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【発明の名称】 GPS受信装置
【発明者】 【氏名】池田 和彦

【氏名】松岡 哲也

【要約】 【課題】消費電力を低減させ且つ高精度な位置計測を行うことができるGPS受信装置を提供することを目的とする。

【解決手段】衛星を追尾するための複数の信号追尾回路A1〜ANと、全体を制御する制御部5とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部5は、電源投入後測位位置が確定するまでは衛星の追尾を複数の信号追尾回路で行って位置を計測させ、測位位置確定後は複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させ、選択されない信号追尾回路A1〜ANは停止させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、前記制御部は、電源投入後測位位置が確定するまでは衛星の追尾を前記複数の信号追尾回路で行って位置を計測させ、測位位置確定後は前記複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させ、選択されない信号追尾回路は停止させることを特徴とするGPS受信装置。
【請求項2】衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、前記制御部は、電源投入後測位位置が確定するまでは衛星の追尾を前記複数の信号追尾回路で行って位置を計測させ、測位位置確定後、所定の時間所定の速度以下で移動した場合には前記複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させ、選択されない信号追尾回路は停止させることを特徴とするGPS受信装置。
【請求項3】衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、前記制御部は、前記複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させている場合に、急峻な受信周波数の変化を検知したら、前記複数の信号追尾回路での衛星追尾による位置計測に切りかえることを特徴とするGPS受信装置。
【請求項4】衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、前記制御部は、前記複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させている場合に、遮蔽によるすべての衛星の信号遮断を検知したら、前記複数の信号追尾回路での衛星追尾による位置計測に切りかえることを特徴とするGPS受信装置。
【請求項5】衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、前記制御部は、前記複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させている場合に、遮蔽による部分的な衛星の信号遮断を検知したら、前記複数の信号追尾回路のうち前記部分的な衛星に対応する信号追尾回路で前記部分的な衛星のみを連続的に受信させ、遮蔽されていない衛星は選択された1つの信号追尾回路で時分割による追尾を行わせて位置を計測させることを特徴とするGPS受信装置。
【請求項6】衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、前記制御部は、前記複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させている場合に、追尾衛星の切替時に追尾信号相関値の同相成分と直交成分との大小関係よりキャリア周波数の位相制御方向を決定することを特徴とするGPS受信装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、GPS衛星からの電波を受信追尾して測位演算を行うことにより現在位置を計測するGPS受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、自らの位置、移動速度、移動方向の測定にGPS受信装置が盛んに使用されるようになってきた。船舶、自動車、飛行機などの移動体に搭載されて使用されているGPS受信装置は、電力源として発電機、バッテリーを使用しており、この供給電力はGPS受信装置を動作させるのに十分である。
【0003】しかし、装置本体の電力源として電池を使用する小型のGPS受信装置に関しては、限られた電力で長時間動作することが望まれる。
【0004】このようなGPS受信装置は特開平6−102338号公報に示されている。この公報で示されているGPS受信装置は、複数の信号追尾回路を装備しているが、電池による駆動の際はそれらの信号追尾回路のうちひとつを選択し、選択された信号追尾回路で複数のGPS衛星を時分割で追尾して位置の計測を行い、選択されない信号追尾回路は停止させるという低消費電力動作を実現したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のGPS受信装置では、低消費電力動作時に時分割でGPS衛星の信号追尾を行うので、追尾誤差が生じ、位置計測結果にも誤差が生じるという問題点を有していた。
【0006】このGPS受信装置は、消費電力を低減させ且つ高精度な位置計測を行うことが要求されている。
【0007】本発明は、消費電力を低減させ且つ高精度な位置計測を行うことができるGPS受信装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明のGPS受信装置は、衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部は、電源投入後測位位置が確定するまでは衛星の追尾を複数の信号追尾回路で行って位置を計測させ、測位位置確定後は複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させ、選択されない信号追尾回路は停止させる構成を備えている。
【0009】これにより、消費電力を低減させ且つ高精度な位置計測を行うことができるGPS受信装置が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載のGPS受信装置は、衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部は、電源投入後測位位置が確定するまでは衛星の追尾を複数の信号追尾回路で行って位置を計測させ、測位位置確定後は複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させ、選択されない信号追尾回路は停止させることとしたものである。
【0011】この構成により、測位位置確定後は1つの信号追尾回路で複数の衛星を追尾し、選択されない信号追尾回路は停止するので、電力消費が低減されると共に高精度な衛星追尾が維持されるという作用を有する。
【0012】請求項2に記載のGPS受信装置は、衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部は、電源投入後測位位置が確定するまでは衛星の追尾を複数の信号追尾回路で行って位置を計測させ、測位位置確定後、所定の時間所定の速度以下で移動した場合には複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させ、選択されない信号追尾回路は停止させることとしたものである。
【0013】この構成により、比較的低速で移動する期間内であれば、1つの信号追尾回路で複数の衛星を追尾し、選択されない信号追尾回路は停止するので、電力消費が低減されると共に高精度な衛星追尾が維持されるという作用を有する。
【0014】請求項3に記載のGPS受信装置は、衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部は、複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させている場合に、急峻な受信周波数の変化を検知したら、複数の信号追尾回路での衛星追尾による位置計測に切りかえることとしたものである。
【0015】この構成により、急峻な受信周波数の変化を検知した場合、すなわち移動速度の急峻な変化を検知した場合、複数の信号追尾回路での衛星追尾による位置計測に切りかえるようにしたので、電力消費は一時的には増加するものの、高精度な衛星追尾は維持されるという作用を有する。
【0016】請求項4に記載のGPS受信装置は、衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部は、複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させている場合に、遮蔽によるすべての衛星の信号遮断を検知したら、複数の信号追尾回路での衛星追尾による位置計測に切りかえることとしたものである。
【0017】この構成により、遮蔽によるすべての衛星の信号遮断を検知した場合、複数の信号追尾回路での衛星追尾による位置計測に切りかえるようにしたので、電力消費は一時的には増加するものの、高精度な衛星追尾は維持されるという作用を有する。
【0018】請求項5に記載のGPS受信装置は、衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部は、複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させている場合に、遮蔽による部分的な衛星の信号遮断を検知したら、遮蔽された衛星のみを複数の信号追尾回路で連続的に受信させ、遮蔽されていない衛星は選択された1つの信号追尾回路で時分割による追尾を行わせて位置を計測させることとしたものである。
【0019】この構成により、遮蔽による部分的な衛星の信号遮断を検知した場合、遮蔽された衛星のみを複数の信号追尾回路で連続的に受信するようにしたので、電力消費は幾分増加するものの、高精度な衛星追尾は維持されるという作用を有する。
【0020】請求項6に記載のGPS受信装置は、衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部は、複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させている場合に、追尾衛星の切替時に追尾信号相関値の同相成分と直交成分との大小関係よりキャリア周波数の位相制御方向を決定することとしたものである。
【0021】この構成により、同相成分と直交成分とのうち大きな方を最大とするような周波数制御を行うことができるので、周波数制御において容易に収束状態に達することができるという作用を有する。
【0022】以下、本発明の実施の形態について、図1、図2を用いて説明する。
【0023】(実施の形態1)図1は一般的なGPS受信装置を示すブロック図である。本発明の実施の形態1によるGPS受信装置が従来装置と異なるところは、制御部の機能、動作等である。
【0024】図1において、1はGPS衛星(図示せず)からの電波を受信して受信信号を出力するアンテナ、2はアンテナ1から出力された受信信号を処理する高周波信号処理部、3はアナログ信号をデジタル信号へ変換するA/D変換器、4は複数N個の信号追尾回路A1〜ANから成る衛星信号追尾部、5は各信号追尾回路Aを制御する制御部である。
【0025】図1において、アンテナ1によって受信した信号は、高周波信号処理部2で、GPS衛星からの電波信号の搬送波周波数よりも十分低い周波数の搬送波がPNコードと50bpsの航法メッセージとで変調された中間周波信号になる。この中間周波信号は、A/D変換器3でデジタルデータに変換され、GPS衛星からの電波信号を捕捉、追尾するための信号追尾回路A1〜ANに送出される。この信号追尾回路A1〜ANは、複数のGPS衛星をそれぞれ別に捕捉、追尾するために必要な複数N個の信号追尾回路から成る。それぞれの信号追尾回路A1〜ANから制御部5へ追尾衛星の受信信号相関値が供給され、制御部5は、受信信号相関値の変化に応じて各信号追尾回路A1〜ANの周波数制御を行い、GPS衛星信号より得られたデータから、受信点の位置(つまりGPS受信装置の位置)、移動速度、移動方位の計測をおこなう。またこれらの計測の結果より制御部5は、各信号追尾回路A1〜ANを動作させたり、停止させたりする。また使用する信号追尾回路数が1の時、制御部5は、時分割で複数の衛星のそれぞれに応じた周波数制御を行う。
【0026】ここで、複数の信号追尾回路A1〜ANでの連続的なGPS衛星信号の受信による位置、移動速度、移動方位の計測と、1つの信号追尾回路での時分割追尾による位置、移動速度、移動方位の計測との切替方法について説明する。
【0027】GPS衛星信号の受信による位置計測を行うためには、受信しているそれぞれの衛星の軌道情報を得なければならないが、軌道情報の受信には約30秒必要である。時分割で衛星信号を受信中に軌道情報を得るとするならば、追尾衛星の切替周期は航法メッセージのデータレート50bps(20msec)以下の周期で行わなければならない。位置計測には最低4衛星の信号を受信することが必要なので、そのときの切替周期は5msecとなる。時分割追尾において追尾衛星切替時には搬送波位相のずれが発生するが、搬送波周波数のみの制御では搬送波位相のずれを除去するのに5msec以上かかるので、時分割追尾で複数衛星の軌道情報の同時受信は不可能である。時分割追尾で軌道情報の同時受信を行おうとすると、信号追尾回路は巨大化し、小型のGPS受信装置は実現不可能となる。また、衛星の軌道情報は一度受信すると装置内のメモリに保持され、その後2〜3時間は有効である。
【0028】そこで、上述した不具合を解消するため、装置の動作開始直後は複数の信号追尾回路A1〜ANでそれぞれ別のGPS衛星信号を受信し、軌道情報が受信完了して位置計測が確定した後(測位位置確定後)、ひとつの信号追尾回路で複数のGPS衛星信号の時分割追尾を行い、ほかの信号追尾回路は停止させ、装置の消費電力を低減させる。
【0029】つぎに、GPS受信装置が移動しながらGPS衛星信号の受信、位置計測を行う場合を考える。時分割追尾はGPS衛星信号の間欠受信であるが、GPS衛星の視線速度の変化による受信インターバル中の微少な受信周波数変化を信号受信中に検知し、各信号追尾回路の周波数を制御することを繰り返すことにより、複数のGPS衛星信号の同時受信を実現している。ところが、GPS受信装置自体が急激に移動速度を変化させた場合、GPS衛星信号の受信周波数も急激に変化するが、間欠受信ではその変化に追従することは困難であり、追尾誤差が生じるおそれがある。
【0030】そこで、複数の信号追尾回路A1〜ANで連続的にGPS衛星信号を受信して位置計測を行っているときに、GPS受信装置の移動速度を監視し、所定時間において所定の速度以下のときに1つの信号追尾回路での時分割追尾による位置計測に移行することにより、位置計測誤差の発生を防ぐことができる。
【0031】また、1つの信号追尾回路での時分割追尾による位置計測を行っている場合は受信周波数の変動を監視し、変化周波数が所定周波数以上となったときに、複数の信号追尾回路A1〜ANで連続的にGPS衛星信号を受信しての位置計測に移行する。
【0032】次に、GPS衛星信号の遮断の影響について考える。トンネル内などの遮蔽環境でGPS受信装置のアンテナ1が完全に遮蔽されると、GPS衛星信号の受信継続は不可能になる。そして遮蔽環境から出たら衛星の再捕捉、追尾が必要になる。衛星を捕捉するためにはPNコードの位相の同期を取らなければならず、1チップでも位相同期がずれると信号再生はできない。PNコード1周期は1msecでチップ長は1023チップなので、1チップずつ位相をずらしていって同期を取ると、同期位相を得るのに最大1秒かかる。このことから衛星捕捉時には連続受信が必要であることがわかる。したがって、1つの信号追尾回路での時分割追尾による位置計測中に遮蔽環境に入ってGPS衛星信号が遮断されたら直ちに、複数の信号追尾回路A1〜ANで連続的に衛星信号を受信しての位置計測に移行しなければならない。
【0033】また、ビル影などでの部分的な信号遮断の場合、追尾可能な衛星は1つの信号追尾回路で時分割追尾を行い、遮断された衛星の数n個(n<N−1)だけそのほかの信号追尾回路を動作させ、それぞれ別の衛星の信号を受信することにより消費電力増加を最低限に抑えることができると共に、高精度のGPS衛星追尾を維持することができる。
【0034】以上で説明した信号追尾回路A1〜ANの動作を図2に示す。図2は信号追尾回路A1〜ANの動作変化を示す状態遷移図である。
【0035】図2において、装置の動作開始直後は複数N個の信号追尾回路A1〜ANでそれぞれ別のGPS衛星信号を受信する(S1)。次に、軌道情報が受信完了して位置計測が確定した後(測位位置確定後)であって、かつ矢印AR1で示すように所定時間、所定速度以下で移動している場合は、ひとつの信号追尾回路で複数のGPS衛星信号の時分割追尾を行い、ほかの信号追尾回路は停止させる(S2)。次に、GPS受信装置自体が急激に移動速度を変化させた場合や、トンネル内などの遮蔽環境でアンテナ1が完全に遮蔽されたような場合、GPS衛星信号の受信周波数が急激に変化したり、GPS衛星信号が完全に遮断したりするが、このような状況下では、矢印AR2で示すように、複数の信号追尾回路A1〜ANで連続的にGPS衛星信号を受信して位置計測を行って測位位置を確定する。また、矢印AR3で示すようにビル影などでの部分的な信号遮断の場合、追尾可能な衛星は1つの信号受信回路で時分割追尾を行い、遮断された衛星の数n個(n<N−1)だけそのほかの信号追尾回路を動作させ、それぞれ別の衛星の信号を受信する(S3)。そして、矢印AR4で示すように衛星捕捉が完了(測位位置確定)後はステップ2へ戻る。
【0036】次に、時分割追尾中の搬送波制御について考える。時分割追尾中の受信周波数の変化は小さく、受信インターバル中の変動はほとんどないが、搬送波位相は大きくずれることが考えられる。このずれをフェーズスリップと呼ぶ。本実施の形態によるGPS受信装置の信号追尾回路A1〜ANは受信信号の相関値(振幅値)の搬送波位相との同相[0度]成分(I成分)と直交[90度]成分(Q成分)を制御部5へ出力する。制御部5は、Q/I値から搬送波位相のずれを計算し、Q/I値が最小すなわちI成分が最大となるように、信号追尾回路A1〜ANの周波数制御を行う。これはI成分の正負の符号が航法メッセージのビット符号をあらわしているためである。時分割追尾時にはフェーズスリップが衛星切替の度に発生するので搬送波位相が大きくずれることが多い。このためI成分が最大となるように信号追尾回路A1〜ANの周波数制御を行うと、信号受信中に制御が収束せずに衛星切替が発生し、追尾誤差が生じる恐れがある。時分割追尾時には航法メッセージを再生する必要はないので、I成分、Q成分どちらかが最大になるように周波数制御を行えば信号追尾は可能である。したがって、制御部5は、衛星切替直後のI成分、Q成分の大きさを比較し、どちらか大きな方が最大となるような周波数制御を行うことにより、周波数制御の幅を狭くすることができるので、信号受信中に周波数制御を収束させて追尾誤差が発生するのを防ぐことができ、時分割追尾中の位置計測精度が劣化するのを防ぐことができる。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に記載のGPS受信装置によれば、衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部は、電源投入後測位位置が確定するまでは衛星の追尾を複数の信号追尾回路で行って位置を計測させ、測位位置確定後は複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させ、選択されない信号追尾回路は停止させることにより、測位位置確定後は1つの信号追尾回路で複数の衛星を追尾し、選択されない信号追尾回路は停止させることができるので、電力消費を低減することができると共に高精度な衛星追尾を維持することができるという有利な効果が得られる。
【0038】請求項2に記載のGPS受信装置によれば、衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部は、電源投入後測位位置が確定するまでは衛星の追尾を複数の信号追尾回路で行って位置を計測させ、測位位置確定後、所定の時間所定の速度以下で移動した場合には複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させ、選択されない信号追尾回路は停止させることにより、比較的低速で移動する期間内であれば、1つの信号追尾回路で複数の衛星を追尾し、選択されない信号追尾回路は停止させることができるので、電力消費を低減することができると共に高精度な衛星追尾を維持することができるという有利な効果が得られる。
【0039】請求項3に記載のGPS受信装置によれば、衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部は、複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させている場合に、急峻な受信周波数の変化を検知したら、複数の信号追尾回路での衛星追尾による位置計測に切りかえることにより、急峻な受信周波数の変化を検知した場合、すなわち移動速度の急峻な変化を検知した場合、複数の信号追尾回路での衛星追尾による位置計測に切りかえるようにしたので、電力消費は一時的には増加するものの、高精度な衛星追尾を維持することができるという有利な効果が得られる。
【0040】請求項4に記載のGPS受信装置によれば、衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部は、複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させている場合に、遮蔽によるすべての衛星の信号遮断を検知したら、複数の信号追尾回路での衛星追尾による位置計測に切りかえることにより、遮蔽によるすべての衛星の信号遮断を検知した場合、複数の信号追尾回路での衛星追尾による位置計測に切りかえるようにしたので、電力消費は一時的には増加するものの、高精度な衛星追尾を維持することができるという有利な効果が得られる。
【0041】請求項5に記載のGPS受信装置によれば、衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部は、複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させている場合に、遮蔽による部分的な衛星の信号遮断を検知したら、遮蔽された衛星のみを複数の信号追尾回路で連続的に受信させ、遮蔽されていない衛星は選択された1つの信号追尾回路で時分割による追尾を行わせて位置を計測させることにより、遮蔽による部分的な衛星の信号遮断を検知した場合、遮蔽された衛星のみを複数の信号追尾回路で連続的に受信するようにしたので、電力消費は幾分増加するものの、高精度な衛星追尾を維持することができるという有利な効果が得られる。
【0042】請求項6に記載のGPS受信装置によれば、衛星を追尾するための複数の信号追尾回路と、全体を制御する制御部とを有し、位置、移動速度、移動方位を計測するGPS受信装置であって、制御部は、複数の信号追尾回路のうち選択された1つの信号追尾回路で複数の衛星の追尾を時分割で行って位置を計測させている場合に、追尾衛星の切替時に追尾信号相関値の同相成分と直交成分との大小関係よりキャリア周波数の位相制御方向を決定することにより、追尾信号相関値の同相成分と直交成分とのうち大きな方を最大とするような周波数制御を行うことができるので、周波数制御において容易に収束状態に達することができるという有利な効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成11年6月29日(1999.6.29)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2001−13235(P2001−13235A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−182868