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【発明の名称】 シャッタ装置およびこれを備えた機器、カメラ、画像表示装置
【発明者】 【氏名】豊田 靖宏

【要約】 【課題】いわゆるショートアームタイプのシャッタ装置の小型化を図るのが難しい。

【解決手段】シャッタ開口1aを有する基板1と、シャッタ開口上を走行する遮光羽根2と、基端部が基板におけるシャッタ開口の両側の部分のうち一方の部分に回動可能に取り付けられるとともに先端部が遮光羽根における上記一方の側に連結されて平行リンクを構成する第1および第2のアーム部材6,7と、第1のアーム部材に係合して作動し遮光羽根を平行リンク駆動する駆動部材20とを有して構成されるシャッタ装置において、遮光羽根における上記一方の側の端部2bが、遮光羽根の走行開始前又は走行完了状態にて、駆動部材の作動に伴って移動するこの駆動部材とアーム部材との係合部20aの可動領域のうちこの係合部が位置しない部分に入り込むようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シャッタ開口を有する基板と、前記シャッタ開口上を走行する遮光羽根と、基端部が前記基板における前記シャッタ開口の両側の部分のうち一方の部分に回動可能に取り付けられるとともに先端部が前記遮光羽根における前記一方の側に連結されて平行リンクを構成する第1および第2のアーム部材と、前記第1のアーム部材に係合して作動し前記遮光羽根を平行リンクにより走行駆動する駆動部材とを有して構成されるシャッタ装置において、前記遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記遮光羽根の走行開始前又は走行完了状態にて、前記駆動部材と前記アーム部材との係合部の可動領域のうち前記係合部が位置しない部分に入り込むことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項2】 前記遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記遮光羽根の走行開始前に、前記係合部の可動領域のうち前記遮光羽根の走行開始後に前記係合部が通過する前の部分に入り込んでおり、前記遮光羽根の走行開始後から走行完了までの間に、前記係合部の可動領域外に移動することを特徴とする請求項1に記載のシャッタ装置。
【請求項3】 前記遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記遮光羽根の走行開始前に、前記係合部の可動領域外に位置しており、前記遮光羽根の走行開始後から走行完了までの間に、前記係合部の可動領域のうち前記係合部が通過した後の部分に入り込むことを特徴とする請求項1に記載のシャッタ装置。
【請求項4】 前記遮光羽根における前記一方の側の端部が、この遮光羽根の走行方向前端縁又は走行方向後端縁を前記一方の側に延出させた部分であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシャッタ装置。
【請求項5】 シャッタ開口を有する基板と、前記シャッタ開口上を走行して重畳状態又は展開状態になる遮光羽根群と、基端部が前記基板における前記シャッタ開口の両側の部分のうち一方の部分に回動可能に取り付けられるとともに前記基端部よりも先端側の部分が前記遮光羽根群における前記一方の側に連結されて平行リンクを構成する第1および第2のアーム部材と、前記第1のアーム部材に係合して作動し前記遮光羽根群を平行リンクにより走行駆動する駆動部材とを有して構成されるシャッタ装置において、前記遮光羽根群のうち少なくとも1つの遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記遮光羽根群の重畳状態にて、前記駆動部材と前記アーム部材との係合部の可動領域のうちこの係合部が位置しない部分に入り込むことを特徴とするシャッタ装置。
【請求項6】 前記遮光羽根群が重畳状態から展開状態に走行するものであり、前記遮光羽根群のうち少なくとも1つの遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記遮光羽根群の重畳状態にて、前記係合部の可動領域のうち前記遮光羽根群の走行開始後に前記係合部が通過する前の部分に入り込んでおり、前記遮光羽根群の走行開始後から走行完了までの間に、前記係合部の可動領域外に移動することを特徴とする請求項5に記載のシャッタ装置。
【請求項7】 前記遮光羽根群が展開状態から重畳状態に走行するものであり、前記遮光羽根群のうち少なくとも1つの遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記遮光羽根の展開状態にて、前記係合部の可動領域外に位置しており、前記遮光羽根の走行開始後から走行完了までの間に、前記係合部の可動領域のうち前記係合部が通過した後の部分に入り込むことを特徴とする請求項5に記載のシャッタ装置。
【請求項8】 前記少なくとも1つの遮光羽根が、前記アーム部材の最も先端側に連結された遮光羽根を含むことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載のシャッタ装置。
【請求項9】 前記遮光羽根における前記一方の側の端部が、この遮光羽根の走行方向前端縁又は走行方向後端縁を前記一方の側に延出させた部分であることを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載のシャッタ装置。
【請求項10】 シャッタ開口を有する基板と、前記シャッタ開口を閉鎖する側から開放する側に走行する先幕遮光羽根と、前記シャッタ開口を開放する側から閉鎖する側に走行する後幕遮光羽根と、基端部が前記基板における前記シャッタ開口の両側の部分のうち一方の部分に回動可能に取り付けられるとともに先端部が前記先幕遮光羽根における前記一方の側に連結されて平行リンクを構成する第1および第2の先幕アーム部材と、前記第1の先幕アーム部材に係合して作動し前記先幕遮光羽根を平行リンクにより走行駆動する先幕駆動部材と、基端部が前記基板における前記一方の部分に回動可能に取り付けられるとともに先端部が前記後幕遮光羽根における前記一方の側に連結されて平行リンクを構成する第1および第2の後幕アーム部材と、前記第1の後幕アーム部材に係合して作動し前記後幕遮光羽根を平行リンクにより走行駆動する後幕駆動部材とを有して構成されるシャッタ装置において、前記先幕遮光羽根における前記一方の側の端部が、この先幕遮光羽根の走行開始前にて、前記先幕駆動部材と前記先幕アーム部材との係合部である先幕側係合部の可動領域外に位置しており、前記先幕遮光羽根の走行完了状態にて、前記先幕側係合部の可動領域のうちこの先幕側係合部が位置しない部分に入り込むとともに、前記後幕遮光羽根における前記一方の側の端部が、この後幕遮光羽根の走行開始前にて、前記後幕駆動部材と前記後幕アーム部材との係合部である後幕側係合部の可動領域のうちこの後幕側係合部が位置しない部分に入り込んでおり、前記後幕遮光羽根の走行完了状態にて、前記後幕側係合部の可動領域外に位置することを特徴とするシャッタ装置。
【請求項11】 前記先幕遮光羽根における前記一方の側の端部が、この先幕遮光羽根の走行開始前にて、前記先幕側係合部および前記後幕側係合部の双方の可動領域外に位置しており、前記先幕遮光羽根の走行開始後から走行完了までの間に前記先幕側係合部の可動領域のうちこの先幕側係合部が位置しない部分にに入り込むとともに、前記後幕遮光羽根における前記一方の側の端部が、この後幕遮光羽根の走行開始前にて、前記後幕側係合部の可動領域のうち前記後幕側係合部が位置しない部分に入り込んでおり、前記後幕遮光羽根の走行開始後から走行完了までの間に前記後幕側係合部および前記先幕側係合部の双方の可動領域外に移動することを特徴とする請求項10に記載のシャッタ装置。
【請求項12】 前記先幕遮光羽根における前記一方の側の端部が、この先幕遮光羽根の走行開始前にて、前記先幕側係合部および前記後幕側係合部の双方の可動領域外に位置しており、前記先幕遮光羽根の走行開始後から走行完了までの間に前記先幕側係合部の可動領域のうちこの先幕側係合部が通過した後の部分に入り込むとともに、前記後幕遮光羽根における前記一方の側の端部が、この後幕遮光羽根の走行開始前にて、前記後幕側係合部の可動領域のうち前記後幕遮光羽根の走行開始後に前記後幕側係合部が通過する前の部分に入り込んでおり、前記後幕遮光羽根の走行開始後から走行完了までの間に前記後幕側係合部および前記先幕側係合部の双方の可動領域外に移動することを特徴とする請求項11に記載のシャッタ装置。
【請求項13】 前記各遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記各遮光羽根におけるスリット形成縁を前記一方の側に延出させた部分であることを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載のシャッタ装置。
【請求項14】 シャッタ開口を有する基板と、前記シャッタ開口上を走行して展開状態から重畳状態になる先幕遮光羽根群と、前記シャッタ開口上を走行して重畳状態から展開状態になる後幕遮光羽根群と、基端部が前記基板における前記シャッタ開口の両側の部分のうち一方の部分に回動可能に取り付けられるとともに前記基端部よりも先端側の部分が前記先幕遮光羽根群における前記一方の側に連結されて平行リンクを構成する第1および第2の先幕アーム部材と、前記第1の先幕アーム部材に係合して作動し前記先幕遮光羽根群を平行リンクにより走行駆動する先幕駆動部材と、基端部が前記基板における前記一方の部分に回動可能に取り付けられるとともに前記基端部よりも先端側の部分が前記後幕遮光羽根群における前記一方の側に連結されて平行リンクを構成する第1および第2の後幕アーム部材と、前記第1の後幕アーム部材に係合して作動し前記後幕遮光羽根を平行リンクにより走行駆動する後幕駆動部材とを有するシャッタ装置において、前記先幕遮光羽根群のうち少なくとも1つの先幕遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記先幕遮光羽根群の展開状態にて、前記先幕駆動部材と前記先幕アーム部材との係合部である先幕側係合部の可動領域外に位置しており、前記先幕遮光羽根群の重畳状態にて、前記先幕側係合部の可動領域のうちこの先幕側係合部が位置しない部分に入り込むとともに、前記後幕遮光羽根群のうち少なくとも1つの後幕遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記後幕遮光羽根群の重畳状態にて、前記後幕駆動部材と前記後幕アーム部材との係合部である後幕側係合部の可動領域のうちこの後幕側係合部が位置しない部分に入り込んでおり、前記後幕遮光羽根群の展開状態にて、前記後幕側係合部の可動領域外に位置することを特徴とするシャッタ装置。
【請求項15】 前記先幕遮光羽根群のうち少なくとも1つの先幕遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記先幕遮光羽根群の展開状態にて、前記先幕側係合部および前記後幕側係合部の双方の可動領域外に位置しており、前記先幕遮光羽根が展開状態から重畳状態に走行する間に前記先幕側係合部の可動領域のうちこの先幕側係合部が位置しない部分に入り込むとともに、前記後幕遮光羽根群のうち少なくとも1つの後幕遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記後幕遮光羽根群の重畳状態にて、前記後幕側係合部の可動領域のうち前記後幕側係合部が位置しない部分に入り込んでおり、前記後幕遮光羽根群が重畳状態から展開状態に走行する間に前記後幕側係合部および前記先幕側係合部の双方の可動領域外に移動することを特徴とする請求項14に記載のシャッタ装置。
【請求項16】 前記先幕遮光羽根群のうち少なくとも1つの先幕遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記先幕遮光羽根群の展開状態にて、前記先幕側係合部および前記後幕側係合部の双方の可動領域外に位置しており、前記先幕遮光羽根が展開状態から重畳状態に走行する間に前記先幕側係合部の可動領域のうちこの先幕側係合部が通過した後の部分に入り込むとともに、前記後幕遮光羽根群のうち少なくとも1つの後幕遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記後幕遮光羽根群の重畳状態にて、前記後幕側係合部の可動領域のうち前記後幕遮光羽根群の走行開始後に前記後幕側係合部が通過する前の部分に入り込んでおり、前記後幕遮光羽根群が重畳状態から展開状態に走行する間に前記後幕側係合部および前記先幕側係合部の双方の可動領域外に移動することを特徴とする請求項15に記載のシャッタ装置。
【請求項17】 前記少なくとも1つの先幕遮光羽根が、前記先幕アーム部材におおける最も先端側に連結された先幕遮光羽根を含み、前記少なくとも1つの後幕遮光羽根が、前記後幕アーム部材における最も先端側に連結された後幕遮光羽根を含むことを特徴とする請求項14から16のいずれかに記載のシャッタ装置。
【請求項18】 前記各遮光羽根における前記一方の側の端部が、前記各遮光羽根におけるスリット形成縁を前記一方の側に延出させた部分であることを特徴とする請求項14から17のいずれかに記載のシャッタ装置。
【請求項19】 請求項1から18のいずれかに記載のシャッタ装置を備えたことを特徴とする機器。
【請求項20】 請求項1から18のいずれかに記載のシャッタ装置を備えたことを特徴とするカメラ。
【請求項21】 請求項1から18のいずれかに記載のシャッタ装置と、投写された画像を記憶し、この記憶画像を表示する空間光変調素子その他の記憶表示手段とを有し、前記シャッタ装置を閉鎖して外光を遮断した状態で前記記憶表示手段に画像を投写し記憶させ、前記シャッタ装置を開放した状態で前記記憶表示手段に記憶画像を表示させることを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カメラや画像表示装置その他の機器に用いられるシャッタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カメラ等では、2本のアームからなる平行リンク機構により複数枚に分割された羽根群を回転自在に支持する形式のフォーカルプレーンシャッタが多用されている。このようなフォーカルプレーンシャッタに用いられる平行リンク機構の形式としては、シャッタ基板におけるシャッタ開口の両側方の部分のうち一方の部分にアーム基端部を回動可能に取り付けるとともにアーム先端側の部分を羽根群における他方の側に連結した(アームがシャッタ開口の一方から他方に跨るように配置される)ロングアームタイプのものと、シャッタ基板におけるシャッタ開口の両側の部分のうち一方の部分にアーム基端部を回動可能に取り付けるとともにアーム先端側の部分を羽根群における上記一方の側に連結した(アームがシャッタ開口の一方から他方に跨らないように配置される)ショートアームタイプのものものとがある。
【0003】また、フォーカルプレーンシャッタとしては、羽根群を上下方向に走行させる、所謂縦走りフォーカルプレーンシャッタが用いられることが多い。
【0004】このような縦走りフォーカルプレーンシャッタのうちロングアームタイプのものは、実公昭35―29651号公報にて開示されているように、アーム基端部に対してシャッタ開口を挟んだ反対側にて羽根群がアームに回転自在に保持される。このため、アームはシャッタ開口の幅以上に長くなる。
【0005】また、ロングアームタイプでは、羽根群によるシャッタ開口の開閉に要するアームの回転角が小さくて済むので、開閉動作による羽根群の走行方向に直交する方向(横幅方向)の変位量が小さくなり、シャッタの横幅の小型化には有利となる。但し、2本のアームで保持できる羽根群枚数を3枚以上にすると、構造が複雑となる欠点や、長いアームを用いるため、羽根群およびアームからなる羽根ユニットのイナーシャが大きくなり、高速走行に不利となる欠点がある。
【0006】このため、近年におけるシャッタの露光秒時の高速化や、閃光発光同調秒時の高速化に伴い、高速化に不向きなロングアームタイプのものは使われなくなってきている。
【0007】一方、ショートアームタイプのものは、ロングアームタイプのものに比べて横幅の小型化には不利となるものの、アームがシャッタ開口を跨ぐことがなく、アーム基端部に近い側にて多数枚の羽根群を2本のアームで回転自在に保持するように構成されている。しかも、羽根走行によるイナーシャをより小さくするために、アームの長さは極力短いことが望ましい。
【0008】このようなショートアームタイプのフォーカルプレーンシャッタにおける各部の構成及び寸法関係は、図19および図20に示す(図19は走行準備完了状態を、図20は走行完了状態をそれぞれ示す)ようになっている。このシャッタ装置では、シャッタ開口101aを有するシャッタ基板101に、第1の先幕アーム106と第2の先幕アーム107の基端部を軸101d,101e回りで回転自在に取り付け、これら2つの先幕アーム106,107に5枚羽根構成の先幕を構成するスリット形成羽根102と4枚の覆い羽根103,104,105,105’とを回転自在に羽根カシメダボ108a〜108e,109a〜109eを用いて連結支持することにより平行リンクを構成している。また、シャッタ基板101に、第1の後幕アーム114と第2の後幕アーム115の基端部を軸101f,101g回りで回転自在に取り付け、これら2つの後幕アーム114,115に4枚羽根構成の後幕を構成するスリット形成羽根110と3枚の覆い羽根111,112,113とを回転自在に羽根カシメダボ116a〜116d,117a〜117dを用いて連結することにより平行リンクを構成している。
【0009】そして先幕側および後幕側において、羽根カシメダボの配置は順次緩やかな弧を描くような素直なものであり、先幕および後幕がそれぞれ重畳された状態で第1のアームと第2のアームとが互いに接近して並ぶようになっている(以下、このシャッタ装置を第1の従来例と称する)。
【0010】また、2本のアームからなる平行リンク機構での小型化が困難という見地から、3本目(更には4本目)の補助アームを追加して小型化を図ったシャッタ装置が、実公平6−26896号公報に開示されている。このシャッタ装置では、羽根重畳時に、スリット形成羽根を支持する第1及び第2のアームの支持部をファインダと開口窓との間に存する収納部領域に納め、他の覆い羽根群を支持する第3アームを該領域外に位置させるようにして、シャッタ装置の左右方向の外形寸法を縮小するものである。
【0011】このシャッタ装置では、少ないスペースに3本のアームを配置するため、各アームを細くするとともに、羽根群が重畳された状態で第1のアームの基端部回転中心と第3の覆い羽根のカシメダボの間に第3のアームの基端部回転中心が入り込み、第3のアームの基端部回転中心と第3の覆い羽根のカシメダボの間に第1のアーム上の第3の覆い羽根のカシメダボが入り込むようになっている(以下、このシャッタ装置を第2の従来例と称する)。
【0012】また、実公平6−26897号公報には、スリット形成羽根を軸支する2本の主アームのうちの一方の主アームに他の羽根の一方の軸支部を結合し、他方の軸支部を他方の主アーム及び補助アームに結合支持するようにして、小型化と耐久性向上を図ったシャッタ装置が開示されている(以下、このシャッタ装置を第3の従来例と称する)。
【0013】さらに、登録実用新案第2501747号として、第1平行リンク機構によって駆動されるスリット形成羽根と、第2平行リンク機構によって駆動される覆い羽根とを備え、第1平行リンクのスリット形成羽根上の連結距離を第2平行リンクの覆い羽根上の連結距離よりも長くして、スリット形成羽根の平行性を保つとともにシャッタ開口から各平行リンクの基端部側のスペースを縮小するようにしたシャッタ装置が提案されている(以下、第4の従来例と称する)。
【0014】また、特開昭53−143314号公報には、ロングアームタイプのシャッタ装置において、小型化(羽根重畳状態での羽根群の収納スペースを小さくする)を図るために、平行リンクのアームとシャッタ開口を遮光する覆い羽根とを兼ねるアームブレードを設け、専用のアームとともにスリットブレード(スリット形成羽根)を平行に支持するとともに、アームブレードを他の覆い羽根の間を埋めるカバーとして機能させるようにしたものが提案されている(以下、このシャッタ装置を第5の従来例と称する)。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、シャッタ装置(フォーカルプレーンシャッタ)において、分割された羽根群の枚数を少なくする方がアームと羽根との連結個所数が少なくなり、連結個所の占有面積が少なくなるため、シャッタ装置の小型化(特に、横幅の小型化)を図る上で有利となる。ところが、羽根群の枚数を少なくすると、所定の大きさのシャッタ開口を遮光するための羽根相互の重なり量が少なくなるため、遮光性確保が難しくなる。
【0016】上記第1の従来例では、アームの長さが短い上に先幕羽根枚数が5枚と多いため、羽根カシメダボの配置も素直に並んだまま間隔が詰まり、覆い羽根の回転自在の支持位置の自由度が減ってしまうので、羽根ユニット内での干渉(例えば、図20において、第1のアーム106の基端部106bの外周と羽根カシメダボ109eの周辺に位置する第2のアーム107や覆い羽根105’の外周との干渉、羽根カシメダボ108eの周辺に位置する第1のアーム106の外周と羽根カシメダボ109c,109dの周辺に位置する第2のアーム107や覆い羽根104,105の外周との干渉等)が生じ、アームの回転作動角を増やせない(シャッタ開口の羽根走行方向の寸法が一定である以上、平行リンクではアームの長さを短くすると、決められた距離だけ羽根を移動させるにはアームの回転作動角を大きくする必要がある)。しかも、羽根の展開時のスリット形成羽根と覆い羽根の重なり量を維持することが難しくなるという不都合があり、大した小型化はできない。
【0017】さらに、後幕と同様の4枚羽根構成を先幕にも共通に用いた場合には、図20に示すように、後幕展開時の各羽根の重なり量が約2mmと少なくなる。このため、仮に先幕重畳状態において、羽根収納スペースの許す範囲で各羽根幅を広げたとしても、前述の5枚羽根構成の場合と同様に、羽根カシメダボの配置も素直に並んだまま間隔が詰まり、羽根カシメダボの配置の制約から覆い羽根の回転自在の支持位置の自由度が減ってしまい、羽根ユニット内での干渉(例えば、図19において、第1のアーム114の基端部114bの外周と羽根カシメダボ117dの周辺に位置する第2のアーム115や覆い羽根113の外周との干渉、羽根カシメダボ116dの周辺に位置する第1のアーム114の外周と羽根カシメダボ117cの周辺に位置する第2のアーム115や覆い羽根112の外周との干渉等)が生じる。したがって、羽根幅は羽根走行方向と反対側へあと1mm程度しか広げられず、所望の4mmの羽根重なり量を確保できない上、やはり大した小型化はできない(羽根カシメダボの配置に関する説明は後述の■参照)。
【0018】また、上記第2の従来例(実公平6−26896号公報にて開示のシャッタ装置)では、覆い羽根群を支持する第3アームが追加されるため、第1の従来例のような2本アームによる一般的な平行リンク機構に比べて構造が複雑となり、作動抵抗も増し、羽根ユニットのイナーシャが大きくなるという不都合がある。また、少ないスペースに3本のアームを配置するため、各アームが細くなってしまい、アーム自体の強度が弱いという不都合がある。加えて、羽根重畳時に、スリット形成羽根を支持する第1及び第2のアームの支持部をファインダと開口窓との間に存する収納部領域に納めるため、平行リンクのスリット形成羽根上の連結距離が短くなってしまい、露光スリットの平行度を保ち難いという不都合もある。
【0019】また、上記第3の従来例(実公平6−26897号公報にて開示のシャッタ装置)では、第2の従来例と同様に、覆い羽根群を支持する第3アーム(補助アーム)が追加されるため、第1の従来例のような2本アームによる一般的な平行リンク機構に比べて構造が複雑となり、作動抵抗も増し、羽根ユニットのイナーシャが大きくなるという不都合がある。また、アームへの負荷分散を図るためにアームの数を増しているが、小型化により少なくなったスペース内に3本若しくはそれ以上のアームを配置するため、各アームが細くなってしまい、結局アーム自体の強度低下を招くという不都合がある。
【0020】また、上記第4の従来例(登録実用新案第2501747号のシャッタ装置)では、1つの羽根ユニットに2つの平行リンク機構を備え、覆い羽根群を支持する第3アーム(更には第4アーム)が追加されるため、第1の従来例のような2本アームによる一般的な平行リンク機構に比べて構造が複雑となり、作動抵抗も増し、羽根ユニットのイナーシャが大きくなるという不都合がある。また、小型化により少なくなったスペースに3本若しくは4本のアームを配置するため、各アームが細くなってしまい、アーム自体の強度が弱くなるという不都合もある。
【0021】さらに、上記第1〜第4のいずれの従来例(ショートアームタイプのシャッタ装置)でも、先幕・後幕ともスリット形成羽根におけるアーム基端側の端部(特に、スリット形成縁におけるアーム基端側の端部)が、羽根ユニットのアームに嵌合貫通するよう連結されてこのアームを駆動する羽根駆動レバーの駆動ピンの可動領域内に進入していない。これは、羽根展開時に、展開した羽根ユニットのスリット形成羽根のアーム基端側の端部が他方の羽根側の駆動ピンの可動領域内に進入していると、次の2つの不都合があるからである。
【0022】1つは、図21に示すように、シャッタをチャージする際には、遮光性を維持するためにシャッタ開口201aを開かないよう、先幕202が後幕210より先行してシャッタ開口201aを閉鎖する状態(展開状態)へ移行するのであるが、このとき、後幕のスリット形成羽根のアーム基端側の端部端210bに先幕駆動レバーの駆動ピン220aが干渉するおそれがあるからである。
【0023】もう1つは、図22に示すように、故障等によりシャッタをチャージしたにも係わらず、後幕210の走行開始位置への保持が機能しない場合は、チャージ機構が退避した後、先幕のスリット形成羽根のアーム基端側の端部202bに後幕駆動レバーの駆動ピン221aが干渉するおそれがあるからである。
【0024】ところが、羽根重畳時に先幕・後幕において、スリット形成羽根におけるアーム基端側の端部が、自らの羽根ユニットのアームに連結された羽根駆動レバーの駆動ピンの可動領域内に進入する分には上記2つの不都合は生じない。しかしながら、上記第1〜第4のいずれの従来例(ショートアームタイプのシャッタ装置)もこのような構成をとっていない。
【0025】一方、ロングアームタイプの上記第5の従来例(特開昭53−143314号公報にて提案のシャッタ装置)と同じタイプのシャッタ装置では、羽根重畳時に先幕・後幕において、スリット形成羽根のアーム基端側の端部が、自らの羽根ユニットのアームに連結された羽根駆動レバーの駆動ピンの可動領域内に進入する構成を採ることが可能である(例えば、特開昭53−143314号の図12〜図14参照)。
【0026】しかし、これは覆い羽根をピン−スロット結合で作動させるための構造から来る偶然の結果であり、ロングアームタイプの利点である、アーム作動角が小さく、羽根駆動レバーの駆動ピン可動領域の配置自由度が大きいことを利用したものではない。ましてや、シャッタ横方向の小型化を意識したものではない。因みに、ショートアームタイプのシャッタ装置において、シャッタ開口のコーナーに駆動ピン可動領域が接近してしまうと羽根群の配置が困難となってしまう。このため、結局、前述したように、2本のアームで保持できる羽根群枚数を3枚以上にすると、構造が複雑となる欠点や、遮光羽根をピン−スロット結合で作動させるのに抵抗が大きいという欠点や、長いアームのため羽根ユニットのイナーシャが大きくなり高速走行に不利となるという欠点がある。
【0027】従って、上記第2から第5の従来例では、羽根ユニットの高速走行には不利となり、例えばカメラでは、1/4000秒よりも短い露光秒時の実現や、1/200秒よりも短いストロボ同調秒時の実現が困難になる。また、同じ幕速を実現するのに必要なシャッタチャージエネルギが増加するため、カメラの大型化を招いたり、連続撮影時のコマ速を上げるのに不都合が生じたりするという問題がある。
【0028】そこで、本発明は、構造が簡単で、小型化、特に羽根走行方向に直交する方向の大きさが小さく、遮光のための羽根重なり量を確保できるとともに、羽根ユニットのイナーシャが小さい上、作動効率も良く、高速作動に適したシャッタ装置を提供することを目的としている。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本願第1の発明では、シャッタ開口を有する基板と、シャッタ開口上を走行する遮光羽根と、基端部が基板におけるシャッタ開口の両側の部分のうち一方の部分に回動可能に取り付けられるとともに先端部が遮光羽根における上記一方の側に連結されて平行リンクを構成する第1および第2のアーム部材と、第1のアーム部材に係合して作動し遮光羽根を平行リンク駆動する駆動部材とを有して構成されるシャッタ装置において、遮光羽根における上記一方の側の端部(例えば、遮光羽根における走行方向前端縁又は走行方向後端縁を上記一方の側に延出させた部分)が、遮光羽根の走行開始前又は走行完了状態にて、駆動部材の作動に伴って移動するこの駆動部材とアーム部材との係合部の可動領域のうちこの係合部が位置しない部分に入り込むようにしている。
【0030】また、本願第2の発明では、シャッタ開口を有する基板と、シャッタ開口上を走行して重畳状態および展開状態になる遮光羽根群と、基端部が基板におけるシャッタ開口の両側の部分のうち一方の部分に回動可能に取り付けられるとともに基端部よりも先端側の部分が遮光羽根群における上記一方の側に連結されて平行リンクを構成する第1および第2のアーム部材と、第1のアーム部材に係合して作動し遮光羽根群を平行リンクにより走行駆動する駆動部材とを有して構成されるシャッタ装置において、遮光羽根群のうち少なくとも1つの遮光羽根(例えば、アーム部材の最も先端に連結された遮光羽根)における上記一方の側の端部(例えば、遮光羽根における走行方向前端縁又は走行方向後端縁を上記一方の側に延出させた部分)が、遮光羽根群の重畳状態にて、駆動部材の作動に伴って移動するこの駆動部材とアーム部材との係合部の可動領域のうちこの係合部が位置しない部分に入り込むようにしている。
【0031】具体的には、これら第1および第2の発明において、例えば、遮光羽根における上記一方の側の端部が、遮光羽根の走行開始前又は遮光羽根群の重畳状態時に、上記係合部の可動領域のうち遮光羽根走行開始後に係合部が通過する前の部分に入り込んでおり、遮光羽根の走行開始後から走行完了までの間又は遮光羽根群の展開状態への走行中に、上記係合部の可動領域外に移動するようにする。
【0032】また、第1の発明においては、遮光羽根における上記一方の側の端部が、遮光羽根の走行開始前に上記係合部の可動領域外に位置しており、遮光羽根の走行開始後から走行完了までの間に、上記係合部の可動領域のうちこの係合部が通過した後の部分に入り込むようにしてもよい。
【0033】すなわち、本願第1および第2の発明では、いわゆるショートアームタイプのシャッタ装置において、遮光羽根、アーム部材および駆動部材からなる羽根ユニット内で作動上の干渉が生じないように、上記係合部の可動領域となるスペースを遮光羽根のアーム基端側の端部(例えば、遮光羽根における走行方向前端縁又は走行方向後端縁の上記一方の側への延出部分)の可動スペースとして時間差をおいて共用することにより、上記遮光羽根のアーム基端側端部を上記一方の側に十分延ばすことが可能となる。そしてこれにより、羽根ユニットの構造を複雑にすることなく、シャッタ装置の小型化、特にアーム部材の基端部の配置側とその反対側とに延びる方向(例えば、羽根走行方向に直交する方向)の小型化を図ることができるとともに、羽根ユニット内で干渉が生じず、遮光性も確保でき、さらには作動抵抗やイナーシャを軽減して高速作動に適したシャッタ装置を実現することが可能となる。
【0034】また、本願第3の発明では、シャッタ開口を有する基板と、シャッタ開口を閉鎖する側から開放する側に走行する先幕遮光羽根と、シャッタ開口を開放する側から閉鎖する側に走行する後幕遮光羽根と、基端部が基板におけるシャッタ開口の両側の部分のうち一方の部分に回動可能に取り付けられるとともに先端部が先幕遮光羽根における上記一方の側に連結されて平行リンクを構成する第1および第2の先幕アーム部材と、第1の先幕アーム部材に係合して作動し先幕遮光羽根を平行リンクにより走行駆動する先幕駆動部材と、基端部が基板における上記一方の部分に回動可能に取り付けられるとともに先端部が後幕遮光羽根における上記一方の側に連結されて平行リンクを構成する第1および第2の後幕アーム部材と、第1の後幕アーム部材に係合して作動し後幕遮光羽根を平行リンクにより走行駆動する後幕駆動部材とを有して構成されるシャッタ装置において、先幕遮光羽根における上記一方の側の端部が、この先幕遮光羽根の走行開始前にて、先幕駆動部材の作動に伴って移動するこの先幕駆動部材と先幕アーム部材との係合部である先幕側係合部の可動領域外に位置しており、先幕遮光羽根の走行完了状態にて、先幕側係合部の可動領域のうちこの先幕側係合部が位置しない部分に入り込むとともに、後幕遮光羽根における上記一方の側の端部が、この後幕遮光羽根の走行開始前にて、後幕駆動部材の作動に伴って移動するこの後幕駆動部材と後幕アーム部材との係合部である後幕側係合部の可動領域のうちこの後幕側係合部が位置しない部分に入り込んでおり、後幕遮光羽根の走行完了状態にて後幕側係合部の可動領域外に位置するようにしている。
【0035】さらに、本願第4の発明では、シャッタ開口を有する基板と、シャッタ開口上を走行して展開状態から重畳状態になる先幕遮光羽根群と、シャッタ開口上を走行して重畳状態から展開状態になる後幕遮光羽根群と、基端部が基板におけるシャッタ開口の両側の部分のうち一方の部分に回動可能に取り付けられるとともに基端部よりも先端側の部分が先幕遮光羽根群における上記一方の側に連結されて平行リンクを構成する第1および第2の先幕アーム部材と、第1の先幕アーム部材に係合して作動し先幕遮光羽根群を平行リンクにより走行駆動する先幕駆動部材と、基端部が基板における上記一方の部分に回動可能に取り付けられるとともに基端部よりも先端側の部分が後幕遮光羽根群における上記一方の側に連結されて平行リンクを構成する第1および第2の後幕アーム部材と、第1の後幕アーム部材に係合して作動し前記後幕遮光羽根を平行リンクにより走行駆動する後幕駆動部材とを有するシャッタ装置において、先幕遮光羽根群のうち少なくとも1つの先幕遮光羽根における上記一方の側の端部(例えば、先幕アーム部材の最も先端側に連結された先幕側のスリット形成羽根の形成縁を上記一方の側に延出させた部分)が、先幕遮光羽根群の展開状態にて、先幕駆動部材と先幕アーム部材との係合部である先幕側係合部の可動領域外に位置しており、先幕遮光羽根群の重畳状態にて、先幕側係合部の可動領域のうちこの先幕側係合部が位置しない部分に入り込むとともに、後幕遮光羽根群のうち少なくとも1つの後幕遮光羽根における上記一方の側の端部(例えば、後幕アーム部材の最も先端側に連結された後幕スリット形成羽根のスリット形成縁を上記一方の側に延出させた部分)が、後幕遮光羽根群の重畳状態にて、後幕駆動部材と後幕アーム部材との係合部である後幕側係合部の可動領域のうちこの後幕側係合部が位置しない部分に入り込んでおり、後幕遮光羽根群の展開状態にて、後幕側係合部の可動領域外に位置するようにしている。
【0036】具体的には、これら第3および第4の発明において、例えば、先幕遮光羽根における上記一方の側の端部が、この先幕遮光羽根の走行開始前又は先幕遮光羽根群の展開状態にて、先幕側係合部および後幕側係合部の双方の可動領域外に位置しており、先幕遮光羽根の走行開始後から走行完了までの間又は先幕遮光羽根群の重畳状態への走行時に先幕側係合部の可動領域のうちこの先幕側係合部が通過した後の部分に入り込むとともに、後幕遮光羽根における上記一方の側の端部が、この後幕遮光羽根の走行開始前又は後幕遮光羽根群の重畳状態にて、後幕側係合部の可動領域のうち後幕遮光羽根の走行開始後に後幕側係合部が通過する前の部分に入り込んでおり、後幕遮光羽根の走行開始後から走行完了までの間又は後幕遮光羽根群の展開状態への走行時に後幕側係合部および先幕側係合部の双方の可動領域外に移動するようにする。
【0037】すなわち、本願第3および第4の発明のシャッタ装置では、先幕側および後幕側において、遮光羽根、アーム部材および駆動部材からなる羽根ユニット内で作動上の干渉が生じないように、上記各係合部の可動領域となるスペースを先幕および後幕遮光羽根のアーム基端側の端部(例えば、遮光羽根における走行方向前端縁又は走行方向後端縁の上記一方の側への延出部分)の可動スペースとして時間差をおいて共用することにより、上記先幕および後幕遮光羽根のアーム基端側端部を上記一方の側に十分延ばすことが可能となる。そしてこれにより、羽根ユニットの構造を複雑にすることなく、シャッタ装置の小型化、特にアーム部材の基端部の配置側とその反対側とに延びる方向(例えば、羽根走行方向に直交する方向)の小型化を図ることができるとともに、羽根ユニット内で干渉が生じず、遮光性も確保でき、さらには作動抵抗やイナーシャを軽減して高速作動に適したシャッタ装置を実現することが可能となる。
【0038】なお、先幕遮光羽根の走行開始前又は先幕遮光羽根群の展開状態において、先幕遮光羽根における上記一方の側の端部を、先幕側係合部および後幕側係合部の双方の可動領域外に位置させることにより、後幕側に発生した障害により後幕が走行開始前位置に保持されず、後幕のみが走行してしまったような場合でも、後幕側係合部に対して先幕遮光羽根の上記一方の側の端部が干渉しないようにすることが可能となる。また、後幕遮光羽根の走行完了状態又は後幕遮光羽根群の展開状態において、後幕遮光羽根における上記一方の側の端部を、後幕側係合部および先幕側係合部の双方の可動領域外に位置させることにより、走行完了後のシャッターチャージにより先幕が後幕に先行してチャージ駆動されるような場合に、後幕遮光羽根における上記一方の側の端部が先幕側係合部に干渉しないようにすることができる。
【0039】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1〜図4には、本発明の第1実施形態である、カメラ用のフォーカルプレーンシャッタの構成を示している。なお、図1は走行準備完了状態(走行開始前の状態)、図2は走行完了状態を示す。また、図3および図4は、本実施形態のポイントを説明するための図である。
【0040】これらの図において、1はシャッタ開口を有するプラスチック製のシャッタ地板(基板)、1aはこのシャッタ地板1の略中央に形成されたシャッタ開口、1bは後述する先幕駆動レバー(先幕駆動部材)20に形成された駆動ピン20aの可動領域を逃げるために、シャッタ地板1におけるシャッタ開口よりも左側の部分(請求の範囲にいう「シャッタ開口の両側の部分のうち一方の部分)の下側に形成された円弧状の長孔、1cは後述する後幕駆動レバー(後幕駆動部材)21の駆動ピン21aの可動領域を逃げるために、シャッタ地板1の左側部分の上側に形成された円弧状の長孔である。
【0041】2は先幕スリット形成羽根(先幕遮光羽根:以下、先幕#1羽根という)で、2aはこの先幕スリット形成羽根2の先幕スリット形成縁、2bは先幕スリット形成縁2aを図中左側に延出させて形成された先幕スリット形成縁2aのアーム基端側端部(請求の範囲にいう「遮光羽根における前記一方の側の端部」)である。
【0042】3〜5は先幕覆い羽根(先幕遮光羽根)で、順に3は先幕#2羽根、4は先幕#3羽根、5は先幕#4羽根である。
【0043】6は先幕第1アーム(第1の先幕アーム部材)で、その基端部6bはシャッタ地板1の左側部分の下側に、シャッタ地板1に一体成形された軸1dの回りに回転自在に取り付けられている。また、先幕第1アーム6の先端部には、カシメダボ8aにより先幕スリット形成羽根2の左側下部が回転自在に連結されている。また、6aは先幕駆動レバー20の駆動ピン20aを駆動方向にガタなく貫通係合させるための穴で、この穴と駆動ピン20aとが係合することによって(この係合部分が先幕側係合部を構成する)、軸1dの延長上の軸を回転軸として回動する先幕駆動レバー20から先幕第1アーム6に駆動力が伝えられる。
【0044】7は先幕第2アーム(第2の先幕アーム部材)で、その基端部7bはシャッタ地板1の左側部分の上下方向略中央に、シャッタ地板1に一体成形された軸1eの周りに回転自在に取り付けられている。また、先幕第2アーム7の先端部には、カシメダボ9aにより先幕スリット形成羽根2の左側上部が回転自在に連結されている。このようにして、先幕スリット形成羽根2と先幕第1および先幕第2アーム6,7とにより先幕スリット形成羽根2を走行させるための平行リンクが形成されている。
【0045】同様に、先幕覆い羽根3,4,5の左側部分は、先幕第1アーム6と先幕第2アーム7の中間部に、カシメダボ8b,9b、8c,9c、8d,9dにより回転自在に連結されており、これにより先幕覆い羽根3,4,5を走行させるための平行リンクが形成されている。なお、駆動ピン20aの旋回半径(つまり軸1dと駆動ピン20aとの軸間距離)は、先幕第1アーム6上の一番基端側に位置する先幕#4羽根用のカシメダボ8dの旋回半径(軸1dとカシメダボ8dとの軸間距離)よりも小さく設定されている。以上により、先幕ユニット(羽根ユニット)が構成される。
【0046】一方、後幕は先幕と同様に構成されている。すなわち、10は後幕スリット形成羽根(後幕遮光羽根:以下、後幕#1羽根という)で、10aはこの後幕スリット形成羽根10の後幕スリット形成縁、10bは後幕スリット形成縁10aを図中左側に延出させて形成された後幕スリット形成縁10aのアーム基端側端部(請求の範囲にいう「遮光羽根における前記一方の側の端部」)である。
【0047】11〜13は後幕覆い羽根(後幕遮光羽根)で、順に11は後幕#2羽根、12は後幕#3羽根、13は後幕#4羽根である。
【0048】14は後幕第1アーム(第1の後幕アーム部材)で、その基端部14bはシャッタ地板1の左側部分の上側に、シャッタ地板1に一体成形された軸1fの回りに回転自在に取り付けられている。また、後幕第1アーム14の先端部には、カシメダボ16aにより後幕スリット形成羽根10の左側上部が回転自在に連結されている。また、14aは後幕駆動レバー21の駆動ピン21aを駆動方向にガタなく貫通係合させる穴で、この穴と駆動ピン21aとが係合することによって(この係合部分が後幕側係合部を構成する)、軸1fの延長上の軸を回転軸として回動する後幕駆動レバー21から後幕第1アーム14に駆動力が伝えられる。
【0049】15は後幕第2アーム(第2の後幕アーム部材)で、その基端部15bはシャッタ地板1の左側部分の上下方向略中央に、シャッタ地板1に一体成形された軸1gの周りに回転自在に取り付けられている。また、後幕第2アーム15の先端部には、カシメダボ17aにより後幕スリット形成羽根10の左側下部が回転自在に連結されている。このようにして、後幕スリット形成羽根10と後幕第1および後幕第2アーム14,15とにより後幕スリット形成羽根10を走行させるための平行リンクが形成されている。
【0050】同様に、後幕覆い羽根11,12,13の左側部分は、後幕第1アーム14と後幕第2アーム15の中間部に、カシメダボ16b,17b、16c,17c、16d,17dにより回転自在に連結されており、これにより後幕覆い羽根11,12,13を走行させるための平行リンクが形成されている。なお、駆動ピン21aの旋回半径(つまり軸1fと駆動ピン21aとの軸間距離)は、後幕第1アーム14上の一番基端側に位置する後幕#4羽根用のカシメダボ16dの旋回半径(軸1fとカシメダボ16dとの軸間距離)よりも小さく設定されている。以上により、後幕ユニット(羽根ユニット)が構成される。
【0051】このように構成されたフォーカルプレーンシャッタにおいて、先幕スリット形成縁2aのアーム基端側端部2bは、図1の走行準備完了状態においては、後幕駆動レバー21の駆動ピン21aに干渉しないよう駆動ピン21aの可動領域(すなわち、シャッタ地板1上の長穴1cに光軸方向にて重なる位置)の外側近傍に位置している。また、図2の走行完了状態においては、先幕スリット形成縁2aのアーム基端側端部2bは、駆動ピン20aの可動領域内(すなわち、シャッタ地板1上の長穴1bに光軸方向にて重なる位置)に入り込む。
【0052】一方、後幕スリット形成縁10aのアーム基端側端部10bは、図1の走行準備完了状態においては、駆動ピン21aの可動領域内に入り込んでおり、図2の走行完了状態においては、先幕駆動レバー20の駆動ピン20aに干渉しないように駆動ピン20aの可動領域の外側近傍に位置している。
【0053】ところで、上記先幕ユニットおよび後幕ユニットにおいては、小型化のためにアーム6,7,14,15の長さを短くしているのであるが、シャッタ開口1aの羽根走行方向の寸法が一定である以上、平行リンクではアームの長さを短くすると、決められた距離だけ羽根を移動させるにはアームの回転作動角を大きくする必要がある。前述したように、アームの回転角を増やそうとした場合、4枚羽根構成の羽根ユニットでの羽根重畳状態では、第1の従来例のように第1のアーム114上の基端部114bと羽根カシメダボ116c,116dに対し、第2のアーム115上の羽根カシメダボ117b,117c,117dが当接するような配置ではアーム回転作動角を増やせず、シャッタの小型化は困難である。従って、アーム回転作動角を増やすには、図1および図2に示すように、先幕および後幕第1アーム6,14の基端部6b,14bとカシメダボ8d,16dとに対し、先幕および後幕第2アーム7,15上のカシメダボ9b,9c,9d,17b,17c,17dが当接しないよう、互い違いに入り込む配置が効果的である。
【0054】更に、アーム基端部に近い側に配置された少なくとも2枚の羽根(#3羽根、#4羽根)4,5,12,13のカシメダボ8c,9c,8d,9d,16c,17c,16d,17dができるだけシャッタ地板1の外形の左側の側端部1lに近付き、かつ側端部1lに沿って配置できると小型化の効果が大きい。
【0055】具体例として、第1の従来例の後幕ではアーム回転作動角を増やせず、羽根重畳状態で、アーム基端部に近い側に配置された2枚の羽根112,113のカシメダボ116c,117c,116d,117dをシャッタ地板外形の側端部101lに近付けることができず、かつ側端部101lに沿って配置できない。このため、カシメダボ116c,116d間の左右方向距離およびカシメダボ117c,117d間の左右方向距離は3.08mmもあり。シャッタ全体の羽根走行方向に直交する方向(左右方向)の寸法を大きくしている。このことから、第1の従来例と同様な羽根カシメダボ等の配置関係を踏襲して小型化を試みても、あまり小さくできないことは容易に予想できる。
【0056】これに対し、本実施形態では、先幕ユニットおよび後幕ユニットの双方において、羽根重畳状態にあるユニット側のスリット形成縁のアーム基端側端部(2b,10b)がそのユニット側の駆動ピン(20a,21a)の可動領域内に入り込むことを許容し、羽根カシメダボ等が互い違いに入り込む配置となるようにしているため、アーム6,7,14,15の回転作動角を大きく増やせる。しかも、羽根重畳状態で、アーム基端部に近い側に配置された2枚の羽根(#3羽根、#4羽根)4,5,12,13のカシメダボ8c,9c,8d,9d,16c,17c,16d,17dをシャッタ地板1の外形の側端部1lに近付けることができ、且つ側端部1lに沿って配置できる。
【0057】このため、羽根重畳状態の先幕ユニットのカシメダボ8c,8d間の左右方向距離およびカシメダボ9c,9d間の左右方向距離は0.44mmとなり、また、羽根重畳状態の後幕ユニットのカシメダボ16c,16d間の左右方向距離およびカシメダボ17c,17d間の左右方向距離は0.77mmとなる。更に、オーバーチャージ分の角度を最大4°として考慮すると、先幕ユニットでも後幕ユニットでも、羽根重畳状態におけるこれら左右方向距離を殆ど0(ゼロ)mmにできる。従って、シャッタ全体を特に羽根走行方向に直交する方向(左右方向)について小型化する効果が絶大であることが分かる。
【0058】次に、上記のように構成されたフォーカルプレーンシャッタの動作を説明する。図1の走行準備完了状態において、先幕駆動レバー20および後幕駆動レバー21はそれぞれ、不図示の秒時制御マグネットにより吸着保持されている。このとき、先幕スリット形成縁2aのアーム基端側端部2bは、駆動ピン21aの可動領域外(この可動領域の外側近傍)に位置している。これは、後幕側の秒時制御マグネットに吸着不良等の障害が生じて後幕が走行準備位置に保持されず、後幕のみがシャッタ開口1aを閉鎖するよう走行した場合に、後幕駆動レバー21の駆動ピン21aに対して先幕スリット形成縁2aのアーム基端側端部2bが干渉しないようにするためである。
【0059】また、このとき、後幕スリット形成縁10aのアーム基端側端部10bは、駆動ピン21aの可動領域内に入り込んでいるが、後幕ユニットの展開動作が開始されると駆動ピン21aの可動領域外へ移動するため、後幕駆動レバー21の駆動ピン21aと干渉することはない。
【0060】シャッタレリーズ信号により、まず先幕用秒時制御マグネットの吸着が解除されると、不図示の先幕駆動バネの付勢力によって先幕駆動レバー20が時計回り方向に回動し、これにより先幕第1および第2アーム6,7が同方向に回動駆動される。
【0061】これに伴い、展開状態にあった先幕スリット形成羽根2および先幕覆い羽根(先幕#2羽根,先幕#3羽根,先幕#4羽根)3,4,5は平行リンクの作用により、シャッタ開口1aの長辺1hに対して先幕スリット形成縁2aおよび先幕覆い羽根3,4,5を平行に保ちながらシャッタ開口1aの上方から下方へ向けて走行し、重畳状態となる。このようにして、先幕ユニットは、図2に示すようにシャッタ開口1aを開放する状態になる。
【0062】先幕用秒時制御マグネットの吸着が解除されてから、設定された露光秒時に相当する所定時間後、後幕用秒時制御マグネットの吸着が解除されると、不図示の後幕駆動バネの付勢力によって後幕駆動レバー21が時計回り方向に回動し、これにより後幕第1および第2アーム14,15が同方向に回動駆動される。
【0063】これに伴い、重畳状態にあった後幕スリット形成羽根10および後幕覆い羽根(後幕#2羽根,後幕#3羽根,後幕#4羽根)11,12,13は平行リンクの作用により、シャッタ開口1aの長辺1hに対して後幕スリット形成縁10aおよび後幕覆い羽根11,12,13を平行に保ちながらシャッタ開口1aの上方から下方へ向けて走行し、展開状態となる。このようにして、後幕ユニットは、図2に示すようにシャッタ開口1aを閉鎖する状態になり、露光が終了する。
【0064】こうして露光が終了した後、不図示のシャッターチャージ機構により、先幕および後幕駆動レバー20,21を先幕側を後幕側よりも先行させて反時計回り方向に回動させ、先幕と後幕との間にスリットを開けないようにしながら図1の状態に先幕および後幕ユニットを移動させる。
【0065】ここで、図2の走行完了状態において、後幕スリット形成縁10aのアーム基端側端部10bは、シャッタチャージの際に先幕側が先行してシャッタ開口1aを閉鎖するよう移動した場合に、先幕駆動レバー20の駆動ピン20aと干渉しないよう、駆動ピン20aの可動領域外に位置している。
【0066】また図2の走行完了状態において、先幕スリット形成縁2aのアーム基端側端部2bは駆動ピン20aの可動領域内に入り込んでいるが、先幕の展開動作(チャージ動作)が開始されると駆動ピン20aの可動領域外へ移動するため、先幕駆動レバー20の駆動ピン20aと干渉することはない。
【0067】ここで、本実施形態のフォーカルプレーンシャッタは、135フォーマットの銀塩フィルムを用いる一眼レフレックスカメラに搭載されるものである。この場合、シャッタ開口1aの上下方向寸法Aは24.7mm、左右方向寸法は36.6mmとなる。このフォーマットでのシャッタ開口1aの大きさは規格で決まっているので、シャッタ全体を小型化するには、シャッタ開口1aの周囲の構成物を小さくするしかない。
【0068】そこで、シャッタ地板1におけるシャッタ開口1aの左側部分の左右方向幅(シャッタ開口1aの左端面とシャッタ地板1の左側端面と間の寸法)をB、シャッタ地板1におけるシャッタ開口1aの右側部分の左右方向幅(シャッタ開口1aの右端面とシャッタ地板1の右側端面と間の寸法)をC、アーム基端部の回転中心からアーム先端部にスリット形成羽根2,10を連結するカシメダボ回転中心までの寸法(アーム長さ)をD、アームの回転中心周りの最大作動角度をθ、1つの平行リンクを構成する第1および第2アームの基端部間の寸法をEとした上で、シャッタの小型化のための着目点を説明する。
【0069】■ アームに回転自在に連結される羽根群の枚数について第1実施形態では、先幕および後幕とも、4枚羽根構成であるのに対し、第1の従来例の先幕のように5枚羽根構成を採った場合、カメラの巻上げチャージ完了状態(近年のモーター組込みカメラではこの状態で次の撮影を待つ)で、展開状態の先幕によて遮光に必要な所定の羽根重なり量(第1実施形態では、図1に示すように4mm、第1の従来例でも図19に示すように4mm)を確保する条件では、羽根1枚の高さ寸法は5枚羽根の方が小さくできる。そして、羽根群枚数の多い方が、羽根重畳状態で小さく畳めるため、シャッタにおける羽根走行方向に一致した上下方向の寸法は小さくなる。
【0070】ところが、単純には羽根群枚数の多い方がアームに対する羽根の連結箇所が増える分、アーム長が長くなるため、羽根走行方向と直交する横方向の寸法が大きくなってしまう。また、アーム長を極力長くしないようにしても(第1の従来例がこれに相当する)、羽根連結箇所が増える分、アーム上の余裕代が少なくなり、シャッタの横方向寸法を小さくするのが困難になる。また、羽根相互の重なり部が5枚羽根の方が4枚羽根よりも1個所多く、トータルの羽根面積も大きくなり、羽根連結箇所が1枚分増えることも加えて、羽根ユニット全体のイナーシャは確実に増してしまい、高速走行に不利となる。
【0071】一方、3枚羽根の場合はアームにおける羽根連結箇所が減り、アーム上の余裕代が多くなるので、シャッタの横方向寸法を小さくするには有利となる。しかし、羽根展開状態での所定の羽根重なり量(例えば、4mm)を確保する条件では、羽根重畳状態で小さく畳むことができないため、シャッタの羽根走行方向に一致した上下方向の寸法は大きくなる。上下方向の寸法を小さくしようとすると、羽根展開状態での羽根相互の重なり量が少なくなり、遮光性を保てなくなる。結局、3枚羽根ではシャッタの縦横寸法比のバランスが悪く、カメラに搭載し難い。
【0072】実際に、十分な遮光性能を実現できる羽根重なり量を確保し、シャッタの縦横寸法比のバランスが良く、横寸法を効果的に小さくするには、第1実施形態のように先幕および後幕とも4枚羽根構成が最適である。
【0073】■ アーム長さDについてアーム長さDについては、4枚構成の羽根群を回転自在に連結支持し、シャッタ開口1aの上下方向寸法Aをスリット形成羽根2,10が十分移動可能になるような最小限の長さとする。
【0074】■ アームの最大作動角度θについて上記■でアーム長さDを短くすると、シャッタ開口1aの上下方向寸法Aをスリット形成羽根2,10の移動距離がクリアーするには、それに応じて当然θを大きくしていくことになる。
【0075】■ アーム間寸法Eについてアーム最大作動角度θが大きくなると、アーム間寸法Eが従来のままでは、羽根展開時と重畳時とで第1および第2アーム同士の干渉、特に羽根連結部同士の干渉が生じ、十分な作動角度が得られない。
【0076】また、アーム作動角度が大きくなると、羽根展開状態と重畳状態に近い状態で、スリット形成羽根2,10におけるアーム連結部側とは反対側の部分(以下、先端側という)がシャッタ開口1a内に多く進入する。これは、アーム連結部にカシメダボとの嵌合ガタがあり、このガタはアーム連結部から遠い先端側ほど拡大されるので、スリット形成羽根2,10(スリット形成縁2a,10a)の平行度の悪化を意味する。
【0077】以上の2つの問題点を解決するために、第1および第2アーム間の寸法Eを拡大する。また、平行リンクの特性から、平行リンクを形成するアーム間のスパンを広げることにより、アームに支持されるスリット形成羽根の作動中の平行度の安定性が向上する。
【0078】■ シャッタ地板1の右側部分の左右方向幅Cについてアーム長さDを短くし、アーム最大作動角度θを大きくすると、羽根群(特に、スリット形成羽根2,10)の走行時における走行方向に直交する方向への変位量が大きくなり、上記左右方向幅Cを小さくするには不利となる。
【0079】しかしながら、スリット形成羽根2,10のスリット形成縁2a,10aの先端側コーナ2c,10cのRを必要最小限に小さくして、スリット形成縁を羽根先端ぎりぎりまで設け、スリット形成羽根の長さを切り詰めたり、各羽根の先端形状をシャッタ地板1の端面に沿った直線形状に単純化したりして、羽根展開時の各羽根先端とシャッタ地板1或はカバー板(図示せず)におけるシャッタ開口1aの周囲部分との掛り量を、遮光性確保および撮影者の不注意による指等での押圧に対する羽根抜け防止のため従来並にすることにより、左右方向幅Cを小さくすることができる。
【0080】■ アームに羽根を連結するカシメダボの配置について図3には、上記カシメダボの配置と後幕スリット形成羽根10との関係を、図4には、上記カシメダボの配置と後幕による遮光との関係を示している。なお、これら図3および図4には、後幕走行途中を示している。また、先幕ユニットと後幕ユニットとは同じ構造であるため、ここでは後幕ユニットを中心に説明する。
【0081】これらの図において、二点鎖線で示す18は従来と同様の配置にした場合の後幕#3羽根12用のカシメダボ、11aは後幕#2羽根11のアーム側に形成された遮光片、12aは後幕#3羽根12のアーム側に形成された遮光片である。
【0082】従来の4枚羽根構成の後幕ユニットでは、図19および図20に示すように、アーム基端部の回転中心101f,101gとアーム先端のスリット形成羽根110用のカシメダボ116a,117aの中心とを結ぶ線分からの距離で見ると、後幕#2羽根111用のカシメダボ116b,117bの中心が最も離れており(距離f)、以下、後幕#3羽根112用カシメダボの中心までの距離、後幕#4羽根113用カシメダボの中心までの距離の順となっている。
【0083】一方、5枚羽根構成の先幕ユニットでは、同様にアーム基端部の回転中心101d,101eとアーム先端のスリット形成羽根102用のカシメダボ108a,109aの中心とを結ぶ線分からの距離で見ると、先幕#3羽根104用のカシメダボ108c,109cの中心が最も離れており(距離g)、以下、先幕#2羽根103用カシメダボの中心までの距離、先幕#4羽根105用カシメダボの中心までの距離、先幕#5羽根105’用カシメダボの中心までの距離の順となっている。
【0084】先に述べたように、シャッタの横寸法を効果的に小さくするには、先幕・後幕ともに4枚羽根構成が最適であることから、4枚構成の羽根群で考えた場合に従来と同様にカシメダボの配置を行うと、本実施形態では、後幕#3羽根12用カシメダボ18の配置は図3に二点鎖線で示すようになる。この場合、後幕スリット形成羽根10におけるスリット形成縁10aのアーム基端側端部10bは、後幕#3羽根12用カシメダボ18と干渉してしまうので、矢印を付記したようにアーム基端側端部10bを10b’の位置に、およそ1.5mm羽根先端側に移動させなければならない。そうなるとアーム基端側端部10b’の最外形の運動軌跡は、図中にHで示すように、シャッタ開口1aの中に入り込んでしまい、シャッタとしてのスリット形成ができなくなる。
【0085】これを回避するには、後幕スリット形成羽根10の先端をおよそ1.5mm延ばすことにより、羽根ユニット全体をシャッタ開口1aに対してアーム基端側(図中左方向)へおよそ1.5mm移動させる必要がある。またこれだけでなく、後幕#2羽根11のアーム側遮光片11aも、後幕#3羽根12用カシメダボ18と干渉してしまうので、遮光片11aを逃がさなければならない。例えば、図中斜線を施したように遮光片11aを削除すると、図4に示すように羽根ユニットの作動途中で遮光できない部分(後幕スリット形成羽根10と後幕#3羽根12のアーム側遮光片12aとの間に形成された隙間)19が生じ、シャッタ機能が成り立たなくなってしまう。これではシャッタの横寸法をおよそ1.5mmだけ第1実施形態のものより大きくすれば済むものではなく、第1の従来例のシャッタに比べて僅かしか横寸法を小さくすることができない。
【0086】これに対し、第1実施形態では、アーム基端部の回転中心1f,1gとアーム先端に後幕スリット形成羽根10を連結するカシメダボ16a,17aの中心とを結ぶ線分からの距離で見ると、後幕#3羽根12用のカシメダボ16c,17cの中心が最も離れており(距離F)、以下、後幕#2羽根11用カシメダボの中心までの距離、後幕#4羽根13用カシメダボの中心までの距離の順である。
【0087】このようにカシメダボを配置することにより、後幕スリット形成羽根10におけるスリット形成縁10aのアーム基端側端部10bと、後幕#3羽根12用カシメダボ17cとが干渉することなく、アーム基端側端部10b最外形の運動軌跡が図3にIで示すようにシャッタ開口1aの中に入り込むこともない。更に、後幕#2羽根11のアーム側遮光片11aも後幕#3羽根12用カシメダボ17cと干渉することなく、十分なアーム側遮光片11aを形成できるので、作動途中での遮光も確実に行える。
【0088】これによって、第1実施形態のシャッタは、第1の従来例のシャッタに比べて横寸法を6mmも小さくすることができる。
【0089】次に各部の寸法を具体的に見て行く。まず、シャッタ地板1におけるシャッタ開口1aの左側部分の左右方向幅の寸法Bについては、図19および図20の第1の従来例では19.2mmで、カシメダボ径を小さくしたり、羽根間の走行中及び走行後の余裕代を詰めることにより、1mm程度の小型化は可能である。しかし、それ以上の寸法Bの小型化は、スリット形成羽根102,110におけるスリット形成縁のアーム基端側端部がシャッタ開口101aの内側に進入してしまうため、先幕と後幕のスリット形成縁およびシャッタ開口101aにより形成されるべき長方形形状のスリットができず、シャッタ機能が成り立たない。このため、2mm以上の寸法Bの小型化のためには、本発明の構成が必要となってくる。なお、本発明を用いて小型化のために最適バランスに近いかたちとされた第1実施形態のシャッタでは、寸法Bは14.2mmである。
【0090】そして、更に小型化を求める場合には、第1実施形態において、アーム基端部の回転軸1d,1e,1f,1gの材質を、シャッタ地板1と一体成形により形成したプラスチックからステンレス等の金属に変更し、軸径をφ1.6mmからφ1.0mmに小さくする。これに伴って、先幕・後幕の各アーム基端部の外径を0.3mm小さくすることができ、その分、図1および図2におけるシャッタ地板1の左端面1lを右側にシフトできる。
【0091】つまり、寸法Bの上限値として第1の従来例のものから2mm小さい値を、寸法Bの下限値として第1実施形態のものから0.3mm小さい値を得ることができ、以下のような関係式で表すことができる。
【0092】
{(14.2-0.3)/24.7} A≦B≦{(19.2-2)/24.7} A ∴ 0.56A≦B≦0.70A …(1)
本発明を用いたシャッタでは、上記(1)式で示される寸法Bの範囲内で自由に寸法Bを選択できる。
【0093】次にシャッタ地板1におけるシャッタ開口1aの右側部分の左右方向幅の寸法Cについて説明する。図19および図20の第1の従来例では、7.7mmで、小型化したことが少しでも感じられる最低限を0.3mmとすると、上限寸法は7.4mmとなる。寸法Cはほぼスリット形成羽根の先端軌跡で決まるので、前述の■で示したように、本発明のようにアーム長さDを短くし、アーム最大作動角度θを大きくすると、羽根群(特に、スリット形成羽根)の走行方向に直交する方向への変位量が大きくなり、寸法Cを小さくするには不利となる。 しかし、本発明を用いて小型化のために最適バランスに近いかたちとされた第1実施形態のシャッタでは、寸法Cを6.7mmとすることができる。
【0094】そして、更に小型化を求める場合には、スリット形成羽根におけるスリット形成縁の先端側コーナのRを必要最小限に小さく(殆どゼロに)してスリット形成縁を羽根先端ぎりぎりまで設ければ、スリット形成羽根の先端側長さをあと0.7mm切り詰めることができる。スリット形成羽根以外の羽根の先端も同様に約0.7mm切り詰めると、寸法Cの下限界は6.0mmとなる。これよりも小さくすると、スリット形成縁がシャッタ開口1aの内側に入り込み、シャッタの機能が成り立たなくなる。
【0095】また、羽根展開時の各羽根の先端側部分とシャッタ地板1或はカバー板におけるシャッタ開口1aの周囲部分との掛り量も、遮光性確保および撮影者の不注意による押圧に対する羽根抜け防止のための必要最小限すら確保できなくなる。
【0096】従って寸法Cは以下のような関係式で表させる。
【0097】
(6.0/24.7)A≦C≦(7.4/24.7)A∴ 0.24A≦C≦0.30A …(2)
本発明を用いたシャッタでは、上記(2)式で表される寸法Cの範囲内で自由に寸法Cを選択できる。
【0098】次にアーム長さ寸法Dについて説明する。ここで、図5には、シャッタ地板1の寸法に対し先幕のアーム6,7とスリット形成羽根2とのバランス、および走行完了状態におけるスリット形成羽根2の傾きを模式的に示している。この図において、二点鎖線で示す2’はスリット形成羽根2が最も先端側へ移動した状態を、2”はスリット形成羽根2が走行準備完了位置へ移動した状態を示す。なお、後幕は先幕と同様であるので、省略している。
【0099】図19および図20の第1の従来例では、寸法Dは23.0mmで、前述の寸法Bについて第1の従来例の19.2mmを2mm小さくするのに対応して本発明を用いると、図5から、寸法Dは22.2mmとなる。本発明を用いて小型化のために最適バランスに近いかたちとされた第1実施形態のシャッタでは、寸法Dは19.8mmとなる。
【0100】そして、更に小型化を求める場合、寸法Dをあと0.5mm小さくでき、19.3mmとなる。これは、アームの最大作動角度θを大きくし、そのままでは干渉してしまう第1および第2アームの形状を細くして逃げ量を増やすとともに、カシメダボ径を小さくし、またアーム近傍の遮光片等の各羽根形状の拘束条件を緩和し、さらに羽根展開時に隣接する羽根同士の重なり量を必要最小限に減らすことによって可能となる。
【0101】図6には、寸法Dを19.3mmとした場合における、シャッタ地板1の寸法に対し先幕のアームとスリット形成羽根とのバランス、および走行完了状態におけるスリット形成羽根2の傾きを模式的に示している。この図において、二点鎖線で示す2’はスリット形成羽根が最も先端側へ移動した状態を、2”はスリット形成羽根2が走行準備完了位置へ移動した状態を示す。後幕は先幕と同様であるので、省略している。
【0102】なお、寸法Dを図6に示す値よりも小さくすると、スペース的に各羽根の支持が困難となる上、さらにアーム形状を細くしたり、カシメダボ径を小さくしたりすると、アーム強度や羽根カシメ強度が低くなり過ぎる。また、遮光も不完全となり、シャッタとしての機能を果さなくなる。
【0103】従って、寸法Dは以下のような関係式で表すことができる。
【0104】
(19.3/24.7) A≦D≦(22.2/24.7) A∴ 0.78A≦D≦0.90A …(3)
本発明を用いたシャッタでは、上記(3)式により表される寸法Dの範囲内で自由に寸法Dを選択できる。
【0105】次にアーム最大作動角度θについて説明する。図19および図20の第1の従来例では、走行完了状態から走行準備完了状態までのアーム作動角は74°〜75°で、オーバーチャージを最大4°(シャッタ個々によって不図示のチャージ機構の調寸コロによりオーバーチャージは0°〜4°の間を変動する)としてトータルのアーム作動角は79°となる。
【0106】前述の寸法B17.2mmと寸法D22.2mmに対応して本発明を用いると、図5に示すようにアーム最大作動角度θの下限値は80°+(オーバーチャージ0°〜4°)となる。本発明を用いて小型化のために最適バランスに近いかたちとされた第1実施形態のシャッタでは、θは87°+(オーバーチャージ0°〜4°)となる。
【0107】そして更に小型化を求めると、図6に示すように、前述の寸法D19.3mmに対応してθは90°+(オーバーチャージ0°〜4°)となる。
【0108】従ってθは以下のような関係式で表される。
【0109】80°≦θ≦94°…(4)
本発明を用いたシャッタでは、上記(4)式のθの範囲内で、自由にθの値を選択できる。
【0110】ところで、このようにθを大きくしていくと、先幕ユニットと後幕ユニットのそれぞれに、ばね力等による走行エネルギを与える先幕駆動レバー20と後幕駆動レバー21の駆動ピン20a,21aとアーム6,14との結合位置(6a,14a)が限られてくる。つまり、先幕および後幕駆動レバー20,21は第1アーム6,14の回転中心1d,1fと同軸に回動するので、駆動ピン20a,21aの旋回半径を大きくすると、θが大きい程、駆動ピンの作動軌跡が占める領域が広がり、羽根配置の自由度が少なくなって小型化に不利となる。従って、駆動ピンの旋回半径は極力小さくすることが求められる。
【0111】しかも、先幕の走行完了状態や後幕のチャージ完了からオーバーチャージ状態での各駆動ピンの位置(図2の20a、図1の21a)をできるだけシャッタ地板1の左側端に近づけるのが好ましい。また、近年のカメラでは、フィルム給送機構にスプロケットを用いず、ゴムを巻き付けたスプールにて摩擦力を利用してフィルムを巻き取る方式が採用されるようになっており、フィルム画面の割出しもスプロケットの回転量検出によるものからフォトセンサーで行うようになってきている。このため、スプロケットを用いるカメラに搭載される第1の従来例のシャッタでは、カメラ本体の壁を挟んでシャッタの左側に存在していたスプロケットの形状に合わせて、ある領域からシャッタ地板の左側端の上下に逃げを設けていた(図19および図20の101i,101j)が、ゴムを巻スプールを用いるカメラに搭載される第1実施形態のシャッタでは、このスプロケットの逃げを設ける必要がないことに着目し、駆動ピン20a,21aの旋回半径を極力小さくするとともに、先幕の走行完了状態や後幕のチャージ完了からオーバーチャージ状態での各駆動ピン位置(図2の20a、図1の21a)を、先幕側では第1アーム6の回転中心1dの真下まで、後幕側では第1アーム14の回転中心1fの真上まで来るよう、シャッタ地板1の左側端に近づけている。
【0112】以上説明したように、第1実施形態のシャッタでは、シャッタの小型化に有効な、駆動ピン20a,21aの旋回半径を第1アーム6,14上の一番基端側に位置する#4羽根用カシメダボ8d,16dの旋回半径よりも小さくなるまで極力小さくすること(言い換えれば、駆動ピンの可動領域を第1アーム6,14上の各カシメダボの可動領域よりも第1アームの基端側(回転軸)の近くに位置させたこと)に加えて、図2に示す先幕羽根重畳状態にて先幕スリット形成羽根2におけるスリット形成縁2aのアーム基端側端部2bが、先幕駆動レバー20の駆動ピン20aの可動領域内のうち駆動ピン20aにけっして干渉することのない位置(先の先幕重畳動作時に駆動ピン20aが通過した位置)に進入してスペースを有効に利用すること、さらには図1に示す後幕羽根重畳状態にて後幕スリット形成羽根10におけるスリット形成縁10aのアーム基端側端部10bが、後幕駆動レバー21の駆動ピン21aの可動領域内のうち駆動ピン21aにけっして干渉することのない位置(後の後幕展開動作時に駆動ピン21aが通過する位置)に進入してスペースを有効に利用することで、羽根走行方向に直交する方向(横方向)の小型化を図っている。
【0113】次に第1および第2アーム間の寸法Eについて説明する。図19および図20の第1の従来例では8.06mmで、このときのスリット形成縁(直線部分)の平行度を、スリット形成縁の傾き角およびスリット形成縁の両端の羽根走行方向(図の縦方向)の距離差にて表す。条件としては、アーム基端部の回転軸(101d,101e等)の嵌合ガタが無いものとし、アームにスリット形成羽根を連結するカシメダボの嵌合を穴H8級−軸f8級とし、径φ1.5mmに対し最大ガタを34μmとする。図9には、シャッタ地板101の寸法に対し先幕のアーム106,107と先幕スリット形成羽根102とのバランス、および走行完了状態における先幕スリット形成羽根102のスリット形成縁の傾きを模式的に示すとともに、走行完了状態における上記スリット形成縁の平行度を示している。なお、後幕は先幕と同様であるので、省略している。
【0114】図9から分かるように、スリット形成縁の傾き角は0°18’18”であり、スリット形成縁の両端の羽根走行方向距離差は0.22mmとなる。
【0115】前述の寸法B17.20mmと寸法D22.2mmとアーム最大作動角度θの下限値80°に対応して本発明を用い、スリット形成縁の傾き角とスリット形成縁両端の羽根走行方向距離差を上記従来例と同じガタ条件で同じレベル以上に維持するためには、図5に示すように寸法Eは8.25mmとなる。
【0116】本発明を用いて小型化された最適バランスに近いかたちとされた第1実施形態のシャッタでは、寸法Eは8.46mmとなる。図7には、第1実施形態のシャッタにおける、シャッタ地板1の寸法に対し先幕アーム6,7とスリット形成羽根2とのバランス、および走行完了状態におけるスリット形成縁2aの傾きを模式的に示しており(なお、後幕は、先幕と同様であるので省略している)。この図から分かるように、上記従来例と同じガタ条件で、スリット形成縁の傾き角は0°18’0”、スリット形成縁の両端の羽根走行方向距離差は0.22mmとなり、従来のものに比べ若干向上している。
【0117】仮に、第1実施形態において、寸法Eを従来どおり8.06mmのままにすると、図8(寸法E以外の寸法は図7と同様)に示すように、上記従来例と同じガタ条件で、スリット形成縁の傾き角は0°21’0”、スリット形成縁の両端の羽根走行方向距離差は0.26mmとなり、従来のものに比べスリット形成縁の平行度が悪くなる。これは露光画面の露出ムラの悪化を意味する。このため、結局、小型化した第1実施形態のシャッタの性能を従来以上にするためには、寸法Eを8.46mmまで大きくすることが妥当であることが分かる。
【0118】そして更に小型化を求める場合には、前述した寸法D19.3mmとアーム最大作動角度θの上限値94°に対応し、本発明を用いるとともに、アーム基端部の回転軸1d,1e,1f,1gの材質をシャッタ地板1と一体成形されたプラスチックからステンレス等の金属に変更し、軸径をφ1.6mmからφ1.0mmに小さくする。これに伴って先幕・後幕の各アームの基端部の外径を0.3mm小さくし、その分図1の先幕と後幕を互いに上下方向に0.3mmずつ接近させる。加えて、カメラのファインダ接眼光路に隣接する部分1kを拡大することなく、第1の従来例のシャッタの上下方向寸法と同じになることを許すならば、上下方向に先幕・後幕とも第1アーム6,14を0.8mm移動させることができる。従って、これらを合わせると、寸法Eは9.56mmとなる。
【0119】しかも、図6に示すように、上記従来例と同じガタ条件で、スリット形成縁の傾き角は0°16’59”、スリット形成縁の両端の羽根走行方向距離差は0.21mmとなり、従来のものに比べて向上している。
【0120】なお、これよりも寸法Eを大きくすると、カメラのファインダ接眼光路に影響を与えたり、シャッタの上下方向寸法が大きくなったりして好ましくない。
【0121】従って、寸法E寸法は以下のような関係式で表すことができる。
【0122】
(8.25/24.7) A≦E≦(9.56/24.7) A∴ 0.33A≦E≦0.39A …(5)
本発明に係るシャッタでは、上記(5)式により表される寸法Eの範囲内で自由に寸法Eを選択できる。
【0123】以上の説明では、シャッタ地板1の左側部分の左右方向幅の寸法B、シャッタ地板1の右側部分の左右方向幅の寸法C、アーム長さの寸法D、アームの最大作動角度θおよび第1・第2アーム間寸法Eについてそれぞれを単独では(1)〜(5)式の範囲内で選択可能と述べたが、図5、図6、図7に示したように、それぞれの寸法間で適した(バランスの良い)組合わせがある。また、小型化の主体となるのは寸法Dとθであり、寸法Eでカシメダボ等の干渉回避調整とスリット形成羽根の平行度維持とを行い、さらにカシメダボの配置の工夫でカシメダボ等の干渉回避調整と羽根重なり量り維持等の遮光性確保とを行う。なお、寸法Bと寸法CはD,θ,Eにより導かれる寸法となる。
【0124】そして、上記第1実施形態では、作動上干渉の生じないよう、駆動レバー20,21とアーム6,14との係合部の可動領域を、スリット形成羽根2,10におけるスリット形成縁2a,10aのアーム基端側端部2b,10bの可動領域として時間差を持たせて共用することで、羽根走行方向に直交する方向の小型化に有効なスリット形成縁2a,10aのアーム基端側端部2b,10bの延出量を大きくすることができる。これにより、アーム回転角度の大きいショートアームタイプで、アーム長さをより短くすることができるとともに、アームに羽根を連結するカシメダボの干渉回避調整と羽根重なり量維持等の遮光性確保とを行い、さらにアームのリンク間隔を大きくして露光スリットの平行度を悪化させないようにすることができる。しかも、先幕・後幕ユニットの構造を複雑にすることなく、作動抵抗やイナーシャを小さく抑え、高速作動に適した形でシャッタの小型化、特に羽根走行方向に直交する方向の小型化を図ることができる。
【0125】また、先幕・後幕ユニットのイナーシャが小さいという利点を幕速向上に用いず、従来と同じ幕速に留めるのであれば、必要なシャッタチャージエネルギが減少するため、チャージ機構が簡略で薄型になり、カメラを小型にできる。さらに、カメラの連続撮影時のコマ速を上げるのにも好都合である。
【0126】(第2実施形態)図10〜図18には、本発明の第2実施形態であるシャッタ装置を備えた画像表示装置を示している。この画像表示装置は、フォトスタンドや電子アルバムなどに適したものであり、ネガ像を記憶表示手段としての空間光変調素子(Spatial Light Modulator :以下、SLMという)に光学的に投影して記憶させ、反転表示させることにより、一般ユーザーの使うネガフィルムを鑑賞できるようにしたものである。さらに詳しくは、本実施形態の画像表示装置は、SLMの液晶に、メモリー性を有する強誘電性液晶(以下、FLCという)を使用することによって、カメラなどに使用されているストロボを用いて瞬時にネガ像をSLMに書き込み、その像を読み出し光で観察するという構成のものである。
【0127】図10には、本実施形態の画像表示装置321の使用イメージを示している。ネガフィルムとしてIX240フィルムの現像済みのもの(以下、Dカートという)322を画像表示装置321に装填することによって、フィルム上の撮影画像がネガポジ反転されて高精細な像として表示される。
【0128】図11には、画像表示装置321の内部構成を示している。この図において、323はDカート322から引き出された、撮影画像が写っている現像済みのネガフィルムである。このネガフィルム323は、不図示のフィルム給送機構によって1コマずつ図に示す位置(不図示のアパーチャに対向する書き込み位置)に割り出されるように構成されている。
【0129】324は乳白色をした拡散板で、後述するストロボ装置325から発光された光を均一に拡散し、ネガフィルム323のうち書き込み位置にセットされたコマを照明する。
【0130】325はカメラなどに使用されているものと同様のストロボ装置であり、Xe管、反射笠、発光回路等から構成されている。このストロボ装置は、不図示のマイクロプロセッサからのトリガー信号によって発光する。
【0131】326はネガ像からオレンジベースの色を除去する役目を果たしているオレンジベース除去フィルタであり、オレンジの補色である青色をした光学フィルタで構成されている。
【0132】327は投影レンズであり、ネガフィルム323上のネガ像を所定の拡大倍率で反射ミラー328を介してSLM329の光電変換層に投影する。
【0133】329はSLMであり、図12を用いて構成を詳述する。なお、図12のa)はSLM329の画像書き込み時の状態を、b)は画像観察時の状態を示している。
【0134】図12において、329aは純色あるいは補色のカラーフィルタである。このカラーフィルタ329aとしては、ビデオカメラ等に用いられる撮像素子CCDに使われている目の細かいものが、銀塩画像を劣化させることなく観察することができるので、本画像表示装置に望ましい。
【0135】329bおよび329hは、後述の液晶層を挟んだ偏光板で、図12の構成では、329bは偏光方向が紙面に対して裏表方向で、329hは紙面に対して左右方向であり、いわゆるクロスニコル構成となっている。
【0136】329cおよび329fは通常、酸化インジウム等で構成される透明導電膜(以下、ITO膜という)で、AC電源330及びこれを駆動する回路(不図示)からSW331を介して通電されることにより、それぞれのITO膜329c、329fに異なる極性の電位が発生するように構成されている。
【0137】329dはフォトコン層で、アモルファス膜あるいはOPC(有機半導膜)等によるフォトダイオード層で形成されている。このフォトコン層329dの片面はITO膜329cに密着しており、他の片面は後述のFLC329eに密着している。
【0138】329eは液晶層であるFLCで、前述のように片面がフォトコン層329dに密着しており、他の片面が前述のITO膜329fに密着している。
【0139】329gはガラスで、液晶層を封止すると同時に他の各層を保護する役目を果たしている。
【0140】329jは前述した投影レンズ327により投影されたネガフィルム323からの投影画像(虚像)を説明のために描いたネガフィルム像である。
【0141】また、図11において、332はフラットディスプレイ等によく使われる直管型の読み出し照明光源であり、300はSLM329の前(外側)に配置されたシャッタ装置である。
【0142】ここで、図13および図14には、シャッタ装置300の構成を示している。図13は、シャッタ閉鎖状態であり、SLM329の画面を外光から遮断する状態を示している。また、図14は、シャッタ開放状態であり、SLM329の画面に表示される画像を鑑賞可能とする状態を示している。
【0143】これらの図において、301はシャッタ地板(基板)であり、301aはシャッタ地板1の略中央に形成されたシャッタ開口である。301bはシャッタ地板301におけるシャッタ開口301aの左側部分(請求の範囲にいう「基板におけるシャッタ開口の両側の部分のうち一方の部分)に形成され、羽根ユニットを駆動する駆動レバー320の駆動ピン320aの移動軌跡を逃げるための円弧状の長孔である。駆動レバー320は、軸301dと同軸上に延長形成された回転軸(図示せず)を中心として回動可能となっており、モータ333で発生した動力がギヤ列334(図11に二点鎖線にて示す)を介して伝えられることによって、回動駆動される。
【0144】302は第1羽根(遮光羽根)で、302aはこの第1羽根302において長手方向(左右方向)に延びる遮光縁である。302bは遮光縁302aを左側に延出させて形成された遮光エッジ部(請求の範囲にいう「遮光羽根における前記一方の側の端部」)である。303〜305は覆い羽根(遮光羽根)であり、303は第2の羽根、304は第3の羽根、305は第4の羽根である。
【0145】306は第1アームで、その基端部306bはシャッタ地板301に形成された軸301dの周りに回転自在に取り付けられている。また、第1アーム306の先端部には、カシメダボ308aを用いて第1羽根302の左側部分が回転自在に連結されている。
【0146】また、306aは、第1アーム306上に形成された、駆動レバー320の駆動ピン320aを駆動方向にガタなく貫通係合させる穴であり、駆動ピン320aをこの穴306aに係合させることにより駆動レバー320から駆動力が伝達され、第1アーム306が回動駆動される。
【0147】307は第2アームで、その基端部307bはシャッタ地板301に形成された軸301eの周りに回転自在に取り付けられている。また、この第2アーム307の先端部には、カシメダボ309aを用いて第1羽根302の左側部分が回動自在に連結されている。このようにして、第1羽根302と、第1および第2アーム306,307とにより平行リンクが形成されている。
【0148】同様に、覆い羽根303,304,305の左側部分はそれぞれ、第1アーム306と第2アーム307のそれぞれの中間部に、カシメダボ308b,309b、308c,309c、308d,309dを用いて回動自在に連結されており、これにより平行リンクが形成されている。以上により、シャッタ装置300の羽根ユニット340が構成される。
【0149】図14に示すように、シャッタ装置300がSLM329の画面を開放した状態においては、第1羽根302の遮光エッジ部302bは、駆動ピン320aの可動領域内に位置している。そして、遮光エッジ部302bは、羽根ユニットのシャッタ開口を閉鎖する展開動作が開始されると、駆動ピン320aの可動領域外へ移動するため、駆動ピン320aと干渉することはない。
【0150】図15には、本画像表示装置321の電気回路構成を示している。この図において、335は画像表示装置321の全体のシーケンスを司る制御回路であり、336は、シャッタ装置300の駆動源であるモータ333の正逆回転の制御を行うモータ制御回路である。337はストロボ装置325の発光を制御する発光回路、338はSLM329への通電のON/OFFを切り替えるためのSW331を制御するSLM制御回路である。 また、339aはシャッタ装置300の羽根ユニット340がシャッタ開口301aを完全に閉鎖したときにONする遮光状態検知スイッチで、339bは羽根ユニット340がシャッタ開口301aを完全に開放(遮光解除)したときにONする遮光解除状態検知スイッチである。
【0151】図11において、341は羽根ユニット340に連動した拡散シートであり、羽根ユニット340が閉鎖状態から開放状態になることによって、不図示のシート駆動機構により、SLM329の背面側を覆わない状態から覆う状態に移動する。拡散シート341がSLM329の背面側を覆った状態で読み出し照明光源332が点灯すると、その照明光は拡散シート341により拡散されてSLM329に略均一にあたるようになる。そして、羽根ユニット340が閉鎖状態になると、SLM329の背面側から退避するよう駆動される。
【0152】次に図16のフローチャートを用いて画像表示装置321(主として制御回路335)の動作を説明する。なお、このフローチャートは、画像表示装置321にDカート322が装填されたところから開始され、このときの羽根ユニット340は閉鎖状態、つまりユーザーがSLM329の画像を観察できない状態にある。
【0153】ユーザーが画像表示装置321にDカート322を装填すると(S101)、制御回路335は、フィルム給送機構を作動させてDカート322内のネガフィルム323を送り出すスラスト動作を行い、画像表示装置321内の書き込み位置にフィルム1コマ目を位置出しして停止させる(S102)。この状態で各スイッチ(不図示)からの信号を受付待ちする待機モード状態となる(S103)。
【0154】ここで、リモコン等からの信号で、あるコマまで画面を進めるような信号が入ると(S104)、フィルム給送機構を作動させて指定されたコマを画像表示装置321内の書き込み位置に移動させ(S105)、このコマの画像を表示するかどうかのコマンド待ち状態で待機する(S106)。
【0155】この待機状態にてユーザーからのディスプレイコマンドを受け付けると(S107)、制御回路335は、遮光状態検知スイッチ339aの状態を検出する(S108)。ここでは、前回表示していたコマ画像のSLM329からの消去および新しい画像のSLM329への書き込みを羽根ユニット340が画像表示装置321に対する外光入射を完全に遮断したで行うために、羽根ユニット340が閉鎖状態にセットされているかどうかの確認を行う。
【0156】そして、遮光状態検知スイッチ339aがONのときはS109に進み、OFFのときは羽根ユニットセットサブルーチンに進む。なお、この羽根ユニットセットサブルーチンについては後述する。
【0157】S109では、制御回路335は、まず前回表示していたコマの画像をSLM329から消去するために、SW331をONにした後(S109)、読み出し照明光源332を点灯した上で(S110)、AC電源330より画像書き込み時とは逆側の電界をかける(S111)。
【0158】これにより、FLC329eは、図12中に一部示されている横向き状態に全てのセルが反転してニュートラル状態になる(S112)。全てのセルが上記状態になるための十分な時間、上記リセット動作を行った後にSW331をOFFし(S113)、読み出し照明光源332を消灯する(S114)。
【0159】ここからは新しい画像の書き込み動作のフローとなる。画像表示装置321は、例えばオフィスの机の上や家庭の壁などに設けられた棚の上に置かれ、おおよそ数百ルクスの明るさの外光中で使用される。これらの外光は、一枚の偏光板329hおよび液晶層329eを通ることによってほぼ半減してフォトコン層329dに入射するが、SW331がOFFの状態ではITO膜329c,329fの間に電界がかからず、FLC329eは反応しない。
【0160】このため、制御回路335は、SW331をONにして通電状態にした後(S115)、AC電源330より画像を書き込むのに必要な順電界をITO膜329c,329fに印加する(S116)。そして、ストロボ装置325を発光させて(S117)、そのストロボ光によってネガフィルム323の画像をSLM329に投影し、SLM329に像を書き込む。
【0161】S117で行われるストロボ発光は時間にして約500μsec.程度で全ての発光を終えるので、S116で行われるSW331のONもほぼそれと同じくらいの時間、タイミングで行い、発光終了後速やかにSW331をOFFして電界をカットする(S118)。
【0162】その後、SLM329に記憶された画像をユーザーが観察できるように羽根ユニット340を開放状態とするため、羽根ユニットオープンサブルーチン(S119)に進む。なお、この羽根ユニットオープンサブルーチンについては後述する。
【0163】羽根ユニット340が開放状態になると、読み出し照明光源332を点灯させ、ユーザーに透過照明式にSLM329に書き込まれた画像が視認される状態にする(S120)。この後、制御回路321は、次のコマンドを受け付ける待機状態となる(S103)。
【0164】次に、上記羽根ユニットセットサブルーチンを図17を用いて説明する。羽根ユニット340を閉鎖状態とするために、制御回路335は、まずモータ333を正回転させる(S130)。モータ333の正回転は、ギヤ列334および駆動レバー320を介して図14に示す第1アーム306に伝達され、第1アーム306は軸301dの周りで図14中反時計回り方向に回動駆動される。これにより、羽根ユニット340は、図14の開放状態(羽根重畳状態)から図13の閉鎖状態(羽根展開状態)へと走行する。そして、この羽根ユニット340の閉鎖作動に連動して、シート駆動機構は、拡散シート341をSLM329を覆う位置から退避駆動し、SLM329への画像書込みができるようにする。また、羽根ユニット340が閉鎖状態になるのとほぼ同じタイミングで、遮光状態検知スイッチ339aがOFFからONに切り換わる。このため、制御回路335は羽根ユニット340が画像表示装置321のシャッタ開口301aを完全に閉鎖したことを検知するので(S131)、モータ制御回路336にモータの回転を停止させる信号を出力し、これによりモータ333の回転が停止する(S132)。ここでこのサブルーチンは終了する。
【0165】次に、上記羽根ユニットオープンサブルーチンを図18を用いて説明する。羽根ユニット340を開放状態とするために、制御回路335は、まずモータ333を逆回転させる(S140)。モータ333の逆回転は、ギヤ列334および駆動レバー320を介して図13に示す第1アーム306に伝達され、第1アーム306は軸301dの周りで図13中時計回り方向に回動駆動される。これにより、羽根ユニット340は、図13の閉鎖状態(羽根展開状態)から図14に示す開放状態(羽根重畳状態)へと走行する。そして、この羽根ユニット340の開放作動に連動して、シート駆動機構は、拡散シート341をSLM329を覆う位置に駆動し、読み出し照明光源332からの照明光がSLM329を均一に照明した状態でムラ等のない鮮明な画像の鑑賞ができるようにする。また、羽根ユニット340が開放状態(遮光解除状態)になるのとほぼ同じタイミングで、遮光解除状態検知スイッチ339bがOFFからONに切り換わる。このため、制御回路335は羽根ユニット340が画像表示装置321のシャッタ開口301aを完全に開放したことを検知するので(S141)、モータ制御回路336にモータの回転を停止させる信号を出力し、これによりモータ333の回転が停止する(S142)。ここでこのサブルーチンは終了する。
【0166】以上のように、本実施形態の画像表示装置では、画像書き込み時に羽根ユニット340を閉鎖状態としてSLM329への外光侵入を遮ることにより、SLM329を外光にさらしたままでの画像書き込みしていた従来の画像表示装置で発生していた、外光の影響による画像のノイズを排除できる。従って、従来、画像をきれいに出そうとするのに、ストロボ装置325から大光量の書き込み光でフィルム画像を投影しなければならなかったものが必要なくなり、その結果ストロボ装置325を小型化することができ、画像表示装置321全体をコンパクト化することができる。
【0167】また、投影レンズ327のFNO.を明るくする必要もなくなり、投影光学系のレンズ外径をコンパクトに設計することができ、画像表示装置321のよりコンパクト化を図ることができる。さらに、画像書込み時間を大幅に短縮することもできる。
【0168】ここで、本実施形態のシャッタ装置300においては、所定画面サイズ(例えば、縦75mm、横111mm)のSLM329の表示画像を観察するための画像表示装置321に搭載されるもので、例えば、シャッタ開口301aの縦寸法Aは74.1mm、横寸法は109.8mmに設定される。このシャッタ装置300を小型化する場合には、シャッタ開口301aの周囲の構成物の大きさを小さくする必要がある。
【0169】そこで、図13および図14において、シャッタ地板301におけるシャッタ開口301aの左側部分の左右方向幅(シャッタ開口301aの左端面からシャッタ地板301の左側端面までの寸法)をBとし、シャッタ地板301におけるシャッタ開口301aの右側部分の左右方向幅(シャッタ開口301aの右端面からシャッタ地板301の右側端面までの寸法)をCとする。また、アーム基端部の回転軸301d,301eの中心からアーム先端に第1羽根302を連結するカシメダボ309a,309bの中心までの寸法をDとし、アーム306,307の回転軸301d,301e回りでの最大作動角度をθとし、平行リンクを構成する第1アーム306と第2アーム307との間の寸法(回転軸301d,301e間の寸法)をEとした上で、シャッタ装置300の小型化のための着目点を説明する。
【0170】なお、図13および図14に二点鎖線で示したシャッタ装置外形は、従来の羽根ユニットを用いた場合のものである。結論的には、本実施形態のシャッタ装置300は、第1実施形態にて説明したのと同様の構成を採用しているため、シャッタ装置300の横(左右方向)寸法は従来よりも18mmも小さくなる。
【0171】本実施形態では、羽根ユニット340は、第1実施形態と同様に、羽根重畳状態においてカシメダボ等が互い違いに入り込む配置となっているため、アームの回転角を大きく増やすことができる。また、羽根重畳状態で、アーム基端部に近い側に配置された2枚の羽根(第3羽根、第4羽根)304,305のカシメダボ308c,309c,308d,309dがシャッタ地板外形の左端部301lに近付き、かつ左側端部301lに沿って配置できるため、カシメダボ308c,308d間の左右方向距離およびカシメダボ309c,309d間の左右方向距離は1.32mmとなる。更にオーバーチャージ分の角度を最大4°考慮すると、羽根重畳状態におけるこれらの横方向距離を殆ど0(ゼロ)mmにすることができる。従って、シャッタ装置300を、羽根走行方向に直交する方向(横方向)について大幅に小型化することができる。
【0172】そして、上記着目点(カシメダボの配置を含む)や、上記寸法C〜Eおよびアーム最大作動角度θについては第1実施形態にて説明したものと同じであり、第1実施形態にて導いた関係式(1)〜(5)が本実施形態のシャッタ装置300においても成り立つ。
【0173】また、本実施形態のシャッタ装置300においても、第1実施形態と同様に、それぞれの寸法間で適した(バランスの良い)組合わせがあり、小型化の主体となるのは寸法D寸法と角度θである。そして、寸法Eでカシメダボの干渉回避調整と第1羽根302の平行度維持とを行い、カシメダボの配置の工夫でカシメダボの干渉回避調整と羽根重なり量維持等の遮光性確保とを行う。なお、寸法B,CはD,θ,Eにより導かれる寸法となる。
【0174】そして、本実施形態のシャッタ装置300では、作動上干渉の生じないよう、駆動レバー320とアーム306との係合部の可動領域を、第1羽根302における遮光エッジ部302bの可動領域として時間差を持たせて共用することで、羽根走行方向に直交する方向の小型化に有効な遮光エッジ部302bの延出量を大きくすることができる。これにより、アーム回転角度の大きいショートアームタイプで、アーム長さをより短くすることができるとともに、アームに羽根を連結するカシメダボの干渉回避調整と羽根重なり量維持等の遮光性確保とを行い、さらにアームのリンク間隔を大きくして羽根ユニット340の平行度を悪化させないようにすることができる。しかも、羽根ユニット340の構造を複雑にすることなく、作動抵抗やイナーシャを小さく抑え、高速作動に適した形でシャッタ装置300の小型化、特に羽根走行方向に直交する方向の小型化を図ることができる。
【0175】また、羽根ユニット340のイナーシャが小さいという利点を羽根ユニット340の駆動速度向上に用いず、従来と同じ駆動速度に留めるのであれば、必要なシャッタ駆動エネルギが減少するため、モータ333やギヤ列334等の駆動機構を簡略化・薄型化することができ、画像表示装置321を小型化することができる。
【0176】なお、上記各実施形態では、先幕側および後幕側それぞれの遮光羽根群を走行させるシャッタ装置又は1組みの遮光羽根群を走行させるシャッタ装置について説明したが、本発明は、先幕側および後幕側それぞれで1枚の遮光羽根を走行させるシャッタ装置や単に1枚の遮光羽根を走行させるシャッタ装置にも適用することができる。
【0177】また、上記各実施形態では、カメラ用シャッタ装置又は画像表示装置用シャッタ装置について説明したが、本発明のシャッタ装置は、カメラや画像表示装置以外の各種機器にも使用することができる。
【0178】
【発明の効果】以上説明したように、本願第1から第4の発明によれば、いわゆるショートアームタイプのシャッタ装置において、遮光羽根、アーム部材および駆動部材からなる羽根ユニット内で作動上の干渉が生じないように、上記係合部の可動領域となるスペースを遮光羽根のアーム基端側の端部の可動スペースとして時間差をおいて共用するので、上記遮光羽根のアーム基端側端部を上記一方の側に十分延ばすことができる。そしてこれにより、羽根ユニットの構造を複雑にすることなく、シャッタ装置の小型化、特にアーム部材の基端部の配置側とその反対側とに延びる方向(例えば、羽根走行方向に直交する方向)の小型化を図ることができるとともに、羽根ユニット内で干渉が生じず、遮光性も確保でき、さらには作動抵抗やイナーシャを軽減して高速作動に適したシャッタ装置を実現することができる。
【0179】なお、先幕遮光羽根および後幕遮光羽根を有するシャッタ装置において、先幕遮光羽根の走行開始前にて、先幕遮光羽根における上記一方の側の端部を、先幕側係合部(先幕駆動部材と先幕アーム部材との係合部)および後幕側係合部(後幕駆動部材と後幕アーム部材との係合部)の双方の可動領域外に位置させるようにすれば、後幕側に発生した障害により後幕が走行開始前位置に保持されず、後幕のみが走行してしまったような場合でも、後幕側係合部に対して先幕遮光羽根の上記一方の側の端部が干渉しないようにすることができる。また、後幕遮光羽根の走行完了状態にて、後幕遮光羽根における上記一方の側の端部を、後幕側係合部および先幕側係合部の双方の可動領域外に位置させるようにすれば、走行完了後のシャッターチャージにより先幕が後幕に先行してチャージ駆動されるような場合に、後幕遮光羽根における上記一方の側の端部が先幕側係合部に干渉しないようにすることができる。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成12年4月26日(2000.4.26)
【代理人】 【識別番号】100067541
【弁理士】
【氏名又は名称】岸田 正行 (外2名)
【公開番号】 特開2001−305608(P2001−305608A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−125865(P2000−125865)