| 【発明の名称】 |
有機銀塩組成物の製造方法及び熱現像感光材料 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 聡
【氏名】星野 秀樹
【氏名】田▲崎▼ 克也
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| 【要約】 |
【課題】生産性の向上した有機銀塩組成物の製造方法を提供し、且つ、現像後のカブリ上昇が抑制され、生保存性が向上した熱現像感光材料を提供する。
【解決手段】有機酸のアルカリ塩の水溶液または懸濁液に硝酸銀を添加して有機銀塩分散物を製造し、直ちに遠心分離方式又は加圧濾過方式により脱塩及び脱水を行うことを特徴とする有機銀塩組成物の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有機酸のアルカリ塩の水溶液または懸濁液に硝酸銀を添加して有機銀塩分散物を製造し、直ちに遠心分離方式により脱塩及び脱水を行うことを特徴とする有機銀塩組成物の製造方法。 【請求項2】 有機酸のアルカリ塩の水溶液または懸濁液に硝酸銀を添加して有機銀塩分散物を製造し、直ちに加圧濾過方式により脱塩及び脱水を行うことを特徴とする有機銀塩組成物の製造方法。 【請求項3】 請求項1又は2記載の製造方法により製造された有機銀塩組成物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は有機銀塩組成物の製造方法に関し、更に、該製造方法を用いて作製された有機銀塩組成物を含有する熱現像感光材料に関する。 【0002】 【従来の技術】熱現像感光材料としては、ドライシルバーといわれる有機銀塩を含有する白黒熱現像感光材料が良く知られており、米国特許第5,343,043号、Research Disclosure 17029号等、多くの特許及び参考文献が挙げられる。 【0003】この熱現像感光材料に塗設される画像形成層には、有機銀塩粒子が含有されている。通常この有機銀塩粒子は水系の母液中で形成され、多くの場合予め形成されたハロゲン化銀粒子とここで混合される。最も一般的な製造過程の概略としては、この後乾燥過程を経てドライ粉末を形成し、有機溶媒及び/またはバインダー中で分散され、調液の後、支持体に塗布される。 【0004】熱現像感光材料に用いる銀供給体としての有機銀塩の調製法は、様々な方法が公知となっている。例えば、特開昭49−93310号、特開昭49−94619号、及び特開昭53−68702号のような水と水難溶性溶媒の共存液中にて有機銀塩を調製する方法、特開昭53−31611号、特開昭54−4117号、及び特開昭54−46709号のような、水溶液中にて有機銀塩を調製する方法、特開昭57−186745号、特開昭47−9432号及び米国特許第3,700,458号に記載のような、有機溶媒中で有機銀塩を調製する方法等がある。 【0005】これらのうち、近年は水溶液中で有機銀塩を調製する方法が一般的である。しかしながらその際、副生した硝酸アルカリを効率的に除去することが困難であった。その対策として、特開平8−234358号では副生した硝酸アルカリの除去に限外濾過膜を使う方法が開示されている。しかしながら、限外濾過では膜透過速度が遅く硝酸アルカリの除去に時間がかかり、また濾過時に限外濾過膜の細孔内に有機銀が付着し膜の洗浄、回復再生が思わしくないという問題があった。 【0006】その改良として本発明者らは、特願平10−255063号において限外濾過に代わってマイクロフィルターをクロスフロー方式で用いる方法を提案した。この方法により膜透過速度を限外濾過の約10倍速めることができ、その結果として有機銀塩製造に要する時間の大幅な短縮が可能となった。しかしながらこの場合にもまだ不十分であり、有機銀塩分散物の製造に際し、より効果的な方法により副生する硝酸アルカリを除去することが望まれていた。 【0007】本発明者らは、特願平11−63284号において、有機酸のアルカリ塩の水溶液又は懸濁液に硝酸銀を添加して有機銀塩分散物の製造方法であって、有機銀塩を浮上分離させることにより水相から分離し、水相を除去することにより、副生する塩(硝酸アルカリ)を除去する脱塩方法を提案した。この脱塩方法により、限外濾過膜を用いる方法やマイクロフィルターをクロスフロー方式で用いる濾過方法に比べて大幅な時間短縮と処理水の大幅な減量を図ることができた。本発明者らは、更なる時間短縮と処理水量の減量の検討を行ってきた。 【0008】また、本発明者らは、特願平10−357466号においては、脱塩された有機銀塩分散物を効率良く脱水して乾燥負荷を軽減し、乾燥時間を短縮し、その後用いる熱現像感光材料の写真性能を改良する方法として、遠心脱水方式或いはプレス脱水方式で脱水処理することを提案した。この脱水方法によって乾燥負荷が大きく低減でき、現像後のカブリ上昇を抑えた熱現像写真感光材料を得ることができたものである。 【0009】本発明者らは、これらの効率的脱水工程と脱塩工程との組み合わせにより、有機銀塩の更なる、効率的製造方法の検討を行ってきた。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、不必要な硝酸アルカリの含有量を極力低減した有機銀塩分散物の、より効率的な製造方法を提供すると共に、現像後のカブリ上昇を抑えた熱現像感光材料を提供することである。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下記の項目1〜3によって達成された。 【0012】1)有機酸のアルカリ塩の水溶液または懸濁液に硝酸銀を添加して有機銀塩分散物を製造し、直ちに遠心分離方式により脱塩及び脱水を行うことを特徴とする有機銀塩組成物の製造方法。 【0013】2)有機酸のアルカリ塩の水溶液または懸濁液に硝酸銀を添加して有機銀塩分散物を製造し、直ちに加圧濾過方式により脱塩及び脱水を行うことを特徴とする有機銀塩組成物の製造方法。 【0014】3)前記1)又は2)記載の製造方法により製造された有機銀塩組成物を含有することを特徴とする熱現像感光材料。 【0015】以下、本発明について詳述する。熱現像感光材料において有機銀塩は還元可能な銀源であり、還元可能な銀イオン源を含有する有機酸の銀塩、特に長鎖(10〜30、好ましくは15〜25の炭素原子数)の脂肪族カルボン酸が好ましい。これら好適な銀塩の例は、Research Disclosure(RDと略することがある)17029及び29963に記載されており、次の様なものが挙げられる:有機酸の銀塩(例えば、没食子酸、シュウ酸、ベヘン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩)。好ましい銀源はベヘン酸銀、アラキジン酸銀およびステアリン酸銀である。 【0016】この場合の有機銀塩、代表的にはベヘン酸銀の調製方法としては種々のものが知られているが、これまでの方法は主として有機溶剤を使用するものが多かった。作業環境の観点からは有機溶剤を使用しない方法が好ましく、本発明においては、有機酸のアルカリ塩(アルカリ金属塩又はアンモニウム塩等)水溶液又は懸濁液と硝酸銀を混合することにより、有機銀塩分散物を形成する。混合方法としては、正混合法、逆混合法、同時混合法、特開平9−127643号に記載されている様なコントロールドダブルジェット法等が好ましく用いられる。 【0017】その具体的方法としては、例えば有機酸にアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を加えて有機酸アルカリ金属塩ソープ(例えば、ベヘン酸ナトリウム、アラキジン酸ナトリウムなど)を作製した後に、コントロールドダブルジェット法により、前記ソープと硝酸銀水溶液を添加して有機銀塩の水性分散物を作製する方法である。その際に感光性ハロゲン化銀粒子を混在させてもよい。 【0018】このようにして得た有機銀塩の水系分散液中には、形成された有機銀塩及び、副生する硝酸アルカリ、保護コロイド及び未反応の有機酸及びそのアルカリ塩等が共存するが、副生する硝酸アルカリは除去する、即ち脱塩、水洗することが必要である。 【0019】得られた有機銀塩の水性分散物は、通常濾過することで副生した硝酸アルカリを含有する水相を除き、有機銀塩の洗浄を清浄な水にて充分行った後、乾燥し、次いでポリビニルブチラール等のバインダーに分散し熱現像感光材料に使用する。 【0020】水性溶液中で形成された有機銀塩はその粒径が小さく、濾過時に充分脱水する為に通常よく行われる様に、プレスしたりするとその疎水性のためにプレスされればされるほど水をはじき濾過性が悪くなり、濾過に非常に時間がかると共に、洗浄が充分行えないため硝酸アルカリが残ってしまうという欠点があった。 【0021】このような問題に対し、本発明者らが提案した遠心分離方式或いは加圧濾過方式による脱水方式と組み合わせて、本発明者らが提案した浮上分離方式よりもさらに効率的な脱塩方法との組み合わせはないものかと検討を繰り返してきた結果、本発明の有機銀塩分散物を形成後、直ちに遠心分離或いは加圧濾過を行い、続けて洗浄することにより、効率的且つ短時間に有機銀塩組成物を得ることができることを見いだしたものである。 【0022】また、驚くべきことに、本発明の方法により、遠心分離或いは加圧濾過を用いて連続的に脱塩及び脱水を行う方が、浮上分離による脱塩を行った後に、遠心分離或いは加圧濾過を用いて脱水を行うよりも脱塩及び脱水効率が良いことが分かった。そのため、本発明の方法により形成された有機銀塩を用いた熱現像写真感光材料は、カブリが低く、露光前の感光材料の保存性が良好であることが分かった。 【0023】本発明において言う直ちにとは、水性溶媒中で有機銀塩分散物を形成後、改めて静置時間を取って有機銀塩の浮上分離を行ったり、水を加えて希釈することにより分離を促進することなく、有機銀塩分散物を形成後直ちに遠心分離機やフィルタープレス濾過器に送液することを意味する。 【0024】即ち、本発明でいう直ちにとは、有機銀塩分散物を形成後、濾過を開始するまでの時間は長くても5時間以内を意味し、好ましくは3時間以内であり、特に好ましくは1時間以内であり、有機酸アルカリ塩に硝酸銀を添加して有機銀塩分散物を形成した後、時間を置かず濾過工程に入るのが最も好ましい。 【0025】そして、浮上分離を行わないことにより、有機銀塩分散物を形成後の脱塩、脱水、乾燥までの総合時間が大幅に短縮でき、かつ以前本発明者らが提案した浮上分離により形成された凝集物には若干の不純物が残存するためと思われるが、写真性能の面からも、本発明の方法により得られた有機銀塩組成物を用いた熱現像写真感光材料とではその特性に差があることを見いだした。 【0026】以下、本発明に用いられる製造装置を図面をもって説明する。図1は、有機銀塩分散物を浮上分離する方法が記載された特願平11−63284号にも記載された有機酸アルカリと硝酸銀の混合を行う有機銀塩分散物の製造装置の概略図である。ここにおいて有機酸アルカリと硝酸銀水溶液を混合し有機銀塩分散物を調製する。1は反応槽としての缶体であり、2は全体を攪拌するアンカーミクサー、3が補助撹拌装置としてのホモディスパー、4は高回転高剪断力により軸流を生じさせ有機酸アルカリと硝酸銀の急速均一な混合を行うホモミクサーである。Mはそれぞれの攪拌装置に付けられた駆動用のモータを表す。5は高回転高剪断力の前記ホモミクサーの極近傍に設けられた硝酸銀の添加口であり、ホモミクサーの極近傍にあることにより迅速均一な混合を果たすことができる。 【0027】本発明に用いられる遠心分離方式とは、有機銀塩分散物を母液と共に円柱状容器に注入し、該容器を高速で回転させることにより脱水する方式である。この様な機構により脱水する装置であればその他、特に限定はなく、あらゆる脱水装置を好ましく適用できる。遠心分離方式の脱水装置には、前記容器の壁面に水を放出する複数の穴を有する有孔壁タイプと、壁面に穴を有さず容器の上部から水を放出する無孔壁タイプがあるが、本発明においては前者のタイプを適用することがより好ましい。 【0028】図2は、本発明に用いられる遠心分離方式による脱水装置の概略断面図である。6は遠心分離装置の缶体であり、その中に濾過面を有するバスケット7があり、このバスケット7はモータにより高速に回転する。8はスラリー供給用ホッパーであり、形成されたスラリー状の有機銀塩分散物を供給する。9は洗浄水供給用ノズルである。 【0029】図3は、遠心分離方式による脱塩及び脱水の各工程を示す概略断面図である。同図中、■の原液供給では、高速で回転するバスケット7にスラリー供給用ホッパー8から形成されたスラリー状の有機銀塩分散物を供給しながら、副生して溶解している硝酸アルカリを含む水分を濾液として分離する。スラリー供給終了後、■の1次脱水で更に、副生して溶解している硝酸アルカリの一部を濾液として分離する。水分が除去されてバスケット内面の有機銀塩分散物ケーキの表面にクラックが発生する前に、引き続き、■の脱塩で9の洗浄水供給用ノズルより、洗浄水を供給して、有機銀塩分散物ケーキの洗浄を行い、副生した硝酸アルカリの除去を行いながら、濾液の伝導度がある目的の値になるまで脱塩を行う。脱塩終了後、洗浄水の供給を終了し、必要であればバスケットの回転数を調整し、更に■の2次脱水を行い余分な水分を除去する。 【0030】本発明に用いられる遠心分離方式で有機銀塩組成物の脱塩及び脱水をする場合、脱塩及び脱水効率を向上させるために、下記関係式(1)で定義される遠心力Gが500以上であることがより好ましく、800以上であることが更に好ましい。 【0031】関係式(1) G=1.119×10-5×r×N2ここで、関係式(1)中、rはバスケットの半径〔cm〕を、Nはバスケットの回転速度〔rpm〕を表す。 【0032】次に、本発明に用いられる加圧濾過方式とは、濾布などの濾材と、濾材を挟む濾板と、濾材を加圧するための圧搾部材から主に構成されるもので、該濾板と濾板の間に保持された、該濾材と濾材との間隙に目的の有機銀塩分散物を母液と共に注入し、該圧搾部材により、該濾材を圧搾することにより分散物をプレスすることで脱水する方式である。この様な機構による脱水する装置であればその他に特に限定はなく、あらゆる脱水装置を好ましく適用できる。 【0033】上記記載の加圧濾過方式の脱水装置としては、例えば、図4又は図5に示した様な装置が好ましく用いられる。 【0034】図4は本発明に用いられる簡易型プレス方式による脱水装置の概略断面図である。図4において、スラリー供給口19よりバルブ16を介して有機銀塩分散物のスラリーが、濾布21、22及び濾板24、25の間に供給され、エアー投入口10から圧力計11、三方弁12、13を介してエアーシリンダー14に空気が送られ、有機銀塩分散物のスラリーを圧搾し、濾液排出口20よりバルブ17を介して濾液が排出され脱水処理が行われる。また、洗浄水供給口18よりバルブ15を介して洗浄水を供給し、有機銀塩分散物の脱塩処理が行われる。 【0035】図5は本発明に用いられるフィルタープレス方式による脱水装置の概略断面図である。架台26に多数の濾板27及び濾布28が両側より強く締め付けられて取り付けられている。 【0036】図6は、フィルタープレス方式による脱塩及び脱水の各工程を示す概略断面図である。同図中、■の原液供給では、2枚の濾板27に挟まれた濾布28の間にスラリー状の有機銀塩分散物を供給しながら、副生して溶解している硝酸アルカリを含む水分を濾液排出口29より濾液として分離する。スラリー供給後、■の1次脱水で更に、ダイヤフラム30に加圧水供給口31より加圧水を送り込み、濾布を圧搾して副生して溶解している硝酸アルカリの一部を濾液として分離する。水分が除去されて有機銀塩分散物ケーキの表面にクラックが発生する前に、引き続き■の脱塩で洗浄水供給口32より、洗浄水を供給して有機銀塩分散物ケーキの洗浄を行い、副生した硝酸アルカリの除去を行いながら、濾液の伝導度がある目的の値になるまで脱塩を行う。脱塩終了後、洗浄水の供給を終了し、必要であれば加圧水の圧力を調整し、再びダイヤフラム30に加圧水を送り込み、濾布を圧搾して、更に■の2次脱水を行い余分な水分を除去する。 【0037】本発明の有機銀塩組成物の製造方法では、脱塩時の洗浄水温度が20℃以上であることが脱塩効率が向上するためより好ましく、30℃以上であることが更に好ましい。この理由は、有機銀塩分散物中を洗浄水が通過する際の濾過速度は、洗浄水の粘度に反比例するためと考えられる。ただし、この時有機銀塩組成物中にハロゲン化銀が混合されている場合であれば特に、60℃以下で行うことが好ましい。 【0038】この様な工程を経て脱塩及び脱水された有機銀塩分散物はその後乾燥して粉末状の有機銀塩組成物を得ることができる。 【0039】以上の方法によって不要な塩類や副生物の少ない有機銀塩組成物を短時間に効率よく得ることができる。これらの有機銀塩組成物を用いて熱現像感光材料を調製するには、有機銀塩組成物を、バインダー、溶剤を用いて、必要ならばさらにボールミル等により分散を行った後、例えば還元剤、色調剤、ハロゲン化銀(これは有機銀塩調製時に混合してもよいが)又はハロゲン化銀形成成分、その他の必要な添加剤を加えて塗布液を調製し、PETベース等の支持体上に塗設することで熱現像感光材料を調製する。これらの本発明の方法により得られた有機銀塩を用いた熱現像感光材料は、有機銀塩調製時の副生物の影響が少ないため、カブリが低く、露光前の熱現像感光材料の保存性に優れたものであることがわかった。本発明の有機銀塩組成物を用いて調製される熱現像感光材料に用いるその他の添加剤やその添加方法については前記RD17029及び29963に詳しく記載されている。 【0040】以上、本発明の有機銀塩の製造方法及びその製造装置について具体的に説明したが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。 【0041】 【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。 【0042】実施例1《ハロゲン化銀乳剤Aの調製》水900ml中にオセインゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液(硝酸銀と当モル量)及びK2〔Ir(NO)Cl5〕を銀1モル当たり1×10-4モルを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを添加しNaOHでpHを5に調整して平均粒子サイズ0.06μm、粒子サイズの変動係数11%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理を行い、その後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整した。更にチオ硫酸ナトリウム及び塩化金酸で最適に化学増感を施し、ハロゲン化銀乳剤Aを得た。 【0043】《有機脂肪酸Na溶液Bの調製》特殊機化工業株式会社製のコンビミックスSL−10型(概略図を図1に示した)を用いて以下の調製を行った。コンビミックスSL−10型の反応容器内で4725mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。その際、アンカーミクサーの回転数を100rpm、ホモディスパー及びホモミクサーの回転速度を1500rpmに設定した。次に1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加した。次に濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機脂肪酸Na溶液Bを得た。 【0044】《有機銀塩分散物Cの形成》上記の有機脂肪酸Na溶液Bの温度を55℃に保ったまま、アンカーミクサーの回転速度を120rpm、ホモディスパー及びホモミクサーの回転数を2500rpmに設定し、上記ハロゲン化銀乳剤A32.3gと純水450mlを添加した。次にアンカーミクサーの回転速度を165rpm、ホモディスパー及びホモミクサーの回転速度を5000rpmに設定し、1Mの硝酸銀水溶液780mlを2分間かけて硝酸銀投入パイプに通し、ホモミクサーの近傍に添加した。更にホモディスパー及びホモミクサーの回転速度を4500rpmに設定し、10分間攪拌し有機銀塩分散物Cを得た。 【0045】《有機銀塩組成物D1の脱塩・脱水》有機銀塩分散物Cを形成後1時間以内に、株式会社コクサン製の遠心分離装置H−122型式BS−030を用いて以下の操作を行った。遠心分離装置H−122型式BS−030の遠心力Gの値を300(概略図を図2に示した)として、スラリー供給用ホッパーより有機銀塩分散物Cを供給した。供給終了後、30秒間脱水を行い(1次脱水工程)、引き続き洗浄水供給用ノズルより洗浄水を供給してケーキ洗浄を開始した。濾液の伝導度をモニターし、伝導度が50μS/cm以下になったところで洗浄水の供給を止め脱塩を終了した(脱塩工程)。その後、遠心力Gの値を600として脱水を行った(2次脱水)。以上の操作により、有機銀塩組成物D1を得た。尚、洗浄水温度は25℃、2次脱水時間は10分間で行った。 【0046】《有機銀塩組成物D2の脱塩・脱水》有機銀塩分散物Cの形成後1時間以内に、図4に示すような、簡易型プレス装置を用いて以下の操作を行った。スラリー供給口より有機銀塩分散物Cを簡易型プレス装置内に供給した。供給終了後、プレス圧を9.8×104Paとして1分間脱水を行い(1次脱水工程)、引き続き洗浄水供給口より洗浄水を供給してケーキ洗浄を開始した。濾液の伝導度をモニターし、伝導度が50μS/cm以下になったところで洗浄水の供給を止め脱塩を終了した(脱塩工程)。その後、プレス圧を3×9.8×104Paとして脱水を行った(2次脱水)。以上の操作により、有機銀塩組成物D2を得た。尚、洗浄水温度は25℃、2次脱水時間は1分間で行った。 【0047】《有機銀塩組成物D3の脱塩・脱水》有機銀塩分散物Cを容積40リットルの容器に移し、純水を加えて撹拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させた。浮上分離後、下層である水層を除去することで水溶性塩類を除去した。同様な操作を繰り返し、最終的に下層である水層の電導度が50μS/cm以下になったところで脱塩を終了した。その後、株式会社コクサン製の遠心分離装置H−122型式BS−030を用いて、遠心力Gの値を600として脱水を行い有機銀塩組成物D3を得た。尚、洗浄水温度は25℃、脱塩回数5回、脱水時間は10分間で行った。 【0048】《有機銀塩組成物D4の脱塩・脱水》有機銀塩分散物Cを容積40リットルの容器に移し、純水を加えて撹拌後、静置させて有機銀塩分散物を浮上分離させた。浮上分離後、下層である水層を除去することで水溶性塩類を除去した。同様な操作を繰り返し、最終的に下層である水層の電導度が50μS/cm以下になったところで脱塩を終了した。その後、簡易型プレス装置を用いて、プレス圧を3×9.8×104Paとして脱水を行い有機銀塩組成物D4を得た。尚、洗浄水温度は25℃、脱塩回数5回、脱水時間は1分間で行った。 【0049】(脱塩・脱水方法の比較評価) 生産性:同一量の有機銀塩分散物を脱塩・脱水するのに要する時間で、短いほど望ましい。 【0050】洗浄水使用量:同一量の有機銀塩分散物を脱塩するのに要する洗浄水量で、少ないほど望ましい。 【0051】脱水性:脱水後の含水率が低いほど望ましい。尚、含水率は〔(ウェット質量−ドライ質量)/ドライ質量〕×100(%)で表した。 【0052】各脱塩方法における脱塩・脱水時間と洗浄水使用量、脱水後の含水率の比較を表1に、またドライ換算した有機銀塩分散物単位重さ当たりの洗浄水量と濾液の伝導度との関係を図7のグラフに示す。 【0053】 【表1】
【0054】表1、図7より明らかなように、生産性、洗浄水使用量、脱水性の観点から本発明が非常に有効であることがわかる。 【0055】実施例2《感光性有機銀塩分散物E1の調製》有機銀塩組成物D1を箱型乾燥器を用いて40℃の熱風により含水率が0.15%以下になるまで、71時間乾燥して有機銀塩分散物の乾燥済み粉体を得た。 【0056】ポリビニルブチラール粉末(Monsanto社製、Butvar B−79)8.7gをメチルエチルケトン875gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMAT CA−40M型にて攪拌しながら上記有機銀塩分散物の乾燥済み粉体300gを徐々に添加して十分に混合することにより予備分散液を調製した。 【0057】上記予備分散液をポンプを用いてミル内滞留時間が10分間となるように、0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ製トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速13m/sにて分散を行なうことにより、感光性有機銀塩分散物E1を得た。 【0058】《感光性有機銀塩分散物E2の調製》有機銀塩組成物D2を用いて、乾燥時間を59時間にする以外は上記感光性有機銀塩分散物E1と同様に調製して、感光性有機銀塩分散物E2を得た。 【0059】《感光性有機銀塩分散物E3の調製》有機銀塩組成物D3を用いて、乾燥時間を98時間にする以外は上記感光性有機銀塩分散物E1と同様に調製して、感光性有機銀塩分散物E3を得た。 【0060】《感光性有機銀塩分散物E4の調製》有機銀塩組成物D4を用いて、乾燥時間を83時間にする以外は上記感光性有機銀塩分散物E1と同様に調製して、感光性有機銀塩分散物E4を得た。 【0061】《PET下引済み写真用支持体の作製》市販の2軸延伸熱固定済みの厚さ100μmのPETフィルムの両面に8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、一方の面に下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて下引層A−1とし、また反対側の面に下記帯電防止加工下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し乾燥させて帯電防止加工下引層B−1とした。 【0062】 (下引塗布液a−1) ブチルアクリレート(30質量%) t−ブチルアクリレート(20質量%) スチレン(25質量%) 2−ヒドロキシエチルアクリレート(25質量%) の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g (C−1) 0.6g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g 水で1リットルに仕上げる (下引塗布液b−1) ブチルアクリレート(40質量%) スチレン(20質量%) グリシジルアクリレート(40質量%) の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g (C−1) 0.6g ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g 水で1リットルに仕上げる引き続き、下引層A−1及び下引層B−1の上表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下引層A−1の上には、下記下引上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様に塗設し乾燥させて下引上層A−2とし、下引層B−1の上には下記下引上層塗布液b−2を乾燥膜厚0.8μmになる様に塗設し乾燥させて帯電防止機能をもつ下引上層B−2として塗設した。 【0063】 (下引上層塗布液a−2) ゼラチン 0.4g/m2になる質量 (C−1) 0.2g (C−2) 0.2g (C−3) 0.1g シリカ粒子(平均粒径3μm) 0.1g 水で1リットルに仕上げる (下引上層塗布液b−2) (C−4) 60g (C−5)を成分とするラテックス液(固形分20%) 80g 硫酸アンモニウム 0.5g (C−6) 12g ポリエチレングリコール(重量平均分子量600) 6g 水で1リットルに仕上げる【0064】 【化1】
【0065】 【化2】
【0066】(支持体の熱処理)上記の下引済み支持体の下引乾燥工程において、支持体を140℃で加熱し、その後徐々に冷却した。 【0067】《熱現像感光材料の作製》前記PET下引済み写真用支持体上に下記の各層を順次塗設し、試料1を作製した。尚、乾燥は60℃,15分間で行った。更に、感光性有機銀塩分散物E1をそれぞれ感光性有機銀塩分散物E2〜E4に変更して、同様に試料2〜4を作製した。 【0068】(バック層側塗布) バック層:以下の組成の液を塗布した。 【0069】 酢酸セルロース(10%メチルエチルケトン溶液) 15ml/m2 染料−B 7mg/m2 染料−C 7mg/m2 マット剤:単分散度15%平均粒子サイズ10μm単分散シリカ 30mg/m2 C9H19−C6H4−SO3Na 10mg/m2【0070】 【化3】
【0071】(感光層側塗布) 感光層:以下の組成の液を塗布銀量が2.1g/m2になる様に塗布した。 【0072】 感光性有機銀塩分散物E1 240g 増感色素−1(0.1%メタノール溶液) 1.7ml ピリジニウムプロミドペルブロミド(6%メタノール溶液) 3ml 臭化カルシウム(0.1%メタノール溶液) 1.7ml カブリ防止剤−2(10%メタノール溶液) 1.2ml 2−(4−クロロベンゾイル)安息香酸(12%メタノール溶液) 9.2ml 2−メルカプトベンズイミダゾール(1%メタノール溶液) 11ml トリブロモメチルスルホキノリン(5%メタノール溶液) 17ml 還元剤A−4(20%メタノール溶液) 29.5ml 硬調化剤H(1%メタノール溶液) 3ml【0073】 【化4】
【0074】 【化5】
【0075】表面保護層:以下の組成の液を感光層の上に塗布した。 アセトン 35ml/m2 メチルエチルケトン 17ml/m2 酢酸セルロース 2.3g/m2 メタノール 7ml/m2 フタラジン 250mg/m2 4−メチルフタル酸 180mg/m2 テトラクロロフタル酸 150mg/m2 テトラクロロフタル酸無水物 170mg/m2 マット剤:単分散度10%平均粒子サイズ4μm単分散シリカ 70mg/m2 C9H19−C6H4−SO3Na 10mg/m2《熱現像感光材料の性能評価》 (露光及び現像処理)上記で作製した熱現像感光材料に810nmの半導体レーザを有するイメージャで露光した。その後ヒートドラムを有する自動現像機を用いて、120℃で15秒熱現像処理した。その際、露光及び現像は23℃、50%RHに調湿した部屋で行った。 【0076】(写真性能の評価)熱現像後、得られた画像の評価を濃度計PDA−65(コニカ製)を用いて行った。測定の結果は、Dmin(カブリ)と感度(Dminより1.0高い濃度を与える露光量の比の逆数)で評価した。Dminについては値が小さい程良く、感度は試料3の感度を100として相対感度で示した。 【0077】(生保存性の評価)上記で作製した熱現像感光材料を55℃、50%RHに調湿した条件で3日間保存した後、露光及び現像処理して写真性能の評価を行った。生保存性の評価としては、(保存後のカブリ、感度)−(保存前のカブリ、感度)で表し、各値が0に近いもの程良い。 【0078】以上の結果を表2に示す。脱水後の有機銀塩組成物の含水率、更に含水率が0.15%以下になるまでの乾燥時間も下記表2に示した。 【0079】 【表2】
【0080】表2より、本発明の試料は比較の試料と比べて含水率が0.15%になるまでの乾燥時間が短縮されたことにより有機銀塩組成物の生産性が向上し、その有機銀塩組成物を含有する熱現像感光材料の現像後のカブリ上昇が抑制されている。また同時に、有機銀塩組成物中より水溶性塩類が効果的に除去されたことにより、生保存性が向上していることが明らかである。 【0081】 【発明の効果】本発明により、生産性の向上した有機銀塩組成物の製造方法を提供し、且つ、現像後のカブリ上昇が抑制され、生保存性が向上した熱現像感光材料を提供することが出来た。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001270 【氏名又は名称】コニカ株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月16日(2000.3.16) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−264920(P2001−264920A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月28日(2001.9.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−74054(P2000−74054) |
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