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【発明の名称】 測光装置
【発明者】 【氏名】平井 勇

【氏名】飯田 好一

【要約】 【課題】カメラで撮影する被写体の色(光反射率)による露出値への影響を考慮して適正露出での撮影を可能とした測光装置を提供する。

【解決手段】定常光用測光手段9Dにより被写体を分割測光し、その測光出力に基づいて露出量決定手段で被写体の露出量を決定する。また、少なくとも一つの分割領域について測色用測光手段9G,9B,9Rで測光を行ってその領域の被写体色を判定し、かつ判定した色に基づいて露出補正量を決定する。さらに、隣接または周囲の分割領域の測光値に基づいて、測色した領域と隣接または周囲の領域との輝度差(コントラスト)に基づいて露出補正量の補正値を決定し、この補正値に基づいて前記決定された露出補正量を補正して適正露出量を決定する。被写体の色、及びその隣接または周囲の領域との輝度差により、適正な露出を決定することが可能になり、測色領域の数が少なくても適正な露出が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮影領域を複数の測光エリアに分割して測光する定常光測光手段と、撮影領域を複数の測光エリアに分割し、少なくともその一つの測光エリアを測色用の測光エリアとする測色用測光手段と、前記定常光測光手段の測光出力に基づいて被写体の露出量を決定する露出量決定手段と、前記測色用測光手段の測光出力に基づいて被写体の色を判定し、判定した色に基づいて前記露出量を補正する露出補正量を決定する露出補正量決定手段と、前記少なくとも一つの測色用の測光エリアの測光出力に基づいて判定された色と、該測色用の測光エリアに対応する定常光測光手段の測光エリアとその隣接又は周囲の定常光測光手段の少なくとも一つの測光エリアとの測光出力の比較とに基づいて、前記露出補正量を補正する露出補正量補正手段とを備えることを特徴とする測光装置。
【請求項2】 前記少なくとも一つの測色用の測光エリアは、被写体の中央部、或いは当該中央部を含む選択された測光エリアであることを特徴とする請求項1に記載の測光装置。
【請求項3】 前記少なくとも一つの測色用の測光エリアは、カメラの合焦を行うための測距領域と同一領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の測光装置。
【請求項4】 前記露出補正量補正手段は、前記少なくとも一つの測色用の測光エリアの測光出力に基づいて判定される色が高反射率の色であると判定した時、該測色用の測光エリアに対応する定常光測光手段の測光輝度値に対して、その隣接或いは周囲の定常光測光手段の測光エリアの測光輝度値が相対的に低輝度であるときには、前記露出補正量を零にし、或いは低減することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の測光装置。
【請求項5】 前記露出補正量補正手段は、前記少なくとも一つの測色用の測光エリアの測光出力に基づいて判定される色が低反射率の色であると判定した時、該測色用の測光エリアに対応する定常光測光手段の測光エリアの測光輝度値に対して、その隣接或いは周囲の定常光測光手段の測光エリアの測光輝度値が相対的に高輝度であるときには、前記露出補正量を零にし、或いは低減することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の測光装置。
【請求項6】 前記露出補正量補正手段は、前記測色用の測光エリアに対応する定常光測光手段の測光エリアの測光輝度値とその隣接或いは周囲の定常光測光手段の測光エリアの測光輝度値との比較値が、第1の値よりも大きくて、かつ前記測色用の測光エリアの測光出力に基づいて判定される色が赤色のとき、或いは前記比較値が第2の値よりも大きくて、かつ前記判定される色が青色のとき、或いは前記比較値が第3の値よりも小さくて、前記判定される色が黄色の時は、それぞれの場合、前記露出補正量を零にすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の測光装置。
【請求項7】 前記定常光測光手段は、500〜600nmに感度ピークを有する分光感度特性の測光センサで構成され、前記測色用測光手段は、青色光を測光する青色用測光センサと、緑色光を測光する緑色用測光センサと、赤色光を測光する赤色用測光センサとを含んで構成されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の測光装置。
【請求項8】 前記定常光測光手段は、前記緑色用測光センサと兼用され、前記緑色用測光センサの測光出力を前記定常光測光手段の測光出力とすることを特徴とする請求項7に記載の測光装置。
【請求項9】 撮影領域を複数の測光エリアに分割して測光する定常光測光手段と、撮影領域を複数のエリアに分割し、少なくともその一つのエリアを測色用の測光エリアとする測色用測光手段と、前記定常光測光手段の測光出力に基づいて被写体の露出量を決定する露出量決定手段と、前記測色用測光手段の測光出力に基づいて被写体の色を判定し、判定した色に基づいて前記露出量を補正する露出補正量を決定する露出補正量決定手段と、前記定常光測光手段の複数の測光エリア同士の測光出力の差に基づいて、前記露出補正量の補正値を決定する露出補正量補正手段とを備えることを特徴とする測光装置。
【請求項10】 前記露出補正量補正手段は、前記測光エリア同士の最大陣と最小出力との差分をコントラスト値とし、このコントラスト値に基づいて、前記露出補正量の補正値を決定することを特徴とする請求項9記載の測光装置。
【請求項11】 前記露出補正量補正手段は、前記測光エリア同士の測光出力の差分或いは前記コントラスト値が大きくなるにつれて、前記露出補正値が小さくなるように前記露出補正量の補正値を決定することを特徴とする請求項9又は10に記載の測光装置。
【請求項12】 前記定常光測光手段は500〜600nmに感度ピークを有する分光感度特性の測光センサで構成され、前記測色用測光手段は、青色光を測光する青色用測光センサと、緑色光を測光する緑色用測光センサと、赤色光を測光する赤色用測光センサとを含んで構成されていることを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載の測光装置。
【請求項13】 前記定常光測光手段は前記緑色用測光センサと兼用され、前記緑色用測光センサの測光出力を前記定常光測光手段の測光出力とすることを特徴とする請求項12に記載の測光装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一眼レフカメラに適用して好適な測光装置に関し、特に被写体の反射率の相違及び被写体のコントラストの違いによる露出誤差を解消してカメラ撮影での適正露出を得ることを可能にした測光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年のカメラに備えられている測光装置は反射光式測光装置と称されるものが殆どであり、この反射光式測光装置は、被写体で反射された光をカメラの観察光学系を通して測光素子で測光し、この測光値に基づいて被写体の輝度を測定し、さらにこの測定値に基づいてカメラでの露出制御値を算出している。しかし、この種の測光装置は、その原理上被写体の光反射率を知ることができないため、被写体の光反射率を一定の値、例えば18%と仮定して露出制御値を算出することが行われている。このため、光反射率が18%よりも高い白っぽい被写体は高輝度に測定し、これに応じて露出を制限するためにアンダーに露光されてしまい、逆に光反射率が18%よりも低い黒っぽい被写体は露出を増加させるためにオーバに露光されてしまうことになる。また、このような被写体における光反射率の違いは、前記したような白っぽい場合或いは黒っぽい場合に限られるものではなく、被写体の色の相違によっても生じている。例えば、被写体の色が黄色の場合には、光反射率が70%にも達するため、標準光反射率を前記したように18%とすると、約2Evの露出アンダーとなる。逆に、被写体の色が青色の場合には光反射率が9%程度であるため、約1Evの露出オーバとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、従来の測光装置では、撮影者が被写体の色を判定し、その判定した色から光反射率を推測し、被写体が白っぽい場合、あるいは黄色のように光反射率が高い場合にはオーバ目に、また逆に被写体が黒っぽい場合、あるいは青色のように光反射率が低い場合にはアンダー目となるような露出補正を可能にした露出補正装置を備えた測光装置が提案されている。このような露出補正を行うことにより、前記した問題を解消することは可能であるが、このような被写体の色からその光反射率を推測して露出補正を行うためにはある程度の経験や熟練を必要とし、全ての撮影者がこのような露出補正を行うことは実際には不可能であり、しかも露出補正に際して撮影者の手操作が必要とされることは、近年における自動撮影を可能にしたカメラの測光装置として好ましいものではない。
【0004】また、被写体の色を測色するために、被写体を3色分解して測光し、その測光出力から被写体の色を判定するようにした測光装置も提案されているが、この場合3色の測光系のそれぞれの測光値に誤差が生じることがある。特に、TTL方式で測色を行うような場合には、被写体の周辺部の測光値について誤差が含まれる可能性が高くなる。これは、例えば、クイックリターンミラーの大きさが足りない場合、ペンタプリズムの反射面積が足りない場合等の原因が考えられるが、いずれにしても周辺部の測光値の信頼性が低い場合には測色結果についても信頼性が劣ることになり、色判定や露出補正の信頼性が低いものになる。さらに、被写体の全てを複数の領域に分割して測色を行うことは、測色センサの測色領域の数が多くなり、センサのコストが高くなるという点でも好ましくない。
【0005】また、前記したような露出補正を行った場合に、被写体のコントラストの如何によっては、露出補正量が必ずしも適正でない場合がある。すなわち、コントラストが高い被写体の場合には、明るい部分が補正値に与える影響は、コントラストが低い被写体の明るい部分が与える影響よりも大きくなる。例えば、被写体の一部領域が光反射率の高い黄色で、他の一部領域がこれよりも光反射率の低い浅黄色の場合のようにコントラストが低い場合には、黄色の部分からの反射光によってオーバ目に露出補正を行うと、これに伴って浅黄色の部分も適正に近い露出方向に補正され、全体としての露出が適正に近いものとなる。しかしながら、被写体のコントラストが大きい場合、例えば被写体の一部領域が光反射率の高い黄色で、他の一部領域が光反射率の低い青色の場合には、黄色の部分での反射光によってオーバ目に露出補正を行うと、青色部分の露出がオーバ露出になってしまい、全体としての適正露出を得ることが難しくなるという問題も生じる。
【0006】特に、光反射率の高い被写体色の領域の隣又は周囲に光反射率の低い被写体色の領域が存在する場合、あるいは逆に光反射率の低い色の領域の隣又は周囲に光反射率の高い色の領域が存在するような場合には、中央の領域での測色に基づいて露出補正量を決定すると、その隣又は周囲の領域の露出は適正露出から大きくずれることになり、このような隣接する領域のコントラストが大きい場合の適正露出を得ることは極めて困難なものになる。
【0007】本発明の目的は、被写体の光反射率の相違にかからわず、しかも被写体のコントラストの違いにかかわらずカメラ撮影での適正露出を可能とした測光装置を提供するものである。また、本発明の他の目的は、適正露出を得るための測色領域の数を最小限に抑制して低コスト化を実現する測光装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の測光装置は、撮影領域を複数の測光エリアに分割して測光する定常光測光手段と、撮影領域を複数の測光エリアに分割し、少なくともその一つの測光エリアを測色用の測光エリアとする測色用測光手段と、前記定常光測光手段の測光出力に基づいて被写体の露出量を決定する露出量決定手段と、前記測色用測光手段の測光出力に基づいて被写体の色を判定し、判定した色に基づいて前記露出量を補正する露出補正量を決定する露出補正量決定手段と、前記少なくとも一つの測色用の測光エリアの測光出力に基づいて判定された色と、該測色用の測光エリアに対応する定常光測光手段の測光エリアとその隣接又は周囲の定常光測光手段の少なくとも一つの測光エリアとの測光出力の比較とに基づいて、前記露出補正量を補正する露出補正量補正手段とを備えることを特徴とする。
【0009】ここで、前記少なくとも一つの測色用の測光エリアは、被写体の中央部、或いは当該中央部を含む選択された測光エリアとする。また、前記少なくとも一つの測色用の測光エリアは、カメラの合焦を行うための測距領域と同一領域とする。また、前記露出補正量補正手段は、前記少なくとも一つの測色用の測光エリアの測光出力に基づいて判定される色が高反射率の色であると判定した時、該測色用の測光エリアに対応する定常光測光手段の測光輝度値に対して、その隣接或いは周囲の定常光測光手段の測光エリアの測光輝度値が相対的に低輝度であるときには、前記露出補正量を零にし、或いは低減する。あるいは、前記露出補正量補正手段は、前記少なくとも一つの測色用の測光エリアの測光出力に基づいて判定される色が低反射率の色であると判定した時、該測色用の測光エリアに対応する定常光測光手段の測光エリアの測光輝度値に対して、その隣接或いは周囲の定常光測光手段の測光エリアの測光輝度値が相対的に高輝度であるときには、前記露出補正量を零にし、或いは低減する。あるいは、前記露出補正量補正手段は、前記測色用の測光エリアに対応する定常光測光手段の測光エリアの測光輝度値とその隣接或いは周囲の定常光測光手段の測光エリアの測光輝度値との比較値が、第1の値よりも大きくて、かつ前記測色用の測光エリアの測光出力に基づいて判定される色が赤色のとき、或いは前記比較値が第2の値よりも大きくて、かつ前記判定される色が青色のとき、或いは前記比較値が第3の値よりも小さくて、前記判定される色が黄色の時は、それぞれの場合、前記露出補正量を零にする。これにより、被写体の反射率の影響による露出値の適正化がはかれる。
【0010】或いは、本発明の測光装置は、撮影領域を複数の測光エリアに分割して測光する定常光測光手段と、撮影領域を複数のエリアに分割し、少なくともその一つのエリアを測色用の測光エリアとする測色用測光手段と、前記定常光測光手段の測光出力に基づいて被写体の露出量を決定する露出量決定手段と、前記測色用測光手段の測光出力に基づいて被写体の色を判定し、判定した色に基づいて前記露出量を補正する露出補正量を決定する露出補正量決定手段と、前記定常光測光手段の複数の測光エリア同士の測光出力の差に基づいて、前記露出補正量の補正値を決定する露出補正量補正手段とを備えることを特徴とする。
【0011】ここで、前記露出補正量補正手段は、前記測光エリア同士の最大陣と最小出力との差分をコントラスト値とし、このコントラスト値に基づいて、前記露出補正量の補正値を決定する。例えば、前記露出補正量補正手段は、前記測光エリア同士の測光出力の差分或いは前記コントラスト値が大きくなるにつれて、前記露出補正値が小さくなるように前記露出補正量の補正値を決定する。これにより、被写体のコントラストの違いにかかわらず、光反射率の高い部分と低い部分のそれぞれにおいて適正に近い露出が得られることになる。
【0012】本発明において、前記定常光測光手段は500〜600nmに感度ピークを有する分光感度特性の測光センサで構成され、前記測色用測光手段は、青色光を測光する青色用測光センサと、緑色光を測光する緑色用測光センサと、赤色光を測光する赤色用測光センサとを含んで構成される。また、前記定常光測光手段は前記緑色用測光センサと兼用され、前記緑色用測光センサの測光出力を前記定常光測光手段の測光出力とすることが可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明をレンズ交換式一眼レフカメラの測光装置に適用した実施形態の模式的な斜視図、図2はその要部の側面構成図であり、撮影レンズ2が着脱されるカメラボディ1内には、クイックリターンミラー3、ピントグラス4、ペンタプリズム(又はペンタミラー)5、及び接眼光学系6が内装されている。前記クイックリターンミラー3の一部はハーフミラー部3aとして構成され、撮影レンズ2で結像される被写体光の一部を前記ハーフミラー部3aを透過し、かつ補助反射ミラー7で反射して測距装置8に導いている。この測距装置8は被写体に対して複数のポイントで測距を行うマルチ測距装置であってもよく、その測距データに基づいてAF(自動焦点)制御を行うために用いられ、また、測距ポイントにより被写体位置検出にも用いられる。また、前記ペンタプリズム5には、後述するように、前記接眼光学系6側の面の4箇所に合計4個の測光素子として機能する測光センサ9が配設されており、それぞれ前記撮影レンズ2により結像される被写体光の一部を受光するように構成される。さらに、前記撮影レンズ2とカメラボディ1とは電気接点部10を介して相互に電気接続されており、前記撮影レンズ2に内蔵されているレンズROM11は、前記カメラボディ1に内蔵されているCPUで構成される制御回路20に電気接続されている。前記カメラボディ1の外面にはLCD(液晶)表示器21、レリーズボタン22を含む各種操作ボタンが設けられる。なお、カメラボディ1内に設けられているフィルムの巻上げ機構を始めとする他のカメラ機構については、ここでは説明を省略する。
【0014】前記4個の測光センサ9は、図3(a)にカメラ背面側から見た図を示すように、前記ペンタプリズム5の接眼光学系側の上部中央に配置された2個の測光センサ9D,9Gと、下側の左右端にそれぞれ1個ずつ配置された2個の測光センサ9B,9Rとで構成されている。前記各測光センサ9D,9G,9B,9RはFPC(フレキシブルプリント回路基板)91に搭載されて前記各位置に固定支持されており、かつ各測光センサ9の前面に配置された集光レンズ92によってそれぞれ被写体像を各測光センサの測光面に結像するように構成されている。また、前記各測光センサ9D,9G,9B,9Rは、それぞれ図4(a)のように、被写体画面を複数の領域、ここでは中心領域A0、その左右領域A1,A2、上下領域A3,A4、さらに四周囲領域A5の6つの測光エリアに区画し、測光面が前記各測光エリアA0〜A5に対応して分離形成されてアンプAMPを一体に形成した測光ICチップとして形成されている。そして、図4(b)に示すように、各測光エリアA0〜A5に結像した被写体からの反射光量を測光するように構成されている。なお、図4(b)において、P0〜P2は、前記AF制御を行うための測距ポイントを示している。
【0015】前記測光センサ9Gは測光面に緑色のフィルタが配設されて緑色光を主体に受光するG用の測光センサとして、他の1つの測光センサ9Bは測光面に青色のフィルタが配設されて青色光を主体に受光するB用の測光センサとして、さらに他の1つの測光センサ9Rには赤色のフィルタが配設されて赤色を主体に受光するR用の測光センサとしてそれぞれ構成されている。ここで前記3つのG用、B用、R用の測光センサ9G,9B,9Rは測色素子として構成されており、各測光センサ9G,9B,9Rに配設されている緑色、青色、赤色のフィルタの分光透過率特性は、ここでは図5に示す特性のものが用いられており、それぞれ、ほぼ540nm、420nm、620nmに透過率ピークを有している。なお、残りの1つの測光センサ9Dには色フィルタは配設されていないが、その分光受光特性は、図5のように500〜600nmの範囲に感度ピークを有する視感度分布特性に近い特性に設定され、定常光を測光する定常光測光素子としての定常光用測光センサとして構成されている。
【0016】図6は前記カメラの主要部の回路構成を示すブロック回路図である。前記4つの測光センサ9D,9G,9B,9Rは制御回路20に対して、定常光とRGBの各色光を測光した測光値を出力する。また、前記測距装置8の出力を測距値として前記制御回路20に出力し、AF装置25による自動焦点制御を実行させる。一方、前記制御装置20には、前記レリーズボタン22の半押し、全押しに追従して順序的にオン動作される測光スイッチSWS、及びシャッタレリーズスイッチSWRからのスイッチ情報信号が入力され、レリーズボタン22の半押しによってオンする測光スイッチSWSからのスイッチ情報信号が入力されたときに、所要のアルゴリズムでの測光演算を行い、この演算に基づいて露出値を算出する。そして、この算出した露出値に基づいて露出制御装置23を制御し、撮影を実行する。また、算出した露出値は、表示ドライバ24を駆動して前記LCD表示器21に表示する。なお、前記制御回路20内には、後述する測光演算に必要とされる各種の値を予め記憶しているEEPROM(電気的に書き換え可能なROM)26と、一時的に各種データを記憶するRAM27が内蔵されている。
【0017】以上の構成のカメラにおける測光装置の測光動作を説明する。図7は測光動作のゼネラルフローチャートであり、先ず、このゼネラルフローチャートを用いて測光の全体の流れを説明する。ステップS11においてレリーズボタン22の半押しによりオンされる測光スイッチSWSのオンを確認すると、レンズ通信処理S12を実行し、制御回路20はカメラボディ1に装着されている撮影レンズ2の固有情報を取り込む。この固有情報は撮影レンズ2の開放絞りやレンズ焦点距離等のように、撮影レンズ2の種類に応じて測光演算に影響を与える固有の情報として、撮影レンズ2に内蔵のレンズROM11から電気接点部10を介して入力される。次いで、測光センサ出力Bvd演算処理S13を実行する。この測光センサ出力Bvd演算処理S13では、撮影レンズ2及びカメラボディ1内のクイックリターンミラー3、ペンタプリズム5を通して前記各測光センサ9で測光して得られるアナログデータの測光値を、制御回路20での演算に用いることが可能なデジタルデータの測光値Bvdに変換演算する。次いで、前記測光センサ出力Bvd演算処理S13で得られた測光値Bvdと、レンズ通信処理S12で取り込んだ前記撮影レンズ2の固有情報とを用いて開放測光補正演算処理S14を実行し、撮影レンズ2の違いによる測光誤差を無くす。
【0018】次いで、露出値演算処理S15において、前記測光センサ出力Bvd演算処理S13で得られた定常光用測光センサ9Dでの測光値Bvdに基づき露出値Lvdを算出する。この露出値演算処理S15では、撮影時の条件、例えば、逆光撮影、撮影倍率、撮影シーン等に基づいて露出値Lvdを演算するためのパラメータを算出し、かつこのパラメータに基づいて露出値Lvdを算出する。また一方で、前記測光センサ出力Bvd演算処理S13で得られたRGB用の各測光センサ9R,9G,9Bの測光値Bvd・r、Bvd・g、Bvd・bに基づいて測色処理S16を行い、被写体の色を測色するとともに、測色した色に基づく測色補正値CCを算出する。次いで、測色補正値補正処理(A,B)S17では、定常光用測光センサ9Dの複数の測光エリアにおけるそれぞれの測光値Bvdを所要の条件で比較することで、輝度差(コントラスト値)を検出し、この輝度差(コントラスト値)に基づいて前記測色補正値CCを補正する。そして、露出値測色補正処理S18では、前記補正された測色補正値CCに基づいて露出値演算処理S15で求めた露出値Lvdを補正する。しかる後、レリーズスイッチSWRのオンを確認すると(S19A)、ステップS18で得られた露出値Lvdに基づいて露出制御装置23が露出制御を行い(S20)、カメラでの撮影を実行する。なお、レリーズスイッチSWRがオンされないときには、測光タイマのOFFを検出し(S19B)、測光タイマのOFFにより所定時間が経過するまでは前記ステップS12以降のフローを繰り返し、所定時間が経過したときには、ステップS11に戻る。
【0019】以下、前記ゼネラルフローチャートの各処理を個々に説明する。先ず、レンズ通信処理S12のフローチャートを図8に示す。レンズ通信処理S12では、測光スイッチSWSのオンを制御回路20が検出すると、電気接点部10を介して撮影レンズ2のレンズROM11に対してアクセスし、当該レンズROM11に記憶されている撮影レンズ2の固有情報を読み出し(S101)、制御回路20のRAM27に格納する。ここで、撮影レンズの固有情報としては、「レンズ種類」,「レンズデータ」,「最短撮影距離」,「撮影距離」,「レンズ焦点距離」,「射出瞳位置」,「開放Fナンバー」,「開口効率」等のデータがレンズROMに記憶されており、この実施形態では前記制御回路20はこれらの情報のうち、少なくとも「レンズ焦点距離」,「射出瞳位置」,「開放絞り」,「開口効率」を読み出してRAM27に記憶する。
【0020】前記測光センサ出力演算処理S13のフローチャートを図9に示す。この測光センサ出力演算処理S13では、先ず、前記4個の測光センサ9D,9G,9B,9Rのうち、定常光測光素子としての定常光用測光センサ9Dにおける図4に示した各測光エリアAi(i=0〜5)のそれぞれの出力電圧値(アナログデータ)をA/D変換した値Bvad〔i〕として得るとともに、測色素子としての、他の3個のG,B,R用の各測光センサ9G,9B,9Rの各測光エリアAi(i=0〜5)のそれぞれの出力電圧値(アナログデータ)をそれぞれA/D変換したBvad・g〔i〕、Bvad・b〔i〕、Bvad・r〔i〕を得る。しかる上で、前記定常光用測光センサ9DのA/D変換値Bvad〔i〕を輝度に応じた測光値Bvd(i)に調整する(ステップS111)。また、他の3個のG,B,R用の各測光センサ9G,9B,9RのA/D変換値Bvad・g〔i〕、Bvad・b〔i〕、Bvad・r〔i〕もそれぞれ輝度に応じた測光値Bvd・g〔i〕、Bvd・b〔i〕、Bvd・r〔i〕に調整する(S112)。なお、前記ステップS111,S112におけるA/D変換は、各出力電圧値(アナログデータ)を検出レベルに対応したデジタルデータに変換するという、通常行われているA/D変換技術が適用される。
【0021】前記開放測光補正演算処理S14のフローチャートを図10に示す。前記レンズ通信処理S12において、撮影レンズ2のレンズROM11から読み出して制御回路20のRAM27に記憶した「レンズ焦点距離」,「射出瞳位置」,「開放絞り」,「開口効率」に基づいて、開放測光補正値Mnd1〔i〕を算出する(S121)。この開放測光補正値Mnd〔i〕の算出方法は、本願出願人が先に特開昭63−271239号公報で提案しているところであるが、簡単に説明すれば、個々のカメラボディ毎の光学特性の違いと、前記「レンズ焦点距離」,「射出瞳位置」,「開放絞り」,「開口効率」のそれぞれとの違いに起因する適正露出からのずれ量を補正するための補正値mv1,mv2,mv3,mv4をそれぞれ計算し、これらの補正値の総和mv1+mv2+mv3+mv4を開放測光補正値Mnd1〔i〕とする。また、この開放測光補正値Mnd1〔i〕は、測光センサ9G,9B,9Rに対応して、それぞれMnd1・g〔i〕、Mnd1・b〔i〕、Mnd1・r〔i〕とする。
【0022】しかる上で、前記測光センサ出力Bvd演算処理S13で得られた測光値Bvd〔i〕に前記開放測光補正値Mnd1〔i〕を加算し、その加算結果を新たな測光値Bvd〔i〕とする。すなわち、Bvd〔i〕=Bvd〔i〕+Mnd1〔i〕
の演算を行う(S121)。同様に、測光センサ出力Bvd演算処理S13で得られたG,B,R用の各測光センサ9G,9B,9Rの測光値Bvd・g〔i〕、Bvd・b〔i〕、Bvd・r〔i〕に対しても、それぞれ開放測光補正値Mnd1・g〔i〕、Mnd1・b〔i〕、Mnd1・r〔i〕を加算し、それぞれを新たな測光値とする。すなわち、Bvd・g〔i〕=Bvd・g〔i〕+Mnd1・g〔i〕
Bvd・b〔i〕=Bvd・b〔i〕+Mnd1・b〔i〕
Bvd・r〔i〕=Bvd・r〔i〕+Mnd1・r〔i〕
の演算を行う。この結果、各測光値はそれぞれ、撮影レンズ2とカメラボディ1との組合せによって生じる各撮影レンズ2の個体差による測光値への影響が解消された測光値となる(S122)。
【0023】前記露出値演算処理S15のフローチャートを図11に示す。この処理では、前処理までに得られた測光値のうち、測光値Bvd〔i〕に対し、実際に撮影を行う際の条件によって測光値を補正し、この補正により適正な露出値Lvdを得るための処理である。すなわち、定常光用測光センサ9Dの測光エリアA0〜A5の各測光値Bvd〔i〕を相互に比較し、あるいは総体的に検出することで、撮影する状態が、逆光撮影、夕暮れ撮影、夜景撮影等のいずれの状態の蓋然性が高いものであるかを判定し、その判定結果に基づいて各測光値Bvd〔i〕に対して重み付けを行い、あるいは一つの測光値のみを採用する等の手法により、当該撮影状態に好適な露出値Lvdとして演算する処理である。この露出値を得るための補正手法としては、これまでにも種々の手法が提案されているが、この実施形態では、各測光値Bvd〔i〕から露出値算出用のパラメータを算出する(S131)。すなわち、パラメータの高輝度リミット(S132)、逆光判定(S133)、重み付けパラメータ算出(S134)、撮影倍率チェック(S135) 、撮影シーン判定(S136)、撮影シーン高輝度時プラス補正(S137)についてそれぞれの補正値を算出し、かつその算出したパラメータと前記測光値Bvd〔i〕とで露出値Lvdを算出する(S138)。
【0024】前記測色処理S16のフローチャートを図12に示す。この測色処理S16では、前記したように被写体の色を測色するとともに、測色した色に基づく測色補正値CCを算出する。この測色処理S16は、測色パラメータの初期化を行った後(S21)、カラーフィルムの基準色温度、約5500Kに一致するように光源補正値を得るための処理S22と、得られた光源補正値により補正処理を行う光源差補正処理S23と、後工程の測色演算で用いるための測色パラメータを得るための測色パラメータ算出処理S24と、測色で使用する定数を設定するための測色定数設定処理S25と、前記各処理で得られた補正値、パラメータ、定数に基づいて測色判定を行なう測色判定処理S26と、判定された色に基づいて測光センサの各測光エリアA0〜A5のそれぞれにおける測色補正値CC〔i〕を演算する領域測色補正値演算処理S27と、各測光エリアのそれぞれの測色補正値CC〔i〕に基づいて全体としての測色補正値CCを演算するCC演算処理S28とを順序的に実行するフローとなっている。なお、この測色処理の詳細は後述する。
【0025】そして、図7に示した前記露出値測色補正処理S18では、前記測色処理S16で演算され、かつ測色補正値補正処理A,B(S17)において補正された露出補正量としての測色補正値CCに基づいて露出値演算処理S15で求めた露出値Lvdを補正し、最終的な露出値Lvdとする。すなわち、Lvd=Lvd+CCの演算を実行する。
【0026】次に、前記測色処理S16の図12に示した前記した各処理S22〜S28について説明する。前記光源補正値演算処理S22のフローチャートを図13に示す。この光源補正値演算処理S22は測光センサ9のBvd値を基準設定する際に調整用光源(A光源)を使用しているため、実際に撮影を行う光源、主に太陽光を受光した場合におけるBvd値のずれを補正するためのものである。ここでは、G(緑色)を基準にして、Gに対するB(青色)とR(赤色)の相対的な光源補正値を求めて光源補正を行っている。先ず、GBRについて、光源データBvd・light・g、Bvd・light・b、Bvd・light・rを制御回路20のEEPROM26から読み込む(S141)。ついで、Gを基準としたときのB用の測光センサ9Bの光源調整値adj・sun・bと、同じくR用の測光センサ9Rの光源調整値adj・sun・rをそれぞれEEPROM26から読み出す(S142)。ここで、前記各光源調整値の例は次の通りである。
adj・sun・b=+8adj・sun・r=−4ただし、前記した測光センサ9の調整をA光源ではなく、太陽光相当の光源で行った場合には、これらの光源調整値はそれぞれ「0」となる。
【0027】しかる上で、前記光源データと光源調整値とから、B用の測光センサ9Bの光源補正値light・gbを、light・gb=Bvd・light・g−Bvd・light・b+adj・sun・bの式から求める。同様に、R用の測光センサ9Rの光源補正値light・grを、light・gr=Bvd・light・g−Bvd・light・r+adj・sun・rの式から求める。これにより、BとRの各光源補正値light・gb、light・grが求められる(S143,S144)。
【0028】前記光源差補正処理S23のフローチャートを図14に示す。ここでは、前記光源補正値演算処理S22で求められたBとRの各光源補正値に基づいて、B用の測光センサ9Bと、R用の測光センサ9Rの各測光エリアA0〜A5でそれぞれ受光して得られる測光値Bvd・b〔i〕とBvd・r〔i〕(i=0〜5)について光源差補正を行う。先ず、B用の測光センサ9Bの各測光エリアについて、Bvd・b〔i〕=Bvd・b〔i〕+light・gbを計算する(S151)。次いで、同様に、R用の測光センサ9Rの各測光エリアについて、Bvd・r〔i〕=Bvd・r〔i〕+light・grを計算する(S152)。これにより、B用とR用の各測光センサ9B,9Rの測光出力に補正が加えられることになり、G,B,R用の各測光センサ9G,9B,9Rの各測光出力は、太陽光に対して等しい測光特性に基準化される。
【0029】前記測色パラメータ算出処理S24のフローチャートを図15に示す。ここでは、光源差補正された各測光センサの出力から、後の処理フローでの測色判定で使用する測色パラメータを算出する。測色パラメータとして、G用の測色パラメータGf〔i〕、B用の測色パラメータBf〔i〕、R用の測色パラメータRf〔i〕が算出される(S161,S162,163)。算出式は次の通りである。
Gf〔i〕=Bvd・g〔i〕−(Bvd・b〔i〕+Bvd・r〔i〕)/2Bf〔i〕=Bvd・b〔i〕−(Bvd・g〔i〕+Bvd・r〔i〕)/2Rf〔i〕=Bvd・r〔i〕−(Bvd・b〔i〕+Bvd・g〔i〕)/2【0030】前記測色定数設定処理S25のフローチャートを図16に示す。同様に、ここでは後の処理フローでの測色判定で使用する測色定数をEEPROM26から読み出す。測色定数としては、測色判定用しきい値、測色判定用係数、測色補正値CC算出用係数、測色補正値CC算出用調整値である。各測色定数は次のように示される。
測色判定用しきい値:判定値・*1〔i〕
測色判定用係数:係数・#1〔i〕,係数・#2〔i〕
測色補正値CC算出用係数:CC係数・*1〔i〕
測色補正値CC算出用調整値:CC調整値・*1〔i〕
ここで、*はg,b,r,m,y,cを示し、#はg,b,rを示している。なお、gは緑色、bは青色、rは赤色であることはこれまでと同様であるが、mはマゼンタ色、yは黄色、cはシアン色を示している。また、この処理においては、各測光センサの各測光エリアA0〜A5のそれぞについて測色定数を設定しており、したがって、その処理フローとしては、最初にi=0に設定し(S171)、前記各設定値をEEPROM26から読み出した上で(S173〜S176)、iを1加算する演算(i=i+1)を行い(S177)、同様にi=5に達するまで繰り返し読み出す(S172)。なお、この読み出した値は制御回路20のRAM27に記憶する。なお、前記した各測色定数の一例を図17に示す。
【0031】前記測色判定処理S26を図18及び図19のフローチャートに基づいて説明する。この測色判定処理S26では、G,B,R用の各測光センサ9G,9B,9Rの各対応する測光エリアA0〜A5毎に測色を行っており、結果として各測光エリアA0〜A5で測光した被写体の色を判定している。すなわち、図18の左フローにおいて、i=0に設定し(S181)、以後i=5に達するまで(S182)、フローを繰り返す。ここで、色〔i〕は色パラメータとし、色・max〔i〕と色・min〔i〕はそれぞれ判定色パラメータとする。先ず、色パラメータ色〔i〕を無色とした上で(S183)、Rf〔i〕<判定値・c1〔i〕を判断する(S184)。条件を満たすときには、|Bf〔i〕−Gf〔i〕|<|係数・r1〔i〕×Rf〔i〕|を判断し(S185)、この条件を満たすときには、色・min〔i〕=Rf〔i〕とする(S186)。また、ステップS184,S185でいずれも条件を満たさないときには、Gf〔i〕<判定値・m1〔i〕を判断する(S187)。条件を満たすときには、|Bf〔i〕−Rf〔i〕|<|係数・g1〔i〕×Gf〔i〕|を判断し(S188)、この条件を満たすときには、色・min〔i〕=Gf〔i〕とする(S189)。また、ステップS187,S188でいずれも条件を満たさないときには、Gf〔i〕>判定値・mg〔i〕を判断する(S190)。条件を満たすときには、|Bf〔i〕−Rf〔i〕|<|係数・g2〔i〕×Gf〔i〕|を判断し(S191)、この条件を満たすときには、色・max〔i〕=Gf〔i〕とする(S192)。
【0032】さらに、図18の右フローにおいて、ステップS190,S191でいずれも条件を満たさないときには、Bf〔i〕>判定値・b1〔i〕を判断する(S193)。条件を満たすときには、|Gf〔i〕−Rf〔i〕|<|係数・b2〔i〕×Bf〔i〕|を判断し(S194)、この条件を満たすときには、色・max〔i〕=Bf〔i〕とする(S195)。また、ステップS193,S194でいずれも条件を満たさないときには、Rf〔i〕<判定値・r1〔i〕を判断する(S196)。条件を満たすときには、|Bf〔i〕−Gf〔i〕|<|係数・r2〔i〕×Rf〔i〕|を判断し(S197)、この条件を満たすときには、色・max〔i〕=Rf〔i〕とする(S198)。さらに、ステップS196,S197でいずれも条件を満たさないときには、Bf〔i〕<判定値・y1〔i〕を判断する(S199)。条件を満たすときには、|Gf〔i〕−Rf〔i〕|<|係数・b1〔i〕×Bf〔i〕|を判断し(S200)、この条件を満たすときには、色・min〔i〕=Bf〔i〕とする(S201)。このフローを前記したようにi=0〜5まで行うことで、各測光エリアA0〜A5についてそれぞれ色・max〔i〕と色・min〔i〕が得られる。
【0033】そして、得られた色・max〔i〕と色・min〔i〕について、図19のフローチャートにおいて、色・min〔i〕=Rf〔i〕を判断し(S202)、条件を満たすときには、色〔i〕=シアンとする(S203)。条件を満たさないときには、色・min〔i〕=Gf〔i〕を判断し(S204)、条件を満たすときには、色〔i〕=マゼンタとする(S205)。このとき、後段の色が優先されることになり、ステップS203において色〔i〕=シアンとした場合でも、ステップS205において色〔i〕=マゼンタとしたときには、マゼンタが優先され、色をマゼンタとする。以下、同様に、色・max〔i〕=Gf〔i〕のときには色〔i〕=緑色とし(S206,S207)、前工程でマゼンタとした場合でも、緑色が優先されることになる。さらに、同様に、色・max〔i〕=Bf〔i〕のときには色〔i〕=青色とし(S208,S209)、色・max〔i〕=Rf〔i〕のときには色〔i〕=赤色とし(S210,S211)、色・min〔i〕=Bf〔i〕のときには黄色とする(S212,S213)。結果として、黄色が最も優先されることになるが、これよりも前フローではフロー中における条件を満たす最終の色が当該測光エリアの色として判定されることになる。このフローについても、i=0〜5まで繰り返すことで(S214)、各測光エリアA0〜A5の色がそれぞれ判定される。
【0034】前記領域測色補正値演算処理S27は、判定された各測光エリアの色に基づいて、各測光エリア毎の被写体色の相違による測色補正値CC〔i〕を演算するものであり、図20にフローチャートを示す。最初に、i=0に設定し(S221)、以後i=5に達するまで、フローを繰り返す(S222)。先ず、色〔i〕=無色であるかを判断し(S223)、条件を満たすときにはCC〔i〕=0とする(S224)。条件を満たさないときには、色〔i〕=シアンであるかを判断し(S225)、条件を満たすときには、ステップS226において、CC〔i〕の演算を行う。ここでは、測色補正値CC〔i〕を次のように演算する。
CC〔i〕=CC係数・c1〔i〕×(Rf〔i〕−判定値・c1〔i〕)+CC調整値・c1〔i〕
シアンでないときには、色〔i〕=マゼンタであるかを判断し(S227)、条件を満たすときには、ステップS228において、CC〔i)の演算を行う。ここでは、測色補正値CC〔i〕を次のように演算する。
CC〔i〕=CC係数・m1〔i〕×(Gf〔i〕−判定値・m1〔i〕)+CC調整値・m1〔i〕
同様にして、色〔i〕がいずれの色であるかを順次判断し(S229,S231,S233,S235)、色〔i〕が緑色のときには、ステップS230において、測色補正値CC〔i〕を次のように演算する。
CC〔i〕=CC係数・g1〔i〕×(Gf〔i〕−判定値・g1〔i〕)+CC調整値・g1〔i〕
また、色〔i〕が青色のときには、ステップS232において、測色補正値CC〔i〕を次のように演算する。
CC〔i〕=CC係数・b1〔i〕×(Bf〔i〕−判定値・b1〔i〕)+CC調整値・b1〔i〕
また、色〔i〕が赤色のときには、ステップS234において、測色補正値CC〔i〕を次のように演算する。
CC〔i〕=CC係数・r1〔i〕×(Rf〔i〕−判定値・r1〔i〕)+CC調整値・r1〔i〕
また、色〔i〕が黄色のときには、ステップS236において、測色補正値CC〔i〕を次のように演算する。
CC〔i〕=CC係数・y1〔i〕×(Bf〔i〕−判定値・y1〔i〕)+CC調整値・y1〔i〕
しかる後、iを1加算し(S237)、このフローをi=0〜5まで繰り返すことで、各測光エリアA0〜A5における測色補正値CC〔i〕がそれぞれ演算される。
【0035】しかる上で、CC演算S28において、測色補正値CC〔i〕から測色補正値CCを演算する。この演算ではi=0〜5の各CC〔i〕を単純平均し、あるいは中央部、ないしはその近傍領域の出力に重み付けを行った上で平均をとる等の手法が行われる。ここで、測色補正値CCは、前記した例ではiを0〜5として説明したが、中央部のみ測色するように構成できることは明らかである。また、測距装置から得られる合焦エリア情報を元にして、合焦エリアを一つ選択して合焦エリアと一致する測色エリアを選択して測色補正値CCを得ることも可能である。このようにすれば、全てのエリアについて測色を行う必要がなく、測色領域の数を低減することが可能になる。
【0036】以上のようにCC演算S28において測色補正値CCを得ることができ、この測色補正値CCを、図7に示した測色補正値補正処理S17(A)において、被写体の輝度差、すなわちコントラストに応じて補正する。すなわち、単に被写体を測色し、その測色結果に基づいて測色補正値CCを得て露出値Lvdを補正するのみでは、被写体のコントラスト如何によっては、測色補正値CCが必ずしも適正でない場合があることは前記したとおりである。そこで、コントラストが大きい被写体の場合には露出補正値CCを抑制することとする。先ず、図7のゼネラルフローでの露出値演算処理S15の処理途中で得られた定常光用測光センサ9Dの複数の測光エリアにおけるそれぞれの測光値Bvd〔i〕を保持しておき、この測光値Bvd〔i〕の最大値と最小値の差をとり、その差分を測光コントラスト値Bv・conとする(S241)。
Bv・con={max(Bvd〔i〕)−min(Bvd〔i〕)}
ここで、i=0〜5であるが、被写体の周辺部のコントラストの影響によって被写体中央部の露出が適正でなくなることを避けるために、周辺部の受光量は考慮しないように、i=0〜4にするか、あるいは周辺部に1以下の重み付けを付けるようにしてもよい。
【0037】そして、測光コントラスト値が大きいほど測色補正値CCを実質的に小さくするために、測色補正値CCに乗算する係数としてのコントラスト補正値Bv・con・kを求める(S242)。ここでは、次式を採用する。
Bv・con・k={1−(Bv・con/8)}
なお、式中の除数の「8」は、経験則から求めた値である。そして、コントラスト補正値Bv・con・kが負になることを避けるために、Bv・con・k<0の判断を行い(S243)、条件を満たす場合には、Bv・con・k=0とする(S244)。条件を満たさないときには、算出された値Bv・con・kをそのままコントラスト補正値とする。そして、得られたコントラスト補正値Bv・con・kを用いて、前記測色補正値CCについて、CC=Bv・con・k×CCを演算し、コントラスト補正された測色補正値CCを得る(S245)。
【0038】しかる上でコントラスト補正された測色補正値CCに基づいて、図7に示した露出値測色補正処理S18において、露出値演算処理S15で求めた露出値Lvdを補正し、最終的な露出値Lvdとする。この計算式は前記したように、Lvd=Lvd+CCである。そして、この補正された露出値Lvdに基づいて、露出制御装置において、カメラの露出制御を行うことにより、被写体の色の違い、換言すれば被写体の反射率の違いにかかわらず、反射率の影響を低減し、適正露出での撮影が可能となる。特に、測色測光手段の測光出力により被写体の色として黄色を判定したときには露出補正量を露出オーバ方向に決定し、青色または赤色を判定したときには露出補正量を露出アンダー方向に決定することで、従来において特に顕著な問題となっていたこれらの色間の反射率の違いによる露出誤差を解消することが可能となる。また、本発明においては、定常光測光用の測光センサ及び複数の測色用の各測光センサの各測光面を複数の測光エリアに分割し、これらの分割した各測光エリア毎に測光した測光値に基づいて露出値の決定と露出補正値の決定を行うことにより、被写体の色が全体としてひとつの色に偏っている場合、あるいは多色で構成される場合のいずれの場合でも適正な露出値の決定が可能となる。
【0039】また、前記測色補正値CCの計算に際しては、被写体を分割した定常光用測光センサ9Dの測光エリアA0〜A5の測光値の最大値と最小値の差からコントラスト補正値を求め、コントラストが大きくなるにつれてコントラスト補正値を小さくし、これに伴って測色補正値CCを小さくすることにより、コントラストが高い被写体の場合には、コントラストが低い被写体に比較して、明るい部分が補正値に与える影響を抑制し、全体として各部分を適正に近い露出で撮影することが可能になる。例えば被写体の一部領域が光反射率の高い黄色で、他の一部領域が光反射率の低い青色の場合に、黄色の部分での反射光によってオーバ目に露出補正が行われようとするが、コントラスト補正値によってオーバ目の露出補正が抑制されるため、青色部分の露出がオーバ露出になることがなく、被写体全体の適正露出を得ることが可能になる。
【0040】また、被写体の一部領域と、その隣接又は周囲の領域との輝度差により、一方の領域が他方の領域の色(光反射率)の影響を受けて適正な露出が得られないことがあることも前記した通りである。そこで、測色補正値CCを、図7に示した測色補正値補正処理S17(B)において、被写体の各領域の輝度差に応じて補正する。すなわち、測色補正値補正処理(B)は、図22に示すように、定常光用測光センサ9Dの一の測光エリア、例えば、ここでは測光エリアA0の測光値Bvαと、その周囲の測光エリアここでは隣接する測光エリアA1〜A4のいずれかの測光値Bvβとの輝度差をとり、これを測光コントラスト値Bv・contとする(S251)。なお、この場合、周囲の測光エリアA1〜A4の各測光値の平均をとって、これを前記測光値Bvβとしてもよい。そして、前記測光コントラスト値Bv・contの値が「10」よりも大きいかの判定を行い(S252)、大きい場合には一の測光エリアA0の色が赤色であるかを判定する(S253)。なお、測光エリアA0の色、即ち色〔0〕が何色であるかは、図19のフローチャートにおいて既に判明している。赤色の場合には前記測色補正値CCを「0」とする(S254)。なお、前記ステップS252、S253においてそれぞれ条件を満たしていないときには前記ステップS254はパスする。次いで、今度は測光コントラスト値Bv・contの値が「12」よりも大きいかの判定を行い(S255)、大きい場合には一の測光エリアA0の色が青色であるかを判定し(S256)、青色の場合には前記測色補正値CCを「0」とする(S257)。なお、前記ステップS255、S256においてそれぞれ条件を満たしていないときには前記ステップS257はパスする。さらに、今度は、測光コントラスト値Bv・contの値が「−12」よりも小さいかの判定を行い(S258)、小さい場合には一の測光エリアA0の色が黄色であるかを判定し(S259)、黄色の場合には前記測色補正値CCを「0」とする(S260)。なお、前記ステップS258、S259においてそれぞれ条件を満たしていないときには前記ステップS260はパスする。
【0041】以上のように、一の測光エリアに対して隣接又は周囲の測光エリアの輝度が相対的に低輝度であるとき、あるいは相対的に高輝度であるとき、すなわち、コントラストの絶対値が大きく、かつ一の測光エリアが赤色、青色、黄色の場合には、その際における測色補正値CCは強制的に「0」にし、露出値測色補正処理S18において測色補正値CCによる露出値Lvdの補正を行わないようにする。なお、それ以外のときには、測色補正値CCに対する測色補正値の補正は行われず、領域測色補正値演算処理S27で得られた測色補正値CCはそのまま露出値測色補正処理S18において、露出値Lvdを補正し、最終的な露出値Lvdとする。したがって、この測色補正値補正処理によれば、被写体の一部領域と、その隣接又は周囲の領域とのコントラストが大きい場合には、測色補正値CCによる露出補正を行わないため、一方の領域が他方の領域の色(光反射率)の影響を受けて適正露出が得られないことが防止され、被写体の各部が適正露出の方向で撮影されることになる。このとき、前記したようにコントラストが大きいときに補正を行わないのは、コントラストが大きいときは、一の測光エリアと、その隣接エリアまたは周囲エリアとで被写体の色が異なっていると推定されるからである。
【0042】ここで、図22のステップS251における測光コントラスト値Bv・contの算出方法においては、例えば、測距装置8を、図4(b)のP0〜P2の3点のように複数の測距点での測距を行うマルチ測距装置として構成し、このマルチ測距装置からの測距データに基づいて複数の測距点のいずれかを選択して当該測距点に対して合焦を行うような場合には、当該合焦された測距点が含まれる測光エリアを前記一の測光エリアとし、その隣接する測光エリア又は周囲の測光エリアとの測光コントラストを算出することで、合焦された被写体の部分とその近傍ないし周囲の部分をより適正な露出で撮影することが可能になる。
【0043】また、例えば、図4(b)の測距点P0で示す、被写体を分割した中央部領域A0でのみ測色判断して、隣接領域または周囲領域との輝度差(コントラスト)を判断すれば、効果的に測色による補正の可否を決定できるので、測色領域を中央部のみとして構成することが可能になる。このとき、測色用センサは分割する必要がないため、低コストのセンサを使用できる。
【0044】なお、前記実施形態では、定常光用測光センサ9DをB,G,R用の各測光センサ9B,9G,9Rとは別に独立した測光センサとして設けているが、G用の測光センサ9Gの受光特性は540nm近傍にピークを有しており、視感度分布特性に近い定常光用測光センサ9Dの特性に近いので、図3(b)に示すように、定常光用測光センサ9DをG用の測光センサ9Gで兼用してもよい。この場合には、図7に示したゼネラルフローの処理S11〜S15については、G用の測光センサ9Gの受光出力Bvad・gをBvadに置き換えて演算を行えばよい。このように、定常光用測光センサ9DをG用の測光センサ9Gで構成することにより、測光装置を3つの測光センサで構成することが可能となり、ペンタプリズムの接眼光学系側に配置する測光センサの数を図3(a)の構成の場合に比較して1個低減することができ、コストの低減が図れるとともに、測光センサの配置スペースを低減してカメラボディの小型化が可能となる。また、この場合に図3(b)のように、G用の測光センサ9Gを定常光用測光センサ9Dと同様にペンタプリズム5の接眼光学系側の中央上部に配置することにより、G用の測光センサ9Gにおける測光感度分布を左右対称として測光精度を高いものにすることも可能である。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、撮影領域を複数の領域に分割して測光を行って被写体の露出量を決定する一方で、分割された複数の領域のうち少なくとも一つの領域を測色し、その被写体の色に基づいて露出補正量を決定し、前記測色した領域とその隣接領域または周囲領域との測光値の比較に基づいて前記決定した露出補正量を補正して最終的に露出量を決定しているので、被写体の色による反射率が露出量に与える影響を考慮した適正な露出を得ることができる。また、本発明によれば、中央部のみを測色できるような構成をとった場合にも、隣接領域や周囲領域とのコントラストを検出評価することで測色補正可否判断でき、適正露出を得ることができ、センサのコストを低減することができる。また、AF情報(合焦情報)により測距エリアが選択されるような構成のとき、測光エリアより測距エリアの数が少ない場合においても、隣接領域または周囲領域とのコントラストを判断することで測色できない領域を補って効果的な測色補正が可能になる。
【0046】さらに、本発明は、少なくとも一つの領域について被写体の測色を行い、露出補正量補正手段において、定常光測光手段の各測光エリアの測光出力のうち、最大出力と最小出力との差分をコントラスト値とし、このコントラスト値に基づいて露出補正量を補正するので、被写体のコントラストが高い場合においても、露出補正量を小さくすることで、光反射率の高い部分と低い部分のそれぞれにおいて適正に近い露出が得られた撮影が可能になる。特に、露出補正量補正手段において、一の測光エリアの測光出力と、その隣又は周囲の測光エリアの測光出力との差分をコントラスト値とし、このコントラスト値が所定の値で、かつ前記一の測光エリアが所定の色のときに前記露出補正量を零にすることで、被写体の一の領域とその隣又は周囲の領域とのコントラストが高い場合には、露出補正量を零にして、測色による露出補正を実質的に行わないようにすることで、一の領域と隣又は周囲の領域のそれぞれに対してバランスをとった適正露出に近い状態で撮影することが可能になるという効果も得られる。
【出願人】 【識別番号】000000527
【氏名又は名称】旭光学工業株式会社
【出願日】 平成12年8月8日(2000.8.8)
【代理人】 【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
【公開番号】 特開2001−305603(P2001−305603A)
【公開日】 平成13年11月2日(2001.11.2)
【出願番号】 特願2000−239413(P2000−239413)