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【発明の名称】 電子閃光装置
【発明者】 【氏名】尾高 幸夫

【要約】 【課題】放熱部材の抜きバリとの接触による反射膜の剥離や、放熱部材と反射膜間のスパークによる反射膜の溶解、剥離を防止する。

【解決手段】放電管と、この放電管の長手方向を覆い管径方向の一部を切り欠いた反射膜と、この反射膜に対して同心円部分で密着する金属製のプレス成型された放熱部材とを有し、前記放熱部材を介してトリガ出力を放電管に印加する電子閃光装置において、前記金属のプレス成型された放熱部材が、放熱部材に対して上記反射膜を有する空間方向以外の方向にバリを有するようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 主コンデンサと、トリガ出力を印加するトリガ回路部を有し、前記トリガ回路部よりトリガ出力が印加されることで、前記主コンデンサに蓄積された電荷を放電させ光エネルギーに変換する放電管と、前記放電管の長手方向を覆い管径方向の一部を切り欠いた反射膜と、前記反射膜に対して同心円部分で接触する金属製のプレス成型された放熱部材とを有し、前記放熱部材を介して前記トリガ出力を放電管に印加する電子閃光装置において、前記金属のプレス成型された放熱部材は、放熱部材に対して前記反射膜を有する空間方向以外の方向にバリを有することを特徴とする電子閃光装置。
【請求項2】 前記金属製のプレス成型された放熱部材は高反射率のアルミ製反射笠であることを特徴とする請求項1に記載の電子閃光装置。
【請求項3】 前記金属製のプレス成型された放熱部材は、板状の金属をプレス切断した放熱板であることを特徴とする請求項1に記載の電子閃光装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主にカメラに内蔵される電子閃光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カメラに内蔵される電子閃光装置の発光部は小型化されており、そのため、例えば高反射率のアルミ板を用いたプレス成型による反射笠では、曲率の大きな部分、特に放電管と反射笠の接触部分付近では、プレス成型によるシワが発生しその部分の反射率が低下するなどの問題が生じている。また、反射笠に反射する光束の多くが再び放電管内部を通過して被写体に照射されるが、放電管の表面で反射してしまう光束も少なくないため、反射光の損失の問題を無視できなくなっている。
【0003】上記反射光の損失を改善するため、フィラメントに金属を蒸着させて反射膜を付したランプが存在し、最近では、放電管に反射膜を使用したものが特開平11-327009、特開平08-095126等で開示されている。
【0004】これらの反射膜は、蒸着やメッキにより形成され、この厚みは数十Åから数μmのオーダーと薄いため、発光時に放電管の熱の影響により反射膜が昇華してしまう、又は、急激な熱変化の影響により反射膜が剥離してしまうなどの問題が生じている。
【0005】ところで、放電管には、透明若しくは多少黄色味のある光透過性の高い導電性の膜をトリガ電極として用いるものがある。この導電性膜は、一般的に数百度の熱で焼き付けられており、熱的及び機械的強度があり実装上に対しての剥がれによる問題も少ない。図5にこの導電性膜の例を示す。1は放電管であり、11は実際には透明な導電性膜である。12は反射笠、12-aは反射笠に設けられた4箇所の凸の突起部であるダボであり、10は図6に示すように、リード線13を巻いてかしめる部分である。図5に示すように、放電管1は反射笠に設けられた凸のダボにより、反射笠12と放電管1の導電性膜11とで電気的に接続されトリガ出力が印加される。
【0006】放電管1の導電性膜11は、放電管の発熱時の熱には前述のとおり強いので、ダボで浮かせても問題がなく放熱のために反射笠に密着させる必要性がない。また、ダボがない状態でも反射笠の一部が接触していればよく、バリがあったとしても導電性膜の内側であれば問題はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の導電性膜とは異なり、反射膜は前述のごとく薄いため、組み込み時の金属製の放熱部材や放熱部材を兼ねた反射笠のプレス抜きの際の抜きバリとの接触により剥離してしまう。また、反射膜と、放熱部材や放熱部材を兼ねた反射笠とが浮いている場合にトリガ出力が印加されると、加熱部材と反射膜間で電離してしまいスパークが発生する。このスパークによる熱で反射膜が溶解し、剥がれるなどの不具合が生じてしまう。
【0008】さらに、前述のように、放熱する必要があるため、略透明のトリガ電極の様に数箇所で固定することが出来ず、バリによる反射膜の浮きを無視できないという問題がある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では前述の不都合を解消するために、主コンデンサと、トリガ出力を印加するトリガ回路部を有し、トリガ回路部より高圧のトリガ出力が印加されることで、主コンデンサに蓄積された電荷を放電させ光エネルギーに変換する放電管と、この放電管の長手方向を覆い管径方向の一部を切り欠いた反射膜と、この反射膜に対して同心円部分で密着する金属製のプレス成型された放熱部材とを有し、前記放熱部材を介して前記トリガ出力を放電管に印加する電子閃光装置において、前記金属のプレス成型された放熱部材が、放熱部材に対して上記反射膜を有する空間方向以外の方向にバリを有するようにプレス切断されることで、反射膜と放熱部材を密着させることができる。これにより、放熱部材のプレス時の抜きバリと反射膜との接触による反射膜の剥離を防止し、また、放熱部材と反射膜の間に隙間があることによりトリガ出力の印加によりスパークが発生し、このスパークの熱で反射膜が溶解により剥離してしまうのを防止することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】図1に本発明の実施形態である放電管と放熱部材を兼ねたアルミ反射笠で構成された電子閃光装置の発光部を示す。図1(A)は側面図であり、図1(B)は斜視図である。
【0011】1は放電管、2は反射膜部材、4は放電管の陽極、5は放電管の陰極である。8は放熱部材を兼ねた高反射率のアルミ部材をプレス加工した反射笠であり、8-aは反射笠と反射部材が密着するための溝部である。10は笠と一体のトリガリードのかしめ部である。ここでトリガかしめ部10を介してトリガ出力が印加されることにより、放電管1は電極4、5を介して図示しない主コンデンサに蓄積された電荷を放電させて放電電流を流し、発光が行われる。このとき、放電管1より発生する熱により厚みの薄い反射膜部材2は瞬時に高温になるが、放熱部材を兼ねる反射笠8が反射膜と熱的に密着されているために、温度は放熱部材を兼ねる反射笠8に吸収される。この例では、温度的に密着な構造とは、プレス成型である放熱部材を兼ねる反射笠8を、放電管の反射膜部材に対して同心円形状で接触させることを示している。ここで放電管1から反射笠8方向に照射される光束は、放電管1のガラス表面に設けられた反射膜で反射するため、反射笠で光束が反射する損失や、ガラス表面で光束が反射する損失が軽減される。
【0012】図2に他の光学系での実施形態を示す。ここではライトガイドプリズムを用いた光学系である。図1で示したものと同様な構成に関しては同様の記号で示した。図2(A)はこの光学系の側面図、図2(B)は斜視図である。
【0013】1は放電管、2は反射膜部材、6は放熱部材を兼ねた反射笠、7はライトガイドプリズム、10は反射笠と一体で設けられたトリガかしめ部である。放電管の発光は、図示しない主コンデンサの蓄積電化の放電により行われる。放電管1の発光による光束は、反射膜2及び反射笠6により反射され、ライトガイドプリズムの入射面7-aに入射しライトガイド内部で全反射を繰り返し射出面7-bから放射される。ここで反射笠6は放電管1に設けられた反射膜2と熱的に密着されており、反射笠6は図1で示した放熱板と兼用されている。このため、反射膜2は放電管1から発生する熱から反射笠を兼ねる放熱板により熱的に保護される。熱的に密着とは、ここでは反射笠6と放電管1に設けられた反射笠2が同心円部分で接触していることを示している。この反射笠の曲率の高い部分に照射されるの光束は、高反射率の反射膜により反射されるため、笠の反射率の低下した部分を使用することなく光束の損失を減少させる効果がある。
【0014】これらの光学系におけるプレス部材であるアルミ反射笠を図3に示す。8及び6は反射笠で、それぞれ図3(A)で示したものが図1、図3(B)で示したものが図2と同様のものである。ここではプレス時のバリの発生する部分6-c及び8-cを強調して図示したものである。図3によれば、反射笠8及び6は反射笠に対して、反射膜を備えた放電管1を有する空間方向以外の方向、つまり反射笠の外側の面方向にバリが発生していることを図示しており、放電管1は反射笠6及び8に密着することが可能となる。また、図4は放熱部材が反射膜部材を有する放電管の一部を覆うものであり、1は放電管のガラスの断面、2は反射膜、9は放熱部材であり9-cはバリが発生した部分である。図4(A)は放電管の反射膜に対して反対側にバリがあり、放熱部材と反射膜は密着している。これに対して、図4(B)はバリが放電管の反射膜に面する側にあるので、放熱部材と反射膜は浮いてしまい、放電管1が発光する時点での放熱効果が著しく減少してしまう。更には、図4(B)の状態でトリガ出力が印加されると放熱部材9と反射膜2との間で絶縁破壊が起こり、スパークが発生して薄い反射膜を昇華させてしまうことや、組み込み時にバリ部で薄い反射膜を削り取ってしまうなどの不都合が生じてしまうが、図4(A)に図示した構成ではそれを防止することができる。
【0015】また、ここでは放熱部材を兼ねた反射笠の例をあげて説明を行ったが、反射笠ではなく単なる放熱部材であっても同様の効果を得ることができる。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、放電管と、その放電管の長手方向を覆い、管径方向の一部を切り欠いた反射膜と、反射膜の熱を逃がす放熱部材とを有する電子閃光装置において、金属製のプレス成型された放熱部材が、放熱部材に対して反射膜を有する空間方向以外の方向にバリを有するようにプレス切断されることで、反射膜と放熱部材を密着させることができる。これにより、放熱部材のプレス時の抜きバリと反射膜との接触による反射膜の剥離を防止し、また、放熱部材と反射膜の間に隙間があることによりトリガ出力の印加によりスパークが発生し、このスパークの熱で反射膜が溶解により剥離してしまうことを防止することができる。更に、トリガ出力が印加され絶縁破壊によりスパークが発生し、このスパークの熱で薄い反射膜を昇華させてしまうことも防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成12年4月26日(2000.4.26)
【代理人】 【識別番号】100090538
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 恵三 (外1名)
【公開番号】 特開2001−305619(P2001−305619A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−125630(P2000−125630)