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【発明の名称】 光学フィルター、これを用いた前面板及び画像表示装置
【発明者】 【氏名】生原 功

【要約】 【課題】製造適性に優れ、機械的強度の高い、多機能の光学フィルター、これを用いた前面板及び画像表示装置を提供すること、特に、赤外線遮蔽機能、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、及び色補正機能に優れた光学フィルター等を提供すること。

【解決手段】565ないし605nmの波長範囲に透過率が0.01ないし80%の吸収極大を有する可視フィルター層、低屈折率の反射防止層、電磁波遮蔽効果を有する導電性層、及び近赤外線遮断層を有する光学フィルターを画像表示装置に直接貼り付けて用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラスチック透明支持体の少なくとも片側に565乃至605nmの波長範囲に透過率が0.01乃至80%の吸収極大を有する可視フィルター層、電磁波遮断効果を有する導電性層、赤外線遮断層、およびプラスチック透明支持体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層を有し、画像表示装置の視認側に直接貼りつけて用いられることを特徴とする光学フィルター。
【請求項2】 565乃至605nmの波長範囲に透過率が0.01乃至80%の吸収極大を有する可視フィルター層、プラスチック透明支持体、電磁波遮断効果を有する導電性層、赤外線遮断層、およびプラスチック透明支持体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層が、透明支持体に積層された積層板であって、画像表示装置の前面に用いられることを特徴とする画像表示装置用前面板。
【請求項3】 請求項2記載の前面板を画像表示装置の前面に用いたことを特徴とする画像表示装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可視光を吸収する可視フィルター層(以下、単に「フィルター層」ともいう。)、透明支持体、電磁波遮断層、赤外線遮断層および低屈折率層を有する光学フィルターに関する。本発明は、詳しくは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイのような画像表示装置の表示に好ましく用いられる、反射防止、電磁波遮断、赤外線遮断および色再現性改良のために取り付ける光学フィルターに関する。さらに詳しくは、本発明は、反射防止、電磁波遮断、赤外線遮断および色再現性を改良した光学フィルターを備えたプラズマディスプレイパネル(PDP)前面板およびPDP本体等の画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、多種の画像表示装置(ディスプレイ)、例えば、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイの開発とこれらを組み込んだ機器が実用化されている。これらの画像表示装置は、様々な問題、例えば、表示素子の色純度や色分離が不十分な問題、ディスプレイ上に背景が映り込むためにコントラストが低下する問題、表示素子に起因する赤外線や電磁波の外部漏洩の問題等を抱えている。これらのそれぞれの問題に対しては、例えば、色分離のための可視フィルター、反射防止膜、赤外線遮蔽フィルター、電磁波遮蔽フィルター等をディスプレイの前面に用いることが提案されている。しかしながら、これらの各フィルターはそれぞれがディスプレイの種類により多様な課題を要求される。例えば色分離のための可視フィルターは、表示素子の特性に応じたシャープな吸収体を形成する必要があり、これ以外にもガラス練り込み等の耐熱化、物理性強化が求められる。また反射防止膜は、可視光の全領域で理想的な反射率を得るためには多層化が必要となり、蒸着法や塗布法で多層膜を形成するには工程上の困難さやコスト高の問題を伴う。従って、ディスプレイの前面に置く光学フィルターに多くの機能を持たせようとすると、それぞれの機能のフィルターに要求される特性のほかに、1つの機能が他の機能を妨げてはならないという制約が生じる。そのため、多機能の光学フィルターは未だ実用には到っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】多機能の光学フィルターを開発するにあたっては、組合わせる機能に応じた種々の課題を解決する必要がある。1つの例として、反射防止機能と、色補正のための可視フィルターを組合わせる場合を例として説明する。反射防止膜を構成している部材、例えば透明支持体あるいはハードコート層を着色することにより可視フィルターの機能をも持たせる試みが以前より行われている。しかしながら、この場合には透明支持体やハードコート層に添加できる染料や顔料は、種類が非常に限られる。その理由としては、透明支持体は、通常はプラスチックから製造されることが多く、またはガラスからも製造される。そのため、透明支持体に添加する染料や顔料には、支持体の製造時の温度に耐えられる程度の非常に高い耐熱性が要求される。一方ハードコート層は、一般に架橋しているポリマーを含む層である。ポリマーの架橋反応は、層の塗布後に加熱したり光等を照射したりして実施する。この架橋のための反応条件では退色してしまう染料や顔料が多いなどの理由による。さらに色補正に使用する染料または顔料には、画像表示装置の種類に応じて、様々な吸収スペクトル特性が要求される。上記の理由で色補正に使用する染料や顔料の種類が限られると、適切な補正を行うことが難しくなる。
【0004】上記の制約を避けるため、着色層を透明支持体やハードコート層ではなく、穏和な条件で形成できるポリマー層に染料や顔料を添加し、独立の可視フィルター層として設けることが容易に考えられる。しかしこの着色ポリマー層は、ハードコート層とは異なり、透明支持体(プラスチックまたはガラス)や反射防止膜中の低屈折率層との親和性が低く、剥離等の故障を起こしやすい欠点がある。このように、多機能の光学フィルターは、その材料に制約があることと、各機能のフィルター層の配列を工夫することが必要である。従って、本発明の目的は、製造適性に優れかつ機械的強度の高い多機能の光学フィルターおよびこれを用いた前面板ならびに画像表示装置を提供することであり、特に反射防止機能に加えて、赤外線遮蔽機能、電磁波遮蔽機能および適切な色補正機能を有する光学フィルターおよびこれを用いた前面板ならびに画像表示装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の課題は、下記の項1)に記載の光学フィルター、及び項14)に記載の前面板、及び、項24)に記載の画像表示装置等により達成された。以下に、好ましい実施態様と共に列挙する。
1)プラスチック透明支持体の少なくとも片側に、565乃至605nmの波長範囲に透過率が0.01乃至80%の吸収極大を有する可視フィルター層、電磁波遮断効果を有する導電性層、赤外線遮断層およびプラスチック透明支持体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層を有し、画像表示装置の視認側に直接貼りつけて用いられることを特徴とする光学フィルター。
2)該可視フィルター層が500乃至550nmの波長範囲に透過率が20乃至85%の吸収極大および565乃至605nmの波長範囲に透過率が0.01乃至80%の吸収極大を有する可視フィルター層である項1)に記載の光学フィルター。
3)該可視フィルター層がポリマーバインダーを含む可視フィルター層である項1又は項2)に記載の光学フィルター。
4)該導電性層の表面抵抗が0.01乃至500Ω/□である項1)〜3)いずれか1項に記載の光学フィルター。
5)該赤外線遮断層が800nm以上1200nm以下の波長の近赤外線を80%以上遮断する項1)〜4)いずれか1項に記載の光学フィルター。
6)該プラスチック透明支持体の材料が2軸延伸フィルムである項1)〜5)いずれか1項に記載の光学フィルター。
7)該プラスチック透明支持体の材料がポリエステル、ポリカーボネート、またはポリアリレートである項1)〜6)いずれか1項に記載の光学フィルター。
8)該プラスチック透明支持体の片側に、順次、25℃における弾性率が1000MPa以下1MPa以上のポリマーにより実質的に構成される1層又は2層以上の下塗り層、及び可視フィルター層を有する項1)〜7)いずれか1項に記載の光学フィルター。
9)低屈折率層とプラスチック透明支持体との間に、25℃における弾性率が1000MPa以下1MPa以上のポリマーにより実質的に構成される1層又は2層以上の下塗り層が設けられている項1)〜8)いずれか1項に記載の光学フィルター。
10)該透明支持体に設けられた低屈折率層側に設けられた下塗り層が2層からなり、透明支持体に隣接する第1層下塗り層がスチレン−ブタジエン系共重合体からなり、この第1層下塗り層に隣接する第2層下塗り層がアクリル系樹脂層からなる項9)に記載の光学フィルター。
11)項1)〜10)のいずれかに記載の光学フィルターを用いた画像表示装置。
12)該光学フィルターがプラズマディスプレイパネル(PDP)に直貼りされ用いられる項1)〜10)いずれか1項に記載のPDP用光学フィルター。
13)プラズマディスプレイパネルである項11)記載の画像表示装置。
【0006】14)565乃至605nmの波長範囲に透過率が0.01乃至80%の吸収極大を有する可視フィルター層、プラスチック透明支持体、電磁波遮断効果を有する導電性層、赤外線遮断層およびプラスチック透明支持体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層が、透明支持体に積層された積層板であって、画像表示装置の前面に用いられることを特徴とする画像表示装置用前面板。
15)該可視フィルター層が500乃至550nmの波長範囲に透過率が20乃至85%の吸収極大および565乃至605nmの波長範囲に透過率が0.01乃至80%の吸収極大を有する可視フィルター層であることを特徴とする項14)に記載の画像表示装置用前面板。
16)該可視フィルター層がポリマーバインダーを含む可視フィルター層であることを特徴とする項14)又は15)に記載の画像表示装置用前面板。
17)該導電性層の表面抵抗が0.01乃至500Ω/□であることを特徴とする項14)〜16)いずれか1項に記載の画像表示装置用前面板。
18)該赤外線遮断層が800nm以上1200nm以下の波長範囲の近赤外線を80%以上遮断する項14)〜17)いずれか1項に記載の画像表示装置用前面板。
19)該プラスチック透明支持体の材料が2軸延伸フィルムである項14)〜18)いずれか1項に記載の画像表示装置用前面板。
20)該プラスチック透明支持体の材料がポリエステル、ポリカーボネート、またはポリアリレートである項14)〜19)いずれか1項に記載の画像表示装置用前面板。
21)該プラスチック透明支持体の片側に、順次、25℃における弾性率が1000MPa以下1MPa以上のポリマーにより実質的に構成される1層又は2層以上の下塗り層、及び可視フィルター層を有する項14)〜20)いずれか1項に記載の画像表示装置用前面板。
22)低屈折率層とプラスチック透明支持体との間に、25℃における弾性率が1000MPa以下1MPa以上のポリマーにより実質的に構成される1層又は2層以上の下塗り層が設けられていることを特徴とする項14)〜21)いずれか1項に記載の画像表示装置用前面板。
23)該透明支持体に設けられた低屈折率層側に設けられた下塗り層が2層からなり、透明支持体に隣接する第1層下塗り層がスチレン−ブタジエン系共重合体からなり、この第1層下塗り層に隣接する第2層下塗り層がアクリル系樹脂層からなる項22)に記載の画像表示装置用前面板。
24)項14)〜23)のいずれか1項に記載の画像表示装置用前面板を用いた画像表示装置。
25)該画像表示装置用前面板がプラズマディスプレイパネル(PDP)に用いられる項24)に記載のPDP用前面板。
26)プラズマディスプレイパネルである項24)に記載の画像表示装置。
【0007】本発明の画像表示装置に用いられる光学フィルターの代表的な層構成を、図面を参照しながら説明する。以下、陰極管表示装置(CRT)およびプラズマディスプレイパネル(PDP)用の光学フィルターまたは光学フィルターを有した前面板として使用する場合の層構成について説明する。
【0008】図1は、陰極管表示装置(CRT)またはプラズマディスプレイパネル(PDP)の本体Aの前面に本発明の光学フィルターCまたは前面板Dを用いた場合の断面概念図である。図1(a)は本体Aに、各種のフィルター層や反射防止層等が光学フィルターの支持体の片側または両側に設けられているプラスチック支持体を含む光学フィルターCを直貼り(直接貼り付け)した場合であり、図1(b)は本体Aと前面板Dとの間に空間があり、各種フィルター層や反射防止層からなる光学フィルターまたはその一部Cが前面板の支持体Bの両面に設けられている場合の概念図である。なお、本発明において、「前面板」とは、各種のフィルター層や反射防止層からなる光学フィルターまたはその一部を、別の支持体(プラスチックまたは透明ガラス等)の片側または両側に積層したものであって、ディスプレイ装置と観察者との間に、好ましくはディスプレイ装置の直前に設置されるものをいう。
【0009】図2は光学フィルターおよび前面板の層構成の断面模式図である。図2(a)および図2(b)は図1(a)の配置に対応する光学フィルターの層構成の例であり、図2(c)および図2(d)は図1(b)の配置に対応する前面板の層構成の例である。図2(a)では透明支持体とハードコート層および透明支持体とフィルター層との間には、十分な接着強度を得るために下塗り層を設けることが好ましい。図2(b)では透明支持体とハードコート層および透明支持体と電磁波および赤外線遮蔽層との間に十分な接着強度を得るために下塗り層を設けることが好ましい。フィルター層と画像表示装置本体との間は、例えば市販のアクリル系粘着剤を用いて容易に接着することができる。図2(c)および図2(d)では透明支持体とフィルター層および透明支持体と反射防止層との間には、十分な接着強度を得るために下塗り層を設けることが好ましい。
【0010】以下本発明の光学フィルターおよびそれを用いた前面板を構成する各材料とその構成について説明する。
(透明支持体)透明支持体を形成する材料の例には、セルロースエステル(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアリレート(例 ビスフェノールAとフタル酸の縮合物)、ポリスチレン(例、シンジオタクチックポリスチレン)、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン)、アクリル(ポリメチルメタクリレート)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドおよびポリオキシエチレンが含まれる。ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレートが好ましい。ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートが最も好ましい。
【0011】支持体の厚みは5μm以上5cm以下であることが好ましく、25μm以上1cm以下であることがさらに好ましく、80μm以上1.2mm以下であることが最も好ましい。透明支持体の透過率は80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。ヘイズは、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。屈折率は、1.45乃至1.70であることが好ましい。
【0012】透明支持体に、赤外線吸収剤あるいは紫外線吸収剤を添加してもよい。赤外線吸収剤の添加量は、透明支持体の0.01乃至20重量%であることが好ましく、0.05乃至10重量%であることがさらに好ましい。さらに滑り剤として、不活性無機化合物の粒子を透明支持体に添加してもよい。無機化合物の例には、SiO2 、TiO2 、BaSO4 、CaCO3 、タルクおよびカオリンが含まれる。
【0013】透明支持体には下塗り層との接着性をより強固にするために表面処理を施すことが好ましい。表面処理の例には、薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、およびオゾン酸化処理が含まれる。グロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理および火炎処理が好ましく、コロナ放電処理がさらに好ましい。
【0014】本発明の光学フィルターは、565乃至605nmの波長範囲に透過率が0.01乃至80%の吸収極大を有する可視フィルター層、電磁波遮断効果を有する導電性層、赤外線遮断層、およびプラスチック透明支持体の屈折率よりも低い屈折率を有する低屈折率層、それぞれ少なくとも1層プラスチック透明支持体上に有する。これらの各層は、独立の層であっても良いが、2以上の機能を兼備する層として設けても良い。又、これらの各層は、支持体の同一側に設けることもでき、支持体の両側に分けて設けることもできる。例えば、後の実施例にも示すように、可視フィルター層と近赤外フィルター層とを一層とすることができる。又、電磁波遮断層(「電磁波遮へい層」ともいう。)と近赤外遮断層(「近赤外遮へい層」ともいう。)とを兼備する銀のスパッター製膜層等を用いることができる。電磁波遮断層、近赤外線遮断層、及び反射防止層の3機能を併せ持つTiO2と銀とを交互に3ないし5層スパッター製膜により積層した構成等も本発明に採用できる。
【0015】以下に各機能の層を独立層として使用する場合を中心に説明する。
(可視フィルター層)可視フィルター層とは、可視光(波長範囲400−700nm)を選択的に吸収する層をいう。フィルター層の厚さは0.1μm乃至5cmであることが好ましく、0.5μm乃至1cmであることがさらに好ましく、1μm乃至7mmであることが最も好ましい。フィルター層は565乃至605nm(565nm以上605nm以下、以下同じ。)の波長範囲に吸収極大を持ち、より好ましくは575乃至595nmの波長範囲に吸収極大をもつことである。また、500乃至550nmの波長範囲に吸収極大を持っていてもよい。
【0016】500乃至550nmの波長範囲の透過率は20乃至85%の範囲であることが好ましく、より好ましくは40乃至85%の範囲である。500乃至550nmの波長範囲の吸収極大は、視感度が高い緑の蛍光体の発光強度を調整するために設定される。緑の蛍光体の発光域は、なだらかにカットすることが好ましい。500乃至550nmの波長範囲の吸収極大での半値幅(吸収極大での吸光度の半分の吸光度を示す波長領域の幅)は、30乃至300nmであることが望ましく、40乃至300nmであることがより好ましく、50乃至150nmであることがさらに好ましく、60乃至150nmであることが最も好ましい。
【0017】565乃至605nmの波長範囲の吸収極大での透過率は、0.01乃至80%の範囲であり、好ましくは0.01乃至40%の範囲である。この数値限定は、複数の可視フィルター層を設けた場合には、全体の透過率について適用される。565乃至605nmの波長範囲の吸収極大は、赤色蛍光体の色純度を低下させているサブバンドを選択的にカットするために設定される。PDPにおいては、ネオンの励起によって放出される585nm付近の不要な発光をカットすると同時に赤色蛍光体からの短波側の光をカットする。本発明により吸収極大を分離したことで、緑の蛍光体の色調に悪影響を与えること無く、選択的に光をカットできる。緑の蛍光体の色調への影響をさらに低下させるため、吸収スペクトルのピークをシャープにすることが好ましい。具体的には、565乃至605nmの波長範囲の吸収極大での半値幅は、5乃至200nmであることが望ましく、10乃至100nmであることがより好ましく、12乃至50nmであることが最も好ましい。
【0018】上記の吸収スペクトルを付与するために、色素(染料または顔料)を用いて、フィルター層を形成することができる。500乃至550nmの波長範囲に吸収極大を持つ染料としては、スクアリリウム系、アゾメチン系、シアニン系、オキソノール系、アントラキノン系、アゾ系またはベンジリデン系の化合物が好ましく用いられる。アゾ染料としては、GB539703号、同575691号、US2956879号および堀口 博著「総説 合成染料」三共出版などに記載の多くのアゾ染料を使用することができる。波長が500乃至550nmの範囲に吸収極大を持つ色素の例を以下に示す。
【0019】
【化1】

【0020】
【化2】

【0021】
【化3】

565乃至605nmの波長範囲に吸収極大を持つ染料としては、シアニン系、スクアリリウム系、アゾメチン系、キサンテン系、オキソノール系またはアゾ系の化合物が好ましく用いられる。565乃至605nmの波長範囲に吸収極大を持つ色素の例を以下に示す。
【0022】
【化4】

【0023】
【化5】

【0024】
【化6】

【0025】また、500乃至550nmの波長範囲と565乃至605nmの波長範囲の両方に吸収極大を持つ染料をフィルター層に用いることもできる。例えば、染料を微粒子分散物のような会合体の状態にすると、一般に波長が長波長側にシフトして、ピークがシャープになる。そのため、500乃至550nmの波長範囲に吸収極大を持つ染料には、その会合体が565乃至605nmの範囲に吸収極大を持つものもある。そのような染料が部分的に会合体を形成した状態で使用すると、500乃至550nmの波長範囲と565乃至605nmの波長範囲の両方に吸収極大を得ることができる。そのような色素の例を以下に示す。
【0026】
【化7】

【0027】フィルター層には、以上に記載した、波長吸収範囲がほぼ同一である、または異なる、2種または3種類以上の染料を組み合わせて用いることができる。可視フィルター染料と近赤外フィルター染料とを同一の塗布層に併用することもできる。
【0028】(バインダー)フィルター層は、染料のほかに適当なバインダーを含むことが好ましく、特に好ましくはポリマーバインダーを含む。天然ポリマー(例、ゼラチン、セルロース誘導体、アルギン酸)または合成ポリマー(例、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、水溶性ポリアミド)をポリマーバインダーとして用いることができる。親水性ポリマー(上記天然ポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポビニルアルコール、水溶性ポリアミド)が特に好ましい。
【0029】(下塗り層)本発明では、前述の、又は、後述の、反射防止層、フィルター層、赤外遮断層、電磁波遮断層を支持体上に設けることができ、この場合には支持体とこれらの機能層との間に、1層又は2層以上の下塗り層を設けることができる。この下塗り層としては、25℃における弾性率が1000MPa以下1MPa以上、好ましくは800MPa以下5MPa以上、さらに好ましくは500MPa以下10MPa以上の柔らかいポリマーが好ましい。またその厚みとしては好ましくは2nm以上20μm以下、さらに好ましくは5nm以上5μm以下、最も好ましくは50nm以上1μm以下である。本発明の下塗り層に使用される好ましいポリマーは、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ブタジエン、ネオプレン、スチレン、クロロプレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロニトリルまたはメチルビニルエーテルいずれかの単独重合またはこれらのビニルモノマーよりなる群より選ばれた2種以上のモノマーを共重合したコポリマー(共重合体)である。
【0030】(低屈折率層による反射防止層)反射防止層とは、正反射率が3.0%以下の層を意味し、好ましくは1.8%以下の正反射率を有する層である。反射防止層としては通常低屈折率層を設けることが有用である。低屈折率層の屈折率は、上記透明支持体の屈折率よりも低い。低屈折率層の屈折率は、1.20以上1.55以下であることが好ましく、1.30以上1.50以下であることがさらに好ましい。低屈折率層の厚さは、50以上400nm以下であることが好ましく、50以上200nm以下であることがさらに好ましい。低屈折率層は、屈折率の低い含フッ素ポリマーからなる層(特開昭57−34526号、特開平3−130103号、同6−115023号、同8−313702号、同7−168004号の各公報記載)、ゾルゲル法により得られる層(特開平5−208811号、同6−299091号、同7−168003号の各公報記載)、あるいは微粒子を含む層(特公昭60−59250号、特開平5−13021号、同6−56478号、同7−92306号、同9−288201号の各公報に記載)として形成することができる。微粒子を含む層では、微粒子間または微粒子内のミクロボイドとして、低屈折率層に空隙を形成することができる。微粒子を含む層は、3乃至50体積%の空隙率を有することが好ましく、5乃至35体積%の空隙率を有することがさらに好ましい。
【0031】広い波長領域の反射を防止するためには、低屈折率層に加えて、屈折率の高い層(中・高屈折率層)を積層することが好ましい。中・高屈折率層は、本発明の下塗り層よりも高い屈折率を持つ層であり、中・高屈折率層を併用することにより、低屈折率層のみを用いた場合よりも広い範囲で、高い反射防止効果を有する。高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との中間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50乃至1.90であることが好ましい。中・高屈折率層の厚さは、5nm乃至100μmであることが好ましく、10nm乃至10μmであることがさらに好ましく、30nm乃至1μmであることが最も好ましい。中・高屈折率層のヘイズは、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。中・高屈折率層は、比較的高い屈折率を有するポリマーを用いて形成することができる。屈折率が高いポリマーの例には、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリカーボネート、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂および環状(脂環式または芳香族)イソシアネートとポリオールとの反応で得られるポリウレタンが含まれる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式)基を有するポリマーや、フッ素以外のハロゲン原子を置換基として有するポリマーも、屈折率が高い。二重結合を導入してラジカル硬化を可能にしたモノマーの重合反応によりポリマーを形成してもよい。
【0032】さらに高い屈折率を得るため、ポリマーバインダー中に無機微粒子を分散してもよい。無機微粒子の屈折率は、1.80乃至2.80であることが好ましい。無機微粒子は、金属の酸化物または硫化物から形成することが好ましい。金属の酸化物または硫化物の例には、二酸化チタン(例、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造)、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムおよび硫化亜鉛が含まれる。酸化チタン、酸化錫および酸化インジウムが特に好ましい。無機微粒子は、これらの金属の酸化物または硫化物を主成分とし、さらに他の元素を含むことができる。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(重量%)が多い成分を意味する。他の元素の例には、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、PおよびSが含まれる。被膜形成性で溶剤に分散し得るか、それ自身が液状である無機材料、例えば、各種元素のアルコキシド、有機酸の塩、配位性化合物と結合した配位化合物(例、キレート化合物)、活性無機ポリマーを用いて、中・高屈折率層を形成することもできる。
【0033】(電磁波遮へい層および赤外線遮へい層)本発明において電磁波遮断効果を有する導電性層を設けることができる。この導電性層の表面抵抗は0.01乃至500Ω/□、より好ましくは0.01乃至10Ω/□である。電磁波遮蔽効果を付与するには、前面板の可視光透過率を低下させないため透明導電層を用いることが好ましい。透明導電層としては、金属層、金属酸化物層、導電性ポリマー層等を挙げるこができる。透明導電層を形成する金属としては、例えば銀、パラジウム、金、白金、ロジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、錫、タングステン、イリジウム、鉛単独もしくはこれらの合金を挙げることができるが、好ましくは銀、パラジウム、金、白金、ロジウム単独もしくはこれらの合金である。ここで銀とパラジウムの合金が好ましく、このとき銀の含有率は60%乃至99%が好ましく、80%乃至98%が更に好ましい。金属層の膜厚は1〜100nmが好ましく、5〜40nmが更に好ましく、10〜30nmが最も好ましい。膜厚が1nm未満では電磁波遮蔽効果が乏しく、100nmを超えると可視光線の透過率が低下する。透明導電層を形成する金属酸化物としては、例えば酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ITO、ATOなどを挙げることができる。この膜厚は20〜1000nmが好ましい。さらに好ましくは40〜100nmである。これら金属透明導電層と酸化物透明導電層を合わせて用いるのも好ましい。また、同一層内に金属と導電性金属酸化物が共存することも好ましい。金属層の保護、酸化劣化防止および可視光線の透過率を高めるために透明酸化物層を積層することができる。この透明酸化物層は導電性があってもなくてもかまわない。透明酸化物層としては例えば2〜4価金属の酸化物、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび金属アルコキサイド化合物等の薄膜が挙げられる。透明導電層、透明酸化物層を形成する方法としては特に制限はなく、任意の加工処理方法を選択することが可能である。例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法あるいはPVD法、該当する金属あるいは金属酸化物の超微粒子の塗布等いずれの公知技術も用いることが可能である。
【0034】本発明における赤外線遮蔽効果(「赤外線遮断効果」ともいう。)とは、800乃至1200nmの近赤外領域の線スペクトルを遮へいする機能をいう。この近赤外領域の線スペクトル遮蔽特性は800nmの透過率が15%以下、850nmでは5%以下であることが好ましい。この赤外線遮蔽効果を付与するには透明プラスチック支持体に近赤外吸収性化合物を混合する方法を用いることができる。例えば銅原子を含有する樹脂組成物(特開平6−118228号公報)、銅化合物、リン化合物を含有する樹脂組成物(特開昭62−5190号公報)、銅化合物、チオ尿素誘導体を含有する樹脂組成物(特開平6−73197号公報)、タングステン系化合物を含有する樹脂組成物(US3647729号公報)などを形成することによって容易に製造できる。別の方法として可視フィルター層と同様に、色素(染料または顔料)を用いて赤外線遮蔽フィルター層を形成する方法もある。近赤外領域に吸収を持つ染料としてはシアニン系の化合物が好ましく用いられる。約800nm〜1200nmの波長範囲に吸収極大を持つ色素の例を以下に示す。
【0035】
【化8】

【0036】銀を透明状に成膜する方法が電磁波遮蔽に加えて赤外線遮蔽効果を持たせる方法として安価であり好ましい。近赤外線遮蔽層には、以上に記載した、波長吸収範囲がほぼ同一である、または異なる、2種または3種類以上の手段を組み合わせて用いることができる。
【0037】(無機ガラス基板)本発明の前面板に用いる無機ガラス基板の厚みは1mm乃至5mmが好ましく、1.5mm乃至4.5mmがより好ましく、2mm乃至4mmが最も好ましい。材質としてはパネル本体を保護する観点および安全性の観点から強化ガラスが好ましい。
(その他の層)本発明には、ハードコート層、潤滑層、防汚層、帯電防止層あるいは中間層を設けることもできる。ハードコート層は、架橋しているポリマーを含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シロキサン系のポリマー、オリゴマーまたはモノマー(例、紫外線硬化型樹脂)を用いて形成することができる。シリカ系のフィラーをハードコート層に添加することもできる。反射防止膜の最表面には潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、反射防止膜表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例、シリコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤またはその誘導体を用いて形成することができる。潤滑層の厚さは、2乃至20nmであることが好ましい。または反射防止膜の最表面に防汚層を設けることもできる。防汚層は反射防止層の表面エネルギーを下げ、親水性、親油性の汚れを付きにくくするものである。そのほか防汚層は含フッ素ポリマーを用いて形成することができる。防汚層の厚さは2nm乃至100nm、好ましくは5nm乃至30nmである。
【0038】本発明においては、表面にアンチグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に映るのを防止する機能)を付与することができる。例えば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成し、そしてその表面に反射防止層を形成するか、あるいは反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を得ることができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3乃至30%のヘイズを有する。
【0039】反射防止層(低屈折率層)、フィルター層、赤外線や電磁波の遮蔽層、下塗り層、ハードコート層、潤滑層、防汚層、その他の層は、一般的な塗布方法により形成することができる。塗布方法の例には、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法およびホッパーを使用するエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書記載)が含まれる。二以上の層を同時塗布により形成してもよい。同時塗布法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著「コーティング工学」253頁(1973年朝倉書店発行)に記載がある。また、本発明における反射防止層および赤外線や電磁波の遮蔽層の成膜方法には、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法あるいはPVD法も透明支持体の耐熱性等の改良に合わせて適宜選択することができるが、塗布方法がより好ましい。
【0040】本発明において、発明の構成素材(例えば、支持体の材料の種類、染料の種類、下塗り層の素材、赤外線や電磁波の遮蔽層の素材、反射防止層用の低屈折率ポリマーの種類、等)及び、諸特性(例えば、可視フィルターの透過率、、電磁波遮蔽層の表面抵抗値、赤外遮蔽層の赤外透過率、下塗り層の弾性率範囲、等)から選ばれた2つ以上の好ましい構成素材又は特性の組み合わせをも又本発明の好ましい実施態様として使用することができる。
【0041】(本発明の光学フィルターおよび前面板の用途)本発明の光学フィルターおよび前面板は、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。本発明の光学フィルターおよび前面板は特に、プラズマディスプレイパネル(PDP)および陰極管表示装置(CRT)の光学フィルターおよび前面板として使用すると、顕著な効果が得られる。プラズマディスプレイパネル(PDP)は、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料および蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の二枚である。二枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。二枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。光学フィルターおよび前面板はこれらプラズマディスプレイ本体を保護するように、本体前面に位置する。光学フィルターおよび前面板は本体を保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。本発明の光学フィルターおよび前面板は、プラズマディスプレイ本体と隙間をおいて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直接貼り付けて使用することもできる。プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
【0042】
【実施例】実施例1(下塗り層の形成)厚さ175μmの透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面をコロナ処理した後、両面に屈折率1.55、25℃における弾性率100MPa、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(日本ゼオン(株)製、LX407C5)を塗布し、下塗り層を形成した。乾燥後の膜厚さとして、フィルター層を設ける面には厚さ300nm、低屈折率層を設ける面には厚さ150nmとなるように塗布した。
【0043】(第2下塗り層の形成)フィルター層を設ける面の下塗り層の上に、酢酸とグルタルアルデヒドを含むゼラチン水溶液を、乾燥後の厚さ100nmとなるように塗布し、反射防止層を設ける面の下塗り層の上には屈折率1.50、25℃における弾性率120MPa、ガラス転移温度50℃のアクリル系ラテックス(HA16、日本アクリル(株)製)を乾燥後の厚さ20nmとなるように塗布し、第2下塗り層を形成した。
【0044】(反射防止層としての低屈折率層の形成)反応性フッ素ポリマー(JN−7219、日本合成ゴム(株)製)2.50gにt-ブタノール1.3gを加え、室温で10分間攪拌し、1μmのポリプロピレンフィルターでろ過した。得られた低屈折率層用塗布液を、透明支持体の片面(スチレン−ブタジエンコポリマーラテックス150nm、アクリルラテックス20nmを下塗り層とする面)に、バーコーターを用いて乾燥膜厚が96nmとなるように塗布し、120℃で15分間乾燥して硬化させ低屈折率層を形成した。
【0045】(可視および近赤外フィルター層の形成)ゼラチンの10重量%水溶液180gに、染料(b14)0.05gおよび染料(c2)0.05gを溶解させ、40℃で30分間攪拌した後、2μmのポリプロピレンフィルターでろ過した。得られたフィルター層用塗布液を透明支持体の低屈折率層を塗布した側とは反対側の第2下塗り層上に、乾燥膜厚が3.5μmとなるように塗布し、120℃で10分間乾燥して可視および近赤外フィルター層を形成し、反射防止層と可視および近赤外フィルター層を付与した支持体を作製した。
【0046】上記支持体の可視光分光透過率を調べたところ、586nmに吸収極大を有し、吸収極大での透過率は9%であった。吸収極大の半値幅は30nmであった。
【0047】(ガラス透明支持体上への電磁波および赤外線遮へい層、反射防止層の塗設)厚さ3mmの無色透明強化ガラス板の表面に銀をスパッターし、表面抵抗が2.2Ω/□となるように厚さ約13nmの膜を塗設した。こうして塗設した銀の膜の上に、真空蒸着法を用いてMgF2、次にSiO2、TiO2、MgF2の順に光学膜厚(屈折率と膜厚の積)が130〜140nmとなるように蒸着した。この反射防止膜の反射率を測定したところ、500〜600nm波長範囲での平均反射率は0.6%であった。
(前面板の作製)低屈折率層および可視および近赤外フィルター層を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムのフィルター層面にアクリル系の粘着剤を厚さ30μmの厚さで塗布し、上記反射防止層を蒸着したガラス板の反射防止層を蒸着した面とは反対面に貼りつけ、本発明の前面板を作製した。
【0048】実施例2(下塗り層の形成)実施例1と同様にして下塗り層を形成した。
【0049】(第2下塗り層の形成)実施例1と同様にして第二下塗り層を形成した。
【0050】(反射防止層としての低屈折率層の形成)実施例1と同様にして低屈折率層を形成した。
【0051】(可視および近赤外線フィルター層の形成)実施例1と同様にしてフィルター層を形成し、反射防止層と可視および近赤外フィルター層を付与した支持体を作製した。
【0052】(ガラス透明支持体上への電磁波および赤外線遮へい層、反射防止層の塗設)厚さ3mmの無色透明強化ガラス板の表面にTiO2と銀をTiO2/銀/TiO2/銀/TiO2の順序(膜厚21/13/50/13/21nm)で5層の膜をスパッター製膜した。表面抵抗は1.9Ω/□であった。この反射防止膜の反射率を測定したところ、500〜600nm波長範囲での平均反射率は1.0%であった。
【0053】(前面板の作製)電磁波および赤外線遮へい層、反射防止層を塗設したガラス透明支持体上に実施例1と同様に反射防止層および可視および近赤外フィルター層を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムを貼りつけ、前面板を作製した。
【0054】実施例3(下塗り層の形成)実施例1と同様にして下塗り層を形成した。
【0055】(第2下塗り層の形成)実施例1と同様にして第二下塗り層を形成した。
【0056】(反射防止層としての低屈折率層の形成)実施例1と同様にして低屈折率層を形成した。
【0057】(可視および近赤外フィルター層の形成)ゼラチンの10重量%水溶液180gに、染料(b7)0.05g、染料(a2)0.15gおよび染料(c2)0.05gを溶解させ、40℃で30分間攪拌した後、2μmのポリプロピレンフィルターでろ過した。得られたフィルター層用塗布液を実施例1と同様に塗布し、反射防止層とフィルター層を付与した支持体を作製した。
【0058】上記支持体の可視光分光透過率を調べたところ、535nmと595nmに吸収極大を有し、吸収極大での透過率は、535nmの吸収極大が65%、595nmの吸収極大が25%であった。吸収極大の半値幅は、535nmの吸収極大が63nm、595nmの吸収極大が29nmであった。
【0059】(前面板の作製)実施例2と同様に電磁波および赤外線遮へい層、反射防止層を塗設したガラス透明支持体上に実施例1と同様に、反射防止層および可視および近赤外フィルター層を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムを貼りつけ前面板を作製した。
【0060】(フィルター機能の評価)プラズマディスプレイパネル(PDS4202J−H、富士通(株)製)の前面板を取り外し、実施例1〜3で作製した前面板を、反射防止層および可視および近赤外フィルター層を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムを貼りつけた面をプラズマディスプレイパネル本体側に向けて取り付けた。電磁波および近赤外線遮へい層をプラズマディスプレイパネルの背面の金属部アースに接続し、プラズマディスプレイパネルより放射される電磁波により電磁波および近赤外線遮へい層に誘起される電圧をアースに導通し、機能の評価を実施した。評価項目として、電磁波および赤外線遮へい能、表示される画像のコントラストの測定および目視による色再現性の評価を行った。電磁波遮へい能は、実施例1〜3のいずれにおいても周波数10MHz〜200MHzの範囲で最低9デシベル以上が得られ、情報処理装置等で規制されている電磁波の外部漏洩レベルを達成した。また、近赤外線領域の線スペクトル遮へい能は、800nmで約8%、850nmでは3%以下となり、周辺に設置される赤外線リモートコントロール装置に対する妨害を防止できた。コントラストおよび目視による色再現性は実施例1〜3の前面板を用いた画像表示装置のいずれにおいても著しく改善された。コントラストは前面板を交換する前は10:1であったが実施例ではいずれも15:1であった。前面板の交換前にくらべて、オレンジ色の入った赤が純赤に、緑がかった青が鮮やかな青に、また黄ばんだ感じの白が純白に改良されていることを確認した。
【0061】実施例4(下塗り層の形成)厚さ175μmの透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの両面をコロナ処理した後、両面に屈折率1.55、25℃における弾性率100MPa、ガラス転移温度37℃のスチレン−ブタジエンコポリマーからなるラテックス(日本ゼオン(株)製、LX407C5)を塗布し、下塗り層を形成した。乾燥後の膜厚さとして、フィルター層を設ける面には厚さ300nm、ハードコート層を設ける面には厚さ200nmとなるように塗布した。
【0062】(ハードコート層第2下塗り層の形成)ハードコート層を設ける面の下塗り層の上に屈折率1.50、25℃における弾性率120MPa、ガラス転移温度50℃のアクリル系ラテックス(HA16、日本アクリル(株)製)を乾燥後の厚さ50nmとなるように塗布し、第2下塗り層を形成した。
【0063】(ハードコート層の塗設)第2下塗り層を形成した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面(スチレン−ブタジエンコポリマーラテックス200nm、アクリルラテックス50nmを下塗り層とする面)に、ハードコート層として、紫外線硬化法により、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート層(膜厚10μm)を形成した。形成に用いた手法は、コンベア式紫外線硬化法であり、高圧水銀ランプを用いて750mJ/cm2のエネルギー密度で照射した。
(電磁波および赤外線遮へい層、反射防止層の塗設)ハードコート層の表面にTiO2と銀をTiO2/銀/TiO2/銀/TiO2の順序(膜厚22/13/51/14/21nm)で5層の膜をスパッター製膜した。表面抵抗は2.0Ω/□であった。この膜表面の反射率を測定したところ、500〜600nm波長範囲での平均反射率は1.1%であった。
【0064】(フィルター層第2下塗り層の形成)2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの電磁波および赤外線遮へい層、反射防止層の塗設を行った面とは反対面の下塗り層の上に、酢酸とグルタルアルデヒドを含むゼラチン水溶液を、乾燥後の厚さが100nmとなるように塗布し、第2下塗り層を形成した。
【0065】(可視および近赤外線フィルター層の形成)ゼラチンの10重量%水溶液180gに、染料(b14)0.05gおよび染料(c2)0.05gを溶解させ、40℃で30分間攪拌した後、2μmのポリプロピレンフィルターでろ過した。得られたフィルター層用塗布液を第2下塗り層上に、乾燥膜厚が3.5μmとなるように塗布し、120℃で10分間乾燥してフィルター層を形成し、片面にハードコート層、電磁波および赤外線遮へい層、反射防止層を、もう一方の面に可視および近赤外フィルター層を付与した支持体を作製した。
【0066】上記光学フィルターの可視光分光透過率を調べたところ、585nmに吸収極大を有し、吸収極大での透過率は7%であった。吸収極大の半値幅は29nmであった。
【0067】実施例5(下塗り層の形成)実施例4と同様にして下塗り層を形成した。
【0068】(ハードコート層第2下塗り層の形成)実施例4と同様にしてハードコート層第2下塗り層を形成した。
【0069】(ハードコート層の塗設)実施例4と同様にしてハードコート層を塗設した。
(電磁波および赤外線遮へい層、反射防止層の塗設)実施例4と同様にして電磁波および赤外線遮へい層、反射防止層をスパッター製膜した。
【0070】(フィルター層第2下塗り層の形成)実施例4と同様にしてフィルター層第2下塗り層を形成した。
【0071】(可視および近赤外フィルター層の形成)ゼラチンの10重量%水溶液180gに、染料(b7)0.05g、染料(a2)0.15gおよび染料(c2)0.05gを溶解させ、40℃で30分間攪拌した後、2μmのポリプロピレンフィルターでろ過した。得られたフィルター層用塗布液を実施例4と同様に塗布した。
【0072】上記光学フィルターの分光透過率を調べたところ、535nmと595nmに吸収極大を有し、吸収極大での透過率は、535nmの吸収極大が64%、595nmの吸収極大が23%であった。吸収極大の半値幅は、535nmの吸収極大が62nm、595nmの吸収極大が29nmであった。
【0073】(パネル本体への直貼り)反射防止層およびフィルター層を塗設したポリエチレンテレフタレートフィルムのフィルター層面にアクリル系の粘着剤を厚さ30μmの厚さで塗布した。次にプラズマディスプレイパネル(PDS4202J−H、富士通(株)製)の前面板を取り外し、粘着剤を介してプラズマディスプレイパネル本体に直貼りした。
【0074】(フィルター機能の評価)実施例4及び5で作製した光学フィルターにつき同じ評価を実施した。電磁波および近赤外線遮へい層をプラズマディスプレイパネルの背面の金属部アースに接続し、プラズマディスプレイパネルより放射される電磁波により電磁波および近赤外線遮へい層に誘起される電圧をアースに導通し、機能の評価を実施した。評価項目として、電磁波および赤外線遮へい能、表示される画像のコントラストの測定および目視による色再現性の評価を行った。電磁波遮へい能は、実施例4及び5のいずれにおいても周波数10MHz〜200MHzの範囲で最低9デシベル以上が得られ、情報処理装置等で規制されている電磁波の外部漏洩レベルを達成した。また、近赤外線領域の線スペクトル遮へい能は、800nmで約9%、850nmでは4%以下となり、周辺に設置される赤外線リモートコントロール装置に対する妨害を防止できた。コントラストおよび目視による色再現性は実施例4及び5のいずれにおいても著しく改善された。コントラストは前面板を取り外した状態で、光学フィルターを直貼りする前は6:1であったが実施例ではいずれも12:1であった。光学フィルターを直貼りする前にくらべて、オレンジ色の入った赤が純赤に、緑がかった青が鮮やかな青に、また黄ばんだ感じの白が純白に改良されていることを確認した。
【0075】
【出願人】 【識別番号】000005201
【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社
【出願日】 平成12年1月13日(2000.1.13)
【代理人】 【識別番号】100101719
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 恭弘
【公開番号】 特開2001−194524(P2001−194524A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−10038(P2000−10038)