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【発明の名称】 光学フィルムおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】川端 裕輔

【氏名】淡路 弘

【氏名】下川 稔

【氏名】田中 克幸

【要約】 【課題】溶液キャスト法による光学フィルムの製造法において、残存溶剤が少なく且つ視野角特性の良好なフィルムを生産性良く製造する。

【解決手段】支持体上にキャストした熱可塑性樹脂溶液を、該支持体上で加熱して自己支持性のフィルムとし、その後該支持体より剥離して光学フィルムを得る製造方法であって、支持体上で加熱する最高温度が、該光学フィルムを構成する樹脂組成物のガラス転移温度よりも高い温度であることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上にキャストした熱可塑性樹脂溶液を、該支持体上で加熱して自己支持性のフィルムとし、その後該支持体より剥離して光学フィルムを得る製造方法であって、支持体上で加熱する最高温度が、該光学フィルムを構成する樹脂組成物のガラス転移温度よりも高い温度であることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
【請求項2】 熱可塑性樹脂溶液の熱可塑性樹脂成分として、非晶性環状オレフィン系樹脂を用いる、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項3】 熱可塑性樹脂溶液の熱可塑性樹脂成分として、(A)側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂及び(B)側鎖に置換または非置換フェニル基とニトリル基を有する熱可塑性樹脂とを用いる、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項4】 熱可塑性樹脂溶液の溶剤成分として芳香族系炭化水素を用いる、請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項5】 熱可塑性樹脂溶液の溶剤成分として塩素系炭化水素を用いる、請求項1または3に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項6】 支持体より剥離時のフィルムの残留溶剤が3重量%以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
【請求項7】 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の方法によって製造された光学フィルムであって、フィルムの正面から測定したリターデーション値:Re(0)が、5nm以下であることを特徴とする光学フィルム。
【請求項8】 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の方法によって製造された光学フィルムであって、フィルムの正面から測定したリターデーション値:Re(0)と、フィルムの光軸に直交する方向へ角度45度傾けた方向から測定したリターデーション値:Re(45)の比:R=Re(45)/Re(0)が3以下であることを特徴とする光学フィルム。
【請求項9】 フィルムの正面から測定したリターデーション値:Re(0)が、5nm以下であることを特徴とする、請求項8に記載の光学フィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂製光学フィルムとその製造方法に関する。さらに詳しくは、透明性、低複屈折性などに優れた非晶性熱可塑性樹脂製光学フィルムとその溶液キャスト法による製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学用プラスチックフィルムには透明性の他に、用途によっては低複屈折性が求められる。複屈折はフィルムにかかる応力によって面内分子配向が起こった場合に主に発現するもので、製造方法は光学フィルムの低複屈折性を大きく左右する。また、同じ応力がかかっても、樹脂組成物によって複屈折の発現のし易さが異なるので、光学フィルムに用いる樹脂組成物によっても複屈折の程度は左右される。
【0003】まず、樹脂組成物について述べると、光学用途に用いられるプラスチックとしては、透明性に優れるために、ポリカーボネートやアクリル樹脂、環状オレフィン系樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂が使用されている。これらの中でも特に非晶性環状オレフィン系樹脂は、低複屈折や低光弾性係数あるいは低透湿度などにおいて他の樹脂より優れており興味が持たれている。また、最近、オレフィン成分と側鎖に置換または非置換イミド基を有する成分からなる熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物が、低複屈折性等の光学特性に優れることが報告されている。例えば、特開平8−231780号では、該熱可塑性樹脂とアクリロニトリル・スチレン共重合体からなる熱可塑性樹脂組成物を光学部品として用いることが示されている。
【0004】次に製造方法に関して述べると、上記の非晶性熱可塑性樹脂を光学用途、特に光学フィルムに成形する製造方法の一つに溶液キャスト法(溶液流延法)があり、溶液キャスト法で製造された光学フィルムは、光学等方性、厚み均一性、表面性などに優れ、特に液晶ディスプレイなどの分野では多用されており、例えば特開昭62−229205号、特開平4−301415号、特開平6−51117号にも記載されている。溶液キャスト法を簡単に説明すると、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解して得られる熱可塑性樹脂溶液から不溶物や溶存気体などを除去した後、支持体上にキャストし、乾燥、剥離してフィルムを得る方法である。
【0005】溶液キャスト法では樹脂の溶解のために溶剤を用いるが、製品フィルム中に多量の溶剤が残留すると製品フィルムに加工を施す際の熱によって溶剤が放出されたり寸法収縮を起こすなどの不具合が生じる。従って、残留溶剤を少なく抑えることは溶液キャスト法では重要である。
【0006】熱可塑性樹脂溶液を支持体上にキャストし、それを乾燥する溶液キャスト法の場合、樹脂溶液中の溶剤の蒸発乾燥がある程度以上進むと、樹脂溶液は自己支持性のフィルムに変化し、以降の乾燥による溶剤の蒸発はフィルムに収縮力を生じせしめる。その際、フィルムが支持体に貼り付いた状態、即ちフィルムの動きが拘束された状態であると面内分子配向が生じ、複屈折の大きいフィルムになる。
【0007】フィルムの収縮力によって面内分子配向が起こらないようにするためには、樹脂溶液が自己支持性のフィルムに変化して剥離が可能になった時点で、支持体からフィルムを剥がし取り、以降の乾燥を行う方法が採られる(例えば、特開平7−256664号、特開平7−299828号、特開平9−230316号等)。ところが、支持体から剥がし取ったあとのフィルムの乾燥は、フィルムの変形や切断が発生するため「フィルムの見かけのTg」以下の温度で行わなければならず、生産性向上の阻害要因となる。なお、ここで言う「フィルムの見かけのTg」とは、溶剤を含んだフィルムのTgを指し、残留溶剤量が多いほど「フィルムの見かけのTg」は樹脂本来のTgより低くなる。
【0008】一方、特開平4−301415号には、溶液キャスト法で沸点が100℃以上の溶剤を用い、100℃以下の温度で残留溶剤が10重量%以下まで乾燥を行い(第一工程)、更に第二工程では110℃以上の温度で残留溶剤が0.5重量%以下になるまで加熱する熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂シートの製造方法が開示されているが、その実施例に記載された第二工程で加熱する最高温度は、いずれも[Tg−13℃]〜[Tg](ここでTgは樹脂シートを構成する熱可塑性飽和ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度をさす)の範囲であり、Tgを越える温度で加熱した例は示されていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上の通り、キャスト法で光学フィルムを製造する場合の課題は、残留溶剤が少なく且つ低複屈折のフィルムを生産性良く製造することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題を解決すべく光学フィルムの製造方法を検討した結果、特定の乾燥方法を用いることにより、上記課題を解決できることを見いだした。
【0011】すなわち、本発明は、支持体上にキャストした熱可塑性樹脂溶液を、該支持体上で加熱して自己支持性のフィルムとし、その後該支持体より剥離して光学フィルムを得る製造方法であって、支持体上で加熱する最高温度が、該光学フィルムを構成する樹脂組成物のガラス転移温度よりも高い温度であることを特徴とする光学フィルムの製造方法に関する。
【0012】ここで、用いる熱可塑性樹脂溶液の熱可塑性樹脂成分としては、非晶性環状オレフィン系樹脂が好ましく、(A)側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂及び(B)側鎖に置換または非置換フェニル基とニトリル基を有する熱可塑性樹脂も好ましい。
【0013】またここで、用いる熱可塑性樹脂溶液の溶剤成分としては、芳香族系炭化水素が好ましく、塩素系炭化水素も好ましい。
【0014】そして、上記の製造方法において、支持体より剥離時のフィルムの残留溶剤は、3重量%以下が好ましい。
【0015】さらに、本発明の製造方法は、フィルムの正面から測定したリターデーション値:Re(0)が、5nm以下であることを特徴とする光学フィルムを提供する。
【0016】さらに、また、本発明の製造方法は、フィルムの正面から測定したリターデーション値:Re(0)と、フィルムの光軸に直交する方向へ角度45度傾けた方向から測定したリターデーション値:Re(45)の比:R=Re(45)/Re(0)が3以下であることを特徴とする光学フィルムを提供し、本光学フィルムの正面から測定したリターデーション値:Re(0)は、好ましくは5nm以下である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明で使用する熱可塑性樹脂溶液の熱可塑性樹脂成分としては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、(A)側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂、および(B)側鎖に置換または非置換フェニル基とニトリル基を有する熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0018】これらの中で、環状オレフィン系樹脂は、低複屈折や低光弾性係数、低透湿度などの点において優れ好ましく、また、(A)側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂、および(B)側鎖に置換または非置換フェニル基とニトリル基を有する熱可塑性樹脂のブレンド樹脂は、低複屈折性等の光学特性に優れ好ましい。
【0019】好ましい環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネン基礎構造を有する環状オレフィン、特に好ましくはノルボルネンまたはテトラシクロドデセン又はこれらから誘導される構造を有する環状オレフィンと、末端二重結合を有する非環状オレフィン、例えばα−オレフィン、特に好ましくはエチレンまたはプロピレンとからなる。これらの中でも、ノルボルネン/エチレン、ノルボルネン/プロピレン、テトラシクロドデセン/エチレン、及びテトラシクロドデセン/プロピレンのコポリマーが特に好ましい。これら環状オレフィン類は、置換基としてエステル基やニトリル基などの極性置換基を有していてもかまわない。本発明では、環状オレフィン系樹脂には、三井石油化学工業製の「APEL」、日本ゼオン製の「ZEONOR」、JSR製の「ARTON」、ヘキスト・アクチエンゲゼルシャフト(ドイツ国)製の「TOPAS」 といった市販品を用いることもできる。また、これらの樹脂は単独で用いても良く、混合して用いてもよい。
【0020】また、(A)側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂とは、好ましくは、少なくとも1種のオレフィン(アルケン)から誘導される繰り返し単位と少なくとも1種の置換あるいは非置換マレイミド構造を有する繰り返し単位とを含有する共重合体(二元もしくはそれ以上の多元共重合体)である。特に好ましくは、熱可塑性樹脂(A)は、下記式(1)で表される繰り返し単位と下記式(2)で表される繰り返し単位を含有する。
【0021】
【化1】

【0022】(ここで、R1 、R2 およびR3 は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
【0023】
【化2】

【0024】(ここで、Rは、水素、炭素数1〜18のアルキル基、または炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。)
式(1)の繰り返し単位(オレフィン単位)を提供するオレフィンは、下記式(3):【0025】
【化3】

【0026】(ここで、R1 、R2 およびR3 は、式(1)に同じ。)で表される。そのようなオレフィンの好ましい例を挙げると、イソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン、2−メチル−1−ヘプテン、1−イソオクテン、2−メチル−1−オクテン、2−エチル−1−ペンテン、2−エチル−2−ブテン、2−メチル−2−ペンテン、2−メチル−2−ヘキセン等である。これらオレフィンは、単独で、あるいは2種以上組合せて用いることができる。
【0027】上記式(2)の繰り返し単位(マレイミド単位)は、対応するマレイミド化合物から誘導することができる。そのようなマレイミド化合物は、下記式(4):【0028】
【化4】

【0029】(ここで、Rは、式(2)に同じ。)で表される。そのようなマレイミド化合物の好ましい例を挙げると、マレイミド、並びにN−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−n−ヘプチルマレイミド、N−n−オクチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ステアリルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロペンチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−シクロヘプチルマレイミド、N−シクロオクチルマレイミド等のN−置換マレイミドである。これらマレイミド化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。マレイミド化合物としては、N−置換マレイミド(式(4)において、Rが水素以外の基)が特に好ましい。
【0030】熱可塑性樹脂(A)は、上記オレフィンとマレイミド化合物とをそれ自体既知の重合方法により重合させることにより製造することができる。この重合には、グラフト重合も含まれる。あるいは、熱可塑性樹脂(A)は、上記オレフィンと無水マレイン酸とを常法に従って重合させて前駆重合体を製造し、これにアミン化合物を反応させて前駆重合体の無水マレイン酸部位をイミド化させることによっても製造することができる。その場合に使用するアミン化合物としては、上記式(2)のマレイミド単位におけるイミド部位に対応するアミンが含まれ、より具体的には、式 R−NH2 (ただし、Rは、式(2)に同じ。)で表されるアミン化合物、例えばメチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、s−ブチルアミン、t−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等のアルキルアミンやアンモニアの他、ジメチル尿素、ジエチル尿素等を好ましく例示することができる。この場合にも、上記式(1)の繰り返し単位と式(2)の繰り返し単位を有する共重合体が得られる。
【0031】熱可塑性樹脂(A)は、上記オレフィン単位とマレイミド単位以外に、第3成分として、他の共重合性単量体を1種以上含有することができる。そのような共重合性単量体には、アクリル酸メチルやアクリル酸ブチルのようなアクリル酸エステル単量体、メタクリル酸メチルやメタクリル酸シクロヘキシルのようなメタクリル酸エステル単量体、酢酸ビニル等のビニルエステル単量体、メチルビニルエーテルのようなビニルエーテル単量体等のビニル単量体、並びに無水マレイン酸のような不飽和二重結合を有する酸無水物等が含まれる。これら第3成分は、2種以上を組み合わせて用いることができる。第3成分を光学的特性を損なわない程度に含有させることにより、熱可塑性樹脂(A)の耐熱性を向上させたり、機械的強度を増大させたりすることができる。
【0032】熱可塑性樹脂(A)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体のいずれであってもよいが、交互共重合体であることが好ましい。熱可塑性樹脂(A)は、より好ましくは、マレイミド単位として、式(2)におけるRがメチル基、エチル基、イソプロピル基およびシクロヘキシル基から選ばれたアルキル基である少なくとも1種のマレイミド単位を含有し、オレフィン単位として、式(1)におけるR1 が水素であり、R2 およびR3 がそれぞれメチル基である少なくとも1種のオレフィン単位を含有する共重合体である。さらに好ましくは、熱可塑性樹脂(A)は、マレイミド単位としてN−メチルマレイミド単位を含有し、オレフィン単位としてイソブチレン単位を含有する。熱可塑性樹脂(A)は、N−置換マレイミドとイソブテンとの交互共重合体であることが特に好ましい。
【0033】熱可塑性樹脂(A)において、マレイミド単位の含有率は、30モル%以上80モル%未満であることが好ましい。マレイミド単位の含有率がこの範囲を逸脱すると、得られるフィルムの耐熱性や機械的強度が損なわれるおそれがある。マレイミド単位の含有率は、より好ましくは、40モル%以上60モル%以下である。第3成分は、これを添加する場合には、その含有率が5モル%以上30モル%以下であることが好ましい。熱可塑性樹脂(A)の残りは、オレフィン単位である。熱可塑性樹脂(A)は、マレイミド単位とオレフィン単位とを主成分(好ましくは、マレイミド単位とオレフィン単位との合計が、熱可塑性樹脂(A)の70モル%以上)として含むことが特に好ましい。また、熱可塑性樹脂(A)は、1×104 以上5×105 以下の重量平均分子量を有することが好ましい。
【0034】さらに、熱可塑性樹脂(A)は、ガラス転移温度が好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは130℃以上であるような耐熱性を示すことが好ましい。
【0035】オレフィン−マレイミド共重合体は、既述のようにそれ自体既知の方法で製造することができ、例えば特開平5−59193号公報、特開平5−195801号公報、特開平6−136058号公報および特開平9−328523号公報に記載されているように、オレフィンとマレイミド化合物とを直接共重合させたり、その一方の重合体に他方をグラフト共重合したり、あるいは前述した前駆重合体に対してアミン化合物を反応させてイミド結合を導入することによって製造することができる。
【0036】次に、本発明に用いられる熱可塑性樹脂(B)は、好ましくは、不飽和ニトリル化合物から誘導される繰り返し単位(ニトリル単位)とスチレン系化合物から誘導される繰り返し単位(スチレン系単位)とを含む共重合体(二元もしくは以上の多元共重合体)である。
【0037】上記の好ましい熱可塑性樹脂(B)を構成する不飽和ニトリル化合物の好ましい例を挙げると、アクリロニトリルやメタクリロニトリルのようなα−置換不飽和ニトリル、フマロニトリルのようなα,β−二置換オレフィン性不飽和結合を有するニトリル化合物である。
【0038】上記の好ましい熱可塑性樹脂(B)を構成するスチレン系化合物としては、スチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレンまたはクロロスチレン等の非置換または置換スチレン系化合物や、α−メチルスチレン等のα−置換スチレン系化合物を用いることができる。
【0039】熱可塑性樹脂(B)は、上記ニトリル単位とスチレン系単位以外に、第3成分として、他の共重合性単量体を含有していてもかまわない。そのような第3成分には、好ましくは、ブチルアクリレート等のアクリル系単量体、エチレンやプロピレン等のオレフィン系単量体が含まれ、これら単量体を1種または2種以上を共重合させることにより、得られたフィルムの可撓性を向上させることができる。また、第3成分としては、N−置換マレイミドを用いることもでき、このN−置換マレイミド、特にフェニルマレイミドを共重合成分として用いることにより、当該共重合体の耐熱性を向上させることができる。
【0040】熱可塑性樹脂(B)は、これら単量体を直接共重合させることにより得られるが、スチレン系化合物の重合体および不飽和ニトリル化合物の重合体の一方に、他方をグラフト共重合させてもよい。また、ゴム弾性を有するアクリル系重合体にスチレン系化合物および不飽和ニトリル系化合物をグラフト重合させることにより好ましい共重合体を得ることができる。特に好ましい熱可塑性共重合体は、不飽和ニトリル成分としてアクリロニトリルを含有し、スチレン系成分としてスチレンを含有する共重合体である。これら共重合体はAS樹脂やAAS樹脂として知られている。
【0041】熱可塑性樹脂(B)において、不飽和ニトリル単位とスチレン系単位の比率は、好ましくは、前者が20〜50重量%であり、後者が50〜80重量%であり、より好ましくは、前者が25〜35重量%であり、後者が65〜75重量%である。特に、前者が25〜30重量%で、後者が70〜75重量%の場合は更に好ましい結果を与える。スチレン系化合物やニトリル系化合物の成分がこの範囲を超えると、(A)の熱可塑性樹脂との相溶性が乏しくなり、透明性に優れたフィルムを得ることができないおそれがある。第3成分は、これを添加する場合は、熱可塑性樹脂(B)中の含有率は5重量%以上、30重量%以下であることが好ましい。の熱可塑性樹脂(B)は、不飽和ニトリル単位とスチレン系単位とを主成分(好ましくは、不飽和ニトリル単位とスチレン系単位との合計が、熱可塑性樹脂(B)の70重量%以上)として含むことが特に好ましい。また、熱可塑性樹脂(B)は、1×104 以上5×105以下の重量平均分子量を有することが好ましい。
【0042】本発明で使用する溶剤は、熱可塑性樹脂を溶解する溶媒であれば、特に制限なく使用できるが、溶媒の沸点(bp)が、後述する樹脂のTgから決定する加熱温度(Th)に対し、Th−80<bp<Th+50が好ましい。Th−80以下の沸点の溶媒を用いれば、乾燥工程の途中で発泡しやすく、フィルム外観が不良になりやすいという課題が生じる可能性があるので、発泡を抑制するために、穏やかな乾燥条件の採用等で対応するなど必要が生じる。また、Th+50以上の沸点の溶媒を用いれば、フィルム中の残存溶媒量が低減しにくいという課題が生じる可能性がある。また、溶媒の沸点は、Th−60<bp<Th+30がさらに好ましく、Th−40<bp<Th+20が特に好ましい。
【0043】特に、環状オレフィン系樹脂を使用する際の溶剤の具体例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の直鎖状脂肪族系炭化水素類、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、などの環状脂肪族系炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロアルカン類、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサンなどの環状エーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、シクロヘキサノンなどの環状ケトン類、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼンなどの芳香族系炭化水素類、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン含有芳香族系炭化水素類が用いられる。これらのうち、シクロヘキサン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどが樹脂の溶解性と樹脂溶液の安定性の面から特に好ましい。これらの溶剤は単独で用いても良く、混合して用いてもよい。また、混合溶剤系の好ましい具体例としては、低沸点溶剤と高沸点溶剤の組み合わせが好ましく、高沸点溶剤として1種または2種以上の芳香族系炭化水素類を用い、低沸点溶剤として1種または2種以上の脂肪族系炭化水素類との組み合わせが特に好ましい混合溶剤である。更に具体的に好ましい混合溶剤を例示すると、芳香族系炭化水素類としてキシレンやトルエン、脂肪族系炭化水素類として、ペンタン、ヘキサン、シクロペンタンやシクロヘキサンを用いる事が好ましい。好ましい混合比としては、脂肪族系炭化水素類を50重量%以下、好ましくは35重量%以下であり、芳香族系炭化水素類が50%以上、好ましくは65重量%以上である。脂肪族系炭化水素を50重量%以上用いると、乾燥工程で発泡しやすくなり、表面性と外観に優れたフィルムを得にくくなる。
【0044】さらに、(A)側鎖に置換または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂、および(B)側鎖に置換または非置換フェニル基とニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物を使用する際の溶剤は、樹脂組成物(樹脂(A)および(B))の種類に応じて、公知の溶剤から選択される。その具体例としては、塩化メチレンやトリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶剤は樹脂材料を溶解しやすく、また沸点も低いため好適な溶剤の一つである。また、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド等の極性の高い非ハロゲン系の溶剤も用いることができる。さらに、トルエン、キシレンやアニソール等の芳香族系や、ジオキサン、ジオキソラン、テトラヒドロフランやピラン等の環状エーテル系、メチルエチルケトン等のケトン系の溶剤も使用可能である。これら溶剤は相互に混合して用いることもでき、また、アルコール等の非溶剤を混合して、溶剤の蒸発速度を制御することも、表面性の優れたフィルムを得るためには好ましい方法である。
【0045】本発明では、熱可塑性樹脂溶液中の固形分の濃度としては、5重量%から50重量%、好ましくは10重量%から40重量%が用いられる。樹脂の濃度が、5重量%より低い場合は、フィルムの表面性が低下し、50重量%より高い場合は、熱可塑性樹脂溶液のキャストが困難になる。
【0046】本発明では、熱可塑性樹脂を溶剤に溶解する方法は特に制限はなく、例えば樹脂を溶剤に一度に、または少しずつ添加し、撹拌することにより、樹脂溶液を得ることができる。
【0047】本発明では、樹脂溶液をキャストする方法は特に制限はなく、一般的な溶液キャスト法で用いられている方法を利用できる。具体例としては、バーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターナイフ、ワイヤ・バー、ロール・コート、ダイ・コート、コンマコーター、リップコーターなどを用いて、支持体上にキャストすることができる。
【0048】本発明で使用する支持体は特に制限はないが連続支持体が好ましい。材質的には金属支持体やプラスチック支持体を用いることができる。金属支持体の具体例としては、ステンレス、鉄、アルミニウム等の金属や、金属表面をクロムメッキしたものや、鏡面仕上げしたものが挙げられる。プラスチック支持体の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などや、化学的な表面処理を施したポリエチレンテレフタレートなども使用できる。樹脂溶液はエンドレスベルト状や長尺の連続したフィルム状のこれらの支持体上にキャストされる。好ましいプラスチック支持体の厚みとしては、10〜500μm、好ましくは20〜300μm、より好ましくは35μm〜100μmの範囲が用いられる。10μmより薄い場合は樹脂溶液の荷重に耐えることができずに、フィルムが垂れるという問題があり、500μmより厚い場合は熱伝導率が悪くなったり、巻き取りに適さなくなる。
【0049】本発明では、支持体上にキャストした熱可塑性樹脂溶液を支持体から剥離せずに樹脂のTgを越える温度に支持体とともに加熱する乾燥工程を必須とする。加熱温度(Th)はTg+5℃以上が好ましく、より好ましくはTg+12℃以上、特にTg+20℃以上が好ましい。ここでいう樹脂のTgとは、最終的に得られる光学フィルムを構成する樹脂組成物のTgをいい、光学フィルムが溶剤を含んでいる場合にはTgの測定値(見かけのTg)が低くなるので、溶剤を含まない光学フィルムが得られない場合には、使用する樹脂組成物を別途溶融混練によって調製して測定すれば良い。
【0050】乾燥工程としては、一工程でも可能であり、また、それ以上の工程に分けることも可能である。例えば、乾燥炉中での温度分布の設定が可能であれば、支持体上にキャストした樹脂溶液を乾燥炉に投入し、投入直後の温度は樹脂のTgより低い温度で加熱し、フィルムの発泡を抑制し、かつ大部分の溶剤を除去したのちに、徐々に温度を上昇させて、最終的には樹脂のTgより高い温度で加熱することにより、フィルム中の残留溶剤量を可能な限り減少させることが可能になる。一方、支持体上にキャストした樹脂溶液を樹脂のTgより低い温度で加熱し、フィルムの発泡を抑制し、かつ大部分の溶剤を除去して支持体とともに巻き取る工程と、この巻き取られたフィルムを支持体とともに再度繰り出して、乾燥炉に投入し、樹脂のTgより高い温度で乾燥し、フィルム中の残留溶剤量を可能な限り減少させる工程、の二工程とすることも可能である。
【0051】本発明では、フィルム中の残留溶剤量は乾燥時間や温度により調整できるが、残留溶剤量が多ければ、フィルムの見かけのTgの低下や熱収縮、さらに長期間の使用に際する変形などが起こりうるので、一般的には、3重量%以下、好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下とする。
【0052】本発明では、キャストした樹脂溶液を支持体とともに加熱乾燥するので、樹脂のTg以上の温度に加熱してもフィルムの変形や切断が起こらず、残留溶剤量の低下に要する時間も短い。
【0053】本発明では、フィルムの膜厚は用途に応じて選択することができる。一般的には、10〜500μm、好ましくは20〜300μm、より好ましくは30〜100μmの範囲が用いられる。
【0054】本発明の製造方法により得られる光学フィルムは、樹脂のTgを越える温度で加熱乾燥するので、キャストした樹脂溶液が乾燥する途中の過程で生じた分子の面内配向が最終的には緩和され、得られたフィルムのリターデーション値は小さい。本発明によれば、5nm以下、より好ましくは3nm以下の低リターデーションのフィルムが得られるとともに、その視野角依存性も小さい。通常、視野角特性は、フィルムの正面から測定したリターデーション値:Re(0)と、フィルム光軸に直行する方向へ角度45度傾けた方向から測定した値Re(45)の比:R=Re(45)/Re(0)により評価することができる。表示装置などに応用した場合、斜めから見た場合も低いリターデーションを示すため、本発明にかかる光学フィルムの用途ではRが3以下が好ましく、更にRが1に近いほど好ましくなる。本発明方法により得られたフイルムは、Re(0)が5nm以下、好ましくは3nm以下であり、かつ、Rが3以下、より好ましくは1.5以下を示し、リターデーションの視野角特性が小さいフィルムを得ることができる。
【0055】本発明の製造方法により得られる光学フィルムは、種々の用途に使用可能であるが、優れた透明性、低複屈折性などを利用して、偏光子保護フィルムやプラスチック液晶セルやタッチパネル用の透明導電フィルムなどの液晶表示素子などに使用可能である。さらに延伸することにより、位相差フィルムにも使用可能である。
【0056】
【実施例】以下、本発明を実施例にて具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0057】フィルムの各物性値は以下のようにして測定した。
■厚み:フィルムから10mm×150mmのサイズでMD、TD方向それぞれ5枚の試験片を切り出した。温度23℃±2℃、湿度50%±5%において、各試験片の5ヶ所をミツトヨ製デジマティックインジケーターを用いて測定し、その平均値をフィルムの厚みとした。
■残留溶剤量(W):フィルムから100mm×100mmのサイズで試験片を切り出し、秤量した(W1)。このフィルムを200℃の乾燥機に1時間投入した後に再度秤量した(W2)。これらより、以下の式により、求めた。
W=(( W1― W2)/W1)×100■位相差:王子計測機器製KOBRA−21ADを用いて、温度23℃±2℃、湿度50%±5%において、波長515nm、入射角0°で測定し、これをRe(0)とした。
■位相差の視野角特性:■と同様にして、光軸と直行する方向へ角度45度傾斜させて(入射角45度)位相差を測定し、これをRe(45)とした。■で得られた値(Re(0))を用い、R=Re(45)/Re(0)を計算した。
■ガラス転移温度(Tg):島津製作所製の示差走査熱量計(DSC−50)を用いて、窒素雰囲気下で昇温速度20℃/分で測定した。
【0058】実施例1非晶性環状オレフィン系樹脂(三井化学製APEL6013:Tg=128℃)のクロロベンゼン溶液(樹脂濃度=22重量%)を調製して樹脂溶液(ドープ)とした。ドープを濾過して不溶分を除去した後、コンマコーターを有するキャスト装置を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人製テトロンHS:厚み50μm)上にキャストした。この支持体上のドープを100℃に調整した乾燥炉に投入し、2.0分/mの移動速度で6分間乾燥(第一工程)後、支持体とともにロール状に巻き取った。ロールよりフィルムの一部を剥がし取り残留溶剤量を測定したところ15.1重量%であった。さらに、このロールを繰り出して、支持体とともに150℃に調整した乾燥炉に投入し、1.0分/mの移動速度で12分間乾燥(第二工程)後、フィルムを支持体から剥離して巻き取った。巻き取ったフィルムの残留溶剤量を測定したところ1.1重量%であった。得られたフィルムの膜厚は54μmで、Re(0)は0.5nm、Re(45)は0.7nmで、視野角特性:Rは1.4と良好な値であった。
【0059】実施例2溶剤をトルエン/シクロヘキサン=2/1重量比とした以外は実施例1と同様にして透明フィルムを得た。第一工程、第二工程通過後のそれぞれの残留溶剤量は16.2重量%、1.0重量%であった。得られたフィルムの膜厚は60μmで、Re(0)は0.5nm、Re(45)は0.7nmで、視野角特性:Rは1.4と良好な値であった。
【0060】実施例3溶剤をキシレン/トルエン/シクロヘキサン=1/1/1重量比とした以外は実施例1と同様にして透明フィルムを得た。第一工程、第二工程通過後のそれぞれの残留溶剤量は15.6重量%、0.8重量%であった。得られたフィルムの膜厚は58μmで、Re(0)は0.4nm、Re(45)は0.6nmで、視野角特性:Rは1.5と良好な値であった。
【0061】実施例4支持体であるポリエチレンテレフタレートフィルムの膜厚が厚み38μmであること以外は実施例3と同様にして透明フィルムを得た。第一工程、第二工程通過後のそれぞれの残留溶剤量は13.8重量%、0.6重量%であった。得られたフィルムの膜厚は51μmで、Re(0)は0.5nm、Re(45)は0.7nmで、視野角特性:Rは1.4と良好な値であった。
【0062】実施例5非晶性環状オレフィン系樹脂を三井化学製APEL6015(Tg=146℃)とした以外は実施例1と同様にしてドープを、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にキャストした。その後、独立して温度制御可能な6室からなる、フローティング方式の乾燥炉を用いて、各室を60℃/100℃/100℃/130℃/150℃/160℃として1分/mの速度で25分間乾燥を行った後、支持体を剥離し、残留溶剤量が1.5重量%の透明フィルムを得た。得られたフィルムの膜厚は55μmで、Re(0)は0.7nm、Re(45)は1.3nmで、視野角特性:Rは1.9であった。
【0063】実施例6非晶性環状オレフィン系樹脂を日本ゼオン製のZEONOR1420R(Tg=142℃)とした以外は実施例3と同様にして透明フィルムを得た。第一工程、第二工程通過後のそれぞれの残留溶剤量は15.3重量%、0.9重量%であった。得られたフィルムの膜厚は63μmで、Re(0)は0.6nm、Re(45)は0.8nmで、視野角特性:Rは1.3と良好な値であった。
【0064】実施例7非晶性環状オレフィン系樹脂をJSR製のARTON G(Tg=174℃)とし、支持体を帝人製テオネックスフィルムQ51(厚み:125μm)乾燥温度、を第一工程は100℃、第二工程は180℃とした以外は実施例3と同様にして透明フィルムを得た。第一工程、第二工程通過後のそれぞれの残留溶剤量は18.1重量%、1.9重量%であった。得られたフィルムの膜厚は65μmで、Re(0)は0.3nm、Re(45)は0.6nmで、視野角特性:Rは2.0であった。
【0065】実施例8イソブテンとN−メチルマレイミドから成る交互共重合体(N−メチルマレイミド含量50モル%)75重量部と、アクリロニトリルの含量が25重量%であるアクリロニトリル・スチレン共重合体25重量部(樹脂組成物のTgは138℃)の塩化メチレン溶液(樹脂濃度=20重量%)を調製してドープとした。
【0066】ドープを濾過して不溶分を除去した後、コンマコーターを有するキャスト装置を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人製テトロンHS:厚み50μm)上にキャストした。この支持体上のドープを独立して温度制御可能な6室からなる、フローティング方式の乾燥炉を用いて、40℃/60℃/80℃/100℃/120℃/150℃として、1分/mの移動速度でそれぞれの温度で25分間乾燥後、支持体を剥離し、残留溶剤量が1.4重量%の透明フィルムを得た。得られたフィルムの膜厚は62μmで、Re(0)は0.8nm、Re(45)は1.0nmで、視野角特性:Rは1.3と良好な値であった。
【0067】比較例1実施例1で記載した同様の方法でドープを調製し、キャストした。この支持体上のドープを100℃に調整した乾燥炉に投入し、2.0分/mの移動速度で6分間乾燥(第一工程)後、ロール状に巻き取った。ロールよりフィルムの一部を剥がし取り残留溶剤量を測定したところ15.2重量%であった。さらに、このロールを繰り出す際に、支持体を剥離しながらフィルムのみを150℃の乾燥炉に投入すると、乾燥炉の中でフィルムが切断して、製品とすることができなかった。
【0068】比較例2実施例1で記載した同様の方法でドープを調製し、キャストした。この支持体上のドープを100℃に調整した乾燥炉に投入し、2.0分/mの移動速度で6分間乾燥(第一工程)後、ロール状に巻き取った。ロールよりフィルムの一部を剥がし取り残留溶剤量を測定したところ15.4重量%であった。さらに、このロールを繰り出して、支持体とともに125℃に調整した乾燥炉に投入し、1.0分/mの移動速度で12分間乾燥(第二工程)後、フィルムを支持体から剥離して巻き取った。巻き取ったフィルムの残留溶剤量を測定したところ3.8重量%であった。得られたフィルムの膜厚は58μmで、Re(0)は3.8nm、Re(45)は15.1nmで、視野角特性:Rは4.0であった。
【0069】比較例3実施例1で記載した同様の方法でドープを調製し、キャストした。この支持体上のドープを100℃に調整した乾燥炉に投入し、2.0分/mの移動速度で6分間乾燥(第一工程)後、ロール状に巻き取った。ロールよりフィルムの一部を剥がし取り残留溶剤量を測定したところ15.6重量%であった。さらに、このロールを繰り出して、支持体を剥離しながら、3室を独立に温度制御可能な懸垂型乾燥炉を用い、各室を60℃/75℃/95℃に保ち、1.0分/mの移動速度で24分間乾燥(第二工程)後、巻き取った。巻き取ったフィルムの残留溶剤量を測定したところ4.1重量%であった。得られたフィルムの膜厚は58μmで、Re(0)は2.5nm、Re(45)は8.3nmで、視野角特性:Rは3.3であった。
【0070】以上の実施例の結果を表1に、比較例の結果を表2にまとめた。
【0071】
【表1】

【0072】
【表2】

【0073】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、透明性、表面性、低複屈折性を有する非晶性熱可塑性樹脂の光学フィルムを製造可能である。
【出願人】 【識別番号】000000941
【氏名又は名称】鐘淵化学工業株式会社
【出願日】 平成12年6月19日(2000.6.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−194532(P2001−194532A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−183422(P2000−183422)