| 【発明の名称】 |
光学物品に防曇性能を付与する方法及び防曇性光学物品 |
| 【発明者】 |
【氏名】川瀬 明子
【氏名】中島 幹人
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| 【要約】 |
【課題】眼鏡レンズ・窓ガラスなどの光学物品に対し、その表面硬度、反射防止などの光学特性を損なうことなく、耐擦傷性、耐久性に優れた防曇効果をもたせる。
【解決手段】酸化物を主として含む光学物品の表面を不飽和二重結合基を含むシランカップリング剤で処理した後、光グラフト重合法、放射線グラフト重合法、水溶液中でのグラフト重合法等により、側鎖または疎水性基中間部に親水性基を持ち、かつ疎水性基中間部に分子間相互作用を生じる構造を形成する構造を有するチオールを、エン・チオール反応により表面に固定し、分子間結合させることによって耐久性に優れた防曇性能を光学物品に付与する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】酸化物を主として表面に含む光学物品において、該光学物品の表面を、不飽和二重結合を有するシランカップリング剤で処理した後、分子内に親水性基および分子間相互作用を生じる構造を有するチオールを、エン・チオール反応により表面に固定し、分子間結合させることを特徴とする光学物品に防曇性能を付与する方法。 【請求項2】前記分子間相互作用を生じる構造が、アミド基などによる水素結合で形成される構造を持つことを特徴とする請求項1記載の光学物品に防曇性能を付与する方法。 【請求項3】前記分子間相互作用を生じる構造が炭素数8〜20の直鎖状脂肪酸による分子間力で形成されることを特徴とする請求項1記載の光学物品に防曇性能を付与する方法。 【請求項4】前記酸化物を主として表面に含む光学物品が、反射防止無機コート膜を有する合成樹脂レンズ、またはハードコート層及び反射防止無機コート膜を有する合成樹脂レンズであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の防曇性能を付与する方法。 【請求項5】前記酸化物を主として表面に含む光学物品がガラスであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の防曇性能を付与する方法。 【請求項6】請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光学物品に防曇性能を付与する方法によって得られる防曇性光学物品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、防曇性能を有するメガネ・カメラ等のレンズ、または窓ガラス、車のフロントガラス、ヘルメットのシールド、水中メガネ等の光学物品、または浴室内で使用する鏡等に関するものである。 【0002】 【従来の技術】光学物品に防曇性能を付与する方法として、従来から次に述べる様な種々の方法がとられている。もっとも簡便な手段として、界面活性剤を表面に塗布することで基材表面を親水性とし、曇りを防ぐ方法がある。しかし、この方法では一時的に防曇性の付与は可能だが、水の付着等により界面活性剤が流れ落ちてしまい、連続的な効果は期待できず、都度塗布しなければならないなどの手間がかかる。そこで、連続的な効果を期待するために、合成樹脂基材自体に界面活性剤を練り込んだり、親水性、吸水性の単量体を共重合して合成樹脂基材を形成して防曇性能を付与する方法がある。これについては、特開平10−114035,特開平10−130511,特開平10−158453、特開平10−182912、特開平10−202798などに開示されている。 【0003】また、樹脂光学物品の表面に防曇性能を有するコーティングを施す方法も良く知られ、特開平8−17646,特開平8−27291、特開平9−136374,特開平9−151368,特開平9−155282などに開示されている。 【0004】以上に示した方法は、樹脂基材自体、あるいは厚いコーティング層に、親水性と吸水性を付与して防曇性能を達成しようとするものである。 【0005】これに対し、吸水性の悪いガラスなどの無機質に、直接防曇性能を付与する方法として、最表面を処理して親水性または疎水性を持たせる方法や、無機質を多孔性にして吸水性を持たせる方法、光触媒性金属酸化物被膜を形成し、超親水性を発現させる方法が知られている。 【0006】表面改質の方法としてのグラフト重合は、特開平5−202216,特開平5−295139、特開平8−176328、特開平9−301742、特開平10−90503等に開示されている。その他表面改質方法としては特開平10−114543、特開平10−167768があげられる。 【0007】さらに、無機物質の細孔・凹凸と親水性物質を組み合わせた特許及び表面の凹凸を利用した特許として、特開平9−202651、特開平9−295835、特開平11−77876が挙げられる。 【0008】光触媒性金属酸化物を用いた超親水性機能発現の方法については、現在様々な特許が出願され、特開平9−77535、特開平10−68091、特開平10−85100、特開平10−167727、特開平10−297940がある。 【0009】以上に示した方法も含め、光学物品に防曇性能を付与するには、1)基材に吸水性を持たせる。2)基材表面を親水性にする。3)基材表面を疎水性にする。4)光学物品の表面温度を高くし、空気中の水分が表面で凝結しない様にする。の4点の方法が過去から提案され、色々な試みがなされている。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の方法では次に述べる様な問題点を有していた。基材表面に防曇性能を付与する方法として、一般に用いられている界面活性剤を表面に塗布する方法は、水によって界面活性剤が容易に脱落してしまい、持続性に問題がある。 【0011】樹脂基材自体やコーティング層に防曇性能を付与する方法は、防曇性能としては十分な性能が得られるが、親水性・吸水性を持つ樹脂は有機物が故に柔らかく、非常に傷がつき易いものであった。特に吸水性樹脂は吸水した場合、非常に柔らかくなってしまい、さらに傷の付きやすいものであった。これらを眼鏡レンズなど耐擦傷性が要求される部分に使用した場合、傷によって光学特性が劣化し、実用は不可能である。さらに、空気中の汚れ、例えばタバコの煙なども吸着し易く、光学物品が着色してしまうなどの欠点もあった。 【0012】さらに、これらの方法の最大の欠点は、反射防止層などの光学的特性を向上する為の表面処理を施すことができないことである。現在広く使用されいて、性能の良い反射防止膜は、無機物からなる反射防止膜であり、酸化ケイ素などの無機物に防曇性能を持たせなければならない。 【0013】ガラス基材や無機物基材の最表面に処理を施し、親水性、疎水性を持たせることにより防曇性能を達成する方法であるが、これは最表面に親水性、疎水性の薄膜を成膜するものである。従来技術に従うとそれらの物質と表面との結合が弱く、簡単にそれらの物質が脱落して長期間防曇性能が維持できない。さらに、従来の様に水酸基を露出させることによって親水性を付与した場合、耐水ヤケ性との両立が難しい。疎水性を付与する場合、従来示されている技術では、表面の水に対する接触角が160゜前後であるが、眼鏡が曇るときのような微小な水滴の場合、自重での降下はおこらず、十分な防曇性能が得られているとは言い難い。 【0014】無機質を多孔性にして吸水性を持たせる方法については、多孔質にすること自体で表面はもろくなり、破損しやすくなってしまう。また、光触媒性金属酸化物被膜を形成し、超親水性を発現させる方法では、その成膜工程に高温焼成が必要であり、眼鏡レンズ樹脂基材に用いることは不可能である。また、光触媒性金属酸化物被膜は概して高屈折率であり、超親水性機能を効率よく利用するためには最表面に用いなければならない。その結果、反射率が大きくなり、眼鏡レンズには不適切である。 【0015】以上に述べた課題を解決する為に、表面をシランカップリング剤で処理した後、反応性界面活性剤を反応させる方法も提案されているが、基材と反応性界面活性剤の充分な反応が起こらず、反応性界面活性剤の構造によっては十分な防曇効果が得られず、水ヤケ防止との両立が難しかった。また、薄膜であるが故に耐擦傷性、耐久性に問題があった。 【0016】そこで、本発明は以上の様な問題点を解決し、光学物品の光学特性を低下させることなく、耐久性、耐擦傷性、持続性、防汚染性、耐水ヤケ性に優れた防曇性能を有する光学物品を得ることを目的とする。 【0017】 【課題を解決するための手段】本発明の防曇性能を有する光学物品は、酸化物を主として表面に含む光学物品において、該光学物品の表面を、不飽和二重結合を有するシランカップリング剤で処理した後、側鎖または疎水性基中間部に親水性基を持ち、かつ疎水性基中間部に分子間相互作用を生じる構造を形成する構造を有するチオールを、エン・チオール反応により表面に固定し、分子間結合させることによって光学物品に防曇性能を付与することを特徴とする。 【0018】酸化ケイ素を主成分とするガラスの光学物品の場合、耐擦傷性に大きな問題はないが、合成樹脂からなる光学物品は傷がつき易く、耐擦傷性を向上させなければならない。合成樹脂の耐擦傷性を向上させる為には、ハードコート処理がよく行われる。特に、コロイダルシリカを含むハードコートが有効で広く用いられている。眼鏡レンズなどの場合、その光学特性を向上させるために無機物質から構成される反射防止膜が表面に形成される。反射防止膜の最上層には、低屈折率層が形成されるが、耐久性、取扱い易さの点で二酸化ケイ素が広く用いられている。 この様に、耐擦傷性の向上や反射防止膜には、酸化ケイ素が多く用いられており、無機ガラスに限らず合成樹脂製の光学物品についても酸化ケイ素が表面に存在している場合が多い。反射防止膜として有機物からなる膜を利用する場合でも最上層にコロイダルシリカが含まれれば、表面に酸化ケイ素が存在することになる。 【0019】本発明は、酸化物を主成分とするガラスの光学物品、コロイダルシリカを含むハードコートを表面に塗布した合成樹脂製光学物品、最上層に酸化物を用いた反射防止膜を有する光学物品、いずれの場合でも表面に酸化物が存在する物品に対して適用できる。 【0020】本発明では、不飽和二重結合を有するシランカップリング剤で酸化物を主として表面に含む光学物品の表面を処理する。このような不飽和二重結合としては、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、アリル基などを選択することができる。最表層に存在する酸化ケイ素との反応は、クロルシランやアルコキシシラン、シラザンの様なシラノールと反応する基を持つシランカップリング剤を用いることにより表面の酸化ケイ素の持つシラノールとの反応が実現できる。これは一般的に用いられている方法である。 【0021】不飽和二重結合を有するシランカップリング剤として、ビニルトリクロロシラン、ジビニルジクロロシラン、トリビニルクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ジビニルメチルクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジエチルクロロシラン、ジビニルエチルクロロシラン、ビニルエチルジクロロシラン、ビニルジエチクロロルシラン、ジビニルエチルクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、3−メタクリロシキプロピルジメチルクロロシラン、3−メタクリロシキプロピルメチルジクロロシラン、3−アクリロシキプロピルジメチルクロロシラン、3−アクリロシキプロピルメチルジクロロシラン、アリルトリクロロシラン、アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、ジアリルジクロロシラン、フェニルビニルジクロロシラン、ジフェニルビニルクロロシラン、フェニルビニルメチルクロロシラン、フェニルアリルジクロロシラン、ジフェニルアリルクロロシラン、フェニルアリルメチルクロロシラン、3−アリルアミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジメトキシシラン、トリビニルメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ジビニルメチルメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジエチルメトキシシラン、ジビニルエチルメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルジエチメトキシルシラン、ジビニルエチルメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロシキプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロシキプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロシキプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロシキプロピルメチルジメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、ジアリルジメトキシシラン、フェニルビニルジメトキシシラン、ジフェニルビニルメトキシシラン、フェニルビニルメチルメトキシシラン、フェニルアリルジメトキシシラン、ジフェニルアリルメトキシシラン、フェニルアリルメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ジビニルメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジエチルエトキシシラン、ジビニルエチルエトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシラン、ビニルジエチエトキシルシラン、ジビニルエチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロシキプロピルジメチルエトキシシラン、3−メタクリロシキプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロシキプロピルジメチルエトキシシラン、3−アクリロシキプロピルメチルジエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、ジアリルジエトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、フェニルビニルメチルエトキシシラン、フェニルアリルジエトキシシラン、ジフェニルアリルエトキシシラン、フェニルアリルメチルエトキシシランなどがあげられる。 【0022】この様にシランカップリング剤で酸化物を含む表面を処理した場合、不飽和二重結合が表面に存在することになる。 【0023】シランカップリング剤と酸化物の反応性を高める為に、プラズマ処理、アルカリ処理を、予め表面に存在する酸化ケイ素に施すと効果があり、防曇効果も向上する。 【0024】次に本発明では上記のように処理した表面の不飽和二重結合に、側鎖または疎水性基中間部に親水性基を持ち、かつ疎水性基中間部に分子間相互作用を生じる構造を形成する構造を有するチオールを反応させ、必要に応じて紫外線などの高エネルギー線照射や、加熱などにより架橋反応を起こす。親水性基としてはスルホン酸基、水酸基、アミン基、カルボキシル基、硫酸エステル、及びその塩、エーテル結合、酸アミド基、カルボン酸エステル基、ハロゲン等が挙げられる。 【0025】側鎖または疎水性基中間部に親水性基を持ち、かつ疎水性基中間部に分子間相互作用を生じる構造を形成する構造を有するチオールとして、下記(化1)、(化2)に示すものがあげられるが、この限りではない。 【0026】 【化1】
【化2】
(R1は炭素数1ないし5の直鎖状アルキル基又は炭素数3ないし9の分岐状アルキル基、Aはアミド基等の水素結合にて分子間相互作用を生じる構造を形成するもの、又は炭素数5ないし10の直鎖状アルキル基等の分子間力(ファンデアワールス力)にて分子間相互作用を生じる構造を形成するもの、R2は炭素数1ないし5の直鎖状アルキル基、Yは一個以上の親水性基を有する置換基) チオールをシランカップリング剤の不飽和二重結合と反応させるには、光グラフト重合法、レドックス重合法、熱重合法、放射線グラフト重合法などを用いることができる。形成された処理層は、反射防止層の反射率特性に悪影響を与えない程度の薄膜であることが大切で、300Å以下が望ましいが、薄膜の屈折率を考慮して膜厚を決め、反射防止として薄膜を組み込むことも可能である。反応後、水洗、あるいは有機溶剤で洗浄することにより、光学物品表面と結合していない余分な物質を除去する。 【0027】以上の操作により酸化ケイ素が表面に存在する光学物品の最表面には、側鎖及び疎水性基中間部に親水性基を持つチオールがシランカップリング剤を介して表面と結合して存在する状態になる。防曇性能を得る為には、水に対する静止接触角が10゜以下であることが望ましいが、十分な性能を得るためには5゜以下が必要となる。これは表面の活性点を増やし、該チオールのグラフト率を高めることで達成できる。また、用いるチオールの構造によって親水性基の充填率を上げるなどの方法も可能である。 【0028】本発明によって得られる防曇性能を有する光学物品は、耐擦傷性に優れ、反射防止などの光学特性にも優れており、眼鏡レンズ、カメラレンズ、浴室内の鏡、水中眼鏡、窓ガラス、電子レンジの窓、車の窓ガラス、望遠鏡のレンズ、スキーのゴーグル、湿気の多い所で使用する光学機器のレンズ、ミラーなどに適用することが可能である。 【0029】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 【0030】 【発明の実施の形態】〔実施例1〕 1.基材の準備:予め水酸化ナトリウム溶液(0.1N) に浸漬し、よく水洗、乾燥したプラスチックレンズ(セイコーエプソン(株)製、セイコースーパーソブリン用レンズ生地、屈折率1.67)に以下に示すコーティング液をディッピング法で、膜厚が2.5μm になる様塗布し、135℃で2.5時間加熱硬化した。このようにして得られたレンズの表面に、プラズマ処理(アルゴンプラズマ400W×60秒)を行った後、無機物質の酸化ケイ素、酸化ジルコニウムからなる反射防止膜を真空蒸着法で多層被覆し、ハードコート、反射防止付プラスチックレンズ、基材Aを作成した。この基材Aの水に対する静的接触角は20°であった。 【0031】(コーティング液の調整)撹拌装置を備えた、反応容器中に、イソプロピルアルコール118.8g,蒸留水300.0g、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン139.4g、0.05規定塩酸水溶液38.2gを投入し、60分攪拌した。次に酸化チタン・酸化ジルコニウム・酸化珪素の複合ゾル(触媒化成工業(株)製“オプトレイク1120Z(U25A8)”)403.3gシリコーン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製“L−7604”)0.3g 添加し、十分攪拌した後コーティング液とした。 【0032】2.シラン処理:次にこの基材Aをメタノールで洗浄し、十分乾燥させた後、ビニルトリクロロシラン液中に浸漬し、相対湿度50%、温度30℃雰囲気中に取り出し、5分間放置した。その後、アセトンにより洗浄した。 【0033】洗浄前にはレンズに白化現象が見られたが、アセトン洗浄により透明に戻り、レンズの外観・反射防止の特性に大きな変化は見られなかった。また、この時の水に対する接触角は83°であり、ビニルシランが表面に固定化されている事が確認された。 【0034】3.チオール処理:次に洗浄後のレンズに高圧水銀灯(3.2kW)により、光源直下15cmで両面に2秒紫外線を照射した。その後、以下に示す側鎖または疎水性基中間部に親水性基を持ち、かつ疎水性基中間部に分子間相互作用を生じる構造を形成する構造を有するチオールに浸漬した状態で紫外線照射し、反応を行った。 【0035】(チオールの調整)イソプロピルアルコール(以下IPAと称す)250gに側鎖または疎水性基中間部に親水性基を持ち、かつ疎水性基中間部に分子間相互作用を生じる構造を形成する構造を有するチオールとしてメチルエトキシエタノール125gに1−メルカプト−5−オキソ−13−ヒドロキシ−8,11−オキサ−4−アザトリデカン25gを溶解し、光開始剤として、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製“ダロキュアー1173”)を0.8g添加し、光を遮断した状態で、30分間撹拌した。 【0036】反応後のレンズを高圧水銀灯装置より取り出し、純水によって洗浄を行った。洗浄後のレンズの外観、反射防止の特性に大きな変化は見られなかった。また、水に対する静的接触角は11°であり、基材表面への親水性の付与が確認された。 【0037】得られた光学物品の防曇性評価方法は“JIS−S4030 眼鏡用くもり止め剤試験方法”の低温部くもり止め性に従って1〜4級で評価した。(1級が一番防曇性能が良く、4級が一番悪い。)また、耐擦傷性についてはボンスター#0000スチールウール(日本スチールウール(株)製)で1kg荷重、10往復表面を摩擦したときの傷の付き方によって評価した。(A:1cm*3cmの範囲内に全く傷が付かない。B:上記範囲内に1〜10本傷が付く。C:上記範囲内に11〜100本傷が付く。 D:上記範囲内に無数の傷が付く。)評価結果は表1にまとめて示した。 【0038】〔実施例2〕 1.基材の準備:実施例−1で用意した基材Aを用いた。 【0039】2.シラン処理:基材Aをメタノールで洗浄し、十分乾燥させた後、3−メタクリロキシプロピルメチルジクロロシラン液中に浸漬し、相対湿度50%、温度30℃雰囲気中に取り出し、5分間放置した。その後、アセトンにより洗浄した。洗浄前、洗浄後のレンズの外観、反射特性に大きな変化は見られなかった。また、水に対する静的接触角は78°で、3−メタクリロキシプロピルメチルジクロロシランの表面への固定化が確認された。 【0040】3.チオール処理:シラン処理後のレンズに、コロナ放電を10秒行い、表面を活性化した。このレンズを以下に示すチオール処理液に浸漬して、30分間脱泡を行い、溶存酸素量を少なくし、窒素パージを行って35℃90分間放置した。その後、レンズを取り出して水洗を行い、乾燥させて処理レンズとした。水洗後のレンズの外観・反射防止の特性に大きな変化は見られなかった。また、この時の水に対する静的接触角は10°であり、12−メルカプトドデカノールの表面への固定化が確認された。 【0041】(チオールの調整)イソプロピレングリコール125gに12−メルカプトドデカノールを12.5g溶解し処理液とした。 【0042】〔比較例1〕実施例1で用いた1−メルカプト−5−オキソ−13−ヒドロキシ−8,11−オキサ−4−アザトリデカンを1−メルカプト−11−ヒドロキシ−6,11−オキサウンデカンに変更し、その他の条件は同様に処理したレンズを比較例1とした。このレンズの水に対する静的接触角は15°で、1−メルカプト−11−ヒドロキシ−6,11−オキサウンデカンのレンズ表面への固定化が確認された。 【0043】〔比較例2〕実施例2で使用した12−メルカプトドデカノールのかわりに3−メルカプトプロパノールを用いた以外は、実施例2と同様にレンズを処理し、これを比較例2とした。処理後の水に対する静的接触角は10°であり、3−メルカプトプロパノールのレンズ表面への固定化が確認された。 【0044】〔比較例3〕実施例2で使用した12−メルカプトドデカノールのかわりに1−メルカプトドデカンを用いた以外は、実施例2と同様にレンズを処理し、これを比較例2とした。処理後の水に対する静的接触角は68°であり、接触角の低下は見られなかった【0045】 【表1】
【発明の効果】本発明によれば、酸化物が存在する硬度の十分ある表面に界面活性剤を反応・固定させ、耐擦傷性をもたせることが可能となり、かつ防曇処理層が薄い為、表面硬度、防曇の耐久性にも優れ、表面の反射防止膜に光学的影響を与えない防曇性能を有する光学物品が製造可能となった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002369 【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月6日(2000.1.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093388 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 喜三郎 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−194502(P2001−194502A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−924(P2000−924) |
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