711号公報、同51‐32632号公報、同51‐1023721号公報、同51‐32324号公報、同51‐51933号公報、同52‐84727号公報、同55‐108654号公報、同56‐146133号公報、同57‐82828号公報、同57‐82829号公報、特開平6‐3793号公報、米国特許第3,679,426号明細書、同第3,751,252号明細書、同第3,751,255号明細書、同第3,761,270号明細書、同第3,782,949号明細書、同第3,839,048号明細書、同第3,928,686号明細書、同第5,464,738号明細書、独国特許第2,321,328号明細書、欧州特許第692,732号明細書などに開示されている。例えば、フェニルアミドオキシム、2‐チエニルアミドオキシムおよびp‐フェノキシフェニルアミドオキシムなどのアミドオキシム;例えば4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメトキシベンズアルデヒドアジンなどのアジン;2,2’‐ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル‐β‐フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトンおよび/またはヒドラジンの組合せ(例えばハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル‐4‐メチルフェニルヒドラジンの組合せなど);フェニルヒドロキサム酸、p‐ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸およびβ‐アリニンヒドロキサム酸などのヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(例えば、フェノチアジンと2,6‐ジクロロ‐4‐ベンゼンスルホンアミドフェノールなど);エチル‐α‐シアノ‐2‐メチルフェニルアセテート、エチル‐α‐シアノフェニルアセテートなどのα‐シアノフェニル酢酸誘導体;2,2’‐ジヒドロキシ‐1,1’‐ビナフチル、6,6’‐ジブロモ‐2,2’‐ジヒドロキシ‐1,1’‐ビナフチルおよびビス(2‐ヒドロキシ‐1‐ナフチル)メタンに例示されるようなビス‐β‐ナフトール;ビス‐β‐ナフトールと1,3‐ジヒドロキシベンゼン誘導体(例えば、2,4‐ジヒドロキシベンゾフェノンまたは2’,4’‐ジヒドロキシアセトフェノンなど)の組合せ;3‐メチル‐1‐フェニル‐5‐ピラゾロンなどの、5‐ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトンおよびアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6‐ジクロロ‐4‐ベンゼンスルホンアミドフェノールおよびp‐ベンゼンスルホンアミドフェノールなどのスルホンアミドフェノール還元剤;2‐フェニルインダン‐1,3‐ジオンなど;2,2‐ジメチル‐7‐t‐ブチル‐6‐ヒドロキシクロマンなどのクロマン;2,6‐ジメトキシ‐3,5‐ジカルボエトキシ‐1,4‐ジヒドロピリジンなどの1,4‐ジヒドロピリジン;ビスフェノール(例えば、ビス(2‐ヒドロキシ‐3‐t‐ブチル‐5‐メチルフェニル)メタン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐メチルフェニル)プロパン、4,4‐エチリデン‐ビス(2‐t‐ブチル‐6‐メチルフェノール)、1,1,‐ビス(2‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)‐3,5,5‐トリメチルヘキサンおよび2,2‐ビス(3,5‐ジメチル‐4‐ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体(例えば、パルミチン酸1‐アスコルビル、ステアリン酸アスコルビルなど);ならびにベンジルおよびビアセチルなどのアルデヒドおよびケトン;3‐ピラゾリドンおよびある種のインダン‐1,3‐ジオン;クロマノール(トコフェロールなど)などがある。特に好ましい還元剤としては、ビスフェノール、クロマノールである。
【0048】本発明で還元剤を用いる場合、それは、水溶液、有機溶媒溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0049】本発明では、現像促進剤として特願平11−73951号明細書に記載の式(A)で表されるフェノール誘導体が好ましく用いられる。式(A)で表されるフェノール誘導体は、上記還元剤と併用することにより強い現像促進効果を示す。具体的には、同明細書に記載のA−1〜A−54好ましく用いられる。式(A)で表されるフェノール誘導体は還元剤に対して0.01mol%〜100mol%の範囲で使用されることが好ましく、さらには0.1mol%〜20mol%の範囲で使用されることが好ましい。
【0050】式(A)で表されるフェノール誘導体は支持体に対して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの層側の他のどの層に添加してもよいが、還元剤を含有する層に添加することが好ましい。式(A)で表されるフェノール誘導体は、水溶液、有機溶媒溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0051】画像を向上させる「色調剤」として知られる添加剤を含むと光学濃度が高くなることがある。また、色調剤は黒色銀画像を形成させるうえでも有利になることがある。色調剤は画像形成層を有する側に銀1molあたりの0.1〜50molの量含まれることが好ましく、0.5〜20mol含まれることがさらに好ましい。また、色調剤は現像時のみ有効に機能を持つように誘導化されたいわゆるプレカーサーであってもよい。有機銀塩を利用した熱現像画像記録材料においては広範囲の色調剤が特開昭46−6077号公報、同47−10282号公報、同49−5019号公報、同49−5020号公報、同49−91215号公報、同49−91215号公報、同50−2524号公報、同50−32927号公報、同50−67132号公報、同50−67641号公報、同50−114217号公報、同51−3223号公報、同51−27923号公報、同52−14788号公報、同52−99813号公報、同53−1020号公報、同53−76020号公報、同54−156524号公報、同54−156525号公報、同61−183642号公報、特開平4−56848号公報、特公昭49−10727号公報、同54−20333号公報、米国特許第3,080,254号明細書、同第3,446,648号明細書、同第3,782,941号明細書、同第4,123,282号明細書、同第4,510,236号明細書、英国特許第1,380,795号明細書、ベルギー特許第841,910号明細書などに開示されている。色調剤の例は、フタルイミドおよびN−ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン−5−オン、ならびにキナゾリノン、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリンおよび2,4−チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(例えば、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド);コバルト錯体(例えば、コバルトヘキサミントリフルオロアセテート);3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾールおよび2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、(例えば、(N,N−ジメチルアミノメチル)フタルイミドおよびN,N−(ジメチルアミノメチル)−ナフタレン−2,3−ジカルボキシイミド);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体およびある種の光退色剤(例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)および2−トリブロモメチルスルホニル)−(ベンゾチアゾール));ならびに3−エチル−5−[(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリデン]−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、または4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノンおよび2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体(たとえば、4−(1−ナフチル)フタラジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジン、6−イソブチルフタラジン、6−tert−ブチルフタラジン、5,7−ジメチルフタラジン、および2,3−ジヒドロフタラジンなどの誘導体)もしくは金属塩、;フタラジンおよびその誘導体とフタル酸誘導体(例えば、フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸およびテトラクロロ無水フタル酸など)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジンまたはナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウムおよびヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物および過硫酸塩、例えば、過酸化二硫化アンモニウムおよび過酸化水素;1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン、8−メチル−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンおよび6−ニトロ−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンなどのベンズオキサジン−2,4−ジオン;ピリミジンおよび不斉−トリアジン(例えば、2,4−ジヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリミジンなど)、アザウラシル、およびテトラアザペンタレン誘導体(例えば、3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3A,5,6A−テトラアザペンタレン、および1,4−ジ(o−クロロフェニル)−3,6−ジメルカプト−1H,4H−2,3A,5,6A−テトラアザペンタレン)などがある。
【0052】本発明では色調剤として、特開2000−35631号公報に記載の一般式(F)で表されるフタラジン誘導体が好ましく用いられる。具体的には同明細書に記載の、A−1〜A−10が好ましく用いられる本発明で色調剤を用いる場合、それは、溶液、粉末、固体微粒子分散物などいかなる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(例えば、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミルなど)で行われる。また、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
【0053】本発明の熱現像画像記録材料の熱現像処理前の膜面pHは6.0以下であることが好ましく、さらに好ましくは5.5以下である。その下限には特に制限はないが、3程度である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。なお、膜面pHの測定方法は、特願平11−87297号明細書の段落番号[0123]に記載されている。
【0054】本発明の熱現像画像記録材料において、ハロゲン化銀乳剤または/および有機銀塩は、かぶり防止剤、安定剤および安定剤前駆体によって、付加的なかぶりの生成に対して更に保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化することができる。単独または組合せて使用することができる適当なかぶり防止剤、安定剤および安定剤前駆体は、米国特許第2,131,038号明細書および同第2,694,716号明細書に記載のチアゾニウム塩、米国特許第2,886,437号明細書および同第2,444,605号明細書に記載のアザインデン、米国特許第2,728,663号明細書に記載の水銀塩、米国特許第3,287,135号明細書に記載のウラゾール、米国特許第3,235,652号明細書に記載のスルホカテコール、英国特許第623,448号明細書に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許第2,839,405号明細書に記載の多価金属塩、米国特許第3,220,839号明細書に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許第2,566,263号明細書および同第2,597,915号明細書に記載のパラジウム、白金および金塩、米国特許第4,108,665号明細書および同第4,442,202号明細書に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許第4,128,557号明細書および同第4,137,079号明細書、第4,138,365号明細書および同第4,459,350号明細書に記載のトリアジンならびに米国特許第4,411,985号明細書に記載のリン化合物などがある。
【0055】本発明の熱現像画像記録材料は、高感度化やかぶり防止を目的として安息香酸類を含有しても良い。本発明で用いる安息香酸類はいかなる安息香酸誘導体でもよいが、好ましい構造の例としては、米国特許第4,784,939号明細書、同第4,152,160号明細書、特開平9−329863号公報、同9−329864号公報、同9−281637号公報などに記載の化合物が挙げられる。安息香酸類は熱現像画像記録材料のいかなる層に添加しても良いが、画像形成層を有する側の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することがさらに好ましい。安息香酸類の添加時期としては塗布液調製のいかなる工程で行ってもよく、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時のいかなる工程でもよいが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行っても良い。また、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加しても良い。安息香酸類の添加量としてはいかなる量でも良いが、銀1mol当たり1×10-6mol〜2molが好ましく、1×10-3mol〜0.5molがさらに好ましい。
【0056】本発明を実施するために必須ではないが、画像形成層にかぶり防止剤として水銀(II)塩を加えることが有利なことがある。この目的に好ましい水銀(II)塩は、酢酸水銀および臭化水銀である。本発明に使用する水銀の添加量としては、塗布された銀1mol当たり好ましくは1×10-9mol〜1×10-3mol、さらに好ましくは1×10-8mol〜1×10-4molの範囲である。
【0057】本発明で特に好ましく用いられるかぶり防止剤は有機ハロゲン化物であり、例えば、特開昭50−119624号公報、同50−120328号公報、同51−121332号公報、同54−58022号公報、同56−70543号公報、同56−99335号公報、同59−90842号公報、同61−129642号公報、同62−129845号公報、特開平6−208191号公報、同7−5621号公報、同7−2781号公報、同8−15809号公報、米国特許第5,340,712号明細書、同第5,369,000号明細書、同第5,464,737号明細書に開示されているような化合物が挙げられる。特願平11−87297号明細書に記載の式(P)で表される親水性有機ハロゲン化物がかぶり防止剤として好ましく用いられる。具体的には、同明細書に記載の(P−1)〜(P−118)が好ましく用いられる。有機ハロゲン化物の添加量は、Ag1molに対するmol量(mol/molAg)で示して、好ましくは1×10-5〜2mol/molAg、より好ましくは5×10-5〜1mol/molAg、さらに好ましくは1×10-4〜5×10-1mol/molAgである。これらは1種のみを用いても2種以上を併用しても良い。
【0058】また、特願平11−87297号明細書に記載の式(Z)で表されるサリチル酸誘導体がかぶり防止剤として好ましく用いられる。具体的には、同明細書に記載の(A−1)〜(A−60)が好ましく用いられる。式(Z)で表されるサリチル酸誘導体の添加量は、Ag1molに対するmol量(mol/molAg)で示して、好ましくは1×10-5〜5×10-1mol/molAg、より好ましくは5×10-5〜1×10-1mol/molAg、さらに好ましくは1×10-4〜5×10-2mol/molAgである。これらは1種のみを用いても2種以上を併用しても良い。本発明に好ましく用いられるかぶり防止剤として、ホルマリンスカベンジャーが有効であり、例えば、特願平11−23995号明細書に記載の式(S)で表される化合物およびその例示化合物(S−1)〜(S−24)が挙げられる。
【0059】本発明に用いられるかぶり防止剤は、水あるいは適当な有機溶媒、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、フッ素化アルコール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブなどに溶解して用いることができる。また、既によく知られている乳化分散法によって、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、グリセリルトリアセテートあるいはジエチルフタレートなどのオイル、酢酸エチルやシクロヘキサノンなどの補助溶媒を用いて溶解し、機械的に乳化分散物を作製して用いることができる。あるいは固体分散法として知られている方法によって、粉末を水の中にボールミル、コロイドミル、サンドグラインダーミル、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザーあるいは超音波によって分散し用いることができる。本発明に用いられるかぶり防止剤は、支持体に対して画像形成層側の層、即ち画像形成層あるいはこの層側の他のどの層に添加してもよいが、画像形成層あるいはそれに隣接する層に添加することが好ましい。画像形成層は還元可能な銀塩(有機銀塩)を含有する層であり、好ましくはさらに感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層であることが好ましい。
【0060】本発明の熱現像画像記録材料には現像を抑制あるいは促進させ現像を制御するため、現像前後の保存性を向上させるためなどにメルカプト化合物、ジスルフィド化合物、チオン化合物を含有させることができる。本発明にメルカプト化合物を使用する場合、いかなる構造のものでも良いが、Ar−SM、Ar−S−S−Arで表されるものが好ましい。式中、Mは水素原子またはアルカリ金属原子であり、Arは1個以上の窒素、イオウ、酸素、セレニウムまたはテルリウム原子を有する芳香環または縮合芳香環である。好ましくは、複素芳香環はベンズイミダゾール、ナフスイミダゾール、ベンゾチアゾール、ナフトチアゾール、ベンズオキサゾール、ナフスオキサゾール、ベンゾセレナゾール、ベンゾテルラゾール、イミダゾール、オキサゾール、ピラゾール、トリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、トリアジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、ピリジン、プリン、キノリンまたはキナゾリノンである。この複素芳香環は、例えば、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ、アルキル(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)、アルコキシ(例えば、1個以上の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するもの)およびアリール(置換基を有していてもよい)からなる置換基群から選択されるものを有してもよい。メルカプト置換複素芳香族化合物をとしては、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンズイミダゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、2,2’−ジチオビス−(ベンゾチアゾール)、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4,5−ジフェニル−2−イミダゾールチオール、2−メルカプトイミダゾール、1−エチル−2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトキノリン、8−メルカプトプリン、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリノン、7−トリフルオロメチル−4−キノリンチオール、2,3,5,6−テトラクロロ−4−ピリジンチオール、4−アミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジンモノヒドレート、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−ヒドキロシ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプトピリミジン、4,6−ジアミノ−2−メルカプトピリミジン、2−メルカプト−4−メチルピリミジンヒドロクロリド、3−メルカプト−5−フェニル−1,2,4−トリアゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、3−(5−メルカプトテトラゾール)−ベンゼンスルホン酸ナトリウム、N−メチル−N’−{3−(5−メルカプトテトラゾリル)フェニル}ウレア、2−メルカプト−4−フェニルオキサゾールなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。これらのメルカプト化合物の添加量としては画像形成層中に銀1mol当たり0.0001〜1.0molの範囲が好ましく、さらに好ましくは、銀の1mol当たり0.001〜0.3molの量である。
【0061】本発明の熱現像画像記録材料は、支持体上に、有機銀塩、還元剤および感光性ハロゲン化銀を含む画像形成層を有し、画像形成層上には少なくとも1層の保護層が設けられている態様が好ましい。また、本発明の熱現像画像記録材料は支持体に対して画像形成層と反対側(バック面)に少なくとも1層のバック層を有することが好ましく、画像形成層、保護層、そしてバック層のバインダーとしてポリマーラテックスが用いられることが好ましい。これらの層にポリマーラテックスを用いることによって、水を主成分とする溶媒(分散媒)を用いた水系塗布が可能になり、環境面、コスト面で有利になるとともに、熱現像時にシワの発生がない熱現像画像記録材料が得られる。また、所定の熱処理をした支持体を使用することにより、熱現像の前後で寸法変化の少ない熱現像画像記録材料が得られる。
【0062】本発明の最外層以外のバインダーとしては以下に述べるポリマーラテックスを用いることが好ましい。本発明の熱現像画像記録材料の感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層のうち少なくとも1層は、以下に述べるポリマーラテックスを全バインダーの50質量%以上として用いた画像形成層であることが好ましい。また、ポリマーラテックスは画像形成層だけではなく、保護層やバック層に用いてもよく、特に寸法変化が問題となる印刷用途に本発明の熱現像画像記録材料を用いる場合には、保護層やバック層にもポリマーラテックスを用いることが好ましい。ただしここで言う「ポリマーラテックス」とは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水溶性の分散媒中に分散されたものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散されたものなどいずれでもよい。なお本発明のポリマーラテックスについては「合成樹脂エマルジョン(奥田平、稲垣寛編集、高分子刊行会発行(1978))」、「合成ラテックスの応用(杉村孝明、片岡靖男、鈴木聡一、笠原啓司編集、高分子刊行会発行(1993))」、「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」などに記載されている。分散粒子の平均粒径は1〜50000nm、より好ましくは5〜1000nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0063】本発明で用いるポリマーラテックスとしては通常の均一構造のポリマーラテックス以外、いわゆるコア/シェル型のラテックスでもよい。この場合コアとシェルはガラス転移温度を変えると好ましい場合がある。バインダーとして好ましく用いるポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)は保護層、バック層と画像形成層とでは好ましい範囲が異なる。画像形成層にあっては熱現像時に写真有用素材の拡散を促すため、−30〜40℃であることが好ましい。保護層やバック層に用いる場合には種々の機器と接触するために25〜70℃のガラス転移温度が好ましい。本発明で用いるポリマーラテックスの最低造膜温度(MFT)は−30℃〜90℃、より好ましくは0℃〜70℃程度が好ましい。最低造膜温度をコントロールするために造膜助剤を添加してもよい。造膜助剤は可塑剤ともよばれポリマーラテックスの最低造膜温度を低下させる有機化合物(通常有機溶剤)で、例えば前述の「合成ラテックスの化学(室井宗一著、高分子刊行会発行(1970))」に記載されている。
【0064】ポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋されたポリマーでも良い。またポリマーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでも良いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでも良い。コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリマーでも良い。ポリマーの分子量は数平均分子量で5000〜1000000、好ましくは10000〜100000程度が好ましい。分子量が小さすぎるものは画像形成層の力学強度が不十分であり、大きすぎるものは成膜性が悪く、好ましくない。
【0065】本発明の熱現像画像記録材料の画像形成層のバインダーとして用いられるポリマーラテックスの具体例としては以下のようなものがある。メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/ブタジエン/イタコン酸コポリマーのラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/スチレン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/アクリル酸コポリマーのラテックス、スチレン/ブタジエン/ジビニルベンゼン/メタクリル酸コポリマーのラテックス、メチルメタクリレート/塩化ビニル/アクリル酸コポリマーのラテックス、塩化ビニリデン/エチルアクリレート/アクリロニトリル/メタクリル酸コポリマーのラテックスなど。さらに具体的には、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸=33.5/50/16.5(質量%)のコポリマーラテックス、メチルメタクリレート/ブタジエン/イタコン酸=47.5/47.5/5(質量%)のコポリマーラテックス、エチルアクリレート/メタクリル酸=95/5(質量%)のコポリマーラテックスなどが挙げられる。また、このようなポリマーは市販もされていて、以下のようなポリマーが利用できる。例えばアクリル樹脂の例として、セビアンA−4635,46583、4601(以上ダイセル化学工業(株)製)、Nipol LX811、814、821、820、857(以上日本ゼオン(株)製)、VONCORT−R3340、R3360、R3370、4280(以上大日本インキ化学(株)製)など、ポリエステル樹脂としては、FINETEX ES650、611、675、850(以上大日本インキ化学(株)製)、WD−size、WMS(以上イーストマンケミカル製)など、ポリウレタン樹脂としてはHYDRAN AP10、20、30、40(以上大日本インキ化学(株)製)など、ゴム系樹脂としてはLACSTAR 7310K、3307B、4700H、7132C(以上大日本インキ化学(株)製)、 Nipol LX410、430,435、438C(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニル樹脂としてはG351、G576(以上日本ゼオン(株)製)など、塩化ビニリデン樹脂としてはL502、L513(以上旭化成工業(株)製)、アロンD7020、D504、D5071(以上三井東圧(株)製)など、オレフィン樹脂としてはケミパールS120、SA100(以上三井石油化学(株)製)などを挙げることができる。これらのポリマーは単独で用いてもよいし、必要に応じて2種以上ブレンドして用いても良い。
【0066】本発明の熱現像画像記録材料の画像形成層は全バインダーの50質量%以上として上記ポリマーラテックスが好ましく用いられるが、70質量%以上として上記ポリマーラテックスが用いられることがさらに好ましい。本発明の画像形成層には必要に応じて全バインダーの50質量%以下の範囲でゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの親水性ポリマーを添加しても良い。これらの親水性ポリマーの添加量は画像形成層の全バインダーの30質量%以下、さらには15質量%以下が好ましい。
【0067】本発明の画像形成層は水系の塗布液を塗布後乾燥して調製することが好ましい。ただし、ここで言う「水系」とは塗布液の溶媒(分散媒)の60質量%以上が水であることをいう。塗布液の水以外の成分はメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ジメチルホルムアミド、酢酸エチルなどの水混和性の有機溶媒を用いることができる。具体的な溶媒組成の例としては以下のようなものがある。水/メタノール=90/10、水/メタノール=70/30、水/エタノール=90/10、水/イソプロパノール=90/10、水/ジメチルホルムアミド=95/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=80/15/5、水/メタノール/ジメチルホルムアミド=90/5/5。(ただし数字は質量%を表す。)
本発明の画像形成層の全バインダー量は0.2〜30g/m2、より好ましくは1〜15g/m2の範囲が好ましい。本発明の画像形成層には架橋のための架橋剤、塗布性改良のための界面活性剤などを添加してもよい。さらに、保護層用のバインダーとして、特願平11−6872号明細書の段落番号[0025]〜[0029]に記載の有機概念図に基づく無機性値を有機性値で割ったI/O値の異なるポリマーラテックスの組み合わせを好ましく用いることができる。
【0068】本発明においては必要に応じて、特願平11−143058号明細書の段落番号[0021]〜[0025]に記載の可塑剤(例、ベンジルアルコール、2,2,4−トリメチルペンタンジオール−1,3−モノイソブチレートなど)を添加して、造膜温度をコントロールすることが出来る。また、特願平11−6872号明細書の段落番号[0027]〜[0028]に記載の如くポリマーバインダー中に親水性ポリマーを、塗布液中に水混和性の有機溶媒を添加してもよい。
【0069】それぞれの層には、特開2000−19678号公報の段落番号[0023]〜[0041]に記載の官能基を導入した第一のポリマーラテックスとこの第一のポリマーラテックスと反応しうる官能基を有する架橋剤及び/または第二のポリマーラテックスを用いて形成させることもできる。官能基の具体例としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、エポキシ基、N−メチロール基、オキサゾリニル基など、架橋剤としては、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、メチロ−ル化合物、ヒドロキシ化合物、カルボキシル化合物、アミノ化合物、エチレンイミン化合物、アルデヒド化合物、ハロゲン化合物などから選ばれる。架橋剤の具体例として、イソシアネート化合物:ヘキサメチレンイソシアネート、デュラネートWB40−80D、WX−1741(旭化成工業(株)製)、バイヒジュール3100(住友バイエルウレタン(株)製)、タケネートWD725(武田薬品工業(株)製)、アクアネート100、200(日本ポリウレタン(株)製)、特開平9−160172号公報記載の水分散型ポリイソシアネート、アミノ化合物:スミテックスレジンM−3(住友化学工業(株)製)、エポキシ化合物:デナコールEX−614B(ナガセ化成工業(株)製)、ハロゲン化合物:2,4ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウムなど。
【0070】本発明の画像形成層用の全バインダー量は0.2〜30g/m2、より好ましくは1.0〜15g/m2の範囲が好ましい。本発明の保護層用の全バインダー量は0.2〜10.0g/m2、より好ましくは0.5〜6.0g/m2の範囲が好ましい。これらの各層は、2層以上設けられる場合がある。画像形成層が2層以上である場合は、すべての層のバインダーとしてポリマーラテックスを用いることが好ましい。また、保護層は画像形成層上に設けられる層であり2層以上存在する場合もあるが、少なくとも1層、特に最外層の保護層にポリマーラテックスが用いられることが好ましい。
【0071】本発明において、特願平10−346561号明細書、特願平11−106881号明細書に記載のように予備加熱部を対向ローラーで搬送し、熱現像処理部は画像形成層を有する側をローラーの駆動により、その反対側のバック面を平滑面に滑らせて搬送する熱現像処理装置を用いる場合、現像処理温度における熱現像画像記録材料の画像形成層を有する側の最表面層とバック面の最表面層との摩擦係数の比は、1.5以上であり、その上限に特に制限はないが、30程度である。また、μbは1.0以下、好ましくは0.8〜0.05である。この値は、下記の式によって求められる。摩擦係数の比=熱現像機のローラー部材と画像形成層を有する面との動摩擦係数(μe)/熱現像機の平滑面部材とバック面との動摩擦係数(μb)本発明において熱現像処理温度での熱現像処理機部材と画像形成層を有する面および/またはその反対面の最表面層の滑り性は、最表面層に滑り剤を含有させ、その添加量を変えて調整することができる。
【0072】本発明の熱現像画像記録材料には、種々の支持体を用いることができる。典型的な支持体は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、などのポリエステル、硝酸セルロース、セルロースエステル、ポリビニルアセタール、シンジオタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、両面がポリエチレンで被覆された紙支持体などを含む。このうち二軸延伸したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)は強度、寸法安定性、耐薬品性などの点から好ましい。支持体の厚みは下塗り層を除いたベース厚みで90〜180μmであることが好ましい。本発明の熱現像画像記録材料に用いる支持体は、特開平10−48772号公報、特開平10−10676号公報、特開平10−10677号公報、特開平11−65025号公報、特開平11−138648号公報に記載の二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートが好ましく用いられる。このような熱処理後における支持体の120℃30秒加熱による寸法変化率は縦方向(MD)が−0.03%〜+0.01%、横方向(TD)が0〜0.04%であることが好ましい。
【0073】本発明の熱現像画像記録材料の画像形成層を有する面およびその反対面の最外層表面の少なくとも一方、好ましくは両方のベック平滑度は、2000秒以下であり、より好ましくは10秒〜2000秒である。本発明におけるベック平滑度は、日本工業規格(JIS)P8119「紙および板紙のベック試験器による平滑度試験方法」およびTAPPI標準法T479により容易に求めることができる。熱現像画像記録材料の画像形成層を有する面の最外層およびその反対面の最外層のベック平滑度は、特開平11−84573号公報の段落番号[0052]〜[0059]に記載の如く、前記両面の層に含有させるマット剤の粒径&添加量を適宜変化させることによってコントロールすることができる。
【0074】本発明では水溶性ポリマーが塗布性付与のための増粘剤として好ましく利用され、天然物でも合成ポリマーのいずれでもよく限定されない。それらは、天然物としてはデンプン類(コーンスターチ、デンプンなど)、海藻(寒天、アルギン酸ナトリウムなど)、植物性粘着物(アラビアゴムなど)、動物性タンパク(にかわ、カゼイン、ゼラチン、卵白など)、発酵粘着物(プルラン、デキストリンなど)などであり、半合成ポリマーであるデンプン質(可溶性デンプン、カルボキシルデンプン、デキストランなど)、セルロース類(ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)も挙げられ、更に合成ポリマー(ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルホン酸又はその共重合体、ポリビニルスルファン酸又はその共重合体、ポリアクリル酸又はその共重合体、アクリル酸又はその共重合体等、マレイン酸共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸又はその共重合体、など)などである。
【0075】これらの中でも好ましく用いられる水溶性ポリマーは、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デキストラン、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリスチレンスルホン酸又はその共重合体、ポリアクリル酸又はその共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体、アクリロイルメチルプロパンスルホン酸又はその共重合体などであり、特に増粘剤として好ましく利用される。
【0076】これらでも特に好ましい増粘剤としては、ゼラチン、デキストラン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸又はその共重合体、ポリアクリル酸又はその共重合体、マレイン酸モノエステル共重合体などである。これらの化合物は、「新・水溶性ポリマーの応用と市場(株式会社シーエムシー発行、長友新治編集、1988年11月4日発行)」に詳細に記載されている。
【0077】増粘剤としての水溶性ポリマーの使用量は、塗布液に添加した時に粘度が上昇すれば特に限定されない。一般には液中の濃度が0.01〜30質量%である、より好ましくは0.05〜20質量%であり、特に好ましくは0.1〜10質量%である。これらによって得られる粘度は、初期の粘度からの上昇分として1〜200mPa・sが好ましく、より好ましくは5〜100mPa・sである。なお、測定に当たってはB型回転粘度計で25℃で測定した値を示す。塗布液などへの添加に当たっては、一般に増粘剤はできるだけ希薄溶液で添加することが望ましい。また添加時は十分な攪拌を行なうことが好ましい。
【0078】本発明で用いられる界面活性剤について以下に述べる。本発明の界面活性剤はその使用目的によって、分散剤、塗布剤、濡れ剤、帯電防止剤、写真性コントロール剤などに分類されるが、以下に述べる界面活性剤を適宜使用することでそれらの目的は達成できる。本発明で使用される界面活性剤は、ノニオン性、イオン性(アニオン、カチオン、ベタイン)いずれも使用できる。さらにフッ素系界面活性剤も好ましく用いられる。好ましいノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリグリシジルやソルビタンをノニオン性親水性基とする界面活性剤であり、具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコール、多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸部分エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、トリエタノールアミン脂肪酸部分エステルを挙げることができる。
【0079】アニオン系界面活性剤としてはカルボン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩であり、代表的なものとしては脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、α−スルホン化脂肪酸塩、N−メチルーNオレイルタウリン、石油スルホン酸塩、アルキル硫酸塩、硫酸化油脂、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチレン化フェニールエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物などである。カチオン系界面活性剤としてはアミン塩、4級アンモニウム塩、ピリジウム塩などを挙げることができ、第1〜第3脂肪アミン塩、第4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジウム塩、アルキルイミダゾリウム塩など)を挙げることが出来る。ベタイン系界面活性剤としてはカルボキシベタイン、スルホベタインなどであり、N−トリアルキル−N−カルボキシメチルアンモニウムベタイン、N−トリアルキル−N−スルホアルキレンアンモニウムベタインなどである。
【0080】これらの界面活性剤は、「界面活性剤の応用(幸書房、刈米孝夫著、昭和55年9月1日発行)」に記載されている。本発明においては、好ましい界面活性剤はその使用量において特に限定されず、目的とする界面活性特性が得られる量であればよい。なお、フッ素含有界面活性剤の塗布量は、1m2当り0.01mg〜250mgが好ましい。以下に界面活性剤の具体例を記すが、これに限定されるものではない(ここで、‐C64‐はフェニレン基を表わす)。
WA−1 :C16H33(OCH2CH2)10OHWA−2 :C9H19‐C6H4‐(OCH2CH2)12OHWA−3 :ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムWA−4 :トリ(イソプロピル)ナフタレンスルホン酸ナトリウムWA−5 :トリ(イソブチル)ナフタレンスルホン酸ナトリウムWA−6 :ドデシル硫酸ナトリウムWA−7 :α−スルファコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)エステルナトリウム塩WA−8 :C8H17‐C6H4‐(CH2CH2O)3(CH2)2SO3KWA−10 :セチルトリメチルアンモニウムクロライドWA−11 :C11H23CONHCH2CH2N+(CH3)2‐CH2COO-WA−12 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)16HWA−13 :C8F17SO2N(C3H7)CH2COOKWA−14 :C8F17SO3KWA−15 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2CH2O)4(CH2)4SO3NaWA−16 :C8F17SO2N(C3H7)(CH2)3OCH2CH2N+(CH3)3‐CH3‐C6H4‐SO3-WA−17 :C8F17SO2N(C3H7)CH2CH2CH2N+(CH3)2‐CH2COO-【0081】本発明の好ましい態様においては、画像形成層及び保護層に加えて、必要に応じて中間層を設けても良いが、生産性の向上などを目的として、これらの複数の層を水系において同時重層塗布する。塗布方式はエクストルージョン塗布、スライドビード塗布、カーテン塗布などがあるが、特開2000−2964号公報の図1で開示されているスライドビード塗布方式が特に好ましい。
【0082】ゼラチンを主バインダーとして用いるハロゲン化銀写真感光材料の場合では、コーティングダイの下流に設けられている第一乾燥ゾーンで急冷され、その結果、ゼラチンのゲル化が起こり、塗布膜は冷却固化される。冷却固化されて流動の止まった塗布膜は続く第二乾燥ゾーンに導かれ、これ以降の乾燥ゾーンで塗布液中の溶媒が揮発され、成膜される。第二乾燥ゾーン以降の乾燥方式としては、U字型のダクトからローラー支持された支持体に噴流を吹き付けるエアーループ方式や円筒状のダクトに支持体をつるまき状に巻き付けて搬送乾燥する、つるまき方式(エアーフローティング方式)などが挙げられる。
【0083】バインダーの主成分がポリマーラテックスである本発明の塗布液では、急冷では塗布液の流動を停止させることができないため、第一乾燥ゾーンのみでは予備乾燥が不十分である場合もある。この場合は、ハロゲン化銀写真感光材料の様な乾燥方式では流れムラや乾燥ムラが生じ、塗布面状に重大な欠陥を生じやすい。本発明における好ましい乾燥方式は、特開2000−2964号公報に記載されているような第一乾燥ゾーン、第二乾燥ゾーンを問わず、少なくとも恒率乾燥が終了するまでの間は水平乾燥ゾーンで乾燥させる方式である。塗布直後から水平乾燥ゾーンに導かれるまでの支持体の搬送は、水平搬送であってもなくてもどちらでもよく、塗布機の水平方向に対する立ち上がり角度としては0〜70°の間にあればよい。また、本発明のおける水平乾燥ゾーンとは、支持体が塗布機の水平方向に対して上下に±15°以内に搬送されればよく、水平搬送を意味するものではない。
【0084】本発明における恒率乾燥とは、液膜温度が一定で流入する熱量全てが溶媒の蒸発に使用される乾燥過程を意味する。減率乾燥とは、乾燥末期になると種々の要因(水分移動の材料内部拡散が律速になる、蒸発表面の後退など)により乾燥速度が低下し、与えられた熱は液膜温度上昇にも使用される乾燥過程を意味する。恒率過程から減率過程に移行する限界含水率は200〜300%である。恒率乾燥が終了する時には、流動が停止するまで十分乾燥が進むため、ハロゲン化銀写真感光材料の様な乾燥方式も採用することができるが、本発明においては恒率乾燥後も最終的な乾燥点まで水平乾燥ゾーンで乾燥させることが好ましい。本発明における好ましい乾燥条件は、画像形成層および/または保護層を形成する時の乾燥条件が、恒率乾燥時の液膜表面温度が用いられるポリマーラテックスの最低造膜温度(MTF;通常ポリマーのガラス転移温度Tgより3〜5℃高い)以上で、通常は製造設備の制限より25℃〜40℃である場合が多い。また、減率乾燥時の乾球温度は用いる支持体のTg未満の温度(PETの場合通常80℃以下)が好ましい。本発明における液膜表面温度とは、支持体に塗布された塗布液膜の溶媒液膜表面温度を言い、乾球温度とは乾燥ゾーンの乾燥風の温度を意味する。
【0085】恒率乾燥時の液膜表面温度が低くなる条件で乾燥した場合、乾燥が不十分となりやすい。このため特に保護層の造膜性が著しく低下し、膜表面に亀裂が生じやすくなる。また、膜強度も弱くなり、露光機や熱現像機での搬送中に傷がつきやすくなるなどの重大な問題が生じやすくなる。一方、高い液膜表面温度となる条件で乾燥した場合、主としてポリマーラテックスから構成される保護層が速やかに皮膜を形成し、一方画像形成層などの下層は流動性が停止していないので、表面の凹凸が発生しやすくなる。また、支持体(ベース)にTgよりも高い過剰の熱がかかると、熱現像画像記録材料の寸度安定性、耐巻き癖性も悪くなる傾向にある。下層を塗布乾燥してから上層を塗布する逐次塗布においても同様であるが、特に、下層の乾燥前に上層を塗布して、両層を同時に乾燥する同時重層塗布を行うための塗布液物性としては、画像形成層の塗布液と保護層の塗布液のpH差が2.5以下であることが好ましく、このpH差は小さい程好ましい。塗布液のpH差が大きくなると塗布液界面でミクロな凝集が生じやすくなり、長尺連続塗布時に塗布筋などの重大な面状故障が発生しやすくなる。
【0086】画像形成層の塗布液粘度は25℃で15〜100mPa・sが好ましく、さらに好ましくは30〜70mPa・sである。一方、保護層の塗布液粘度は25℃で5〜75mPa・sが好ましく、さらに好ましくは20〜50mPa・sである。これらの粘度はB型粘度計によって測定される。乾燥後の巻取りは温度20〜30℃、相対湿度45±20%の条件下で行うことが好ましく、巻き姿はその後の加工形態に合わせ画像形成層側の面を外側にしてもよいし、内側にしてもよい。また、加工形態がロール品の場合は巻き姿で発生したカールを除去するために加工時に巻き姿とは反対側に巻いたロール形態にすることも好ましく用いられる。なお、熱現像画像記録材料の包袋内湿度は相対湿度20〜55%(25℃測定)の範囲で制御されることが好ましい。
【0087】従来から用いられているハロゲン化銀を含みゼラチンを基体とする粘性液である写真乳剤塗布液は、通常加圧送液するだけで気泡が液中に溶解、消滅してしまい、塗布時大気圧下に戻されても気泡が析出するようなことはほとんどない。ところが、本発明で好ましく用いられる有機銀塩分散物とポリマーラテックスなどを含む画像形成層塗布液の場合は、加圧送液だけでは脱泡が不十分になりやすいため、気液界面が生じないようにして送液しながら超音波振動を与え脱泡することが好ましい。本発明において塗布液の脱泡は、塗布液を塗布される前に減圧脱気し、更に1.5kg/cm2以上の加圧状態に保ち、かつ気液界面が生じないようにして連続的に送液しながら超音波振動を与える方式が好ましい。具体的には、特公昭55−6405号公報(4頁20行〜7頁11行)に記載されている方式が好ましい。このような脱泡を行う装置として、特願平10−290003の実施例図3に示される構成のものを好ましく用いることができる。
【0088】加圧条件として1.5kg/cm2以上、好ましくは1.8kg/cm2以上である。その上限に特に制限はないが、通常5kg/cm2程度である。与えられる超音波の音圧は0.2V以上、好ましくは0.5V〜3.0Vであり、一般的に音圧は高い方が好ましいが、音圧が高すぎるとキャピテーションにより部分的に高温状態になりカブリの発生原因となる。周波数は特に制約はないが、通常10kHz以上、好ましくは20kHz〜200kHzである。なお、減圧脱気は、タンク内(通常、調液タンクもしくは貯蔵タンク)を密閉減圧し、塗布液中の気泡径を増大させ、浮力をかせぎ脱気させることを指し、減圧脱気の際の減圧条件は−200mmHgないしそれより低い圧力条件、好ましくは−250mmHgないしそれより低い圧力条件とし、その最も低い圧力条件は特に制限はないが通常−800mmHg程度である。減圧時間は30分以上、好ましくは45分以上、その上限は特に制限はない。
【0089】本発明において、画像形成層、画像形成層の保護層、下塗層及びバック層には特開平11−84573号公報の段落番号[0204]〜[0208]、特願平11−106881号明細書の段落番号[0240]〜[0241]に記載の如くハレーション防止などの目的で、染料を含有することができる。本発明の画像形成層には色調改良、イラジエーション防止の観点から各種染料や顔料を用いることができる。本発明の画像形成層に用いる染料および顔料はいかなるものでもよいが、例えば特開平11−119374号公報の段落番号[0297]に記載されている化合物を用いることができる。これらの染料の添加法としては、溶液、乳化物、固体微粒子分散物、高分子媒染剤に媒染された状態などいかなる方法でも良い。これらの化合物の使用量は目的の吸収量によって決められるが、一般的に1m2当たり1×10-6g〜1gの範囲で用いることが好ましい。本発明でハレーション防止染料を使用する場合、該染料は所望の範囲で目的の吸収を有し、処理後に可視領域での吸収が充分少なく、上記バック層の好ましい吸光度スペクトルの形状が得られればいかなる化合物でも良い。例えば特開平11−119374号公報の段落番号[0300]に記載されている化合物を用いることができる。また、ベルギー特許第733,706号明細書に記載されたように染料による濃度を加熱による消色で低下させる方法、特開昭54−17833号公報に記載の光照射による消色で濃度を低下させる方法等を用いることができる。
【0090】本発明の熱現像画像記録材料が熱現像後において、PS版により刷版を作製する際にマスクとして用いられる場合、熱現像後の熱現像画像記録材料は、製版機においてPS版に対する露光条件を設定するための情報や、マスク原稿およびPS版の搬送条件等の製版条件を設定するための情報を画像情報として担持している。従って、前記のイラジエーション染料、ハレーション染料、フィルター染料の濃度(使用量)は、これらを読み取るために制限される。これら情報はLEDあるいはレーザーによって読み取られるため、センサーの波長域のDmin(最低濃度)が低い必要があり吸光度が0.3以下である必要がある。例えば、富士写真フイルム(株)社製の製版機S−FNRIIIはトンボ検出のための検出器及びバーコードリーダーとして670nmの波長の光源を使用している。また、清水製作社製の製版機APMLシリーズのバーコードリーダーとして670nmの光源を使用している。すなわち670nm付近のDmin(最低濃度)が高い場合にはフィルム上の情報が正確に検出できず搬送不良、露光不良など製版機で作業エラーが発生する。従って、670nmの光源で情報を読み取るためには670nm付近のDminが低い必要があり、熱現像後の660〜680nmの吸光度が0.3以下である必要がある。より好ましくは0.25以下である。その下限に特に制限はないが、通常、0.10程度である。
【0091】本発明において、像様露光に用いられる露光装置は露光時間が10-7秒未満の露光が可能な装置であればいずれでもよいが、一般的にはLAser Diode(LD)、Light Emitting Diode(LED)を光源に使用した露光装置が好ましく用いられる。特に、LDは高出力、高解像度の点でより好ましい。これらの光源は目的波長範囲の電磁波スペクトルの光を発生することができるものであればいずれでもよい。例えばLDであれば、色素レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザーなどを用いることができる。本発明の露光は光源の光ビームをオーバーラップさせて露光し、オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことをいう。オーバーラップとは例えば、ビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表わしたときFWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明ではこのオーバラップ係数が0.2以上であることが好ましい。
【0092】本発明に使用する露光装置の光源の走査方式は特に限定はなく、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。また、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、円筒外面方式の場合にはマルチチャンネルが好ましく用いられる。本発明の熱現像画像記録材料は露光時のヘイズが低く、干渉縞が発生しやすい傾向にある。この干渉縞発生防止技術としては、特開平5−113548号公報などに開示されているレーザー光を熱現像画像記録材料に対して斜めに入光させる技術や、国際公開WO95/31754号公報などに開示されているマルチモードレーザーを利用する方法が知られており、これらの技術を用いることが好ましい。
【0093】本発明に用いられる画像形成方法の加熱現像工程はいかなる方法であっても良いが、通常イメージワイズに露光した熱現像画像記録材料を昇温して現像される。用いられる熱現像機の好ましい態様としては、熱現像画像記録材料をヒートローラーやヒートドラムなどの熱源に接触させるタイプとして特公平5−56499号公報、特開平9−292695号公報、特開平9−297385号公報および国際公開WO95/30934号公報に記載の熱現像機、非接触型のタイプとして特開平7−13294号公報、国際公開WO97/28489号公報、同97/28488号公報および同97/28487号公報に記載の熱現像機がある。特に好ましい態様としては非接触型の熱現像機である。好ましい現像温度としては80〜250℃であり、さらに好ましくは100〜140℃である。現像時間としては1〜180秒が好ましく、10〜90秒がさらに好ましい。本発明の熱現像画像記録材料の熱現像時の寸法変化による処理ムラを防止する方法として、80℃〜115℃未満の温度で画像が出ないようにして5秒以上加熱した後、110℃〜140℃で熱現像して画像形成させる方法(いわゆる多段階加熱方法)が有効である。
【0094】本発明の熱現像画像記録材料を熱現像処理するとき、110℃以上の高温にさらされるため、該材料中に含まれている成分の一部、あるいは熱現像による分解成分の一部が揮発してくる。これらの揮発成分は現像ムラの原因になったり、熱現像機の構成部材を腐食させたり、温度の低い場所で析出し異物として画面の変形を引起こしたり、画面に付着して汚れとなる種々の悪い影響があることが知られている。これらの影響を除くために、熱現像機にフィルターを設置し、また熱現像機内の空気の流れを最適に調整することが知られている。これらを有効に組合わせて利用することができる。国際公開WO95/30933号公報、同97/21150号公報、特表平10−500496号には、結合吸収粒子を有し揮発分を導入する第一の開口部と排出する第二の開口部とを有するフィルターカートリッジを、フィルムと接触して加熱する加熱装置に用いることが、国際公開WO96/12213号公報、特表平10−507403号公報には、熱伝導性の凝縮捕集器とガス吸収性微粒子フィルターを組合わせたフィルターを用いることが記載されている。本発明ではこれらを好ましく用いることができる。また、米国特許第4,518,845号明細書、特公平3−54331号公報には、フィルムからの蒸気を除去する装置とフィルムを伝熱部材へ押圧する加圧装置と伝熱部材を加熱する装置とを有する構成が記載されており、国際公開WO98/27458号公報には、フィルムから揮発するかぶりを増加させる成分をフィルム表面から取り除くことが記載されている。これらについても本発明では好ましく用いることができる。
【0095】本発明の熱現像画像記録材料の熱現像処理に用いられる熱現像機の一構成例を図1に示す。図1は熱現像機の側面図を示したものである。図1の熱現像機は熱現像画像記録材料10を平面状に矯正および予備加熱しながら加熱部に搬入する搬入ローラー対11(上部ローラーはシリコンゴムローラーで、下部ローラーがアルミ製のヒートローラー)と熱現像後の熱現像後の熱現像画像記録材料10を平面状に矯正しながら加熱部から搬出する搬出ローラー対12を有する。熱現像画像記録材料10は搬入ローラー対11から搬出ローラー対12へと搬送される間に熱現像される。この熱現像中の熱現像画像記録材料10を搬送する搬送手段は画像形成層を有する面が接触する側に複数のローラー13が設置され、その反対側のバック面が接触する側には不織布(例えば芳香族ポリアミドやテフロン(登録商標)から成る)等が貼り合わされた平滑面14が設置される。熱現像画像記録材料10は画像形成層を有する面に接触する複数のローラー13の駆動により、バック面は平滑面14の上を滑って搬送される。加熱手段はローラー13の上部及び平滑面14の下部に熱現像画像記録材料10の両面から加熱されるように加熱ヒーター15が設置される。この場合の加熱手段としては板状ヒーター等が挙げられる。ローラー13と平滑面14とのクリアランスは平滑面の部材により異なるが、熱現像画像記録材料10が搬送できるクリアランスに適宜調整される。好ましくは0〜1mmである。
【0096】ローラー13の表面の材質及び平滑面14の部材は、高温耐久性があり、熱現像画像記録材料10の搬送に支障がなければ何でも良いが、ローラー表面の材質はシリコンゴム、平滑面の部材は芳香族ポリアミドまたはテフロン(PTFE)製の不織布が好ましい。加熱手段としては複数のヒーターを用い、それぞれ加熱温度を自由に設定することが好ましい。なお、加熱部は、搬入ローラー対11を有する予備加熱部Aと、加熱ヒーター15を備えた熱現像加熱部Bとで構成されるが、熱現像処理部Bの上流の予備加熱部Aは、熱現像温度よりも低く(例えば10〜30℃程度低く)、熱現像画像記録材料10中の水分量を蒸発させるのに十分な温度および時間に設定することが望ましく、熱現像画像記録材料10の支持体のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度で、現像ムラが出ないように設定することが好ましい。予備加熱部と熱現像処理部の温度分布としては±1℃以下が好ましく、さらには±0.5℃以下が好ましい。また、熱現像処理部Bの下流にはガイド板16が設置され、搬出ローラー対12とガイド板16とを有する徐冷部Cが設置される。ガイド板16は熱伝導率の低い素材が好ましく、熱現像画像記録材料10に変形が起こらないようにするために冷却は徐々に行うのが好ましく、冷却速度としては、0.5〜10℃/秒が好ましい。
【0097】以上、図示例に従って説明したが、これに限らず、例えば特開平7−13294号公報に記載のものなど、本発明に用いられる熱現像機は種々の構成のものであってもよい。また、本発明において好ましく用いられる多段加熱方法の場合は、上述のような装置において、加熱温度の異なる熱源を2個以上設置し、連続的に異なる温度で加熱するようにすればよい。
【0098】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
【0099】《バック/下塗り層のついたポリエチレンテレフタレ‐ト(PET)支持体の作製》
(1)PET支持体の作製テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従い、固有粘度IV=0.66(フェノール/テトラクロルエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のポリエチレンテレフタレートを得た。これをペレット化した後、130℃で4時間乾燥した後、300℃で溶融後T型ダイから押し出した後急冷し、熱固定後の膜厚が120μmになるような厚みの未延伸フイルムを作製した。これを周速の異なるロールを用い、3.3倍に縦延伸、ついでテンターで4.5倍に横延伸を実施した。このときの温度はそれぞれ、110℃、130℃とした。この後、240℃で20秒間熱固定後、これと同じ温度で横方向に4%緩和した。この後、テンターのチャック部をスリットした後、両端にナール加工を行い、4.8kg/cm2で巻きとった。このようにして、幅2.4m、長さ3500m、厚み120μmのロール状のPET支持体を得た。
【0100】(2)下塗り層及びバック層の作成以下に示す塗布液S‐A〜Eの液を作成し、表1に記載の層構成になるように下層から一層ずつ表1に記載の量を塗布して乾燥した。乾燥は、125℃で30秒、150℃で30秒、185℃で30秒行った。PET支持体の表面には、両面とも0.375kV・A・分/m2のコロナ放電処理を施した。
【0101】
(2−1)塗布液S‐Aラテックス‐A 280gKOH 0.5gポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm、平均粒径の変動係数7%)
0.03g2,4‐ジクロロ‐6‐ヒドロキシ‐s‐トリアジン 1.8g蒸留水 合計量が1000gとなる量【0102】
(2−2)塗布液S‐B脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm、ゼリー強度230g)
10g酢酸(20%水溶液) 10g化合物‐Bc‐A 0.04gメチルセルロ‐ス(2%水溶液) 25gポリエチレンオキシ化合物 0.3g蒸留水 合計量が1000gとなる量【0103】
(2−3)塗布液S‐Cジュリマ‐ET410(30%水分散物、日本純薬(株)製) 23gアルカリ処理ゼラチン(分子量約10000、Ca2+含量30ppm)
4.44g脱イオン処理ゼラチン(Ca2+含量0.6ppm) 0.84g化合物‐Bc‐A 0.02g染料‐Bc‐A 785nmの光学濃度として表1に記載の濃度になるように調整ポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7gスミテックスレジンM‐3(8%水溶液) 15g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製)
FS‐10D(SbドープSnO2水分散物、石原産業(株)製)
固形分として表1に記載の量ポリスチレン微粒子(平均粒径:2μm,平均粒径の変動係数7%)
0.03g蒸留水 合計量が1000gとなる量【0104】
(2−4)塗布液S‐Dジュリマ‐ET410(30%水分散物、日本純薬(株)製)
57.5gポリオキシエチレンフェニルエーテル 1.7gスミテックスレジンM‐3(8%水溶液) 15g (水溶性メラミン化合物、住友化学工業(株)製)
セロゾール524(30%水溶液、中京油脂(株)製)
6.6g蒸留水 合計量が1000gとなる量【0105】
(2−5)塗布液S‐Eラテックス:表1に記載の種類 固形分として表1に記載の量化合物‐Bc‐B 2.7g化合物‐Bc‐C 0.6g化合物‐Bc‐D 0.5g硬膜剤:表1に記載の種類 表1に記載の量ポリメチルメタクリレート(10%水分散物、 平均粒子径5μm、平均粒子の変動係数7%) 7.7g蒸留水 合計量が1000gとなる量【0106】
【化1】

【0107】ラテックス‐A:コア部90質量%、シェル部10質量%のコアシェルタイプのラテックスコア部 塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=93/3/3/0.9/0.1(質量%)
シェル部 塩化ビニリデン/メチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリロニトリル/アクリル酸=88/3/3/3/3(質量%)
質量平均分子量38,000【0108】(3)搬送熱処理(3‐1)熱処理このようにして作製したバック/下塗り層を設けたPET支持体を160℃に設定した全長200m熱処理ゾーンに入れ、張力2kg/cm2、搬送速度20m/分で搬送した。
(3‐2)後熱処理上記熱処理に引き続き、40℃のゾーンに15秒間通して後熱処理を行い、巻き取った。この時の巻き取り張力は10kg/cm2であった。
【0109】《熱現像画像記録材料の作製》前記下塗り層を塗布したPET支持体の下塗り層の上に、特願平10‐292849号明細書中の図1に開示されているスライドビート塗布方式を用いて、下記の画像形成層塗布液を塗布銀量1.5g/m2になるように塗布した。さらにその上に、下記の下層保護層塗布液をポリマーラテックスの固形分塗布量が1.31g/m2になるように画像形成層塗布液と共に同時重層塗布した。その後、さらにその上に下記の上層保護層塗布液をポリマーラテックスの固形分塗布量が3.02g/m2になるように塗布し、熱現像画像記録材料Sa.‐1からSa.‐9を作製した。塗布時の乾燥は、恒率過程、減率過程とも乾球温度70〜75℃、露点8〜25℃、液膜表面温度35〜40℃の範囲で、水平乾燥ゾーン(塗布機の水平方向に対し支持体が1.5°〜3°の角度)で行った。乾燥後の巻取りは温度25±5℃、相対湿度45±10%の条件下で行い、巻き姿はその後の加工形態(画像形成層面側外巻)に合わせ、画像形成層面側を外にした。なお、熱現像画像記録材料の包袋内湿度は相対湿度20〜40%(25℃測定)で、得られた熱現像画像記録材料の画像形成側の膜面pHは5.0、ベック平滑度は850秒であった。
【0110】《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》水700mlにアルカリ処理ゼラチン(カルシウム含有量として2700ppm以下)11gおよび臭化カリウム30mg、4−メチルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.3gを溶解して温度40℃にてpHを6.5に調整した後、硝酸銀18.6gを含む水溶液159mlと臭化カリウムを1mol/L、(NH42RhCl5(H2O)を5×10-6mol/L、及びK3IrCl6を2×10-5mol/Lで含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で6分30秒間かけて添加した。ついで、硝酸銀55.5gを含む水溶液476mlと臭化カリウムを1mol/L及びK3IrCl6を2×10-5mol/Lで含むハロゲン塩水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールダブルジェット法で28分30秒間かけて添加した。その後pHを下げて凝集沈降させて脱塩処理をし、平均分子量15,000の低分子量ゼラチン(カルシウム含有量として20ppm以下)51.1gを加え、pH5.9、pAg8.0に調整した。得られた粒子は平均粒子サイズ0.08μm、投影面積変動係数9%、(100)面比率90%の立方体粒子であった。こうして得られたハロゲン化銀粒子を60℃に昇温して銀1mol当たりベンゼンチオスルホン酸ナトリウム76μmolを添加し、3分後にトリエチルチオ尿素71μmolを添加した後、100分間熟成し、4‐ヒドロキシ‐6‐メチル‐1,3a,7‐テトラザインデンを5×10-4mol、化合物‐Aを0.17g加えた後、40℃に降温させた。その後、40℃に温度を保ち、ハロゲン化銀1molに対して4.7×10-2molの臭化カリウム(水溶液として添加)、12.8×10-4molの増感色素‐A(エタノール溶液として添加)、6.4×10-3molの化合物‐B(メタノール溶液として添加)を攪拌しながら添加し、20分後に30℃に急冷してハロゲン化銀乳剤Aの調製を終了した。
【0111】
【化2】

【0112】《ベヘン酸銀分散物Aの調製》ベヘン酸(ヘンケル社製、製品名EdenorC22−85R)87.6kg、蒸留水423L、5mol/L濃度のNaOH水溶液49.2L、tert‐ブチルアルコール120Lを混合し、75℃にて1時間攪拌し反応させ、ベヘン酸ナトリウム溶液を得た。別に、硝酸銀40.4kgの水溶液206.2Lを用意し、10℃にて保温した。635Lの蒸留水と30Lのtert‐ブチルアルコールを入れた反応容器を30℃に保温し、攪拌しながら先のベヘン酸ナトリウム溶液の全量と硝酸銀水溶液の全量を流量一定でそれぞれ62分10秒と60分かけて添加した。この時、硝酸銀水溶液添加開始後7分20秒間は硝酸銀水溶液のみが添加されるようにし、そのあとベヘン酸ナトリウム溶液を添加開始し、硝酸銀水溶液添加終了後9分30秒間はベヘン酸ナトリウム溶液のみが添加されるようにした。このとき、反応容器内の温度は30℃とし、液温度が上がらないようにコントロールした。また、ベヘン酸ナトリウム溶液の添加系の配管は、スチームトレースにより保温し、添加ノズル先端の出口の液温度が75℃になるようにスチーム量をコントロールした。また、硝酸銀水溶液の添加系の配管は、2重管の外側に冷水を循環させることにより保温した。ベヘン酸ナトリウム溶液の添加位置と硝酸銀水溶液の添加位置は攪拌軸を中心として対称的な配置とし、また反応液に接触しないような高さに調節した。ベヘン酸ナトリウム溶液を添加終了後、そのままの温度で20分間攪拌放置し、25℃に降温した。その後、吸引濾過で固形分を濾別し、固形分を濾水の伝導度が30μS/cmになるまで水洗した。こうして得られた固形分は、乾燥させないでウエットケーキとして保管した。得られたベヘン酸銀の粒子の形態を電子顕微鏡撮影により評価したところ、平均投影面積径0.52μm、平均粒子厚み0.14μm、平均球相当径の変動係数15%の鱗片状の結晶であった。
【0113】つぎに、以下の方法でベヘン酸銀の分散物を作製した。乾燥固形分100g相当のウエットケーキに対し、ポリビニルアルコール(商品名:PVA−217,平均重合度:約1700)7.4gおよび水を添加し、全体量を385gとしてからホモミキサーにて予備分散した。次に予備分散済みの原液を分散機(商品名:マイクロフルイダイザーM‐110S‐EH、マイクロフルイデックス・インターナショナル・コーポレーション製、G10Zインタラクションチャンバー使用)の圧力を1750kg/cm2に調節して、三回処理し、ベヘン酸銀分散物Aを得た。冷却操作は蛇管式熱交換器をインタラクションチャンバーの前後に各々装着し、冷媒の温度を調節することで所望の分散温度に設定した。こうして得たベヘン酸銀分散物Aに含まれるベヘン酸銀粒子は体積加重平均直径0.52μm、変動係数15%の粒子であった。粒子サイズの測定は、Malvern Instruments Ltd.製MasterSizerXにて行った。また電子顕微鏡撮影により評価すると、長辺と短辺の比が1.5、粒子厚み0.14μm、平均アスペクト比(粒子の投影面積の円相当径と粒子厚みの比)が5.1であった。
【0114】《還元剤‐Aの固体微粒子分散物の調製》還元剤‐A[1,1‐ビス‐(2‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)‐3,5,5‐トリメチルヘキサン]10kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgに、サーフィノール104E(日信化学(株)製)400gと、メタノール640g、水16kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM‐2:アイメックス(株)製)にて3時間30分分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩4gと水を加えて還元剤の濃度が25質量%になるように調製し、還元剤の固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物に含まれる還元剤粒子はメジアン径0.44μm、最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変動係数19%であった。得られた分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0115】《有機ポリハロゲン化合物‐Aの固体微粒子分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物‐A[トリブロモメチル(4‐(2,4,6‐トリメチルフェニルスルホニル)フェニル)スルホン]10kgと、変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液639gと、サーフィノール104E(日信化学(株)製)400gと、メタノール640gと水16kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM‐2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち水を加えて有機ポリハロゲン化合物‐Aの濃度が25質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物‐Aの固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.36μm、最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変動係数18%であった。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0116】《有機ポリハロゲン化合物‐Bの固体微粒子分散物の調製》有機ポリハロゲン化合物‐B[トリブロモメチルナフチルスルホン]5kgと変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液2.5kgと、トリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液213gと、水10kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM‐2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩2.5gと水を加えての有機ポリハロゲン化合物‐Bの濃度が20質量%になるように調製し、有機ポリハロゲン化合物‐Bの固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.38μm、最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変動係数20%であった。得られた分散物は孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0117】《有機ポリハロゲン化合物‐C水溶液の調製》室温で攪拌しながら水75.0ml、トリプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20%水溶液8.6ml、オルトりん酸二水素ナトリウム・2水和物の5%水溶液6.8ml、および水酸化カリウムの1mol/l水溶液9.5mlを順次添加し、添加終了後5分間攪拌混合した。さらに、攪拌しながら有機ポリハロゲン化合物‐C[3−トリブロモメタンスルホニルベンゾイルアミノ酢酸]4.0gの粉末を添加し、溶液が透明になるまで均一に溶解させて水溶液100mlを得た。得られた水溶液は、200メッシュのポリエステル製スクリーンにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0118】《化合物−Zの乳化分散物の調製》化合物−Zを85質量%含有する三光(株)製R−054を10kgとMIBK11.66kgを混合した後、窒素置換して80℃で1時間溶解した。この液に水25.52kgとクラレ(株)製MPポリマーのMP−203の20質量%水溶液12.76kgとトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20質量%水溶液0.44kgを添加して、20〜40℃、3600rpmで60分間乳化分散した。さらに、この液にサーフィノール104E(日信化学(株)製)0.08kgと水47.94kgを添加して減圧蒸留し、MIBKを除去したのち、化合物−Zの濃度が10質量%になるように調製した。こうして得た分散物に含まれる化合物−Zの粒子はメジアン径0.19μm、最大粒子径1.5μm以下、粒子径の変動係数17%であった。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0119】《色調剤‐Aの分散液の調製》室温で水86.15gを攪拌しながら変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、ポバールMP203)2.0gが塊状にならない様に添加し10分間攪拌混合した。その後加熱し、内温が50℃になるまで昇温した後、90分間攪拌し均一に溶解させた。内温を40℃以下に降温し、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製、PVA−217)の10%水溶液17.0g、トリプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウムの20%水溶液3.0g、および色調剤‐A(6−イソプロピルフタラジン)の70%水溶液7.15gを添加し、30分攪拌して透明分散液100gを得た。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0120】《造核剤‐Yの固体微粒子分散物の調製》造核剤‐Y4kgに対してクラレ(株)製ポバールPVA−217を1kgと水36kgとを添加して良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて12時間分散したのち、ベンゾイソチアゾリノンナトリウム塩4gと水を加えて造核剤濃度が10質量%になるように調製し、造核剤の固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物に含まれる造核剤の粒子はメジアン径0.34μm、最大粒子径3.0μm以下、粒子径の変動係数19%であった。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0121】《現像促進剤‐Aの固体微粒子分散物の調製》現像促進剤‐A(N‐[4‐(3,5‐ジクロロ‐4‐ヒドロキシフェニルスルファモイル)フェニル]アセトアミド)10kgと、変性ポリビニルアルコール(クラレ(株)製ポバールMP203)の20質量%水溶液10kgと、水20kgを添加して、良く混合してスラリーとした。このスラリーをダイアフラムポンプで送液し、平均直径0.5mmのジルコニアビーズを充填した横型サンドミル(UVM−2:アイメックス(株)製)にて5時間分散したのち水を加えて現像促進剤‐Aの濃度が20質量%になるように調製し、現像促進剤‐Aの固体微粒子分散物を得た。こうして得た分散物に含まれる有機ポリハロゲン化合物粒子はメジアン径0.5μm、最大粒子径2.0μm以下、平均粒子径の変動係数18%であった。得られた分散物は、孔径3.0μmのポリプロピレン製フィルターにてろ過を行い、ゴミ等の異物を除去して収納した。
【0122】《画像形成層塗布液の調製》上記で作製したベヘン酸銀分散物Aの銀1molに対して、以下のバインダー、素材、およびハロゲン化銀乳剤Aを添加して、水を加えて、画像形成層塗布液とした。完成後、減圧脱気を圧力0.54atmで45分間行った。塗布液のpHは7.3〜7.7、粘度は25℃で40〜50mPa・sであった。
バインダー;ラックスター3307B 固形分として 397g(大日本インキ化学工業(株)製;SBRラテックスでガラス転移温度17℃)
還元剤‐A 固形分として 102.4g有機ポリハロゲン化合物‐A 固形分として 43.6g有機ポリハロゲン化合物‐B 固形分として 13.8g有機ポリハロゲン化合物‐C 固形分として 2.25gエチルチオスルホン酸ナトリウム 0.47gベンゾトリアゾール 1.02gポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA‐235) 10.8g色調剤‐A 固形分として 15.0g化合物‐Z 固形分として 9.7g造核剤‐Y 固形分として 0.03mol染料‐A(平均分子量15,000の低分子量ゼラチンとの混合液として添加)
783nmの光学濃度が0.15になる塗布量(目安として0.19g)
ハロゲン化銀乳剤A Ag量として0.06mol防腐剤として化合物‐A 塗布液中に40ppm(塗布量として2.5mg/m2
メタノールの塗布液中総溶媒量として 2質量%エタノールの塗布液中総溶媒量として 1質量%(なお、塗布膜のガラス転移温度は17℃であった。)
【0123】
【化3】

【0124】《下層保護層塗布液の調製》メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度46℃(計算値)、固形分濃度として21.5%、化合物‐Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化合物‐Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有させ塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子径116nm)943gに水を加え、化合物‐E1.62g、有機ポリハロゲン化合物‐C水溶液112.7g、現像促進剤‐Aを固形分として11.54g、マット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8%)1.58gおよびポリビニルアルコール(クラレ(株)製,PVA−235)29.4gを加え、さらに水を加えて塗布液(メタノール溶媒を2質量%含有)を調製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47atmで60分間行った。塗布液のpHは5.4、粘度は25℃で39mPa・sであった。
【0125】《上層保護層塗布液の調製》メチルメタクリレート/スチレン/2−エチルヘキシルアクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/アクリル酸=58.9/8.6/25.4/5.1/2(質量%)のポリマーラテックス溶液(共重合体でガラス転移温度46℃(計算値)、固形分濃度として21.5%、化合物‐Aを100ppm含有させ、さらに造膜助剤として化合物‐Dをラテックスの固形分に対して15質量%含有させ、塗布液のガラス転移温度を24℃とした、平均粒子経72nm)649gに水を加え、カルナヴァワックス(中京油脂(株)製、セロゾール524:シリコーン含有量として5ppm未満)30質量%溶液6.30g、化合物‐C0.23g、化合物‐E0.93g、化合物‐F7.95g、化合物‐H1.8g、マット剤(ポリスチレン粒子、平均粒径7μm、平均粒径の変動係数8%)1.18gおよびポリビニルアルコール(クラレ(株)製,PVA−235)12.1gを加え、さらに水を加えて塗布液(メタノール溶媒を1.5質量%含有)を調製した。完成後、減圧脱気を圧力0.47atmで60分間行った。塗布液のpHは2.8、粘度は25℃で30mPa・sであった。
【0126】
【化4】

【0127】《評価》
(寸度安定性の評価)上記方法により作製した熱現像画像記録材料を25℃相対湿度75%の雰囲気下に24時間放置して調湿した後、全面を曝光し、処理前の熱現像画像記録材料(サイズ5cm×25cm:長軸が処理方向)に200mmの間隔を置いて、直径8mmの穴を2個開け、1/1000mm精度のピンゲージを用いて、2個の穴の間隔を正確に測定した。このときの寸法をX(単位mm)とする。ついで、25℃相対湿度75%の雰囲気下で図1に示した熱現像機を用いて、120℃25秒の現像条件で熱現像処理した後、25℃相対湿度75%の雰囲気下に放置し、240分後の寸法をピンゲージにて測定した。このときの寸法をY(単位mm)とする。以下の式にしたがって、寸法変化率を算出して寸法安定性を評価した。実用上寸度変化率は0.02%以下が好ましい。
寸法変化率(%)=[(Y‐X)/200]×100【0128】(アンチハレーション効果の評価)上記方法により作製した熱現像画像記録材料を、5cm×12cmに裁断し、熱現像画像記録材料の塗布面に対して75°の角度で785nmのレーザー光により線幅一定(約100μm)の露光を与えた。そのあと、図1の熱現像装置(熱現像処理部のローラー表面材質はシリコンゴム、平滑面は芳香族ポリアミド不織布)を用いて、90℃〜100℃の予備加熱を5秒、120℃で20秒の現像処理を行った。熱現像後、線幅を顕微鏡観察により測定した。120μm以下であると画質は問題ないが、それ以上であると許容できないレベルである。
【0129】(帯電防止効果の評価)上記方法により作製した熱現像画像記録材料を25℃相対湿度10%の雰囲気下に24時間放置して調湿した後、相対湿度10%の雰囲気下で20mに裁断し、簡易巻き替え機でラインスピード20m/分で巻き替えを10回行い、そのまま、露光を与えずに熱現像機にて120℃で45秒間熱現像処理を行った。帯電防止効果の小さいサンプルは、静電気由来の黒ポツの発生が見られる。黒ポツの発生レベルを目視にて5段階に分類した。点数は高いほど帯電防止効果が優れており、3以下のレベルが、製造工程、処理工程で通常の使用形態で黒ポツが問題となるレベルである。
【0130】
【表1】

【0131】表1に示すように、露光波長での吸光度が0.3〜1.8のアンチハレーション層を画像形成層側に形成した本発明の熱現像画像記録材料は、画質がよく、寸度安定性が良い。これに対して、露光波長での吸光度が0.3〜1.8のアンチハレーション層を画像形成層とは反対側に形成した比較例の熱現像画像記録材料は、支持体での反射分を吸収しきれないため高画質を得ることが困難である。
【0132】
【発明の効果】本発明の熱現像画像記録材料は、寸法安定性が良好で、アンチハレーション効果が優れており、支持体での反射分を十分に吸収することができるために高画質画像を形成することができる。
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【出願日】 平成12年4月27日(2000.4.27)
【代理人】 【識別番号】100095843
【弁理士】
【氏名又は名称】釜田 淳爾 (外2名)
【公開番号】 特開2001−305696(P2001−305696A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−127090(P2000−127090)