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【発明の名称】 接着剤層付偏光板
【発明者】 【氏名】富永 俊彦

【氏名】能木 直安

【要約】 【課題】基材に積層して高温下で長期間に亙り使用しても、全面に亙ってクロスニコルの直線偏光光を十分に遮蔽することができる接着剤層付偏光板を提供する。

【解決手段】セルロース樹脂層(1)の一方の面に直線偏光子層(2)が積層され、他方の面にシリコーン感圧接着剤層(3)が設けられてなることを特徴とする接着剤層付偏光板(4)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】セルロース樹脂層の一方の面に直線偏光子層が積層され、他方の面にシリコーン感圧接着剤層が設けられてなることを特徴とする接着剤層付偏光板。
【請求項2】セルロース樹脂層がセルロース樹脂フィルムの単層体または多層体からなる請求項1に記載の接着剤層付偏光板。
【請求項3】シリコーン感圧接着剤層の厚みが10μm以上100μm以下である請求項1に記載の接着剤層付偏光板。
【請求項4】直線偏光子層、セルロース樹脂層および透明基材がこの順に積層されてなり、セルロース樹脂層と透明基材とはシリコーン感圧接着剤層を介して積層されてなることを特徴とする光学部品。
【請求項5】直線偏光子層、セルロース樹脂層および位相差層がこの順に積層されてなり、セルロース樹脂層と位相差層とはシリコーン感圧接着剤層を介して積層されてなることを特徴とする複合偏光板。
【請求項6】直線偏光子層、セルロース樹脂層および液晶セルがこの順に積層されてなり、セルロース樹脂層と液晶セルとはシリコーン感圧接着剤層を介して積層されてなることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、接着剤層付偏光板に関する。
【0002】
【従来の技術】偏光板は、液晶表示装置などを構成する光学部品の一つとして有用であり、例えばセルロース樹脂層の一方の面に直線偏光子層が積層された偏光板は広く使用されている。かかる偏光板は、セルロース樹脂層側にアクリル感圧接着剤などからなる接着剤層が設けられた接着剤層付偏光板として用いられており、該接着剤層を介して透明基板などに積層されて光学部品として用いられている。
【0003】しかし、かかる接着剤層付偏光板が透明基材に積層された光学部品は、長時間に亙り高温下に置くと、その周辺部にクロスニコルの直線偏光光を十分に吸収することなく透過してしまう領域が生ずる、所謂「白抜け」と呼ばれる現象が発生することがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、基板に積層して高温下で長期間に亙り使用しても、全面に亙ってクロスニコルの直線偏光光を十分に遮蔽することができる接着剤層付偏光板を開発するべく鋭意検討した結果、接着剤層としてシリコーン接着剤層を設けた接着剤層付偏光板は、これを透明基材に積層した状態で高温下で長期間に亙り使用しても、全面に亙ってクロスニコルの直線偏光光を十分に吸収することなく透過してしまう領域が生ずる、所謂「白抜け」が発生し難い光学部品を与え得ることを見出し、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、セルロース樹脂層(1)の一方の面に直線偏光子層(2)が積層され、他方の面にシリコーン感圧接着剤層(3)が設けられてなることを特徴とする接着剤層付偏光板(4)を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の接着剤層付偏光板(4)の一例を図1に示す。本発明の接着剤層付偏光板に適用されるセルロース樹脂層(1)は、通常の偏光板に用いられると同様に、例えばトリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースなどのセルロース樹脂からなる層である。
【0007】セルロース樹脂層は、セルロース樹脂フィルムの単層体からなる層であってもよいし、多層体からなる層であってもよい。多層体である場合には、通常、2以上のセルロース樹脂フィルムが互いに接着剤層を介して積層されている。該接着剤層は、透明で光学的に等方性の接着剤からなる層であればよく、例えばアクリル感圧接着剤、ウレタン感圧接着剤、シリコーン感圧接着剤などの感圧接着剤(粘着剤)、ポリビニルアルコール系接着剤などの水溶性接着剤などの接着剤からなる層が挙げられる。かかる接着剤層の厚みは通常10〜100μm程度である。
【0008】セルロース樹脂フィルムは、その表面にコレステリック液晶、ネマチック液晶、ディスコチック液晶などの液晶からなる層が設けられていてもよい。かかる液晶からなる層が表面に設けられたセルロース樹脂フィルムは、例えばTN(Twisted Nematic、ツイステッド・ネマチック)型液晶表示装置を斜め方向から見た場合の画像の表示品質を向上することなどを目的として用いられるものである。かかる液晶からなる層が表面に設けられたセルロース樹脂フィルムとしては、例えば「WVフィルム」(富士写真フィルム(株))、「NHフィルム」(日本石油化学(株))などが市販されている。セルロース樹脂層の厚みは通常、50〜200μm程度であり、セルロース樹脂フィルムの多層体からなる場合、セルロース樹脂フィルム単独の厚みは通常50〜100μm程度である。
【0009】かかるセルロース樹脂層の一方の面には直線偏光子層(2)が積層されている。直線偏光子層とは、その吸収軸に対して平行な振動面を有する直線偏光光(クロスニコルの直線偏光光)は吸収し、直交する振動面を有する直線偏光光は透過する機能を有する光学素子からなる層であって、例えば二色性色素が吸着配向されたポリビニルアルコール樹脂フィルムなどにより構成される層などが挙げられる。二色性色素としては、例えばヨウ素、二色性染料などが挙げられる。
【0010】ポリビニルアルコール樹脂フィルムを構成するポリビニルアルコール樹脂とは、例えばポリ酢酸ビニル樹脂などをケン化して得られる樹脂であり、ポリ酢酸ビニル樹脂としては、例えばポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルおよびこれと共重合可能な単量体の共重合体などが挙げられる。ケン化度はモル比で通常80〜100%、好ましくは98〜100%である。重合度は通常1500〜5000程度である。かかる直線偏光子層の厚みは通常10〜50μm程度である。
【0011】セルロース樹脂層(1)と直線偏光子層(2)とは、通常、接着剤層(図示せず。)を介して積層され、該接着剤層としては、例えばポリビニルアルコール系水溶性接着剤などの接着剤からなる層が挙げられる。
【0012】直線偏光子層(2)はそのセルロース樹脂層(1)とは反対側の面に高分子層(5)が積層されていてもよい。高分子層(5)を構成する高分子としては、例えば前記したと同様のセルロース樹脂のほか、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。かかる高分子層(5)は通常、高分子のフィルムにより構成されており、直線偏光子層(2)と接着剤層(図示せず。)を介して積層されている。該接着剤層としては、例えばポリビニルアルコール系水溶性接着剤などの接着剤からなる層が用いられる。
【0013】セルロース樹脂層の他方の面には、シリコーン感圧接着剤層(3)が設けられている。シリコーン感圧接着剤層(3)とは、シリコーン感圧接着剤からなる層であって、シリコーン感圧接着剤としては、例えば主骨格がSi−O結合からなる感圧接着剤が挙げられる。かかるシリコーン感圧接着剤としては、例えば「X−40−3103](信越化学工業(株))、「X−41−3025」(信越化学工業(株))などが市販されている。
【0014】シリコーン感圧接着剤層の厚みは通常10μm以上100μm以下である。10μm未満であると透明基材などとの接着力が不十分となる傾向にあり、好ましくは20μm以上である。また100μmを超えるとコストが高くなり、好ましくは50μm以下である。
【0015】シリコーン感圧接着剤層は、通常、シリコーン感圧接着剤および硬化触媒の混合物からなる層を加熱することにより形成することができる。シリコーン感圧接着剤層は、通常、透明で光学的に等方性である。
【0016】かかるシリコーン感圧接着剤層(3)をセルロース樹脂層(1)の他方の面に設けるには、例えばシリコーン感圧接着剤、硬化触媒および溶剤からなる混合物をセルロース樹脂層(1)の他方の面に塗布すればよい。塗布は、バーコーターなどを用いる通常の方法により行うことができる。塗布後、溶剤を揮発させ、次いで加熱することにより、シリコーン感圧接着剤層が形成される。
【0017】また、シリコーン感圧接着剤層(3)が設けられた離型フィルムをセルロース樹脂層(1)の他方の面に積層することによりシリコーン感圧接着剤層を転写してもよい。この離型フィルムは、接着剤層付偏光板を透明基材に積層する前に剥離される。離型フィルムの表面にシリコーン感圧接着剤層を設けるには、例えばシリコーン感圧接着剤、硬化触媒および溶剤からなる混合物を離型フィルムに塗布し、溶剤を揮発させた後、加熱すればよい。離型フィルムの表面に設けられたシリコーン感圧接着剤層の上には、運搬中にゴミなどの異物が付着することを防止するために、第2の離型フィルムが積層されてもよく、この第2の離型フィルムは、シリコーン感圧接着剤層に対する剥離力が離型フィルムの剥離力よりも小さいものが用いられる。
【0018】本発明の接着剤層付偏光板は、そのシリコーン感圧接着剤層(3)側で透明基材(6)に積層して光学部品(7)として用いることができる(図2)。図2に示す光学部品(7)は、直線偏光子層(2)、セルロース樹脂層(1)および透明基材(6)がこの順に積層されてなり、セルロース樹脂層(1)と透明基材(6)とはシリコーン感圧接着剤層(3)を介して積層されてなる光学部品(7)である。この光学部品は、高温下に長時間置いても、偏光板の周辺部においてクロスニコルの直線偏光光が透過してしまうことが殆どない。
【0019】透明基材(6)としては、例えば平板、平凸レンズなどが挙げられ、その材質としては、無機ガラス、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの高分子などが挙げられる。
【0020】透明基材(6)は位相差層(61)であってもよい。透明基材が位相差層である場合には、本発明の接着剤層付偏光板(4)は位相差層と共に楕円偏光板、円偏光板などの複合偏光板(71)を構成する(図3)。図3に示す複合偏光板(71)は、直線偏光子層(2)、セルロース樹脂層(1)および位相差層(61)がこの順に積層されてなり、セルロース樹脂層(1)と位相差層(61)とはシリコーン感圧接着剤層(3)を介して積層されてなる複合偏光板(71)である。かかる複合偏光板は、高温下に長時間置いても、その周辺部においてクロスニコルの直線偏光光が透過してしまう領域が生ずることが殆どないので、例えば画面の隅々まで均一な表示が要求される液晶表示装置などに組込まれる複合偏光板として好適に使用することができる。
【0021】位相差層としては、例えばポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの高分子からなるフィルムを延伸することにより得られる位相差フィルムなどが用いられる。
【0022】かかる複合偏光板(71)は、位相差層(61)側に接着剤層を有していてもよく、かかる接着剤層を介して前記と同様の透明基材(6)に積層される。この接着剤層としては、例えばアクリル感圧接着剤、ウレタン感圧接着剤、シリコーン感圧接着剤などの感圧接着剤(粘着剤)からなる層が挙げられる。
【0023】透明基材(6)は、液晶表示装置(8)の液晶セル(9)を構成する透明電極(62)であってもよい。透明電極は、片面に透明導電層が設けられた透明基板であり、本発明の接着剤層付偏光板(4)は、液晶セル(9)などと共に液晶表示装置(8)を構成する(図4)。図4に示す液晶表示装置(8)は、直線偏光子層(2)、セルロース樹脂層(1)および液晶セル(9)がこの順に積層されてなり、セルロース樹脂層(1)と液晶セル(9)とはシリコーン感圧接着剤層(3)を介して積層されてなる液晶表示装置(8)である。液晶セル(9)は、透明導電層が互いに対向するように配置された2枚の透明電極(62)とその間に挟持された液晶層(91)とから構成されている。この液晶セル(9)は、TN(Twisted Nematic、ツイステッドネマチック)型液晶セルであってもよいし、STN(Super Twisted Nematic、スーパーツイステッドネマチック)型液晶セルであってもよい。かかる液晶表示装置(8)において本発明の接着剤層付偏光板(4)は、液晶セル(9)の前面側配置されていてもよいし、背面側に配置されていてもよく、好ましくは液晶セル(9)の両面に配置される。この液晶表示装置は、高温下に長時間置いても画面の周辺部において不要な光が透過する領域が発生することが殆どない。
【0024】
【発明の効果】本発明の接着剤層付偏光板は、透明基材に積層した状態で高温下で長期間に亙り使用しても、全面に亙ってクロスニコルの直線偏光光を十分に遮蔽することができ、所謂白抜けが発生し難いので、透明基材に積層して光学部品として用いることができる。
【0025】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はかかる実施例により限定されるものではない。
【0026】実施例1離型フィルム〔PET(#25)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)の一方の面に離型剤(「X−70−201」、信越化学工業(株))が塗布されたフィルム〕の一方の面にシリコーン感圧接着剤層〔厚み30μm〕(3)が設けられ、該層の上に第2の離型フィルム〔ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み38μm)の一方の面に離型剤(「X−70−201」、信越化学工業(株)製)が塗布されたフィルム〕が積層された多層のフィルム状物から第2の離型フィルム〔PET(#50)〕を剥離し、偏光板〔トリアセチルセルロースフィルム(厚み80μm)(1)とヨウ素が吸着配向されたポリビニルアルコールフィルム(2)とトリアセチルセルロースフィルム(厚み80μm)(5)とが相互にポリビニルアルコール系水溶性接着剤からなる層を介してこの順に積層されている偏光板〔「スミカラン」、住友化学工業(株)製〕(3)のトリアセチルセルロースフィルム(1)側に積層してシリコーン感圧接着剤層(3)を転写して、接着剤層付偏光板(4)を得た。
【0027】この接着剤層付偏光板(4)を2枚用意し、それぞれの離型フィルム(PET(#25))を剥離して、無機ガラス製の平板(6)の両面に互いの吸収軸が直交するように積層して、光学部品(7)を得た。この光学部品(7)は、透過光がほぼ完全に遮蔽され、偏光板の全面が黒く見えた。この光学部品(7)を温度80℃で120時間保持し、冷却後目視で観察したところ、透過光はほぼ完全に遮蔽され、偏光板の全面に亙って黒く見えた。
【0028】なお、シリコーン感圧接着剤層(3)は、離型フィルム(PET(#25))の一方の面に、シリコーン感圧接着剤〔「X−40−3103」、信越化学工業(株)製〕100重量部および硬化触媒〔「CAT−PL50T」、信越化学工業(株)製〕0.5重量部からなる層を130℃に1分間加熱して形成した層である。
【0029】実施例2実施例1と同様にして得た接着剤層付偏光板(4)のシリコーン感圧接着剤層(3)に位相差フィルム〔「スミカライト」、住友化学工業(株)製、ポリカーボネート樹脂フィルムを延伸して得たフィルム〕(61)を積層することにより複合偏光板(楕円偏光板または円偏光板)(71)を得る。この複合偏光板(71)は、高温下に長時間保持しても、高温下に長時間置いても、その周辺部においてクロスニコルの直線偏光光が透過することが殆どない。
【0030】実施例3実施例1と同様にして得た接着剤層付偏光板(4)をそのシリコーン感圧接着剤層(3)側で液晶セル〔2枚の透明電極(62)の間に液晶層(91)が挟持されてなる液晶セル〕(9)に貼合することにより得られる液晶表示装置(8)は、高温下に長時間置いても画面の周辺部に不要な光が透過す領域が生ずることが殆どない。
【0031】実施例4シリコーン感圧接着剤〔X−40−3103〕に代えて、シリコーン感圧接着剤〔「X−41−3025」、信越化学工業(株)〕を用いる以外は実施例1と同様に操作することにより得られる接着剤層付偏光板(4)は、高温多湿下に長時間保持しても、その周辺部に所謂白抜けと呼ばれる現象が生ずることが殆どない。
【0032】比較例1シリコーン感圧接着剤〔「X−40−3103」〕に代えてアクリル感圧接着剤(アクリル系粘着剤)を用い、離型フィルムおよび第2の離型フィルムとして実施例1で用いた離型フィルムにおけると同様のポリエチレンテレフタレートフィルムに通常の離型剤を塗布したものを用いる以外は、実施例1と同様に操作して、接着剤層付偏光板(4)を得た。
【0033】この接着剤層付偏光板(4)を2枚用意し、それぞれの離型フィルム(PET(#25))を剥離して、無機ガラス製の平板(6)の両面に互いの吸収軸が直交するように積層して、光学部品(7)を得た。この光学部品(7)は、透過光がほぼ完全に遮蔽され、偏光板の全面が黒く見えた。この光学部品(7)を温度80℃で120時間保持し、冷却後目視で観察したところ、その周辺部において、光が透過する領域が発生した。
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆 (外2名)
【公開番号】 特開2001−194531(P2001−194531A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−5607(P2000−5607)