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【発明の名称】 画像記録装置
【発明者】 【氏名】古谷 宏行

【要約】 【課題】濃度計や校正の機差バラツキ等によらず、安定して正確なキャリブレーション(校正)を行うことができる画像記録装置を提供する。

【解決手段】画像記録部と、前記画像記録部によって校正用テストチャートを記録する手段と、前記校正用テストチャートを濃度測定して、濃度測定データを得る濃度測定部と、前記濃度測定データを補正する補正データを設定する補正データ設定手段と、前記濃度測定データおよび目標となる階調特性を示す目標階調データ、あるいはさらに前記補正データを用いて、前記画像記録部の校正を行う校正手段とを有することにより、前記課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】画像記録部と、前記画像記録部によって校正用テストチャートを記録する手段と、前記校正用テストチャートを濃度測定して、濃度測定データを得る濃度測定部と、前記濃度測定データを補正する補正データを設定する補正データ設定手段と、前記濃度測定データおよび目標となる階調特性を示す目標階調データ、あるいはさらに前記補正データを用いて、前記画像記録部の校正を行う校正手段とを有することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】前記補正データを、異なる濃度域に応じた複数点で設定可能な請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】補正データ設定手段には、異なる濃度域に応じた複数点で、補正データ設定点およびこれに対応する基準濃度が予め設定され、かつ、前記補正データは、各補正データ設定点毎に設定されるものであり、前記校正手段は、前記補正データを用いた校正を行う際には、前記基準濃度データと濃度測定データとから、前記補正データを補間して濃度補正値を求め、この濃度補正値を用いて、前記校正を行う請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】前記校正手段は、前記補正データを用いた校正を行う際には、前記濃度測定データに補正データもしくは濃度補正値を加減算して、前記校正を行う請求項1〜3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】前記補正データ設定手段が、補正データの設定可能範囲を有する請求項1〜4のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタ等の画像記録装置の技術分野に属し、詳しくは、適正な校正を安定して行うことができ、これにより、入力画像に応じた適正な画像を安定して出力することができる画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】レーザプリンタ、サーマルプリンタ、複写装置等の各種の画像記録装置(プリンタ)においては、装置の個体差や経時変化、感光材料などの記録媒体のロット毎の特性差等を吸収して、供給された画像信号に応じた適正な画像を記録できるように、装置の校正いわゆるキャリブレーションが行われている。
【0003】キャリブレーションは、通常、以下のようにして行われる。まず、予め定められたフォーマットでC(シアン)、M(マゼンタ)およびY(イエロー)等の三原色のパッチ等が記録された校正用テストチャート(キャリブレーションチャート)を画像記録装置で出力する。次いで、チャート各々のパッチの濃度を測定する。この濃度測定データと、目標となる階調特性を示す目標階調データとに応じて、入力画像信号に応じた適正な画像記録が行えるように、入力画像信号を出力画像信号に変換する変換条件や、露光量信号を出力画像信号に変換する変換条件等を校正する。画像記録装置には、濃度測定装置が配置され、このようなキャリブレーションを行う機能を内蔵する装置も少なくない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、このような画像記録装置のキャリブレーションは、例えば、校正用テストチャートの濃度測定を行う濃度計の機差や経時的な変動等による誤差、さらには、画像記録装置(校正装置)の装置特性に起因する校正の機差バラツキ等があると、適正に行うことができない。
【0005】キャリブレーションが不適性であると、キャリブレーションを行ったにもかかわらず、出力された画像が、濃度が高すぎる、画像の色味が悪い、グレー等の無彩色が適正に再現できない(グレー(カラー)バランスが悪い)等の各種の不都合が生じ、すなわち、適正な画像を出力することができない。
【0006】本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決することにあり、濃度計の誤差や機差、画像記録装置の装置特性等によらず、適正なキャリブレーションを行うことができ、従って、入力画像に応じた、適正かつ高画質な画像を、安定して出力することができる画像記録装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明は、画像記録部と、前記画像記録部によって校正用テストチャートを記録する手段と、前記校正用テストチャートを濃度測定して、濃度測定データを得る濃度測定部と、前記濃度測定データを補正する補正データを設定する補正データ設定手段と、前記濃度測定データおよび目標となる階調特性を示す目標階調データ、あるいはさらに前記補正データを用いて、前記画像記録部の校正を行う校正手段とを有することを特徴とする画像記録装置を提供する。
【0008】また、前記補正データを、異なる濃度域に応じた複数点で設定可能であるのが好ましく、また、補正データ設定手段には、異なる濃度域に応じた複数点で、補正データ設定点およびこれに対応する基準濃度が予め設定され、かつ、前記補正データは、各補正データ設定点毎に設定されるものであり、前記校正手段は、前記補正データを用いた校正を行う際には、前記基準濃度データと濃度測定データとから、前記補正データを補間して濃度補正値を求め、この濃度補正値を用いて、前記校正を行うのが好ましく、また、前記校正手段は、前記補正データを用いた校正を行う際には、前記濃度測定データに補正データもしくは濃度補正値を加減算して、前記校正を行うのが好ましく、さらに、前記補正データ設定手段が、補正データの設定可能範囲を有するのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の画像記録装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
【0010】図1に、本発明の画像記録装置の一例を概念的に示す。この画像記録装置(デジタルカラープリンタ)10は、記録材料として、熱現像工程を有し、水等の画像形成溶媒の存在下で受像層を有する受像材料に画像を転写形成する、感光性熱現像記録材料を用いる装置である。なお、本発明の画像記録装置は、この記録材料を用いるものに限定はされず、ネガやリバーサルフィルムや印画紙等の銀塩写真感光材料等の各種の感光材料を用いるものでもよく、また、電子写真感光体や電子写真感光材料を用いるものでもよい。
【0011】図示例の画像記録装置10(以下、記録装置10とする)は、前述の感光性熱現像記録材料A(以下、記録材料Aとする)を供給する記録材料供給部12と、露光部14と、受像材料Rを供給する受像材料供給部16と、水塗布部18と、熱現像転写部20と、廃棄材料収容部22と、濃度計24を用いる濃度測定部26とを有して構成される。
【0012】また、記録装置10の上面には、画像記録開始、(ハードコピー)出力枚数の設定、色/濃度の調整、拡大/縮小倍率等の各種の操作指示の入力する、操作パネル23が配置される。また、図示例においては、操作パネル23は、後述する校正用テストチャートの濃度測定データの補正データを設定する、補正データ設定手段(以下、設定手段とする)ともなっている。操作パネル23は、基本的に、公知のカラー画像の記録装置と同様のものであり、例えば、C,MおよびYの各色を選択する色キー、プラスキーおよびマイナスキー等の増減キー、テンキー、開始キー、キャリブレーションの実行や補正データの入力等の各種の操作指示を入力する操作キー、入力された指示や操作を表示する表示パネル、表示パネルに表示された選択肢の選択等を行う矢印キー等を有している。
【0013】図示例において、記録材料Aは、長尺な状態で(感光面を内側にして)ロール状に巻回された状態で、遮光性のマガジン28に収納されて記録装置10に装填される。マガジン28の記録材料Aの取出口の近傍には、引き出しローラ対30およびカッタ32が配置される。記録材料Aは、引き出しローラ対30によって、作成するプリントに応じた長さだけ引き出され、カッタ32によって切断された後に、下流(材料搬送方向の下流)の露光部14に搬送され、露光に供される。
【0014】露光部14は、露光ユニット34と副走査搬送手段とから構成される。露光ユニット34は、記録材料AのR、GおよびBの各感光層の露光に対応する3種の光ビーム光源(R光源、G光源、B光源)、光偏向器、fθレンズ等を有する、記録画像に応じて変調した光ビームcを主走査方向に偏向して、所定の記録位置に入射する、公知の光ビーム走査光学系である。他方、副走査搬送手段も、公知のもので、図示例においては、搬送方向に前記記録位置を挟んで配置され、記録材料Aを主走査方向と直交する副走査方向に搬送する、一対の搬送ローラ対38および38から構成される。記録材料供給部12から供給された記録材料Aは、副走査搬送部36の搬送ローラ対38によって副走査方向に搬送されつつ、記録画像に応じて変調されて主走査方向に偏向された光ビームcによって、二次元的に走査露光され、潜像を記録されて、下流に搬送される。
【0015】図2に、この露光ユニット34の各光ビーム光源の露光制御系の概略をブロック図で示す。図示例において、スキャナ(画像読取装置)、デジタルカメラなどの撮像手段、画像処理装置等の画像信号の供給源Fから供給された入力画像信号(入力画像データ)は、信号変換部40で出力画像信号に変換された後、ドライバ42に供給される。ドライバ42は、この出力画像信号に応じて、各光ビーム光源を変調して駆動する。信号変換部40における信号変換手段には、特に限定はなく、例えば、三次元LUT(ルックアップテーブル)、R,GおよびBの各画像信号に対応する3つの一次元LUT、マトリクス演算等の1以上が例示される。
【0016】ドライバ42にはデータ保持部44が、信号変換部40には(キャリブレーション)演算部46が、それぞれ接続される。データ保持部44は、記録装置10のキャリブレーション(校正)を行う際に、所定フォーマットの校正用テストチャート(キャリブレーションチャート)に対応する画像信号をドライバ42に供給することにより、露光ユニット34によって、記録材料Aに校正用テストチャート(以下、テストチャートとする)を露光するものである。なお、テストチャートは、例えば、段階的に濃度の異なる3原色(例えば、C、MおよびY)等のパッチが形成された、公知のテストチャートでよい。
【0017】一方、演算部46は、キャリブレーションの際に、濃度計24から送られたテストチャートの濃度測定データ、および、目標階調データ、あるいはさらに、操作パネル23を用いて入力された濃度測定データの補正データを用いて、信号変換部40における変換条件(あるいは、その補正条件)を算出し、信号変換部40に設定された変換条件の校正、例えば、前記LUTやマトリクス演算式の書き換え等を行う。この点に関しては、後に詳述する。
【0018】なお、本発明の記録装置においては、信号変換部40は、信号変換手段によって、入力画像信号を、直接、出力画像信号に変換してもよく、あるいは、入力画像信号を中間信号(例えば、露光量信号)に変換し、この中間信号を出力画像信号に変換してもよい。なお、中間信号を介する場合には、キャリブレーションで校正されるのは、いずれの変換条件でもよいが、通常は、中間信号を出力画像信号に変換する変換条件を校正する。
【0019】露光部14において、潜像を記録された記録材料Aは、3つの搬送ローラ対48によって搬送され、水塗布部18において、画像形成溶媒としての水を塗布され、さらに、レジスト部50に搬送される。
【0020】他方、受像材料Rは、受像面に色素固定材料が塗布されたもので、受像材料供給部16において、長尺な状態で(受像面を内側にして)ロール状に巻回された状態で、マガジン52に収納されて記録装置10に装填される。マガジン52の取出し口の近傍には、引き出しローラ対54およびカッタ56が配置される。受像材料Rは、引き出しローラ対54によって、作成するプリントに応じた長さだけ引き出され、カッタ56によって切断された後に、3つの搬送ローラ対58によって搬送され、レジストローラ対60に供給される。なお、後述する剥離爪68による記録材料Aとの剥離を容易にするために、受像材料Rは、記録材料Aよりも、若干、長めに切断される。
【0021】レジスト部50およびレジストローラ60は、共に、タイミングを合わせて記録材料Aおよび受像材料Rを搬送することにより、両者を重ね合わせて熱現像転写部20に搬送する。
【0022】熱現像転写部20は、無端ベルトおよびローラからなるベルトコンベア62および64と、ベルトコンベア62(その無端ベルト)に内包されるように配置される、ヒータ66とを有して構成される。2つのベルトコンベア62および64は、互いの無端ベルトによって記録材料Aと受像材料Rの積層体を挟持搬送する。この挟持搬送の際に、ヒータ66によって前記積層体が加熱されて記録材料Aに形成された潜像が可視像化され、さらに、この画像が受像材料Rに転写される。
【0023】熱現像転写部62の下流には、剥離爪68が配置される。熱現像転写部62で熱現像および画像の転写を終了した記録材料Aと受像材料Rとの積層体の先端が、剥離爪68に至ると、剥離爪68が作動して両材料の間に入り、両者を剥離する。
【0024】剥離爪68によって受像材料Rから剥離された記録材料Aは、搬送ローラ対70によって廃棄材料収容部22に送られる。廃棄材料収容部22は、ドラム72と、ドラム72(記録材料Aの最外層)に巻き掛かるエンドレスベルト74と、このエンドレスベルト74を張架するローラ76,76…とからなる駆動手段を有する。使用済みの記録材料Aは、ドラム72に巻き取られ、所定量になった時点で、廃棄される。
【0025】他方、記録材料Aが剥離された受像材料Rは、搬送ローラ対78,78…によって搬送され、さらに、排出ローラ80によって、画像が記録されたハードコピーとしてトレイ82に排出される。
【0026】最下流の搬送ローラ対78と、排出ローラ80との間には、濃度測定部26が配置される。濃度測定部26は、記録装置10のキャリブレーションを行う際に、受像材料Rに記録されたテストチャートの濃度測定を行って、濃度測定データを露光ユニット34の(キャリブレーション)演算部46に送るもので、濃度計24と、白色基準板84とを有して構成される。また、濃度計24には、必要に応じて、濃度計24そのものを受像材料Rの搬送方向と直交する方向に移動する手段を設けてもよい。
【0027】濃度計24は、受像材料Rに光を照射し、その反射光を測定することによって、記録された画像の濃度を測定する、公知の濃度計である。一例として、受像材料Rに記録されたテストチャートのCパッチの濃度測定に対応するR光を射出するR光源、同Mパッチの濃度測定に対応するG光を射出するG光源、および同Yパッチの濃度測定に対応するB光を射出するB光源と、光源を駆動するドライバと、ドライバをコントロールして各光源の点灯を制御する制御部と、受像材料Rおよび白色基準板84からの反射光光量を測光するセンサと、センサの出力信号を処理して、濃度値(濃度測定データ)として演算部46に送る信号処理部とを有して構成される。
【0028】キャリブレーションを行う際には、データ保持部44からテストチャートの画像信号がドライバ42に供給され、それに応じて、テストチャートが記録材料Aに露光され、熱現像転写部20において熱現像されて受像材料Rに転写されて、テストチャートが記録された受像材料Rが、トレイ82に出力される。通常のキャリブレーション(後述する、補正データの設定を行わないキャリブレーション)を行う際には、オペレータは、この受像材料Rを所定のテストチャート供給部にセットし、濃度測定開始の指示を出す。なお、本発明の記録装置10は、オペレータが濃度測定開始の指示を出すのに限定はされず、例えば、受像材料Rが所定位置にセットされたら、(所定時間経過後に)自動的に読み取りのための動作を開始してもよい。あるいは、受像材料Rに記録されたテストチャートが十分に安定していれば、記録材料Aからテストチャートを転写され、剥離された受像材料Rがトレイ82に搬送されるまでの間に、後述する濃度測定を行ってもよい。
【0029】濃度測定開始の指示が出されると、テストチャートが記録された受像材料Rが濃度測定部26に搬送される。この搬送にタイミングを合わせて、濃度計24は、R、GおよびBの各光源を順次、点灯して、白色基準板84からの反射光の光量を測定して、基準光量を測定し、次いで、受像材料Rに記録されたテストチャートの各パッチの濃度測定を行い、濃度測定データを露光ユニット34の演算部46に送る。
【0030】通常のキャリブレーションの際には、演算部46は、例えば、目標階調データと、供給された濃度測定データとを用いてキャリブレーションの演算を行い、演算結果に基づいて、信号変換部40における変換条件を校正、例えば、前述のLUTの書き換え等を行う。ここで、目標階調データとは、目標となる階調特性を示すもので、例えば、入力画像信号に対する出力の目標濃度であり、具体的な一例として、テストチャートの画像信号に対する、各パッチの適正濃度が例示される。
【0031】通常は、このようなキャリブレーションを行った後は、記録装置10で出力する画像は、入力画像信号に応じた適正な画像となる筈である。しかしながら、濃度計24が誤差を有する場合や、画像記録装置(校正装置)の装置特性に起因する校正の機差バラツキ等がある場合には、適正なキャリブレーションを行うことができず、その結果、キャリブレーションを行ったにもかかわらず、画像の濃度が不適正である、色味がおかしい、グレーが適正に表現できない等の不都合が生じる。
【0032】図示例の記録装置10においては、このような場合、例えば、キャリブレーションを複数回行ったにも関わらず、適正な画像が出力できない場合等、適正なキャリブレーションが行えていない場合には、画像の状態等に応じて、(補正データ)設定手段となっている操作パネル23を用いて、濃度計24による濃度測定データを補正する補正データを入力(設定)することができる。本発明においては、このような(補正データ)設定手段を有することにより、濃度計24が誤差を有する場合や、校正の機差バラツキ等を有する場合であっても、これらを好適に吸収して、適正なキャリブレーションを安定して行うことができる。従って、本発明の記録装置10によれば、入力画像信号を適正に再現した、高画質な画像を安定して出力することができる。
【0033】以下に、図3のブロック図を参照して、補正データを設定して、これを用いるキャリブレーションについて説明する。
【0034】図示例の記録装置10においては、異なる複数点の濃度領域毎に補正データを設定できるように、一例として、LL(極低濃度),L(低濃度),M(中間濃度),H(高濃度)およびHH(極高濃度)の合計5点の補正データ設定点(以下、設定点とする)が設定されている。このように、複数の異なる濃度域に応じて補正データを設定可能にしておくことにより、より高精度なキャリブレーションを行うことが可能である。また、各設定点には、基準濃度が設定されている。本例においては、一例として、LLには濃度Dで0.25が、以下同様に、Lには0.5が、Mには0.8が、Hには1.1が、HHには1.6が、それぞれ、基準濃度データとして設定されている。
【0035】また、各設定点毎に、補正データの設定制限が設けられている。一例として、設定点LLおよびLでは濃度Dで±0.08の補正データしか入力できず、以下同様に、MおよびHでは±0.1の補正データしか入力できず、HHでは±0.12の補正データしか入力できない。このような設定制限を設けることにより、補正データを設定した際の各パッチの濃度測定データの濃度逆転等を防止して、適正なキャリブレーションを安定して行うことができる。図示例の記録装置10の操作パネル23において、これらの補正データは、濃度Dの1000倍の数値で表示され、すなわち、オペレータによる補正データの設定は、各設定点毎の設定制限に応じて、±80、±100および±120の範囲で行われる。
【0036】このような設定の下、オペレータは、各色(C,M,Y)毎に、各設定点に対して、補正データを決定し、操作パネル23を用いて入力(設定)する。設定された補正データは、演算部46に供給される。本例においては、一例として、前述の操作パネル23の操作キーを用いて補正データの入力操作を行う旨の指示を出した後、矢印キーで設定点を選択し、色キーを用いて色を選択し、さらに、増減キーやテンキーで補正データを入力する。これに対応して、表示パネルには、図4に示されるような補正データ設定の表示がされる。この例は、C(シアン)の設定点LLには、+10 の補正データが設定されたことを示している【0037】なお、本発明においては、全ての色および設定点の組み合わせ(すなわち、本例では15点)で補正データを設定するのに限定はされず、例えば、補正は不要と考えられる組み合わせでは、補正データ「0」を入力してもよく、あるいは、「パス」等の指示を入力できるようにしてもよい。
【0038】また、補正データの決定方法には、特に限定はなく、例えば、キャリブレーションを行った後に出力した画像を見て、オペレータが適宜決定してもよく、あるいは、最後に出力したテストチャート(補正データ決定の為に、再度出力してもよい)を見て、オペレータが適宜決定してもよい。特に好ましい方法として、繰り返しキャリブレーションを行うことにより、キャリブレーションを収束した状態(すなわち、繰り返し同じテストチャートが出力される状態)として、この収束状態で出力したテストチャートの各パッチの濃度を基準濃度計で測定し、各パッチの適正濃度との差を用いて決定する方法が例示される。
【0039】次いで、通常のキャリブレーションと同様にしてテストチャートが記録された受像材料Rを出力し、所定のテストチャート供給部にセットし、濃度測定開始の指示を出す。なお、テストチャートの出力は、補正データの設定に先立って行ってもよく、また、キャリブレーションが収束した状態で出力したテストチャートがある場合には、再度テストチャートを出力せずに、これを用いてもよい。
【0040】通常のキャリブレーションと同様に、テストチャートが記録された受像材料Rは、濃度測定部26に送られ、濃度計24によって各パッチの濃度が測定され、各パッチの濃度(濃度測定データ)が演算部46に送られる。
【0041】演算部46は、まず、設定された補正データを用いて、濃度測定データを補正して、補正された濃度測定データ(補正後濃度測定データ)を算出する。補正後濃度測定データの算出方法には、特に限定はなく、例えば、基準濃度データが最も近い設定点に設定された補正データを、濃度測定データに加算(あるいは減算)する方法等、各種の方法が利用可能である。
【0042】補正後濃度測定データの算出方法の好ましい方法として、基準濃度データと濃度測定データとを用いて、設定された補正データを補間して補正値を算出し、この補正値を用いて濃度測定データを補正する方法が例示される。例えば、濃度測定データが0.9(濃度D)である場合には、設定点M(基準濃度0.8)および設定点H(基準濃度1.1)の基準濃度と、濃度測定データとを用いて、両設定点に設定された補正データを補間することにより補正値を算出し、この補正値を用いて濃度測定データ0.9を補正する。
【0043】補間の方法には限定はなく、線形補間等、公知の方法が各種利用可能である。以下に、線型補間を用いた場合における、補正後濃度測定データの算出方法の一例を示す。なお、下記式において、Din[p]は、パッチの濃度測定データを;Calen[n]は、各設定点の基準濃度データを;Calet[n]は、設定された補正データを;Calor[p]は、算出された補正値を;DA[p]は、各パッチの補正後濃度測定データを; それぞれ示す。また、pはパッチナンバーで、nは設定点(LL〜HH)である。なお、下記式において、[n+1]とはnの1つ高濃度側の設定点で、例えば、[n]=Lであれば、[n+1]=Mを示す。
【0044】まず、補正値Calor[p]は 下記のように算出する。
■ Din[p]<Calen[LL]の場合Calor[p]=(Calet[LL]/Calen[LL])×Din[p]
■ Calen[n]≦Din[p]<Calen[n+1]の場合Calor[p]=((Calet[n+1]−Calet[n])/(Calen[n+1]−Calen[n]))×(Din[p]−Calen[n])+Calet[n]
■ Calen[H]≦Din[p]の場合上記■の場合において、nをHとする。
【0045】このようにして補正値Calor[p]を算出したら、これを対応するパッチの濃度測定データDin[p]から減算して、補正後濃度測定データDA[p]を算出する。
DA[p]=Din[p]−Calor[p]
【0046】演算部は、このようにして算出した補正後濃度測定データDAと、目標階調データとを用いて演算を行い、演算結果に基づいて、信号変換部40における変換条件を校正、例えば、前述のLUTの書き換え等を行う。これにより、濃度計24の誤差や校正の機差バラツキ等があっても、適正なキャリブレーションを行って、以降は、入力画像信号に応じた適正かつ高画質な画像を出力することができる。
【0047】なお、本発明においては、演算部46におけるキャリブレーションの際の演算の方法には特に限定はなく、テストチャートの基準濃度データ等の目標階調データと、テストチャートの濃度測定データ(補正後濃度測定データ)とを用いて行われる、公知の方法(アルゴリズム)が全て利用可能である。好適な一例として、本出願人による、特開平10−203863号公報に開示される方法が例示される。
【0048】また、別の好ましい方法として、濃度測定データに対応する点を基準点として、先に設定されている(すなわちキャリブレーションを行う前の)画像信号変換手段を区間分割すると共に、予め設定されている入力画像信号(中間信号)と目標とする出力画像信号(すなわち目標画像濃度)との関係を目標階調データとして、この目標階調データを用いて濃度測定データを入力画像信号に変換し、変換された値と目標階調データとを用いて前記各区間毎の変換特性を規定するパラメータを求めて、このパラメータを用いて前記画像信号変換手段を補正する方法が例示される。この方法によれば、目標階調データを細かく設定しておくことにより(例えば、10bitで64点程度)、テストチャートのパッチの数が少なくても、十分に高精度なキャリブレーションを行うことができ、記録材料の節約、濃度測定の短時間化および簡略化等を測ることができる。
【0049】以上、本発明の画像記録装置について詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
【0050】例えば、本発明の画像記録装置は、図示例のようなデジタルプリンタではなく、原稿の反射光や投影光で記録材料を露光するアナログプリンタでもよい。さらに、図示例においては、濃度測定装置や(キャリブレーション)演算部が内蔵されているが、本発明の画像記録装置は、これ以外にも、濃度測定装置や演算部を有するいわゆるキャリブレータが外付けで接続されるものであってもよい。また、以上の例では、補正データを用いて濃度測定データを補正してキャリブレーションを行っているが、本発明はこれに限定はされず、濃度測定データそのものではなく、補正データでテストチャートの目標階調データを補正することにより、濃度測定データの補正を行い、これを用いてキャリブレーションを行ってもよい。
【0051】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の画像記録装置は、濃度計の誤差や機差、画像記録装置の装置特性に起因する校正の機差バラツキ等によらず、適正なキャリブレーションを行うことができ、従って、入力画像に応じた、適正かつ高画質な画像を、安定して出力することができる。
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【出願日】 平成12年4月19日(2000.4.19)
【代理人】 【識別番号】100080159
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 望稔
【公開番号】 特開2001−305678(P2001−305678A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−118064(P2000−118064)