| 【発明の名称】 |
光分解光学系及びそれを含む撮像光学系 |
| 【発明者】 |
【氏名】天野 佐代子
|
| 【要約】 |
【課題】誘電体膜により反射される有効部外の光に起因するゴースト光の影響を抑えることができ、良好な画像が得られる簡単な構成の光分解光学系及びそれを含む撮像光学系を提供すること。
【解決手段】光軸に沿って直列に接合又は微小隙間を置いて配置された少なくとも2個のプリズムと、該少なくとも2個のプリズムの射出面に施された誘電体膜とを用いて、入射光束を複数に色分解させる光分解光学系において、前記色光を透過させるのみの前記誘電体膜と、前記プリズムの射出面との間には、入射光を遮断する遮光部材が、有効部外の光束が入射する領域に配置されていること。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光軸に沿って直列に接合又は微小隙間を置いて配置された少なくとも2個のプリズムと、該少なくとも2個のプリズムの射出面に施された誘電体膜とを用いて、入射光束を複数に色分解させる光分解光学系において、前記色光を透過させるのみの前記誘電体膜と、前記プリズムの射出面との間には、入射光を遮断する遮光部材が、有効部外の光束が入射する領域に配置されていることを特徴とする光分解光学系。 【請求項2】 前記遮光部材は、前記誘電体膜の入射光側の、前記プリズムの射出面上に接着されていることを特徴とする請求項1記載の光分解光学系。 【請求項3】 前記遮光部材は、前記誘電体膜の入射光側に配設されていることを特徴とする請求項1、又は2記載の光分解光学系。 【請求項4】 対物レンズと、この対物レンズからの光束を複数の色光に色分解する請求項1、2、又は3記載のいずれか1項の光分解光学系とを有することを特徴とする撮像光学系。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、テレビカメラやビデオカメラ等の撮像光学系に用いられる光分解光学系に関し、特に、対物レンズからの光束をプリズムにより複数の色光に分解させ、分解した各色光を撮像素子に導光する構成の光分解光学系及びそれを含む撮像光学系に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、カラーテレビカメラ等においては、対物レンズと撮像素子との間に、色分解手段として複数のプリズムより成る色分解光学系を配置している。 【0003】この色分解光学系は、多層膜より成るダイクロイック誘電体膜を1つの面に施した所定形状のプリズムが複数用いられ、所定の関係を有しつつ一体的に組み合わされている。そして、対物レンズより入射した光束を各々のプリズムを介して各々の色光に分解し、所定の撮像素子へ導くように構成されている。 【0004】このような構成の3つのプリズムを有する従来の色分解光学系を図4に示している。同図において、201は3色分解光学系で、3つのプリズム202,203,204を有し、各プリズム202,203の各反射面202b,203bにはダイクロイック誘電体膜が施され、プリズム204の射出面204bにはトリミングフィルターとしての透過特性を有するトリミングダイクロイック誘電体膜30が施されている。各ダイクロイック誘電体膜は、光の波長によって反射あるいは透過する波長特性を有しており、入射光束を反射(あるいは透過)することにより各色成分毎に分解する。 【0005】各プリズム202,203の各射出面202c,203cとプリズム204の射出側204bには、各々撮像素子(CCD)211,222,223が配置されている。 【0006】この構成において、図示しない対物レンズからの光束は、プリズム202の入射面202aより入射し、ダイクロイック誘電体膜の反射面202bで第1の色光(青色)のみが反射され、その他の成分は透過することにより色分解される。反射面202bを透過した光束は、プリズム203の入射面203aより入射し、ダイクロイック誘電体膜の反射面203bで第2の色光(赤色)のみが反射され、その他の光束は透過する。プリズム203の反射面203bを透過した光束は、プリズム204の入射面204aより入射して、トリミングダイクロイック誘電体膜30の射出面204bを透過することにより不要な色成分が除去されつつ射出する。そして、射出された光束は撮像素子223上に結像する。このトリミングダイクロイック誘電体膜30の透過特性を図5(C)に示している。 【0007】近年、テレビカメラは、特殊な効果をねらって、強い光源や太陽等を直接、撮像部に撮り込むような投影方法も行われるようになってきている。このため、CCDカメラに使用される対物レンズでは、フレア等が大幅に改善されてきている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の上記光分解光学系において成されたフレアの改善は、このような撮影状態におけるテレビカメラのダイナミックレンジを広げることと実質的に同じであり、今までフレアに隠れて見えにくかったゴースト光を目立たせる結果になった。このようなゴースト光は、必ずしも、プリズム202と203のダイクロイック誘電体膜が90%の反射率で10%の透過率であれば防止できるわけではなく、数%程度の透過率であっても残留成分が存在すると生じてしまう。 【0009】例えば、波長620nmの赤色光は、前述したように、プリズム202の反射面202bを透過し、プリズム203のダイクロイック誘電体膜の反射面203bで反射する。この時、ダイクロイック誘電体膜及びプリズム202に吸収等の損失がないものとすると、反射面202bにおいて620nmの光束は、図5(A)に示すように、約95%が透過し、反射面203bでは、図5(B)に示す通り、約94%が反射される。即ち、残り6%の光束は、透過してプリズム204に入射し、トリミングダイクロイック誘電体膜30の射出面204bで、図5(C)の如く、約95%が反射されて再び反射面203bに到達する。反射面203bに到達した光束は、射出面204bの方向に約94%反射され、再び射出面204bに達した光束は、約5%透過して撮像素子223にゴースト光として入射する。このゴースト光の強度はプリズム201への入射前の0.3%以下であるにも関わらず、前述のように、レンズのフレアが減少したことにより目立ってしまうという問題点があった。 【0010】そこで、本発明は、誘電体膜により反射される有効部外の光に起因するゴースト光の影響を抑え、良好な画像が得られる簡単な構成の光分解光学系及びそれを含む撮像光学系を提供することを課題としている。 【0011】 【課題を解決するための手段】この課題を達成するために、請求項1の発明は、光軸に沿って直列に接合又は微小隙間を置いて配置された少なくとも2個のプリズムと、該少なくとも2個のプリズムの射出面に施された誘電体膜とを用いて、入射光束を複数に色分解させる光分解光学系において、前記色光を透過させるのみの前記誘電体膜には、入射光を遮断する遮光部材が、有効部外の光束が入射する領域に配置されていることを特徴としている。 【0012】請求項2の発明は請求項1の発明において、前記遮光部材は、前記誘電体膜の入射光側の、前記プリズムの射出面上に接着されていることを特徴としている。 【0013】請求項3の発明は請求項1又は2の発明において、前記遮光部材は、前記誘電体膜の入射光側の面に配設されていることを特徴としている。 【0014】請求項4の発明の撮像光学系は、対物レンズと、この対物レンズからの光束を複数の色光に色分解する請求項1、2、又は3のいずれか1項における光分解光学系とを有することを特徴としている。 【0015】 【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面を参照して説明する。 【0016】図1は本発明の実施形態を示す光分解光学系を含む撮像光学系の要部断面図、図2は図1の光分解光学系の有効光束を示す撮像光学系の要部概略図、図3は光束の有効部外における戻りゴースト光を示す説明図である。 【0017】図1において、101は光分解光学系で、第1プリズム102、第2プリズム103、第3プリズム104を有し、各プリズム102,103の各反射面102b,103bとプリズム104の射出面104bにはダイクロイック誘電体膜が施されている。各ダイクロイック誘電体膜は入射光速を反射と透過により、各光成分別に分解する。10は対物レンズであり、図示しない被写体からの光束を集光し、光分解光学系101に入射させている。111、112、113は、それぞれCCD等の撮像素子であり、対物レンズ10からの光束は、光分解光学系101で3つの色光に分解されて、各色光に基づく被写体像を撮像素子111,112,113にそれぞれ結像している。この対物レンズ10と光分解光学系101により撮像光学系が構成されている。 【0018】第1プリズム102は、対物レンズ10からの光束を入射させる入射面102aと、ダイクロイック誘電体膜を施した反射面102bと、反射面102bで反射した第1の色光(青色)を入射面102aを介して射出させる射出面102cとを有している。 【0019】第2プリズム103は、第1プリズム102の反射面102bを透過した光束を入射させる入射面103aと、ダイクロイック誘電体膜を施した反射面103bと、反射面103bで反射した第2の色光(赤色)を入射面103aを介して射出させる射出面103cとを有している。図示しないが、第1プリズム102の反射面102bと第2プリズム103の入射面103aとは、全反射を利用するために微小な空気間隔を置いて配置されている。 【0020】同様に、第3プリズム104は、反射面103bを透過した光束を入射させる入射面104aと、入射面104aから入射した光束のうち、第3の色光(緑色)を透過させるダイクロイック誘電体膜25が施された射出面104bを有している。特に、このダイクロイック誘電体膜25は、第3の色光を取り出すために不要な色成分を除去しつつ透過させるトリミングフィルターとしての機能を有するトリミングダイクロイック誘電体膜である。 【0021】このトリミングダイクロイック誘電体膜25は、第3プリズム104の射出面104bの外側(射出光側)から施されており、このトリミングダイクロイック誘電体膜25の光入射側であって、射出面104b上に、遮光部材20が接着されている、即ち、遮光部材20は同誘電体膜25と射出面104bに挟持された形で設けられている。 【0022】この遮光部材20は、図2に示すように、トリミングダイクロイック誘電体膜25の、有効光束L以外の光域、即ち有効部外の領域にのみ配設されている。 【0023】次に、上記構成における遮光部材20の機能について説明する。 【0024】トリミングダイクロイック誘電体膜25が施されている射出面104bの有効部外での戻りゴースト光を、図3に斜線で示している。このゴースト光は、トリミングダイクロイック誘電体膜25(射出面104b)で反射されて第3プリズム104に戻り、第2プリズム103の反射面103bで再び射出面104b方向に反射されてトリミングダイクロイック誘電体膜25(射出面104b)を透過し、ゴースト光を生じさせる。 【0025】しかし、図2に示すように、第2プリズム103の反射面103bを透過して第3プリズム104内に入射した有効部外のすべての光束は、遮光部材20で遮断され、射出面104bのトリミングダイクロイック誘電体膜25に到達しないため、この部分のトリミングダイクロイック誘電体膜25での反射光(戻り光)が発生することがない。このため、戻り光に起因するゴースト光、フレア光が撮像素子113に入射するのを防止することができる。 【0026】したがって、このような光分解光学系を搭載した撮像光学系(撮像装置)においては、従来はゴースト光があるために撮影を見合わせていたような状況であっても、ゴースト光のない良好な画像を撮ることが可能となった。 【0027】このように、本来、ゴースト光となり得るトリミングダイクロイック誘電体膜25による戻り光が発生しないように、同誘電体膜25に入射する有効部外の光束が遮光部材20により遮断されるため、ゴースト光が撮像素子に入射するのが防止される。 【0028】また、上記の如く、遮光部材20は、第3プリズム104の射出面104bに接着されているが、このようなガラス部材との接着面があるために、強い接着強度が得られるという利点もある。 【0029】尚、上記実施例においては、3つの光分解プリズム102,103,104を用いて説明したが、光束を複数に分解する他の光分解光学系においても同様の効果が得られることは言うまでもない。 【0030】また、本実施例においては、プリズム104の射出面104bに施す誘電体膜として、トリミングダイクロイック誘電体膜25を採用したが、これに用いる誘電体膜は、単層膜あるいは多層膜の何れであっても同様の効果を得ることができる。また、遮光部材20として用いられる材料としては、黒色のカーボンを含む有機膜、金属膜、誘電体膜、金属箔、樹脂フィルム等、光を遮断できる材料であれば良い。 【0031】さらに、この実施例では、遮光部材20はプリズム104の射出面104bにのみ設けたが、ゴースト光の発生を防止するという目的に限らず、有効光束のみを取り込み、不要な色成分を除去するという目的で、トリミングダイクロイック誘電体膜25と同誘電体膜25に設けた遮光部材20を、撮像素子111,112の前位置等にも配置することもできる。 【0032】 【発明の効果】本発明によれば以上のように、色光を透過させるのみで撮像素子に導光する誘電体膜と、プリズムの射出面との間に、入射光を遮断する遮光部材を、有効部外の光束が入射する領域にのみ配置したので、有効部外の光束が誘電体膜に当たらないように遮断され、誘電体膜での戻り光の発生が防止される。したがって、この戻り光に起因するゴースト光の影響を極力抑えることができるため、良好な画像が得られるテレビカメラ等の撮像光学系を提供することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001007 【氏名又は名称】キヤノン株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年1月6日(2000.1.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086818 【弁理士】 【氏名又は名称】高梨 幸雄
|
| 【公開番号】 |
特開2001−194516(P2001−194516A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−843(P2000−843) |
|