| 【発明の名称】 |
ハロゲン化銀写真感光材料 |
| 【発明者】 |
【氏名】桜田 政美
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| 【要約】 |
【課題】高感度かつ残色汚染の少ないハロゲン化銀写真感光材料を提供する。
【解決手段】分光吸収極大波長が500nm未満で光吸収強度が60以上、または分光吸収極大波長が500nm以上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀写真乳剤を含むハロゲン化銀写真感光材料において、特定構造の消色性シアニン色素を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 分光吸収極大波長が500nm未満で光吸収強度が60以上、または分光吸収極大波長が500nm以上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤を含むハロゲン化銀写真感光材料において、下記一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。 一般式(I) 【化1】
式中、R1 は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、−NR21R24、−OR21または−SR21であり、R21およびR24は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基または芳香族基であるか、あるいはR21とR24とが結合して含窒素複素環を形成する;R2 は、水素原子、脂肪族基または芳香族基であり;R3 は、脂肪族基であり;L1 は、奇数個のメチンからなるメチン鎖であり;そして、Z1 およびZ2 は、それぞれ独立に5員または6員の含窒素複素環を形成する原子団であって、含窒素複素環には芳香族環が縮合していてもよく、含窒素複素環およびその縮合環は置換基を有していてもよい。 【請求項2】 ハロゲン化銀乳剤に添加する増感色素の25%以上が前記一般式(I)の化合物であるハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とする、請求項1に記載のハロゲン化銀写真感光材料。 【請求項3】 分光吸収極大波長が500nm未満で光吸収強度が60以上、または分光吸収極大波長が500nm以上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤を含むハロゲン化銀写真感光材料において、下記一般式(II)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。 一般式(II) 【化2】
一般式(II)中、X21は、−NR24−、−O−または−S−であり;R21およびR24は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基または芳香族基であるか、あるいはR21とR24とが結合して含窒素複素環を形成する;R22は、水素原子、脂肪族基または芳香族基であり;R23は、脂肪族基であり;L21は、奇数個のメチンからなるメチン鎖であり;そして、Z21およびZ22は、それぞれ独立に5員または6員の含窒素複素環を形成する原子団であって、含窒素複素環には芳香族環が縮合していてもよく、含窒素複素環およびその縮合環は置換基を有していてもよい。 【請求項4】 ハロゲン化銀乳剤に添加する増感色素の25%以上が前記一般式(II)の化合物であるハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とする、請求項3に記載のハロゲン化銀写真感光材料。 【請求項5】 ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。 【請求項6】 ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着しており、かつ二層目の増感色素の構造が一層目の増感色素と異なっていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。 【請求項7】 請求項1〜6に記載のハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が、アスペクト比2以上100以下の平板状粒子で占められるハロゲン化銀乳剤であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。 【請求項8】 セレン増感されているハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、分光増感されたハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来から、ハロゲン化銀写真感光材料の高感度化のために多大な努力がなされてきた。ハロゲン化銀写真乳剤においては、ハロゲン化銀粒子表面に吸着した増感色素が感材に入射した光を吸収し、その光エネルギーをハロゲン化銀粒子に伝達することによって感光性が得られる。したがって、ハロゲン化銀の分光増感においては、ハロゲン化銀粒子単位粒子表面積あたりの光吸収率を増加させることによってハロゲン化銀へ伝達される光エネルギ−を増大させることが出来、分光感度の高感度化が達成されると考えられる。ハロゲン化銀粒子表面の光吸収率を向上させるためには、単位粒子表面積あたりの分光増感色素の吸着量を増加させればよい。 【0003】しかし、ハロゲン化銀粒子表面への増感色素の吸着量には限界があり、単層飽和吸着(すなわち1層吸着)より多くの色素発色団を吸着させるのは困難である。 【0004】単層飽和より多くの色素発色団を吸着させるため、過去にいくつかの検討(例えば、ピー・ビー・ギルマン・ジュニアー(P.B.Gilman,Jr.)ら、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering)第20巻3号、第97貢(1976年)において、一層目にカチオン色素を吸着させ、さらに二層目にアニオン色素を静電力を用いて吸着させた。)がなされたが、ハロゲン化銀粒子単位粒子表面積あたりの光吸収率を十分に増加させることはできておらず、高感化もできていないのが現状である。 【0005】一方、光吸収率向上のために増感色素の吸着量を増加させると、処理後に感光材料中に残存する増感色素が無視できなくなり、色汚染を引き起こす(以下残色)。特に、迅速処理では残色の程度が大きく、改良が求められていた。 【0006】写真用色素の残色低減には、色素の親水性を高めて写真処理時に処理液中に流し去ることが有効であることが広く知られている。しかし、増感色素の親水性を高めると多層吸着させることが困難となり、残色と吸着量の増加の両立は困難な課題である。 【0007】一方、写真処理液中の求核剤、求電子剤、酸化剤、還元剤、その他の化学種と写真用色素との化学反応によって、色素の色を消し去る検討も精力的に行われている。しかしながら、添加剤によって写真性能を悪化させずに色素の残色を低減させることは困難であることがこれまでの検討で明らかになっている。 【0008】また、特開平11−231457号(特願平9−306403号)など、同一乳剤中に消色性の染料と塩基プレカーサーとを共存させ、熱現像により塩基を発生させて消色させるという技術が検討された。しかし消色性の色素をハロゲン化銀粒子に吸着させた乳剤の場合、塩基プレカーサーが感材中に存在すると、画質、写真性、保存性などを悪化させるという問題があった。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、処理後の残色が少ない消色性の増感色素を多層吸着させた、高感度なハロゲン化銀写真感光材料を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】前記の課題は下記の(1)〜(8)により解決された。 (1) 分光吸収極大波長が500nm未満で光吸収強度が60以上、または分光吸収極大波長が500nm以上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤を含むハロゲン化銀写真感光材料において、下記一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。 一般式(I) 【0011】 【化3】
【0012】式中、R1 は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、−NR21R24、−OR21または−SR21であり、R21およびR24は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基または芳香族基であるか、あるいはR21とR24とが結合して含窒素複素環を形成する;R2 は、水素原子、脂肪族基または芳香族基であり;R3 は、脂肪族基であり;L1 は、奇数個のメチンからなるメチン鎖であり;そして、Z1 およびZ2 は、それぞれ独立に5員または6員の含窒素複素環を形成する原子団であって、含窒素複素環には芳香族環が縮合していてもよく、含窒素複素環およびその縮合環は置換基を有していてもよい。 (2) ハロゲン化銀乳剤に添加する増感色素の25%以上が前記一般式(I)の化合物であるハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とする、(1)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。 (3) 分光吸収極大波長が500nm未満で光吸収強度が60以上、または分光吸収極大波長が500nm以上で光吸収強度が100以上のハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤を含むハロゲン化銀写真感光材料において、下記一般式(II)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。 一般式(II) 【0013】 【化4】
【0014】一般式(II)中、X21は、−NR24−、−O−または−S−であり;R21およびR24は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基または芳香族基であるか、あるいはR21とR24とが結合して含窒素複素環を形成する;R22は、水素原子、脂肪族基または芳香族基であり;R23は、脂肪族基であり;L21は、奇数個のメチンからなるメチン鎖であり;そして、Z21およびZ22は、それぞれ独立に5員または6員の含窒素複素環を形成する原子団であって、含窒素複素環には芳香族環が縮合していてもよく、含窒素複素環およびその縮合環は置換基を有していてもよい。 (4) ハロゲン化銀乳剤に添加する増感色素の25%以上が前記一般式(II)の化合物であるハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とする、(3)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。 (5) ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着していることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。 (6) ハロゲン化銀粒子表面上に増感色素が多層吸着しており、かつ二層目の増感色素の構造が一層目の増感色素と異なっていることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。 (7) (1)〜(6)に記載のハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の全投影面積の50%以上が、アスペクト比2以上100以下の平板状粒子で占められるハロゲン化銀乳剤であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。 (8) セレン増感されているハロゲン化銀粒子を含有することを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載のハロゲン化銀写真感光材料。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明は、増感色素によって分光増感されたハロゲン化銀粒子を用いるハロゲン化銀写真感光材料であって、光吸収強度が大きく残色の少ないことを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。 【0016】本発明で用いられる、一般式(I)で表される化合物について詳細に説明する。 【0017】式(I)において、R1 は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、−NR21R24、−OR21または−SR21である。R21およびR24は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基または芳香族基であるか、あるいはR21とR24とが結合して含窒素複素環を形成する。R21は、脂肪族基または芳香族基であることが好ましく、アルキル基、置換アルキル基、アラルキル基、置換アラルキル基、アリール基または置換アリール基であることがさらに好ましく、アラルキル基、置換アラルキル基、アリール基または置換アリール基であることが最も好ましい。R24は、水素原子または脂肪族基であることが好ましく、水素原子、アルキル基または置換アルキル基であることがさらに好ましい。R21とR24とが結合して形成する含窒素複素環は、5員環または6員環であることが好ましい。含窒素複素環は、窒素以外のヘテロ原子(例、酸素原子、硫黄原子)を有していてもよい。R1 は、後述する式(II)で定義するように、−NR21R24、−OR21または−SR21であることが好ましい。本明細書において、「脂肪族基」とは、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基または置換アラルキル基を意味する。本発明では、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基または置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換アルキル基、アラルキル基または置換アラルキル基がさらに好ましい。環状脂肪族基よりも鎖状脂肪族基が好ましい。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、1乃至20であることがより好ましく、1乃至15であることがさらに好ましく、1乃至12であることが最も好ましい。置換アルキル基のアルキル部分は、アルキル基と同様である。 【0018】アルケニル基およびアルキニル基の炭素原子数は、2乃至30であることが好ましく、2乃至20であることがより好ましく、2乃至15であることがさらに好ましく、2乃至12であることが最も好ましい。置換アルケニル基のアルケニル部分および置換アルキニル基のアルキニル部分は、それぞれアルケニル基およびアルキニル基と同様である。アラルキル基の炭素原子数は、7乃至35であることが好ましく、7乃至25であることがより好ましく、7乃至20であることがさらに好ましく、7乃至15であることが最も好ましい。置換アラルキル基のアラルキル部分は、アラルキル基と同様である。脂肪族基(置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アラルキル基)の置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルチオカルボニル基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基およびカルバモイル基が含まれる。カルボキシル基とスルホ基は、塩の状態であってもよい。カルボキシル基およびスルホ基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン)が好ましい。 【0019】本明細書において、「芳香族基」とは、炭化水素芳香族基、及び複素芳香族基を意味する。これらは、さらに炭化水素芳香族環、及び複素芳香族環同士が縮合した多環縮合環、又は芳香族炭化水素環と芳香族複素環が組み合わされた多環縮合環構造を持つ基であっても良い。芳香族基に含まれる芳香族環として好ましくは、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、トリフェニレン、ナフタセン、ビフェニル、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾフラン、キノリジン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キノキサゾリン、キノリン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、チアントレン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、フェノチアジン、フェナジン等が挙げられる。 【0020】さらに好ましくは、上述の炭化水素芳香族環であり、特に好ましくはベンゼン、ナフタレンであり、最も好ましくはベンゼンである。 【0021】また、これら芳香族基はさらに置換されていてもよく、置換基の例として、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、アルキル基、アシル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アルキルチオカルボニル基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基およびカルバモイル基が含まれる。カルボキシル基とスルホ基は、塩の状態であってもよい。カルボキシル基およびスルホ基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン)が好ましい。 【0022】式(I)において、R2 は、水素原子、脂肪族基または芳香族基である。脂肪族基と芳香族基の定義は、前述した通りである。R2 は、水素原子または脂肪族基であることが好ましく、水素原子またはアルキル基であることがより好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至15のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。式(I)において、R3 は、脂肪族基である。脂肪族基の定義は前述した通りである。R3 は、置換アルキル基であることが好ましい。合成が容易との観点では、R3 は、−CHR2−CO−R1 と同じ定義を有する置換アルキル基であることが特に好ましい。 【0023】式(I)において、L1 は、奇数個のメチンからなるメチン鎖である。メチン鎖中のメチンの数は、3、5、7または9であることが好ましく、3、5または7であることがより好ましく、3または5であることがさらに好ましく、3であることが最も好ましい。メチンは、置換基を有していてもよい。メチンの置換基の例には、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、−NR5 R6 、−OR5 および−SR5 が含まれる。R5 およびR6 は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基または芳香族基である。脂肪族基と芳香族基の定義は前述した通りである。メチンの置換基が結合して不飽和脂肪族環または不飽和複素環を形成してもよい。不飽和複素環よりも、不飽和脂肪族環の方が好ましい。形成する環は、5員環または6員環であることが好ましく、シクロペンテン環またはシクロヘキセン環であることがさらに好ましい。メチンは、無置換であるか、あるいはメチンの置換基が結合してシクロペンテン環またはシクロヘキセン環を形成することが特に好ましい。式(I)において、Z1 およびZ2 は、それぞれ独立に5員または6員の含窒素複素環を形成する原子団である。含窒素複素環の例には、オキサゾール環、チアゾール環、セレナゾール環、ピロリン環、イミダゾール環およびピリジン環が含まれる。6員環よりも5員環の方が好ましい。含窒素複素環には、芳香族環(ベンゼン環、ナフタレン環)が縮合していてもよい。含窒素複素環およびその縮合環は置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、スルホおよびアルキル基が含まれる。カルボキシルとスルホは、塩の状態であってもよい。カルボキシルおよびスルホと塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン)が好ましい。 【0024】式(I)で表わされる化合物は、アニオンまたはカチオンと塩を形成して用いることが好ましい。式(I)で表わされる化合物が置換基として、カルボキシルやスルホのようなアニオン性基を有する場合は、色素が分子内塩を形成することができる。それ以外の場合は、分子外のアニオンまたはカチオンと塩を形成することが好ましい。アニオンおよびカチオンは一価または二価であることが好ましく、一価であることがさらに好ましい。アニオンの例には、ハロゲンイオン(例、Cl- 、Br- 、I- )、p−トルエンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、1,5−ジスルホナフタレンジアニオン、PF6 - 、BF4 - およびClO4- が含まれる。カチオンの例には、水素イオン、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例、カルシウムイオン)などの無機陽イオン、アンモニウムイオン(例、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピリジニウムイオン)などの有機イオンが含まれる。 【0025】前述したように、式(I)におけるR1 は、−NR21R24、−OR21または−SR21であることが好ましい。式(I)におけるR1 が、水素原子、脂肪族基または芳香族基であると、処理液中の塩基の作用による消色反応は迅速に進行するのであるが、色素がやや不安定で、色素の保存中にも消色反応が若干進行するとの問題がある。式(I)におけるR1 を、−NR21R24、−OR21または−SR21とすると、色素の安定性が向上する。そのような色素を、下記式(II)で表わす。 【0026】式(II)において、X21は、−NR24−、−O−または−S−である。好ましくは、−NR24−、−O−であり、より好ましくは、−O−である。R21およびR24は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基または芳香族基であるか、あるいはR21とR24とが結合して含窒素複素環を形成する。R21は、脂肪族基または芳香族基であることが好ましく、アルキル基、置換アルキル基、アラルキル基、置換アラルキル基、アリール基または置換アリール基であることがより好ましく、アラルキル基、置換アラルキル基、アリール基または置換アリール基であることが更に好ましい。R24は、水素原子または脂肪族基であることが好ましく、水素原子、アルキル基または置換アルキル基であることがさらに好ましい。R21とR24とが結合して形成する含窒素複素環は、5員環または6員環であることが好ましい。含窒素複素環は、窒素以外のヘテロ原子(例、酸素原子、硫黄原子)を有していてもよい。式(II)において、R22は、水素原子、脂肪族基または芳香族基である。R22は、水素原子または脂肪族基であることが好ましく、水素原子またはアルキル基であることがより好ましく、水素原子または炭素原子数が1乃至15のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。 【0027】式(II)において、R23は、脂肪族基である。R23は、置換アルキル基であることが好ましい。合成が容易との観点では、R23は、−CHR22−CO−X21−R21と同じ定義を有する置換アルキル基であることが特に好ましい。式(II)において、L21は、奇数個のメチンからなるメチン鎖である。メチン鎖中のメチンの数は、3、5、7または9であることが好ましく、3、5または7であることがより好ましく、3または5であることがさらに好ましく、3であることが最も好ましい。メチンは、置換基を有していてもよい。メチンの置換基の例には、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、−NR25R26、−OR25および−SR25が含まれる。R25およびR26は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基または芳香族基である。脂肪族基と芳香族基の定義は前述した通りである。メチンの置換基が結合して不飽和脂肪族環または不飽和複素環を形成してもよい。不飽和複素環よりも、不飽和脂肪族環の方が好ましい。形成する環は、5員環または6員環であることが好ましく、シクロペンテン環またはシクロヘキセン環であることがさらに好ましい。メチンは、無置換であるか、あるいはメチンの置換基が結合してシクロペンテン環またはシクロヘキセン環を形成することが特に好ましい。 【0028】式(II)において、Z21およびZ22は、それぞれ独立に5員または6員の含窒素複素環を形成する原子団である。含窒素複素環の例には、オキサゾール環、チアゾール環、セレナゾール環、ピロリン環、イミダゾール環およびピリジン環が含まれる。6員環よりも5員環の方が好ましい。含窒素複素環には、芳香族環(ベンゼン環、ナフタレン環)が縮合していてもよい。含窒素複素環およびその縮合環は置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシル、ニトロ、カルボキシル、スルホおよびアルキル基が含まれる。カルボキシルとスルホは、塩の状態であってもよい。カルボキシルおよびスルホと塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン)が好ましい。Z21およびZ22として好ましくは、オキサゾール環(好ましくは、置換基を有してよいオキサゾール核、ベンゾオキサゾール核、ナフトオキサゾール核)又はチアゾール環(好ましくは、置換基を有してよいチアゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核)である。 【0029】式(II)で表わされる化合物は、アニオンまたはカチオンと塩を形成して用いることが好ましい。塩の形成については、式(I)で説明した通りである。 【0030】次に、本発明で用いられる一般式(I)および一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に示す。もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0031】 【化5】
【0032】 【化6】
【0033】 【化7】
【0034】 【化8】
【0035】 【化9】
【0036】 【化10】
【0037】本発明の色素は、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds) 」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer) 著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−スペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chemistry) 」、第18章、第14節、第482から515項、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons) 社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15章、第369から422項、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、及び上述した特許・文献(具体例の説明のために引用したもの)などに記載の方法に基づいて合成することができる。 【0038】本発明においては、本発明の増感色素だけでなく、本発明以外の他の分光増感剤と併用しても良い。この場合、本発明の増感色素の使用量は、添加する全増感色素中、25%以上含有することが好ましく、30%以上含有することがより好ましく、60%以上含有することがさらに好ましい。 【0039】本発明の増感色素(また、その他の増感色素についても同様)を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用である事が認められている乳剤調整の如何なる工程中であってもよい。例えば、米国特許2、735、766号、同3、628、960号、同4、183、756号、同4、225、666号、特開昭58−184142号、同60−196749号等に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程または/及び脱塩前の時期、脱塩工程中及び/または脱塩後から化学熟成の開始前迄の時期、特開昭58−113920号等に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後塗付迄の時期の乳剤が塗布される前なら如何なる時期、工程に於いて添加されてもよい。また米国特許4、225、666号、特開昭58−7629号等に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば、粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなとして分割して添加しても良く、分割して添加する化合物及び化合物の組み合わせの種類をも変えて添加されても良い。 【0040】本発明の増感色素の添加量としては、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズにより異なるが、ハロゲン化銀1モル当たり、1×10-6〜8×10-2モルで用いることができる。例えば、ハロゲン化銀粒子サイズが0.2〜1.3μmの場合には、ハロゲン化銀1モル当たり、2×10-6〜3.5×10-2モルの添加量が好ましく、7.5×10-6〜1.5×10-2モルの添加量がより好ましい。但し、前述したように増感色素が多層吸着するのに必要な量を添加する。 【0041】発明の増感色素は、直接乳剤中へ分散することができる。また、これらはます適当な溶媒、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、メチルセルソルブ、アセトン、水、ピリジンあるいはこれらの混合溶媒などの中に溶解され、溶液の形で乳剤中へ添加することもできる。この際、塩基や酸、界面活性剤などの添加物を共存させることもできる。また、溶解に超音波を使用することもできる。また、この化合物の添加方法としては米国特許第3、469、987号などに記載のごとき、該化合物を揮発性の有機溶媒に溶解し、該溶液を親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭46−24185号などに記載のごとき、水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤中へ添加する方法、米国特許第3、822、135号に記載のごとき、界面活性剤に化合物を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法、特開昭51−74624号に記載のごとき、レッドシフトさせる化合物を用いて溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法、特開昭50−80826号に記載のごとき、化合物を実質的に水を含まない酸に溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法などが用いられる。その他、乳剤中への添加には米国特許第2、912、343号、同3、342、605号、同2、996、287号、同3、429、835号などに記載の方法も用いられる。 【0042】本発明の一般式(I)および一般式(II)で表される化合物は、処理液中の塩基の作用により消色させることができる。本発明者の研究により、一般式(I)および一般式(II)は、処理液中の塩基の作用により分子中の活性メチレン基が脱プロトン化され、それにより発生する求核種が分子内のメチレン鎖を求核攻撃し、分子内閉環体を形成することにより消色することが見出された。従ってこの反応に使用可能な塩基としては、色素中の活性メチレン基を脱プロトン化させることが出来る塩基であればいかなるものでもよい。また、色素を消色させるための塩基は、処理工程中のいかなる処理液に含まれていても良く、また色素を消色させる目的で塩基を含む処理工程を新たに加えてもよい。分子内閉環反応により新たに形成される環の環員数は特に限定されないが、5及至7員環であることが好ましく、5員環または7員環であることがより好ましい。このようにして形成される実質的に無色の化合物は、安定な化合物であって、元の色素に戻ることはない。従って、本発明の消色方法には、消色した物質が復色するとの問題はない。 【0043】本発明において光吸収強度とは、単位粒子表面積あたりの増感色素による光吸収面積強度であり、粒子の単位表面積に入射する光量をI0 、該表面で増感色素に吸収された光量をIとしたときの光学濃度Log(I0 /(I0 −I))を波数(cm-1)に対して積分した値と定義する。積分範囲は5000cm-1から35000cm-1までである。 【0044】本発明にかかわるハロゲン化銀写真乳剤は、分光吸収極大波長が500nm以上の粒子の場合には光吸収強度が100以上、分光吸収極大波長が500nm未満の粒子の場合には光吸収強度が60以上のハロゲン化銀粒子を全ハロゲン化銀粒子投影面積の1/2以上含むことが好ましい。また、分光吸収極大波長が500nm以上の粒子の場合には、光吸収強度は好ましくは150以上、さらに好ましくは170以上、特に好ましくは200以上、であり、分光吸収極大波長が500nm未満の粒子の場合には、光吸収強度は好ましくは90以上、さらに好ましくは100以上、特に好ましくは120以上である。上限は特にないが、好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下、特に好ましくは500以下である。 【0045】また分光吸収極大波長が500nm未満の粒子に関しては、分光吸収極大波長は350nm以上であることが好ましい。 【0046】光吸収強度を測定する方法の一例としては、顕微分光光度計を用いる方法を挙げることができる。顕微分光光度計は微小面積の吸収スペクトルが測定できる装置であり、一粒子の透過スペクトルの測定が可能である。顕微分光法による一粒子の吸収スペクトルの測定については、山下らの報告(日本写真学会、1996年度年次大会講演要旨集、15ページ)を参照することができる。この吸収スペクトルから一粒子あたりの吸収強度が求められるが、粒子を透過する光は上部面と下部面の二面で吸収されるため、粒子表面の単位面積あたりの吸収強度は前述の方法で得られた一粒子あたりの吸収強度の1/2として求めることができる。このとき、吸収スペクトルを積分する区間は光吸収強度の定義上は5000cm-1から35000cm-1であるが、実験上は増感色素による吸収のある区間の前後500cm-1程度を含む区間の積分で構わない。 【0047】また顕微分光法を用いないでも、粒子が重なず、かつ、すきまがないように並べて、透過スペクトルを測定して求める方法も可能である。さらに光吸収強度は増感色素の振動子強度と単位面積当たりの吸着分子数で一義的に決定される値であり、増感色素の振動子強度、色素吸着量および粒子表面積を求めれば光吸収強度に換算することが出来る。増感色素の振動子強度は、増感色素溶液の吸収面積強度(光学濃度×cm-1)に比例する値として実験的に求めることが出来るので、1Mあたりの色素の吸収面積強度をA(光学濃度×cm-1)、増感色素の吸着量をB(mol/molAg)、粒子表面積をC(m2 /molAg)とすれば、次の式により光吸収強度を誤差10%程度の範囲で求めることが出来る。 0.156 ×A×B/Cこの式から光吸収強度を算出しても、前述の定義に基づいて測定された光吸収強度(Log(I0 /(I0 −I)))を波数(cm-1)に対して積分した値)と実質的に同じ値が得られる。 【0048】光吸収強度を増加させる方法には、色素発色団を粒子表面上に一層より多く吸着させる方法や、色素の分子吸光係数を増大させる方法、あるいは、色素占有面積を小さくする方法があり、いずれの方法を用いてもよいが、好ましくは色素発色団を粒子表面上に一層より多く吸着させる方法である。ここで、色素発色団が粒子表面上に一層より多く吸着した状態とは、ハロゲン化銀粒子近傍に束縛された色素が一層より多く存在することを意味し、分散媒中に存在する色素を含まない。また、色素発色団が粒子表面上に吸着した物質と共有結合で連結されている場合でも、連結基が長く、色素発色団が分散媒中に存在する場合には光吸収強度を増加させる効果は小さく、一層より多い吸着とは見なされない。また、色素発色団を粒子表面上に一層以上吸着させる、いわゆる多層吸着においては、粒子表面に直接吸着していない色素によって分光増感が生じることが必要であり、そのためにはハロゲン化銀に直接吸着していない色素から粒子に直接吸着した色素への励起エネルギー、又は電子の伝達が必要となる。したがって、励起エネルギー、又は電子の伝達が10段階を超えて起きる必要のある場合には、最終的な励起エネルギー、又は電子の伝達効率が低くなるため好ましくない。この1例は特開平2―113239などのポリマー色素のように色素発色団の大部分が分散媒中に存在し、励起エネルギーの伝達が10段階以上必要な場合が挙げられる。本発明においては、励起エネルギーと電子のうち、励起エネルギーを伝達する場合が好ましい。本発明では一分子あたりの色素発色団数は1から3が好ましい。 【0049】ハロゲン化銀粒子への色素発色団の吸着は、好ましくは1.5層以上、さらに好ましくは1.7層以上、特に好ましくは2層以上である。なお、上限は特にないが、10層以下が好ましく、さらに好ましくは5層以下である。 【0050】本発明においてハロゲン化銀粒子表面に発色団が一層より多く吸着した状態とは、該乳剤に添加される増感色素のうち、ハロゲン化銀粒子表面の色素占有面積が最も小さい色素によって到達する単位表面積あたりの飽和吸着量を一層飽和被覆量とし、この一層飽和被覆量に対して色素発色団の単位面積当たりの吸着量が多い状態をいう。また、吸着層数は一層飽和被覆量を基準とした時の吸着量を意味する。ここで、共有結合で色素発色団が連結された色素の場合には、連結しない状態の個々の色素の色素占有面積を基準とすることが出来る。色素占有面積は、遊離色素濃度と吸着色素量の関係を示す吸着等温線、および粒子表面積から求めることが出来る。吸着等温線は、例えばエー・ハーツ(A.Herz)らのアドソープション フロム アクエアス ソリューション(Adsorption from Aqueous Solution)アドバンシーズ イン ケミストリー シリーズ(Advances in Chemistry Series)No.17、173ページ(1968年)などを参考にして求めることが出来る。 【0051】増感色素の乳剤粒子への吸着量は、色素を吸着させた乳剤を遠心分離器にかけて乳剤粒子と上澄みのゼラチン水溶液に分離し、上澄み液の分光吸収測定から未吸着色素濃度を求めて添加色素量から差し引くことで吸着色素量を求める方法と、沈殿した乳剤粒子を乾燥し、一定重量の沈殿をチオ硫酸ナトリウム水溶液とメタノールの1:1混合液に溶解し、分光吸収測定することで吸着色素量を求める方法の2つの方法を用いることが出来る。複数種の増感色素を用いている場合には高速液体クロマトグラフィーなどの手法で個々の色素について吸着量を求めることも出来る。上澄み液中の色素量を定量することで色素吸着量を求める方法は、例えばダブリュー・ウエスト(W.West)らのジャーナル オブ フィジカル ケミストリー(Journal of Physical Chemistry)第56巻、1054ページ(1952年)などを参考にすることができる。しかし、色素添加量の多い条件では未吸着色素までも沈降することがあり、上澄み中の色素濃度を定量する方法では必ずしも正しい吸着量を得られないことがあった。一方沈降したハロゲン化銀粒子を溶解して色素吸着量を測定する方法であれば乳剤粒子の方が圧倒的に沈降速度が速いため粒子と沈降した色素は容易に分離でき、粒子に吸着した色素量だけを正確に測定できる。この方法が色素吸着量を求める方法として最も信頼性が高い。 【0052】ハロゲン化銀粒子表面積の測定方法の一例としては、レプリカ法による透過電子顕微鏡写真を撮影して、個々の粒子の形状とサイズを求め算出する方法がある。この場合、平板状粒子において厚みはレプリカの影(シャドー)の長さから算出する。透過型電子顕微鏡写真の撮影方法としては、例えば、日本電子顕微鏡学会関東支部編「電子顕微鏡試料技術集」誠分堂新光社1970年刊、バターワーズ社(Buttwrworths)、ロンドン、1965刊、ピー・ビー・ヒルシュ(P.B.Hirsch)らのエレクトロン マイクロスコープ オブチンクリスタル(Electron Microscopy of Thin Crystals)を参考にすることができる。 【0053】他の方法としては、例えばエイ・エム・クラギン(A.M.Kragin)らのらのジャーナル オブ フォトグラフィック サイエンス(The Journal of Photographic Science)第14巻、185ページ(1966年)、ジェイ・エフ・パディ(J.F.Paddy)のトランスアクションズ オブ ザ ファラデ− ソサイアティ(Transactions of the Faraday Society)第60巻1325ページ(1964年)、エス・ボヤー(S.Boyer)らのジュナル デ シミフィジク エ デ フィジコシミ ビジョロジク(Journal de Chimie Physique et de Physicochimie biologique)第63巻、1123ページ(1963年)、ダブリュー・ウエスト(W.West)らのジャーナル オブ フィジカル ケミストリー(Journal of Physical Chemistry)第56巻、1054ページ(1952年)、エイチ・ソーヴエニアー(H.Sauvenier)編集、イー・クライン(E.Klein)らのインターナショナル・コロキウム(International Coloquium)、リエージュ(Liege)、1959年、「サイエンティフィック フォトグラフィー(Scientific Photography)」などを参考にすることができる。 【0054】色素占有面積は上記の方法で個々の場合について実験的に求められるが、通常用いられる増感色素の分子占有面積はほぼ80Å2付近であるので、簡易的にすべての色素について色素占有面積を80Å2としておおよその吸着層数を見積もることも出来る。 【0055】本発明において、ハロゲン化銀粒子に色素発色団が多層に吸着している場合、ハロゲン化銀粒子に直接吸着している、いわゆる1層目の色素発色団と2層目以上の色素発色団の還元電位、及び酸化電位はいかなるものでも良いが、1層目の色素発色団の還元電位が2層目以上の色素発色団の還元電位の値から0.2vを引いた値よりも、貴であることが好ましい。 【0056】還元電位、及び酸化電位の測定は、種々の方法が可能であるが、好ましくは、位相弁別式第二高調波交流ポーラログラフィーで行う場合であり、正確な値を求めることができる。なお、以上の位相弁別式第二高調波交流ポーラログラフィーによる電位の測定法はジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(Journal of Imaging Science)、第30巻、第27頁(1986年)に記載されている。 【0057】また、2層目以上の色素発色団は、発光性色素の場合が好ましい。発光性色素の種類としては色素レーザー用に使用される色素の骨格構造を持つものが好ましい。これらはたとえば、前田三男、レーザー研究、第8巻、694頁、803頁、958頁(1980年)及び第9巻、85頁(1981年)、及びF. Sehaefer著、「Dye Lasers」、Springer(1973年)の中に整理されている。 【0058】さらに、1層目の色素発色団のハロゲン化銀写真感光材料中における吸収極大波長が2層目以上の色素発色団の吸収極大波長よりも長波長であることが好ましい。さらに、2層目以上の色素発色団の発光が1層目の色素発色団の吸収と重なることが好ましい。また、1層目の色素発色団はJ-会合体を形成した方が好ましい。さらに、所望の波長範囲に吸収および分光感度を有するためには、2層目以上の色素発色団もJ会合体を形成していることが好ましい。 【0059】本発明において用いる用語の意味を以下に記述する。 色素占有面積:色素一分子あたりの占有面積。吸着等温線から実験的に求めることが出来る。共有結合で色素発色団が連結された色素の場合には、連結しない状態の個々の色素の色素占有面積を基準とする。簡易的には80Å2 。 一層飽和被覆量:一層飽和被覆時の単位粒子表面積あたりの色素吸着量。添加された色素のうち最小の色素占有面積の逆数。 多層吸着:単位粒子表面積あたりの色素発色団の吸着量が一層飽和被覆量よりも多い状態。 吸着層数:一層飽和被覆量を基準とした時の単位粒子表面積あたりの色素発色団の吸着量。 【0060】本発明において感光機構をつかさどる写真乳剤にはハロゲン化銀として臭化銀、ヨウ臭化銀、塩臭化銀、ヨウ化銀、ヨウ塩化銀、ヨウ臭塩化銀、塩化銀のいずれを用いてもよいが、乳剤最外表面のハロゲン組成が0.1mol%以上、さらに好ましくは1mol%以上、特に好ましくは5mol%以上のヨードを含むことによりより強固な多層吸着構造が構築できる。 【0061】粒子サイズ分布は、広くても狭くてもいずれでもよいが、狭い方がよりこのましい。 【0062】写真乳剤のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体、斜方十二面体のような規則的(regular)な結晶体を有するもの、また球状、板状などのような変則的(irregular)な結晶形をもつもの、高次の面((hkl)面)をもつもの、あるいはこれらの結晶形の粒子の混合からなってもよいが、好ましくは平板状粒子であり、平板状粒子については下記に詳細に記述する。高次の面を持つ粒子についてはJournal of Imaging Science誌、第30巻(1986年)の247頁から254頁を参照することができる。 【0063】また、本発明に用いられるハロゲン化銀写真乳剤は、上記のハロゲン化銀粒子を単独または複数混合して含有していても良い。ハロゲン化銀粒子は、内部と表層が異なる相をもっていても、接合構造を有するような多相構造であっても、粒子表面に局在相を有するものであっても、あるいは粒子全体が均一な相から成っていても良い。またそれらが混在していてもよい。これら各種の乳剤は潜像を主として表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型のいずれでもよい。 【0064】本発明に使用するハロゲン化銀乳剤は、本発明に開示する増感色素を吸着せしめた、より表面積/体積比の高い平板状ハロゲン化銀粒子が好ましい。本発明で好ましく用いられる平板乳剤は、アスペクト比(円相当直径/粒子厚み)2以上100以下のハロゲン化銀粒子が乳剤中の全ハロゲン化銀粒子の50%(面積)以上存在する乳剤であり、好ましくはアスペクト比5以上80以下、より好ましくはアスペクト比8以上80以下のハロゲン化銀粒子が、乳剤中の全ハロゲン化銀粒子の50%(面積)以上存在する乳剤であり、好ましくは60%以上、特に好ましくは85%以上存在する乳剤である。平板状粒子の厚さは、0.2μm未満が好ましく、より好ましくは0.1μm未満、更に好ましくは0.07μm未満である。この様な高アスペクト比で且つ薄い平板粒子を調製する為に下記の技術が適用される。 【0065】本発明では、ハロゲン組成が塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、ヨウ臭化銀、塩ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀の平板ハロゲン化銀粒子が好ましく使用される。平板粒子は、(100)又は(111)かの主表面を持つものが好ましい。(111)主表面を有する平板粒子、以下これを(111)平板と呼ぶ、は普通三角形か六角形の面をもつ。一般的には分布がより均一になれば、より六角形の面を持つ平板粒子の比率が高くなる。六角形の単分散平板に関しては特公平5−61205に記載されている。 【0066】(100)面を主表面に持つ平板状粒子、以下(100)平板と呼ぶ、は長方形または正方形の形も持つ。この乳剤においては針状粒子より、隣接辺比が5:1未満の粒子が平板粒子と呼ばれる。塩化銀或いは塩化銀を多く含む平板粒子ににおいては、(100)平板粒子は本来(111)平板に比べて主表面の安定性が高い。(111)平板の場合は、(111)主表面を安定化させる事が必要であるが、それに関しては特開平9−80660号、特開平9−80656号、米国特許第5298388号に記載されている。 【0067】本発明において用いられる塩化銀或いは塩化銀の含有率の高い(111)平板に関しては下記の特許に開示されている。米国特許第4414306号、米国特許第4400463号、米国特許第4713323号、米国特許第4783398号、米国特許第4962491号、米国特許第4983508号、米国特許第4804621号、米国特許第5389509号、米国特許第5217858号、米国特許第5460934号。 【0068】本発明に用いられる高臭化銀(111)平板粒子に関しては下記の特許に記載されている。米国特許第4425425号、米国特許第4425426号、米国特許第443426号、米国特許第4439520号、米国特許第4414310号、米国特許第4433048号、米国特許第4647528号、米国特許第4665012号、米国特許第4672027号、米国特許第4678745号、米国特許第4684607号、米国特許第4593964号、米国特許第4722886号、米国特許第4722886号、米国特許第4755617号、米国特許第4755456号、米国特許第4806461号、米国特許第4801522、米国特許第4835322号、米国特許第4839268号、米国特許第4914014号、米国特許第4962015号、米国特許第4977074号、米国特許第4985350号、米国特許第5061609号、米国特許第5061616号、米国特許第5068173号、米国特許第5132203号、米国特許第5272048号、米国特許第5334469号、米国特許第5334495号、米国特許第5358840号、米国特許第5372927号。 【0069】本発明に用いられる(100)平板に関しては、下記の特許に記載されている。 米国特許第4386156号、米国特許第5275930号、米国特許第5292632号、米国特許第5314798号、米国特許第5320938号、米国特許第5319635号、米国特許第5356764号、欧州特許第569971号、欧州特許第737887号、特開平6−308648号、特開平9−5911号。 【0070】ハロゲン化銀乳剤は、一般に化学増感を行なって使用する。化学増感としてはカルコゲン増感(硫黄増感、セレン増感、テルル増感)、貴金属増感(例、金増感)および還元増感を、それぞれ単独あるいは組み合わせて実施する。本発明においては、少なくともセレン増感されたハロゲン化銀乳剤が好ましい。即ちセレン増感単独、セレン増感及び他のカルコゲン増感及び/又は貴金属増感(特に金増感)との組合せが好ましいが、とくに好ましくはセレン増感及び貴金属増感との組合せである。 【0071】セレン増感においては、不安定セレン化合物を増感剤として用いる。不安定セレン化合物については、特公昭43−13489号、同44−15748号、特開平4−25832号、同4−109240号、同4−271341号および同5−40324号各公報に記載がある。セレン増感剤の例には、コロイド状金属セレン、セレノ尿素類(例、N,N−ジメチルセレノ尿素、トリフルオロメチルカルボニル−トリメチルセレノ尿素、アセチル−トリメチルセレノ尿素)、セレノアミド類(例、セレノアセトアミド、N,N−ジエチルフェニルセレノアミド)、フォスフィンセレニド類(例えば、トリフェニルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェニル−トリフェニルフォスフィンセレニド)、セレノフォスフェート類(例、トリ−p−トリルセレノフォスフェート、トリ−n−ブチルセレノフォスフェート)、セレノケトン類(例、セレノベンゾフェノン)、イソセレノシアネート類、セレノカルボン酸類、セレノエステル類およびジアシルセレニド類が含まれる。なお、亜セレン酸、セレノシアン化カリウム、セレナゾール類やセレニド類のような比較的安定なセレン化合物(特公昭46−4553号および同52−34492号各公報記載)も、セレン増感剤として利用できる。 【0072】硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を増感剤として用いる。不安定硫黄化合物については、P.Glafkides 著 Chemie et Physique Photographique (Paul Montel 社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure 誌307巻307105号に記載がある。硫黄増感剤の例には、チオ硫酸塩(例、ハイポ)、チオ尿素類(例、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、N−エチル−N′−(4−メチル−2−チアゾリル)チオ尿素、カルボキシメチルトリメチルチオ尿素)、チオアミド類(例、チオアセトアミド)、ローダニン類(例、ジエチルローダニン、5−ベンジリデン−N−エチル−ローダニン)、フォスフィンスルフィド類(例、トリメチルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイン類、4−オキ類(例、トリメチルフォスフィンスルフィド)、チオヒダントイン類、4−オキソーオキサゾリジン−2−チオン類、ジポリスルフィド類(例、ジモルフォリンジスルフィド、シスチン、ヘキサチオカン−チオン)、メルカプト化合物(例、システィン)、ポリチオン酸塩および元素状硫黄が含まれる。活性ゼラチンも硫黄増感剤として利用できる。 【0073】テルル増感においては、不安定テルル化合物を増感剤として用いる。不安定テルル化合物については、カナダ国特許800958号、英国特許1295462号、同1396696号各明細書、特開平4−204640号、同4−271341号、同4−333043号および同5−303157号各公報に記載がある。テルル増感剤の例には、テルロ尿素類(例、テトラメチルテルロ尿素、N,N′−ジメチルエチレンテルロ尿素、N,N′−ジフェニルエチレンテルロ尿素)、フォスフィンテルリド類(例、ブチル−ジイソプロピルフォスフィンテルリド、トリブチルフォスフィンテルリド、トリブトキシフォスフィンテルリド、エトキシ−ジフェニルフォスフィンテルリド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例、ビス(ジフェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル−N−メチルカルボモイル)テルリド、ビス(エトキシカルボニル)テルリド)、イソテルロシアナート類、テルロアミド類、テルロヒドラジド類、テルロエステル類(例、ブチルヘキシルテルロエステル)、テルロケトン類(例、テルロアセトフェノン)、コロイド状テルル、(ジ)テルリド類およびその他のテルル化合物(例、ポタシウムテルリド、テルロペンタチオネートナトリウム塩)が含まれる。 【0074】貴金属増感においては、金、白金、パラジウム、イリジウムなどの貴金属の塩を増感剤として用いる。貴金属塩については、P.Glafkides 著 Chemie et Physique Photographique (Paul Montel 社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure 誌307巻307105号に記載がある。金増感が特に好ましい。前述したように、本発明は金増感を行なう態様において特に効果がある。青酸カリウム(KCN)を含む溶液で乳剤粒子上の増感核から金を除去できることは、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering)Vol 19322(1975)やジャーナル・イメージング・サイエンス(Journal of Imaging Science)Vol 3228(1988)で述べられている。これらの記載によれば、シアンイオンがハロゲン化銀粒子に吸着した金原子または金イオンをシアン錯体として遊離させ、結果として金増感を阻害する。本発明に従い、シアンの発生を抑制すれば、金増感の作用を充分に得ることができる。 【0075】金増感剤の例には、塩化金酸、カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネート、硫化金および金セレナイドが含まれる。また、米国特許2642361号、同5049484号および同5049485号各明細書に記載の金化合物も用いることができる。還元増感においては、還元性化合物を増感剤として用いる。還元性化合物については、P.Glafkides 著 Chemie et Physique Photographique(Paul Montel 社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure 誌307巻307105号に記載がある。還元増感剤の例には、アミノイミノメタンスルフィン酸(二酸化チオ尿素)、ボラン化合物(例、ジメチルアミンボラン)、ヒドラジン化合物(例、ヒドラジン、p−トリルヒドラジン)、ポリアミン化合物(例、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン)、塩化第1スズ、シラン化合物、レダクトン類(例、アスコルビン酸)、亜硫酸塩、アルデヒド化合物および水素ガスが含まれる。また、高pHや銀イオン過剰(いわゆる銀熟成)の雰囲気によって、還元増感を実施することもできる。還元増感は、ハロゲン化銀粒子の形成時に施すのが好ましい。 【0076】増感剤の使用量は、一般に使用するハロゲン化銀粒子の種類と化学増感の条件により決定する。カルコゲン増感剤の使用量は、一般にハロゲン化銀1モル当り10-8〜10-2モルであり、10-7〜5×10-3モルであることが好ましい。貴金属増感剤の使用量は、ハロゲン化銀1モル当り10-7〜10-2モルであることが好ましい。化学増感の条件に特に制限はない。pAgは一般に6〜11であり、好ましくは7〜10である。pHは4〜10であることが好ましい。温度は40〜95°Cであることが好ましく、45〜85°Cであることがさらに好ましい。 【0077】本発明に用いられる写真乳剤の調製法等については特開平10−239789号の第63欄36行〜第65欄2行等が適用できる。また、カラ−カプラ−等の添加剤、写真感光材料への添加剤等、本発明が適用さる感光材料の種類、感光材料の処理等については特開平10−239789号の第65欄3行〜第73欄13行等が適用できる。 【0078】 【実施例】次に本発明をより詳細に説明するため、以下に実施例を示すが、本発明はそれらに限定されるものではない。 【0079】実施例1(ヨウ臭化銀平板粒子乳剤の調整)1.2リットルの水に臭化カリウム6.4gと平均分子量が1万5千以下の低分子量ゼラチン6.2gを溶解させ30℃に保ちながら16.4%の硝酸銀水溶液8.1mlと23.5%の臭化カリウム水溶液7.2mlを10秒にわたってダブルジェット法で添加した。次に11.7%のゼラチン水溶液をさらに添加し75℃に昇温し40分間熟成させた後、32.2%の硝酸銀水溶液370mlと、17%臭化カリウムと3%ヨウ化カリウムの混合水溶液を、銀電位を−20mVに保ちながら10分間にわたって添加し、1分間物理熟成後温度を35℃に下げた。このようにして平均投影面積経2.32μm、厚み0.09μm、直径の変動係数15.1%の単分散ヨウ臭化銀平板乳剤(比重1.15)を得た。この後凝集沈殿法により可溶性塩類を除去した。再び温度を40℃に保ち、ゼラチン45.6g、1mol/リットルの濃度の水酸化ナトリウム水溶液を10ml、水167ml、さらに5%フェノール10mlを添加し、pAgを8.30、pHを6.16に調整した。この乳剤を、最適感度となるようにチオシアン酸カリウム、塩化金酸、ペンタフルオロフェニル−ジフェニルフォスフィンセレニドおよびチオ硫酸ナトリウムを添加し、55℃で50分間熟成した。色素占有面積を80Åとしたときのこの乳剤の一層飽和被覆量は1.42×10-3mol/molAg であった。 【0080】上記のようにして得られた乳剤を50℃に保ちながら表1に示した第1色素を添加して60℃で30分間攪拌した後第2色素(及び第3色素)を添加し、さらに60℃で60分間攪拌した。 【0081】 【表1】
【0082】色素吸着量は、得られた液体乳剤を10、000rpmで10分間遠心沈降させ、沈殿を凍結乾燥した後、沈殿0.05gを25%チオ硫酸ナトリウム水溶液25mlとDMFを加えて50mlにした。この溶液を高速液体クロマトグラフィーで分析し、色素濃度を定量して求めた。 【0083】単位面積当たりの光吸収強度の測定は、得られた乳剤をスライドガラス上に薄く塗布し、カールツアイス株式会社製の顕微分光光度計MSP65を用いて以下の方法でそれぞれの粒子の透過スペクトルおよび反射スペクトルを測定して、吸収スペクトルを求めた。透過スペクトルのリファレンスは粒子の存在しない部分を、反射スペクトルは反射率の分かっているシリコンカーバイドを測定してリファレンスとした。測定部は直径1μmの円形アパチャー部であり、粒子の輪郭にアパーチャー部が重ならないように位置を調整して14000cm-1(714nm)から28000cm-1(357nm)までの波数領域で透過スペクトル及び反射スペクトルを測定し、1−T(透過率)−R(反射率)を吸収率Aとして吸収スペクトルを求めた。ハロゲン化銀の吸収を差し引いて吸収率A’とし、−Log(1−A’)を波数(cm-1)に対して積分した値を1/2にして単位表面積あたりの光吸収強度とした。積分範囲は14000cm-1から28000cm-1までである。この際、光源はタングステンランプを用い、光源電圧は8Vとした。光照射による色素の損傷を最小限にするため、一次側のモノクロメータを使用し、波長間隔は2nm、スリット幅を2.5nmに設定した。 【0084】また得られた乳剤にゼラチン硬膜剤、及び塗布助剤を添加し、塗布銀量が3.0g−Ag/m2 になるように、セルロースアセテートフィルム支持体上に、ゼラチン保護層とともに同時塗布した。得られたフィルムをタングステン電球(色温度2854°K)に対して連続ウエッジ色フィルターを通して1秒間露光した。色フィルターとして色素側を励起するマイナス青露光用の富士ゼラチンフィルターSC−50(富士フイルム(株)製)を用いて500nm以下の光を遮断し、資料に照射した。露光した資料は下記に示す方法で処理工程を施した。下記の現像液を用いて20℃で10分間現像し、下記の定着を20℃で4分間、水洗1を20℃で5分間、さらに水洗2を20℃で5分間行い、最後に乾燥処理を行った処理を処理Aとする。また、水洗1の代わりに、水酸化ナトリウムで調整したpH11の水溶液を用いて20℃で5分間処理した以外は処理Aと同じ処理方法を処理Bとする。 【0085】現像液メトール 2gハイドロキノン 8g亜硫酸ナトリウム 90g臭化カリウム 5g炭酸ナトリウム1水塩 50.25g水を加えて 1リットルpH 9.8定着液処方チオ硫酸アンモニウム 170g亜硫酸ナトリウム(無水) 15gほう酸 7g氷酢酸 15mlカリ明ばん 20gエチレンジアミン四酢酸 0.1g酒石酸 3.5g水を加えて 1リットル現像、その他の処理を行ったフィルムは富士自動濃度計で光学濃度を測定し、感度は被り+0.2の光学濃度を与えるのに要した光量の逆数で、実験No.1の感度を100としたときの相対値で示した。また、写真処理前の分光吸収極大波長における光学濃度をG0とし、写真処理後の分光吸収極大波長における光学濃度をG1 とし、残色率=G1 /G0 として残色の程度を評価した。この値が低いほど処理後の残色汚染が小さいことを表す。結果を表2に示す。 【0086】 【表2】
【0087】 【化11】
【0088】表2で示されるように、本発明によって、高い吸着量・吸着層数・光吸収強度・高い分光感度を得たのに加えて、残色率が低い値になり、特に処理Bにおいて効果の高いことがわかる。なお、表2の塗布フイルムの分光吸収極大波長はいずれも、500nm以上であった。 【0089】実施例2実施例1と同様な比較を、特開平8−29904号の実施例5のカラーネガ感剤の系、特開平7−92601号、同11−160828号の実施例1のカラー反転感材の系、特開平6−347944の実施例1のカラーペーパーの系、特開平8−122954号の実施例1のX線感材の系で評価して行った。その結果、いずれの場合も本発明で規定されている高い光吸収強度と、本発明の実施例1と同様の低い残色率が得られることを確認した。 【0090】 【発明の効果】本発明の実施例1、2から、残色の少ない消色性増感色素が多層吸着した、高感度のハロゲン化銀写真感光材料を得ることができることが分かる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005201 【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月22日(2000.3.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100105647 【弁理士】 【氏名又は名称】小栗 昌平 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−264913(P2001−264913A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月28日(2001.9.28) |
| 【出願番号】 |
特願2000−80536(P2000−80536) |
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