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【発明の名称】 負の屈折率異方性を有する位相差フィルム
【発明者】 【氏名】内山 昭彦

【氏名】串田 尚

【氏名】辻倉 正一

【要約】 【課題】本発明の目的は、耐熱性、成形性等が良好な負の屈折率異方性を有する位相差フィルムを提供することにある。

【解決手段】メチル基を有するフルオレン骨格を持つ特定のポリカーボネートからなり、かつ、測定波長550nmで測定した三次元屈折率が下記式(3)
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記式(1)
【化1】

で示される繰り返し単位と、下記式(2)
【化2】

(上記式(2)において、R9〜R16はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3の炭化水素基から選ばれ、Yは下記式群【化3】

(上記式群中、R17〜R19、R21、R22はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれ、R20及びR23はそれぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれ、また、Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に炭素数6〜10のアリール基から選ばれる。)で示される繰り返し単位とからなるポリカーボネートからなる位相差フィルムであって、上記式(1)で表される繰り返し単位は該ポリカーボネート全体の71〜98モル%を占め、上記式(2)で表される繰り返し単位は29〜2モル%を占め、かつ、測定波長550nmで測定した三次元屈折率が下記式(3)
【数1】nx<nz (3)
(上記式(3)中、nxは位相差フィルム面内における主延伸方向の屈折率であり、nzはフィルム面に対して法線方向の屈折率である。)を満足していることを特徴とする負の屈折率異方性を有する位相差フィルム。
【請求項2】 ポリカーボネートは、下記式(1)
【化4】

で示される繰り返し単位と、下記式(4)
【化5】

(上記式(4)においてR26及びR27はそれぞれ独立に水素原子およびメチル基から選ばれ、Zは下記式群【化6】

から選ばれる。)で示される繰り返し単位とから構成され、かつ上記式(1)で表される繰り返し単位は該ポリカーボネート全体の72〜96モル%を占め、上記式(4)で表される繰り返し単位は28〜4モル%を占めることを特徴とする請求項1記載の位相差フィルム。
【請求項3】 正の屈折率異方性を有する位相差フィルムと上記負の屈折率異方性を有する位相差フィルムとが積層されてなることを特徴とする積層位相差フィルム。
【請求項4】 正の屈折率異方性を有する位相差フィルムの測定波長450nm及び550nmにおける位相差値R(450)及びR(550)の関係が、下記式(5)
【数2】
R(450)/R(550)<1 (5)
を満たすことを特徴とする請求項3記載の積層位相差フィルム。
【請求項5】 上記負の屈折率異方性を有する位相差フィルムと、正の屈折率異方性を有する位相差フィルムとを、両方の位相差フィルムの面内の屈折率最大方位が直交するように積層してなる請求項3または4記載の積層位相差フィルム。
【請求項6】 四分の一波長板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の(積層)位相差フィルム。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の(積層)位相差フィルムを偏光フィルムと積層させたことを特徴とする楕円偏光フィルム。
【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載の(積層)位相差フィルムおよび請求項7記載の楕円偏光フィルムを用いてなることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐熱性、成形性等が改良された負の屈折率異方性を持つことを特徴とした位相差フィルム、及び該位相差フィルムと正の屈折率異方性を有する位相差フィルムを組み合わせることによる、用途に応じて視野角特性を任意に制御することが出来る位相差フィルムに関する。これらの位相差フィルムを用いることにより、光学特性が改良された液晶表示装置を提供することができる。
【0002】
【従来の技術】位相差フィルムはSTN(スーパーツイステッドネマチック)方式等の液晶表示装置において、色補償、視野角拡大等の問題を解決するために用いられている。一般に、色補償用の位相差板の材料としてはポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、アモルファスポリオレフィン等が用いられ、視野角拡大用の位相差板材料としては前記した材料に加えて高分子液晶、デイスコチック液晶を硬化させたもの等が用いられている。
【0003】熱可塑性高分子フィルムを用いた位相差フィルムは一般に一軸延伸工程により、屈折率異方性を発現させているが、通常の一軸延伸では得られるフィルムの異方性も一軸性となり、例えば正の屈折率異方性を有する高分子材料の場合、膜厚方向の屈折率のみを面内の屈折率の1つよりも高くするといったことが困難である。膜厚方向の屈折率を面内の屈折率の1つよりも高くすることができなくても使用可能な用途はあるが、液晶表示装置の視野角を改善するといったことを位相差フィルムで行う場合には、このような膜厚方向の屈折率の制御が必要となる場合がある。
【0004】膜厚方向の屈折率を高くする方法としては、例えば、膜厚方向に延伸する方法や、負の屈折率異方性を持つ位相差フィルムと正の屈折率異方性を持つ位相差フィルムを積層させる方法等が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、膜厚方向に延伸する方法は非常に生産性が悪くコストが著しく高くなってしまうといった問題がある。また、負の屈折率異方性を持つ位相差フィルムと正の屈折率異方性を持つ位相差フィルムを積層させる方法においては、負の屈折率異方性を有する位相差フィルムとして、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートや高分子液晶を垂直配向させたものを用いる技術が知られている。しかし、これらの負の屈折率異方性を有する位相差フィルムは一般に熱的耐久性に乏しい、成形性が悪い、高分子液晶のように煩雑な配向処理を必要としたり、また材料コスト自身が高い等の問題があり、市場には出回っていないのが現実であった。
【0006】本発明は上記課題を解決し、耐熱性、成形性等が良好な負の屈折率異方性を有する位相差フィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、優れた光学特性を有する材料について広く検討を行っているが、位相差フィルムは光学用途であるので、その測定波長において光吸収が少なく透明である材料、また、耐熱性の観点からガラス転移点温度としては140℃以上、より好ましくは150℃以上を有する材料、そして成形性の点で有利な材料として、高分子材料、特に熱可塑性高分子材料に注目してきた。さらに、本発明の目的である負の屈折率異方性を発現させるための分子設計の自由度等にも着目してきた。
【0008】本発明者らは熱可塑性高分子材料として注目しているポリカーボネートにおいて、ある特定の高分子構造を有するときに、耐熱性を持ちつつ成形性も良好でありながら負の屈折率異方性を発現させ得ることを見出した。
【0009】すなわち、本発明は第1に、下記式(1)
【0010】
【化7】

で示される繰り返し単位と、下記式(2)
【0011】
【化8】

【0012】(上記式(2)において、R9〜R16はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3の炭化水素基から選ばれ、Yは下記式群【0013】
【化9】

【0014】(上記式群中、R17〜R19、R21、R22はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれ、R20及びR23はそれぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれ、また、Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に炭素数6〜10のアリール基から選ばれる。)で示される繰り返し単位とからなるポリカーボネートからなり位相差フィルムであり、上記式(1)で表される繰り返し単位は該ポリカーボネート全体の71〜98モル%を占め、上記式(2)で表される繰り返し単位は29〜2モル%を占め、かつ、測定波長550nmで測定した三次元屈折率が下記式(3)
【0015】
【数3】nx<nz (3)
(上記式(3)中、nxはフィルム面内における主延伸方向の屈折率であり、nzはフィルム面に対して法線方向の屈折率である。)を満足していることを特徴とする負の屈折率異方性を有する位相差フィルム(以下負の位相差フィルムということがある)である。
【0016】また本発明は、第2に、正の屈折率異方性を有する位相差フィルム(正の位相差フィルムということがある)と上記第1の発明である負の位相差フィルムとが積層されてなることを特徴とする積層位相差フィルムである。
【0017】本発明で言う負、正の屈折率異方性とは三次元屈折率によって規定されるが、この三次元屈折率について説明する。三次元屈折率はnx,ny,nzで表され、それぞれの定義は、nx:位相差フィルム面内における主延伸方向の屈折率ny:位相差フィルム面内における主延伸方向に直交する方位の屈折率nz:位相差フィルム表面の法線方向の屈折率とする。ここで、主延伸方向とは一軸延伸の場合には延伸方向、二軸延伸の場合にはより配向度が上がるように延伸した方向を意味しており、化学構造的には高分子主鎖の配向方向を指す。本発明における負の屈折率異方性とはこれら三次元屈折率を用いて、ここではnx<nzのように表される。
【0018】この三次元屈折率は、位相差フィルムに偏光を入射して得られる出射光の偏光状態を解析する手法である偏光解析法により測定されるが、本発明では位相差フィルムの光学異方性を屈折率楕円体と見なして公知の屈折率楕円体の式により求める方法によりこの三次元屈折率を求めている。なお、特に断りが無い限り測定波長は550nmとした。
【0019】また、このような負の屈折率異方性を有する位相差フィルムを正の屈折率異方性を有する位相差フィルムと組み合わせることにより、正の屈折率異方性を有する位相差フィルムの視野角特性を改善することができる。ここで言う正の屈折率異方性とは先述した三次元屈折率を用いてnx>nzで表される。先述したように正の屈折率異方性を有する位相差フィルムは、膜厚方向に屈折率が大きくなるような特殊な延伸方法を取らない限り通常nz>nxにならないが、その代わりにnx<nzである負の屈折率異方性を有する位相差フィルムと積層することにより、実質的にnzを面内の屈折率nx,nyのいずれかまたは両方よりも大きくすることが可能となる。
【0020】ここで該積層位相差フィルム(積層体ということがある)のnzが実質的に面内の屈折率nx,nyのいずれかまたは両方よりも大きくなったかどうかは、先述の偏光解析法で該積層体を屈折率楕円体と見なして測定することにより評価することができる。
【0021】位相差フィルムの三次元屈折率を用いて光学異方性を表記する方法として下記式(7)
【0022】
【数4】
Nz=(nx−nz)/(nx−ny) (7)
があるが、正の屈折率異方性を有する高分子材料からなるフィルムを通常の方法で一軸延伸または二軸延伸しただけではNz≧1、すなわちnx>ny≧nzまたはnx≒ny>nzであり、位相差フィルムを斜めから見ても位相差値がほとんど変化しない条件であるNz=0.5は達成することが困難である。Nz=0.5にするにはnx>nz>nyとなることが必要だが、本発明の第2の発明である先述の積層体ならこれを達成することが可能であり、該積層体はNz<1の範囲で光学異方性を制御できることが特徴である。
【0023】例えば、液晶表示装置の光学設計にもよるが、Nz=0.5なる(積層)位相差フィルムを液晶表示装置に用いた場合、Nz=1の場合よりも、同じ面内位相差を持つならば、液晶表示装置の視野角が改善されるといった効果が知られている。
【0024】
【発明の実施の形態】第一の発明である本発明の位相差フィルムは、上記式(1)で表わされる繰り返し単位を主成分とするポリカーボネートからなることを特徴とする。該ポリカーボネートは、かかる上記式(1)と上記式(2)で表わされる繰り返し単位からなる共重合体、上記式(1)で表わされる繰り返し単位からなるポリカーボネートと上記式(2)で表わされる繰り返し単位からなるポリカーボネートとの組成物、該共重合体を2種類以上含有する組成物、該共重合体と上記式(2)で表わされる繰り返し単位からなるポリカーボネートとの組成物を含む。
【0025】上記式(1)は、メチル基を有するフルオレン骨格を持つ繰り返し単位である。
【0026】上記式(2)中、R9〜R16は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種である。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。炭素数1〜3の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基等を挙げることができる。このなかでR9〜R16は全て水素原子が好ましい。Yは下記式群【0027】
【化10】

【0028】から選ばれる。上記式群中、R17〜R19、R21及びR22はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種である。ハロゲン原子としては前記したものと同じものを挙げることができる。炭素数1〜22の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜22の(シクロ)アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル等の炭素数6〜18のアリール基を挙げることができる。
【0029】R20及びR23はそれぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれる少なくとも一種である、かかる炭化水素基としては、エチレン基等の炭素数2〜20の2価の(シクロ)アルキレン基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜18の2価のアリーレン基を挙げることができる。
【0030】また、Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基を挙げることができる。
【0031】上記式(2)で表わされる繰り返し単位としては、下記式(4)
【0032】
【化11】

【0033】(上記式(4)においてR26及びR27はそれぞれ独立に水素原子及びメチル基から選ばれる少なくとも一種であり、Zは下記式群【0034】
【化12】

【0035】から選ばれる。)で示される繰り返し単位が好ましい。このなかでR26及びR27は水素原子であるものがより好ましい。
【0036】上記ポリカーボネートにおいて、上記式(1)で表される繰り返し単位は、該ポリカーボネート全体、すなわち上記式(1)及び(2)で表わされる繰り返し単位の合計に基づき71〜98モル%を占め、上記式(2)で表される繰り返し単位は29〜2モル%を占める。上記式(1)の繰り返し単位は該繰り返し単位のみからなる単独重合体でも負の屈折率異方性を有するが、該繰り返し単位の割合が98モル%を超えると重合が困難であるため生産性が劣ったり、また成形性が悪くなるといった問題がある。また、71モル%より少ない場合には、負の屈折率異方性をとることが困難な場合がある。
【0037】好ましくは、上記式(1)で表される繰り返し単位は該ポリカーボネート全体の72〜96モル%を占め、上記式(2)(より好ましくは上記式(4))で表される繰り返し単位は28〜4モル%を占める。さらに好ましくは上記式(1)で表される繰り返し単位は該ポリカーボネート全体の73〜94モル%を占め、上記式(4)で表される繰り返し単位は27〜6モル%を占める。
【0038】最も好ましくは、上記式(1)で表される繰り返し単位と、上記式(2)(ただし、Zは下記式【0039】
【化13】

【0040】である)で表わされる繰り返し単位からなり、上記式(1)で表される繰り返し単位は、該ポリカーボネート全体の76〜90モル%を占め、上記式(2)で表される繰り返し単位は24〜10モル%を占めるものである。
【0041】上記ポリカーボネートの製造方法としては、ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの界面重縮合、溶融重縮合法等が好適に用いられる。
【0042】2種類以上のポリカーボネートをブレンドする場合は、相溶ブレンドが好ましいが、完全に相溶しなくても成分間の屈折率を合わせれば成分間の光散乱を抑え、透明性を向上させることが可能である。得られたブレンド体は、ヘイズ値が3%以下であることが好ましい。
【0043】本発明の位相差フィルムは、負の屈折率異方性を有し、測定波長550nmで測定した三次元屈折率は下記式(3)
【0044】
【数5】nx<nz (3)
を満足する。上記式(3)中、nx及びnzは前記した定義の通りである。三次元屈折率は450,550,650nmのいすれの測定波長においても上記式(3)が成り立つことが好ましい。
【0045】本発明の位相差フィルムは上記ポリカーボネートの共重合体、単独重合体同士のブレンド、共重合同士のブレンド、単独重合体と共重合体とのブレンドであってもよく、上記繰り返し単位の範囲を満足していれば良い。上記繰り返し単位を満足しているかどうかはH-NMR等により分析することができる。
【0046】本発明においては負の屈折率異方性を有する位相差フィルムの材料として上記ポリカーボネートを用いている。かかるポリカーボネートは共重合、特にジヒドロキシ化合物とホスゲンとの界面重縮合において、例えば、2種類以上の繰り返し単位からなるものを作製しようとした場合、モノマーの仕込み量を変えるだけでそれらの共重合比を任意にしかも簡便に制御できるといった利点がある。一方、ポリエステルやポリアリレートの場合には、ジヒドロキシ化合物とジカルボン酸を等量づつ重合しなくてはならないといった光学特性を制御する上で不利な点がある。負の屈折率異方性を有しつつ、耐熱性や成形性を満足させた位相差フィルムを作製するには、前述したようにある特定の繰り返し単位がある割合で入っている必要があり、そのような分子設計上の観点からもポリカーボネートは有用である。
【0047】なお、高分子材料の屈折率異方性はそのほとんどが化学構造により決定されるが、延伸法や製膜法によってもある程度は変化させ得る。
【0048】上記ポリカーボネートの分子量としては、メチレンクロライドを溶媒とした極限粘度測定により規定されるが、20℃での極限粘度が0.30〜2.0dl/gであることが好ましい。
【0049】上記式(1)と類似構造のものに、フルオレン骨格を有する下記式(7)があるが、この繰り返し単位が多いポリカーボネートは、上記式(1)を用いた場合より剛直なためガラス転移点温度が高くなってしまい、さらに成形性が不十分である。
【0050】
【化14】

【0051】本発明の負の屈折率異方性を有する位相差フィルムは、波長400〜700nmにおいて通常短波長ほど位相差値R(R=Δn・d=(nx−ny)・d、dはフィルムの膜厚(nm))が大きい波長分散性を示す。
【0052】本発明の第2の発明によれば、上記負の屈折率異方性を有する位相差フィルムは、正の屈折率異方性を有する位相差フィルムと積層することにより、正の屈折率異方性を有する位相差フィルム単独では容易に到達できない、nzがnx,nyの少なくともいずれかより大きい特性を有するフィルムとほぼ同等の光学特性の位相差フィルムを得ることができる。
【0053】正の屈折率異方性を有する位相差フィルムの材料としては特に限定はないが、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ノルボルネン樹脂、ポリビニルアルコール、重合性液晶、高分子液晶等を挙げることができる。この中で、ポリカーボネートは光学特性が良好であり好ましい。かかるポリカーボネートとしてはビスフェノールAをビスフェノール成分とするものが挙げられる。
【0054】かかる正の屈折率異方性を有する位相差フィルムは、測定波長450,550nmにおける位相差値R(450)とR(550)の関係が、下記式(5)
【0055】
【数6】
R(450)/R(550)<1 (5)
で表されるものを用いると、例えば、広帯域で位相差が四分の一波長となり、かつ膜厚方向の屈折率を制御された位相差フィルムである四分の一波長板を提供できるので好ましい。これは特に偏光板一枚使用の反射型液晶表示装置に用いられる位相差フィルム等として有用である。
【0056】四分の一波長板の位相差は人間の視感度の高い測定波長550nmで四分の一波長であることが好ましく、R(550)では90〜180nm,より好ましくは110〜170nmである。
【0057】上記式(5)を満足する正の屈折率異方性を有する位相差フィルムとしては特に限定はなく、例えばビスフェノールAをビスフェノール成分とするポリカーボネート、フルオレン骨格を有するポリカーボネートが好適に用いられる。フルオレン骨格を有するこのポリカーボネートは例えば、下記式(8)
【0058】
【化15】

【0059】(上記式(8)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜6の炭化水素基から選ばれ、Xは【0060】
【化16】

【0061】である。)で示される繰り返し単位と、下記式(2)
【0062】
【化17】

【0063】(上記式(2)において、R9〜R16はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3の炭化水素基から選ばれ、Yは下記式群【0064】
【化18】

【0065】(定義は前記したものと同様である))で示される繰り返し単位とからなり、かつ上記式(8)で表される繰り返し単位は該ポリカーボネート全体の40〜71モル%を占め、上記式(2)で表される繰り返し単位は60〜29モル%を占めるポリカーボネートからなるもの等が挙げられる。もちろんこれに限定されるものではない。
【0066】上記負の屈折率異方性を有する位相差フィルムと、正の屈折率異方性を有する位相差フィルムとを積層する場合、負の屈折率異方性を有する位相差フィルムとしては下記式(6)
【0067】
【数7】nx=ny (6)
(上記式(6)中、nxはフィルム面内における主延伸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内における主延伸方向に直交する方位の屈折率である。)を満たさないものを用いて、正及び負の両方の位相差フィルムの面内の屈折率最大方位が直交するように積層するのが好都合である。この構成は、例えば、正、負いずれの屈折率異方性を有する位相差フィルムも縦一軸延伸して作製することを考えた場合、両方の延伸方向を合わせて積層させた場合に相当する。なぜならば、正の屈折率異方性を有する位相差フィルムはnxが面内の屈折率最大方位でかつ延伸方向であり、一方、負の屈折率異方性有する位相差フィルムではnyが面内の屈折率最大方位で延伸方向に直交するからである。すなわちこの構成ではロールツウロール工程で延伸方向である長手方向を合わせるので、該2種類の位相差フィルムを貼り合せる工程においてロールツウロールで積層体を作製することができるという利点がある。
【0068】本発明の屈折率異方性が負の位相差フィルムでnx≒nyの場合には、面内にほぼ屈折率異方性が無いので、正の屈折率異方性を有する位相差フィルムとの積層角度は特に限定はない。nx≒nyの場合とは測定波長550nmにおける位相差値が20nm以下の場合である。
【0069】本発明の負の屈折率異方性を有する位相差フィルムの位相差波長分散は、位相差フィルム表面に垂直入射して測定した場合と、斜め入射した場合で通常ほぼ同じであるが、上記積層位相差フィルムは、それら両者の光学特性を大きく違ったものにすることが可能であり、液晶表示装置等の用途に応じて様々な種類の位相差波長分散を有する位相差フィルムを供給することが可能である。ここで言う位相差波長分散とは測定波長400〜700nmにおいて測定した位相差値Rの変化の度合いを指す。例えば測定波長450,550nmにおける位相差値であるR(450),R(550)との比であるR(450)/R(550)等である。
【0070】本発明の負の位相差フィルム及び正の位相差フィルムは、前記したような高分子材料からなるフィルムを製膜、または製膜後に延伸することにより製造することができる。フィルム製膜法としては公知の溶融押し出し法、溶液キャスト法等が用いられるが、膜厚むら、外観等の観点から溶液キャスト法がより好ましく用いられる。溶液キャスト法における溶剤としては、メチレンクロライド、ジオキソラン等が好適に用いられる。
【0071】また、延伸方法も公知の縦一軸、横一軸、二軸延伸等の延伸方法を使用し得る。延伸性を向上させる目的で、延伸前のフィルム中に、公知の可塑剤であるジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート等のフタル酸エステル、トリブチルフォスフェート等のりん酸エステル、脂肪族二塩基エステル、グリセリン誘導体、グリコール誘導体等を配合することができる。先述のフィルム製膜時に用いた有機溶剤をフィルム中に残留させ延伸しても良い。この有機溶剤の量としてはポリマー固形分対比1〜20重量%であることが好ましい。
【0072】位相差フィルム作製の延伸条件としてはガラス転移点温度の−30℃から+50℃の範囲で行うことが好ましい。このガラス転移点温度は例えば溶剤等の添加物が含まれている場合にはそれらを含んだ状態でのガラス転移点温度を指すものとする。好ましくはガラス転移点温度の−10℃から+20℃の範囲である。また、nx≒nyである位相差フィルムを作製する場合には、製膜工程のみでいわゆる一般の一軸、二軸延伸工程が不要な場合もある。
【0073】さらに、位相差フィルム中にはフェニルサリチル酸、2-ヒドロキシベンゾフェノン、トリフェニルフォスフェート等の紫外線吸収剤や、色味を変えるためのブルーイング剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
【0074】前記の添加物の量としては高分子材料対比10重量%以下であることが好ましい。これら添加物が光学的に異方性を有している場合には、位相差フィルムのリタデーションに影響を与える場合があるが、本発明では高分子材料だけで十分な光学異方性を発現させることが可能である。
【0075】上記正及び負の位相差フィルムの膜厚としては、特に制限はないが、通常1μmから400μm、好ましくは30〜200μm、さらに好ましくは50〜150μmである。
【0076】本発明における正及び負の位相差フィルムは透明であることが好ましく、へーズ値は3%以下、全光線透過率は85%以上であることが好ましい。さらに、無色透明であることが好ましく、JIS Z-8729記載のL***表色系のうち、2度視野、C光源を用いた測定でb*が1.2以下、より好ましくは1以下である。
【0077】本発明の負の屈折率異方性を有する位相差フィルムや、該位相差フィルムと正の屈折率異方性を有する位相差フィルムとを組み合わせた積層位相差フィルムは、硬化型のデイスコチック液晶やねじれ構造を有する高分子液晶等からなる光学補償フィルムと組み合わせて用いても良い。
【0078】本発明の負の位相差フィルム及び積層位相差フィルムは、例えば、通常のヨウ素や染料等の二色性吸収物質を含有する偏光フィルムや、誘電体多層膜やコレステリック高分子液晶からなる片側の偏光だけを反射または散乱させるような反射型偏光フィルム等と貼り合せ位相差フィルム一体型偏光フィルムとしてもよい。この場合には偏光フィルムの視角特性も改善することが可能である。
【0079】位相差フィルムを偏光フィルムまたは液晶表示装置へ実装する場合は粘着剤が必要だが、粘着剤としては公知のものが用いられる。粘着剤の屈折率は積層するフィルムの屈折率の中間のものが、界面反射を抑える点で好ましい。
【0080】上述した位相差フィルムや位相差フィルム一体型偏光フィルムを液晶表示装置等に使用することにより画質の向上が実現可能である。また、液晶セルを構成するガラス基板の代わりに本発明の位相差フィルムを使用しても良い。この場合、液晶表示装置の光学部材を減らすことが出来る上、ガラス基板の欠点である厚みを薄く出来るので、特に反射型液晶表示装置で問題となるガラスの厚みに起因する視差による画像のぼけを防ぐことが可能であるし、ガラス基板の割れ易さを補うことができるといった効果を有する。
【0081】さらに、本発明の負の屈折率異方性を有する位相差フィルムは、前記正の屈折率異方性を有する位相差フィルム、及び該位相差フィルム以外の他の位相差フィルムと粘着剤を介して貼り合せて用いても良いし、また、液晶表示装置内において該他の位相差フィルムと離れていてもよい。それら使用形態は用途に応じて決定される。ここで、構成例を図2〜5に示すがこれらに限定されるものではない。また、本発明の負の位相差フィルムは単独(1枚)で用いることができるが、2枚以上使用しても良い。
【0082】本発明の負の位相差フィルムを液晶表示装置に用いた具体例を図6,7に示す。
【0083】図6は負の屈折率異方性を有する位相差フィルムが使用された反射型液晶表示装置の例を示しており、構成は、偏光フィルム5//負の屈折率異方性を有する位相差フィルム1//正の屈折率異方性を有する位相差フィルム(四分の一波長板)6//ガラス基板7//透明電極8//液晶層9//凹凸反射電極10//ガラス基板11である。
【0084】図7は負の屈折率異方性を有する位相差フィルムが使用されたスーパーツイストネマチック半透過反射型液晶表示装置の例を示しており、構成は、偏光フィルム12//前方散乱フィルム13//負の屈折率異方性を有する位相差フィルム1//正の屈折率異方性を有する位相差フィルム14//ガラス基板15//透明電極16//液晶層17//半透過反射電極18//ガラス基板19//正の屈折率異方性を有する位相差フィルム20//偏光フィルム21である。偏光フィルムの下にあるバックライトシステムは省略した。
【0085】なお、図2〜7において2は粘着層である。また、液晶用配向膜、薄膜トランジスタ、カラーフィルター等は省略してあるが設置しても良い。
【0086】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0087】(評価法)本明細書中に記載の材料特性値等は以下の評価法によって得られたものである。
【0088】(1)位相差R、K、三次元屈折率(nx,ny,nz)、Nzの測定複屈折Δnと膜厚dの積である位相差R値、K値、三次元屈折率、Nzは、偏光解析法を位相差測定手段にしている日本分光(株)製の「M150」により測定したものである。R値は入射光線とフィルム表面が直交する状態で測定しており、R=Δn・d=(nx−ny)・dである。また、K値は入射光線とフィルム表面の角度を変えることにより、各角度での位相差値を測定し、公知の屈折率楕円体の式でカーブフィッテイングすることにより三次元屈折率であるnx,ny,nzを求め、K=(nz−(nx+ny)/2)*dに代入することにより求めている。なお、その際、別のパラメータとして平均屈折率n=(nx+ny+nz)/3が必要になるが、平均屈折率nについては分光光源がついたアッベ屈折率計である(株)アタゴ社製の「アッベ屈折計2−T」を用いた。また、正と負の屈折率異方性を有する位相差フィルムの積層体の場合にも、同様に屈折率楕円体と仮定して評価した。この積層体の場合には、平均屈折率は積層する各フィルムの平均屈折率の平均を取るものとし、また、膜厚は各フィルムの膜厚の和とした。
【0089】屈折率楕円体の式とは、以下の式を用いた。なお、以下の式では、dは膜厚(nm)、θはフィルム表面法線方向と入射光線とのなす角である。
【0090】
【数8】R(θ)=Δn(θ)・d/(1−sin2θ/n2) 0.5【0091】(a)回転軸が進相軸の場合【数9】Δn(θ)=nx・nz/[(nx2-nz2 )sin2θ/n2+nz2]0.5-ny【0092】(b)回転軸が遅相軸の場合【数10】Δn(θ)=nx-ny・nz/[(ny2-nz2)sin2θ/n2+nz2]0.5【0093】(2)全光線透過率及びヘーズの測定日本工業規格JIS K 7105「プラスチックの光学的特性試験方法」に準じ積分球式透過率測定装置により測定した。評価装置としては、日本電色工業(株)製の色差・濁度測定器(「COH-300A」)を用いた。
【0094】(3)高分子共重合比の測定日本電子社製の「JNM-alpha600」のプロトンNMRにより測定した。特にビスフェノールAとビスクレゾールフルオレンの共重合体の場合には、溶媒として重ベンゼンを用い、それぞれのメチル基のプロトン強度比から算出した。
【0095】(4)高分子のガラス転移点温度(Tg)の測定TA Instruments社製の「DSC2920Modulated DSC」により測定した。フィルム成形後ではなく、樹脂重合後、フレークスまたはチップの状態で測定した。
【0096】(5)高分子の極限粘度測定ウベローデ粘度管を用い、メチレンクロライド中20℃で極限粘度を求めた。
【0097】(6)フィルム膜厚測定アンリツ社製の電子マイクロで測定した。
【0098】また、以下の実施例、比較例で用いたポリカーボネートのモノマー構造を以下に記す。ポリマーの分析はプロトンNMR法を用いて行った。
【0099】
【化19】

【0100】[実施例1]攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた反応槽に水酸化ナトリウム水溶液及びイオン交換水を仕込み、これに上記構造を有するモノマー[A]と[B]を表1のモル比で溶解させ、少量のハイドロサルファイトを加えた。次にこれに塩化メチレンを加え、20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ。さらに、p-tert-ブチルフェノールを加えて乳化させた後、トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌して反応を終了させた。反応終了後有機相分取し、塩化メチレンを蒸発させてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。
【0101】この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度19重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、寸法を固定させた状態で乾燥させることにより位相差フィルムを作製した。
【0102】このフィルムの特性を表1に記す。なお、この位相差フィルムは、波長450〜650nmにおいて短波長側ほど位相差値が大きいフィルムであった。
【0103】[実施例2]表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。実施例1と同様に位相差フィルムを作製した。
【0104】[実施例3]表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度19重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、乾燥後、一軸延伸機により温度241℃倍率1.3倍に一軸延伸し位相差フィルムを得た。結果を表1に記す。
【0105】[実施例4]表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度20重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、寸法を固定させた状態で乾燥させることにより位相差フィルムを作製した。このフィルムの特性を表1に記す。
【0106】[実施例5]表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度20重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、乾燥後、一軸延伸機により温度241℃倍率1.2倍に一軸延伸し位相差フィルムを得た。結果を表1に記す。
【0107】[実施例6]表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度20重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、寸法を固定させた状態で乾燥させることにより位相差フィルムを作製した。このフィルムの特性を表1に記す。
【0108】[実施例7]表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度20重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、乾燥後、一軸延伸機により温度245℃倍率1.7倍に一軸延伸し位相差フィルムを得た。結果を表1に記す。
【0109】[実施例8]表1記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネートホモ重合体を得た。このホモ重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度20重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、乾燥後、一軸延伸機により温度161℃倍率1.1倍に一軸延伸し位相差フィルムを得た。結果を表1に記す。
【0110】さらに、このフィルムと実施例1で作製した位相差フィルムとを延伸方向を合わせて粘着層を介して貼り合せた。その積層体(積層位相差フィルム)の特性を表1に記す。なお、位相差測定に際しては実施例1で作製したフィルム側から光を入射した。
【0111】また、図1には上記ポリカーボネートホモ重合体からなる位相差フィルム、及び上記積層体の遅相軸を回転軸として積層体を回転させ、入射角度θを変えて位相差を測定した際の位相差角度依存性を記す。サンプルをあおる際の回転軸は遅相軸とした。縦軸は入射角0度(垂直入射)のときの位相差で規格化した位相差である。横軸は入射角θである。ポリカーボネートホモ重合体からなる位相差フィルムは入射角度を変えると位相差が変化してしまうが、Nz=0.5であるこの積層体は入射角度によらず位相差が一定であることが確認でき、視野角特性が改良されていることが分かった。
【0112】
【表1】

【0113】[実施例9]実施例2で作製した位相差フィルムと、実施例8で作製したモノマー[A]からなるポリカーボネートホモ重合体からなる位相差フィルムを延伸方向を合わせて、粘着剤を介して貼り合せ、積層体(積層位相差フィルム)を作製した。その積層体の特性を表2に記す。
【0114】[実施例10]表2記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度20重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、乾燥後、一軸延伸機により温度225℃倍率2.0倍に一軸延伸し位相差フィルムを得た。結果を表2に記す。なお、この位相差フィルムの測定波長450nm,550nm、650nmにおける位相差R(450),R(550),R(650)の関係は【0115】
【数11】R(450)/R(550)=0.77R(650)/R(550)=1.08と短波長側ほど位相差値が小さくなるフィルムであることが分かった。
【0116】上記位相差フィルムと実施例1で作製した位相差フィルムを粘着剤を介して、延伸方向を合わせて貼り合せた。その積層体の特性を表2に記す。なお、位相差測定に際しては実施例1で作製したフィルム側から光を入射した。
【0117】[実施例11]ノルボルネン樹脂であるJSR株式会社製の商品名「ARTON G」からなる無延伸フィルムを、温度173℃、延伸倍率1.7倍にて一軸延伸した。このフィルムの特性を表2に記す。また、実施例2で作製した位相差フィルムと本フィルムを延伸方向を合わせて粘着剤を介して貼り合せた。この積層体の特性を表2に記す。なお、位相差測定に際しては実施例2で作製したフィルム側から光を入射した。
【0118】[実施例12]実施例8で作製したモノマー[A]からなるポリカーボネートホモ重合体からなる位相差フィルムと、実施例3からなる位相差フィルムを延伸方向が直交するように粘着剤を介して貼り合せた。この積層体の特性を表2に記す。
【0119】
【表2】

【0120】[参考例1]表3記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度17重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、乾燥後、一軸延伸機により温度192℃倍率1.2倍に一軸延伸し位相差フィルムを得た。結果を表3に記す。わずかにnzがnyよりは大きくなっているが、Nzはほぼ1であり、実施例8で行ったような位相差の角度依存性を測定すると位相差が変化することが分かった。
【0121】[参考例2]表3記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度20重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、乾燥後、一軸延伸機により温度232℃倍率1.2倍に一軸延伸し位相差フィルムを得た。結果を表3に記す。わずかにnzがnyよりは大きくなっているが、Nzはほぼ1であり、実施例8で行ったような位相差の角度依存性を測定すると位相差が変化することが分かった。
【0122】[参考例3]表3記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度20重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、乾燥後、一軸延伸機により温度245℃倍率1.2倍に一軸延伸し位相差フィルムを得た。結果を表3に記す。Nzはほぼ1であり、実施例8で行ったような位相差の角度依存性を測定すると位相差が変化することが分かった。
【0123】[参考例4]表3記載のモノマーを使った以外は実施例1と同様の方法にてポリカーボネート共重合体を得た。得られた共重合体の組成比はモノマー仕込み量比とほぼ同様であった。この共重合体をメチレンクロライドに溶解させ、固形分濃度16重量%のドープ溶液を作製した。このドープ溶液からキャストフィルムを作製し、乾燥後、一軸延伸機により温度225℃倍率1.7倍に一軸延伸し位相差フィルムを得た。結果を表3に記す。Nzはほぼ1であり、実施例8で行ったような位相差の角度依存性を測定すると位相差が変化することが分かった。
【0124】
【表3】

【0125】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の負の屈折率異方性を有する位相差フィルムは、耐熱性、成形性、光学特性等に優れており、それ単独でも液晶表示装置等の光学装置において使用可能であるが、その他の位相差フィルムと組み合わせて、特に正の屈折率異方性を有する位相差フィルムと組み合わせることにより、該フィルムや液晶表示装置等の視野角特性を改善できるといった優れた効果を有するものである。
【出願人】 【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
【出願日】 平成12年1月13日(2000.1.13)
【代理人】 【識別番号】100077263
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 純博
【公開番号】 特開2001−194530(P2001−194530A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−4707(P2000−4707)