| 【発明の名称】 |
磁気計測装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐保 典英
【氏名】田中 弘之
【氏名】神鳥 明彦
【氏名】笹渕 仁
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| 【要約】 |
【課題】ピックアップコイルの上部に設置されたリファレンスコイルが液体ヘリウムから露出しても、リファレンスコイルの超電導状態を維持する。
【解決手段】ピックアップコイルの測定値からリファレンスコイルの測定値を差し引き磁気雑音を除去するもので、リファレンスコイル7はピックアップコイル6の上部に離して設置される。リファレンスコイルの周りは断熱材16で覆われ、リファレンスコイルは熱伝導体18を介して下部の液体ヘリウム2で冷却される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】冷媒を充填された内容器と、その内容器を囲むように設置され且つ前記内容器との間に断熱用の空隙を形成する外容器と、被検体が発する微弱磁気を検出するために前記内容器の内部に設けられピックアップコイルと、環境の磁気雑音を測定するために前記内容器の内部に設けられたリファレンスコイルとを備え、前記ピックアップコイルが拾う環境の磁気雑音を、前記リファレンスコイルの出力に基づいて取り除くように構成した磁気計測装置において、少なくとも計測時に、前記冷媒の液面下に前記ピックアップコイルが位置する構成とし、このピックアップコイルの上方に前記リファレンスコイルを設置し、かつ前記リファレンスコイルを囲むように配置された断熱手段と、前記リファレンスコイルと直接もしくは間接的に熱的に一体化され、計測時に少なくとも一部が前記冷媒の液面に接するように配置された熱伝導手段とを備えていることを特徴とする磁気計測装置。 【請求項2】冷媒を充填された内容器と、断熱用の空隙を形成して前記内容器を囲むように設置された外容器と、前記内容器内に設けられ被検体が発する磁気を検出するものであって、少なくとも計測時に、前記冷媒の液面下に位置する構成としたピックアップコイルと、環境の磁気雑音を測定するためのものであって、前記ピックアップコイルの上方の前記内容器内に設けられたリファレンスコイルと、前記リファレンスコイルを囲むように配置された断熱材と、前記リファレンスコイルと熱的に一体化され、計測時に少なくとも一部が前記冷媒の液面に接するように配置された熱伝導体とを備え、前記ピックアップコイルが拾う環境の磁気雑音を、前記リファレンスコイルの出力に基づいて取り除くように構成したことを特徴とする磁気計測装置。 【請求項3】請求項2において、前記リファレンスコイルは複数設けられ、前記断熱材はこれらリファレンスコイル群の周りを覆うように配置されていることを特徴とする磁気計測装置。 【請求項4】液冷媒を収容する内容器と、空隙を介して前記内容器を囲むように設置された外容器と、前記内容器内に設けられ、少なくとも計測時には前記液冷媒中に位置させて被検体が発する磁気を検出するピックアップコイルと、該ピックアップコイル上方の前記内容器内に設けられ、磁気雑音を検出するためのリファレンスコイルと、該リファレンスコイルと直接または間接的に熱的に一体化され、計測時に少なくとも一部が前記液冷媒に接するように配置された熱伝導体とを備えたことを特徴とする磁気計測装置。 【請求項5】液冷媒を収容する内容器と、空隙を介して前記内容器を囲むように設置された外容器と、前記内容器内に設けられ、少なくとも計測時には前記液冷媒中に位置させて被検体が発する磁気を計測するピックアップコイルと、該ピックアップコイル上方の前記内容器内に設けられ、磁気雑音を計測するためのリファレンスコイルと、該リファレンスコイルの周囲に設けられ、前記計測時に少なくとも一部が前記液冷媒に接するように構成された熱伝導体とを備えたことを特徴とする磁気計測装置。 【請求項6】請求項2〜5の何れかにおいて、前記熱伝導体は、短冊状の銅板または小径のエナメル被覆銅線で構成されていることを特徴とする磁気計測装置。 【請求項7】液冷媒を収容する内容器と、空隙を介して前記内容器を囲むように設置された外容器と、前記内容器内に設けられ、少なくとも計測時には前記液冷媒中に位置させて被検体が発する磁気を計測する超電導材料で構成されたピックアップコイルと、該ピックアップコイル上方の前記内容器内に設けられ、ピックアップコイルに要求されるの超電導温度より高い温度で超電導状態を維持できる超電導材料で構成され、磁気雑音を計測するためのリファレンスコイルとを備え、前記リファレンスコイルは前記外容器内または内容器内で該リファレンスコイルに要求される超電導温度以下となる部位に配置されていることを特徴とする磁気計測装置。 【請求項8】請求項7において、前記ピックアップコイルは7K以下の臨界温度で超電導状態となるSQUID素子であり、前記リファレンスコイルは90K以下の高臨界温度で超電導状態となる材料で構成されていることを特徴とする磁気計測装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は磁気計測装置に関し、特にSQUID(Superconducting Quantum Interference Device:超電導量子干渉素子)を利用し、生体等から発生する微少磁界の測定に用いるのに好適な高感度磁気計測装置に関する。特に、本発明は、マルチチャネル生体磁気計測装置において、ピックアップコイルが検出する生体磁気信号に、環境の磁気雑音が混入して磁気計測装置の感度を悪化させるのを防止するものである。このため、環境の磁気雑音を測定するリファレンスコイルを用い、ピックアップコイルが拾う環境の磁気雑音を、リファレンスコイルの出力に基づいて取り除くようにした磁気計測装置に好適なものである。 【0002】 【従来の技術】近年、生体等から発生する微少磁界の測定に、SQUIDを利用した高感度な磁気計測装置が用いられている。 SQUID磁気計測装置は、脳や心臓から発生する微弱な生体磁界を計測することができ、生体磁界の分布を知ることができれば磁界を発生させている電流源の推定が可能となるので、 SQUID磁気計測装置は、脳機能や心機能の診断、解明を行う医療機器として注目されている。 【0003】生体磁気を計測する場合、生体磁気は非常に微弱なため、環境の磁気雑音に埋もれている。そこで、環境の磁気雑音を測定するリファレンスコイルを用意し、ピックアップコイルの測定値からリファレンスコイルの測定値を差し引くという雑音除去の手法が特開平5−297087号公報に記載されている。この従来例において、リファレンスコイルは、ピックアップコイルの上部の生体磁気源から離れた位置に設けられている。 【0004】リファレンスコイルは生体磁気計測を測定するピックアップコイルと異なり、環境の磁気雑音のみを計測しなければならない。リファレンスコイルに生体磁気が入り込むと、ピックアップコイル6の測定値からリファレンスコイル7の測定値を差し引く場合、実際の生体磁気を精度よく計測できない。このため、リファレンスコイルは、生体磁気源及びピックアップコイルから遠く離れた位置に配置される必要がある。しかし、リファレンスコイルは、液体ヘリウム等で超電導状態を維持できる温度に冷却される必要があるため、ピックアップコイルを収納する容器の上部で液体ヘリウムの液面に近い位置に設置することが考えられている。 【0005】マルチチャネル生体磁気計測装置を長時間使用する場合、ピックアップコイルを収納した容器内の液体ヘリウムは外部からの浸入熱で蒸発し、液面は徐々に低下する。液面が低下すると容器上部の蒸気層の温度は外部からの熱浸入で温度が上昇し、容器上部に配置したリファレンスコイルの温度が蒸気層で加温されてリファレンスコイルを超電導状態に維持できなくなり、リファレンスコイルとして機能しなくなる。したがって、リファレンスコイルが液体ヘリウムの液面上に露出しないように絶えず液体ヘリウムを補給しなければならず、その補給作業が煩雑となり、さらに補給作業時に、補給管の熱や容器内への加温ガスの流入等により、高価な液体ヘリウムが損失し、磁気計測装置の運転コストが増加する。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ピックアップコイルの上部にリファレンスコイルを離して設置可能にし、ピックアップコイルの測定値から磁気雑音を除去できるようにした磁気計測装置を得ることにある。 【0007】本発明の他の目的は、リファレンスコイルが液体ヘリウム液面から露出してもリファレンスコイルの超電導状態を維持することができるようにすることにある。 【0008】本発明の更に他の目的は、液体ヘリウム液面からリファレンスコイルが露出しても、リファレンスコイルを、超電導状態が維持できる臨界温度以下に冷却することができる磁気計測装置を得ることにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の第1の特徴は、冷媒を充填された内容器と、その内容器を囲むように設置され且つ前記内容器との間に断熱用の空隙を形成する外容器と、被検体が発する微弱磁気を検出するために前記内容器の内部に設けられピックアップコイルと、環境の磁気雑音を測定するために前記内容器の内部に設けられたリファレンスコイルとを備え、前記ピックアップコイルが拾う環境の磁気雑音を、前記リファレンスコイルの出力に基づいて取り除くように構成した磁気計測装置において、少なくとも計測時に、前記冷媒の液面下に前記ピックアップコイルが位置する構成とし、このピックアップコイルの上方に前記リファレンスコイルを設置し、且つ前記リファレンスコイルを囲むように配置された断熱手段と、前記リファレンスコイルと直接もしくは間接的に熱的に一体化され、計測時に少なくとも一部が前記冷媒の液面に接するように配置された熱伝導手段とを備えていることにある。 【0010】本発明の第2の特徴は、冷媒を充填された内容器と、断熱用の空隙を形成して前記内容器を囲むように設置された外容器と、前記内容器内に設けられ被検体が発する磁気を検出するものであって、少なくとも計測時に、前記冷媒の液面下に位置する構成としたピックアップコイルと、環境の磁気雑音を測定するためのものであって、前記ピックアップコイルの上方の前記内容器内に設けられたリファレンスコイルと、前記リファレンスコイルを囲むように配置された断熱材と、前記リファレンスコイルと熱的に一体化され、計測時に少なくとも一部が前記冷媒の液面に接するように配置された熱伝導体とを備え、前記ピックアップコイルが拾う環境の磁気雑音を、前記リファレンスコイルの出力に基づいて取り除くように構成した磁気計測装置にある。 【0011】ここで、前記リファレンスコイルを複数設ける場合には、前記断熱材は、各リファレンスコイルのそれぞれに対して設けても、或いはこれらリファレンスコイル群の周りを覆うように一つ配置するようにしても良い。 【0012】本発明の第3の特徴は、液冷媒を収容する内容器と、空隙を介して前記内容器を囲むように設置された外容器と、前記内容器内に設けられ、少なくとも計測時には前記液冷媒中に位置させて被検体が発する磁気を検出するピックアップコイルと、該ピックアップコイル上方の前記内容器内に設けられ、磁気雑音を検出するためのリファレンスコイルと、該リファレンスコイルと直接または間接的に熱的に一体化され、計測時に少なくとも一部が前記液冷媒に接するように配置された熱伝導体とを備えた磁気計測装置にある。 【0013】本発明の第4の特徴は、液冷媒を収容する内容器と、空隙を介して前記内容器を囲むように設置された外容器と、前記内容器内に設けられ、少なくとも計測時には前記液冷媒中に位置させて被検体が発する磁気を計測するピックアップコイルと、該ピックアップコイル上方の前記内容器内に設けられ、磁気雑音を計測するためのリファレンスコイルと、該リファレンスコイルの周囲に設けられ、前記計測時に少なくとも一部が前記液冷媒に接するように構成された熱伝導体とを備えた磁気計測装置にある。 【0014】なお、上記熱伝導体は、短冊状の銅板または小径のエナメル被覆銅線で構成すると良い。 【0015】本発明の第5の特徴は、液冷媒を収容する内容器と、空隙を介して前記内容器を囲むように設置された外容器と、前記内容器内に設けられ、少なくとも計測時には前記液冷媒中に位置させて被検体が発する磁気を計測する超電導材料で構成されたピックアップコイルと、該ピックアップコイル上方の前記内容器内に設けられ、ピックアップコイルに要求されるの超電導温度より高い温度で超電導状態を維持できる超電導材料で構成され、磁気雑音を計測するためのリファレンスコイルとを備え、前記リファレンスコイルは前記外容器内または内容器内で該リファレンスコイルに要求される超電導温度以下となる部位に配置されている磁気計測装置にある。 【0016】ここで、前記ピックアップコイルは7K以下の臨界温度で超電導状態となるSQUID素子であり、前記リファレンスコイルは90K以下の高臨界温度で超電導状態となる材料で構成するとより好適である。 【0017】 【発明の実施の形態】現在考えられているSQUIDを使用した磁気計測装置を図5に示す。図において、磁気計測装置1は、ヘリウムなどの液冷媒2を充填された内容器3、この内容器3との間に断熱用の空隙4を形成して該内容器3を囲むように設置された外容器5、前記内容器3の内部に設けられ被検体が発する微弱磁気を検出するピックアップコイル6、前記内容器3の内部に設けられ環境の磁気雑音を測定するためのリファレンスコイル7、前記ピックアップコイル6が拾う環境の磁気雑音を前記リファレンスコイル7の出力に基づいて取り除く処理をするデータ処理装置8等で構成されている。 【0018】また、内容器3を囲むように設置され常温部からの輻射熱を吸収し、内容器3への輻射熱の浸入を防止する熱シールド板9が設置されており、この熱シールド板9は内容器3の上部の低温部分にフランジ10を介して熱的に一体化され、温度約70K以下に冷却されている。熱シールド板9には積層断熱材(図示せず)が巻き付けられている。一方、内容器3の上部の空間には、ポリウレタン等の円盤状の発泡断熱材を積層して構成したインサート11が配置され、上部常温部からの熱浸入が防止される。冷媒2は冷媒移送管12から補給され、冷媒2の蒸発ガスは内容器3の内面及びインサート11の外面を冷却しながら加温され排気口13から大気に放出される。インサート11、冷媒移送管12、排気口13はフランジ14で支持される。ピックアップコイル6及びリファレンスコイル7と、データ処理装置8とは計測線15で接続されている。 【0019】ピックアップコイル6とリファレンスコイル7は、液体ヘリウムや液体窒素等の冷媒2により、超電導性を発生する極低温状態、すなわち超電導状態を維持できる温度に冷却される。また、効率の良い生体磁気の計測や精度の高い電流源推定を行うために、ピックアップコイル6はマルチチャンネル化され、生体内の広い領域に係る磁界の分布を計測するようにしている。生体磁気は非常に微弱なため、環境の磁気雑音に埋もれており、生体磁気を計測することは難しい。そこで、環境の磁気雑音を測定するリファレンスコイル7を用い、ピックアップコイル6の測定値からリファレンスコイル7の測定値を差し引くという雑音除去の手法が取られている。リファレンスコイル7は生体磁気源から離れたピックアップコイル6の上部に配置されている。 【0020】本発明は、リファレンスコイルの周りを断熱材で覆うと共に、リファレンスコイルと直接もしくは間接的に熱的に一体化され計測時に少なくとも一部が前記冷媒(例えば液体ヘリウム)の液面に接するように配置された熱伝導体を設け、この熱伝導体を介してリファレンスコイルを下部の液冷媒で冷却するようにしたものである。これにより、ピックアップコイルの上方に離して設置したリファレンスコイルが露出しても、リファレンスコイルを超電導状態を維持しうる温度に冷却できる。したがって、ピックアップコイルの測定値からリファレンスコイルの測定値を差し引き磁気雑音を除去した高精度の磁気計測値を得ることができる。 【0021】さらに、本発明では、リファレンスコイルが液冷媒面から露出してもリファレンスコイルの超電導状態を維持できるから、液冷媒の補給周期を延ばすことができ、液冷媒補給時の液体ヘリウム等の液冷媒の損失を低減できる。したがって、本発明の磁気計測装置によれば、運転コストを低減することが可能となる。 【0022】以下、本発明の具体的実施例を図1〜図4に基づき説明する。なお、図5と同一または相当する部分には同一符号を使用している。 【0023】図において、6はピックアップコイルで、温度約7K以下の臨界温度(例えば、大気圧の液体ヘリウム温度の4.2K)で超電導状態となるNbTi等 の材料で構成されたSQUID素子、或いは温度約90K以下の高臨界温度(例えば、大気圧の液体窒素温度の77K)で超電導状態となるYBa2Cu3O7等 の材料で構成されている。2はこれらSQUID素子(ピックアップコイル6)の冷却媒体で、液体ヘリウムや液体窒素が一般に使用され、内容器3内に封入されている。5は内容器3を包囲するとともに内容器3との間に断熱空間4を形成するように設けられた外容器である。内容器3の内部はフランジ14で外部空気と遮断されている。15は、ピックアップコイル6からの計測電流をSQUID素子格納用極低温容器100の外部に導く計測用導線である。内容器3と外容器5は測定磁束による渦電流の発生を防止するため、非電導体の例えばガラスエポキシ樹脂等の非磁性材料で製作される。計測用導線15は外部のデ−タ処理装置8と接続され、計測値から磁束分布や発生電流分布等を計算し、画像化処理等を行う。 【0024】ノイズとなる渦電流が、外容器5からの磁場変動によって発生するのを低減するために、図4に示すように、短冊状の銅板9aや小径のエナメル被覆銅線9bで構成された熱シールド板9が、内容器3の極低温部を包囲ように、断熱空間4に設けられている。また、外容器5からの輻射熱の侵入を防止するため、熱シールド板9の外部にはアルミニュウム蒸着マイラー等の積層断熱材(図示せず)が巻き付けられている。 【0025】ピックアップコイル6は、図2に示すように、超電導線を例えばプラスチック製のコイルボビン20にループ状に上下にそれぞれ逆方向巻きにして構成する。下端部側の入力ループ21により、被検体が発する磁気及び入力ループ21に入る外部磁気(この外部磁気は被検体99が発する磁気と大きさがほぼ同じ程度)を計測し、逆巻きにされた上部側のキャンセルループ22で入力ループ21に入る前記外部磁気とほぼ同じベクトル値を有する外部磁気を計測する。入力ループ21とキャンセルループ22を直列に構成することによって、その差分すなわち被検体が発する磁気を超電導ループ23で測定する。超電導ループ23は、微弱な磁気変化を出力電圧の大きな変化に変換するトランデューサとして動作するジョセフソン接合を含む。 【0026】リファレンスコイル7は、図3,図4に示すように、入力ループ24をコイルボビン25にループ状に巻き付けて構成され、入力ループ24で外界の磁気をシールドする例えばパーマロイ製の磁気シールド体を貫通して磁気シールド体内に浸入した外部磁気を超電導ループ23で測定する。一般に、磁気シールド体内に浸入した外部磁気は被検体が発する磁気より比較的大きい。 【0027】リファレンスコイル7の周りは、ポリウレタン等の発泡材、気泡入りエポキシ樹脂、セラミック或いはプラスチック等で構成された断熱材16で覆われている。また、リファレンスコイル7の周りは、磁場変動で生じてノイズとなる渦電流の発生し難い短冊状の銅板9aや小径のエナメル被覆銅線9bで構成された熱伝導体18で覆われ、この熱伝導体18は下部まで延長され、この熱伝導体18下部を液体ヘリウム2に浸すように構成されている(図1参照)。また、断熱材16の内側には、図3に示すように、ワックス,蝋,エポキシ樹脂或いはグリースのような非磁性の伝熱媒体26が封入され、リファレンスコイル7と熱伝導体18とが熱的に一体化されるようにしている。 【0028】マルチチャネルの磁気計測装置を長時間使用する場合、ピックアップコイル6を収納した内容器3内の液体ヘリウム2は外部からの熱浸入で蒸発し、液面は徐々に低下する。液面が低下すると内容器3上部の蒸気層温度は外部からの熱浸入で温度が上昇し20K程度まで上昇する。このため、内容器3の上部に配置したリファレンスコイル7の温度が蒸気層で加温され、リファレンスコイル7の超電導性が壊れ、リファレンスコイル7として使用できなくなる。しかし、本実施例では、図1に示すように、液体ヘリウム2の液面が低下した場合でも、断熱材16により、温度が約20Kの周りの蒸発ガスからリファレンスコイル7が加熱されるのを防止される。熱伝導体18の下部は液体ヘリウム2の液面下に漬かっているため、熱伝導体18を介して伝熱媒体26が冷却され、伝熱媒体26でリファレンスコイル7全体を均一に超電導温度以下に冷却することができる。本実施例によれば、ピックアップコイル6の上部に離して設置したリファレンスコイル7が液体ヘリウム液面上に露出しても、リファレンスコイル7を超電導温度に冷却し、ピックアップコイル6の測定値からリファレンスコイル7の測定値を差し引いて磁気雑音を除去し、これにより磁気計測値の精度を向上することができる。 【0029】さらに、本実施例によれば、液体ヘリウムの補給周期を延ばすことができるので、液体ヘリウム補給時の液体ヘリウム損失を減らすことができ、磁気計測装置の運転コストを低減することが可能である。なお、本実施例では、熱伝導体9a,9b(18)を断熱材16の内周部に配置した場合について説明したが、断熱材16の外周部に配置しても同様な効果を得ることができる。 【0030】本発明の他の例を図6示す。この例では、リファレンスコイル7の周りは、ポリウレタン等の発泡材、気泡入りエポキシ樹脂、セラミック或いはプラスチック等で製作された断熱材16で覆われている。また、プラスチック製のコイルボビン25の内部には、上端部を熱的に一体化した、短冊状の銅板や小径のエナメル被覆銅線で構成された熱伝導体18が配置され、その熱伝導体18は下部に伸ばされ、液体ヘリウム2に浸すように構成されている。また、断熱材16内にはワックス、蝋、エポキシ樹脂或いはグリースのような非磁性の伝熱媒体を封入し、リファレンスコイル7と熱伝導体18を熱的に一体化するようにしても良い。この例によれば、液体ヘリウム2の液面が低下した場合でも、温度が約20Kの周りの蒸発ガスからリファレンスコイル7が加熱されることを断熱材16により防止し、熱伝導体18が液体ヘリウム2の液面下に漬かっているため、熱伝導体18でリファレンスコイル7を直接冷却できる。したがって、リファレンスコイル7の全体を均一に超電導温度以下に冷却することができ、図1の実施例と同様な効果が得られる。 【0031】本発明の更に他の例を図7示す。この例では、リファレンスコイル7群の周りの上部及び側部全体が、ポリウレタン等の発泡材、気泡入りエポキシ樹脂、セラミック或いはプラスチック等で製作された断熱材27で覆われている。プラスチック製のコイルボビン内部には、上端部を熱的に一体化した短冊状の銅板や小径のエナメル被覆銅線で構成された熱伝導体18が配置され、その熱伝導体18を下部に伸ばして液体ヘリウム2に浸すようにしている。また、リファレンスコイル7の周囲は、ワックス、蝋、エポキシ樹脂或いはグリースのような非磁性の伝熱媒体19で囲まれ、ファレンスコイル7と熱伝導体18とは伝熱媒体19を介して熱的に一体化されている。このようにすることにより、液体ヘリウム2の液面が低下した場合でも、断熱材27により、その外部の蒸発ガスの気層部からリファレンスコイル7が加熱されるのを防止でき、熱伝導体18は液体ヘリウム2の液面下に漬かっているため、熱伝導体18でリファレンスコイル7を直接冷却して、リファレンスコイル7群の全体を超電導温度以下に均一に冷却することができる。なお、リファレンスコイル7群の上部のみを断熱材27で覆うようにしても同程度の効果が得られる。 【0032】本発明の更に他の例を図8示す。この例では、上記各例とは異なり、断熱材を使用せずにリファレンスコイル7群を冷却できるようにしたものである。この例では図に示すように、リファレンスコイル7群の周りに短冊状の銅板や小径のエナメル被覆銅線で構成した熱伝導体18群を下部に伸ばして配置し、熱伝導体18群の下部を液体ヘリウム2に浸すようにしたものである。このように構成することにより、液体ヘリウム2の液面が下部にある場合でも、リファレンスコイル7群の周りの蒸発ガスの温度を超電導温度以下に維持することができ、リファレンスコイル7群の温度を約5Kに維持できる。この構造では、定常時の液体ヘリウムの蒸発量は若干増すが、液体ヘリウムの補給周期がわずかに短くなるだけである。したがって、従来に比べ液体ヘリウムの補給周期を延ばすことができ、液体ヘリウム補給時の液体ヘリウムの損失を減らすことができる。 【0033】本発明の更に他の例を図9示す。この例も、断熱材を使用せずにリファレンスコイル28群を冷却できるものである。図に示すように、液体ヘリウム2の液面が下部にある場合、液体ヘリウム2の液面から離れたリファレンスコイル28群の周りの蒸発ガスの温度は20K程度となっている。そこで、この例ではリファレンスコイル28を、温度約90K以下の高臨界温度(例えば、大気圧の液体窒素温度の77K)で超電導状態となるYBa2Cu3O7等 の材料で構成し、超電導状態を維持できるようにしたものである。本例によれば、液体ヘリウム2の液面が低下しても、高温超電導材料で構成されたリファレンスコイル28群の使用により、超電導状態に維持することが可能になる。なお、リファレンスコイル28群を高温超電導材料で構成することにより、上方のインサート材11中の温度が約77Kの部位に設置することも可能になり、生体磁場源からリファレンスコイル29群をより離すことができるから、生体磁場の計測精度を更に向上できる。また、温度約70K以下に冷却された熱シールド板9にリファレンスコイル30を熱的に一体化して取り付けることにより、より広範囲の外部磁場ノイズを計測することも可能になる。 【0034】 【発明の効果】本発明によれば、ピックアップコイルの上部にリファレンスコイルを設けているので、ピックアップコイルの測定値から磁気雑音を除去でき、生体磁気計測値の精度を向上することができる。 【0035】また、ピックアップコイルの上部に離してリファレンスコイルを設置でき、リファレンスコイルが液体ヘリウムの液面から露出しても、その超電導状態を維持することが可能となる。したがって、液体ヘリウムの補給周期を延ばすことができ、液体ヘリウムの補給時の液体ヘリウム損失を低減できるから、運転コストの低減が図れる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成12年1月11日(2000.1.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075096 【弁理士】 【氏名又は名称】作田 康夫
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| 【公開番号】 |
特開2001−194437(P2001−194437A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−6056(P2000−6056) |
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