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【発明の名称】 電波暗室用ターンテーブル装置
【発明者】 【氏名】磯谷 尚徳

【氏名】鈴木 良和

【要約】 【課題】電波暗室の特性に対する悪影響を低減できるようにする。

【解決手段】ターンテーブル装置1は、供試体30が載置され、回転する供試体テーブル10と、電波暗室の床面の下であるピット2内に配置され、供試体テーブル10を回転する駆動装置20とを備えている。また、ピット2内には、疑似電源装置21等を収納するためのユーティリティスペースが設けられている。供試体テーブル10は、電波暗室の床面の上方に配置されると共に供試体30が載置される載置部11と、この載置部11の下面より下方に突出する軸部12とを有している。軸部12は、床面に形成された開口部4を通り、駆動装置20に対して着脱自在に連結される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 供試体が載置され、回転する供試体テーブルと、電波暗室の床面の下に配置され、前記供試体テーブルを回転する駆動手段とを備え、前記供試体テーブルは、電波暗室の床面の上方に配置されると共に供試体が載置される載置部と、前記載置部の下面より下方に突出し、前記駆動手段に対して着脱自在に連結される軸部とを有することを特徴とする電波暗室用ターンテーブル装置。
【請求項2】 更に、電波暗室の床面に形成され、前記供試体テーブルの前記軸部が挿通される開口部と、前記開口部を開閉可能なカバーとを備えたことを特徴とする請求項1記載の電波暗室用ターンテーブル装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電波暗室において、供試体が載置され、回転する電波暗室用ターンテーブル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、他の機器に電磁波障害を与える雑音を発生する機器の放射雑音強度を測定したり、電子機器に強電磁界の電磁波を照射して誤動作を試験する場合等に、電波暗室が用いられている。この電波暗室は、室内全体を電磁波遮蔽材によって覆って、室内を電磁波に対して遮蔽する(以下、電磁波遮蔽するという。)と共に、室内の壁面や天井面に電波吸収体を設けて、壁面や天井面による電波の反射を防止するようになっている。
【0003】また、従来より、電波暗室において、測定支援設備として、供試体(試験対象物)が載置され、回転するターンテーブルと、アンテナが取り付けられるアンテナマストとが用いられている。
【0004】ここで、図4を参照して、従来のターンテーブルの構成の一例について説明する。この例では、電波暗室の床面201の一部を形成するように、ターンテーブル210が設けられている。ターンテーブル210の下には、ターンテーブルピット202が形成されている。このターンテーブルピット202内には、ターンテーブル210を回転させるための駆動装置211が設けられている。
【0005】ターンテーブル210の外周部分と、その周囲の床部分203との間は、例えばアースローラ等の電気的接続部材204によって電気的に接続されている。
【0006】ターンテーブル210の上には、例えばテーブル212を介して供試体213が載置されるようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】床面を電波反射面である金属面とした電波暗室では、床面につなぎ目等の不連続部分があると、その不連続部分によって電波が散乱される等のことにより電波暗室の性能が劣化する。従って、床面にはつなぎ目等の不連続部分のないことが望まれる。
【0008】ところが、図4に示したように、床面201の一部を形成するようにターンテーブル210を設けた場合には、ターンテーブル210の外周部分と、その周囲の床部分203との間に隙間が生じてしまう。そのため、従来は、アースローラ等の電気的接続部材204によって、ターンテーブル210の外周部分と床部分203との間を電気的に接続することによって、両者を同電位面とし、均一な反射面を得るようにしていた。
【0009】このように、ターンテーブル210の外周部分と床部分203との間の隙間や、アースローラ等の電気的接続部材204によるターンテーブル210の外周部分と床部分203との電気的接続等は、電波暗室の特性を左右する重要な要素である。
【0010】しかしながら、従来は、床面201の一部を形成するように、相当の大きさと重量とを有するターンテーブル210を設けていたため、以下のような数多くの問題点があった。
【0011】すなわち、まず、ターンテーブル210の初期設置の状態の悪さや、設置の状態の経年変化が電波暗室の特性に悪影響を及ぼすという問題点があった。
【0012】また、大きく且つ重いターンテーブル210を回転するには、大型の駆動装置211が必要となり、この駆動装置211が発生するノイズが測定に悪影響を及ぼすという問題点があった。
【0013】特に供試体213が小さい場合には、特に積載荷重の点において、ターンテーブル210のスペックが過剰であるという問題点があった。
【0014】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、電波暗室の特性に対する悪影響を低減できるようにした電波暗室用ターンテーブル装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の電波暗室用ターンテーブル装置は、供試体が載置され、回転する供試体テーブルと、電波暗室の床面の下に配置され、供試体テーブルを回転する駆動手段とを備え、供試体テーブルは、電波暗室の床面の上方に配置されると共に供試体が載置される載置部と、載置部の下面より下方に突出し、駆動手段に対して着脱自在に連結される軸部とを有するものである。
【0016】本発明の電波暗室用ターンテーブル装置では、供試体テーブルは、軸部によって駆動手段に対して着脱自在に連結され、この駆動手段によって駆動されて回転する。
【0017】本発明の電波暗室用ターンテーブル装置は、更に、電波暗室の床面に形成され、供試体テーブルの軸部が挿通される開口部と、開口部を開閉可能なカバーとを備えていてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る電波暗室用ターンテーブル装置(以下、単にターンテーブル装置と言う。)が適用される電波暗室について説明する。図3は、電波暗室を含む試験設備の構成の一例を示す平面断面図である。この図に示した試験設備は、他の機器に電磁波障害を与える雑音を発生する機器の放射雑音強度を測定したり、電子機器に強電磁界の電磁波を照射して誤動作を試験する場合等に使用されるものである。
【0019】図3に示した試験設備は、電波暗室110と、この電波暗室110に隣接するように配置された計測用の電磁波遮蔽室である計測室120とを備えている。電波暗室110には、試験対象物を搬入、搬出するための大型のシールド扉111と、計測室120との間の出入りのための小型のシールド扉112とが設けられている。
【0020】電波暗室110は、床113、四方の壁114および図示しない天井を有し、これら全てに、電磁波遮蔽材よりなる電磁波遮蔽板が設けられている。壁114および天井の室内側の面には、電波吸収体115が取り付けられている。床113には、供試体を回転するための本実施の形態に係るターンテーブル装置1が設けられている。また、床113には、アンテナが設置される箇所であるアンテナポジショナー117が設けられている。
【0021】電磁波遮蔽材とは、所望の周波数帯域の電磁波に関して、反射係数が大きく(1に近く)、透過係数が小さい(0に近い)材料であり、種々の金属が該当するが、鋼材が用いられることが多い。
【0022】電波吸収体とは、所望の周波数帯域の電波に関して、反射係数と透過係数が共に小さく(0に近く)、入射した電波エネルギを吸収して熱エネルギに変換する構造体である。
【0023】図3における電波吸収体115は、例えば、タイル状のフェライト電波吸収体と、このフェライト電波吸収体の室内側の面に取り付けられた発泡スチロール基体電波吸収体とによって構成されている。フェライト電波吸収体は、高周波におけるフェライトの磁気共鳴損失を利用した電波吸収体である。発泡スチロール基体電波吸収体は、発泡スチロールの基体に抵抗体としてのカーボンを混合して構成されている。
【0024】次に、図1を参照して、本実施の形態に係るターンテーブル装置1の構成について説明する。電波暗室110の床113には、後述する駆動装置を収納するためのピット2が形成されている。ターンテーブル装置1は、供試体30が載置され、回転する供試体テーブル10と、電波暗室110の床面の下であるピット2内に配置され、供試体テーブル10を回転する駆動手段としての駆動装置20とを備えている。また、ピット2内には、疑似電源装置21等を収納するためのユーティリティスペースが設けられている。なお、疑似電源装置21は、疑似電源回路網(電源線インピーダンス安定化回路網とも呼ばれる。)を構成する装置であり、妨害波測定等に用いられることもある。
【0025】供試体テーブル10は、電波暗室110の床面の上方に配置されると共に供試体30が載置される載置部11と、この載置部11の下面より下方に突出する軸部12とを有している。軸部12は、床面を貫通して駆動装置20に対して着脱自在に連結されるようになっている。また、軸部12のうちの少なくとも床上に露出する部分は、測定に影響を与えない材料、例えば木材によって形成されている。
【0026】ピット2の開口部は、金属板3によって閉塞されている。この金属板3には、供試体テーブル10の軸部12が挿通される開口部4と、ユーティリティスペースの上方の位置に配置された開口部とが形成されている。
【0027】また、金属板3には、開口部4を開閉可能な金属製のカバー5と、ユーティリティスペースの上方の位置に配置された開口部を開閉可能な金属製のカバー6とが取り付けられている。図2は、金属板3およびカバー5,6を示す平面図である。
【0028】また、供試体30に電力を供給するための電力供給路15は、スリップリングや水銀ロータリー等を用いて、軸部12の中心部に設けられている。
【0029】次に、本実施の形態に係るターンテーブル装置1の作用について説明する。供試体テーブル10を使用する場合には、図1に示したように、開口部4を開放し、供試体テーブル10の軸部12を駆動装置20に連結する。供試体テーブル10の載置部11の上には供試体30が載置される。この状態で駆動装置20を動作させることにより、供試体テーブル10が回転し、供試体30も回転する。
【0030】供試体テーブル10を使用しない場合には、軸部12を駆動装置20より外し、図2に示したように、カバー5によって開口部4を閉じる。
【0031】また、通常時は、ユーティリティスペースの上方の位置に配置された開口部は、カバー6によって閉じられているが、駆動装置20や疑似電源装置21等のメンテナンスを行う際には開けられる。
【0032】本実施の形態によれば、供試体30の重量にある程度の制限はあるが、特に軽量、小型の供試体30に適したターンテーブル装置1を実現することができる。
【0033】また、本実施の形態によれば、電波暗室110の床面には、従来のような大きなターンテーブルが存在せず、そのため、床面とターンテーブルとの間の隙間も存在しない。床面には、供試体テーブル10の軸部12が通るだけの小さな開口部4があればよいので、電波暗室110の特性に対する悪影響を低減でき、電波暗室110の特性を向上させることができる。
【0034】また、本実施の形態によれば、床面とターンテーブルとを電気的に接続するアースローラ等の電気的接続部材が不要になる。
【0035】また、本実施の形態によれば、供試体テーブル10を使用しないときには、カバー5によって開口部4を閉じて、溝のない平坦な床面すなわち電波反射面を形成でき、これにより電波暗室110の特性を向上させることができる。
【0036】また、本実施の形態によれば、供試体テーブル10の軸部12と床面との間の隙間が小さいので、供試体テーブル10の初期設置の状態の悪さや、設置の状態の経年変化による悪影響が少ない。
【0037】また、本実施の形態によれば、供試体テーブル10は床面の一部を形成しないので、供試体テーブル10を軽量化することができる。その結果、小型の駆動装置20を使用することが可能になる。本実施の形態によれば、これに加え、供試体テーブル10の軸部12と床面との間の隙間が小さいことから、駆動装置20が発生するノイズの影響を低減することができる。
【0038】また、本実施の形態によれば、供試体テーブル10の駆動機構が簡単なので、駆動機構のメンテナンスが容易になる。
【0039】なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、供試体テーブル10の軸部12のうちの床下に配置される部分を金属によって形成し、開口部4の周囲における金属板3と軸部12の金属部分とを、電気的接続部材によって電気的に接続するようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1または2記載の電波暗室用ターンテーブル装置によれば、床面には、供試体テーブルの軸部が通るだけの小さな開口部があればよいので、電波暗室の特性に対する悪影響を低減することができるという効果を奏する。
【0041】また、請求項2記載の電波暗室用ターンテーブル装置によれば、電波暗室の床面に形成され、供試体テーブルの軸部が挿通される開口部と、開口部を開閉可能なカバーとを備えたので、供試体テーブルを使用しないときには、開口部を閉じて、溝のない平坦な床面を形成でき、これにより電波暗室の特性を向上させることができるという効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000003067
【氏名又は名称】ティーディーケイ株式会社
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】 【識別番号】100107559
【弁理士】
【氏名又は名称】星宮 勝美
【公開番号】 特開2001−194400(P2001−194400A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−5162(P2000−5162)