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【発明の名称】 合成開口レーダ装置
【発明者】 【氏名】大野 千香子

【要約】 【課題】合成開口レーダ装置において慣性航法装置の最新速度データを使用して機体の動揺部分を補償することにより、最適な点像応答が得られ高分解能画像の取得を可能とする。

【解決手段】送信パルス毎に直前に更新された慣性航法装置の最新速度データを使用して機体動揺補償用信号を生成し、受信信号に乗ずることにより機体の動揺成分を取り除き、高分解能画像化を行うようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 飛しょう体に搭載される合成開口レーダ装置において、電波を目標方向へ送信し、目標からの反射波を受信する送受信手段と、上記送受信手段の受信信号をA/D変換するデータ処理手段と、上記データ処理手段からの受信信号に飛しょう体の機体動揺補償用信号をかけあわせる合成手段と、上記機体動揺補償用信号を慣性航法装置からの最新速度データを使用して生成する位相補償量算出手段と、上記合成手段からの信号をFFT変換するFFT変換手段とを具備したことを特徴とするレーダ装置。
【請求項2】 飛しょう体に搭載される合成開口レーダ装置において、電波を目標方向へ送信し、目標からの反射波を受信する送受信手段と、上記送受信手段の受信信号をA/D変換するデータ処理手段と、上記データ処理手段からの受信信号に飛しょう体の機体動揺補償用信号をかけあわせる合成手段と、上記機体動揺補償用信号を慣性航法装置からの最新速度データをヒットパルス数対応時間の半分を重ね合わせて取得し、回帰曲線により平滑化したものを使用して生成する位相補償量算出手段と、上記合成手段からの信号をFFT変換するFFT変換手段とを具備したことを特徴とするレーダ装置。
【請求項3】 飛しょう体に搭載される合成開口レーダ装置において、電波を目標方向へ送信し、目標からの反射波を受信する送受信手段と、上記送受信手段の受信信号をA/D変換するデータ処理手段と、上記データ処理手段からの受信信号に飛しょう体の機体動揺補償用信号をかけあわせる合成手段と、上記機体動揺補償用信号を慣性航法装置からの最新速度データをヒットパルス数対応時間の半分を重ね合わせて取得し、速度誤差の大きい両端4分の1づつを切り取った後、回帰曲線により平滑化したものを使用して生成する位相補償量算出手段と、上記合成手段からの信号をFFT変換するFFT変換手段とを具備したことを特徴とするレーダ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、航空機や人工衛星等飛しょう体に搭載され、機体の動揺により生じる位相誤差を高精度で補償し、高分解能画像を取得する合成開口レーダ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図7は従来の合成開口レーダ装置を示すもので、図において1は電波の送信を行う送信部、2は上記送信部1からの電波を出力するとともに目標からの反射波を入力するアンテナ、3は上記アンテナ2からの電波を受信する受信部、4は上記受信部3からの信号をA/D変換するデータ処理部、9は上記データ処理部4からの信号をFFT変換するFFT変換回路、10は上記FFT変換回路9を含む信号処理部、11は上記信号処理部10から入力された信号を画像表示する画像出力装置である。
【0003】次に動作について説明する。合成開口レーダは、レーダのプラットフォームである航空機、或いは人工衛星の動きを利用して等価的なアレーを時間的に合成するものである。図8に合成開口レーダの原理を説明する図を示す。図において14は合成開口レーダ、15はレーダビーム、16は地表である。
【0004】図に示すように合成開口レーダ14は位置Bから位置Cへ移動する間地表16上の点Aを照射し続ける。従って点Bから点Cまでに受信するデータを合成することによって等価的に長さBCの大きな開口を合成することが可能となる。この時、長さBCを合成開口長、長さBCを移動するためにかかる時間を合成開口時間という。これにより、合成開口レーダではプラットフォームの進行方向と同じ方向に通常のレーダ方式では得ることができない高分解能を得ることができる。
【0005】ただし、この高分解能を得るためには受信信号に対し、各受信地点と観測地点との距離の変化を補正する必要があり、このための信号処理回路を設ける必要がある。この処理回路はしばしば大規模なものになるため、プラットフォーム上ではなく地上に設置することが多い。
【0006】なお、この信号処理回路における位相補正回路を以下合成開口処理と呼ぶ。以上に述べた合成開口レーダは、図8からわかるようにビーム幅を広げた方が合成開口長が長くなるためアンテナ長を短くした方が理論的な分解能は良くなる。原理的には分解能はアンテナ長の1/2となる。なお、合成開口レーダにおいてプラットフォームに垂直な方向の分解能は通常のレーダにおいて採用されているパルス圧縮技術によって高分解能化が実現されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の合成開口レーダ装置は、以上のように構成されておりレーダのプラットフォームである航空機、或いは人工衛星の実際に発生する機体の動揺を考慮していない。従って、受信信号に機体の動揺成分が含まれ最適な点像応答を得ることができず、分解能が劣化するという問題点を有していた。
【0008】この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、慣性航法装置からの最新速度データを用いてパルス毎にプラットフォームの推定位置を算出することにより、高分解能の画像を得ることを目的とする。
【0009】またこの発明は、慣性航法装置のデータレートがパルス繰り返し周期よりも低い場合においても速度データを平滑化することにより、高分解能の画像を得ることを目的とする。
【0010】さらにこの発明は、慣性航法装置の速度データを平滑化する際に、誤差の大きい部分を切り取ることにより、高分解能の画像を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1の発明による合成開口レーダ装置は、慣性航法装置の速度データから機体の動揺による位相補償量を算出するための位相補償量算出手段と、受信信号に上記位相補償量算出手段からの機体動揺補償用信号を掛け合わせる合成手段とを設けたものである。
【0012】第2の発明による合成開口レーダ装置は、平滑化した慣性航法装置の速度データから機体の動揺による位相補償量を算出するための位相補償量算出手段と、受信信号に上記位相補償量算出手段からの機体動揺補償用信号を掛け合わせる合成手段とを設けたものである。
【0013】第3の発明による合成開口レーダ装置は、速度誤差の大きい部分を切り取った後に平滑化した慣性航法装置の速度データから機体の動揺による位相補償量を算出するための位相補償量算出手段と、受信信号に上記位相補償量算出手段からの機体動揺補償用信号を掛け合わせる合成手段とを設けたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの発明に実施の形態1を示す図であり、図において6は慣性航法装置からの最新速度データを使用して位相補償量を算出する位相補償量算出回路、7は上記位相補償量算出回路6からの機体動揺補償用信号、8は上記受信信号に上記機体動揺補償用信号を掛け合わせる合成器、9は上記合成器8からの信号をFFT変換するFFT変換回路、10は上記合成器8と上記FFT変換回路9を含む信号処理部、11は上記信号処理部10から入力された信号を画像表示する画像出力装置である。上記のうち、送信部1、アンテナ2、受信部3、データ処理部4、FFT変換回路9、信号処理部10、画像出力装置11は従来合成開口レーダ装置と同等のものである。
【0015】次に動作について説明する。前記のように構成された合成開口レーダ装置において送信部1から出力された信号はアンテナ2から送信され、さらにアンテナ2で受信された信号は受信部3に入力され、データ処理部4によりA/D変換される。位相補償量算出回路6では、送信パルス毎に直前に更新された慣性航法装置の最新の速度データを用いてプラットフォームの推定位置を算出する。
【0016】上記慣性航法装置からの最新速度データの算出アルゴリズムを図4により説明する。ここで、パルス繰り返し周期をPRI、慣性航法装置のデータレートをToとする。図4に示すように慣性航法装置で最新に更新された時刻m・To(mは整数)における速度データVs(m・To)を用いて、時刻n・PRI(nは整数)におけるプラットフォームの位置Ps(n・PRI)はPs((n−1)・PRI)+Vs(m・To)・PRIと推定される。ここで、Ps((n−1)・PRI)は時刻(n−1)・PRIにおけるプラットフォームの推定位置である。
【0017】このプラットフォーム推定位置Ps(n・PRI)と目標位置からスラントレンジRs(n・PRI)が算出でき、位相補償量は4π/λ・Rs(n・PRI)と推定できる。これにより、機体動揺補償用信号7exp(4π/λ・Rs(n・PRI))を生成する。この機体動揺補償用信号7を合成器8において受信信号5に乗ずることにより、不要な機体の動揺成分を除くことができる。これを信号処理部10におけるFFT変換回路9でFFT変換し、画像出力装置11に送り、最適な点像応答を得ることができる。
【0018】実施の形態2.図2はこの発明の実施の形態2を示す図であり、図において12は平滑化した慣性航法装置からの最新速度データを使用して位相補償量を算出する位相補償量算出回路である。
【0019】次に動作について説明する。前記のように構成された合成開口レーダ装置において送信部1から出力された信号はアンテナ2から送信され、さらにアンテナ2で受信された信号は受信部3に入力され、データ処理部4によりA/D変換される。位相補償量算出回路12では、図5(a)に示すように、各送信パルスにおいて直前に更新された慣性航法装置の最新の速度データをヒットパルス数対応時間の半分を重ねながらヒットパルス数対応時間で平滑化を行い平均化する。平滑化には図5(b)に示すような1次回帰曲線或いは図5(c)に示すような2次回帰曲線を用いる。
【0020】これにより、慣性航法装置のデータレートがパルス繰り返し周期よりも遅い場合においても精度良く速度データを得ることができる。これから、プラットフォームの推定位置を算出し、位相補償量を推定し、機体動揺補償用信号7を生成する。上記位相補償量算出回路12におけるプラットフォームの推定位置算出と位相補償量推定、機体動揺補償用信号7の生成は上記実施の形態1の位相補償量算出回路6におけるプラットフォームの推定位置算出と位相補償量推定、機体動揺補償用信号7の生成の動作と同一である。この機体動揺補償用信号7を合成器8において受信信号5に乗ずることにより、不要な機体の動揺成分を除くことができる。これを信号処理部10におけるFFT変換回路9でFFT変換し、画像出力装置11に送り、最適な点像応答を得ることができる。
【0021】実施の形態3.図3はこの発明の実施の形態3を示す図であり、図において13は慣性航法装置からの最新速度データを平滑化した後に速度誤差の大きい部分を切り取り生成した速度データを使用して位相補償量を算出する位相補償量算出回路である。
【0022】次に動作について説明する。前記のように構成された合成開口レーダ装置において送信部1から出力された信号はアンテナ2から送信され、さらにアンテナ2で受信された信号は受信部3に入力され、データ処理部4によりA/D変換される。位相補償量算出回路13では、図6に示すように、各送信パルスにおいて直前に更新された慣性航法装置の最新の速度データをヒットパルス数対応時間の半分を重ねながらヒットパルス数対応時間で平滑化し、さらに速度誤差の大きい回帰曲線の両端1/4づつを切り取る。平滑化は上記実施の形態2の図5(b)と(c)で示したものと同一である。
【0023】これにより、さらに精度良い速度データを得ることができる。これから、プラットフォームの推定位置を算出し、位相補償量を推定し、機体動揺補償用信号7を生成する。上記位相補償量算出回路13におけるプラットフォームの推定位置算出と位相補償量推定、機体動揺補償用信号7の生成は上記実施の形態1、実施の形態2の位相補償量算出回路6及び位相補償量算出回路12におけるプラットフォームの推定位置算出と位相補償量推定、機体動揺補償用信号7の生成の動作と同一である。この機体動揺補償用信号7を合成器8において受信信号5に乗ずることにより、不要な機体の動揺成分を除くことができる。これを信号処理部10におけるFFT変換回路9でFFT変換し、画像出力装置11に送り、最適な点像応答を得ることができる。
【0024】
【発明の効果】第1の発明によれば、慣性航法装置の最新速度データを使用して位相補償量を算出することにより機体の動揺成分を補償することが可能となり、高分解能の画像を得ることができる。
【0025】第2の発明によれば、平滑化した慣性航法装置の最新速度データを使用して位相補償量を算出することにより慣性航法装置のデータレートがパルス繰り返し周期よりも遅い場合においても機体の動揺成分を精度良く補償することが可能となり、高分解能の画像を得ることができる。
【0026】第3の発明によれば、平滑化した慣性航法装置の最新速度データを速度誤差の大きい部分を切り取って生成したデータを使用して位相補償量を算出することにより機体の動揺成分をさらに精度良く補償することが可能となり、上記効果よりもさらに高分解能の画像を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】 【識別番号】100102439
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 金雄 (外1名)
【公開番号】 特開2001−194456(P2001−194456A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−5656(P2000−5656)