トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験




【発明の名称】 受光素子、距離測定装置及び距離・画像測定装置
【発明者】 【氏名】菅原 良一

【氏名】佐野 直樹

【要約】 【課題】選択画素からの受光信号のみを適切に検出可能な受光素子を提供する。

【解決手段】選択画素についてはSW1=ON,SW2=OFFとなり、PDからの受光信号が縦方向出力線L11を介して出力される。また非選択画素についてはSW1=OFFとなり外部へ出力されない。さらにSW2=ONとなり、PDからの受光信号は接地線を介してグラウンドに落とされるため、リーク防止も実現される。一方、縦方向出力線L11が最終的には1本の出力線L12にまとめられる部分において、縦方向出力線L11にSW3,4が設けられている。SW3は縦方向出力線L11と出力線L12とを接・断するためのスイッチであり、SW4は縦方向出力線L11と接地線とを接・断するためのスイッチである。非選択画素についてはSW4=OFFとなり、やはりここでもリーク防止が実現される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の画素が配列され、前記画素の受光領域にて光電変換された受光信号を外部の処理回路へ出力する受光素子であって、前記各画素には、前記受光信号を前記処理回路へ出力するための出力線と前記受光領域との間を断続する第1のスイッチと、接地線と前記受光領域との間を断続する第2のスイッチとがそれぞれ設けられており、前記第1のスイッチが接続されている場合は前記第2のスイッチを切断し、前記第1のスイッチが切断されている場合には前記第2のスイッチを接続することを特徴とする受光素子。
【請求項2】請求項1記載の受光素子において、前記受光領域は、pinフォトダイオードで構成されており、前記第1及び第2のスイッチは、前記受光領域とは分離して形成された井戸層内に設けられていることを特徴とする受光素子。
【請求項3】請求項1又は2記載の受光素子において、縦横2方向に複数の画素が行列状に配置されて構成されていると共に、その行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に属する各画素は、共通の出力線にて前記受光信号を出力するよう構成されており、前記行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に共通の出力線毎に、前記処理回路との間を断続する第3のスイッチと、接地線との間を断続する第4のスイッチとがそれぞれ設けられており、前記第3のスイッチが接続されている場合は前記第4のスイッチを切断し、前記第3のスイッチが切断されている場合には前記第4のスイッチを接続することを特徴とする受光素子。
【請求項4】請求項3記載の受光素子において、前記共通の出力線が行単位の画素群を接続している場合には列単位、逆に前記共通の出力線が列単位の画素群を接続している場合には行単位で、当該単位に属する画素群の前記第1のスイッチを共通に制御する第1の制御線と、当該単位に属する画素群の前記第2のスイッチを共通に制御する第2の制御線とを備えると共に、前記第3のスイッチ及び第4のスイッチに関しては、それぞれ個別に制御する第3の制御線及び第4の制御線を備えていることを特徴とする受光素子。
【請求項5】請求項1〜4のいずれか記載の受光素子において、前記各画素は、さらに、前記受光領域にて受光される輝度信号に応じて当該受光領域から発生する電荷を蓄積するコンデンサと、前記受光領域と前記コンデンサとの間を断続する第5のスイッチと、前記コンデンサに蓄積された電荷を画像信号として前記処理回路へ出力するための画像信号用出力線と前記コンデンサとの間を断続する第6のスイッチとを備えており、前記第2のスイッチは、前記接地線と前記コンデンサとの間も断続可能にされており、前記第6のスイッチを接続して前記画像信号用出力線へ画像信号を出力した後、前記第2のスイッチを前記接地線と所定時間接続することを特徴とする受光素子。
【請求項6】請求項5記載の受光素子において、縦横2方向に複数の画素が行列状に配置されて構成されていると共に、その行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に属する各画素は、共通の画像信号用出力線にて前記画像信号を出力するよう構成されており、前記行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に共通の画像信号用出力線毎に、前記処理回路との間を断続する第7のスイッチが設けられていることを特徴とする受光素子。
【請求項7】縦横2方向に複数の画素が行列状に配置され、前記画素の受光領域にて光電変換された受光信号を外部の処理回路へ出力すると共に、その行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に属する各画素は、共通の画素群対応出力線にて前記受光信号を出力するよう構成された受光素子であって、前記各画素には、前記受光信号を前記処理回路へ出力するための出力線と前記受光領域との間を断続する第1のスイッチが設けられ、前記画素群対応出力線毎に、前記処理回路との間を断続する第3のスイッチと、接地線との間を断続する第4のスイッチとがそれぞれ設けられており、前記第1のスイッチ及び前記第3のスイッチが接続されている場合は前記第4のスイッチを切断し、前記第1のスイッチ及び前記第3のスイッチが切断されている場合には前記第4のスイッチを接続することを特徴とする受光素子。
【請求項8】縦横2方向に複数の画素が行列状に配置され、前記画素の受光領域にて光電変換された受光信号を外部の処理回路へ出力すると共に、その行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に属する各画素は、共通の画素群対応出力線にて前記受光信号を出力するよう構成された受光素子であって、前記各画素には、前記受光信号を前記処理回路へ出力するための出力線と前記受光領域との間を断続する第1のスイッチが設けられ、前記画素群対応出力線毎に、前記処理回路との間を断続する第3のスイッチが設けられ、さらに、前記画素群対応出力線は、最終的には1本の出力線にまとめられて前記外部の処理回路へ出力されるよう構成され、その1本にまとめられた出力線に、接地線との間を断続する第4のスイッチが設けられており、前記第1のスイッチ及び前記第3のスイッチが接続されている場合は前記第4のスイッチを切断し、前記第1のスイッチ及び前記第3のスイッチが切断されている場合には前記第4のスイッチを接続することを特徴とする受光素子。
【請求項9】請求項7又は8に記載の受光素子において、前記第1のスイッチ及び前記第3のスイッチが切断されている状態から接続されている状態に移行する場合には、前記第4のスイッチが接続されている状態において前記第1のスイッチ及び前記第3のスイッチを接続し、その後、前記第4のスイッチを切断することを特徴とする受光素子。
【請求項10】請求項7〜9のいずれか記載の受光素子において、前記各画素は、さらに、前記受光領域にて受光される輝度信号に応じて当該受光領域から発生する電荷を蓄積するコンデンサと、前記受光領域と前記コンデンサとの間を断続する第5のスイッチと、前記コンデンサに蓄積された電荷を画像信号として前記処理回路へ出力するための画像信号用出力線と前記コンデンサとの間を断続する第6のスイッチとを備えており、前記行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に属する各画素は、共通の画素群対応の前記画像信号用出力線にて前記画像信号を出力するよう構成され、その画素群対応の画像信号出力線毎に、前記処理回路との間を断続する第7のスイッチと、接地線との間を断続する第8のスイッチとがそれぞれ設けられていることを特徴とする受光素子。
【請求項11】請求項5、6、10のいずれか記載の受光素子において、前記受光領域とコンデンサとは直列に接続されていると共に、前記第6のスイッチと前記画像信号用出力線との間に増幅回路が設けられていることを特徴とする受光素子。
【請求項12】請求項5、6、10のいずれか記載の受光素子において、前記受光領域とコンデンサは並列に接続されていると共に、前記コンデンサには、検出前に予め電荷を蓄積しておくプリチャージを行い、前記受光領域に輝度信号に応じた入力があると、その入力に応じて前記コンデンサから放電されるよう構成しておき、検出時には、まず前記第1のスイッチを接続して、前記受光領域から前記出力線へ受光信号を出力し、その後、前記第6のスイッチを接続して、前記コンデンサから前記画像信号用出力線へ電荷を出力することを特徴とする受光素子。
【請求項13】請求項5、6、10〜12のいずれか記載の受光素子において、縦横2方向に複数の画素が行列状に配置され、その行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に属する各画素が共通の出力線にて前記受光信号を出力する構成であることを前提とし、前記共通の出力線が行単位の画素群を接続している場合には列単位、逆に前記共通の出力線が列単位の画素群を接続している場合には行単位で、当該単位に属する画素群の前記第5のスイッチを共通に制御する第5の制御線と、当該単位に属する画素群の前記第6のスイッチを共通に制御する第6の制御線とを備えていることを特徴とする受光素子。
【請求項14】レーザ光を照射する照射手段と、前記照射手段にて照射されたレーザ光が反射物から反射されて来た反射光を検出する請求項1〜4、7〜9のいずれか記載の受光素子と、前記受光素子において機能を発揮させる画素を切替選択する切替選択手段と、前記照射手段がレーザ光を照射してから前記受光素子が反射光を検出するまでの時間差を計測する時間差計測手段と、前記時間差計測手段にて計測された時間差に基づいて前記反射物までの距離または距離を表す物理量を算出する距離算出手段とを備えていることを特徴とする距離測定装置。
【請求項15】請求項14記載の距離測定装置において、前記切替選択手段は、前記レーザ光の照射方向にも応じて、機能を発揮させる画素を切替選択することを特徴とする距離測定装置。
【請求項16】請求項14又は15記載の距離測定装置において、車両に搭載されて用いられることを前提とし、前記レーザ光の方向は車幅方向あるいは車高方向であることを特徴とする距離測定装置。
【請求項17】レーザ光を照射する照射手段と、前記照射手段にて照射されたレーザ光が反射物から反射されて来た反射光を検出する請求項5、6、10〜13のいずれか記載の受光素子と、前記照射手段がレーザ光を照射してから前記受光素子が反射光を検出するまでの時間差を計測する時間差計測手段と、前記時間差計測手段にて計測された時間差に基づいて前記反射物までの距離または距離を表す物理量を算出する距離算出手段と、前記受光素子にて検出された画像信号に基づいて画像を測定する画像測定手段とを備えていることを特徴とする距離・画像測定装置。
【請求項18】請求項17記載の距離・画像測定装置において、前記画像測定手段にて測定した画像に基づき、前記照射手段によって照射するレーザ光の強度を変更することを特徴とする距離・画像測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数画素が配列され、各画素の受光領域にて光電変換された受光信号を外部の処理回路へ出力可能な受光素子、及びその受光素子を備えた距離測定装置、距離・画像測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車などに取り付けられ、車両周囲の所定角度に渡り、レーザ光を断続的に照射して反射物体により反射された反射光を検出し、そのレーザ光を照射したタイミングと、反射光を検出したタイミングとの時間差を測定して、その時間差に基づいて反射物体までの距離を算出する距離測定装置が知られている。このような距離測定装置においては、広い検知エリアを確保するために、照射範囲を広げることが基本的には望ましい。
【0003】但し、照射範囲を広げると、例えば対向車線を走行している自動車に搭載された距離測定装置から照射されたレーザ光を受光してしまったり、あるいは隣接レーンを走行している自動車に搭載された距離測定装置から照射されたレーザ光の反射物体による反射光を受光してしまったりして、適切な距離測定が妨害されてしまうおそれがある。
【0004】そのため、例えば特開平7−98381号公報においては、外乱光ノイズの影響を極力小さくする目的で、受光素子として次のような構成を採用している。つまり、受光する部分には複数の画素が配列されており、レーザ光の照射方向に応じて、複数の画素の内の一部のみを機能を発揮させることによって、実質的に受光する面積を小さくするのである。この特開平7−98381号公報記載の装置においては、画素毎に、受光信号を出力するための出力線との間を切断するスイッチを設け、機能を発揮させたい画素(選択画素)に対応するスイッチのみ接続するようにしている。このようにすれば、レーザ光を照射したタイミングと、選択画素からの受光信号に基づいて得た反射光を検出したタイミングとの時間差を測定し、その時間差に基づいて反射物体までの距離を算出することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このようにして正確な距離が算出できるのは、選択画素からの受光信号のみが計時回路に入力されるという大前提があってのことである。しかしながら、スイッチが切断されているとはいえ、機能を発揮させたくない画素(非選択状態の画素)にも反射光が入射している場合には、その非選択状態の画素からの受光信号がリークして計時回路に入力されてしまう可能性がある。計時回路では、選択状態の画素から出力された適切な受光信号なのか、非選択状態の画素からリークした受光信号なのかの区別はできず、誤った時間差を計測してしまう可能性がある。この計時誤差はひいては反射物体までの距離を誤測定してしまうことにつながる。
【0006】そこで、選択状態の画素からの受光信号のみを適切に検出可能な受光素子を提供することを目的とし、さらに、その受光素子を用いて適切な距離測定のできる距離測定装置及びさらに画像測定もできる距離・画像測定装置を提供することも目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達するためになされた請求項1記載の受光素子は、複数の画素が配列され、その画素の受光領域にて光電変換された受光信号を外部の処理回路へ出力する。外部の処理回路とは、例えば距離測定に利用する場合であれば計時回路などである。ここで、本受光素子の各画素には、受光信号を処理回路へ出力するための出力線と受光領域との間を断続する第1のスイッチと、接地線と受光領域との間を断続する第2のスイッチとがそれぞれ設けられている。そして、第1のスイッチが接続されている場合は第2のスイッチを切断し、第1のスイッチが切断されている場合には第2のスイッチを接続するのである。
【0008】本受光素子を用いる場合には、選択画素については第1のスイッチを接続し、非選択画素については第1のスイッチを切断する。その場合、上述したように、選択画素についての第2のスイッチは切断され、非選択画素についての第2のスイッチは接続される。これによって、仮に非選択画素が受光したとしても、第2のスイッチを介して接地線へ受光信号が出力されるので、リークすることがない。一方、選択画素からの受光信号は、第2のスイッチは切断されているため接地線へ出力されることなく、第1のスイッチ及び出力線を介して外部の処理回路へ適切に出力される。
【0009】したがって、外部の処理回路では、選択状態の画素からの受光信号のみを入力することができる。例えば処理回路が距離測定のための計時回路であるとすると、従来のように、非選択状態の画素からリークした受光信号による計時誤差が低減され、距離の誤測定を回避できる。
【0010】なお、この受光素子を距離測定用に利用する場合は、請求項2に示すように、受光領域をpinフォトダイオードで構成し、第1及び第2のスイッチを、その受光領域とは分離して形成された井戸層内に設けることが考えられる。pinフォトダイオードは、p領域とn領域の間にi領域(真性半導体領域)が存在し、i領域の電界によって、光入力に応じて発生したキャリアは加速され出力電極に取り出されるため、高速性を実現できる。距離測定には高速性が要求されるため、このような構成が好ましい。
【0011】ところで、複数の画素が配列されていればよいので、例えば1列に画素が配列されていてもよい。但し、実際の適用先を考慮すると2次元的な検出が要求されることも多いので、請求項3に示すように、縦横2方向に複数の画素を行列状に配置して構成することが考えられる。その場合は、請求項3に示すように、その行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に属する各画素を、共通の出力線にて受光信号を出力するよう構成し、その共通の出力線毎に、処理回路との間を断続する第3のスイッチと、接地線との間を断続する第4のスイッチとをそれぞれ設ける。そして、第3のスイッチが接続されている場合は第4のスイッチを切断し、第3のスイッチが切断されている場合には第4のスイッチを接続するようにしてもよい。
【0012】このようにすれば、各画素毎に出力線を準備しなくてもよく、構成の簡素化が図れる。そして、このように共通の出力線を用いた場合でも、その出力線単位で、第3のスイッチが切断されて処理回路へ出力しない場合には第4のスイッチを接続して接地状態とするため、上述と同様にリーク防止効果が得られる。
【0013】また、この構成を前提とするならば、請求項4に示すように、共通の出力線が行単位の画素群を接続している場合には列単位、逆に共通の出力線が列単位の画素群を接続している場合には行単位で、当該単位に属する画素群の第1のスイッチを共通に制御する第1の制御線と、当該単位に属する画素群の第2のスイッチを共通に制御する第2の制御線とを備えてもよい。そして、第3のスイッチ及び第4のスイッチに関しては、それぞれ個別に制御する第3の制御線及び第4の制御線を備えるのである。
【0014】このようにすれば、第1から第4の制御線を用いることで任意の画素のみを選択状態(機能発揮状態)にすることができながら、さらなる構成の簡素化が図れる。以上は主に距離測定に用いて有効な受光素子について説明したが、その基本構成を利用し、さらに構成を追加することで距離・画像測定に用いて有効な受光素子を得ることができる。
【0015】例えば請求項5に示すように、請求項1〜4のいずれか記載の受光素子において、各画素がさらに次の構成を備えるようにする。つまり、受光領域にて受光される輝度信号に応じて当該受光領域から発生する電荷を蓄積するコンデンサと、受光領域とコンデンサとの間を断続する第5のスイッチと、コンデンサに蓄積された電荷を画像信号として処理回路へ出力するための画像信号用出力線とコンデンサとの間を断続する第6のスイッチである。
【0016】そして、受光領域とコンデンサとが直列に接続されている場合には、第5のスイッチが接続されている間は常時コンデンサに輝度信号に応じた電荷が蓄積されるので、第6のスイッチを切断しておく。一方、第6スイッチを接続してコンデンサに蓄積された電荷による画像信号を画像信号用出力線を介して処理回路へ出力したい場合には、第5スイッチは切断しておく。また、コンデンサから画像信号を出力した後は、第2のスイッチを接地線と所定時間接続して、コンデンサに残っている電荷を放出する。これでリセット完了である。
【0017】このようにすれば、一つの受光素子にて、上述した高速性の要求に応えた距離測定に加えて画像測定も行える。そして、これら距離測定のための動作及び画像測定用の動作は独立且つ同時に実現できる。また、この画像信号用出力線に関しても、次のような工夫を施してもよい。つまり、請求項6に示すように、縦横2方向に複数の画素が行列状に配置されて構成すると共に、その行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に属する各画素を共通の画像信号用出力線にて画像信号を出力するよう構成する。そして、行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に共通の画像信号用出力線毎に、処理回路との間を断続する第7のスイッチを設けるのである。このようにすれば、各画素毎に出力線を準備しなくてもよく、構成の簡素化が図れる。
【0018】ところで、以上説明した発明の場合には、接地線と受光領域との間を断続できる第2のスイッチが各画素に設けられており、仮に非選択画素が受光したとしても、第2のスイッチを介して各画素単位で接地線へ受光信号を出力でき、リーク防止を行っていた。しかし、請求項7に示すように、縦横2方向に複数の画素が行列状に配置され、画素の受光領域にて光電変換された受光信号を外部の処理回路へ出力すると共に、その行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に属する各画素は、共通の画素群対応出力線にて受光信号を出力するよう構成されているのであれば、各画素に第1のスイッチは必要であるが、上述の第2のスイッチは設けないような構成を採用しても良い。この場合は、画素群対応出力線毎に、処理回路との間を断続する第3のスイッチと、接地線との間を断続する第4のスイッチとがそれぞれ設けられ、画素を選択する場合、つまり第1のスイッチ及び第3のスイッチが接続されている場合は第4のスイッチを切断し、画素を非選択とする場合、つまり第1のスイッチ及び第3のスイッチが切断されている場合には第4のスイッチを接続すればよい。第1のスイッチ及び第3のスイッチを切断しただけではスイッチの寄生容量等によって画素群対応出力線へ高周波信号が結合するためノイズとなって外部の処理回路へ取り出されてしまう。したがって、画素を非選択にする場合は第4のスイッチを接続して接地することで、容量結合によるノイズ低減を図ることができる。
【0019】なお、容量結合によるノイズが特段問題にならない場合には、画素の非選択時の蓄積電荷の接地だけの対策を採るようにしてもよい。その場合には、請求項8に示すような構成を採用できる。つまり、請求項7の場合には、画素群対応出力線毎に第3のスイッチと第4のスイッチが設けられていたが、この請求項8の場合には、画素群対応出力線毎に第3のスイッチは設けるが、この画素群対応出力線を、最終的には1本の出力線にまとめられて外部の処理回路へ出力されるよう構成し、その1本にまとめられた出力線に、接地線との間を断続する第4のスイッチを設けるのである。そして、第1、第3及び第4の各スイッチに対して、請求項7の場合と同様の接続・切断操作をする。
【0020】ところで、画素が非選択のとき、例えばフォトダイオードで構成される受光領域への光入力によって発生した電荷(電子正孔対)が外部に取り出されずに蓄積するため、画素を選択した瞬間に大電流が出力線に取り出される可能性がある。そこで、出力線に接続される外部の処理回路の保護を目的として第4のスイッチを用いることもできる。この場合は、請求項9に示すように、第1及び第3のスイッチが切断されている状態から接続されている状態に移行する場合には、第4のスイッチが接続されている状態において第1及び第3のスイッチを接続し、その後、第4のスイッチを切断するのである。これによって、蓄積電荷があっても、画素選択時に出力線に大電流が取り出されることがない。
【0021】また、請求項1〜4のいずれか記載の受光素子を前提とした請求項5と同じように、請求項10の構成を採用し距離測定に加えて画像測定も行えるようにしてもよい。つまり、請求項7〜9のいずれか記載の受光素子において、各画素がコンデンサと第5のスイッチと第6のスイッチと備え、行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に属する各画素は、共通の画素群対応の画像信号用出力線にて画像信号を出力するよう構成し、その画素群対応の画像信号出力線毎に、処理回路との間を断続する第7のスイッチと、接地線との間を断続する第8のスイッチとをそれぞれ設けるのである。
【0022】第1、第3及び第4のスイッチに関しては、請求項7〜9の場合と同じ動作をさせる。そして、画素非選択時は、第1のスイッチを切断、第5のスイッチを接続、第6のスイッチを切断しておき、受光領域への光入力で発生した電荷をコンデンサに蓄積する。この蓄積された電荷を取り出す画像計測時には、第5のスイッチを切断、第6のスイッチを接続、第7のスイッチを接続、第8のスイッチを切断してコンデンサを出力線に接続する。画像計測の後、第8のスイッチを接地線と所定時間接続して、コンデンサに残っている電荷を放出する。これでリセット完了である。
【0023】なお、請求項11に示すように、受光領域とコンデンサとが直列に接続されている場合には、第6のスイッチと画像信号用出力線との間に増幅回路を設けることも好ましい。このようにすれば、受光量が少なく、コンデンサに蓄積されている電荷が小さくても所定レベルの画像信号が得られるため、適切な画像測定に有効である。
【0024】一方、請求項12に示すように、受光領域とコンデンサとが並列に接続されている場合には、次のような構成を採用してもよい。つまり、コンデンサには、検出前に予め電荷を蓄積しておくプリチャージを行い、受光領域に輝度信号に応じた入力があると、その入力に応じてコンデンサから放電されるよう構成しておく。そして、検出時には、まず第1のスイッチを接続して受光領域から前記出力線へ受光信号を出力し、その後、第6のスイッチを接続してコンデンサから画像信号用出力線へ電荷を出力するのである。
【0025】また、このように画素毎に画像信号を出力する場合にも、縦横2方向に複数の受光素子が行列状に配置され、その行単位又は列単位のいずれか一方の画素群に属する各画素が共通の出力線にて受光信号を出力する構成であることを前提とした場合には、構成の簡素化の観点から次のようにしてもよい。すなわち、請求項13に示すように、共通の出力線が行単位の画素群を接続している場合には列単位、逆に共通の出力線が列単位の画素群を接続している場合には行単位で、当該単位に属する画素群の第5のスイッチを共通に制御する第5の制御線と、当該単位に属する画素群の第6のスイッチを共通に制御する第6の制御線とを備えるようにするのである。
【0026】このようにすれば、第1から第6の制御線を用いることで任意の画素のみを選択状態(機能発揮状態)にすることができながら、構成の簡素化が図れる。ところで、以上説明した受光素子を備えることで、距離測定装置や距離・画像測定装置を実現することができる。
【0027】例えば請求項14に示す距離測定装置の場合には、照射したレーザ光が反射物にて反射されて生じた反射光を請求項1〜4、7〜9のいずれか記載の受光素子が検出する。その際、受光素子において機能を発揮させる画素を切替選択する。そして、レーザ光を照射してから反射光を検出するまでの時間差を計測し、その計測した時間差に基づいて反射物までの距離または距離を表す物理量を算出する。これによって、測定対象物までの距離を正確に得ることができる。
【0028】また、請求項15に示すように、レーザ光の照射方向にも応じて、機能を発揮させる画素を切替選択すれば、外乱光ノイズの影響を極力小さくできるという利点も併せ持つことができる。例えば対向車線を走行している自動車に搭載された距離測定装置から照射されたレーザ光や隣接レーンを走行している自動車に搭載された距離測定装置から照射されたレーザ光の反射物体による反射光、あるいは太陽光などの影響を極力小さくすることができ、その結果、より適切な距離測定を実現できる。
【0029】なお、この距離測定装置は、例えば請求項16に示すように車両に搭載されて用いられることを前提とし、前記レーザ光の方向が車幅方向あるいは車高方向であることが考えられる。このように設定すると、距離測定に際して、測定対象物の位置が、車幅方向及び車高方向の2次元位置として得られるため、処理が容易となる。
【0030】一方、距離・画像測定装置として実現する場合には、例えば請求項17に示すように、照射したレーザ光が反射物にて反射されて生じた反射光を請求項5、6、10〜13のいずれか記載の受光素子が検出する。そして、レーザ光を照射してから反射光を検出するまでの時間差を計測し、その計測した時間差に基づいて反射物までの距離または距離を表す物理量を算出する。これによって、測定対象物までの距離を正確に得ることができる。さらに、受光素子にて検出された画像信号に基づいて画像を測定する。
【0031】このように、距離及び画像を測定する場合には、上述した利点を持つ受光素子を用いることで、距離計測の高速性と、撮像のための輝度信号に対する感度を両立できる。そして、一つの受光素子にて距離及び画像を同時計測できるため、例えば2つの装置に分かれている場合の光軸調整が不要となる。また、画像処理を行うことなく距離測定ができる。さらには、先行車を追従している場合に、先行車との距離変化はないが、例えばストップランプの輝度変化があった場合などに、その変化を適切に把握することができる。このように、距離と画像とを相補的に使用することで物体を検知する精度を向上させることができる。
【0032】なお、距離と画像とを相補的に使用することで物体を検知する精度を向上させることができるという点からは、次のような利点もある。つまり、検知対象の物体の色などによっては照射したレーザ光の反射率が大きく変わる場合もある。したがって、その場合には請求項18に示すように、画像測定手段にて測定した画像に基づき、照射手段によって照射するレーザ光の強度を変更することが考えられる。このようにすれば、より適切な測定ができる。
【0033】なお、例えば特開平8−304540号には、同一のセンサにて画像及び距離についての情報を得ることができる旨が記載されているが、技術思想的に異なることを確認のために説明しておく。特開平8−304540号に開示された距離測定手法は、当該出願の図2(b)などにおいて説明されているように、所定時間Δtの間にコンデンサに蓄積された電荷の「有無」によって反射光の有無を判断しているにすぎない。したがって、反射光があった場合には、光速をCとした場合に少なくともC×Δt/2の距離以内の物体の有無が判るだけであり、正確な距離を測定できるものではない。
【0034】この公開公報自体に明確な記載はないが、当該手法に基づいて仮に距離測定の精度を上げようとすると、Δt及び発光パルス幅を小さくし、且つΔt毎の反射光の有無を順次走査して検出していく必要がある。ところが、Δt及び発光パルス幅を小さくすると反射光が微弱になるのを補うため蓄積回数を極端に増やす必要が出てくる。その上、Δt毎の反射光の有無を、所定の距離に相当する回数だけ走査する必要があり、現実的な適用が非常に困難である。
【0035】結局、公報記載の手法の技術思想は、電荷蓄積型のイメージセンサを用いて距離も測定できないか、という視点に立脚しており、このような技術思想のままでは距離を正確に測定することは現実的に非常に困難であると言わざるを得ない。これに対して、本発明手法の場合、距離測定に関しては、レーザ光の発光時から受光時までを計時する手法を採用しているため測定対象までの距離を正確に測定できる。そして、このように測定対象までの距離を正確に測定できる構成に、さらに画像測定機能を追加する構成を採用した。画像測定に必要な電荷蓄積用のコンデンサを画素に内蔵するに際して、距離測定に必要な高速性を犠牲にすることなく適切な画像測定を両立させるため、第5のスイッチによって受光領域とコンデンサとの間を切り離し可能としたのである。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明が適用された実施例について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施例に何ら限定されることなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0037】[第1実施例]図1は、実施例の距離測定装置1を表す概略構成図である。なお、本実施例の距離測定装置1は、自動車に搭載されて前方の車両や障害物等の反射物体を検出するためのものである。
【0038】本距離測定装置1は、送受信部31と処理部32とを主要部として次のように構成されている。図1に示すように、送受信部31は、パルス状のレーザ光を、スキャン機構部35を介して放射する半導体レーザダイオード(以下、単にレーザダイオード(LD)と称す。)39と、図示しない物体反射面にて反射されたレーザ光を受光レンズ41を介して受光し、そのパルス状の強度変化に対応する電圧変化を出力する受光素子43とを備えている。一方、処理部32は、制御回路33と、増幅回路53と、計時回路61と出力回路62とを備えている。
【0039】レーザダイオード39はLD駆動部40を介して制御回路33に接続され、制御回路33からのトリガー信号としての駆動信号によりレーザ光を放射(発光)する。また、スキャン機構部35は、絞り45、投光レンズ46、ミラー47及びスキャナ49を備えており、レーザダイオード39から放射されたレーザ光は絞り45によって断面が略長方形状の光ビームとされ、投光レンズ46によって光ビームの断面がさらに細長くされる。そして、そのレーザ光は、スキャナ49によって揺動されるミラー47を介して掃引照射される。なお、ミラー47としてガルバノミラーを用いてもよいし、ポリゴンミラーを用いてもよい。本実施例においては、このレーザ光は、車両の前方において、車幅方向の水平面内の所定角度に渡り掃引照射される。
【0040】そして、本実施例のスキャン機構部35によるスキャンエリアは、縦方向(車高方向)が4deg、横方向(車幅方向)が16degの矩形領域であり、スキャナ49は、横方向(車幅方向)の16deg分が確保できるようにミラー47を揺動してレーザ光を掃引照射する。一方、縦方向(車高方向)にはスキャンしない。その代わりに、絞り45及び投光レンズ46によって光ビームの断面が略長方形状とされたレーザ光は、その光ビームの断面形状自体が、縦方向(車高方向)の4deg分を確保できるような縦長形状に形成されている(図5(a)参照)。
【0041】なお、もちろん、光ビームの断面形状を縦方向(車高方向)の1deg分だけ確保できるようにし、縦方向(車高方向)にもスキャンするような構成を採用してもよい。但し、本実施例では、スキャン機構の簡素化などの観点から、上述のような構成を採用している。
【0042】一方、受光素子43は、受光レンズ41を介して受光したレーザ光のパルス状の強度変化に対応する電圧変化を出力するフォトダイオード(PD)を含む画素が行列状に配置されている。本実施例においては、上述したスキャンエリア(縦方向(車高方向)4deg、横方向(車幅方向)16deg)が確保できるように縦方向(車高方向)及び横方向(車幅方向)に所定数ずつ配置された画素マトリックスとして構成されている。
【0043】図2に、受光素子43を構成する画素マトリックスの一部を示す。図2中に破線で囲った部分が1画素を構成しており、各画素の内部には、受光領域を構成するフォトダイオード(PD)、スイッチ1、スイッチ2が形成されている。ここで、図3を参照して、画素の断面構造を簡単に説明しておく。距離計測には高速性が要求されるため、本実施例においてはpinフォトダイオードを採用している。すなわち、受光領域が、i領域(真性半導体領域)を構成する高抵抗層をp領域及びn領域によって挟んだ構成となっている。なお、図3に示す例では基板がn型であり、その上に高抵抗層であるi領域をエピタキシャル成長させ、i領域の表面にp型不純物を拡散してp領域を形成することで、pinフォトダイオードが構成されている。もちろん、基板がp型であれば、その上にi領域をエピタキシャル成長させ、i領域の表面にn型不純物を拡散してn領域を形成してもpinフォトダイオードを実現できる。このようにi領域をp層及びn層で挟んだpin構造にすることで、i領域の電界によって、光入力に応じて発生したキャリアは加速され出力電極に取り出されるため、高速性を実現できる。
【0044】なお、i領域の不純物濃度と必要な厚さ、印加電圧には一定の関係がある。i領域で発生したキャリアを高速に引き出すことを目的とするpinフォトダイオードでは、自由電荷がなくなり電界が存在する層、すなわち空乏層の厚さを、基板の厚さ方向への光の浸透深さ以上にしたとき、入力光強度と高速に外部電極へ取り出されるキャリア電流との比、すなわち受光感度が最大となる。例えば、高周波帯域における受光感度として、DCから低周波帯域における受光感度の50%以上を得るためには、i層内で入射光の50%以上を吸収する必要があり、i層の不純物濃度が10の14乗以下の場合、i層の厚さは10ミクロン以上、印加電圧は5V以上必要である。したがって、一般的に、現実的な数V程度の印加電圧の下で高感度及び高速性を両立するには、i層の不純物濃度は10の14乗以下、i層の厚さは10ミクロン以上であることが好ましい。図3に示す実施例では、i層の不純物濃度を10の13乗、i層の厚さを30ミクロン、印加電圧を5Vとした。この構造によって、受光感度は10MHzの高周波光入力に対して、DC感度の90%以上の感度を実現できた。
【0045】続いて、スイッチ1,2及び、画素マトリックス全体の構成に関して図2を参照して説明する。縦横に配列された画素マトリックスの内、縦方向に配列された画素群については、共通の縦方向出力線L11と接続されている。この縦方向出力線L11には、フォトダイオードがスイッチ1を介して接続されており、スイッチ1が接続(SW1=ON)されている場合には、フォトダイオードで光電変換された受光信号が縦方向出力線L11を介して出力される。また、フォトダイオードはスイッチ2を介して接地線と接続されており、スイッチ2が接続(SW2=ON)されている場合には、フォトダイオードからの受光信号は接地線を介してグラウンドに落とされることとなる。
【0046】これらスイッチ1、スイッチ2はそれぞれ制御線1、制御線2によって制御されるのであるが、横方向の画素群については、共通の制御線1,2にて接続されている。つまり、制御線1によってスイッチ1を接続(ON)させる制御をした場合には、横方向の画素群については全てスイッチ1が接続されることとなる。スイッチ2に関しても同様である。
【0047】一方、上述した縦方向出力線L11は、最終的には1本の出力線L12にまとめられて処理部32(図1参照)側へ出力される。具体的には、増幅回路53を介して計時回路61へ出力されることとなる。ここで、縦方向の画素群毎に設けられた縦方向出力線L11が出力線L12にまとめられる部分において、各縦方向出力線L11にスイッチ3及びスイッチ4が設けられている。スイッチ3は、縦方向出力線L11と出力線L12とを接続または切断するためのスイッチであり、スイッチ4は、縦方向出力線L11と接地線とを接続または切断するためのスイッチである。そして、これらスイッチ3、スイッチ4はそれぞれ制御線3、制御線4によって制御される。
【0048】これら制御線1〜4は画素選択部50(図1参照)とつながっており、画素選択部50は、制御線1〜4を介して任意の画素を選択する。任意画素の選択は次のようになされる。なお、各スイッチ1〜4は、それぞれ制御線1〜4の電位が高い(Highレベル)場合には接続(ON)状態となり、電位が低い(Lowレベル)の場合には切断(OFF)状態となる。
【0049】まず、第1の選択動作として制御線1をHigh、制御線2をLowとすると、スイッチ1がON、スイッチ2がOFFとなり、画素マトリックス中の横方向の画素群が選択される。一方、第2の選択動作として制御線3をHigh、制御線4をLowとすると、スイッチ3がON、スイッチ4がOFFとなり、画素マトリックス中の縦方向の画素群が選択される。これによって、第1の選択動作にて選択された横方向の画素群と、第2の選択動作にて選択された縦方向の画素群とが重複する画素のみが選択されることとなる。このような動作によって、任意の画素を1つ以上選択できる。当然複数の画素を同時に選択することもできる。
【0050】これらのことを踏まえ、任意の画素を選択し、出力信号を取り出す(つまり処理部32側へ出力する)までの動作を、図4のタイムチャートを参照して説明する。非選択画素については、スイッチ1をOFF(制御線1:Low)にして縦方向出力線L11からフォトダイオードを切り離すと共に、スイッチ2をON(制御線2:High)にしてフォトダイオードを接地線に接続する。また、縦方向出力線L11に関しても、スイッチ3をOFF(制御線3:Low)にして出力線L12から切り離すと共に、スイッチ4をON(制御線4:High)にして接地線に接続する。
【0051】一方、選択画素については、スイッチ1をON(制御線1:High)にして縦方向出力線L11とフォトダイオードを接続すると共に、スイッチ2をOFF(制御線2:Low)にしてフォトダイオードを接地線から切り離す。一方、縦方向出力線L11に関しても、スイッチ3をON(制御線3:High)にして出力線L12と接続すると共に、スイッチ4をOFF(制御線4:Low)にして接地線から切り離す。これにより、選択画素のフォトダイオードからの受光信号は、スイッチ1を介して縦方向出力線L11へ出力され、スイッチ3を介して出力線L12へ出力され、処理部32の増幅回路53へ出力されることとなる。
【0052】図1の説明に戻り、受光素子43から出力された受光信号は、増幅回路53を介して計時回路61へ入力される。なお、増幅回路53に入力させる前に、例えばSTC(Sensitivity Time Control)回路を介して所定レベルに増幅されてもよい。受光信号強度は目標物までの距離の4乗に反比例するため、近距離にリフレクタ等の反射率の高いものがあり受光強度がきわめて強くなった場合を補償する点でこのSTC回路は好ましい。
【0053】計時回路61には、制御回路33からLD駆動部40へ出力される駆動信号も入力され、上記駆動信号をスタートパルスPA、上記受光信号をストップパルスPBとし、2つのパルスPA,PB間の位相差(すなわち入力時間差)を2進デジタル信号に符号化して、その値を制御回路33へ入力する。この計時回路61は、微小時間を数値化することができ、放射されたレーザ光1発に対して複数の受光信号があってもそれぞれの信号についての時間差を検出することができるものである。なお、このことを「マルチラップが可能である」と表現し、またこのようにして得たデータをマルチラップデータと表現している。なお、このデータは時間差データであるが、検知対象の物体までの距離に対応しているため、「距離データ」と呼ぶこととする。
【0054】制御回路33は、計時回路61からの距離データと、そのときのミラー47の揺動角に基づき、障害物までの距離および方向を算出する。なお、制御回路33には図示しない車速センサからの車速信号も入力している。次に、このように構成された距離測定装置1の作動について説明する。
【0055】まず、距離測定の概略について説明する。制御回路33がLD駆動部40に対して、レーザダイオード39を発光させるために発光トリガーとしての駆動信号を出力し、レーザダイオード39を発光させる。この発光に対応し、図示しない障害物に反射されたレーザ光を受光レンズ41を介して受光する。そしてこの受光したレーザ光は、受光素子43でその強度に対応する電圧に変換され、増幅回路53を介して計時回路61へ入力する。そして、計時回路61は、放射されたレーザ光1発に対して複数の反射信号があってもそれぞれの信号についての時間差を検出して、マルチラップ距離データとして制御回路33に入力する。この計時回路61から入力された距離データは、制御回路33の図示しないRAMに記憶される。制御回路33により時間差から求められた距離データは、受光素子43における検出の遅延時間や増幅回路53における検出の遅延時間を考慮して、距離に対応した正確な時間差に変換した後、その時間差と光速とから、正確な距離データとして求められる。具体的には、距離Lは、時間差Δtと光速Cを用いて、L=C×Δt/2と表される。
【0056】なお、直接、距離のデータでなくても、距離を表す物理量ならば良く、例えば前記正確な時間差そのものでもよい。遅延時間が考慮された時間差は距離に比例しているので、距離そのものの代りに用いることができる。このような、正確な距離データあるいは正確な時間差は、計時回路61から制御回路33が受け取った際に算出しておけばよい。
【0057】これが距離測定の概略であるが、本実施例においては、制御回路33がスキャナ49を介してミラー47を揺動させて上述した所定のスキャンエリアをスキャンする手法を採用している。これによって、レーザ光は車両の前方において水平面内の所定角度(16deg)に渡り掃引照射される。
【0058】この際、本実施例においては、同一のスキャン角度において複数回レーザ光を照射し、照射毎に受光素子43中において機能発揮させる画素を切り替えながら、受光及び測距を行う。この点を、例えば図5(b)に示した画素マトリックスのイメージ図を参照して説明すれば、縦方向に4つのセルがあるが、最初は図5(c)に示すように最上部の画素だけを機能発揮させ、2回目は2番目の画素、3回目は3番目の画素、そして最後は図5(d)に示すように最下部の画素だけ、というように順番に機能発揮させる画素を切り替えていく。
【0059】上述した縦方向(車高方向)4deg、横方向(車幅方向)16degのスキャンエリア中における上側に近いほど、受光素子43の画素マトリックス中では下側に近い画素に受光することとなり、逆にスキャンエリア中における下側に近いほど、受光素子43の画素マトリックス中では上側に近い画素に受光することとなる。したがって、同一のスキャン角度においてレーザ光を照射したとしても、例えば図5(c)に示すように最上部の画素だけを機能発揮させれば、スキャンエリア中の下部に存在する対象物を測距することができ、図5(d)に示すように最下部の画素だけ機能発揮させれば、スキャンエリア中の上部に存在する対象物を測距することができる。
【0060】つまり、横方向(車幅方向)にスキャンしているが、そのスキャン方向に垂直な方向(車高方向)での検出対象位置に基づいて、機能を発揮させる受光素子を切替選択できるようにしたため、レーザ光は1次元的にスキャンしていながら、その方向に垂直な方向についての位置情報も得ることができる。したがって、スキャン操作に基づき、横方向(車幅方向)についての位置情報も得れば、測定対象物の2次元的な位置情報を得ることができるのである。これにより、スキャン方式は1次元のままでありながら、2次元の位置情報を得られる距離測定装置1を実現することができる。
【0061】また、図5(b)に示した画素マトリックスのイメージ図では横方向に8つの画素がある。この横方向についても全ての画素を機能発揮状態にするのではなく、この場合にはレーザ光の照射方向に応じて、その照射方向であれば、画素マトリックス中のこの部分に受光するであろうと予測される画素だけを機能発揮させる。例えば、図6に示す車両Aを測距対象としている場合には、その車両Aからの反射光は受光レンズ41を介して受光素子43中の相対的に右部側に受光すると予測される。したがって、その受光が予測される画素を特定し、該当する画素のみが機能発揮されるようにする。
【0062】このようにレーザ光の照射方向に応じて機能を発揮させる画素を切替選択するようにすれば、外乱光ノイズの影響を極力小さくできる。例えば図6中の車両Bが対向車線を走行している自動車であったとすると、その車両Bに搭載された距離測定装置から照射されたレーザ光は、受光レンズ41を介して受光素子43中の相対的に左部側に受光すると予測されるが、その部分の画素は機能発揮されない状態とされている。そのため、その車両Bからのレーザ光による悪影響は生じない。
【0063】特に、本実施例の場合には、上述したように、非選択画素については、スイッチ1をOFF(制御線1:Low)にして縦方向出力線L11からフォトダイオードを切り離すと共に、スイッチ2をON(制御線2:High)にしてフォトダイオードを接地線に接続している。接地線への接続がない場合、スイッチ1がOFFであっても、非選択状態の画素にも反射光が入射している場合には、その画素のフォトダイオードからの受光信号が縦方向出力線L11へリークしてしまう可能性がある。例えば図7に示すエリアAにも物体からの反射光が入射している場合には、画素G1,G2,G3からのリークが懸念される。しかし、本実施例の場合には、フォトダイオードと接地線とを接続するためのスイッチ2を設け、これらの画素G1,G2,G3のスイッチ2がONされるため、フォトダイオードからの受光信号が接地線へ出力され、リークが防止される。
【0064】さらに、非選択状態の縦方向出力線L11に関しても、スイッチ3をOFF(制御線3:Low)にして出力線L12から切り離すと共に、スイッチ4をON(制御線4:High)にして接地線に接続している。接地線への接続がない場合、スイッチ3がOFFであっても、非選択状態の画素にも反射光が入射している場合には、その画素のフォトダイオードからの受光信号が縦方向出力線L11を介して出力線L12へリークしてしまう可能性がある。例えば図7に示すエリアAにも物体からの反射光が入射している場合には、選択画素と同じ横方向の画素群に属するエリアA中の画素G4,G5,G6のスイッチ1はONであるため、これらからの受光信号は縦方向出力線L11へ出力される。そのため、スイッチ3がOFFでも出力線L12へのリークが懸念される。
【0065】しかし、本実施例の場合には、この縦方向出力線L11についても接地線と接続するためのスイッチ4を設け、これらの画素G4,G5,G6が属する縦方向の画素群に接続された縦方向出力線L11のスイッチ4が全てONされるため、これら縦方向出力線L11へ出力された受光信号は接地線へ出力され、リークが防止されることとなる。
【0066】計時回路61では、選択状態の画素から出力された適切な受光信号なのか、非選択状態の画素からリークした受光信号なのかの区別はできず、誤った時間差を計測してしまう可能性がある。この計時誤差はひいては反射物体までの距離を誤測定してしまうことにつながる。したがって、上述したように、リーク防止が実現されれば、計時回路61では、選択状態の画素からの受光信号のみを入力することができ、距離の誤測定を回避できる。
【0067】なお、本実施例における用語と特許請求の範囲における用語とで、異なっている部分の対応関係を説明しておく。まず、図2などに示すスイッチ1、スイッチ2、スイッチ3、スイッチ4がそれぞれ第1のスイッチ、第2のスイッチ、第3のスイッチ、第4のスイッチに該当し、制御線1、制御線2、制御線3、制御線4がそれぞれ第1の制御線、第2の制御線、第3の制御線、第4の制御線に該当する。
【0068】また、図1に示す処理部32が外部の処理回路に該当する。なお、処理部32中の計時回路61が処理回路に該当すると考えることもできる。さらに、請求項1に示す「出力線」は、縦方向出力線L11及び出力線L12の両方によって実現されることとなるが、この内、縦方向出力線L11が請求項3に示す「共通の出力線」に該当する。
【0069】そして、レーザダイオード39、LD駆動部40及びスキャン機構部35が掃引照射手段に該当し、計時回路61が時間差計測手段に該当する。また、制御回路33が距離算出手段に該当し、制御回路33及び画素選択部50が切替選択手段に該当する。
【0070】[第2実施例]図8は、実施例の距離・画像測定装置101を表す概略構成図である。本第2実施例の距離・画像測定装置101は、図1に示した第1実施例の距離測定装置1の構成と一部が異なっているだけであるので、同じ構成部分については同じ符号を付して説明を省略する。異なっている部分は、受光素子143が後述するように画像信号を出力可能になっている点と、増幅回路53がその画像信号を出力回路62へ出力可能になっている点、及び受光素子143に対する制御線が増えたことによって画素選択部50の選択処理内容が多少変更した点のみである。したがって、まず、受光素子143の構成について、図9を参照して説明する。
【0071】本第2実施例の受光素子143は、図2に示した第1実施例の受光素子43に画像信号検知のための構成を追加したものとなっている。したがって、第1実施例の受光素子43と同じ構成部分については同じ名称を用いることとする。図9は、第2実施例の受光素子43を構成する画素マトリックスの一部を示しており、破線で囲った部分が1画素を構成している。各画素の内部は、第1実施例でも備えていた受光領域を構成するフォトダイオード(PD)、スイッチ1,2に加え、コンデンサ及びスイッチ5,6が追加された構成となっている。なお、フォトダイオードとコンデンサとは分離形成されている。
【0072】縦横に配列された画素マトリックスの内、縦方向に配列された画素群については、第1実施例の場合も存在した共通の縦方向出力線L11と接続されていると共に、さらに画像信号用縦方向出力線L21とも接続されている。1画素分を抽出した図9にも示すように、縦方向出力線L11にはフォトダイオードがスイッチ1を介して接続されている点は第1実施例と同じであるが、フォトダイオードとスイッチ2の間にスイッチ5が設けられており、そのスイッチ5が接続(SW5=ON)された場合にフォトダイオードとコンデンサが接続されるよう構成されている。また、スイッチ2が接続(SW2=ON)されている場合には、コンデンサに蓄積された電荷が接地線を介してグラウンドに落とされることとなる。さらに、コンデンサに対するスイッチ6の役割は、フォトダイオードに対するスイッチ1の役割と同様であり、スイッチ6が接続(SW6=ON)されている場合には、コンデンサに蓄積された電荷が画像信号用縦方向出力線L21を介して出力されることとなる。
【0073】これら追加されたスイッチ5,6の内、スイッチ6はスイッチ1と同様に制御線1によって制御される。つまり、スイッチ1,6のON/OFF状態は必ず同じになる。また、スイッチ5は制御線5によって制御される。この制御線5も、制御線1,2と同様に横方向の画素群については共通である。つまり、制御線5によってスイッチ5を接続(ON)させる制御をした場合には、横方向の画素群については全てスイッチ5が接続されることとなる。
【0074】一方、画像信号用縦方向出力線L21についても、縦方向出力線L11が1本の出力線L12にまとめられるのと同様に、最終的には1本の画像信号用出力線L22にまとめられて処理部32(図8参照)側へ出力される。具体的には、出力線L12を介して出力された信号は、増幅回路53を介して計時回路61へ出力され、距離信号として出力回路62へ出力されるが、画像信号用出力線L22を介して出力された信号は、増幅回路53を介して直接出力回路62へ出力される。
【0075】図9に戻り、縦方向の画素群毎に設けられた画像信号用縦方向出力線L21が画像信号用出力線L22にまとめられる部分において、各画像信号用縦方向出力線L21につき、スイッチ7が設けられている。スイッチ7は、画像信号用縦方向出力線L21と画像信号用出力線L22とを接続または切断するためのスイッチである。そして、このスイッチ7は制御線3によって制御される。つまり、制御線3はスイッチ3も制御しているため、スイッチ3,7のON/OFF状態は、必ず同じになる。これら制御線1〜5は画素選択部50(図8参照)とつながっており、画素選択部50は制御線1〜5を介して任意の画素を選択する。
【0076】続いて、任意の画素を選択し、出力信号を取り出す(つまり処理部32側へ出力する)までの動作を、図11のタイムチャートを参照して説明する。非選択画素については、制御線1をLowにすることでスイッチ1,6をOFFにし、縦方向出力線L11からフォトダイオードを切り離すと共に画像信号用縦方向出力線L21からコンデンサを切り離す。また、制御線2をHighにすることでスイッチ5をONとしてフォトダイオードとコンデンサとを接続する。これにより、視野内の背景光または物体の輝度情報に応じた光がフォトダイオードに入射し、フォトダイオードで発生した電荷(=光電子)がコンデンサに蓄積される。蓄積される電荷量は、上記動作を保持する時間に依存する。また、制御線3をLowにすることでスイッチ3,7をOFFとする。これによって、縦方向出力線L11及び画像信号用縦方向出力線L21に関しても、それぞれ出力線L12及び画像信号用出力線L22から切り離される。また、制御線4をHighにすることでスイッチ4をONとし、縦方向出力線L11を接地線に接続する。
【0077】一方、選択画素については、制御線1をHighにすることでスイッチ1,6をONにし、縦方向出力線L11とフォトダイオードとを接続すると共に画像信号用縦方向出力線L21とコンデンサとを接続する。一方、制御線3をHighにすることでスイッチ3,7をONにすることで、縦方向出力線L11及び画像信号用縦方向出力線L21に関しても、それぞれ出力線L12及び画像信号用出力線L22と接続する。したがって、選択画素のフォトダイオードからの受光信号は、スイッチ1を介して縦方向出力線L11へ出力され、スイッチ3を介して出力線L12へ出力され、処理部32の増幅回路53へ出力される。また、上述した非選択状態の期間中に電荷の蓄積されたコンデンサから、蓄積電荷を電圧又は電流として取り出せば、輝度情報つまり画像信号を読み出すことができる。すなわち、この画像信号はスイッチ6を介して画像信号用縦方向出力線L21へ出力され、さらにスイッチ7を介して画像信号用出力線L22へ出力され、処理部32の増幅回路53へ画像信号として出力される。
【0078】なお、図11に示すように、非選択及び選択(計測)動作のいずれにおいてもスイッチ2はOFF(制御線2:Low)とされている。そして、選択(計測)動作が終了した後、所定時間だけスイッチ2をON(制御線2:High)するとコンデンサと接地線が接続されるため、コンデンサに残っている電荷はスイッチ2を介してグラウンドに落とされる。これにより、リセット動作が実行され、次の電荷蓄積動作に備えることができる。
【0079】なお、本第2実施例におけるスイッチ5、スイッチ6、スイッチ7がそれぞれ第5のスイッチ、第6のスイッチ、第7のスイッチに該当し、制御線5が第5の制御線に該当する。さらに、請求項5に示す「画像信号用出力線」は、画像信号用縦方向出力線L21及び画像信号用出力線L22の両方によって実現されることとなるが、この内、画像信号用縦方向出力線L21が請求項6に示す「共通の画像信号用出力線」に該当する。
【0080】このように、第2実施例の場合には、距離測定に関しては、レーザ光の発光時から受光時までを計時する手法を採用しているため、測定対象までの距離を正確に測定できる上、さらに画像測定機能を追加する構成を採用した。画像測定に必要なコンデンサを画素に内蔵するに際して、距離測定に必要な高速性を犠牲にすることなく適切な画素測定を両立させるため、スイッチ5によってフォトダイオードとコンデンサとの間を切り離し可能としたのである。
【0081】このように、第2実施例の場合には、測定対象の物体までの距離及び物体の画像を測定することができ、距離計測の高速性と、撮像のための輝度信号に対する感度を両立できる。そして、一つの受光素子143にて距離及び画像を同時計測できるため、例えば2つの装置に分かれている場合の光軸調整が不要となる。また、画像処理を行うことなく距離測定ができる。さらには、先行車を追従している場合に、先行車との距離変化はないが、例えばストップランプの輝度変化があった場合などに、その変化を適切に把握することができる。したがって、この距離・画像測定装置101をオートクルーズシステムに用いれば、先行車に追従する制御を行う場合に距離と画像とを相補的に使用することで、先行車を検知する精度を向上させることができる。つまり、上述のように距離変化がなくてもストップランプの輝度変化があれば先行車の減速が予測でき、より適切なクルーズ制御を実行可能となる。
【0082】また、距離と画像とを相補的に使用することで物体を検知する精度を向上させることができるため、次のような利点もある。つまり、検知対象の物体の色などによっては照射したレーザ光の反射率が大きく変わる場合もある。したがって、測定画像に基づきレーザ光の強度を変更すれば、より適切な測定ができる。
【0083】[第2実施例の別態様]
(1)図9,10に示す構成の場合には、制御線2はスイッチ2を制御するためだけに設けられている。そして、このスイッチ2はコンデンサのリセット動作に用いられている。リセット動作は、該当する画素が選択された後に行われればよいので、該当画素以外の画素が選択されているタイミングでリセットしても問題ない。そこで、図12に示す構成では、スイッチ2の制御を下段の画素のための制御線1が行うようにした。この場合には、図9,10の場合に存在していた制御線3がなくなるため、構成の簡素化の点で好ましい。なお、最下段の画素については、さらにその下段の制御線1というものが存在しないため、最上段の制御線1を用いてスイッチ2の制御をすればよい。
【0084】(2)図13に示す構成の場合には、第6のスイッチと画像信号用縦方向出力線L21との間にアンプ(増幅回路)が設けられている。このようにすれば、フォトダイオードにおける受光量が少なく、コンデンサに蓄積されている電荷が小さくても所定レベルの画像信号が得られるため、適切な画像測定に有効である。
【0085】(3)図9,10に示す構成の場合には、フォトダイオードとコンデンサとが直接に接続されていたが、両者を並列に接続してもよい。フォトダイオードとコンデンサとが並列に接続されている場合には、コンデンサには検出前に予め電荷を蓄積しておき(プリチャージ)、フォトダイオードに輝度信号に応じた入力があると、その入力に応じてコンデンサから放電されるよう構成しておくことが考えられる。その場合の構成を図14に示す。また、動作説明のためのタイムチャートを図15に示す。
【0086】図14に示すように、フォトダイオードとコンデンサを並列配置した関係上、フォトダイオードと縦方向出力線L11とのON/OFFを行うスイッチ1については制御線1にて制御し、コンデンサと画像信号用縦方向出力線L21とのON/OFFを行うスイッチ6については制御線6にて制御するようにした。つまり、フォトダイオードからの信号の出力タイミングとコンデンサからの信号の出力タイミングとを別個に制御可能としたのである。
【0087】それでは、図15のタイムチャートを参照しながら、動作を確認していく。まず、(A)に示す期間ではフォトダイオードからの信号を出力するため、制御線1をHighにしてスイッチ1をONにし、フォトダイオードと縦方向出力線L11とを接続すると共に、制御線6をLowにしてスイッチ6をOFFにし、コンデンサと画像信号用縦方向出力線L21とを切断する。そして、制御線2をHighにしてスイッチ22をONし、制御線5をLowにしてスイッチ21及びスイッチ5をOFFにする。これによってフォトダイオードに逆バイアスがかかり、フォトダイオードからスイッチ1を介して縦方向出力線L11へ受光信号が出力される。
【0088】続いて、(B)の期間ではコンデンサからの信号を出力するため、各制御線1,2,5,6のレベルを反転させる。すると、スイッチ1がOFF、スイッチ6がONとなり、スイッチ22はOFF、スイッチ21及びスイッチ5はONとなる。これによって、グラウンド(G)→スイッチ21→コンデンサ→スイッチ1→スイッチ4→画像信号用縦方向出力線L21のラインがつながる。(A)の期間の前にコンデンサはプリチャージされており、1周期前の(C)の期間でフォトダイオードに輝度信号に応じた入力があると、コンデンサは放電によってDCレベルが低下する。したがって、この(B)の期間では、その低下した状態のDCレベル信号が出力されることとなる。
【0089】この(B)の期間の後に、コンデンサへのプリチャージを行う。プリチャージの場合には、(B)の期間の状態からスイッチ6をOFFにすると共にスイッチ22をONにすることで実現する。この状態では、スイッチ5及びスイッチ21もON状態であり、固定のDCレベルにプリチャージされることとなる。
【0090】図9〜図13の方式では、光入力に応じて蓄積された電荷によってコンデンサに保持された電圧または電流を読み出すことによって画像測定を行う。画像測定が終了したら、コンデンサをスイッチ2によって接地することで残った電荷を放電(リセット)し、新たな電荷蓄積を開始する。
【0091】これに対して、図14,図15の方式では、最初に固定の電圧を印加することでコンデンサに電荷を蓄積する。これをプリチャージと称する。プリチャージ後にフォトダイオードに光入力があると、スイッチ5を介してコンデンサとフォトダイオードが構成する閉回路において電流が流れ、プリチャージされた電荷が放電される。プリチャージの電圧レベルと、放電によって低下した後の電圧レベルとの差から放電量が判り、放電量は光入力に比例することから画像測定が可能となる。
【0092】なお、プリチャージされた電荷が放電される時間はスイッチ5がONである間であって、図15に示す1周期前の放電時間(C)である。図15に示す放電時間(C)は次の1周期における読み出し時間(B)で読み出される。
[第3実施例]図16に示す第3実施例の構成は、図2に示す第1実施例の構成から、スイッチ2及び制御線2を削除した内容となっている。つまり、縦横に配列された画素マトリックスの内、縦方向に配列された画素群については、共通の縦方向出力線L11と接続されている。そして、この縦方向出力線L11にはフォトダイオードがスイッチ1を介して接続されており、スイッチ1が接続(SW1=ON)されている場合には、フォトダイオードで光電変換された受光信号が縦方向出力線L11を介して出力される。
【0093】しかし、第1実施例のようなスイッチ2がないため、画素内においてフォトダイオードが接地されることはない。その代わり、第1実施例と同じように、各縦方向出力線L11にスイッチ3及びスイッチ4が設けられている。第1の選択動作として制御線1をHighとするとスイッチ1がONとなり、画素マトリックス中の横方向の画素群が選択される。一方、第2の選択動作として制御線3をHigh、制御線4をLowとすると、スイッチ3がON、スイッチ4がOFFとなり、画素マトリックス中の縦方向の画素群が選択される。これによって、第1の選択動作にて選択された横方向の画素群と、第2の選択動作にて選択された縦方向の画素群とが重複する画素のみが選択されることとなる。このような動作によって、任意の画素を1つ以上選択できる。当然複数の画素を同時に選択することもできる。
【0094】この第3実施例の場合の、任意の画素を選択し、出力信号を取り出すまでの動作を説明する。非選択画素については、スイッチ1をOFF(制御線1:Low)にして縦方向出力線L11からフォトダイオードを切り離す。また、縦方向出力線L11に関しても、スイッチ3をOFF(制御線3:Low)にして出力線L12から切り離すと共に、スイッチ4をON(制御線4:High)にして接地線に接続する。フォトダイオードは高速応答のPIN構造であるため、高周波信号がフォトダイオードへ入力した場合、スイッチ1及び/又はスイッチ3をOFFしただけでは、スイッチの寄生容量等によって縦方向出力線L11へ高周波信号が結合するためノイズとなって外部の処理回路(例えば図1に示す処理部32)へ取り出されてしまう。したがって、画素を非選択にする場合はスイッチ4を接続して接地することで、容量結合によるノイズ低減を図ることができる。
【0095】一方、選択画素については、スイッチ1をON(制御線1:High)にして縦方向出力線L11とフォトダイオードを接続する。一方、縦方向出力線L11に関しても、スイッチ3をON(制御線3:High)にして出力線L12と接続すると共に、スイッチ4をOFF(制御線4:Low)にして接地線から切り離す。これにより、選択画素のフォトダイオードからの受光信号は、スイッチ1を介して縦方向出力線L11へ出力され、スイッチ3を介して出力線L12へ出力されることとなる。
【0096】このように、画素マトリックス中の縦方向の画素群を同時選択する場合は、接地のためのスイッチ画素内に設けなくてもよく、画素外に形成するだけでよい。なお、容量結合によるノイズが特段問題にならない場合には、画素の非選択時の蓄積電荷の接地だけの対策を採るようにしてもよい。その場合には、図18にに示すような別態様を採用できる。つまり、図16の場合には、縦方向出力線L11毎にスイッチ3とスイッチ4が設けられていたが、図17の場合には、スイッチ3に関しては縦方向出力線L11毎に設けるが、スイッチ4に関しては、複数の縦方向出力線L11が最終的には1本にまとめられた出力線L12に対して1つだけ設けられている。この場合は、どの縦方向列の画素を非選択にする場合においても、このスイッチ4を用いることとなるが、スイッチ4を1つだけ設ければよいので構成の簡素化が図られる。
【0097】ところで、これら図16、図17に示した第3実施例の場合には、画素が非選択のとき、フォトダイオードへの光入力によって発生した電荷(電子正孔対)が外部に取り出されずに蓄積するため、画素を選択した瞬間に大電流が出力線L12に取り出される可能性がある。そこで、出力線L12に接続される外部の処理回路の保護を目的としてスイッチ4を用いることもできる。この場合は、スイッチのON/OFFタイミングを工夫する。この場合の動作について、図18のタイムチャートを参照して説明する。
【0098】画素の非選択時においては、スイッチ1をOFF(制御線1:Low)にして縦方向出力線L11からフォトダイオードを切り離す。また、縦方向出力線L11に関しても、スイッチ3をOFF(制御線3:Low)にして出力線L12から切り離すと共に、スイッチ4をON(制御線4:High)にして接地線に接続する。この状態からスイッチ1及びスイッチ3をONする場合には、次の順序で行う。図18に示すように、まずスイッチ1をONし、その後スイッチ3をONする。但し、この時点でもまだスイッチ4はON状態のままにされているため、蓄積電荷があっても、画素選択時に出力線L12に大電流が取り出されることがない。そして、その後にスイッチ4をOFFすることで、スイッチ1及びスイッチ3を介して画素選択時の通常の動作がなされることとなる。つまり、適切な電流が縦方向出力線L11及び出力線L12を介して出力される。なお、その後、非選択の場合には、スイッチ1及びスイッチ3をOFFし、スイッチ4をONすることとなるが、このタイミングは同時でよい。
【0099】なお、本第3実施例におけるスイッチ1、スイッチ3、スイッチ4がそれぞれ「第1のスイッチ、第3のスイッチ、第4のスイッチ」に該当し、縦方向出力線L11が「画素群対応出力線」に該当する。また、出力線L12が「1本の出力線」に該当する。
【0100】[第4実施例]上述した第2実施例は、第1実施例の構成を基本としてさらに画像信号を出力可能にしたものであったが、この第4実施例は、第3実施例の構成を基本としてさらに画像信号を出力可能にした距離・画像測定装置である。そのため、第2実施例の構成からの変更部分を説明する方が容易に理解できると思われる。図19に示す第4実施例の受光素子の構成は、図9に示す第2実施例の場合の構成から、スイッチ2及び制御線2を削除し、スイッチ8及びそのON/OFF制御するための制御線6を追加した内容となっている。各画素に関してスイッチ2がないのは、第3実施例の場合と同様である。そして、図9に示す第3実施例の場合には、画像信号用縦方向出力線L21にはスイッチ7が設けられているだけであったが、本第4実施例では、この画像信号用縦方向出力線L21にスイッチ8を新たに設け、制御線6によって、スイッチ8のON/OFFを制御できるようにしている。
【0101】画素非選択時においては、制御線1をLowにすることでスイッチ1,6をOFFにし、縦方向出力線L11からフォトダイオードを切り離すと共に画像信号用縦方向出力線L21からコンデンサを切り離す。これにより、視野内の背景光または物体の輝度情報に応じた光がフォトダイオードに入射し、フォトダイオードで発生した電荷(=光電子)がコンデンサに蓄積される。また、制御線3をLowにすることでスイッチ3,7をOFFとする。これによって、縦方向出力線L11及び画像信号用縦方向出力線L21に関しても、それぞれ出力線L12及び画像信号用出力線L22から切り離される。また、制御線4をHighにすることでスイッチ4をONとし、縦方向出力線L11及び画像信号用縦方向出力線L21を接地線に接続する。
【0102】一方、蓄積された電荷を取り出す画像計測時においては、制御線1をHighにすることでスイッチ1,6をONにし、縦方向出力線L11とフォトダイオードとを接続すると共に画像信号用縦方向出力線L21とコンデンサとを接続する。一方、制御線3をHighにすることでスイッチ3,7をONにすることで、縦方向出力線L11及び画像信号用縦方向出力線L21に関しても、それぞれ出力線L12及び画像信号用出力線L22と接続する。なお、スイッチ4はOFFとし、縦方向出力線L11を接地線から切り離している。
【0103】したがって、選択画素のフォトダイオードからの受光信号は、スイッチ1を介して縦方向出力線L11へ出力され、スイッチ3を介して出力線L12へ出力され、処理部32の増幅回路53へ出力される。また、上述した非選択状態の期間中に電荷の蓄積されたコンデンサから、蓄積電荷を電圧又は電流として取り出せば、輝度情報つまり画像信号を読み出すことができる。すなわち、この画像信号はスイッチ6を介して画像信号用縦方向出力線L21へ出力され、さらにスイッチ7を介して画像信号用出力線L22へ出力され、処理部32の増幅回路53へ画像信号として出力される。なお、処理部32及び増幅回路53については図8を参照されたい。
【0104】また、非選択及び選択(計測)動作のいずれにおいてもスイッチ8はOFF(制御線6:Low)とする。そして、選択(計測)動作が終了した後、所定時間だけスイッチ8をON(制御線6:High)すると画像信号用縦方向出力線L21と接地線が接続、つまりコンデンサと接地線が接続されるため、コンデンサに残っている電荷はスイッチ2を介してグラウンドに落とされる。これにより、リセット動作が実行され、次の電荷蓄積動作に備えることができる。
【0105】上述した第2実施例において、高周波信号の容量結合によるノイズが特段問題にならない場合には、図18に示すように、スイッチ4に関して出力線L12に対して1つだけ設けてもよいことを説明した。これと同様の考え方を図19に示す構成に対して適用した別態様を採用してもよい。この別態様の場合は、図20に示す構成とすればよい。つまり、図20に示すように、スイッチ4を出力線L12に対して1つだけ設けると共に、スイッチ8を画像信号用出力線L22に対して1つだけ設けるのである。このようにすれば、構成の簡素化が図られる。
【0106】なお、本第4実施例におけるスイッチ5、スイッチ6、スイッチ7、スイッチ8がそれぞれ「第5のスイッチ、第6のスイッチ、第7のスイッチ、第8のスイッチ」に該当し、画像信号用縦方向出力線L21が「画素群対応の画像信号用出力線」に該当する。
【0107】[その他]
(a)上記実施例においては、非選択状態の画素からリークした受光信号による計時誤差を低減するため、フォトダイオードと縦方向出力線L11との間にスイッチ1を設けた。リーク防止という観点からは、このスイッチ1を多段にすることも考えられる。また、縦方向出力線L11が出力線L12にまとめられる部分において、縦方向出力線L11と出力線L12とを接続または切断するためのスイッチ3及び縦方向出力線L11と接地線とを接続または切断するためのスイッチ4を設けたが、これらスイッチ3,4についても同様に多段にすることも考えられる。
【0108】(b)上記実施例ではスキャン機構部35によってレーザ光を掃引照射する構成を前提としたが、必ずしも掃引照射する構成でなくてもよく、所定の視野にわたり一括照射し、受光素子の画素を順次切り替えることによって、検知範囲のスキャンを実現するようにしてもよい。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成12年9月18日(2000.9.18)
【代理人】 【識別番号】100082500
【弁理士】
【氏名又は名称】足立 勉
【公開番号】 特開2001−194458(P2001−194458A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−281909(P2000−281909)