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【発明の名称】 超音波振動子
【発明者】 【氏名】梶山 智史

【氏名】柴田 究

【氏名】高木 俊昌

【氏名】宇野 真武

【氏名】小野 健

【氏名】橋本 裕介

【氏名】大谷 隆児

【氏名】足立 将彦

【要約】 【課題】その目的はホーンを用いることなく、各方向のビームの太さを異なるようにできる超音波振動子を提供することにある。

【解決手段】略円筒状の筒状ケース1は、その一端面1bが開口しており、他端面の筒状ケース1内側の略中央部に圧電素子2を貼り付けて配置し、振動面1aとし、この振動面1aより超音波の送受波が行われる。振動面1aの面上には、圧電素子2の設けられた位置の外側であり、振動面1aの中心Pを通る中心線P1を中心に対称となる位置に、それぞれ1つずつ中心線P1と平行方向に長さA1を有し、長さA1方向と直交する方向に長さB1を有する円弧状の開口部3,3が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一端面が開口し、他端面が閉塞された筒状ケースの他端面を、その筒状ケース内側略中央部に圧電素子を設けて振動面とし、超音波の送波及び受波を行う超音波振動子において、前記筒状ケースは、その軸と直交する面の各中心を通る中心線を中心として対称となる位置に開口部を有することを特徴とする超音波振動子。
【請求項2】 前記開口部は前記振動面に形成されることを特徴とする請求項1記載の超音波振動子。
【請求項3】 前記開口部は前記筒状ケースの側面に形成されることを特徴とする請求項1記載の超音波振動子。
【請求項4】 前記開口部は前記振動面から前記筒状ケースの側面にかけて形成されることを特徴とする請求項1記載の超音波振動子。
【請求項5】 前記開口部の前記中心線と平行方向の長さを変更して超音波の指向特性を調整することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の超音波振動子。
【請求項6】 前記開口部の前記中心線と直交する方向の長さを変更して超音波の指向特性を調整することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の超音波振動子。
【請求項7】 一端面が開口し、他端面が閉塞された筒状ケースの他端面を、その筒状ケース内側略中央部に圧電素子を設けて振動面とし、超音波の送波及び受波を行う超音波振動子において、前記振動面は、その中心を通る中心線を中心に対称となる位置に厚さの薄い薄肉部を有することを特徴とする超音波振動子。
【請求項8】 前記振動面の前記筒状ケース内側の形状は、前記振動面の中心線に対して前記薄肉部が形成されている形成方向に延びる互いに略平行な2つの直線を有する形状であることを特徴とする請求項7記載の超音波振動子。
【請求項9】 前記薄肉部の前記中心線と平行方向の長さが、前記対称となる位置に設けられた各薄肉部間にある前記振動面の前記平行方向の長さ以上であることを特徴とする請求項8記載の超音波振動子。
【請求項10】 前記薄肉部は、その深さ方向に向かって幅が狭くなる形状であることを特徴とする請求項7記載の超音波振動子。
【請求項11】 前記薄肉部は、前記振動面の前記筒状ケースの内側に設けられていることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれかに記載の超音波振動子。
【請求項12】 前記薄肉部は、前記振動面の前記筒状ケースの外側に設けられていることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれかに記載の超音波振動子。
【請求項13】 前記薄肉部は、前記振動面の前記筒状ケースの内側と内側の両方に設けられていることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれかに記載の超音波振動子。
【請求項14】 前記振動面の前記筒状ケース外側の形状は、前記振動面の中心線に対して前記薄肉部が形成されている形成方向に延びる互いに略平行な2つの直線を有する形状であることを特徴とする請求項7記載の超音波振動子。
【請求項15】 前記筒状ケースを鍛造製法により製造することを特徴とする請求項1から請求項14のいずれかに記載の超音波振動子。
【請求項16】 前記筒状ケース側面の外壁の肉厚が前記開口した一端面側の方が前記振動面側より厚くなるように、前記筒状ケースの側面に段差部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかに記載の超音波振動子。
【請求項17】 前記段差部はテーパ形状であることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれかに記載の超音波振動子。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波信号を送信するとともに障害物からの反射波を受信して障害物の存在を検出する超音波センサの超音波振動子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の障害物検知を行う超音波センサとしては、超音波センサより超音波パルスを空気中に発信し、検知対象物体などの障害物に反射して、その反射波を超音波センサで受信し、その受信信号の処理を行い、警報などを発するような構成になっている。上記超音波センサの超音波を発信および受信している超音波振動子は、図14(a)の正面図、図14(b)の側面断面図に示すような構成である。一端面が開口した中空の筒状ケース51他端側の面は、その筒状ケース51内側に接着剤で貼り合わせた圧電素子52が設けられて振動面51aとなっており、超音波信号の送受信を行う。圧電素子52の上記振動面51aに貼り合わされていない側には、吸音材53が配置されている。圧電素子52と筒状ケース51に接続されたリード線54と、図示せぬ制御回路側から入出力される信号を伝達するシールド線56とがターミナル基板55で接続される。また、この筒状ケース51の内部には充填材57が充填されている。
【0003】しかし、この超音波振動子では振動面51aは円形で厚みは一定のため、超音波振動子自体では、超音波振動子からみて全方向に略均一な指向性となる。車両用の障害物検知の超音波振動子は、車両のバンパーなどに取り付けられるが、車両へ取り付けたときの超音波振動子の横方向の検知エリアは、障害物の存在を検知するために広くし、縦方向の検知エリアは路面上の不用物体の検知を防止するため狭くする必要がある。よって、水平方向と垂直方向で超音波振動子の超音波のビームの太さの異なる指向性が必要となる。そのため、従来の超音波振動子では、保持ゴム59を介してホーン58を設けて超音波のビーム制御を行う必要があった。ホーン58は、図15(a)(b)に示すように、縦径58a、横径58b、深さ58cを有する開口部60からビーム制御を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなホーン58を有する超音波振動子では、車両走行中などに、ホーン58の内部に雨水が入りこんだり、雪やほこりなどが溜まりやすく、それにより超音波のビームが変化して障害物などの対象物の検知エリアが変わってしまうことがある。また、ホーン58内部に入ったものを検知してしまい、検知対象物体が検知エリアに無いにもかかわらず、それを誤検知してしまう問題があった。そしてまた、超音波振動子をバンパーなどに取り付けるため、ホーン58がバンパー面より突出し、またホーン58自体の穴が存在するため、外観上もよくないという問題があった。このように、超音波振動子のビームの太さを異なるようにするために、ホーンを用いると上記した問題が発生した。
【0005】本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的はホーンを用いることなく、超音波のビームの指向特性を異なるようにできる超音波振動子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1の発明は、一端面が開口し、他端面が閉塞された筒状ケースの他端面を、その筒状ケース内側略中央部に圧電素子を設けて振動面とし、超音波の送波及び受波を行う超音波振動子において、前記筒状ケースは、その軸と直交する面の各中心を通る中心線を中心として対称となる位置に開口部を有することを特徴とする。よって、振動面の中心線と直交する方向の振動は、その両端部に開口部があるため剛性が弱くなって振動しやすくなり、中心線と平行方向の振動に比べて、振動面と直交する方向に平面振動する部分が大きくなるように振動する。その結果、水平方向に比べて垂直方向のビームを鋭くして物体の検知エリアを小さくすることが可能となり、超音波振動子は異方向性を持つ指向特性を形成できる。
【0007】また、請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、前記開口部は前記振動面に形成されることを特徴とする。よって、請求項1と同様の効果が得られる。
【0008】また、請求項3の発明は、請求項1記載の発明のおいて、前記開口部は前記筒状ケースの側面に形成されることを特徴とする。よって、請求項1と同様の効果が得られるとともに、振動面に開口部を設けないため、圧電素子の大きさや位置を制限せずに配置でき、また外観も良くなる。
【0009】また、請求項4の発明は、請求項1記載の発明において、前記開口部は前記振動面から前記筒状ケースの側面にかけて形成されることを特徴とする。よって、開口部を大きくとることができ、振動面の中心線に対して開口部を形成した形成方向の剛性を弱めることができるので、超音波の送波、受波を行うにあたり、ビームの指向特性の異方向性を向上することができる。
【0010】また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明において、前記開口部の前記中心線と平行方向の長さを変更して超音波の指向特性を調整することを特徴とする。よって、超音波の指向特性を変更できる。
【0011】また、請求項6の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明において、前記開口部の前記中心線と直交する方向の長さを変更して超音波の指向特性を調整することを特徴とする。よって、超音波の指向特性を変更できる。
【0012】また、請求項7の発明は、一端面が開口し、他端面が閉塞された筒状ケースの他端面を、その筒状ケース内側略中央部に圧電素子を設けて振動面とし、超音波の送波及び受波を行う超音波振動子において、前記振動面は、その中心を通る中心線を中心に対称となる位置に厚さの薄い薄肉部を有することを特徴とする。よって、振動面の中心線と直交する方向の振動は、その両端部に薄肉部があるため剛性が弱くなって振動しやすくなり、中心線と平行方向の振動に比べて、振動面と直交する方向に平面振動する部分が大きくなるように振動する。その結果、水平方向に比べて垂直方向のビームを鋭くして物体の検知エリアを小さくすることが可能となり、超音波振動子は異方向性を持つ指向特性を形成できる。
【0013】請求項8の発明は、請求項7記載の発明において、前記振動面の前記筒状ケース内側の形状は、前記振動面の中心線に対して前記薄肉部が形成されている形成方向に延びる互いに略平行な2つの直線を有する形状であることを特徴とする。よって、中心線と水平方向の超音波のビームを太くすることができ、超音波のビームの指向特性の異方向性を向上することができる。
【0014】また、請求項9の発明は、請求項8記載の発明において、前記薄肉部の前記中心線と平行方向の長さが、前記対称となる位置に設けられた各薄肉部間にある前記振動面の前記平行方向の長さ以上であることを特徴とする。よって、中心線と垂直方向の超音波のビームを太くすることができ、超音波のビームの指向特性の異方向性を向上することができる。
【0015】また、請求項10の発明は、請求項7記載の発明において、前記薄肉部は、その深さ方向に向かって幅が狭くなる形状であることを特徴とする。よって、筒状ケースの製造において、塑性加工にて容易に精度良く薄肉部を形成することができる。
【0016】また、請求項11の発明は、請求項7から請求項10のいずれかに記載の発明において、前記薄肉部は、前記振動面の前記筒状ケースの内側に設けられていることを特徴とする。よって、筒状ケースの外観が良くなる。
【0017】また、請求項12の発明は、請求項7から請求項10のいずれかに記載の発明において、前記薄肉部は、前記振動面の前記筒状ケースの外側に設けられていることを特徴とする。よって、筒状ケースの内部に充填材にて充填した後においても、薄肉部の長さ、深さ、数により、振動面の振動状態を任意に調整できる。
【0018】また、請求項13の発明は、請求項7から請求項10のいずれかに記載の発明において、前記薄肉部は、前記振動面の前記筒状ケースの内側と内側の両方に設けられていることを特徴とする。よって、内側に設けられる薄肉部により振動面の目標となる振動状態を形成し、外側の薄肉部により超音波振動子の製造後の振動状態の微調整を行うことができ、外側の薄肉部は微調整のために形成されるため、その大きさを小さくすることができ、外観が良くなる。
【0019】また、請求項14の発明は、請求項7記載の発明において、前記振動面の前記筒状ケース外側の形状は、前記振動面の中心線に対して前記薄肉部が形成されている形成方向に延びる互いに略平行な2つの直線を有する形状であることを特徴とする。よって、前記筒状ケースの中心線と平行方向の幅が狭くなり、超音波振動子を車両のバンパーに取り付ける際に、筒状ケースを保持する保持ゴムの厚みを大きくできるため、バンパー取り付け部から振動面への影響を軽減できる。また、筒状ケースの外観より薄肉部の形成方向を知ることができる。
【0020】また、請求項15の発明は、請求項1から請求項14のいずれかに記載の発明において、前記筒状ケースを鍛造製法により製造することを特徴とする。よって、筒状ケースの製造コストを削減することができる。
【0021】また、請求項16の発明は、請求項1から請求項15のいずれかに記載の発明において、前記筒状ケース側面の外壁の肉厚が前記開口した一端面側の方が前記振動面側より厚くなるように、前記筒状ケースの側面に段差部が設けられていることを特徴とする。よって、超音波振動子を車両のバンパーに取り付けたときの外観を小さくできるとともに、開口した一端面側の肉厚が厚くなった外壁により筒状ケースの剛性を強め、振動面をより大きく振動させることができる。
【0022】また、請求項17の発明は、請求項1から請求項16のいずれかに記載の発明において、前記段差部はテーパ形状であることを特徴とする。よって、筒状ケースの鍛造加工による製造が可能となり、製造コストを削減できる。
【0023】
【発明の実施の形態】(実施形態1)図1は本発明の超音波振動子の実施形態1を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図、(c)は背面図である。略円筒状の筒状ケース1は、その一端面1cが開口しており、他端面は閉塞され筒状ケース1内側の略中央部に圧電素子2を貼り付けて配置し、振動面1aとしている。筒状ケース1と圧電素子2のそれぞれには外部回路より信号が入出力されるリード線4が接続され、入力された信号をもとに圧電素子2を振動させて、振動面1aより上記一端面1bと反対側に超音波を送波するとともに、送波した超音波が物体に反射した反射波を振動面1aより受波し、圧電素子2を介して電気信号をリード線4より上記外部回路に出力する。すなわち、筒状ケース1、圧電素子2、リード線4により超音波振動子が構成される。
【0024】筒状ケース1の軸と直交する面の一つである振動面1aの面上には、圧電素子2の設けられた位置の外側であり、振動面1aの中心Pを通る中心線P1を中心に対称となる位置に、それぞれ1つずつ中心線P1と平行方向に長さA1を有し、長さA1方向と直交する方向に長さB1を有する円弧状の開口部3,3が設けられている。この開口部3,3はゴムにて封止される。
【0025】この超音波振動子の中心線P1と直交する方向(以後、垂直方向と呼ぶ)の振動は、その両端部に開口部3,3があるため剛性が弱くなって振動しやすくなり、中心線P1と平行方向(以後、水平方向とよぶ)の振動に比べて、振動面1aと直交する方向に平面振動する部分が大きくなるように振動する。その結果、水平方向に比べて垂直方向のビームを鋭くして物体の検知エリアを小さくすることが可能となり、超音波振動子は異方向性を持つ指向特性を形成できる。
【0026】また、開口部3の中心線P1と平行方向の長さA1、あるいは中心線P1と直交する方向の長さB1を変更することにより、振動面1aの垂直方向の剛性が変化するため、振動面1aの垂直方向の振動状態が変わる。よって、上記長さA1、あるいは長さB1を変更することで、振動面1aの垂直方向のビームの鋭さを自由に設定可能となり、超音波の指向特性を調整できる。
(実施形態2)図2は本発明の超音波振動子の実施形態2を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図、(c)は背面図である。図2において図1と異なる点は、図1では振動面1a上に、中心線P1を中心として対称となる位置にそれぞれ開口部3,3が設けられていたのに対して、図2では筒状ケース1の側面1cの振動面1aと接する位置に、それぞれ1つずつ中心線P1と平行方向に長さA2を有し、長さA2と直交する方向に長さB2を有する略長方形状の開口部3a,3aが設けられている点である。ここで、中心線P1は筒状ケース1の側面の開口部3a,3aを有する面、すなわち筒状ケース1の軸と直交する面を通る中心線である。
【0027】振動面1aの垂直方向の振動は、開口部3aが設けられているため剛性が弱くなって振動しやすくなり、水平方向の振動に比べて、振動面1aと直交する方向に平面振動する部分が大きくなるよう振動する。その結果、水平方向に比べて垂直方向のビームを鋭くして物体の検知エリアを小さくすることが可能となり、超音波振動子は異方向性を持つ指向特性を形成できる。
【0028】また、図1と同様に開口部3aの中心線P1と平行方向の長さA2、あるいは中心線P1と直交する方向の長さB2を変更することで、振動面1aの垂直方向のビームの鋭さを自由に設定可能となり、超音波の指向特性を調整できる。
【0029】そしてまた、振動面1aに開口部がないので、圧電素子2の大きさや貼りつけ位置を制限せずに配置でき、また外観も良くなる。
(実施形態3)図3は本発明の超音波振動子の実施形態3を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図、(c)は背面図である。図3において図1と異なる点は、図1では振動面1a上に、中心線P1を中心として対称となる位置にそれぞれ開口部3,3が設けられていたのに対して、図3では振動面1aの端部からそれに連接する側面1bにかけて開口した開口部3bが、中心線P1を中心に対称となる位置に、それぞれ1つずつ設けられている点である。そして、超音波振動子全体を保持ゴム9で覆い、車両のバンパーに嵌合している。この保持ゴム9により開口部3bも封止しており、部品点数の削減となる。
【0030】このように、振動面1aから側面1bにかけて開口部3bを設けたため、開口部をより大きくとることができ、振動面1aの垂直方向の剛性を弱めることができ、水平方向に比べて垂直方向は振動面1aと直交する方向に平面振動する部分が大きくなる振動をする。その結果、水平方向に比べて垂直方向のビームを鋭くして物体の検知エリアを小さくすることが可能となり、超音波振動子は異方向性を持つ指向特性を形成できる。
【0031】また、開口部3bの中心線P1方向と平行方向の長さA3、あるいは中心線P1と直交する方向の長さB3を変更することにより、振動面1aの垂直方向の剛性が変化するため、振動面1aの垂直方向の振動状態が変わる。よって、振動面1aの垂直方向のビームの鋭さを自由に設定可能となり、超音波の指向特性を調整できる。
(実施形態4)図4は本発明の超音波振動子の実施形態4を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図、(c)は背面図である。図4において図1と異なる点は、図1では振動面1a上に、中心線P1を中心として対称となる位置にそれぞれ1つずつ開口部3,3が設けられていたのに対して、図4では振動面1aの筒状ケース1の内側に、中心線P1を中心として対称となる位置にそれぞれ1つずつ振動面1aの肉厚より薄い薄肉部5,5が設けられている点である。この薄肉部5は、圧電素子2が配置されている位置の外側に設けられており、中心線P1と平行方向に一定の幅と深さを有する円弧形状である。
【0032】そのため、振動面1aの振動は、水平方向は単純なたわみ振動であるが、垂直方向は圧電素子2を貼り付けている部分でたわみ振動が生じ、その外側に設けられている薄肉部5のために振動しやすくなり、水平方向に比べて振動面1aと直交する方向に平面振動する部分が大きくなる。その結果、水平方向に比べて垂直方向のビームを鋭くして物体の検知エリアを小さくすることが可能となり、超音波振動子は異方向性を持つ指向特性を形成できる。
(実施形態5)図5は本発明の超音波振動子の実施形態5を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図、(c)は背面図である。図5において図4と異なる点は、図4では振動面1aの筒状ケース1内側の形状が略円形状であり、その円形状の外周よりやや中心P側に薄肉部5が配置されているのに対し、図5では振動面1aの筒状ケース1内側の形状が、中心線P1を挟んでそれぞれ水平方向に円弧状の曲線7a,7bが設けられ、その曲線7a,7bのそれぞれの端部が結ばれて、中心線P1と略直交し、互いに略平行の直線6a,6bとなる形状となっている点である。そして、中心線P1を中心に対称となる位置であり、上記それぞれの円弧状の曲線7a,7bと接する位置に、一定の幅を有し中心線P1方向に円弧状である薄肉部5a,5aが設けられている。
【0033】このため、振動面1aの筒状ケース1内側の形状が略円形状である場合に比べて、中心線P1方向の幅が狭くなる。よって、振動面1aの水平方向が垂直方向と比べて狭い範囲で振動し、水平方向のビームをより太くすることができ、物体の検知エリアを小さくすることが可能となり、超音波振動子は異方向性を持つ指向特性を形成できる。
【0034】このとき、図6(a)に示すように、薄肉部が一定の幅を有する円弧状でなく、中心側が中心線P1に平行な直線である形状の薄肉部11a、図6(b)に示すように、外側が中心線P1に平行な直線である形状の薄肉部11b、中心側、外側の両方が中心線P1に平行な直線である形状の薄肉部11cであってもよい。
【0035】また、図7(a)(b)(c)(d)に示すように、薄肉部12a,12b,12c,12dの水平方向の長さS1が振動面1aの筒状ケース1内側における水平方向の幅S2より大きくなるように形成すると、薄肉部12a,12b,12c,12dの剛性をより弱めることができ、水平方向に比べて垂直方向のビームをより鋭くすることができる。
(実施形態6)図8は本発明の超音波振動子の実施形態6を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図、(c)は背面図である。図8において図4と異なる点は、図4では振動面1aの筒状ケース1内側に、中心線P1を中心として対称となる位置にそれぞれ1つずつ一定の幅と深さを有する薄肉部5,5が設けられていたのに対して、図8では振動面1aの筒状ケース1の内側に、中心線P1を中心として対称となる位置にそれぞれ2つずつ、深くなるにつれて幅が小さくなる断面が略V字形状であり、背面からみた形状が円弧状である薄肉部5bが設けられている点である。また、薄肉部5bは、深くなるにつれて幅が小さくなる断面が略円弧形状であってもよい。
【0036】このような断面が略V字形状、略円弧形状の薄肉部は塑性加工で容易に精度よく形成できる。また、この薄肉部5bの長さ、深さ、数を変更することで、振動面1aの振動状態を調整できる。
(実施形態7)図9は本発明の超音波振動子の実施形態7を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図、(c)は背面図である。図9において図4と異なる点は、図4では振動面1aの筒状ケース1内側に、中心線P1を中心として対称となる位置にそれぞれ1つずつ一定の幅と深さを有する薄肉部5,5が設けられていたのに対して、図9では振動面1aの筒状ケース1の外側に、中心線P1を中心として対称となる位置にそれぞれ2つずつ、一定の幅と深さを有し、正面からみた形状が円弧状である薄肉部5cが設けられている点である。
【0037】このように、薄肉部5cが振動面1aの筒状ケース1の外側に設けられるため、筒状ケース1の内部を充填材にて充填した後でも、薄肉部5cの長さ、深さ、数を変更することによって、振動面1aの振動状態を調整することができ、超音波振動子の製造後の微調整が可能となる。
(実施形態8)図10は本発明の超音波振動子の実施形態8を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図、(c)は背面図である。図10において図4と異なる点は、図4では振動面1aの筒状ケース1内側に、中心線P1を中心として対称となる位置にそれぞれ1つずつ一定の幅と深さを有する薄肉部5,5が設けられていたのに対して、図10ではさらに振動面1aの筒状ケース1の外側にも、中心線P1を中心として対称となる位置にそれぞれ1つずつ、一定の幅と深さを有し、正面からみた形状が円弧状である薄肉部5dが設けられている点である。
【0038】ここで、筒状ケース1の内側の薄肉部5の形成により、振動面1aの目標とする振動状態を作り、筒状ケース1の外側の薄肉部5dを用いて超音波振動子を製造した後の振動モードの微調整を行うようにする。
【0039】これにより、超音波振動子の製造後の振動状態の微調整が可能となるとともに、筒状ケース1の外側に設けた薄肉部は小さくすることができ、外観が良くなる。
【0040】(実施形態9)図11は本発明の超音波振動子の実施形態9を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面断面図、(c)は背面図である。図11は図5に示した超音波振動子の振動面1aの外面形状が、中心線P1を挟んでそれぞれ垂直方向に円弧状の曲線15a,15bが設けられている点は図5と同様であり、その曲線15a,15bのそれぞれの端部が結ばれて、中心線P1と略直交した方向、つまり中心線P1に対して薄肉部5aが形成された方向に延びる互いに略平行の直線14a,14bが形成される形状となっている点が異なる。すなわち、図11の超音波振動子では図5に比べてその外面形状は、水平方向の幅が狭くなっている。この超音波振動子は、周囲が保持ゴム9で覆われバンパーに嵌合される。
【0041】上記各実施形態で説明した薄肉部を設ける構成では、筒状ケース1の側面振動は水平方向が大きくなる。そこで、図11に示すように水平方向の幅が狭くなる外面形状とすることで、保持ゴム9の水平方向の厚みを厚くすることが可能となり、超音波振動子を保持ゴム9で保持してバンパーに取り付けたとき、振動面1aへの影響を軽減することができる。また、振動面1aの外面形状が略円形でなく、中心線P1に対する薄肉部5aの形成方向に延びる略平行の2直線を有する構成であるため、外観よりバンパーなどへの取り付け方向が分かるようになる。
(実施形態10)図12は本発明の超音波振動子の実施形態10を示す側面断面図である。図5に示した筒状ケース1の側面1cの外壁に、図12では開口した一端面1b側の方の外壁16が、振動面1a側の方の外壁19より幅が太くなるように、段差部17が形成されている点が異なる。図12では、このように構成された超音波振動子を保持ゴム9で保持して、段差部17がバンパー10の内側に係止するようにバンパー10に取り付けている。
【0042】この幅が太くなるように構成された外壁16により、筒状ケース1の剛性を強めて振動面1aをより大きく振動させることができる。このとき、バンパー10に取り付けた外観を小さくできる。
【0043】図13は、図12に示した段差部17にテーパ18を持たせた例を示している。これにより、段差部17を鍛造加工にて製造することが可能となり、製造コストを削減できる。図8で示したように塑性加工にて薄肉部5bを形成して筒状ケース1を製造するものにおいても、段差部17の加工と同様に鍛造加工にて製造して製造コストを削減できる。
【0044】
【発明の効果】上記したように、請求項1の発明は、一端面が開口し、他端面が閉塞された筒状ケースの他端面を、その筒状ケース内側略中央部に圧電素子を設けて振動面とし、超音波の送波及び受波を行う超音波振動子において、前記筒状ケースは、その軸と直交する面の各中心を通る中心線を中心として対称となる位置に開口部を有するため、振動面の中心線と直交する方向の振動は、その両端部に開口部があるため剛性が弱くなって振動しやすくなり、中心線と平行方向の振動に比べて、振動面と直交する方向に平面振動する部分が大きくなるように振動する。その結果、水平方向に比べて垂直方向のビームを鋭くして物体の検知エリアを小さくすることが可能となり、超音波振動子は異方向性を持つ指向特性を形成できる。
【0045】また、請求項2の発明は、請求項1記載の発明において、前記開口部は前記振動面に形成されるため、請求項1と同様の効果が得られる。
【0046】また、請求項3の発明は、請求項1記載の発明のおいて、前記開口部は前記筒状ケースの側面に形成されるため、請求項1と同様の効果が得られるとともに、振動面に開口部を設けないため、圧電素子の大きさや位置を制限せずに配置でき、また外観も良くなる。
【0047】また、請求項4の発明は、請求項1記載の発明において、前記開口部は前記振動面から前記筒状ケースの側面にかけて形成されるため、開口部を大きくとることができ、振動面の中心線に対して開口部を形成した形成方向の剛性を弱めることができるので、超音波の送波、受波を行うにあたり、ビームの指向特性の異方向性を向上することができる。
【0048】また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明において、前記開口部の前記中心線と平行方向の長さを変更して超音波の指向特性を調整するため、超音波の指向特性を変更できる。
【0049】また、請求項6の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明において、前記開口部の前記中心線と直交する方向の長さを変更して超音波の指向特性を調整するため、超音波の指向特性を変更できる。
【0050】また、請求項7の発明は、一端面が開口し、他端面が閉塞された筒状ケースの他端面を、その筒状ケース内側略中央部に圧電素子を設けて振動面とし、超音波の送波及び受波を行う超音波振動子において、前記振動面は、その中心を通る中心線を中心に対称となる位置に厚さの薄い薄肉部を有するため、振動面の中心線と直交する方向の振動は、その両端部に薄肉部があるため剛性が弱くなって振動しやすくなり、中心線と平行方向の振動に比べて、振動面と直交する方向に平面振動する部分が大きくなるように振動する。その結果、水平方向に比べて垂直方向のビームを鋭くして物体の検知エリアを小さくすることが可能となり、超音波振動子は異方向性を持つ指向特性を形成できる。
【0051】請求項8の発明は、請求項7記載の発明において、前記振動面の前記筒状ケース内側の形状は、前記振動面の中心線に対して前記薄肉部が形成されている形成方向に延びる互いに略平行な2つの直線を有する形状であるため、中心線と水平方向の超音波のビームを太くすることができ、超音波のビームの指向特性の異方向性を向上することができる。
【0052】また、請求項9の発明は、請求項8記載の発明において、前記薄肉部の前記中心線と平行方向の長さが、前記対称となる位置に設けられた各薄肉部間にある前記振動面の前記平行方向の長さ以上であるため、中心線と垂直方向の超音波のビームを太くすることができ、超音波のビームの指向特性の異方向性を向上することができる。
【0053】また、請求項10の発明は、請求項7記載の発明において、前記薄肉部は、その深さ方向に向かって幅が狭くなる形状であるため、筒状ケースの製造において、塑性加工にて容易に精度良く薄肉部を形成することができる。
【0054】また、請求項11の発明は、請求項7から請求項10のいずれかに記載の発明において、前記薄肉部は、前記振動面の前記筒状ケースの内側に設けられているため、筒状ケースの外観が良くなる。
【0055】また、請求項12の発明は、請求項7から請求項10のいずれかに記載の発明において、前記薄肉部は、前記振動面の前記筒状ケースの外側に設けられているため、筒状ケースの内部に充填材にて充填した後においても、薄肉部の長さ、深さ、数により、振動面の振動状態を任意に調整できる。
【0056】また、請求項13の発明は、請求項7から請求項10のいずれかに記載の発明において、前記薄肉部は、前記振動面の前記筒状ケースの内側と内側の両方に設けられているため、内側に設けられる薄肉部により振動面の目標となる振動状態を形成し、外側の薄肉部により超音波振動子の製造後の振動状態の微調整を行うことができ、外側の薄肉部は微調整のために形成されるため、その大きさを小さくすることができ、外観が良くなる。
【0057】また、請求項14の発明は、請求項7記載の発明において、前記振動面の前記筒状ケース外側の形状は、前記振動面の中心線に対して前記薄肉部が形成されている形成方向に延びる互いに略平行な2つの直線を有する形状であるため、前記筒状ケースの中心線と平行方向の幅が狭くなり、超音波振動子を車両のバンパーに取り付ける際に、筒状ケースを保持する保持ゴムの厚みを大きくできるため、バンパー取り付け部から振動面への影響を軽減できる。また、筒状ケースの外観より薄肉部の形成方向を知ることができる。
【0058】また、請求項15の発明は、請求項1から請求項14のいずれかに記載の発明において、前記筒状ケースを鍛造製法により製造するため、筒状ケースの製造コストを削減することができる。
【0059】また、請求項16の発明は、請求項1から請求項15のいずれかに記載の発明において、前記筒状ケース側面の外壁の肉厚が前記開口した一端面側の方が前記振動面側より厚くなるように、前記筒状ケースの側面に段差部が設けられているため、超音波振動子を車両のバンパーに取り付けたときの外観を小さくできるとともに、開口した一端面側の肉厚が厚くなった外壁により筒状ケースの剛性を強め、振動面をより大きく振動させることができる。
【0060】また、請求項17の発明は、請求項1から請求項16のいずれかに記載の発明において、前記段差部はテーパ形状であるため、筒状ケースの鍛造加工による製造が可能となり、製造コストを削減できる。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成11年6月30日(1999.6.30)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清 (外1名)
【公開番号】 特開2001−13239(P2001−13239A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−186941