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【発明の名称】 静電気放電耐性試験方法
【発明者】 【氏名】山本 雅朗

【氏名】嶋垣 隆之

【要約】 【課題】組み込み用機器単体で最終製品の筐体に格納された場合と同様の評価が可能な静電気放電耐性試験方法を提供する。

【解決手段】この静電気放電耐性試験方法は、絶縁体12で覆われた導体11からなり、この導体11の一端側の少なくとも一部が絶縁体12から露出し、かつ他端側がグランドプレート1に接続されたテストバー10を被試験機器6に密着し、この被試験機器6を作動させた状態でテストバー10の導体露出部fに所定の手順で試験電圧を印加し、被試験機器6の動作異常の有無を所定の基準で評価する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子機器の静電気放電耐性試験方法であって、絶縁体で覆われた導体からなり、この導体の一端側の少なくとも一部が前記絶縁体から露出し、かつ他端側が接地面に接続されたテストバーを被試験機器に密着し、この被試験機器を作動させた状態で前記テストバーの導体露出部に所定の手順で試験電圧を印加し、前記被試験機器の動作異常の有無を所定の基準で評価することを特徴とする静電気放電耐性試験方法。
【請求項2】 電子機器の静電気放電耐性試験方法であって、絶縁体で覆われた導体からなり、この導体の一端側の少なくとも一部が前記絶縁体から露出し、かつ他端側が接地面に接続されたテストバーを所定の厚さを有する第2の絶縁体を介して被試験機器に密着し、この被試験機器を作動させた状態で前記テストバーの導体露出部に所定の手順で試験電圧を印加し、前記被試験機器の動作異常の有無を所定の基準で評価することを特徴とする静電気放電耐性試験方法。
【請求項3】 前記テストバーは、所定の抵抗を介して接地面に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電気放電耐性試験方法。
【請求項4】 絶縁体で覆われた板状の導体からなり、この導体は一端側の少なくとも一部が前記絶縁体から露出され、かつ他端側が接地面に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の静電気放電耐性試験方法に用いるテストバー。
【請求項5】 絶縁体で覆われた導体が複数並行して配置され、かつこれら導体の一端側が導通接続されて前記絶縁体から露出され他端側が接地面に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の静電気放電耐性試験方法に用いるテストバー。
【請求項6】 透光性を有する絶縁体に覆われた光透過可能な導体からなり、この導体は一端側の少なくとも一部が前記絶縁体から露出され、かつ他端側が接地面に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の静電気放電耐性試験方法に用いるテストバー。
【請求項7】 絶縁体で覆われ、かつ複数のスリットを有する導体からなり、この導体は一端側の少なくとも一部が前記絶縁体から露出され、かつ他端側が接地面に接続されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の静電気放電耐性試験方法に用いるテストバー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子機器の静電気放電による電磁妨害を排除する能力を評価するための試験方法に関し、特に、最終製品に組み込まれて使用される組み込み用電子機器の試験方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、欧州などにおいて市場に出回る製品に対して電磁適合性の規格を満たしていることを証明することが求められるようになり、これらの製品に組み込まれて使用される機器についても、機器の形態によっては、同様に証明が求められるようになってきた。このような電磁適合性の規格の中には、静電気放電による電磁妨害を排除する能力を求めるものもあり、その試験方法が規格化されている。しかし、このような規格は、例えばIEC(INTERNATINAL ELECTROTECHNICAL COMMISSION)の61000−4−2のように、最終製品については試験方法が明確に規定されているが、組み込み用機器については明確になっていなかった。そのため、従来は、電気製品に組み込まれて使用される組み込み用電子機器に関して、静電気放電による電磁妨害を排除する能力を評価する試験は、実際に使用される電気製品に組み込んだ状態で行っていた。また、別の方法としては、最終製品の筐体に組み込み用電子機器を格納し、試験プログラムにより単体で動作させた状態で評価試験を行っていた。
【0003】このような従来の試験方法の例を図7に示す。図7は、静電気放電耐性試験時の被試験製品の設置状況を示す説明図であり、被試験製品は最終製品の筐体に格納された蛍光表示管モジュールである。同図において、所定の大きさのアルミニウム板からなるグランドプレート1上に所定の高さを有する木製デスク2がおかれており、木製デスク2上には所定の大きさのアルミニウム板からなる水平板3がおかれている。水平板3上には所定の大きさの絶縁シート4がおかれており、絶縁シート4上の中央付近には蛍光表示管モジュールが組み込まれた電気製品がおかれている。この電気製品から所定距離をおいて、所定の大きさのアルミニウム板が水平板3の1辺と平行に絶縁シート4から垂直方向に立ち上げられてなる垂直板5が配置されている。ここで、水平板3と垂直板5は、それぞれ所定の抵抗を介してグランドプレート1と電気的に接続されている。このような状態において、蛍光表示管モジュールを試験プログラムにより単体で表示動作をさせておき、その動作中にa〜eの静電気印加点に対して所定の手順で所定の高電圧を印加して表示動作に異常が生じないか確認していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最終製品に組み込んだ状態で静電気放電耐性試験を行う場合、動作異常が発生したときに動作異常の原因が組み込み用機器にあるのか、ほかの内蔵機器にあるのか判別がつきにくく、組み込み用機器単体での確認が必要であった。しかし、組み込み用機器は、最終製品の筐体内に組み込まれて直接外部に露出しないことを前提に製造されているため、静電気放電耐性試験で用いる高電圧を注入すると破損する恐れがあり、このような試験を行うことができなかった。また、最終製品の筐体に格納して静電気放電耐性試験を行う場合は、正確に静電気放電耐性の評価が行えるが、最終製品の筐体が入手できない場合の方が多く、組み込み用機器単体で行える静電気放電耐性試験方法が求められていた。この発明の目的は、組み込み用機器単体で最終製品の筐体に格納された場合と同様の評価が可能な静電気放電耐性試験方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために、この発明の静電気放電耐性試験方法は、絶縁体で覆われた導体からなり、この導体の一端側の少なくとも一部が絶縁体から露出し、かつ他端側が接地面に接続されたテストバーを被試験機器に密着し、この被試験機器を作動させた状態でテストバーの導体露出部に所定の手順で試験電圧を印加し、被試験機器の動作異常の有無を所定の基準で評価することによって特徴づけられる。また、この発明の静電気放電耐性試験方法の別の構成例は、絶縁体で覆われた導体からなり、この導体の一端側の少なくとも一部が絶縁体から露出し、かつ他端側が接地面に接続されたテストバーを所定の厚さを有する第2の絶縁体を介して被試験機器に密着し、この被試験機器を作動させた状態でテストバーの導体露出部に所定の手順で試験電圧を印加し、被試験機器の動作異常の有無を所定の基準で評価することによって特徴づけられる。上述した静電気放電耐性試験方法のさらに別の構成例は、テストバーが抵抗を介して接地面に接続されている。
【0006】前述した静電気放電耐性試験方法に用いるテストバーの一構成例は、絶縁体で覆われた板状の導体からなり、この導体は一端側の少なくとも一部が絶縁体から露出され、かつ他端側が接地面に接続されている。また、テストバーの別の構成例は、絶縁体で覆われた導体が複数並行して配置され、かつこれら導体の一端側が導通接続されて絶縁体から露出され他端側が接地面に接続されている。また、テストバーの別の構成例は、透光性を有する絶縁体に覆われた光透過可能な導体からなり、この導体は一端側の少なくとも一部が絶縁体から露出され、かつ他端側が接地面に接続されている。また、テストバーの別の構成例は、絶縁体で覆われ、かつ複数のスリットを有する導体からなり、この導体は一端側の少なくとも一部が絶縁体から露出され、かつ他端側が接地面に接続されている。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に図を用いて発明の実施の形態を説明する。まず、この発明の静電気放電耐性試験方法に係る第1の実施の形態について説明する。図1は、この静電気放電耐性試験方法における被試験機器の設置状況を示す説明図であり、(a)は全体構成、(b)は被試験機器に取り付けたテストバーの平面形状、(c)は(b)のI−I線断面を示す。同図に示すように、この試験方法においては、所定の大きさのアルミニウム板からなるグランドプレート1上に所定の高さを有する木製デスク2がおかれ、木製デスク2上には所定の大きさのアルミニウム板からなる水平板3がおかれている。水平板3上には所定の大きさの絶縁シート4がおかれており、絶縁シート4上の中央部に被試験機器6がおかれている。この被試験機器6から所定距離をおいて、所定の大きさのアルミニウム板が水平板3の1辺と平行に絶縁シート4から垂直方向に立ち上げられてなる垂直板5が配置されている。ここで、水平板3と垂直板5は、それぞれ所定の抵抗14を介して接地面となるグランドプレート1と電気的に接続されている。
【0008】また、被試験機器6の上部には、図1の(b)と(c)に示すように、絶縁体12で被覆された導電体11で構成されたテストバー10が密着しておかれている。このテストバー10の一端側は、導電体11の一部が突起状に露出して静電気印加点fが形成されており、他端側は導電体11の一部が突起状に露出して導電線13と接続され、この導電線13によりグランドプレート1と接続されている。なお、導電体11と導電線13の接続部には、絶縁被覆17が形成されている。ここで、テストバー10をグランドプレート1に直接接続するのは、最終製品の筐体に印加された静電気が筐体を通って筐体に接続された第3種接地へ流れるを状態を模擬するためである。なお、このテストバー10は、静電気印加点fが被試験機器6から所定の絶縁距離をとれるように、被試験機器6よりも長くしている。
【0009】次に、この試験方法で用いる試験用部材について説明する。グランドプレート1は、床に敷かれた縦1.0m、横1.8m、厚さ1.5mmのアルミニウム板であり、アースに接続されている。木製デスク2は、水平板3を載せられる広さをもつ天板を有し、グランドプレート1上面から天板上面までの高さが0.8mである。水平板3は、縦0.8m、横1.6m、厚さ1.5mmのアルミニウム板であり、470KΩの抵抗14が2つ直列に接続された導電線15を介してグランドプレート1に接続されている。絶縁シート4は、縦0.65m、横1.45m、厚さ0.5mmの絶縁体である。垂直板5は、縦0.5m、横0.5m、厚さ1.5mmのアルミニウム板であり、470KΩの抵抗14が2つ直列に接続された導電線16を介してグランドプレート1に接続されている。
【0010】テストバー10は、塩化ビニル樹脂で被覆された幅10mmの銅板であり、銅板の長さ方向の両端に静電気印加と導電線接続のための突起が露出している。導電線接続のための突起には、導電線13がはんだ付けされており、その上から熱収縮チューブで絶縁被覆17が形成されている。このテストバー10は、被試験機器6に密着させるため粘着テープ(図示せず)で被試験機器6に取り付けられている。
【0011】次に、この発明の静電気放電耐性試験方法の試験手順について説明する。まず、被試験機器6を前述したように設置して作動させる。この場合、作動状況が分かるように、試験用プログラムを用意して被試験機器6単独で作動させるさせるとよい。次に、放電試験器を用いて水平板3の静電気印加点aに10回毎分の割合で試験電圧を直接印加し、被試験機器6の動作異常の有無を確認し結果を記録する。この場合、試験電圧は1KVから15KVまでの1KV間隔とし、各電圧ごとに動作異常の有無を確認する。次に、テストバー10の静電気印加点bに対して水平板3と同じ試験を行い結果を記録する。次に、垂直板5の静電気印加点cに対して水平板3と同じ試験を行い結果を記録する。
【0012】次に、蛍光表示管モジュールについて、前述した方法で行った静電気放電耐性試験の結果を表1に、最終製品の筐体に格納して行った静電気放電耐性試験の結果を表2に示す。表1と表2において、a〜fは図1及び図5における静電気印加点を示し、それぞれaは水平板3、bは垂直板5、c〜eは最終製品の筐体、fはテストバー10への印加点を示す。また、試験結果はA〜Cで記し、Aは「異常なし、チラツキ回復」、Bは「リセット、リトライ機能動作」、Cは「表示不灯、暴走」を示す。この場合、蛍光表示管モジュール単体の試験についてはテストバー10を蛍光表示管のフェイスプレート上に密着させて試験を行い、最終製品の筐体に格納して行う試験では最も条件の厳しい金属筐体を用いた。なお、蛍光表示管モジュールの場合、印加電圧1〜4KVが判定対象となり、この範囲で試験結果がAであれば合格となる。なお、以後の説明において、a〜fとA〜Cは、同じ内容を示す。
【0013】
【表1】

【0014】
【表2】

【0015】蛍光表示管モジュールにこの発明の静電気放電耐性試験方法を適用したところ、表1に示すように、水平板3と垂直板5への印加では、1〜15KVでAとなり、テストバー10への印加では、1〜6KVがAで7〜15KVがBという結果が得られた。これに対して、蛍光表示管モジュールを最終製品の筐体に格納して静電気放電耐性試験を行った場合は、表2に示すように、水平板3と垂直板5への印加では、1〜15KVでAとなり、筐体への印加では、静電気印加点c,eは1〜15KVでAとなり、静電気印加点dは1〜7KVがAで8〜15KVがBという結果が得られた。このことから、この発明の静電気放電耐性試験方法は、従来の最も条件の厳しい試験方法に近い試験結果が得られることが分かる。
【0016】静電気放電耐性試験は、静電気放電により筐体に流れるインパルス状の放電電流により発生する電界や磁界から組み込み機器が受ける影響を評価するものである。この発明の静電気放電耐性試験方法は、グランドプレートに接続されたテストバーを被試験機器に密着させた状態で、テストバーに試験電圧を印加することにより筐体に流れるインパルス状の放電電流を模擬するものである。この方法によれば、被試験機器に直接試験電圧が印加されないので、被試験機器が破損する恐れがなく、静電気放電耐性を評価することができる。なお、ここでは、テストバー10の静電気印加点fに放電試験器を直接接触させて試験電圧を印加する接触放電試験について説明したが、静電気印加点fから放電試験器を10mmほど離して空中放電させる間接放電試験にも適用できることはいうまでもない。
【0017】次に、この発明の静電気放電耐性試験方法に係る第2の実施の形態について説明する。この実施の形態の静電気放電耐性試験方法は、最終製品の筐体表面と組み込み機器との間隔があらかじめ分かっている場合により有効な方法である。図2は、この静電気放電耐性試験方法における被試験機器の設置状況を示す説明図であり、同図において(a)は全体構成を示し、(b)は被試験機器に取り付けたテストバーの詳細を示す。ここで、図1と異なる点は、被試験機器6とテストバー10の間に所定の厚さの絶縁体7を配置していることである。
【0018】図2において、被試験機器6は前述した蛍光表示管モジュールであり、テストバー10との間に配置する絶縁体7は、最終製品の筐体との間隔に合わせた厚さにしている。この場合、図2(b)に示すように、蛍光表示管のフェイスプレート6a上に絶縁体7が置かれ、絶縁体7上にテストバー10が置かれている。ここで絶縁体7には厚さ2mmの樹脂フィルタを用いた。なお、試験手順は前述した方法と同じであるので説明を省略する。この蛍光表示管モジュールにこの静電気放電耐性試験方法を適用した結果を表3に示す。
【0019】
【表3】

【0020】表3に示すように、この静電気放電耐性試験方法によれば、1〜7KVがAで8〜15KVがBという結果が得られた。これは、表2に示した最終製品の筐体に格納して静電気放電耐性試験を行った場合と同じ結果であり、この静電気放電耐性試験方法によって実際の条件と同等の評価が得られることが分かる。このように、あらかじめ最終製品の筐体表面と組み込み機器との間隔が分かっている場合には、被試験機器とテストバーの間に所定の厚さの絶縁体を配置して静電気放電耐性試験を行うことでより実際に近い評価結果を得られるという効果がある。
【0021】次に、この発明の静電気放電耐性試験方法に係る第3の実施の形態について説明する。図3は、この静電気放電耐性試験方法における被試験機器の設置状況を示す説明図であり、図1と異なる点はテストバー10が水平板3に接続され、470KΩの抵抗14が2つ直列に接続された導電線15を介してグランドプレート1に接続されていることである。この静電気放電耐性試験方法は、高抵抗を介してテストバー10を接地することにより、最終製品の筐体が接地されていない場合を模擬するものである。
【0022】この場合、テストバー10を水平板3に接続して、水平板3に接続された抵抗14を高抵抗として用いるようにしたが、所定の抵抗を接続した導電線13を直接グランドプレート1に接続するようにしてもよい。この静電気放電耐性試験方法によれば、接地せずに使用される最終製品に組み込まれた場合について評価することができる。なお、この静電気放電耐性試験方法は、第2の実施の形態に示した試験方法にも適用可能である。
【0023】次に、この発明の静電気放電耐性試験方法に用いるテストバーの別の構成例について説明する。図4は、テストバーの第2の構成例を示す説明図であり、(a)はテストバーの平面形状、(b)は(a)のIV−IV線断面を示す。このテストバーは絶縁被覆された導体が複数並行して並べられて一体化され、これらの導体が一端で互いに接続されて静電気印加点が形成され、他端で導電線とともに互いに接続された構成を有している。
【0024】このテストバーは、塩化ビニル樹脂32で絶縁被覆された銅線31が複数平行して並べられて一体化された、いわゆるリボンケーブル30を用いており、所定の長さと幅を有するリボンケーブル30の両端の絶縁被覆を取り除き、一端側の銅線31を束ねて金属スリーブ33で圧着して静電気印加点fを形成するとともに、他端側の銅線31を束ねてグランドプレート1に接続する導電線13とともに絶縁スリーブ34で圧着して作製する。このテストバーを用いて蛍光表示管モジュールの静電気放電耐性試験を行った結果を表4に示す。なお、テストバーの幅は10mmとした。
【0025】
【表4】

【0026】表4に示すように、このテストバーを用いても、絶縁被覆された銅板を用いたテストバーと同じく、水平板3と垂直板5への印加では、1〜15KVでAとなり、テストバー10への印加では、1〜6KVがAで7〜15KVがBという結果が得られた。リボンケーブルを用いたテストバーは、ある程度の柔軟性があるため、平坦な面のない被試験機器6にも密着させることができるという効果がある。また、低コストで簡単に製作できるという効果もある。なお、各絶縁被覆された銅線が所定箇所のみ平行して並べられて一体化されたいわゆるスリットケーブルを用いてもよく、この場合はさらに柔軟性が増すため、試験可能な形状を増やすことができる。
【0027】また、この構成例では、導体を銅線とし、絶縁体を塩化ビニル樹脂として説明したが、これに限られるものではなく、絶縁被覆された導電線が複数平行して並べられて全長に渡って一体化されるか、あるいは所定箇所で一体化された構造を有するものであればよく、使用材料を限定するものではない。この場合、導電線を構成する導体は単線、より線のどちらでもよい。また、一体化する方法は何でもよく、例えば、絶縁体を融着させる方法や、接着剤で接着する方法などがある。
【0028】次に、テストバーの第3の構成例について説明する。図5は、テストバーの第3の構成例を示す説明図であり、(a)はテストバーの平面形状、(b)は(a)のV−V線断面を示す。このテストバーは透光部が設けられた導体とこの導体を覆う透光性を有する絶縁体とから構成され、一端側上面の絶縁体に開口部が設けられ導体が露出して静電気印加点が形成されおり、他端側の導体部にグランドプレートに接続された導電線が接続されている。
【0029】このテストバーは、導体部となる網状に編まれた銅線で形成された銅網41と、絶縁体部となる銅網41より大きな寸法の透明アクリル板42とから構成されており、網の目部分が透光部となっている。このテストバーは、他端部に導電線13が接続された銅網41を上下から透明アクリル板42で挟み、銅網の周囲を接着剤44で接着して作製する。なお、上側の透明アクリル板42には、静電気印加点f用の開口部43を設けておく。このテストバーを用いて蛍光表示管モジュールの静電気放電耐性試験を行った結果を表5に示す。なお、テストバーの幅は10mmとした。
【0030】
【表5】

【0031】表5に示すように、このテストバーを用いても、絶縁被覆された銅板を用いたテストバーと同じく、水平板3と垂直板5への印加では、1〜15KVでAとなり、テストバー10への印加では、1〜6KVがAで7〜15KVがBという結果が得られた。このテストバーは、前述したように光透過可能な構成にしたので、テストバーを置いた被試験機器の面を見ることが可能であり、表示装置のような動作状態の確認に表示画面や表示灯を見る必要のある製品の試験に用いることができるという効果がある。
【0032】また、この構成例では導体を銅網とし、絶縁体を透明アクリル板として説明したが、これに限られるものではなく、透光性を有する絶縁体に覆われた光透過可能な導体であれば何でもよい。例えば、導体をエッチング加工でメッシュ状の開口部を設けた銅板やパンチングメタルなどで形成してもよく、材質をアルミニウムやステンレスなどの銅以外の金属としてもよい。また、ITO(IndiumTin Oxide)膜のような透明導電膜を用いてもよい。
【0033】また、絶縁体は、ポリカーボネートや透明塩化ビニル樹脂のような透明な合成樹脂を使用してもよいし、ガラスや透明石英などを使用してもよい。また、この構成例では、導体を2つの絶縁体で挟む構成で説明したが、これに限られるものではなく、液状の絶縁体に導体を入れた後、固化させて導体と絶縁体を一体化させたり、絶縁体間に絶縁体のスペーサを挟むようにして厚みのある導体に対応させたりするなど、様々な変形が可能である。
【0034】次に、テストバーの第4の構成例について説明する。図6は、テストバーの第4の構成例を示す説明図であり、(a)はテストバーの平面形状、(b)は(a)のVI−VI線断面を示す。このテストバーは多数のスリットを有し、かつ絶縁体で被覆された導体で構成されている。このテストバーは、エッチング又は打ち抜き加工によりスリット53と静電気印加部fと導電線接続部54を形成したステンレス板51をフッ素樹脂加工した後、静電気印加部fと導電線接続部54に付着したフッ素樹脂皮膜52を取り除き、導電線接続部54に導電線13をはんだ付けして形成する。なお、導電線接続部54は、はんだ付けした後、熱収縮チューブ55で覆って絶縁しておく。
【0035】このテストバーは、前述したように多数のスリットを設けたので、テストバーを置いた被試験機器の面を見ることが可能であり、表示装置のような動作状態の確認に表示画面や表示灯を見る必要のある製品の試験に用いることができるという効果がある。なお、この構成例では、導体をステンレス板とし、絶縁体をフッ素樹脂として説明したが、これに限られるものではなく、開口部が形成でき、所定の絶縁抵抗が得られる絶縁体膜で被覆可能であれば、どのような導体と絶縁体の組み合わせでもよい。また、導体が板状である必要はなく、例えば、網状や複数の金属棒を格子状に組み合わせて溶接したものであってもよい。
【0036】また、この発明の実施の形態では、テストバーの密着に粘着テープを用いる方法で説明したが、これに限られるものではなく、例えば、被試験機器が平坦な面を有するものであれば、テストバー自体を重くするか、テストバーの上側に重しとなるものを取り付けてもよい。また、テストバーの上側の絶縁体と下側の絶縁体の厚さや材質は同じである必要はなく、上側の絶縁体を厚くしてテストバーを重くするとともに、下側の絶縁体を柔軟な材質にして被試験機器に密着するようにしてもよい。また、剥離したとき相手側に粘着剤が残らないタイプの粘着剤をテストバーの下側の絶縁体につけるようにしてもよい。以上説明したように、この発明の静電気放電耐性試験方法は、テストバーの構成やグランドプレートとの接続方法を替えることにより、様々な組み込み機器の静電気放電耐性試験を行うことが可能である。
【0037】
【発明の効果】この発明の静電気放電耐性試験方法は、導体と絶縁体からなり、この導体は絶縁体で覆われ、かつ一端側の少なくとも一部で導体が露出され他端側が接地されたテストバーを被試験機器に密着し、この被試験機器を作動させた状態でテストバーの導体露出部に所定の手順で試験電圧を印加し、被試験機器の動作異常の有無を所定の基準で評価するようにしたので、静電気放電耐性試験で用いる高電圧を印加しても破損する恐れがなく、組み込み用機器単体で最終製品の筐体に格納された場合と同様の評価が可能になるという効果がある。
【0038】また、この発明の静電気放電耐性試験方法の別の構成例は、導体と絶縁体からなり、この導体は絶縁体で覆われ、かつ一端側の少なくとも一部で導体が露出され他端側が接地されたテストバーを所定の厚さを有する第2の絶縁体を介して被試験機器に密着し、この被試験機器を作動させた状態でテストバーの導体露出部に所定の手順で試験電圧を印加し、被試験機器の動作異常の有無を所定の基準で評価するようにしたので、第2の絶縁体の厚さを最終製品の筐体と組み込み機器との間隔に近い値とすることで、より実際に近い評価結果を得られるという効果がある。また、この発明の静電気放電耐性試験方法の別の構成例は、高抵抗を介してテストバーを接地するようにしたので、接地せずに使用される最終製品に組み込まれた場合について評価することができるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000117940
【氏名又は名称】伊勢電子工業株式会社
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】 【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
【公開番号】 特開2001−194404(P2001−194404A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−5436(P2000−5436)