トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験




【発明の名称】 2次元アレイ型放射線検出器
【発明者】 【氏名】戸波 寛道

【氏名】大井 淳一

【要約】 【課題】コーンビームX線CT装置に要求されているような2次元アレイ型の大きな検出面を有する2次元アレイ型放射線検出器を提供する。

【解決手段】制御部10で制御されるゲートドライバ部8から、走査パルスをFET2のゲート3に送るゲートバスライン6と、光電変換素子1の電荷信号をソース5からドレイン4にゲートされ、データ収集部9に読出すデータバスライン7とが、不感部列15の垂直方向に平行して各一本づつ配線されて、検出器パネルの1辺に取り出され、制御部10、ゲートドライバ部8、データ収集部9が下方の1辺に配置されている。このモジュールを複数個繋ぎ並べて大きな検出面を有する2次元アレイ型放射線検出器を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】放射線に感応し入射線量に対応した電荷信号を出力する変換層と、その直下に行列状に配置され接続されたスイッチング素子と、信号読み出し時にゲートバスラインを介して各スイッチング素子を順次ONするゲートドライバ部と、各画素に蓄積された電荷信号をデータバスラインを介して読出すデータ収集部と、前記両部を制御する制御部とから構成される2次元アレイ型放射線検出器において、前記ゲートバスラインと前記データバスラインが互いに平行に各画素列の間に配線されることを特徴とする2次元アレイ型放射線検出器。
【請求項2】ゲートバスラインとデータバスラインが各画素列の間に各一本づつ配線されることを特徴とする請求項1記載の2次元アレイ型放射線検出器。
【請求項3】請求項1記載の2次元アレイ型放射線検出器を一モジュールとし、複数のモジュールをゲートバスラインとデータバスラインの出力されない端面で接続したことを特徴とする2次元アレイ型放射線検出器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パネル型X線固体検出器に係わり、特に、マルチスライスX線CT装置、コーンビームX線CT装置に用いられる2次元アレイ型放射線検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】X線CT装置は、X線管からX線を放射し、放射口のコリメータによって扇状のX線ビームに絞られ、被検体を中心にして、X線管とこれに対向して配置された円弧状のコリメータと検出器が回転して、被検体を透過したX線情報を検出器が捉え、その信号をコンピュータで処理して被検体のX線断層画像を得るものである。そして、前記の検出器はX線を光に変換するシンチレータ素子と、このシンチレータ素子で変換された光を検出し、電気信号として出力するフォトダイオードとからなるX線検出素子を、X線管を中心として円弧状に約500〜1000チャンネル程度配列した構成を有する。
【0003】製作する上で機械的な配列から、シンチレータとフォトダイオードを光学接着して組合わせたものを、基板上に8〜30個並べたものが1モジュールとされ、このような検出器モジュールを円周上に連続して略円弧状に配置して、コリメータと組合わせられて、CT用固体検出器を構成している。従来の放射線検出器は以上のように構成されているが、チャンネル方向(被検体の体軸と直角の方向)に一次元的に配列された検出器では、断層像は1スライスしか得られないので、多層の断層像を得るためには何回もスキャニングを行なわなければならない。一度に多くのスライスデータを得るためには、X線検出素子をチャンネル方向だけでなく、それに直交するスライス方向(被検体の体軸方向)にも配列した2次元アレイ型放射線検出器が考えられており、コーンビームX線管と併用されて微小なスライスピッチのマルチスライスデータを短時間のうちに収集する検出器が期待されている。
【0004】この2次元アレイ型放射線検出器は、通常X線を光に変換するX線変換膜と、その直下に行列状に配置されたフォトダイオードアレイと、各フオトダイオードアレイに接続されたスイッチング素子によって構成され、X線照射後、各スイッチング素子を順次ONすることで、各画素に蓄積された信号電荷を読み出してX線画像を形成するタイプのものと、放射線に感応し入射線量に対応した電荷信号を直接出力する変換膜からなる放射線センサーアレイを有し、その直下に行列状に配置された電極にスイッチング素子が接続され、照射時に各スイッチング素子を順次ONするすることで、各画素に蓄積された信号電荷を読み出し、X線画像を形成するタイプの2種類のものがある。ここでは前者のタイプのものについて説明する。
【0005】図4に前者のタイプの2次元アレイ型放射線検出器の検出回路を示す。この検出器は、X線を光に変換するシンチレータ11が前面に一様に形成され、その裏側に光を電気信号に変換する光電変換素子1、例えば、フォトダイオードが規則正しく縦横にアレイ配置されている。そして、この光電変換素子1と対にスイッチング素子、例えば、FET2が形成され、各々FET2のソース5の端子が光電変換素子1に接続されている。そして、各々のFET2のゲート3端子が水平方向のゲートバスライン6に接続され、各々のFET2のドレイン4端子が垂直方向のデータバスライン7に接続されている。ゲートドライバ部8とデータ収集部9が制御部10によって制御され、ゲートドライバ部8からのパルス信号を、水平方向に形成されたゲートバスライン6を介して、上方から下方に順次出し、FET2のゲート3に与え、光電変換素子1に蓄積している映像電荷信号を、ソース5からドレイン4に読出し、そして、垂直方向に形成されたデータバスライン7からデータ収集部9に取り込む。そして、データ収集部9から、取り込んだ映像データ信号を外部に出力する。
【0006】図5に、2次元アレイ型放射線検出器の断面構造を示す。この検出器は、基板13上に、シンチレータ11と光電変換素子1(a−Si:H PDAなど)とスイッチング素子(a−Si:H FET2など)を形成したものを示す。基板13の上に、ゲートバスライン6が形成され、そのゲートバスライン6にFET2のゲート3の電極が重ね合わされて形成され、そして、スイッチング素子であるFET2が規則正しく行列して形成される。また、FET2のドレイン4の電極に絶縁物16上のデータバスライン7が重ね合わされて形成される。そして、下層に配線されたゲートバスライン6と上層に配線されたデータバスライン7とは、絶縁物を挟んで空間的に直交している。次に、FET2のソース5の電極上に光電変換素子1が規則正しく行列して形成される。そして、その上部全面にシンチレータ11が形成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の2次元アレイ型放射線検出器は、以上のように構成されているが、この2次元アレイ型放射線検出器をコーンビームX線CT装置に応用しようとしたとき、検出器のマトリックスサイズは512×512〜2048×2048で、その外形寸法は、1辺が200mm〜300mm程度の正方形であり、コーンビームX線CT装置に要求されている寸法、例えば、1000mm×200mm程度に対応出来ない。また、300mm×300mmのものを4個つなぎ合わせて、1200mm×300mmの大きさにしても、ゲートバスライン6とデータバスアイン7は直交しており、水平走査のゲートドライバ部8とデータ読取りのデータ収集部9が各々1辺づつを占めているため、また、場合によっては4辺全てを占めているため、横方向に並べようとしても、つなぎ合わせの部分に走査回路等の電子部品が搭載されているので、大きなデッドスペースが出来てしまい、実現不可能となってしまうという問題がある。
【0008】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コーンビームX線CT装置に要求されているような2次元アレイ型の大きな検出面を有する2次元アレイ型放射線検出器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明の2次元アレイ型放射線検出器は、放射線に感応し入射線量に対応した電荷信号を出力する変換層と、その直下に行列状に配置され接続されたスイッチング素子と、信号読み出し時にゲートバスラインを介して各スイッチング素子を順次ONするゲートドライバ部と、各画素に蓄積された電荷信号をデータバスラインを介して読出すデータ収集部と、前記両部を制御する制御部とから構成される2次元アレイ型放射線検出器において、前記ゲートバスラインと前記データバスラインが互いに平行に各画素列の間に配線されるものである。
【0010】また、本発明の2次元アレイ型放射線検出器は、ゲートバスラインとデータバスラインが各画素列の間に各一本づつ配線されるものである。
【0011】また、本発明の2次元アレイ型放射線検出器は、2次元アレイ型放射線検出器を一モジュールとし、複数のモジュールをゲートバスラインとデータバスラインの出力されない端面で接続したものである。
【0012】本発明の2次元アレイ型放射線検出器は上記のように構成されており、検出器パネルの配線をゲートバスラインとデータバスラインが互いに平行に各画素列の間の不感部に配線され、しかも、ゲートバスラインとデータバスラインが各画素列の間に各一本づつ配線され、走査回路及び信号取り出し部を検出器パネルの4辺の1辺のみを占める構造にするので、モジュール単位で製作した検出器パネルを複数個並べることにより、検出器全体を構成することで、コーンビームX線CT装置用等の大きい2次元アレイ型放射線検出器を製作することが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の2次元アレイ型放射線検出器の一実施例を図1を参照しながら説明する。図1は本発明の2次元アレイ型放射線検出器の検出回路を示す。本2次元アレイ型放射線検出器は、従来の検出器と部品の構成は同じであるが、検出器パネル上の走査回路のゲートバスライン6と読取回路のデータバスライン7の配線方法と、電子回路部であるゲートドライバ部8、データ収集部9、および、制御部10の配置が異なる。
【0014】本検出器は、X線を光に変換するシンチレータ11が前面に一様に形成され、その裏側に光を電気信号に変換する光電変換素子1、例えば、フォトダイオードが規則正しく縦横にアレイ配置されている。そして、その光電変換素子1と対にスイッチング素子、例えば、FET2が形成され、各々FET2のソース5の端子が光電変換素子1に接続されている。そして、各々のFET2のゲート3端子が垂直方向のゲートバスライン6に接続され、各々のFET2のドレイン4端子が垂直方向のデータバスライン7に接続されている。
【0015】ゲートドライバ部8とデータ収集部9が制御部10によって制御され、ゲートドライバ部8からのパルス信号を、垂直方向に形成されたゲートバスライン6を介して、上方から下方に、図に示すA点、B点、C点………と順次走査して、各FET2のゲート3に与え、光電変換素子1に蓄積している映像電荷信号を、ソース5からドレイン4に読出し、そして、垂直方向に形成されたデータバスライン7からデータ収集部9に取り込む。そして、データ収集部9から取り込んだ映像データ信号を外部に出力する。
【0016】この構造では、ゲートバスライン6とデータバスライン7が平行して配線されており、水平走査のゲートドライバ部8と読取りのデータ収集部9が検出器パネルの1辺のみを占めている。この場合、ゲートバスライン6とデータバスライン7が近接しているため、データバスライン7にノイズがのりやすく、構造上、一列の不感部列15には、ゲートバスライン6とデータバスライン7が各々一本づつ配線されるようにする。
【0017】従来の検出器パネルと比較してゲートバスライン6同士が重なりあうところがあるが、製造工程で、図5に示すようにガラス基板13上に、まず、縦方向のゲートバスライン6を形成する。そして、次に形成する横方向のゲートバスライン6との接続点(A点、B点、C点……)は、接続を良くするためにパッド状に形成しておく。次に、ゲートバスライン6どうしが重なり合うところに、SiNなどの絶縁膜を形成する。そして、横方向のゲートバスライン6を接続しつつ形成する。その後の工程は従来の検出器パネルと同様である。
【0018】次に、サイズの大きい、コーンビームX線CT装置用の2次元アレイ型放射線検出器の一実施例について、図2を参照しながら説明する。検出器パネルは、図1に示すように画素12がマトリックス構造に形成された一モジュール14として製造される。このモジュール14は、一つの基板13上に64ch×128chを形成したものである。縦の128chを2等分し、上方に64ch、下方に64chを形成している。ゲートバスライン6とデータバスライン7が並んで上下に平行に配線されており、水平走査のゲートドライバ部8a、8b、及び、データ収集部9a、9bが上下に設置されている。マトリックスサイズは128ch×64chで、1画素の大きさを1.5mm四角とすると、192mm×96mmのモジュール寸法になる。
【0019】これを図3に示すように、10個繋ぎ合わせるとマトリックスサイズ640ch×128ch、モジュール寸法960mm×192mmのコーンビームX線CT装置用の2次元アレイ型放射線検出器となる。このようなモジュールを繋ぎ並べる構造では、図3に示すように、モジュール面をX線管の焦点方向へ向かせることが可能である。
【0020】
【発明の効果】本発明の2次元アレイ型放射線検出器は上記のように構成されており、ゲートバスラインとデータバスラインが、各画素列の間の不感部に互いに平行に、各一本づつ配線されて、走査回路のゲートドライバ部及び信号読取りのデータ収集部が検出器パネルの1辺のみを占める構造に形成されているので、モジュール単位で製作した検出器パネルを、デッドスペースなく複数個繋ぎ並べて、大きな2次元アレイ型放射線検出器を製作することが出来る。そして、モジュール単位で構成されているため、製造する上で歩留まりが良く、万が一故障しても、故障したモジュールのみを取りかえることで対応することが出来る。
【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【出願日】 平成12年1月7日(2000.1.7)
【代理人】 【識別番号】100097892
【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 義明
【公開番号】 特開2001−194461(P2001−194461A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−5951(P2000−5951)