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【発明の名称】 偏光板
【発明者】 【氏名】中原 健治

【氏名】佐竹 正之

【要約】 【課題】湿度や熱の影響で剥離や浮きを生じない良接着状態を安定に維持しうる接着力を確保しつつ、リワークの際にセルギャップの変化や基板破断等の損傷を与えずに容易に効率よく剥離できて液晶セルを再利用できる偏光板の開発。

【解決手段】偏光フィルムの片側又は両側に透明保護層を介し粘着層を有してなり、厚さが170μm以下で、吸収軸方向の引き裂き強度0.2N以下であり、かつ偏光軸方向の破断強度が150MPa以上で、前記粘着層を介したガラス板に対する接着力が15N/25mm以下である偏光板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 偏光フィルムの片側又は両側に透明保護層を介し粘着層を有してなり、厚さが170μm以下で吸収軸方向の引き裂き強度が0.2N以下であり、かつ偏光軸方向の破断強度が150MPa以上で前記粘着層を介したガラス板に対する接着力が15N/25mm以下であることを特徴とする偏光板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の技術分野】本発明は、接着ミス時等に液晶セルを損傷させずに剥離でき、接着状態の耐久性に優れて液晶表示装置の形成等に好適な粘着層付設型の偏光板に関する。
【0002】
【発明の背景】液晶表示装置(LCD)に用いる偏光板は、LCDのキーデバイスであり品質のバラツキ防止やLCD組立の効率化などを目的に、アクリル系粘着剤等からなる粘着層を予め付設した状態で液晶セルに接着する方法が採られている。その場合、液晶セルへの接着時に汚染物や気泡等の異物が混入するとその部分が視認障害となるため接着ミスとして偏光板が液晶セルより剥離除去され(リワーク)、その液晶セルは再利用される。
【0003】しかしながら従来の偏光板にあっては、液晶セルより剥離する際にセルにギャップ変化を与えたり、ガラス基板に破断等の損傷を与えたりして液晶セルを再利用する目的を達成できない頻度が大きい問題点があった。易剥離を目的に粘着層の接着力を低下させる方式には液晶表示装置等の実用時に偏光板が湿度や熱の影響で剥離したり浮いたりすることを防止するために限界がある。
【0004】前記に鑑みて偏光板に所定の間隔で複数条の切れ目を入れ、その切れ目間の幅を単位に偏光板を部分的に剥離できるようにして、液晶セルに大きな剥離力が作用することを防止する提案もあるが、切れ目を入れる作業に多労力、多時間を要してリワークの作業効率に乏しく、また剥離時に破断線が切れ目より逸脱して偏光板の残骸が液晶セルに残ることが多々あり、その除去に多大な労力を要する問題点などもあった。
【0005】
【発明の技術的課題】本発明は、湿度や熱の影響で剥離や浮きを生じない良接着状態を安定に維持しうる接着力を確保しつつ、リワークの際にセルギャップの変化や基板破断等の損傷を与えずに容易に効率よく剥離できて液晶セルを再利用できる偏光板の開発を課題とする。
【0006】
【課題の解決手段】本発明は、偏光フィルムの片側又は両側に透明保護層を介し粘着層を有してなり、厚さが170μm以下で吸収軸方向の引き裂き強度が0.2N以下であり、かつ偏光軸方向の破断強度が150MPa以上で前記粘着層を介したガラス板に対する接着力が15N/25mm以下であることを特徴とする偏光板を提供するものである。
【0007】
【発明の効果】本発明によれば、リワークの際に吸収軸方向の小さい引裂き強度に基づいてその吸収軸方向である偏光フィルムの延伸方向に沿って偏光板を従来の切れ目に準じた狭い幅で部分的に小さい力で容易に引き裂くことができる。その結果、液晶セルに大きい剥離力が作用することを防止できて、セルギャップの変化やガラス基板の破断等の損傷を与えずに偏光板を数回に分けて容易に剥離できて液晶セルを効率よく再利用できると共に、湿度や熱の影響で剥離や浮きを生じない接着力を確保でき良接着状態を安定に維持する偏光板を得て、高品質で耐久性に優れる液晶表示装置を形成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明による偏光板は、偏光フィルムの片側又は両側に透明保護層を介し粘着層を有してなり、厚さが170μm以下で、吸収軸方向の引き裂き強度が0.2N以下であり、かつ偏光軸方向の破断強度が150MPa以上で、前記粘着層を介したガラス板に対する接着力が15N/25mm以下であるものからなる。
【0009】偏光板としては、偏光フィルムの片側又は両側に透明保護層を介し粘着層を有するものが用いられ、その偏光フィルムとしては、例えばポリビニルアルコール系フィルムや部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムの如き適宜な親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料等の適宜な二色性物質を吸着させて一軸延伸処理等を施したものが用いられる。
【0010】前記により偏光板にその偏光フィルムの延伸方向に沿って、従って偏光板の吸収軸方向に沿って小さい力で引裂くことができる特性を付与でき、従来の如く切れ目を入れる必要なくそれに準じた狭幅で吸収軸方向に沿って部分的に容易に引き裂くことが可能になる。なお偏光フィルムの厚さは通例5〜80μmであるが、これに限定されない。
【0011】偏光フィルムの片側又は両側に設ける透明保護層は、偏光フィルムの保護を目的とし、その形成には透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性等に優れるポリマーなどが好ましく用いられる。ちなみにその例としては、トリアセチルセルロース(TAC)の如きアセテート系樹脂やポリエステル系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂やポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂やポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂やアクリル系樹脂、あるいはアクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系やシリコーン系等の熱硬化型、ないし紫外線硬化型の樹脂などがあげられる。
【0012】透明保護層は、ポリマーの塗布方式やフィルムとしたものの積層方式などの適宜な方式にて形成でき、厚さは適宜に決定してよい。本発明にては粘着層付の偏光板の厚さや引き裂き強度を所定値以下とする必要があり、その場合に偏光フィルムについては偏光度の維持等の点より薄くすることに限界があり、また引き裂き強度の点よりも透明保護層を厚くすることは不利であることより薄い透明保護層とすることが有利であり、100μm以下、就中70μm以下、特に5〜50μmの厚さとすることが好ましい。
【0013】なお透明保護層は、透明微粒子を含有して表面に微細凹凸構造を有するものであってもよい。かかる微粒子含有の透明保護層は、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラを抑制しうる利点などを有している。透明保護層に含有させる透明微粒子には、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化アンチモン等からなる、導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの適宜な透明微粒子の1種又は2種以上を用いうる。
【0014】偏光フィルムの片側又は両側に透明保護層を介して設ける粘着層は、偏光板を液晶セル等の他部材に接着することを目的とする。粘着層の形成には、所定の接着力を達成しうるものである点を除いて特に限定はなく、例えばアクリル系重合体やシリコーン系ポリマー、ポリエステルやポリウレタン、ポリエーテルや合成ゴムなどの適宜なポリマーの1種又は2種以上をベースポリマーとする粘着性物質や粘着剤を用いることができる。
【0015】就中、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。またそれに加えて吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
【0016】粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、就中、粘着性付与樹脂、ガラス繊維やガラスビーズ、金属粉やその他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤や酸化防止剤などの粘着層に添加されることのある適宜な添加剤を含有していてもよい。また上記した透明微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層であってもよい。
【0017】粘着層の付設は、適宜な方式で行うことができる。その例としては、例えば適宜な溶剤を用いて調製した粘着剤液を流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で透明保護層上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを透明保護層上に移着する方式などがあげられる。
【0018】粘着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として設けることもできる。また両側に設ける場合に偏光板の表裏において異なる組成又は種類等の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、接着力等に応じて適宜に決定でき、一般には100μm以下、就中1〜60μm、特に5〜40μmとされる。粘着層が表面に露出する場合には、実用に供するまでの間その表面をセパレータなどで被覆保護しておくことが好ましい。なおその場合、セパレータは下記の特性評価には含まれない。
【0019】本発明による偏光板は、粘着層を含めた状態で厚さを170μm以下、吸収軸方向の引き裂き強度を0.2N以下、かつその吸収軸方向に直交する偏光軸方向の破断強度を150MPa以上、前記粘着層を介したガラス板に対する接着力を15N/25mm以下に調節したものである。これにより上記した如く液晶セルやそのガラス基板を損傷させずに接着ミスした偏光板を容易に剥離できて液晶セルを再利用でき、かつ接着状態では安定した接着特性を示して剥離や浮き等の欠点を生じにくい偏光板を得ることができる。
【0020】リワーク性などの点より粘着層付偏光板の好ましい厚さは160μm以下、就中150μm以下、特に130μm以下であり、また吸収軸方向の好ましい引き裂き強度は0.18N以下、就中0.15N以下、特に0.1N以下である。さらにリワーク性と実用時における接着状態での剥離や浮き等を生じくい安定した接着特性とのバランスなどの点より粘着層を介したガラス板に対する好ましい接着力は、2〜14N/25mm、就中3〜13N/25mm、特に4〜12N/25mmである。なお接着力は、90度剥離(剥離速度300mm/分)に基づく。
【0021】一方、偏光板の耐久性などの点より偏光軸方向の好ましい破断強度は、160MPa以上、就中180MPa以上、特に200MPa以上である。かかる偏光軸方向の破断強度と前記した吸収軸方向の引き裂き強度のバランスは、例えば偏光フィルムにおける偏光軸方向の破断強度と吸収軸方向の引き裂き強度に基づいて透明保護層の厚さ等を介した強度にて制御する方式などにより達成することができる。
【0022】本発明において偏光板は、前記の厚さや強度等の条件を満足する範囲において反射型や半透過型、防眩型や反射防止型などの各種タイプのものとして形成されていてもよい。ちなみに前記の反射型偏光板は、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化をはかりやすいなどの利点を有する。
【0023】反射型偏光板の形成は、偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式で行うことができる。その具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護層の片面にアルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とした透明保護層の上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。
【0024】前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。透明保護層の表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
【0025】なお半透過型の偏光板は、前記の反射層をハーフミラーとして形成することにより得ることができる。また防眩型や反射防止型についても従来に準じたアンチグレア層や反射防止膜を設けたものとして形成することができる。偏光板にはそれを形成する偏光フィルムや透明保護層、粘着層等の各層を例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの適宜な方式により紫外線吸収能をもたせることもできる。
【0026】本発明による偏光板は、例えば薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型のもの、ツイストネマチック型やスーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型のものなどの適宜なタイプの液晶セルに適用して種々の液晶表示装置を形成することができる。なおリワークする際には、偏光板の端部等に剥がし幅を目安とした小さい傷を入れてそれを剥がし作業のきっかけとすることもできる。かかる傷を入れた場合、その傷を入れた幅で通常、一端から他端までスムーズに吸収軸方向に剥がすことができる。
【0027】
【実施例】実施例1ヨウ素吸着の一軸延伸ポリビニルアルコールからなる厚さ25μmの偏光フィルムの両面にポリビニルアルコール系接着剤層を介しTACからなる厚さ約40μmの透明保護層を接着し、その片面に厚さ25μmのアクリル系粘着層を付設して偏光板を得た。この偏光板は、総厚が130μm、吸収軸方向の引き裂き強度が0.18N、偏光軸方向の破断強度が170MPa、粘着層を介したガラス板に対する接着力が10N/25mmであった。
【0028】比較例1透明保護層の厚さを約80μmとしたほかは実施例1に準じて偏光板を得た。この偏光板は、総厚が210μm、吸収軸方向の引き裂き強度が0.34N、偏光軸方向の破断強度が300MPa、粘着層を介したガラス板に対する接着力が10N/25mmであった。
【0029】評価試験実施例、比較例で得た偏光板を10.4吋サイズの大きさにバイアスカットしてその粘着層を介し液晶セルに圧着し、50℃、0.5MPaのオートクレーブ中に15分間放置して接着状態を熟成した後、偏光板のリワークを実施した。
【0030】前記において実施例1では、リワークの開始時に偏光板における吸収軸方向の両端部にカッタで小さい傷を70mmピッチで偏光軸方向に入れて行ったところ、その70mmピッチによる幅を傷を入れない部分においても維持して吸収軸方向に沿ってその一端から他端まで一定幅で順次容易に剥がすことができ、液晶セルに異常は生じなかった。
【0031】一方、比較例ではコーナー部より吸収軸方向に剥がしたところ約半分を剥がしたところでセルのガラス基板が破損した。そこでリワークの開始時に偏光板における吸収軸方向の一端から他端にわたる長さの切れ目をカッタにより70mmピッチで偏光軸方向に入れて行った。しかしその70mmピッチ幅で吸収軸方向に沿って約半分まで剥がしたところで破断線が切れ目より逸脱し、セルに偏光板の残骸が発生した。
【出願人】 【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
【出願日】 平成12年1月6日(2000.1.6)
【代理人】 【識別番号】100088007
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勉
【公開番号】 特開2001−194528(P2001−194528A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−632(P2000−632)