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【発明の名称】 光学基板及びその製造方法
【発明者】 【氏名】清水 敦

【氏名】矢尾 敦

【要約】 【課題】製造歩留りを低下させることなく、マイクロレンズアレイ基板のスタック厚を薄くする。

【解決手段】スタンパ24と紫外線照射を用いてベースガラス22の上にレンズ樹脂層23を成形した後、レンズ樹脂層23の上に封止樹脂層27となる紫外線硬化型樹脂を滴下する。一方、カバーガラス28の内面には、スピナを用いて未硬化もしくは半硬化の樹脂を塗布することにより保護膜29を形成しておく。ついで、ベースガラス22の上方にカバーガラス28を重ねて押圧し、保護膜29とレンズ樹脂層23との間に紫外線硬化型樹脂を挟み込んで拡げ、封止樹脂層27を形成する。この後、封止樹脂層27に紫外線を照射して硬化させると共に保護膜29も完全硬化させ、マイクロレンズアレイ基板のウエハ30を作製する。ついで、ウエハ30の両面を研磨して平滑に仕上げる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の基材の上方に光学素子アレイ層を積層し、当該光学素子アレイ層の上方に少なくとも光学素子アレイ層の上方領域を平坦化する封止樹脂層を積層し、当該封止樹脂層の表面に前記光学素子アレイ層を保護するための保護膜を積層し、当該保護膜の上に第2の基材を積層したことを特徴とする光学基板。
【請求項2】 前記保護膜の屈折率は、前記封止樹脂層及び前記第2の基材の屈折率のうち、いずれか一方の屈折率にほぼ等しいことを特徴とする、請求項1に記載の光学基板。
【請求項3】 第1の基材の上方に光学素子アレイ層を積層し、第2の基材の内面に第2の基材よりも柔軟な保護膜を形成した後、該光学素子アレイ層と該保護膜との間に封止樹脂を挟み込むようにして第1の基材と第2の基材とを積層一体化することを特徴とする光学基板の製造方法。
【請求項4】 前記第2の基材の内面側に、未硬化もしくは半硬化状態の前記保護膜を形成し、前記光学素子アレイ層を形成された第1の基材と保護膜を形成された第2の基材とを前記封止樹脂を挟んで積層した後、当該保護膜を硬化させることを特徴とする、請求項3に記載の光学基板の製造方法。
【請求項5】 前記第2の基材の内面側に未硬化の前記保護膜を形成した後、該保護膜の硬化反応を促進させることによって所望の硬さや粘度に半硬化させることを特徴とする、請求項3に記載の光学基板の製造方法。
【請求項6】 前記保護膜の硬化状態における屈折率は、前記封止樹脂もしくは前記第2の基材の屈折率のうち、いずれか一方の屈折率にほぼ等しいことを特徴とする、請求項3に記載の光学基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロレンズアレイやマイクロプリズムアレイ等の光学素子アレイを備えた光学基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】複数のマイクロレンズ(微小レンズ)を配列された光学基板(以下、マイクロレンズアレイ基板という)の製造方法には、エッチングによる方法やスタンパを用いる方法など種々の方法が提案されている。このうちスタンパを用いる方法は、スタンパで紫外線硬化型樹脂に型押しすることによってレンズ樹脂層を成形し、その上にレンズ樹脂層と屈折率の異なる封止樹脂層を重ねることによって表面を平坦化する方法であり、量産性に優れ、かつ非球面レンズを製作できるという長所がある。
【0003】また、マイクロレンズアレイ基板は、初めからチップ単体として製作される場合もあるが、一般的には、ウエハに複数個のマイクロレンズアレイ基板を作り込んでいる。マイクロレンズアレイ基板を部品(例えば、液晶表示素子の部品)として使用する場合には、次工程で配向膜塗布(未焼成の配向膜の溶液を凸版印刷する工程)や、ラビング(液晶の配向方向を特定させるため、マイクロレンズアレイ基板上に焼成により形成された薄膜状の配向膜を、布地を巻き付けたローラでこする工程)があるため、チップ単体で工程処理をするよりもウエハで実施した方が効率がよいからである。また、ウエハの方が製品(=マイクレンズアレイ基板)とならない周辺部があるので、取り扱いが容易であるからである。そのため、マイクロレンズアレイ基板のメーカーでは、ほとんどの場合、ウエハに複数個のマイクロレンズアレイ基板を作り込み、ウエハ状態で出荷している。
【0004】従来のスタンパ法によるマイクロレンズアレイ基板の製造工程を図1(a)〜(d)、図2(e)〜(g)及び図3により説明する。この製造工程では、まず図1(a)に示すように、ベースガラス2の上に未硬化の紫外線硬化型樹脂3を滴下し、ベースガラス2の上方からスタンパ4を下降させる。ついで、図1(b)に示すように、スタンパ4とベースガラス2の間に紫外線硬化型樹脂3を挟み込んで紫外線硬化型樹脂(以下、レンズ樹脂層という)3をスタンパ4とベースガラス2の間に押し広げ、ベースガラス2を通してレンズ樹脂層3に紫外線を照射し、レンズ樹脂層3を硬化させる。この後、硬化したレンズ樹脂層3からスタンパ4を剥離させると、図1(c)に示すように、レンズ樹脂層3の表面には、スタンパ4下面の型5が転写されることにより、レンズパターン6が形成される。
【0005】さらに、図1(d)のように、レンズ樹脂層3の上に屈折率の異なる未硬化の紫外線硬化型樹脂7を滴下し、レンズ樹脂層3とカバーガラス8の間に未硬化の紫外線硬化型樹脂(以下、封止樹脂層という)7を挟み込み、封止樹脂層7を下層のレンズ樹脂層3とカバーガラス8の間に押し広げる。ついで、図2(e)に示すように、ベースガラス2及びレンズ樹脂層3を通して封止樹脂層7に紫外線を照射し、封止樹脂層7を硬化させる。この結果、複数枚分のマイクロレンズアレイ基板を含んだマイクロレンズアレイウエハ(以下、単にウエハという)9が製作され、屈折率の異なるレンズ樹脂層3と封止樹脂層7の界面にマイクロレンズアレイ10が形成される。
【0006】ウエハ9が製作されると、図2(f)のように、研磨装置11によりベースガラス2の下面及びカバーガラス8の上面を研磨して表面を平滑にすると共にウエハ9の表裏の平行度を得る。図4は、マイクロレンズアレイ基板(ウエハ9)の研磨前における各部分の厚みと研磨後における各部分の厚みの一例を示している。この例では、マイクロレンズアレイ基板の両面研磨よりカバーガラス8とベースガラス2を同量(475μm)だけ研磨して薄くしている。ついで、図2(g)に示すように、カバーガラス8の上面に蒸着法によって透明電極(ITO膜)12を形成する。
【0007】この後、図3に示すように、アライメントマーク13によってウエハ9を位置決めした後、カットラインCでウエハ9をカットして個々のマイクロレンズアレイ基板1を得る(図3では、14枚取りの場合を示している)。
【0008】上記のようなマイクロレンズアレイ基板の製造工程において研磨工程を必要とするのは、透明電極12の蒸着面は、表示素子材料(例えば、液晶表示素子であれば、液晶)の接する面であり、滑らかさを必要とするから、マイクロレンズアレイ基板1の表面の凹凸を除去する必要があるためである。さらに、マイクロレンズアレイ基板1は高い平坦性を要するので、ウエハ全体の反りを抑えてマイクロレンズアレイ基板1の平坦性を確保する必要があるためである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】図5に示すように、レンズ樹脂層3(通常は、レンズ樹脂層3のエッジ)からマイクロレンズアレイ基板1の表面までの光学的距離をスタック厚Tsと呼ぶ。このスタック厚Tsを、マイクロレンズアレイ基板1の断面の厚み測定から求める場合には、カバーガラス8と封止樹脂層7の屈折率を考慮しなければならないが、基板の上面から光学的に測定する場合には、すでに屈折率の影響を受けているので、実測値を用いることができる。例えば、図4に示した研磨後のマイクロレンズアレイ基板1では、カバーガラス8の屈折率が1.4、封止樹脂層7の屈折率が1.7であるとすると、そのスタック厚Tsは、次式で与えられる。
Ts =(カバーガラスの厚み/カバーガラスの屈折率)+(封止樹脂層の厚み/封止樹脂層の屈折率)
=(25μm/1.4)+(30μm/1.7)≒35μm【0010】マイクロレンズアレイ基板1のスタック厚は、マイクロレンズアレイ基板1のユーザーである例えば液晶表示素子メーカーの要望により、近年ますます薄くなる傾向にある。
【0011】封止樹脂層7の働きは、レンズ樹脂層3の凸凹(レンズパターン6)を平坦化するためであるから、特に厚みを必要とするものではない。従って、マイクロレンズアレイ基板1のスタック厚を薄くするには封止樹脂層7の厚みを薄くすればよい。しかし、レンズ樹脂層3の上に未硬化の紫外線硬化型樹脂を滴下した後、カバーガラス8で樹脂を強く押圧して封止樹脂層7を薄くすると、カバーガラス8とレンズ樹脂層3との干渉によってレンズ樹脂層3のエッジが潰れ、マイクロレンズアレイ基板1が不良品となる恐れがある。
【0012】また、マイクロレンズアレイ基板1のスタック厚を薄くするためには、厚みの薄いカバーガラス8を用いればよいが、そのためにはカバーガラス8の厚みは数10μmのオーダーとなる。薄いガラス板を貼り合わせることは難しく、初めからカバーガラス8の厚みを薄くしていると、カバーガラス8を搬送したり位置決めしたり、図1(d)ないし図2(e)の工程でカバーガラス8を押圧してベースガラス2に貼り合わせる際、カバーガラス8が損傷し易い。
【0013】そのため従来にあっては、前記のように厚みのあるカバーガラス8とベースガラス2とを用いてマイクロレンズアレイ基板1を作製し、カバーガラス8とベースガラス2を貼り合わせた後、カバーガラス8及びベースガラス2を研磨している。
【0014】ところが、カバーガラス8を研磨してマイクロレンズアレイ基板1のスタック厚を薄くすると、図6(a)に示すように、レンズ樹脂層3とカバーガラス8の間で封止樹脂層7が空気を噛み込み、マイクロレンズアレイ基板1内に気泡αが生じたとき、図6(b)のように気泡位置でカバーガラス8が破損し、カバーガラス8の剥離が発生し易くなる問題があった。
【0015】特に、このようなカバーガラス8の剥離は、図7に示すように、マイクロレンズアレイ基板1の研磨後における超音波洗浄工程で多発する。これは、気泡位置ではカバーガラス8が封止樹脂層7層によって支えられていないので、カバーガラス8に亀裂が入り易く、この亀裂が成長することによって剥離するためである。また、ウエハの表面に透明電極を蒸着させる工程で、蒸着チャンバ内での真空引きにより気泡αが破裂し、カバーガラス8が剥離する場合もある。さらに、カバーガラス8やベースガラス2の研磨時に発生する摩擦熱で気泡αが膨張し、気泡αが破裂してカバーガラス8を破損させることもある。
【0016】このカバーガラス8の剥離による欠陥は、ウエハ中の1つのマイクロレンズアレイ基板1に生じた場合でも、ウエハ全体が不良品となる。さらに、カバーガラス8の剥離の発生は突発的であるが、ロット単位で突発的に発生する(ロットにより発生頻度が違い、多発ロットはほぼ全滅ということが少なくない。)ために一度の発生枚数が多い。このため、カバーガラス8の剥離は、内部異物(レンズ樹脂層3や封止樹脂層7内の異物や気泡など)と並んでマイクロレンズアレイ基板1の歩留まりを低下させる最大要因となっており、生産計画の見込みを大きく狂わすこととなる。
【0017】また、上記のようなカバーガラス8の剥離は、封止樹脂層7の内部に発生する気泡αが原因となり、気泡αの大きさが大きいほど発生し易くなるが、このほかに誘発要因がある。誘発要因としては、例えばカバーガラス8の厚みが薄いこと、封止樹脂層7の厚みが厚いこと、カバーガラス8と封止樹脂層7の間の密着強度が小さいことなどがある。
【0018】カバーガラス8の剥離は、原因(気泡α)だけで発生するものでなく、ある程度の誘発要因が揃ったときに発生するものである。図8は原因及び誘発要因の有無とカバーガラス8の剥離の発生、非発生との関係を表形式にまとめたものであって、原因が単独で剥離に結びつくのではなく、原因があり、かつ、ある程度の誘発要因がそろったときに剥離が発生することを示している。ただし、気泡αが発生していてもサイズが小さい場合には、誘発要因が重なっても剥離発生に結びつかないので、サイズの小さな気泡αの発生は原因無し(気泡無し)として扱うことができる。また、原因にも誘発要因にも、剥離と関連の強い因子(影響度が大きい)や製造工程として現状では制御が困難な因子がある。
【0019】よって、カバーガラスの厚みを薄くした場合には、気泡によってカバーガラスの剥離が生じる恐れがあり、この剥離発生を抑えるには原因(サイズの大きな気泡)を取り除くか、誘発要因の中で強い因子を抑えればよいことになる。
【0020】
【発明の開示】本発明は、上記従来例の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、レンズアレイやプリズムアレイ等からなる光学素子アレイ層パターンを潰すことなく封止樹脂層の厚みを薄くすることにより、光学基板のスタック厚もしくは光学基板自体の厚みを薄くすることにある。
【0021】また、本発明の別な目的は、封止樹脂層内にサイズの大きな気泡が発生しないようにすることにより、ガラス基板等からなる第2の基材の剥離を防止することにある。
【0022】この発明による光学基板は、第1の基材の上方に光学素子アレイ層を積層し、当該光学素子アレイ層の上方に少なくとも光学素子アレイ層の上方領域を平坦化する封止樹脂層を積層し、当該封止樹脂層の表面に前記光学素子アレイ層を保護するための保護膜を積層し、当該保護膜の上に第2の基材を積層したものである。
【0023】ここで第2の基材には、ガラス基板や透明樹脂基板等が含まれるが、さらに、ガラス基板等の表面に形成された硬質の膜等も含まれていてもよい。また、光学素子アレイ層を保護するための保護膜とは、第2の基材側と第1の基材側とを重ね合わせる際に第2の基材によって光学素子アレイ層が損傷を受けるのを防止するための膜であって、第2の基材側と第1の基材側とを重ね合わせる際に第2の基材よりも柔軟な材質のものである。
【0024】この光学基板にあっては、光学素子アレイ層と第2の基材との間に保護膜が存在しているので、圧力を加えて封止樹脂層を薄く延ばしたとき光学素子アレイ層と保護膜が干渉しても光学素子アレイ層は保護膜によって保護され(例えば、光学素子アレイ層が保護膜内に埋まり込む)、光学素子アレイ層の破損が防止される。よって、光学素子アレイ層を傷付けることなく封止樹脂層を薄くすることができ、製品歩留まりを低下させることなく光学基板のスタック厚や光学基板自体の厚みを薄くすることができる。
【0025】また、第2の基材に設けておくことにより保護膜には気泡が発生しないようにすることが可能であるから、第1の基材側と第2の基材側とを重ね合わせる際に空気を噛み込んでも、気泡は封止樹脂層内に制限され、光学素子アレイ層と第2の基材との間一杯に成長することがない。よって、封止樹脂層の薄膜化が可能になるのと相まって、第2の基材の剥離が起きないレベルまで気泡のサイズを小さくすることが可能になる。しかも、気泡が生じていても、気泡位置では第2の基材は保護膜によって裏打ち補強されており、剥離に対する強度が高くなっている。よって、この光学基板にあっては、第2の基材の厚みが薄い場合でも、気泡による第2の基材の剥離発生を抑制することができ、製品歩留まりを低下させることなく光学基板のスタック厚や光学基板自体の厚みを薄くすることができる。
【0026】なお、この光学基板は積層一体化した後、その両面又は片面を研磨してもよい。研磨を行うことにより光学基板のスタック厚等をより小さくできるが、このような場合でも第2の基材の剥離を抑制することができる。ただし、この光学基板は研磨工程を必須とするものではなく、研磨工程が無くても差し支えない。
【0027】この発明の一実施形態による光学基板は、その保護膜の屈折率が、前記封止樹脂層及び前記第2の基材の屈折率のうち、いずれか一方の屈折率にほぼ等しくなっているものである。
【0028】この実施形態では、保護膜の屈折率が封止樹脂層と第2の基材のうちいずれかの屈折率にほぼ等しいから、光学的には保護膜は封止樹脂層又は第2の基材の一部として取り扱うことが可能になり、光学基板の設計が複雑になることがない。
【0029】ただし、保護膜の屈折率は絶対制約条件ではなく、保護膜の屈折率が第2の基材や封止樹脂層の屈折率と全く異なっていてもよい。その場合はパラメータとなる因子が一つ増えるだけである。
【0030】また、この発明による光学基板の製造方法は、第1の基材の上方に光学素子アレイ層を積層し、第2の基材の内面に第2の基材よりも柔軟な保護膜を形成した後、該光学素子アレイ層と該保護膜との間に封止樹脂層を挟み込むようにして第1の基材と第2の基材とを積層一体化するものである。ここでも第2の基材には、ガラス基板や透明樹脂基板等が含まれるが、さらに、ガラス基板等の表面に形成された硬質の膜等も含まれていてもよい。
【0031】この光学基板の製造方法にあっては、第2の基材の内面に保護膜が形成されているので、第2の基材に圧力を加えて封止樹脂層を薄く延ばしたとき光学素子アレイ層と保護膜が干渉しても光学素子アレイ層は保護膜に埋まり込み、光学素子アレイ層の破損が防止される。よって、光学素子アレイ層を傷付けることなく封止樹脂層を薄くすることができ、製品歩留まりを低下させることなく光学基板のスタック厚や光学基板自体の厚みを薄くすることができる。
【0032】また、第2の基材に設けられている保護膜には気泡を発生させないようにできるので、第1の基材側と第2の基材側とを重ね合わせる際に空気を噛み込んでも、気泡は封止樹脂層内に制限され、光学素子アレイ層と第2の基材との間一杯に成長することがない。よって、封止樹脂層の薄膜化が可能になるのと相まって、第2の基材の剥離が起きないレベルまで気泡のサイズを小さくすることが可能になる。しかも、気泡が生じていても、気泡位置では第2の基材は保護膜によって裏打ち補強されており、剥離に対する強度が高くなっている。よって、この光学基板の製造方法にあっては、第2の基材の厚みが薄い場合でも、気泡による第2の基材の剥離発生を抑制することができ、製品歩留まりを低下させることなく光学基板のスタック厚や光学基板自体の厚みを薄くすることができる。
【0033】なお、この光学基板も積層一体化した後、その両面又は片面を研磨してもよい。研磨を行うことにより光学基板のスタック厚等をより小さくできるが、このような場合でも第2の基材の剥離を抑制することができる。ただし、この光学基板は研磨工程を必須とするものではなく、研磨工程が無くても差し支えない。
【0034】さらに、この発明の一実施形態による光学基板の製造方法では、前記第2の基材の内面側に未硬化もしくは半硬化状態の保護膜を形成しておき、前記光学素子アレイ層を形成された第1の基材と保護膜を形成された第2の基材とを前記封止樹脂層を挟んで積層した後、当該保護膜を硬化させている。従って、第2の基材を光学素子アレイ層の上に積層する際には、保護膜は光学素子アレイ層を保護することができるものでありながら、最終的には硬化して封止樹脂ないし光学素子アレイ層と第2の基材とを強固に結合させることができる。
【0035】さらに、この発明の好ましい実施形態による光学基板の製造方法では、前記第2の基材の内面側に未硬化の前記保護膜を形成した後、該保護膜の硬化反応を促進させることによって所望の硬さや粘度に半硬化させている。ここで保護膜の硬化反応を促進させる方法は、例えば未硬化の保護膜が紫外線硬化型樹脂である場合には紫外線であり、熱硬化型樹脂である場合には熱であるが、これ以外の方法でもよい。この実施形態では、保護膜を封止樹脂と重ねる際に保護膜の硬さや粘度を任意に調整できるので、封止樹脂を押し広げる硬さと光学素子アレイ層を保護するための柔軟性を保護膜に持たせるように調整できる。
【0036】また、本発明の一実施形態においては、保護膜を第2の基材の内面に形成した後、封止樹脂と重ねる前に、保護膜を仮焼成してもよい。保護膜を仮焼成することにより保護膜の粘度や硬度を調整することができるが、さらには保護膜から気泡を除去するのにも役立つからである。
【0037】さらに、この発明の好ましい実施形態による光学基板の製造方法では、前記保護膜の硬化状態における屈折率が、前記封止樹脂層もしくは前記第2の基材の屈折率のうち、いずれか一方の屈折率にほぼ等しくなっている。
【0038】この実施形態では、保護膜の屈折率が封止樹脂層と第2の基材のうちいずれかの屈折率にほぼ等しいから、光学的には保護膜は封止樹脂層又は第2の基材の一部として取り扱うことが可能になり、光学基板の設計が複雑になることがない。
【0039】ただし、保護膜の屈折率は絶対制約条件ではなく、保護膜の屈折率が第2の基材や封止樹脂層の屈折率と全く異なっていてもよい。その場合はパラメータとなる因子が一つ増えるだけである。
【0040】ここでは、この発明の構成要素を個々に説明したが、この発明の以上説明した構成要素は、可能な限り任意に組み合わせることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明によるマイクロレンズアレイ基板の製造工程を図9(a)〜(d)、図10(e)〜(h)及び図11(a)〜(c)に従って詳しく説明する。マイクロレンズアレイ基板の製造にあたっては、図9(a)に示すように、マイクロレンズアレイ基板の複数枚分の大きさを有する透明なベースガラス22の上に未硬化の紫外線硬化型樹脂23を滴下し、ベースガラス22の上方からスタンパ24を下降させてスタンパ24とベースガラス22の間に紫外線硬化型樹脂(以下、レンズ樹脂層という)23を挟み込み、スタンパ24をベースガラス22に押圧させてレンズ樹脂層23をスタンパ24とベースガラス22の間に押し広げる。このスタンパ24の下面には、マイクロレンズアレイパターンの反転型25が形成されている。ついで、図9(b)に示すように、ベースガラス22を通してレンズ樹脂層23に紫外線を照射し、レンズ樹脂層23を硬化させる。スタンパ24を剥離させると、図9(c)のように、硬化したレンズ樹脂層23の上面にレンズパターン26が形成される。
【0042】一方、カバーガラス28の内面には、図9(d)に示すように、カバーガラス28よりも柔軟な保護膜29を形成する。保護膜29を形成するには、例えばスピンコート法による。すなわち、図11(a)に示すように、カバーガラス28の上に未硬化の樹脂34を滴下し、図11(b)のようにスピナによりカバーガラス28を高速回転させ、図11(c)のように遠心力によって樹脂34をカバーガラス28の表面全体に均一に拡げて保護膜29を形成する。カバーガラス28の上に滴下した樹脂34を押圧によって拡げる場合には、樹脂にある程度の粘性が求められ、保護膜29中に気泡が混入する恐れがあるが、スピンコート法によれば、低粘度の樹脂34を用いることができるので、保護膜29に気泡がほとんど混入しなくなる。また、保護膜29として用いる樹脂34は、硬化後における屈折率が封止樹脂層27の屈折率とほぼ等しいものを用いている。なお、カバーガラス28の上に未硬化の樹脂34を均一に塗布して保護膜29を形成した後、樹脂34が硬化しきらない程度のプリベーク(仮焼成)などを実施し、保護膜29を半硬化状態にしておいてもよい。プリベークは、樹脂34の粘度や硬度の調整に用いるが、気泡の除去にも役立つ。
【0043】ついで、図10(e)のように、ベースガラス22に形成されたレンズ樹脂層23の上に、当該レンズ樹脂層23と屈折率の異なる未硬化の紫外線硬化型樹脂27を滴下し、保護膜29を貼り合わせ側に向けて封止樹脂層27の上方からカバーガラス28を重ね合わせて下層のレンズ樹脂層23とカバーガラス28の間に紫外線硬化型樹脂(以下、封止樹脂層という)27を挟み込み、カバーガラス28を封止樹脂層27に押圧させて封止樹脂層27を下層のレンズ樹脂層23とカバーガラス28(保護膜29)の間に押し広げる。このとき、保護膜29が未硬化もしくは半硬化の樹脂によって形成されているため、保護膜29がレンズ樹脂層23に接触してもレンズ樹脂層23が保護膜29内に埋もれるだけでレンズ樹脂層23のエッジが潰れる恐れがなく、従ってマイクロレンズアレイ31のパターンを潰すことなく封止樹脂層27を薄くできる。そして、封止樹脂層27を薄くすることによって、マイクロレンズアレイ基板のスタック厚やマイクロレンズアレイ基板そのものの厚みを薄くすることができる。
【0044】図10(f)に示すように、ベースガラス22及びレンズ樹脂層23を通して封止樹脂層27に紫外線を照射し、封止樹脂層27を硬化させる。また、保護膜29もこの工程で完全に硬化させられる。保護膜29も紫外線硬化型樹脂で形成されている場合には、封止樹脂層27と同時に紫外線照射により硬化させてもよいが、保護膜29が熱硬化型樹脂によって形成されている場合には、加熱硬化させてもよい。
【0045】こうして複数枚分のマイクロレンズアレイ基板を含んだマイクロレンズアレイウエハ(以下、ウエハという)30が製作され、屈折率の異なるレンズ樹脂層23と封止樹脂層27の界面にマイクロレンズアレイ31が形成される。
【0046】ウエハ30が製作されると、図10(g)に示すように、研磨装置32によりベースガラス22の下面とカバーガラス28の上面を研磨して表面を平滑にしてウエハ30の表裏の平行度を得ると共にベースガラス22及びカバーガラス28の厚みを薄くする。この後、図10(h)に示すように、カバーガラス28の上面に蒸着法によって透明電極(ITO膜)33を形成する。
【0047】ついで、アライメントマークによってウエハ30を位置決めした後、ウエハ30をカットして個々のマイクロレンズアレイ基板を得る(図3参照)。
【0048】しかして、本発明によるマイクロレンズアレイ基板の製造方法によれば、上記のようにカバーガラス28の貼合わせ面にあらかじめ保護膜29を設けているので、カバーガラス28の剥離の原因となる気泡αの小サイズ化とカバーガラス28自体の補強により、カバーガラス28の剥離を防止することができる。すなわち、本発明によれば、カバーガラス28の内面に保護膜29を形成しているので、マイクロレンズアレイ31のパターンを壊すことなく封止樹脂層27を薄くできる。そのため、カバーガラス28を重ね合わせる際、図12(a)のように封止樹脂層27内に気泡αが発生したとしても、この気泡αは薄い封止樹脂層27内に押し込められて大きな気泡αに成長することができない。よって、封止樹脂層27内に仮に気泡αが発生しても、気泡αのサイズがカバーガラス28の剥離の原因となるレベルまで大きくなることがなく、図12(b)のようにカバーガラス28の研磨という強い誘発要因があってもカバーガラス28が破損しにくく、カバーガラス28の剥離発生が抑制される。
【0049】尚、ここでいう気泡αは、もともと紫外線硬化型樹脂(封止樹脂層27)内にあるものでなく、紫外線硬化型樹脂が押されて広がる際にレンズ樹脂層23の凹凸(レンズパターン26)に十分に樹脂が回り込まず気泡αとなるものである。よって、封止樹脂層27の厚みを薄くできることは気泡αのサイズを小さくすることに大きく貢献する。これまで封止樹脂層27の厚みを薄くできなかったのは、カバーガラス28を押下しすぎると、カバーガラス28によってレンズパターン26を潰してしまうためであり、本発明では保護膜29が未硬化もしくは半硬化の状態であるので、押圧時に保護膜29がレンズ樹脂層23に接触しても保護膜29内に埋もれるため、レンズ樹脂層23が潰れないので、保護膜29を設けても従来と同等もしくはそれ以下のスタック厚が実現可能である。
【0050】また、カバーガラス28の内面に保護膜29を設けておくことにより、気泡位置におけるカバーガラス28の強度(耐性)を増大させることができるので、気泡サイズの抑制効果と相まってカバーガラス28の破損をより良く防止できる。
【0051】よって、本発明によれば、押圧によって封止樹脂層27の厚みを薄くし、かつ研磨によってカバーガラス28の厚みを薄くしてもマイクロレンズアレイ基板にカバーガラス28の剥離が発生しにくく、歩留まりを低下させることなくマイクロレンズアレイ基板のスタック厚や基板厚み自体を薄くすることができる。
【0052】次に、硬化後における保護膜29の屈折率は、封止樹脂層27の屈折率とほぼ等しくしているので、マイクロレンズアレイ基板作製後の保護膜29は新しいパラメータを増加させることがなく、光学的には封止樹脂層27と同等に取り扱うことができ、マイクロレンズアレイ基板の光学設計を従来よりも複雑にすることがない。つまり、保護膜29によって封止樹脂層27の厚みが増しただけと考えることができる(この場合には、気泡は封止樹脂層の厚み全体に拡がらず、その一部分に閉じこめられて局在させられることになる。)ので光学設計(シミュレーション)に及ぼす影響が小さい。
【0053】なお、同様な理由から、硬化後における保護膜29の屈折率は、カバーガラス28の屈折率とほぼ等しくしてもよい。この場合には、マイクロレンズアレイ基板作製後の保護膜29は光学的にはカバーガラス28と同等に取り扱うことができ、マイクロレンズアレイ基板の光学設計を従来よりも複雑にすることがない。つまり、保護膜29によってカバーガラスの厚みが増しただけと考えることができる。
【0054】次に図10(g)では、マイクロレンズアレイ基板のウエハ30の両面を研磨装置32によって研磨し、表面を平滑にしていたが、図10(g)の工程に代え、図13に示すようにウエハ30の片面(カバーガラス28)だけを研磨装置32によって研磨してもよい。もっとも、両面研磨と片面研磨とを比較すると、両面研磨の方が平坦性を出し易いというメリットがある。
【0055】また、保護膜29の形成方法もスピンコート法に限るものではなく、図14に示すように転写法を用いてもよい。この転写法では、図14(a)に示すように、樹脂ドラム37の表面に供給されている未硬化の樹脂34をスキージ36で掻き取ることにより樹脂ドラム37表面に均一な膜厚の樹脂34を送り出す。図14(c)に示すように、樹脂ドラム37の周胴面には、所望の樹脂厚が得られるように螺旋状をした多数の溝38が彫り込まれており、溝38を深くすることで樹脂膜厚を厚くすることができる。さらに、樹脂ドラム37の表面に送り出された樹脂34は、樹脂ドラム37と転写ドラム35によって薄く延ばされて一定膜厚となり、転写ドラム35へ移って転写ドラム35からカバーガラス28の内面に塗布(転写)され、図14(b)のように保護膜29が形成される。
【0056】このような転写法では、スピンコート法ほど低粘度の樹脂34を用いることはできないが、押圧によって樹脂34を拡げる場合よりは低粘度の樹脂34を用いることができるので、気泡を噛み込みにくくなる。しかも、樹脂ドラム37と転写ドラム35の間で樹脂を延ばす際に樹脂34が脱気されるので、より一層気泡を噛み込みにくくなる。なお、転写法においても、塗布後に樹脂34が硬化しきらない程度にプリベーク(仮焼成)などを行なってもよい。
【0057】つぎに、上記マイクロレンズアレイ基板を複製するためのスタンパ24の製造方法を図15を参照しながら説明する。まず、図15(a)に示すような平板状のガラス板44を用意し、図16に示すようにガラス板44の表面に、結像レンズ45で集光させたレーザー光を照射し、レーザー加工(レーザーリトグラフィ)により2点鎖線で示す形状にガラス板44を蒸発除去し、ガラス板44の表面に所望の凹凸パターン46を形成する[図15(b)]。ここで、上記凹凸パターン46とは、任意の平面又は曲面上に各レンズの焦点位置を合せるため、各レンズ面の曲率を個別に変えたマイクロレンズアレイ基板のレンズ樹脂層23の表面形状と同一である。前記レーザー加工は、コンピュータにより制御されているレーザー加工装置を用いて行ない、精密かつ複雑な形状であってもその形状データを入力しておけば、容易に加工することができる。
【0058】このように、ガラス板44の表面に凹凸パターン46を形成してガラス板44からなる原盤47を作製した後、原盤47の上にニッケルを堆積させ、ニッケル電鋳法により原盤47の反転型であるニッケルマスタ48を作製し[図15(c)]、ニッケルマスタ48を原盤47から剥離する[図15(d)]。ニッケル電鋳法によりニッケルマスタ48を作製する際には、その準備として原盤47を例えば蒸着法あるいは無電解メッキ法で導電化しておき、導電化された原盤47の表面を陰極とし、例えばスルファミン酸ニッケル浴で電気メッキしてニッケルマスタ48を作製する。
【0059】このニッケルマスタ48をさらにニッケル電鋳法で複製したものをスタンパ24(原盤47の複製)とする。ニッケルマスタ48を複製する場合には、ニッケルマスタ48の表面に例えば重クロム酸カリ溶液で酸化膜を作った後、再びニッケル電鋳法により再度凸凹パターンが反転したスタンパ24を作製する[図15(e)]。こうして、スタンパ24には、前記凹凸パターン46と同一の反転型25が形成される。
【0060】また、スタンパ24を作製する別な方法としては、図17(a)〜(e)に示すように、ガラス板44の表面に塗布されたレジスト49をレーザー加工することによって原盤47を作製してもよい。レジスト49を使用する場合には、ガラス板44とレジスト49の密着剤として、例えばシランカップリング剤をガラス板44の表面に塗布しておき、レーザー加工した後、露光、現像及び洗浄の工程を経て、レジスト49による所望の凹凸パターン46がガラス板44の表面に形成される[図17(a)(b)]。レーザー加工は、図16と同様に行なわれ、各レンズの曲率を個別に変えた所望の凹凸パターン46が形成される。この後の処理は、図15(c)以下と同様に行う[図17(c)〜(e)]。
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、レンズアレイやプリズムアレイ等の光学素子アレイを含んだ光学基板において、光学素子アレイのパターンを損傷させることなく封止樹脂層の厚みを薄くすることができ、光学基板のスタック厚や光学基板そのものの厚みを薄くすることができる。
【0062】また、本発明によれば、光学基板の封止樹脂層内に大きな気泡が発生するのを防止することによって第2の基材が破損したり剥離したりするのを防止でき、光学基板の歩留りを向上させることができる。
【0063】また、本発明によれば、保護膜29によって第2の基材を補強することができるので、封止樹脂層内に気泡が混入しても第2の基材が破損したり剥離したりしにくくなり、光学基板の歩留りを向上させることができる。
【0064】よって、本発明によれば、光学基板の歩留りを向上させつつ光学基板のスタック厚や光学基板そのものの厚みを薄くすることが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
【出願日】 平成12年1月7日(2000.1.7)
【代理人】 【識別番号】100094019
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 雅房
【公開番号】 特開2001−194508(P2001−194508A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−1913(P2000−1913)