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【発明の名称】 電流測定装置
【発明者】 【氏名】江浦 文昭

【要約】 【課題】定常時の電流を精度良く測定し、なおかつ雷撃電流などの大電流をも測定可能とするためには、幅広い計測範囲を有するA/D変換器が必要となる。

【解決手段】ロゴスキーコイル2で検出した信号を入力調整回路で適正な値に調整した後、AGCアンプ4である一定の範囲の値となるように圧縮し、第一のA/D変換器5で飽和することなくアナログ/デジタル変換すると共に、AGCアンプ4からの利得情報をも第二のA/D変換器6でデジタル変換し、双方をマイクロコンピュータ7でソフトウェア演算して正確な測定を行い、表示器8で表示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 測定対象となる導体に取り付けられ、導体に流れる電流を検出するロゴスキーコイル、このロゴスキーコイルの出力をアナログ値からデジタル値に変換するA/D変換部、このA/D変換部の出力を処理するマイクロコンピュータ、およびこのマイクロコンピュータの出力を電流値として表示する表示器を備えた電流測定装置において、上記A/D変換部は、入力信号の大きさを圧縮した後にアナログ/デジタル変換する機能を有し、かつ、上記マイクロコンピュータは、上記A/D変換部の出力を圧縮前の値に戻す処理を行うようにしたことを特徴とする電流測定装置。
【請求項2】 A/D変換部は、入力信号の利得制御を行う自動利得調整アンプ(以下AGCアンプ)と、このAGCアンプの出力をアナログ/デジタル変換してマイクロコンピュータに出力する第一のA/D変換器と、AGCアンプの利得制御信号をアナログ/デジタル変換して上記マイクロコンピュータに出力する第二のA/D変換器とを有し、上記マイクロコンピュータは、上記第二のA/D変換器の出力を用いて第一のA/D変換器の出力を利得制御前の値に戻す処理を行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の電流測定装置。
【請求項3】 A/D変換部は、入力信号を対数関数演算して出力するログアンプと、その出力をアナログ/デジタル変換してマイクロコンピュータに出力するA/D変換器とを有することを特徴とする請求項1記載の電流測定装置。
【請求項4】 A/D変換部は、入力信号とあらかじめ設定されたしきい値とを比較するコンパレータと、このコンパレータの出力により利得が切り換えられる利得切換アンプと、この利得切換アンプの出力をアナログ/デジタル変換してマイクロコンピュータに出力するA/D変換器とを有し、上記マイクロコンピュータは上記コンパレータの出力を用いてA/D変換部からの出力を利得切換前の値に戻す処理を行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の電流測定装置。
【請求項5】 A/D変換部は、入力信号を直接アナログ/デジタル変換してマイクロコンピュータに出力する第一のA/D変換器と、上記入力信号にあらかじめ設定された乗数をかけて出力する利得調整アンプと、この利得調整アンプの出力をアナログ/デジタル変換してマイクロコンピュータに出力する第二のA/D変換器とを有し、上記マイクロコンピュータは、上記第一のA/D変換器の飽和領域では、上記第二のA/D変換器の出力を利得調整前の値に戻して出力する処理を行うようにしたことを特徴とする請求項1記載の電流測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はガス絶縁開閉装置(GIS)などの中心導体や接地線などに流れる電流を測定する電流測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は、例えば特開昭63−201569号公報に示された従来のロゴスキーコイルを用いた雷撃電流測定装置である。図において、1は電流測定の対象となる導体、2はこの導体1に取り付けたロゴスキーコイル、3はロゴスキーコイル2の出力を適正な電圧に変換する入力調整回路、10は入力調整回路3の出力電圧をアナログ/デジタル変換するA/D変換器、7はA/D変換器10を制御してアナログ/デジタル変換を行わせ、その結果を取り込み演算するマイクロコンピュータ、8はマイクロコンピュータ7の演算結果を表示させる表示器である。
【0003】次に動作を説明する。導体1に電流が流れると、ロゴスキーコイル2の両端にはその大きさに対応する電圧が発生する。検出された電圧は入力調整回路3でその後の処理に適正な電圧に調整されてA/D変換器10に入力される。マイクロコンピュータ7はA/D変換器10を制御し、デジタル値として演算する。マイクロコンピュータ7は演算結果をディスプレイやプリンタなどの表示器8に表示する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の雷撃電流測定装置は、雷撃電流を測定することを目的としており、これをGISの中心導体に流れる電流測定や接地線電流の測定に適用しようとした場合、定常時の電流を精度良く測定し、なおかつ雷撃電流や地絡/短絡などの事故電流をも測定可能とするためには、最小分解能の数万倍以上の計測範囲(以下ダイナミックレンジ)を有するA/D変換器が必要となり、測定装置が非常に高価なものになるという問題があった。
【0005】この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、安価なA/D変換器を用いて上記の広範なダイナミックレンジを実現することにより、極めて安価な電流測定装置を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明に係る電流測定装置は、測定対象となる導体に取り付けられ、導体に流れる電流を検出するロゴスキーコイル、このロゴスキーコイルの出力をアナログ値からデジタル値に変換するA/D変換部、このA/D変換部の出力を処理するマイクロコンピュータ、およびこのマイクロコンピュータの出力を電流値として表示する表示器を備えたものにおいて、上記A/D変換部は、入力信号の大きさを圧縮した後にアナログ/デジタル変換する機能を有し、かつ、上記マイクロコンピュータは、上記A/D変換部の出力を圧縮前の値に戻す処理を行うようにしたものである。
【0007】また、A/D変換部は、入力信号の利得制御を行うAGCアンプと、このAGCアンプの出力をアナログ/デジタル変換してマイクロコンピュータに出力する第一のA/D変換器と、AGCアンプの利得制御信号をアナログ/デジタル変換して上記マイクロコンピュータに出力する第二のA/D変換器とを有し、上記マイクロコンピュータは、上記第二のA/D変換器の出力を用いて第一のA/D変換器の出力を利得制御前の値に戻す処理を行うようにしたものである。
【0008】また、A/D変換部は、入力信号を対数関数演算して出力するログアンプと、その出力をアナログ/デジタル変換してマイクロコンピュータに出力するA/D変換器とで構成したものである。
【0009】また、A/D変換部は、入力信号とあらかじめ設定されたしきい値とを比較するコンパレータと、このコンパレータの出力により利得が切り換えられる利得切換アンプと、この利得切換アンプの出力をアナログ/デジタル変換してマイクロコンピュータに出力するA/D変換器とを有し、上記マイクロコンピュータは上記コンパレータの出力を用いてA/D変換部からの出力を利得切換前の値に戻す処理を行うようにしたものである。
【0010】また、A/D変換部は、入力信号を直接アナログ/デジタル変換してマイクロコンピュータに出力する第一のA/D変換器と、上記入力信号にあらかじめ設定された乗数をかけて出力する利得調整アンプと、この利得調整アンプの出力をアナログ/デジタル変換してマイクロコンピュータに出力する第二のA/D変換器とを有し、上記マイクロコンピュータは、上記第一のA/D変換器の飽和領域では、上記第二のA/D変換器の出力を利得調整前の値に戻して出力する処理を行うようにしたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1に係る電流測定装置を示すものである。図において、1は電流測定の対象となる導体、2はこの導体1に取り付けたロゴスキーコイル、3はロゴスキーコイル2の出力を適正な電圧に変換する入力調整回路である。4は入力調整回路3の出力電圧を調整するAGCアンプ、5はAGCアンプ4の出力をアナログ/デジタル変換する第一のA/D変換器、6はAGCアンプ4の制御電圧出力をアナログ/デジタル変換する第二のA/D変換器であり、AGCアンプ4と第一のA/D変換器5と第二のA/D変換器6とでA/D変換部20を構成する。7は第一のA/D変換器5と第二のA/D変換器6を制御し、その出力を得て処理するマイクロコンピュータ、8はマイクロコンピュータ7からのデータを表示する表示器である。
【0012】次に動作を説明する。ロゴスキーコイル2で検出された電流測定の対象となる導体1を流れる電流に対応する電圧信号は、入力調整回路3で適正な電圧に調整された後、A/D変換部20のAGCアンプ4に入力される。AGCアンプ4は、入力電圧が高ければ利得が小さく、入力電圧が低ければ利得が大きくなるという特性を有しており、入力電圧の広範な変化に対して出力をある一定の範囲内に圧縮して出力するとともに、そのときの利得に対応する制御信号を出力する。マイクロコンピュータ7は第一のA/D変換器5を制御してAGCアンプ4の出力電圧をアナログ/デジタル変換させ、取り込む。このとき、第一のA/D変換器5の入力電圧は、AGCアンプ4により第一のA/D変換器5に適合する範囲内に圧縮されているため、飽和などの現象をおこすことなく正確に変換されたデータを得ることができる。
【0013】また、同時にマイクロコンピュータ7は、第二のA/D変換器6を制御してAGCアンプ4の利得を示す制御信号出力をアナログ/デジタル変換させて取り込み、これを、先にAGCアンプ4の出力を第一のA/D変換器でアナログ/デジタル変換して得たデータに乗ずるソフトウェア演算を行うことにより、ロゴスキーコイル2で検出した値を正確に得る。さらに、マイクロコンピュータ7は得た値を表示器8に出力し、表示器8はこれを表示する。
【0014】以上のような構成とすることにより、非常に高価なダイナミックレンジの広いA/D変換器を用いずとも、安価なA/D変換器で広いダイナミックレンジを有する電流測定装置を実現することができる。
【0015】実施の形態2.図2はこの発明の実施の形態2に係る電流測定装置を示すもので、図において、9は入力調整回路3の出力が接続されたログアンプ、10はログアンプ9の出力を入力してアナログ/デジタル変換するA/D変換器であり、これらでA/D変換部20を構成している。A/D変換器10の出力はマイクロコンピュータ7に接続されている。その他の構成は図1と同じであるので説明を省略する。
【0016】次に動作を説明する。実施の形態1と同様に入力調整回路3から出力された電圧信号はA/D変換部20のログアンプ9に入力される。ログアンプ9は入力電圧に対して対数関数出力を行うという特性を有しており、言い換えると、入力電圧が高くなるにつれて対数関数状に利得が小さくなるものである。すなわち、入力電圧の大きな変化を圧縮する効果がある。マイクロコンピュータ7はA/D変換器10を制御してログアンプ9の出力をアナログ/デジタル変換させ取り込んだ後、マイクロコンピュータ7内部にあらかじめ記憶したログアンプ9の特性テーブルに基づきソフトウェアによる逆演算を行い、元の電圧値を求める。
【0017】以上のような構成とすることにより、A/D変換器だけでは飽和を起こして正確なアナログ/デジタル変換が行えなくなるような広い範囲の電圧値を正確に変換することができるため、安価なA/D変換器を用いて広いダイナミックレンジを有する電流測定装置を実現することができる。
【0018】実施の形態3.図3はこの発明の実施の形態3に係る電流測定装置を示すもので、図において、11は入力調整回路3からの出力をあらかじめ設定されたしきい値で2値化してその結果を出力するコンパレータ、12は入力調整回路3の出力を入力し、コンパレータ11からの出力に従って利得が切り換わる利得切換アンプであり、コンパレータ11と利得切換アンプ12とA/D変換器10とによりA/D変換部20を構成している。コンパレータ11の出力はマイクロコンピュータ7にも入力されている。その他の構成は図1と同じなので説明を省略する。
【0019】次に動作を説明する。実施の形態1と同様に入力調整回路3から出力された電圧信号はA/D変換部20のコンパレータ11に入力される。コンパレータ11は、この入力信号とあらかじめ設定されたしきい値との比較を行い、その結果を利得切換アンプ12とマイクロコンピュータ7に出力する。利得切換アンプ12は、コンパレータ11から入力される比較結果により、入力調整回路3の出力電圧値がしきい値より大きい場合には利得が小さく、逆の場合には利得が大きくなるように構成されており、これに応じた出力がA/D変換器10に入力される。マイクロコンピュータ7はA/D変換器10を制御して利得切換アンプ12の出力をアナログ/デジタル変換して取り込むと同時にコンパレータ11の出力も取り込み、A/D変換器10からのデータにコンパレータ11の出力に応じてあらかじめ記憶した常数をソフトウェア演算して結果を得る。
【0020】以上のような構成とすることにより、A/D変換器だけでは飽和を起こして正確なアナログ/デジタル変換が行えなくなるような広い範囲の電圧値を正確に変換することができるため、安価なA/D変換器を用いて広いダイナミックレンジを有する電流測定装置を実現するとができる。
【0021】また、本実施の形態では、コンパレータ11は一つのしきい値のみを持ち2値化する方式を示したが、複数のしきい値を持ち、多段階の利得を切り換えるようにすればさらにダイナミックレンジを広げることが可能であることは言うまでもない。
【0022】実施の形態4.図4はこの発明の実施の形態4に係る電流測定装置を示すもので、図において、13は入力調整回路3に接続された第一のA/D変換器であり、その出力はマイクロコンピュータ7に入力される。14は入力調整回路3の出力を入力し、その値に一定の減衰を与えて出力する利得調整回路であり、その出力は第二のA/D変換器15に接続されている。第一のA/D変換器13と利得調整回路14と第二のA/D変換器15でA/D変換部20を構成している。A/D変換部20の出力はマイクロコンピュータ7に接続されている。その他の構成は図1と同じなので説明を省略する。
【0023】次に動作を説明する。実施の形態1と同様に入力調整回路3から出力された電圧信号は、第一のA/D変換器13に入力されると同時に利得調整回路14により一定の減衰を加えられた後、第二のA/D変換器にも入力される。マイクロコンピュータ7は、第一のA/D変換器13を制御して入力調整回路3の出力をアナログ/デジタル変換させて取り込むとともに、第二のA/D変換器15を制御して入力調整回路3の出力を減衰させた信号をアナログ/デジタル変換して取り込む。次に、マイクロコンピュータ7は、第一のA/D変換器13から得たデータが第一のA/D変換器13の出力し得る最大値を下回っている場合はその値を採用して表示器8に出力し、最大値に等しいかそれ以上の場合は、第二のA/D変換器15から取り込んだ値にあらかじめ記憶した利得調整回路14の減衰率に基づきソフトウェア演算を行った後、表示器8に出力する。
【0024】以上のような構成とすることにより、A/D変換器だけでは飽和を起こして正確なアナログ/デジタル変換が行えなくなるような広い範囲の電圧値を正確に変換することができるため、安価なA/D変換器を用いて広いダイナミックレンジを有する電流測定装置を実現することができる。
【0025】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、安価なA/D変換器を用いて広範なダイナミックレンジを実現することにより、測定範囲が広く測定精度の高い極めて安価な電流測定装置を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】 【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
【公開番号】 特開2001−194390(P2001−194390A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−6682(P2000−6682)