| 【発明の名称】 |
ガス絶縁機器の耐電圧試験装置および方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】吉田 哲雄
【氏名】吉岡 寛司
|
| 【要約】 |
【課題】従来の装置は耐電圧試験においてSF6ガスを使用するため大気に放出することができない。
【解決手段】本発明は、SF6ガスと同程度の絶縁耐力を得るため空気を加圧、乾燥させて絶縁部品の耐電圧試験を行う。試験終了後、空気なので回収する必要がなく大気に放出することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】空気を少なくとも0.35MPaに加圧する加圧手段と、空気の相対湿度を90%RH以下にする湿度制御手段と、供試の絶縁部品に電圧を印加する電圧印加手段とを具備したことを特徴とするガス絶縁機器の耐電圧試験装置。 【請求項2】前記電圧印加手段における電界を調整する電界調整手段を具備したことを特徴とする請求項1記載のガス絶縁機器の耐電圧試験装置。 【請求項3】加圧手段により空気を少なくとも0.35MPaに加圧する第1の工程と、加圧した空気を湿度制御手段を介して相対湿度を90%RH以下に乾燥させる第2の工程と、乾燥させ加圧した空気を絶縁部品が収納された密閉箱体内に封入する第3の工程と、電圧印加手段により絶縁部品に電圧を印加して耐電圧試験を行う第4の工程と、試験終了後加圧した空気を大気に放出する第5の工程とからなるガス絶縁機器の耐電圧試験方法。 【請求項4】前記密封箱体内に収納された絶縁部品の定格ガス圧力を0.20MPa以下とすることを特徴とする請求項3記載のガス絶縁機器の耐電圧試験方法。 【請求項5】前記第4の工程において、前記絶縁部品の電極に取り付けられた電界調整手段で電界を調整して耐電圧試験を行うことを特徴とする請求項3または請求項4記載のガス絶縁機器の耐電圧試験方法。 【請求項6】前記電界調整手段により特異点が生じるように調整して、少なくとも破壊電圧試験を行うことを特徴とする請求項5記載のガス絶縁機器の耐電圧試験方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はガス絶縁機器の絶縁部品の絶縁特性を検証するガス絶縁機器の耐電圧試験装置及び方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ガス絶縁機器には、例えば、SF6ガスを略大気圧で封入したガス絶縁スイッチギヤ(C−GIS)などがあり、高い信頼性と大幅な縮小化が計られ数多くの変電所で使用されている。これは、SF6ガスの高い絶縁耐力と、無毒、無臭の不活性ガスにより達成されるものである。このガス絶縁機器の主絶縁には、例えばエポキシ樹脂からなる絶縁物が用いられているが、機器内に組み込む前には部分放電特性や破壊電圧特性などの絶縁特性を調べることがある。これは、初期不良の選別を目的として行われるものである。一般的な試験装置を図9に示す。1は試験用のタンク、4は試験電圧を印加するブッシング、5は圧力計、6はタンク内が規定以上に加圧された場合の放圧弁、7は開閉用バルブ、19は真空ポンプ、20はSF6ガスボンベである。タンク1に図示しない供試の絶縁部品をセットして真空ポンプ19で真空引き後、 SF6ガスをSF6ガスボンベ20より供給して部分放電試験や破壊電圧試験などを行う。試験終了後には、真空ポンプ19から図示していない水分除去装置などを介して、不純物が除去されたSF6ガスを回収して再利用がされている。 【0003】これにより、ガス絶縁機器の定格ガス圧力に合わせてタンク1内にSF6ガスを加圧封入して絶縁物の絶縁特性が求められていた。例えば、C−GISでは、0.13MPa(絶対値、以下同様に表示)まで封入していた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】このような構成において、絶縁的に信頼性の高いガス絶縁機器が達成されてきた。ガス絶縁機器本体では、約30年のメンテナンスフリーから内部を点検するためのSF6ガス開放に伴う回収はごく希であり万全の対応をしている。しかしながら、絶縁部品の耐電圧試験では、数種類の絶縁部品を連続で検証するため、一日で数回という多頻度でSF6ガスの回収が必要となる。ここで、 SF6ガスは、地球温暖化防止京都会議(1997年12月)で温暖化に寄与するガスとされ、温暖化の効果が炭酸ガスの23000倍であり、大気に漏らしたり放出させることが規制された。このため、回収に伴う作業では、設備のなどの取り扱いに細心の注意を払い、管理された工程の手順が決められている。この回収作業を一日で数回という多頻度で行うことは高度な作業が必要で困難性があった。これらのことから、 SF6ガスを使用しなければ前述の対応は不要となるが、SF6ガスに優る絶縁媒体がないのが現状であった。本発明は大気に放出することのできる乾燥空気を用いてSF6ガスと同程度の絶縁耐力を得て、絶縁部品の耐電圧試験を行う耐電圧試験装置を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明においては、SF6ガスと同程度の絶縁耐力を得るために空気を少なくとも0.35MPaに加圧し、かつ空気の相対湿度を90%RH以下とし、供試の絶縁部品に電圧を印加して耐電圧試験をするガス絶縁機器の耐電圧試験装置を提供する。SF6ガスの代わりに空気を用いてSF6ガスと同程度の絶縁耐力を得られるのでガス回収の必要がなく装置を簡単にできる。そのうえ空気なので調達コストがかからない。 【0006】 【発明の実施の形態】以下本発明によるガス絶縁機器の絶縁部品における試験装置および方法の実施形態を図面を参照して説明する。なお、従来方法と同一の構成においては同一符号を記した。図1に耐電圧試験装置を示す。1はタンク、2はコンプレッサ、3は湿度制御装置、4はブッシング、5は圧力計、6は放圧弁、7はバルブである。タンク1内には、図示していない絶縁部品をセットし、コンプレッサ2から湿度制御装置3を介して乾燥空気が封入される。湿度制御装置3は、フィルタやシリカゲルなどでコンプレッサ2から送られてくる空気の水分や塵埃などの不純物を除去する。出口には湿度センサーがあり、水分除去が不十分な時にはフィードバックがかかりコンプレッサ2からの風量を少なくするなどして湿度を制御する。ブッシング4は電圧印加用のものである。圧力計5で圧力を測り、タンク1内が規定以上に加圧された場合には放圧弁6で放圧する。バルブ7を開閉させて空気の封入、放出を行う。このような構成において、66/77kVクラスのガス絶縁スイッチギヤに一般的に用いられる支持がいしを供試して、圧力と破壊電圧との特性を図2に示す。特性曲線(a)は乾燥空気で、特性曲線(b)はSF6ガスである。図2からSF6ガスの0.1MPaと同程度の破壊電圧を得るための乾燥空気の圧力は0.35MPaとなる。このことから、66/77kVクラスの耐電圧が160kVであることから、乾燥空気を0.35MPaまで加圧すれば耐電圧試験が行えることになる。 【0007】つまり、耐電圧試験にSF6ガスにかわって加圧した空気を使用すれば、試験終了後には大気に放出することができる。このため、SF6ガスの取り扱いが皆無となり、耐電圧試験が容易となり、環境に適した試験方法となる。ここで、SF6ガスを0.2MPa以下で封入したガス絶縁スイッチギヤ(C−GIS)では、大気で耐電圧を保証している場合が多いので、乾燥空気の圧力は0.35MPaでよい。なお、保証ガス圧力が大気圧より加圧されたものについては、比例させて乾燥空気の圧力を増せばいい。また、上述の電圧表記はAC電圧であるが、インパルス電圧においても同様である。次に、加圧した空気はコンプレッサなどで容易に作ることができるが、不純物が混入しやすい。不純物の影響を調べたものがないため、実験的に加圧した空気の耐電圧特性を調べた。図3に実験に用いた電極形状を示す。電極は球電極8と平板電極9からなり準平等電界を形成し、C−GISに用いられる代表的な電極構成としている。この電極を用いて、空気の圧力を0.4MPaと一定にして、湿度と破壊電圧との絶縁特性を図4に示す。図4からこの実験に用いた電極形状では、破壊電圧は湿度の変化に影響されないことがわかった。 【0008】また、図5も実験に用いた電極形状を示す。上下の電極10―1、10―2に絶縁物11を挟んだ構成である。絶縁物11には、上下に埋め込み電極12―1、12―2を設けている。このような電極構成により絶縁物11の沿面が準平等電界に制御でき、沿面の絶縁特性の実験を行うことができる。このような電界分布はC−GISの代表的な構成である。この電極構成を用いて、空気の圧力を0.4MPaと一定にして、湿度と破壊電圧との絶縁特性を図6に示す。図6から破壊電圧は、相対湿度90%RH以上(絶対湿度10g/m3以上)から急激に低下することが分かる。これは、沿面付近に湿度が多くなると、電界分布が乱されて破壊電圧が低下すると考えられる。これよりこの実験に用いた電極形状においては、タンク1に封入する空気を相対湿度90%RH以下の乾燥空気にしなければならない。なおこの実験は、周囲の温度12℃で行なっており、気温が低下すれば飽和水蒸気圧が下がるので、その気温に合わせて相対湿度が90%RH以下になるようにしなければならない。なお、SF6ガス0.1MPaと同程度の破壊電圧を得るため圧力0.35MPa、相対湿度90%RH以下とした乾燥空気をSF6ガスにかわって使用することは、ガス絶縁部品の耐電圧試験の時だけでなく、ガス絶縁スイッチギヤ(C−GIS)の絶縁そのものにも適用できる。 【0009】次に、絶縁部品の耐電圧試験の場合は電界緩和リングを取り付けて行うので、このリングに相当する半球棒電極と平板電極との絶縁特性を図7に示す。直径10mmの半球棒電極と平板電極を用い、ギャップ長を50mmとしたときの部分放電開始電圧特性を(a)、破壊電圧特性を(b)、直径5mmの半球棒電極と平板電極を用い、ギャップ長を50mmとしたときの部分放電開始電圧特性を(c)、破壊電圧特性を(d)に示す。図7から、前者の電極構成では(a)と(b)の曲線がほぼ同じであり、後者の電極構成では(c)が(d)よりも高くなり、特に圧力0.3MPa付近で上に凸型の特性になることがわかる。これは後者の電極構成においては、この圧力付近でコロナ安定化作用が大きく働くと考えられる。つまり、 SF6ガスに存在していた特性が、乾燥空気においても、圧力と破壊電圧特性の間に特異点が生じることが見出された。なお、SF6ガスの場合は、針電極などもっと不平等な電界の時に特異点が生じるとされている。ここで、乾燥空気の場合の特異点が生じる不平等な電界の目安を不平等係数fで表示する。fは下記の簡易式から容易に算出できる。 【0010】 【数1】
rは棒電極先端の曲率半径、gはギャップ長である。図7の(a)、(b)はf=9.9、(c)、(d)はf=18.9となる。なお、fが更に大きい電極形状では、部分放電開始電圧と破壊電圧に差が出るものの、圧力0.6MPa以下の領域では特異点が見られなかった。このため、特異点が生じるのはf=20近傍と考えてよい。このような電極形状の部分放電開始電圧特性と破壊電圧特性の結果から、電界緩和リングを用いた絶縁ブッシングの耐電圧試験装置を図8に示す。逆T字型の接地の架台13には絶縁ブッシング14が取り付けられ、ブッシングの両端の中心導体には電界緩和リング15が取り付けられている。そして、これらをタンク1内にセットして、一方の電界緩和リング15―1にリード線16を接続して電圧を印加して絶縁特性の評価を行う。他方の電界緩和リング15―2には、固定用のボルト17を貫通させた開口穴を覆う電極栓18を設けている。これにより、電界緩和リング15―2は、見かけ上の球電極となり電界緩和を図ることができる。この球電極の曲率半径と架台13までのギャップ長を適切に設定すれば、目的に応じた耐電圧試験が可能となる。つまり、部分放電特性と破壊電圧特性の両方を試験しようとするならば、f=10以下になる曲率半径とギャップ長を選んだ電界緩和リングを用いればよい。また、耐電圧試験をしようとするならば、f=20程度になるような電界緩和リングを選べばよい。なお、fが大きいほど、曲率半径が小さくなり軽量化となるので、タンク1へセットする作業が容易になる。 【0011】電極栓18がない場合、電界緩和リング17―2の開口穴の端部が鋭角なエッジとなり、極端な不平等電界となる。このため、電界緩和リングの曲率半径に見合った絶縁特性が得られず、部分放電開始電圧が低下し、破壊電圧も同様に低いレベルであった。つまり、加圧した乾燥空気では極端な不平等電界での耐電圧試験はできないので、電界緩和を図ることが必要である。ちなみにSF6ガスでは、一般的に極端な不平等電界となる木綿針の実験において、コロナ安定化作用が働いて破壊電圧が上昇するとされている。加圧した乾燥空気では極端な不平等電界での耐電圧試験はできないので、電界緩和を図ることが必要である。電界緩和リングは、部分放電特性と破壊電圧特性の両方を試験するときはf=10以下に、破壊電圧試験だけをするときはf=20程度になるように選べば、目的に応じた耐電圧試験が可能となる。 【0012】 【発明の効果】本発明によれば、 SF6ガスの代わりに乾燥空気を用いて絶縁部品の耐電圧試験を行うことができるので、試験終了後にガス回収などの作業が不要となりタンク内の乾燥空気を大気に放出することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
|
| 【出願日】 |
平成12年1月12日(2000.1.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083161 【弁理士】 【氏名又は名称】外川 英明
|
| 【公開番号】 |
特開2001−194409(P2001−194409A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−6307(P2000−6307) |
|