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【発明の名称】 交流回路の故障検出方式
【発明者】 【氏名】岩見 英司

【氏名】塩川 明実

【氏名】国元 洋一

【氏名】忠澤 孝明

【要約】 【課題】直列アークを各種負荷電流から識別できかつ、これを低コストで実現できる交流回路の故障検出方式を提供する。

【解決手段】交流回路において、直列アーク故障等により発生する交流電流の零交差ごとに繰り返し発生する不連続期間の期間の長さを求める期間判定手段と、所定数の不連続期間の期間の長さを比較して予め定めた所定の比率になったことに応答して直列アーク故障を示す故障出力信号を発生するアーク判定手段と、から成ることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 交流回路において、直列アーク故障等により発生する交流電流の零交差ごとに繰り返し発生する不連続期間の期間の長さを求める期間判定手段と、所定数の不連続期間の期間の長さを比較して予め定めた所定の比率になったことに応答して直列アーク故障を示す故障出力信号を発生するアーク判定手段と、から成ることを特徴とする交流回路の故障検出方式。
【請求項2】 前記期間判定手段は、交流電流を一階微分する一階微分手段と、交流電流の一階微分値が交流周波数の半サイクル毎に一定値となる一定期間の長さを検出する一定値期間検出手段とから成ることを特徴とする請求項1記載の交流回路の故障検出方式。
【請求項3】 前記アーク判定手段は、所定数の不連続期間の期間の長さにおいて、不連続期間の長さが最小となる最小不連続期間と不連続期間の期間の長さが最大となる最大不連続期間との比が予め定めた所定の値になったことに応答して直列アーク故障を示す故障出力信号を発生することを特徴とする請求項1記載の交流回路の故障検出方式。
【請求項4】 前記アーク判定手段は、所定数の不連続期間の期間の長さにおいて、経過とともに不連続期間の長さが単調増加または単調減少の傾向にある場合には故障出力信号の送出を停止する手段を含むことを特徴とする請求項1記載の交流回路の故障検出方式。
【請求項5】 前記一定値期間検出手段は、交流電流の一階微分波形をサンプリングするサンプリング手段と、交流電流の毎サイクルの正半または負半サイクルの微分値が一定値となる一定期間の長さを検出する時間検出手段と、からなることを特徴とする請求項2記載の交流回路の故障検出方式。
【請求項6】 前記アーク判定手段は、交流電流の毎サイクルの正半または負半サイクルにおける第1の極大値変数と第2の極大値変数の各々の最終値を比較して予め定めた所定の比率になった時に故障出力信号の発生を阻止する故障出力信号発生阻止手段を含むことを特徴とする請求項5記載の交流回路の故障検出方式。
【請求項7】 前記一階微分手段は、熱動−電磁式遮断器の引き外し装置の一部であるプランジャーの巻線部を含むことを特徴とする請求項2記載の交流回路の故障検出方式。
【請求項8】 前記一階微分手段は、熱動−電磁式遮断器の引き外し装置の一部であるプランジャーの巻線部の一部または全部から取り出される電圧もしくは、プランジャーの巻線部に追加巻線を施した総合巻線から取り出される電圧を交流電流の一階微分波形とすることを特徴とする請求項7記載の交流回路の故障検出方式。
【請求項9】 前記一階微分手段は、熱動−電磁式遮断器の引き外し装置の一部であるプランジャーの巻線部内を通過する磁束を共有する別巻線を配置し、該別巻線から取り出される電圧を交流電流の一階微分波形とすることを特徴とする請求項7記載の交流回路の故障検出方式。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋内配線等の交流回路において発生する、ある状況下で電気火災の危険性を引き出すアーク故障の検出方式に関する。
【0002】
【従来の技術】屋内配線等の交流回路における配線や、負荷に至る電源ケーブルに、切断・押しつけ等の物理的力がかかることにより該当箇所の導電路部分にギャップ、素線の損傷・切れ等が生ずると、該当箇所を含む回路に電圧がかかっている場合には温度、湿度等の外的要因も加わって該当箇所の導電路部分にアーク(放電)が発生することがある。さらに、発生したアークの周囲に着火物があれば、最悪の場合電気火災を引き起こす可能性がある。このような電気火災を引き起こすアーク特有の現象を検出して回路遮断器と組み合わせることで、アークエネルギー源となる交流回路の電圧とアーク発生箇所とを切り放す即ち遮断することにより、電気火災の可能性を低減しようとする装置の研究がなされている。
【0003】一般に、アーク故障の種類は、アークが通る経路の観点から、並列アークと直列アークに分けられる。並列アークとは、配線や、負荷に至る電源ケーブルにおける導電路間の絶縁が、壊れてその線間に発生するアークをいう。一方、直列アークとは、配線や、負荷に至る電源ケーブルにおける単一導電路中にできたギャップなどに発生するアークをいう。並列アーク及び直列アークとも放電現象であり、電気火災の原因となりうる。アークの電流の大きさについては一般に、並列アークでは線間を短絡するので負荷電流よりも大きく、直列アークでは負荷電流以上は流れないために小さい。このため、負荷電流以上は流れていない時即ち、負荷を正常に使用している時が直列アーク故障は発生している状況が考えられ、これは、通常の過電流遮断器では配線や、負荷に至る電源ケーブルを当然ながら保護できない。
【0004】上述した直列アークの検出に関する従来例としては、特開平10-62486号がある。図7(a)および図7(b)は、従来のアーク検出方式を説明するためのものであり、特開平10-62486からの転記載である。従来例となる特開平10-62486の解決手段(要点部分)は次のとおりである。
【0005】図76(a)に示す交流回路の電流の二次導関数を表わす図7(b)に示す二次導関数信号を発生させる。この信号に第1のパルスP1と、このパルスの所定時間経過後に開始される所定持続時間の区間内に第1のパルスとは反対極性の第2のパルスP2が含まれる場合さらには、このパルス対Pが所定のタイミングで繰り返し発生するパターンが感知される場合に限り、直列アーク故障を指示する出力信号が発生する。これは、図7(a)に示す電流波形が零交差毎に不連続部分を発生する点を直列アーク特有の現象として利用したもので、パルス対の時間間隔をもってこの不連続部分の時間間隔とし、この時間間隔が所定時間区間内に収まる即ち、不連続部分の時間間隔が一定値以下であることをもって直列アーク故障と判断するというのが、その意図するところである。
【0006】従来例(特開平10-62486)の改善すべき点は、以下の(1)及び(2)である。
(1)従来の解決手段では性能低下を招く可能性があり、これを改善すべきである。ここで、“従来の解決手段では性能低下を招く可能性がある”理由を説明する。従来(特開平10-62486)の解決手段の項には次の記載がある。直列アークの検出方式に関して、「ランプの調光装置と、例えばテレビ受像機に用いられるような全波整流器と容量性入力フィルタを用いる電源が発生する電流波形は、直列アークの波形によく似た波形を発生することが知られている。この電源が発生させる波形は、電源投入時における非常に短い時間周期を除き直列アークよりも“長い”不連続部分をもつものと予想できる。従って、互いに反対極性のパルス対が所定のタイミングで繰り返し発生するパターンが感知される場合に限りアークを示す出力信号を発生させる」という考え方はすなわち、直列アークとは“短い”不連続部分を有するもののみを指すことを意味する。“短い”の判定は、上述したパルス対Pの時間間隔が“所定(時間)区間内に収まる”かどうかとなる。この解決手段を用いたとすると、問題となる性能低下を招く可能性があるのは大きく以下の2点のケースである。尚、いずれのケースも直列アークとは“短い”不連続部分を有するもののみを指すとしたことが原因と考える。
【0007】ケース1;主としてコンデンサと整流回路とから構成されるリニアレギュレータ電源や、スイッチング電源を持つような負荷が交流回路に含まれる場合は、従来の解決手段にも記されているように、直列アークの電流波形によく似た電流波形が発生する。すなわち、これらの負荷の波形は、零交差付近で不連続部分を有する。負荷波形の不連続部分の長さは、負荷の出力によって左右されるために、電源投入時を除いたとしてもその長さは必ずしも直列アークの場合よりも長いとは言いきれない。このため、これらの負荷の出力が大きく、波形としては不連続部分が短く現れるときに、従来の解決手段によれば負荷波形を直列アークであると誤って検出する可能性がある。
【0008】ケース2;直列アークが発生したとき、発生箇所での電気的な状態はアークによる導電路や導電路被覆の劣化、さらには温度・湿度等の外的要因も加わるために刻々と変化すると考えられる。この変化による電流波形への影響は、従来の解決手段が言うところの”短い”不連続部分が繰り返し発生するパターンとなることは少なく、むしろ”長い”・”短い”がランダム的に起きる不連続部分が繰り返し発生するパターンとなることが充分に予想される。このため、直列アークの発生に伴ってあらわれた波形に、長い場合が比較的多い回数含まれた不連続部分が繰り返し発生するパターンの場合には、直列アークと判断されないことがあり、これは検出信頼性の低下を意味する。
(2)主としてコンデンサと整流回路とから構成されるリニアレギュレータ電源やスイッチング電源を持つような負荷が交流回路に含まれる場合に、これらの負荷電流の出力を変化させるのはまれなことではない。従って、改善する必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように、従来では以下(1)〜(5)の問題がある。
(1)負荷を正常に使用している場合等の、過電流遮断器で保護できない低電流領域におけるアーク故障(直列アーク)を検出できない。
(2)主としてコンデンサと整流回路とから構成されるリニアレギュレータ電源やスイッチング電源を持つような負荷が交流回路に含まれる場合、これらの負荷(定常)電流と、直列アークのアーク電流とを識別(検出)できない。
(3)電流位相制御を行う調光器等の負荷が交流回路に含まれる場合、これらの負荷(定常)電流と、直列アークのアーク電流とを識別(検出)できない。
(4)主としてコンデンサと整流回路とから構成されるリニアレギュレータ電源やスイッチング電源を持つような負荷が交流回路に含まれる場合に、これらの負荷電流の出力変化と、直列アークのアーク電流とを識別(検出)できない。
(5)上記(1)〜(4)までの課題をクリアした直列アーク検出方式では低コストで実現できない。
【0010】本発明は、上記問題を鑑み成されたものであり、その目的とするところは、直列アークを各種負荷電流から識別できかつ、これを低コストで実現できる交流回路の故障検出方式を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題は、次に述べる発見に基づく本発明により解決される。直列アークの検出原理について、電流波形が零交差毎に不連続部分を発生する点を(従来例と同様に)直列アーク特有の現象として利用したもので、不連続部分の時間間隔が(導電路や導電路被覆の劣化、さらには温度・湿度等の外的要因も加わるために刻々と電気的な状態が変化するために)長くなったり短くなったりランダムな時間間隔を有するという発見に基づいて、直列アーク故障と判断するというのが本発明の意図するところである。
【0012】上記課題を解決するために、請求項1の発明は、交流回路において、直列アーク故障等により発生する交流電流の零交差ごとに繰り返し発生する不連続期間の期間の長さを求める期間判定手段と、所定数の不連続期間の期間の長さを比較して所定の比率になったことに応答して直列アーク故障を示す故障出力信号を発生するアーク判定手段と、からなることを特徴とするものである。
【0013】請求項2の発明においては、請求項1記載の発明において期間判定手段は、交流電流を一階微分する一階微分手段と、交流電流の一階微分値が交流周波数の半サイクル毎に一定値となる一定期間の長さを検出する「一定値期間検出手段」とを、含むことを特徴とするものである。
【0014】請求項3の発明においては、請求項1記載の発明においてアーク判定手段は、所定数の不連続期間の期間の長さにおいて、期間の長さが最小となる最小不連続期間と長さが最大となる最大不連続期間との比が所定の値になったことに応答して故障出力信号を発生することを特徴とするものである。
【0015】請求項4の発明においては、請求項1記載の発明においてアーク判定手段は、所定数の不連続期間の期間の長さにおいて、経過とともに期間の長さが単調増加または単調減少の傾向にある場合には故障出力信号の発生を阻止する手段を含むことを特徴とする。このため、主としてコンデンサと整流回路とから構成されるリニアレギュレータ電源やスイッチング電源を持つような負荷が交流回路に含まれる場合に、これらの負荷電流の出力変化から、直列アークのアーク電流のみを識別(検出)するという第四の課題を解決できる。
【0016】請求項5の発明においては、請求項2記載の発明において一定値期間検出手段は、交流電流の一階微分波形をサンプリング(サンプリング動作により得られる各値をP1,P2・・・Pn-1,Pn,・・・とする)する「サンプリング手段」と、同一階微分波形の毎サイクルの中、サンプリング値が負から正に変化する時点をその開始時点とする正半サイクル期間においては、サンプリング動作の経過に従って成立する条件と操作に関し、現在値Pn≧前回値Pn-1の条件1が成立すれば現在値Pnを第1極大値変数に置き換える操作1を行って、以降のサンプリング動作においても条件1が成立すれば操作1を継続し、現在値Pn<前回値Pn-1の条件2が成立した以降は第1極大値変数への置き換え操作1を禁止状態とし且つ第二極大値変数を使用可能状態とし、再び現在値Pn≧前回値Pn-1の条件3が成立すればその時点から現在値Pnを第二極大値変数に置き換える操作2を行って、以降のサンプリング動作においても条件3が成立すれば操作2を継続し、現在値Pn<前回値Pn-1の条件4が成立した以降は第二極大値変数への置き換え操作2を禁止状態とし、この後サンプリング値が正から負に変化することで示される正半サイクル期間の終了時点をもって正半サイクル期間における第1および第二極大値変数の各々の最終値を確定し、第1及び第二極大値変数の各々の最終値に対応するサンプリング時刻の時刻差を本正半サイクルの微分値が一定となる一定期間の長さとして求め、また負半サイクルにおける微分値が一定となる一定期間の長さについては、正半サイクルの場合とその極性を反転させた同様の方法により、すなわち条件1〜4の不等号の向きを反転させた各々の条件1〜4と操作1〜2とによって求める、以上の方法によって毎サイクルの正半・負半サイクルの微分値が一定値となる一定期間の長さを検出する「時間検出手段」と、からなることを特徴とするものである。
【0017】請求項6の発明においては、請求項5記載の発明においてアーク判定手段は、正半または負半サイクルにおける第1の極大値変数と第2の極大値変数の各々の最終値を比較して所定の比率になった場合には故障出力信号の発生を阻止する手段を含むことを特徴とするものである。
【0018】請求項7の発明においては、請求項2記載の発明において一階微分手段は、熱動−電磁式遮断器の引き外し装置の一部であるプランジャーの巻線部を含むことを特徴とするものである。
【0019】請求項8の発明においては、請求項7記載の発明において一階微分手段は、熱動−電磁式遮断器の引き外し装置の一部であるプランジャーの巻線部の1部または全部から取り出される電圧もしくはプランジャーの巻線部に追加巻線を施した総合巻線から取り出される電圧を交流電流の一階微分波形とすることを特徴とするものである。
【0020】請求項9の発明においては、請求項7記載の発明において一階微分手段は、熱動−電磁式遮断器の引き外し装置の一部であるプランジャーの巻線部内を通過する磁束を共有する別巻線を配置し、別巻線から取り出される電圧を交流電流の一階微分波形とすることを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明に係わる交流回路の故障検出方式の一実施の形態について、図1乃至図6を用いて、詳細に説明する。
【0022】以下、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る交流回路の故障検出方式の検出原理を説明する説明図である。図1において、図1(a)は直列アーク発生時に現れる電流波形であり、図1(b)は図1(a)の電流波形を一階微分した波形である。直列アークが発生している期間中は、「零交差毎に現れる波形が連続しない」不連続部分の時間間隔が長くなったり短くなったりランダムな時間間隔を有するという発見の様子(例)は、図1(a)で不連続期間t1〜t6がすなわち“不連続部分”にあたり、不連続期間t1〜t6はおのおのその時間幅が異なっているということが、“時間間隔が長くなったり短くなったりランダムな時間間隔を有する”にあたる。不連続期間t1〜t6の中では時間間隔に関して視覚的には、不連続期間t4が最も短く、不連続期間t6が最も長いが、直列アークに関する(米国UL1699規格に準じた)実験によれば、最も短いものと、最も長いものとを比べると時間間隔の比は少なくとも2倍はあるという結果を得ている。この結果に基づき、電流波形の不連続期間の時間間隔の比がおおむね2倍を越えた場合に直列アークと判定するというのが(本発明の)直列アーク検出原理の基礎となる考え方である。
【0023】本発明において使用する不連続期間の時間間隔をそれぞれの時間間隔の比を求めるために数値として取り出す前工程として行う、電流波形の不連続期間を波形的により際だたせるための工程が、一階微分であり、不連続期間は一階微分するとその値が原理的に零となるので、微分値が零となっている一定期間(=零期間)が不連続期間に相当する。具体的には、電流波形(a)及びこれに一階微分を施した(b)において、(a)の不連続期間t1の一階微分は(b)の零期間t1に相当する。t2、t3、・・・、t6についても同様の関係にある。
【0024】先に述べた“電流波形の不連続期間の時間間隔の比が、おおむね2倍を越えた場合に直列アークと判定する”という検出原理を数値例にて説明する。(電流(a)の一階微分工程後の波形である (b)の)零期間の時間幅を測定する(後述の一定値期間検出)手段を用いて、零期間t1、零期間t2、・・・、零期間t6のそれぞれの時間幅が、任意単位で、0.23、0.17、0.23、0.15、0.28、0.75が得られたとする。零期間t1〜t6の中で、零期間t4(時間幅は0.)は最短時間幅で、零期間t6(時間幅は0.75)は最長時間幅である。言いかえれば、不連続期間t4が最短時間間隔で、不連続期間t6が最長時間間隔である。(時間幅と時間間隔とは同義で使用)この組合せにおいて、最短時間間隔(0.15)と最長時間間隔(0.75)の比が、2倍(0.75÷0.15=5倍)を越える。そして、2倍を越えたことが判明したこの時点で、直列アーク発生と判断する。一方、直列アーク発生と判断しない場合の例としては、電流波形を観測し始めてから不連続期間t1を観測してさらに不連続期間t5を観測した時点におけるような場合であり、最短時間間隔(零期間t4の時間幅は0.)と最長時間間隔(零期間t5の時間幅は0.28)の比が2倍(0.28÷0.=1.87倍)を越えていないことがその理由である。
【0025】図3は、これまで説明してきた検出原理の具体的構成をあらわすもので、本発明の交流回路の故障検出方式の構成をあらわす構成図である。検出原理の流れを「構成要素」とその機能に区切って簡単に述べる。電流検出手段3によって検出された電流波形を、一階微分手段4によって一階微分し、一定値期間検出手段2によって一階微分波形の各零期間の時間幅を求め、アーク判定手段7によって(複数の)零期間の時間幅の中で最短のものと最長のものとを比較して、略2倍以上あるかをもって直列アークが発生しているかを判定する。一定値期間検出手段2の詳細については後述する。
【0026】アーク判定手段7は、不連続期間の時間間隔が単調増加または単調減少の傾向にある場合には、最短不連続期間と最長不連続期間の比が略2倍以上あるという直列アークの条件に関係なく直列アークであるという故障出力信号の発生をさせない。不連続期間の時間間隔が単調増加するとは、不連続期間t1≦不連続期間t2≦不連続期間t3≦不連続期間t4≦・・・の場合である。不連続期間の時間間隔が単調増加するとは、不連続期間t1≧不連続期間t2≧不連続期間t3≧不連続期間t4≧・・・の場合である。この単調増加、単調減少の関係にある不連続期間の群においては、最短不連続期間と最長不連続期間の比がおおむね2倍以上あっても直列アーク故障とは見做さない。
【0027】図2は、一階微分波形を入力ソースとして、各零期間の時間幅を求める「一定値期間検出手段」の処理方法を説明する説明図である。図2は直列アークが発生している場合の入力ソースである電流波形の一階微分波形の一部分の例、 図3は零期間の時間幅特に、正零期間の時間幅を求める処理フローである。説明にあたり、図2は、上述した図1(b)のいずれか一部分と考えてよい。零期間の時間幅の求め方を説明する。一定値期間検出手段2は、図4で示すように、大きくはサンプリング手段5と、時間検出手段6とに分けられる。サンプリング手段5の機能は一階微分波形をA/D変換し数値データとして得ることであり、時間検出手段6の機能はこの数値データから零期間の時間幅を数値で求めることである。
【0028】図3の、STARTを始めとして処理フローを下方へ説明してゆく。ステップ1にて、入力ソースである電流の一階微分波形をサンプリング手段5により数値データ(図2に示すのは、数値データ各値をP1,P2・・・Pn-1,Pn,・・・、及び正期間等の期間に関する呼び名)を得る。ステップ2にて、 Pn>0なら正期間、 Pn<0なら負期間と、後の処理が期間の正・負により異なるために分別する。本処理フロー及びその説明は、 Pn>0である正期間内にある正零期間の時間間隔を求めるところを主に記述する。サンプリング手段によって得られた現在値Pnが単調に増加する間、すなわちPn≧Pn-1 が成立する間は、A/D変換で得られた現在値Pnを第1の極大値変数に置き換えることをその間、サンプリング毎に繰り返す (ステップ3のYes分岐) 。ステップ4にて(a)の、P1≦P2≦・・・≦P6が単調に増加する間にあたり、 P6をサンプリングした時点で、第1の極大値変数へはP6が入力される。P7をサンプリングした時点で、現在値Pnが単調に増加しなくなった(P6>P7)ので、すなわちPn<Pn-1が成立(ステップ5のYes分岐)したので、ステップ6にて第1の極大値変数はP6のままとして新たなサンプリング値Pnの入力を禁止する。サンプリングは継続し(ステップ7へ)、P9をサンプリングした時点で、P8≦P9となって現在値Pnが再び単調増加に転じ、P13に至るまで単調増加傾向となるこの間は先のステップ3〜6と同1ステップを再び行う。“同一ステップ”とはそれぞれ、ステップ9はステップ3、ステップ10はステップ4、ステップ11はステップ5、ステップ12はステップ6、の関係をもって同一の処理をすることを意味する。 P14をサンプリングした時点で、P8≦P9≦・・・≦P13 かつ P13>P14が得られ、 ステップ12にて第2の極大値変数はP13のままとして新たなサンプリング値Pnの入力を禁止する。P6が第1の極大値変数に入力された時刻と、P13が第2の極大値変数に入力された時刻との時刻差が、正零期間の時間間隔である。以上が、 Pn>0の期間(=正期間)にある正零期間の時間間隔を求める説明であり、1方、Pn<0の期間(=負期間)にある負零期間の時間間隔は、ステップ3、5、9、11の不号部分を逆転させれば正期間の考え方を適用できる。
【0029】図5は、アーク判定手段7が調光器の負荷電流を直列アークとして誤検出しない原理を搭載した、アーク判定手段の検出原理を説明する説明図である。図5(a)は、調光器の負荷電流である。図5(b)は、図5(a)に一階微分を施した一階微分波形である。調光器の負荷電流波形は、位相制御によって、通電開始点が急峻な傾きで上昇するために、これが一階微分波形図5(b)上でピークが高く時間幅の狭いパルス的な波形としてあらわれる。これにより、第1の極大値変数と第2の極大値変数の差が拡大する。具体的構成にもよるが、仮に検出精度が20%とすれば、この第1極大値変数と第二極大値変数の差が1.2倍程度以上あれば調光器の負荷電流と見做す。この差が1.2倍程度以上あり調光器の負荷電流とした場合には、最短不連続期間と最長不連続期間の比が略2倍以上あっても直列アーク故障とは見做さない。
【0030】図6は、一階微分手段の具体的な回路を示すためのもので、本発明の故障検出方式の一階微分手段の回路構成をあらわす構成図である。電流が通る部分と接続される熱動ー電磁式遮断器の引き外し装置の一部であるプランジャーPLを一階微分手段の主構成として用いる。プランジャーPLは巻線であり、インダクタンスとして使用できるので、図6(b)のようにプランジャーに流れる電流をプランジャーの両端または1部から電圧として取り出せば、自己インダクタンスの原理にて一階微分の手段として利用できる。さらに、図6(c)のように追加巻線等でインダクタンス分増強し、相互インダクタンスの原理にて一階微分の手段として利用できる。
【0031】
【発明の効果】請求項1乃至請求項3または請求項5記載の発明によれば、負荷を正常に使用している場合等の、過電流遮断器で保護できない低電流領域におけるアーク故障(直列アーク)を検出することができるとともに、さらに主としてコンデンサと整流回路とから構成されるリニアレギュレータ電源やスイッチング電源を持つような負荷が交流回路に含まれる場合、これらの負荷(定常)電流と、直列アークのアーク電流とを識別(検出)することができるとい言う効果を奏する。
【0032】請求項4記載の発明によれば、主としてコンデンサと整流回路とから構成されるリニアレギュレータ電源やスイッチング電源を持つような負荷が交流回路に含まれる場合に、これらの負荷電流の出力変化から、直列アークのアーク電流のみを識別(検出)することができるとい言う効果を奏する。
【0033】請求項6記載の発明によれば、電流位相制御を行う調光器等の負荷が交流回路に含まれる場合、これらの負荷(定常)電流と、直列アークのアーク電流とを識別(検出)することができるとい言う効果を奏する。
【0034】請求項7乃至請求項9記載の発明によれば、熱動ー電磁式遮断器に本発明の構成を組み合わせたいときに電流検出手段及び一階微分手段として遮断器の構成(プランジャー)を利用することで、新たに電流検出手段及び一階微分手段としてCT(変流器)やCR微分回路を準備する必要がないために、直列アーク検出方式を低コストでできるとい言う効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成11年7月30日(1999.7.30)
【代理人】 【識別番号】100111556
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 淳二 (外1名)
【公開番号】 特開2001−41996(P2001−41996A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−217494