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【発明の名称】 電源電流測定装置
【発明者】 【氏名】橋本 好弘

【要約】 【課題】高速な試験に適した電源電流測定装置を提供する。

【解決手段】電気部品50に所定の電圧を供給し、電気部品50に流れる電流を測定するための電源電流測定装置であって、電気部品50が動作するのに十分な電流を電気部品50に供給する第一の電源回路60と、十分な電流よりも少ない電流を電気部品50に供給する第二の電源回路70と、第一の電源回路60と電気部品50との間に設けられたスイッチ28と、一端が電気部品50及びスイッチ28に接続され、他端が接地された第一のコンデンサ32とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気部品に所定の電圧を供給し、前記電気部品に流れる電流を測定するための電源電流測定装置であって、前記電気部品が動作するのに十分な電流を前記電気部品に供給する第一の電源回路と、前記十分な電流よりも少ない電流を前記電気部品に供給する第二の電源回路と、前記第一の電源回路と前記電気部品との間に設けられたスイッチと、一端が前記電気部品及び前記スイッチに接続され、他端が接地された第一のコンデンサとを備えることを特徴とする電源電流測定装置。
【請求項2】 前記スイッチが閉じている時は、前記第一の電源回路及び前記第二の電源回路が前記電気部品に電流を供給し、前記スイッチが開いている時は、前記第二の電源回路のみが前記電気部品に電流を供給することを特徴とする請求項1に記載の電源電流測定装置。
【請求項3】 前記第二の電源回路と、前記第一のコンデンサとの間に直列に接続された抵抗器を更に有することを特徴とする請求項1または2に記載の電源電流測定装置。
【請求項4】 前記第一の電源回路は、前記電気部品に供給する電圧を安定化する負帰還回路を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電源電流測定装置。
【請求項5】 前記第一の電源回路は、非反転入力端子に参照電圧が入力された、前記十分な電流を供給する第一の演算増幅器と、一端が前記第一の演算増幅器の出力端に接続され、他端が前記第一の演算増幅器の反転入力端子に接続された第一の抵抗器と、前記第一の抵抗器に並列に接続された第二のコンデンサとを有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電源電流測定装置。
【請求項6】 前記第二の電源回路は、前記電気部品に供給する電圧を安定化する負帰還回路を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電源電流測定装置。
【請求項7】 前記第二の電源回路は、非反転入力端子に参照電圧が入力された、前記十分な電流よりも少ない電流を供給する第二の演算増幅器と、一端が前記第二の演算増幅器の出力端に接続され、他端が前記第二の演算増幅器の反転入力端子に接続された第二の抵抗器と、前記第二の抵抗器に並列に接続された第三のコンデンサとを有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電源電流測定装置。
【請求項8】 前記第三のコンデンサの容量は、前記第二のコンデンサの容量よりも小さいことを特徴とする請求項7に記載の電源電流測定装置。
【請求項9】 電気部品の特性を試験する方法であって、前記電気部品に所定の電圧を供給する第一の電源と前記電気部品とを接続するスイッチを閉じる工程と、前記電気部品に所定の電気信号を入力する工程と、前記スイッチを開放する工程と、前記電気部品が動作していない状態において、前記電気部品に所定の電圧を供給する第二の電源から前記電気部品に流れる電流を測定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項10】 前記スイッチを開放する工程は、前記電気信号を入力する工程が終了してから、前記第一の電源が前記電気部品に供給する電圧が上昇し終わるまでに行われることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】 前記スイッチを開放する工程は、前記電気信号を入力する工程が終了する時点とほぼ同時に行われることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気部品に所定の電圧を供給し、電気部品に流れる電流を測定するための電源電流測定装置に関する。特に、本発明は、高速な試験に適した電源電流測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】大規模集積回路(LSI)などの電気部品には、主にCMOS構造のトランジスタが用いられている。CMOS構造のトランジスタを用いたデバイスでは、入力論理データを変化させる時、すなわち動作状態では大きな電源電流が流れ、入力論理データが変化しない状態、すなわち静止状態ではごく微小な電源電流が流れる。故障したCMOSトランジスタにおいては、静止状態の微小電源電流の値が異常を示す。この現象を利用して、様々な入力論理データを順次入力した後の静止状態における電源電流の値を測定することによって、CMOSデバイスの故障を発見することができる。
【0003】図1は、従来の試験装置に用いられている電源電流測定装置の構成を示す。従来の電源電流測定装置は、演算増幅器10、参照電圧電源12、負帰還回路14、微少電流測定用抵抗器20、大電流測定用抵抗器22、位相補償コンデンサ24、電流測定レンジ切り換え用スイッチ26、バイパスコンデンサ32、小容量バイパスコンデンサ34、及びバイパスコンデンサ用スイッチ30を備える。参照電圧電源12は、被試験部品50に供給すべき直流電圧と等しい電圧を演算増幅器10の非反転入力端子に供給する。演算増幅器10の出力電圧は、並列に接続された微少電流測定用抵抗器20、大電流測定用抵抗器22、及び位相補償コンデンサ24を介して被試験部品50に供給される。被試験部品50に供給される電圧は、負帰還回路14を介して演算増幅器10の反転入力端子に負帰還される。バイパスコンデンサ32及び小容量バイパスコンデンサ34は、被試験部品50の近傍に並列接続される。大電流測定用抵抗器22及びバイパスコンデンサ32は、それぞれ、電流測定レンジ切り換え用スイッチ26及びバイパスコンデンサ用スイッチ30によって回路から切り離されることができる。
【0004】従来の電源電流測定装置においては、位相補償コンデンサ24の容量が比較的大きいため、動作時から静止時へ移行する際に時間がかかった。また、それを解決しようとして、静止時に大容量のバイパスコンデンサ32を回路から切り離し、小容量バイパスコンデンサ34のみを用いるようにすると、バイパスコンデンサ用スイッチ30のオン抵抗によってバイパスコンデンサ32の特性が悪化するという問題があった。なお、バイパスコンデンサ用スイッチ30を設けた構成は、特開平7−248353において開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、上記の課題を解決することのできる電源電流測定装置を提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の第1の形態における電源電流測定装置は、電気部品に所定の電圧を供給し、電気部品に流れる電流を測定するための電源電流測定装置であって、電気部品が動作するのに十分な電流を電気部品に供給する第一の電源回路と、十分な電流よりも少ない電流を電気部品に供給する第二の電源回路と、第一の電源回路と電気部品との間に設けられたスイッチと、一端が電気部品及びスイッチに接続され、他端が接地された第一のコンデンサとを備える。
【0007】スイッチが閉じている時は、第一の電源回路及び第二の電源回路が電気部品に電流を供給し、スイッチが開いている時は、第二の電源回路のみが電気部品に電流を供給しても良い。第二の電源回路と、第一のコンデンサとの間に直列に接続された抵抗器を更に有しても良い。第一の電源回路は、電気部品に供給する電圧を安定化する負帰還回路を有しても良い。第一の電源回路は、非反転入力端子に参照電圧が入力された、十分な電流を供給する第一の演算増幅器と、一端が第一の演算増幅器の出力端に接続され、他端が第一の演算増幅器の反転入力端子に接続された第一の抵抗器と、第一の抵抗器に並列に接続された第二のコンデンサとを有しても良い。第二の電源回路は、電気部品に供給する電圧を安定化する負帰還回路を有しても良い。第二の電源回路は、非反転入力端子に参照電圧が入力された、十分な電流よりも少ない電流を供給する第二の演算増幅器と、一端が第二の演算増幅器の出力端に接続され、他端が第二の演算増幅器の反転入力端子に接続された第二の抵抗器と、第二の抵抗器に並列に接続された第三のコンデンサとを有しても良い。第三のコンデンサの容量は、第二のコンデンサの容量よりも小さくても良い。
【0008】本発明の第1の形態における試験方法は、電気部品の特性を試験する方法であって、電気部品に所定の電圧を供給する第一の電源と電気部品とを接続するスイッチを閉じる工程と、電気部品に所定の電気信号を入力する工程と、スイッチを開放する工程と、電気部品が動作していない状態において、電気部品に所定の電圧を供給する第二の電源から電気部品に流れる電流を測定する工程とを含む。
【0009】スイッチを開放する工程は、電気信号を入力する工程が終了してから、第一の電源が電気部品に供給する電圧が上昇し終わるまでに行われても良い。スイッチを開放する工程は、電気信号を入力する工程が終了する時点とほぼ同時に行われても良い。
【0010】なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態はクレームにかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】(実施形態1)図2は、本発明の実施形態に係る電源電流測定装置の構成を示す。本実施形態に係る電源電流測定装置は、第一の電源回路60、第二の電源回路70、スイッチ28、バイパスコンデンサ32、及び位相補償抵抗器40を備える。第一の電源回路60は、スイッチ28に接続される。スイッチ28は、一端が第一の電源回路60に、他端が被試験部品50、位相補償抵抗器40、及びバイパスコンデンサ32に接続される。第二の電源回路70は、位相補償抵抗器40に接続される。位相補償抵抗器40は、一端が第二の電源回路70に、他端がスイッチ28、バイパスコンデンサ32、及び被試験部品50に接続される。バイパスコンデンサ32は、一端が接地され、他端がスイッチ28、位相補償抵抗器40、及び被試験部品50に接続される。
【0013】第一の電源回路60は、第一の演算増幅器10a、第一の参照電圧電源12a、第一の負帰還回路14a、大電流測定用抵抗器22、及び第一の位相補償コンデンサ24aを備える。第一の参照電圧電源12aは、第一の演算増幅器10aの非反転入力端子に被試験部品50に供給すべき電圧に等しい電圧を供給する。第一の演算増幅器10aの出力電圧は、並列に接続された大電流測定用抵抗器22及び第一の位相補償コンデンサ24aを介して被試験部品50に供給される。被試験部品50に供給する電圧は、第一の負帰還回路14aを介して第一の演算増幅器10aの反転入力端子に負帰還される。第二の電源回路70は、第二の演算増幅器10b、第二の参照電圧電源12b、第二の負帰還回路14b、微少電流測定用抵抗器20、及び第二の位相補償コンデンサ24bを備える。第二の電源回路70の構成は、第一の電源回路60の構成と同様である。
【0014】第一の演算増幅器10a及び第二の演算増幅器10bは、非反転入力端子に入力された参照電圧と、反転入力端子に入力された被試験部品50に供給される電圧とが異なる場合、各端子の電圧が等しくなるように出力を調整する。これによって、被試験部品50に供給する電圧を安定化させることができる。微小電流測定用抵抗器20は、静止時の微小電源電流を測定するための抵抗器であって、比較的大きな抵抗値を有する。大電流測定用抵抗器22は、動作時の電源電流を測定するための抵抗器であって、微小電流測定用抵抗器20よりも小さい抵抗値を有する。第一の位相補償コンデンサ24a及び第二の位相補償コンデンサ24bは、第一の演算増幅器10a及び第二の演算増幅器10bの動作が不安定になるのを防ぐ。
【0015】大電流測定用抵抗器22の抵抗値をR1、小電流測定用抵抗器20の抵抗値をR2、第一の位相補償コンデンサ24aの容量をC1、第二の位相補償コンデンサ24bの容量をC2、バイパスコンデンサ32の容量をCLとする。第一の演算増幅器10aの開ループ利得は、周波数f1=1/2πR1CLを越えると−12dB/octの2次遅れの特性に変わり、動作が不安定になるが、周波数f2=1/2πR1C1を越えると再び−6dB/octの1次遅れの特性に戻り、動作が安定になる。C1を比較的大きな値に設定することによって、第一の演算増幅器10aの周波数特性を改善し、動作を安定化させることができる。第二の演算増幅器10bの開ループ利得は、周波数f1=1/2πR1CLを越えると−12dB/octの2次遅れの特性に変わり、動作が不安定になるが、周波数f2=1/2πR3CLを越えると再び−6dB/octの1次遅れの特性に戻り、動作が安定になる。R3を比較的大きな値に設定することによって、第二の演算増幅器10bの周波数特性を改善し、動作を安定化させることができる。
【0016】図3は、本実施形態に係る試験方法を示す。図3の手順に従って、図2の各部の動作を述べる。まず、スイッチ28が閉じられ、第一の電源回路60と被試験部品50とが接続される(S10)。次に、被試験部品50に試験装置(図示せず)から所定の電気信号が入力される(S12)。このとき、被試験部品50には比較的大きな値の電流が流れる。第一の電源回路60と第二の電源回路70の両方が被試験部品50に電流を供給することができるが、第二の電源回路70と被試験部品50との間には、抵抗器40が直列に接続されているため、主に第一の電源回路60が被試験部品50に電流を供給する。すなわち、第一の電源回路50は、被試験部品50が動作するのに十分な電流を供給する。被試験部品50に試験装置から所定の電気信号が入力された時に、急激に大きな電流が流れるが、第一の電源回路60がこの変化に応答して被試験部品50が動作するのに十分な電流を供給するまでには所定の時間を要する。その間は、バイパスコンデンサ32が被試験部品50に電流を供給する。この際、バイパスコンデンサ32の放電に伴う電源電圧の低下を最小限に抑えるためには、バイパスコンデンサ32の容量を大きくする必要がある。第一の電源回路60が被試験部品50の動作に十分な電流を供給するようになった時、第一の電源回路60と第二の電源回路70との間に電圧差があると、第一の電源回路60から第二の電源回路70へ電流が流れ込む。この電流を抑えるために、第一の電源回路60と第二の電源回路70との間に抵抗器40が設けられている。
【0017】試験装置から被試験部品50への電気信号の入力が終了する時に、スイッチ28が開放される(S14)。スイッチ28は、電気信号の入力が終了する前に開放されても良いし、電気信号の入力が終了してから開放されても良いが、電気信号の入力が終了するのとほぼ同時に開放されるのが好ましい。電気信号の入力が終了すると、被試験部品50にはほとんど電流が流れなくなるが、第一の電源回路60が変化に応答するまでには所定の時間を要する。スイッチ28が接続されたままであれば、第一の電源回路60が供給し続ける電流はバイパスコンデンサ32に流れ込み、バイパスコンデンサ32の電圧が被試験部品50に供給すべき電圧よりも高くなる。このときにスイッチ28が開放されると、第二の電源回路70が変化に追随して定常状態になるまでに時間がかかり、試験時間が長くなる。電気信号の入力が終了して被試験部品50にほとんど電流が流れなくなるのとほぼ同時にスイッチ28が開放されると、バイパスコンデンサ32及び第二の電源回路70にほとんど影響を与えず、定常状態を保ったまま静止時の電流測定を行うことができる。これによれば、試験時間を短縮することができる。
【0018】第一の電源回路60においては、第一の演算増幅器10aの位相を補償するために、第一の位相補償コンデンサ24aの容量C1は比較的大きな値に設定されている。しかし、静止時にはスイッチ28を開放することによって第一の電源回路60と第二の電源回路70とは切り離されているため、第一の位相補償コンデンサ24aに蓄積された電荷の放電過程は試験時間に影響を及ぼさない。第二の電源回路70においては、第二の演算増幅器10bの位相を補償するために、位相補償抵抗器40が接続されている。このため、第二の位相補償コンデンサ24bの容量C2は比較的小さい値で十分である。これによって、第二の位相補償コンデンサ24bに蓄積された電荷が放電され、回路が定常状態に落ち着くまでの時間を短縮することができ、ひいては試験時間を短縮することができる。
【0019】スイッチ28が開放されると、第二の電源回路70のみが被試験部品50に電流を供給する。第二の電源回路70は、被試験部品50が動作するのに十分な電流よりも少ない電流を被試験部品50に供給する。回路が定常状態に落ち着くと、微小電流測定用抵抗器20の両端の電圧差を測定することによって、被試験部品50の静止時における微小電源電流が測定される(S16)。これによって、被試験部品50の故障の有無を判定できる。続いて、全ての試験が終了したかどうかが判断され(S18)、終了であればYESに進み、試験が終了する。まだ試験項目が残っていればNOに進み、再び一連の工程が繰り返される。
【0020】以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0021】
【発明の効果】上記説明から明らかなように、本発明によれば高速な試験に適した電源電流測定装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
【出願日】 平成11年7月30日(1999.7.30)
【代理人】 【識別番号】100104156
【弁理士】
【氏名又は名称】龍華 明裕
【公開番号】 特開2001−41997(P2001−41997A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−218140