トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験




【発明の名称】 光電圧センサ
【発明者】 【氏名】浜田 英伸

【要約】 【課題】生産性の低下やコストの上昇を抑えつつ温度特性を改善した光電圧センサを提供する。

【解決手段】偏光子1、水晶製のλ/4板2、LiNbO3 結晶3および検光子4を含むセンサ部と、光ファイバーを介してセンサ部に光ビームを入射する発光部と、センサ部を通過した光ビームを光ファイバーを介して受光する受光部とからなる光電圧センサにおいて、LiNbO3 結晶3における入射ビームのビーム端での広がり角度または収束角度が0.8°ないし1.4°となるようなコア径を有する光ファイバーを発光部において使用する。これに代えて、LiNbO3 結晶3に入射するときの広がり角度または収束角度が0.8°ないし1.4°となるような部分ビームのみを受光部で選択的に受光するようなコア径やNAを有する光ファイバーを受光部で使用するようにしてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光ビームを発射する発光部と、前記光ビームの光路に沿って設定された所定の光軸上に偏光子、λ/4板、複屈折を有する電気光学結晶、および検光子が配置されているセンサ部と、前記センサ部を通過した後の前記光ビームを受光する受光部とを備え、前記受光部により受光された前記光ビームに基づき、前記電気光学結晶に印加された電圧を測定する光電圧センサであって、前記受光部により受光される前記光ビームが前記電気光学結晶に入射するときの前記光ビームの中心方向または広がり角度分布もしくは収束角度分布を表すパラメータのうちの少なくとも一つのパラメータと当該光電圧センサの特性との固有の関係に基づき、前記特性を改善するように、前記少なくとも一つのパラメータが予め決められた値に設定されていることを特徴とする光電圧センサ。
【請求項2】 前記光ビームの前記中心方向を表すパラメータは、前記光軸に対する前記中心方向の軸ずれ角度および軸ずれ方向であることを特徴とする、請求項1に記載の光電圧センサ。
【請求項3】 前記λ/4板は水晶で作製されており、前記電気光学結晶は、Z軸を前記光軸に合わせたLiNbO3結晶であり、前記発光部が発射する前記光ビームの中心波長は、0.8μmないし0.9μmであり、前記受光部により受光される前記光ビームが前記電気光学結晶に入射するときのビーム端での広がり角度または収束角度が0.8度ないし1.4度であることを特徴とする、請求項1に記載の光電圧センサ。
【請求項4】 前記センサ部を通過して前記受光部に到達する前記光ビームのうち一部のみを前記受光部が選択的に受光することにより、前記少なくとも一つのパラメータが前記予め決められた値に設定されることを特徴とする、請求項1に記載の光電圧センサ。
【請求項5】 前記受光部は、前記センサ部を通過して前記受光部に到達する前記光ビームのうち、前記電気光学結晶であるLiNbO3 結晶に入射するときの広がり角度または収束角度が0.8度ないし1.4度の範囲にある部分ビームのみを選択的に受光する選択的受光手段を含むことを特徴とする、請求項3に記載の光電圧センサ。
【請求項6】 前記受光部は、前記部分ビームのみを選択的に受光するようなコア径または開口数を有する光ファイバーを前記選択的受光手段として含むことを特徴とする、請求項5に記載の光電圧センサ。
【請求項7】 前記受光部は、前記部分ビームのみを選択的に受光するような径または開口数を有するレンズを前記選択的受光手段として含むことを特徴とする、請求項5に記載の光電圧センサ。
【請求項8】 前記発光部は、前記光ビームが通過する光ファイバーを含み、前記光ファイバーは、前記光ビームが前記電気光学結晶であるLiNbO3結晶に入射するときのビーム端での広がり角度または収束角度が0.8度ないし1.4度となるようなコア径を有していることを特徴とする、請求項3に記載の光電圧センサ。
【請求項9】 前記発光部は、光源波長で略0.25ピッチのGRINレンズと、コア径が0.16mmないし0.28mmである光ファイバーとを含み、前記光ファイバーおよび前記GRINレンズを経て前記光ビームを前記センサ部に発射することを特徴とする、請求項3に記載の光電圧センサ。
【請求項10】 光ビームを発射する発光部と、前記光ビームの光路に沿って設定された所定の光軸上に偏光子、λ/4板、複屈折を有する電気光学結晶、および検光子が配置されているセンサ部と、前記センサ部を通過した後の前記光ビームを受光する受光部とを備え、前記受光部により受光された前記光ビームに基づき、前記電気光学結晶に印加された電圧を測定する光電圧センサであって、前記偏光子の偏光方向と前記検光子の偏光方向とが互いに平行である場合には、前記発光部における前記光ビームの中心は、前記光ビームの参照面上での前記電気光学結晶の複屈折の進相軸と前記λ/4板の複屈折の進相軸とが互いに垂直となるような第1の方向に所定量だけずれた位置に設定され、前記偏光子の偏光方向と前記検光子の偏光方向とが互いに垂直である場合には、前記発光部における前記光ビームの中心は、前記光ビームの参照面上での前記電気光学結晶の複屈折の進相軸と前記λ/4板の複屈折の進相軸とが互いに平行となるような第2の方向に所定量だけずれた位置に設定されていることを特徴とする光電圧センサ。
【請求項11】 前記発光部は、前記光ビームが通過する光ファイバーとレンズとを含み、前記光ファイバーのコアの中心軸を前記第1または第2の方向に前記レンズの光軸に対して平行にずれた軸ずれ位置に設定することにより、前記発光部における前記光ビームの中心の位置が設定され、前記軸ずれ位置は、前記受光部における受光光量が極大となる位置であることを特徴とする、請求項10に記載の光電圧センサ。
【請求項12】 光ビームを発射する発光部と、前記光ビームの光路に沿って設定された所定の光軸上に偏光子、λ/4板、複屈折を有する電気光学結晶、および検光子が配置されているセンサ部と、前記センサ部を通過した後の前記光ビームを受光する受光部とを備え、前記受光部により受光された前記光ビームに基づき、前記電気光学結晶に印加された電圧を測定する光電圧センサであって、前記受光部は、前記センサ部を通過して前記受光部に到達する前記光ビームの一部である部分ビームを選択的に受光する選択的受光手段を含み、前記選択的受光手段は、前記偏光子の偏光方向と前記検光子の偏光方向とが互いに平行である場合には、前記部分ビームを構成する各ビーム素線の参照面上での前記電気光学結晶の複屈折の進相軸と前記λ/4板の複屈折の進相軸とが互いに略垂直となるように前記部分ビームを選択的に受光し、前記偏光子の偏光方向と前記検光子の偏光方向とが互いに垂直である場合には、前記部分ビームを構成する各ビーム素線の参照面上での前記電気光学結晶の複屈折の進相軸と前記λ/4板の複屈折の進相軸とが互いに略平行となるように前記部分ビームを選択的に受光することを特徴とする光電圧センサ。
【請求項13】 前記受光部は、前記光ビームが通過するレンズと、前記レンズを通過した後の前記光ビームの一部を選択的に受光する前記選択的受光手段としての光ファイバーとを含み、前記光ファイバーのコアの中心軸は、前記部分ビームが選択的に受光されるような方向に前記レンズの光軸に対して平行にずれた軸ずれ位置に設定され、前記軸ずれ位置は、前記受光部における受光光量が極大となる位置であることを特徴とする、請求項12に記載の光電圧センサ。
【請求項14】 前記発光部は、第1レンズと、前記第1レンズを収納する第1ホルダと、前記第1レンズを介して前記センサ部に前記光ビームを導入する第1光ファイバーと、前記第1光ファイバーの先端に取り付けられ、前記第1ホルダに挿入されて固定され、前記第1レンズと前記第1ホルダのいずれにも接しない側面部分に凹部を有する第1フェルールとを含み、前記第1光ファイバーは、前記第1ホルダと前記第1フェルールとの機械精度で前記第1レンズと光軸調整され、前記受光部は、第2レンズと、前記第2レンズを収納する第2ホルダと、前記センサ部を通過した前記光ビームを前記第2レンズを介して導出する第2光ファイバーと、前記第2光ファイバーの先端に取り付けられ、前記第2ホルダに挿入されて固定され、前記第2レンズと前記第2ホルダのいずれにも接しない側面部分に凹部を有する第2フェルールとを含み、前記第2光ファイバーは、前記第2ホルダと前記第2フェルールとの機械精度で前記第2レンズと光軸調整され、前記第1および第2ホルダと前記第1および第2フェルールとを囲み前記第1および第2フェルールにおける前記凹部を含む領域に接着剤を充填して硬化させることにより、前記第1および第2ホルダと前記第1および第2フェルールとが一体化されていることを特徴とする、請求項1に記載の光電圧センサ。
【請求項15】 前記発光部は、第1レンズと、前記第1レンズを収納し、前記第1レンズと接しない側面部分に貫通孔が設けられた第1ホルダと、前記第1レンズを介して前記センサ部に前記光ビームを導入する第1光ファイバーと、前記第1光ファイバーの先端に取り付けられ、前記第1ホルダに挿入されて固定され、前記第1ホルダにおける前記貫通孔と位置が一致する凹部を側面に有する第1フェルールとを含み、前記第1光ファイバーは、前記第1ホルダと前記第1フェルールとの機械精度で前記第1レンズと光軸調整され、前記受光部は、第2レンズと、前記第2レンズを収納し、前記第2レンズと接しない側面部分に貫通孔が設けられた第2ホルダと、前記センサ部を通過した前記光ビームを前記第2レンズを介して導出する第2光ファイバーと、前記第2光ファイバーの先端に取り付けられ、前記第2ホルダに挿入されて固定され、前記第2ホルダにおける前記貫通孔と位置が一致する凹部を側面に有する第2フェルールとを含み、前記第2光ファイバーは、前記第2ホルダと前記第2フェルールとの機械精度で前記第2レンズと光軸調整され、前記第1ホルダにおける前記貫通孔および前記第1フェルールにおける前記凹部に接着剤を充填して硬化させることにより前記第1ホルダと前記第1フェルールとが一体化されており、前記第2ホルダにおける前記貫通孔および前記第2フェルールにおける前記凹部に接着剤を充填して硬化させることにより前記第2ホルダと前記第2フェルールとが一体化されていることを特徴とする、請求項1に記載の光電圧センサ。
【請求項16】 前記発光部は、第1レンズと、前記第1レンズを収納し、前記第1レンズと接しない側面部分に貫通孔が設けられた第1ホルダと、前記第1レンズを介して前記センサ部に前記光ビームを導入する第1光ファイバーと、前記第1光ファイバーの先端に取り付けられ、前記第1ホルダに挿入されて固定され、前記第1ホルダにおける前記貫通孔と位置が一致する凹部を側面に有する第1フェルールとを含み、前記第1光ファイバーは、前記第1ホルダと前記第1フェルールとの機械精度で前記第1レンズと光軸調整され、前記受光部は、第2レンズと、前記第2レンズを収納し、前記第2レンズと接しない側面部分に貫通孔が設けられた第2ホルダと、前記センサ部を通過した前記光ビームを前記第2レンズを介して導出する第2光ファイバーと、前記第2光ファイバーの先端に取り付けられ、前記第2ホルダに挿入されて固定され、前記第2ホルダにおける前記貫通孔と位置が一致する凹部を側面に有する第2フェルールとを含み、前記第2光ファイバーは、前記第2ホルダと前記第2フェルールとの機械精度で前記第2レンズと光軸調整され、前記第1および第2ホルダと前記第1および第2フェルールとを囲み前記第1および第2ホルダにおける前記貫通孔と前記第1および第2フェルールにおける前記凹部とを含む領域に接着剤を充填して硬化させることにより、前記第1および第2ホルダと前記第1および第2フェルールとが一体化されていることを特徴とする、請求項1に記載の光電圧センサ。
【請求項17】 前記接着剤は、無機材料を主成分とする無機質接着剤であり、前記第1および第2ホルダならびに前記第1および第2フェルールのうち前記接着剤と接する部分が無機材料で作製されていることを特徴とする、請求項14ないし16のいずれか1項に記載の光電圧センサ。
【請求項18】 前記接着剤は、硬化後の熱膨張係数が20×10-6/℃以下である無機質接着剤であることを特徴とする、請求項17に記載の光電圧センサ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、送電線や配電線の電圧またはモータ等の駆動電源電圧の検知に用いられる光電圧センサに関する。
【0002】
【従来の技術】図21は、従来の光電圧センサの概略構造を示す透視正面図である。この光電圧センサは、センサ部と、発光部と、受光部と、発光側および受光側信号処理回路(図示せず)とを備えている。そのセンサ部は、光の入射側から順に同一光軸上に配置された偏光子1、1/4波長板(「λ/4板」とも呼ばれる)2、電気光学結晶3、および検光子4で構成される。また、発光部は、光源としてのLED(Light Emitting Diode)等の発光素子を含むE/O回路と、同一光軸上に配置された光ファイバー32a、フェルール38a、GRINレンズ33a、およびホルダ28aからなる入力側光学系とで構成されており、その入力側光学系における各光学部品は互いに接する光軸面が接着剤により接着されている。そして受光部は、同一光軸上に配置された光ファイバー32b、フェルール38b、GRINレンズ33bおよびホルダ28bからなる出力側光学系と、その出力側光学系から出射される光信号を電気信号に変換する変換素子を含むO/E回路とで構成されており、出力側光学系における各光学部品も互いに接する光軸面で接着剤により接着されている。
【0003】上記光電圧センサのセンサ部において同一光軸上に配置された上記各光学部品、すなわち偏光子1、λ/4板2、電気光学結晶3、および検光子4は、互いに接する光軸面が全て接着剤で接着されている。ここで、光軸面とは光軸に垂直な面をいい、各光学部品につき光の入射面と出射面との2つが存在する(以下同様)。電気光学結晶3には1対の電極35が蒸着されており、その1対の電極35のそれぞれはリード線34によって1対の電極端子24のそれぞれに電気的に接続されている。上記光電圧センサの被測定電圧は、1対の電極端子24の端子間に印加される。
【0004】発光側および受光側信号処理回路は、それぞれ発光部および受光部によってセンサ部と接続されている。センサ部の偏光子1の入力側光軸面は発光部のGRINレンズ33aの光軸面と、センサ部の検光子4の出力側光軸面は受光部のGRINレンズ33bの光軸面と、それぞれ接着剤により固定される。そして、接着固定されたセンサ部、発光部における入力側光学系、および受光部における出力側光学系は、ケース(図示せず)に機構的に固定される。なお、上記光電圧センサにおける各光学部品のための接着剤としては、エポキシ系あるいはウレタン系等の樹脂が使用される。
【0005】また、上記光電圧センサにおいて、電気光学結晶3としては、Bi12SiO20(BSO)や、KDP、自然複屈折を有するLiNbO3およびLiTaO3等が使用される。
【0006】次に、光電圧センサの動作原理を図1を参照して説明する。発光部における光源として、例えば中心波長0.85μmのLED(Light Emitting Diode)を使用した場合、LEDの無偏光7は、発光部10から出射され、センサ部の偏光子1を通過した後、直線偏光となる。この直線偏光はλ/4板2を通過すると円偏光になり、この円偏光は、電気光学結晶3を通過した後、その電気光学結晶3への印加電圧Vmに応じて楕円化する。すなわち、電気光学結晶3の通過光の偏光状態は印加電圧Vmによって変化する。このような楕円偏光は検光子4を通過した後に出射光8として受光部12で受光される。この出射光8の強度変化である出力強度変化は、電気光学結晶3の通過光の偏光状態に対応する。この偏光状態は印加電圧Vmにより変化するため、受光側の光ファイバー32aを介して、受光器において検光子4の出力強度変化をモニターし、光量(強度)の変調度を計算することで、印加電圧Vmを測定することができる。ここで、光量の変調度とは、光量のAC成分と光量のDC成分の比のことである。
【0007】ところで、光電圧センサは、屋外の厳しい環境下で使用されることが多く、その温度特性には厳しい条件が要求され、−20℃〜80℃において変調度変化が±1%以下であることが望まれる。上記従来の光電圧センサにおいて温度特性が生じる要因としては、λ/4板2や電気光学結晶3における接着部の応力による屈折率の変化や、λ/4板の複屈折の温度特性があり、LiNbO3 など自然複屈折を有する電気光学結晶の場合には入射光の軸ずれによる自然複屈折の温度特性等がある。
【0008】このような要因のそれぞれに対応した改善方法としては、現在、次のようなものが挙げられる。
(1)電気光学結晶に加わる応力の緩和により電気光学結晶の温度特性を改善する方法この方法では、電気光学結晶を無接着状態で固定することにより、電気光学結晶に加わる応力が緩和される。この方法は、特開平9−145745号公報に開示されている。
(2)λ/4板の複屈折の温度特性を改善する方法この方法では、温度特性の小さな0次のλ/4板の単板が使用される。
(3)入射光の軸ずれ角度の低減により電気光学結晶の自然複屈折の温度特性を改善する方法この方法では、光学部品自身の機械的な面精度を向上させて電気光学結晶における光の入射角を0.2°以下にすることにより、入射光の軸ずれによる温度特性が改善される。この方法は特開平3−44562号公報に開示されている。
【0009】(1)の方法は、利用も簡単で効果もある。これに対し、(2)の方法で使用される0次のλ/4板の単板は、高価な上に脆いので取り扱いに熟練を要する。このため、図22に示すように−20〜80℃において変調度に換算された感度の相対的変化(25℃の時の感度を基準とする相対感度変化)が約±1.5%程度である温度特性を有する安価で取り扱いの容易な多層張合わせλ/4板を使用するのが一般的である。また、(3)の方法は、使用が容易であるが、軸ずれの影響は、軸ずれ角度だけでなく軸ずれ方向にも関係する。このため、軸ずれ角度の低減だけでは安定な特性が得られない。従って、現在、光電圧センサにおける温度特性については、応力による影響は低減されたが、λ/4板の約1.5%程度の温度特性に起因する要因が存在し、また、電気光学結晶における入射光の軸ずれにより光電圧センサの温度特性に不安定性が存在する。
【0010】上記のように従来の光電圧センサでは、生産性とコストを優先して約1.5%程度の温度特性を有するλ/4板が使用され、LiNbO3 など自然複屈折を有する電気光学結晶には、軸ずれによる温度特性の不安定性が存在する。その結果、従来の光電圧センサには、約1.5%程度の不安定な温度特性が存在した。
【0011】これに対し、特開平7−248339号公報には、光源から受光部までの間に形成される光路にレンズ、偏光子、ポッケルス素子、波長板および検光子を配置してなる光学式センサであって、ポッケルス素子に対する入射光の入射角度を周囲温度に対応して変化させる入射角調整手段を備えた光学式センサが開示されている。この光学式センサによれば、ポッケルス素子(電気光学結晶)における入射光の入射角度が温度変化に対応して変化し、この入射角度の変化による出力変化で温度変化による出力変化が相殺されるので、センサ出力の温度特性が改善される。
【0012】しかし、上記光光学式センサでは、ポッケルス素子に対する入射光の入射角度を周囲温度に対応して変化させる入射角調整手段を必要とし、これにより構成が複雑化し、生産性の低下やコストの上昇を招く。また、前述のように軸ずれの影響は軸ずれ角度だけでなく軸ずれ方向にも関係するので、入射光の入射角度すなわち軸ずれ角度の調整だけでは安定な温度特性が得られない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであって、生産性の低下やコストの上昇を抑えつつ温度特性を改善した光電圧センサを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段および発明の効果】第1の発明は、光ビームを発射する発光部と、前記光ビームの光路に沿って設定された所定の光軸上に偏光子、λ/4板、複屈折を有する電気光学結晶、および検光子が配置されているセンサ部と、前記センサ部を通過した後の前記光ビームを受光する受光部とを備え、前記受光部により受光された前記光ビームに基づき、前記電気光学結晶に印加された電圧を測定する光電圧センサであって、前記受光部により受光される前記光ビームが前記電気光学結晶に入射するときの前記光ビームの中心方向または広がり角度分布もしくは収束角度分布を表すパラメータのうちの少なくとも一つのパラメータと当該光電圧センサの特性との固有の関係に基づき、前記特性を改善するように、前記少なくとも一つのパラメータが予め決められた値に設定されていることを特徴としている。
【0015】上記第1の発明によれば、受光部により受光される光ビームが前記電気光学結晶に入射するときの光ビームの中心方向または広がり角度分布もしくは収束角度分布を表すパラメータのうち少なくとも一つのパラメータが予め決められた値に設定されることにより光電圧センサの特性が改善されるため、生産性の低下やコストの上昇を抑えつつ特性の改善された光電圧センサを提供することができる。特に、光電圧センサの温度特性と上記パラメータとの固有の関係に基づきパラメータの値を設定することにより温度特性が改善される場合には、温度の影響を受けずに被測定電圧を正確に測定できることに加えて、温度特性管理が容易となるためコストダウンにつながる。また、このようにして温度特性の改善された光電圧センサによれば、温度特性の小さな0次のλ/4板の単板や、温度に応じて軸ずれ角度を調整する手段が不要となり、これにより、温度特性の改善に伴う生産性の低下やコストの上昇が抑えられる。
【0016】第2の発明は、第1の発明において、前記光ビームの前記中心方向を表すパラメータは、前記光軸に対する前記中心方向の軸ずれ角度および軸ずれ方向であることを特徴とする。
【0017】上記第2の発明によれば、電気光学結晶に入射する光ビームの軸ずれ角度のみならず軸ずれ方向をも表すパラメータと光電圧センサの特性との固有の関係に基づきその特性を改善することができるため、従来に比べ、温度特性等の改善をより確実に行うことができ、光電圧センサの温度特性などにおける不安定性が低減される。
【0018】第3の発明は、第1の発明において、前記λ/4板は水晶で作製されており、前記電気光学結晶は、Z軸を前記光軸に合わせたLiNbO3結晶であり、前記発光部が発射する前記光ビームの中心波長は、0.8μmないし0.9μmであり、前記受光部により受光される前記光ビームが前記電気光学結晶に入射するときのビーム端での広がり角度または収束角度が0.8度ないし1.4度であることを特徴とする。
【0019】上記第3の発明によれば、光ビームが電気光学結晶に入射するときのビーム端での広がり角度または収束角度が0.8度ないし1.4度であって、このような光ビームを構成する各ビーム素線はそれぞれ固有の軸ずれ角度および軸ずれ方向を有しており、そのような各ビーム素線に対する光電圧センサの感度等の総和として光電圧センサの特性が決定される。このようにして、受光部で受光される光ビームの電気光学結晶に入射するときの広がり角度または収束角度が0.8度ないし1.4度に限定されることにより、生産性の低下やコストの上昇を抑えつつ光電圧センサの特性を改善することができる。
【0020】第4の発明は、第1の発明において、前記センサ部を通過して前記受光部に到達する前記光ビームのうち一部のみを前記受光部が選択的に受光することにより、前記少なくとも一つのパラメータが前記予め決められた値に設定されることを特徴とする。
【0021】上記第4の発明によれば、上記の少なくとも一つのパラメータが上記の予め決められた値となるような光ビームのみが受光部により受光されるため、第1の発明と同様の効果が得られる。
【0022】第5の発明は、第3の発明において、前記受光部は、前記センサ部を通過して前記受光部に到達する前記光ビームのうち、前記電気光学結晶であるLiNbO3 結晶に入射するときの広がり角度または収束角度が0.8度ないし1.4度の範囲にある部分ビームのみを選択的に受光する選択的受光手段を含むことを特徴とする。
【0023】上記第5の発明によれば、電気光学結晶であるLiNbO3 結晶に入射するときの広がり角度または収束角度が0.8度ないし1.4度の範囲にある部分ビームのみが受光部により受光されるため、上記第3の発明と同様、生産性の低下やコストの上昇を抑えつつ光電圧センサの特性を改善することができる。
【0024】第6の発明は、第5の発明において、前記受光部は、前記部分ビームのみを選択的に受光するようなコア径または開口数を有する光ファイバーを前記選択的受光手段として含むことを特徴とする。
【0025】上記第6の発明によれば、光ファイバーのコア径または開口数の選定により、電気光学結晶であるLiNbO3 結晶に入射するときの広がり角度または収束角度が0.8度ないし1.4度の範囲にある部分ビームのみが受光されるため、生産性の低下やコストの上昇を抑えつつ特性を改善した光電圧センサを簡単な構成で実現することができる。
【0026】第7の発明は、第5の発明において、前記受光部は、前記部分ビームのみを選択的に受光するような径または開口数を有するレンズを前記選択的受光手段として含むことを特徴とする。
【0027】上記第7の発明によれば、レンズのコア径または開口数の選定により、電気光学結晶であるLiNbO3 結晶に入射するときの広がり角度または収束角度が0.8度ないし1.4度の範囲にある部分ビームのみが受光されるため、生産性の低下やコストの上昇を抑えつつ特性を改善した光電圧センサを簡単な構成で実現することができる。
【0028】第8の発明は、第3の発明において、前記発光部は、前記光ビームが通過する光ファイバーを含み、前記光ファイバーは、前記光ビームが前記電気光学結晶であるLiNbO3結晶に入射するときのビーム端での広がり角度または収束角度が0.8度ないし1.4度となるようなコア径を有していることを特徴とする。
【0029】上記第8の発明によれば、発光部における光ファイバーのコア径の選定により、電気光学結晶であるLiNbO3 結晶に入射する光ビームの広がり角度または収束角度が0.8度ないし1.4度の範囲となるため、生産性の低下やコストの上昇を抑えつつ特性を改善した光電圧センサを簡単な構成で実現することができる。
【0030】第9の発明は、第3の発明において、前記発光部は、光源波長で略0.25ピッチのGRINレンズと、コア径が0.16mmないし0.28mmである光ファイバーとを含み、前記光ファイバーおよび前記GRINレンズを経て前記光ビームを前記センサ部に発射することを特徴とする。
【0031】第9の発明によれば、発光部における光ファイバーのコア径が0.16mmないし0.28mmであることにより、電気光学結晶であるLiNbO3 結晶に入射する光ビームの広がり角度または収束角度がほぼ0.8度ないし1.4度の範囲となる。したがって、第8の発明と同様、生産性の低下やコストの上昇を抑えつつ特性を改善した光電圧センサを簡単な構成で実現することができる。
【0032】第10の発明は、光ビームを発射する発光部と、前記光ビームの光路に沿って設定された所定の光軸上に偏光子、λ/4板、複屈折を有する電気光学結晶、および検光子が配置されているセンサ部と、前記センサ部を通過した後の前記光ビームを受光する受光部とを備え、前記受光部により受光された前記光ビームに基づき、前記電気光学結晶に印加された電圧を測定する光電圧センサであって、前記偏光子の偏光方向と前記検光子の偏光方向とが互いに平行である場合には、前記発光部における前記光ビームの中心は、前記光ビームの参照面上での前記電気光学結晶の複屈折の進相軸と前記λ/4板の複屈折の進相軸とが互いに垂直となるような第1の方向に所定量だけずれた位置に設定され、前記偏光子の偏光方向と前記検光子の偏光方向とが互いに垂直である場合には、前記発光部における前記光ビームの中心は、前記光ビームの参照面上での前記電気光学結晶の複屈折の進相軸と前記λ/4板の複屈折の進相軸とが互いに平行となるような第2の方向に所定量だけずれた位置に設定されていることを特徴とする。
【0033】第10の発明によれば、光学的軸ずれの特性による受光光量の低下と電気光学結晶へ入射ビームの軸ずれの特性による受光光量の上昇とが打ち消し合うような方向に発光部における光ビームの中心の位置がずらされるため、部品公差等による受光部による受光量の変動を低減することができる。
【0034】第11の発明は、第10の発明において、前記発光部は、前記光ビームが通過する光ファイバーとレンズとを含み、前記光ファイバーのコアの中心軸を前記第1または第2の方向に前記レンズの光軸に対して平行にずれた軸ずれ位置に設定することにより、前記発光部における前記光ビームの中心の位置が設定され、前記軸ずれ位置は、前記受光部における受光光量が極大となる位置であることを特徴とする。
【0035】第11の発明によれば、光ファイバーのコアの中心軸の位置の設定により、光学的軸ずれの特性による受光光量の低下と電気光学結晶へ入射ビームの軸ずれの特性による受光光量の上昇とが打ち消し合うような方向および位置に発光部における光ビームの中心の位置がずらされるため、部品公差等による受光部による受光量の変動を最小にすることができる。
【0036】第12の発明は、光ビームを発射する発光部と、前記光ビームの光路に沿って設定された所定の光軸上に偏光子、λ/4板、複屈折を有する電気光学結晶、および検光子が配置されているセンサ部と、前記センサ部を通過した後の前記光ビームを受光する受光部とを備え、前記受光部により受光された前記光ビームに基づき、前記電気光学結晶に印加された電圧を測定する光電圧センサであって、前記受光部は、前記センサ部を通過して前記受光部に到達する前記光ビームの一部である部分ビームを選択的に受光する選択的受光手段を含み、前記選択的受光手段は、前記偏光子の偏光方向と前記検光子の偏光方向とが互いに平行である場合には、前記部分ビームを構成する各ビーム素線の参照面上での前記電気光学結晶の複屈折の進相軸と前記λ/4板の複屈折の進相軸とが互いに略垂直となるように前記部分ビームを選択的に受光し、前記偏光子の偏光方向と前記検光子の偏光方向とが互いに垂直である場合には、前記部分ビームを構成する各ビーム素線の参照面上での前記電気光学結晶の複屈折の進相軸と前記λ/4板の複屈折の進相軸とが互いに略平行となるように前記部分ビームを選択的に受光することを特徴とする。
【0037】第12の発明によれば、光学的軸ずれの特性による受光光量の低下と電気光学結晶へ入射ビームの軸ずれの特性による受光光量の上昇とが打ち消し合うように選択された部分ビームが受光部で受光されるため、部品公差等による受光部による受光量の変動を低減することができる。
【0038】第13の発明は、第12の発明において、前記受光部は、前記光ビームが通過するレンズと、前記レンズを通過した後の前記光ビームの一部を選択的に受光する前記選択的受光手段としての光ファイバーとを含み、前記光ファイバーのコアの中心軸は、前記部分ビームが選択的に受光されるような方向に前記レンズの光軸に対して平行にずれた軸ずれ位置に設定され、前記軸ずれ位置は、前記受光部における受光光量が極大となる位置であることを特徴とする。
【0039】第13の発明によれば、受光部における光ファイバーのコアの中心軸の位置(軸ずれ位置)の設定により、光学的軸ずれの特性による受光光量の低下と電気光学結晶へ入射ビームの軸ずれの特性による受光光量の上昇とが打ち消し合うように選択された部分ビームが受光部で受光されるため、部品公差等による受光部による受光量の変動を最小にすることができる。
【0040】第14の発明は、第1発明において、前記発光部は、第1レンズと、前記第1レンズを収納する第1ホルダと、前記第1レンズを介して前記センサ部に前記光ビームを導入する第1光ファイバーと、前記第1光ファイバーの先端に取り付けられ、前記第1ホルダに挿入されて固定され、前記第1レンズと前記第1ホルダのいずれにも接しない側面部分に凹部を有する第1フェルールとを含み、前記第1光ファイバーは、前記第1ホルダと前記第1フェルールとの機械精度で前記第1レンズと光軸調整され、前記受光部は、第2レンズと、前記第2レンズを収納する第2ホルダと、前記センサ部を通過した前記光ビームを前記第2レンズを介して導出する第2光ファイバーと、前記第2光ファイバーの先端に取り付けられ、前記第2ホルダに挿入されて固定され、前記第2レンズと前記第2ホルダのいずれにも接しない側面部分に凹部を有する第2フェルールとを含み、前記第2光ファイバーは、前記第2ホルダと前記第2フェルールとの機械精度で前記第2レンズと光軸調整され、前記第1および第2ホルダと前記第1および第2フェルールとを囲み前記第1および第2フェルールにおける前記凹部を含む領域に接着剤を充填して硬化させることにより、前記第1および第2ホルダと前記第1および第2フェルールとが一体化されていることを特徴とする。
【0041】上記第14の発明によれば、第1および第2ホルダと第1および第2フェルールとを囲む領域に接着剤を充填して硬化させることにより第1および第2ホルダと第1および第2フェルールとを一体的に固定する固定ブロックが形成されており、この固定ブロックの形成の際に、第1および第2フェルールの表面における凹部に接着剤が充填され硬化してその固定ブロックの一部を構成する。これにより、第1および第2フェルールは第1および第2ホルダにそれぞれ挿入された状態で固定されているため、第1および第2フェルールの脱落が防止される。
【0042】第15の発明は、第1発明において、前記発光部は、第1レンズと、前記第1レンズを収納し、前記第1レンズと接しない側面部分に貫通孔が設けられた第1ホルダと、前記第1レンズを介して前記センサ部に前記光ビームを導入する第1光ファイバーと、前記第1光ファイバーの先端に取り付けられ、前記第1ホルダに挿入されて固定され、前記第1ホルダにおける前記貫通孔と位置が一致する凹部を側面に有する第1フェルールとを含み、前記第1光ファイバーは、前記第1ホルダと前記第1フェルールとの機械精度で前記第1レンズと光軸調整され、前記受光部は、第2レンズと、前記第2レンズを収納し、前記第2レンズと接しない側面部分に貫通孔が設けられた第2ホルダと、前記センサ部を通過した前記光ビームを前記第2レンズを介して導出する第2光ファイバーと、前記第2光ファイバーの先端に取り付けられ、前記第2ホルダに挿入されて固定され、前記第2ホルダにおける前記貫通孔と位置が一致する凹部を側面に有する第2フェルールとを含み、前記第2光ファイバーは、前記第2ホルダと前記第2フェルールとの機械精度で前記第2レンズと光軸調整され、前記第1ホルダにおける前記貫通孔および前記第1フェルールにおける前記凹部に接着剤を充填して硬化させることにより前記第1ホルダと前記第1フェルールとが一体化されており、前記第2ホルダにおける前記貫通孔および前記第2フェルールにおける前記凹部に接着剤を充填して硬化させることにより前記第2ホルダと前記第2フェルールとが一体化されていることを特徴とする。
【0043】上記第15の発明によれば、第1ホルダにおける貫通孔および第1フェルールにおける凹部に接着剤を充填して硬化させることにより第1ホルダと第1フェルールとが一体化されているため、第1フェルールは第1ホルダに挿入された状態で固定され、また、同様にして第2ホルダと第2フェルールとが一体化されているため、第2フェルールは第2ホルダに挿入された状態で固定されている。これにより、第1および第2フェルールの脱落が防止される。
【0044】第16の発明は、第1発明において、前記発光部は、第1レンズと、前記第1レンズを収納し、前記第1レンズと接しない側面部分に貫通孔が設けられた第1ホルダと、前記第1レンズを介して前記センサ部に前記光ビームを導入する第1光ファイバーと、前記第1光ファイバーの先端に取り付けられ、前記第1ホルダに挿入されて固定され、前記第1ホルダにおける前記貫通孔と位置が一致する凹部を側面に有する第1フェルールとを含み、前記第1光ファイバーは、前記第1ホルダと前記第1フェルールとの機械精度で前記第1レンズと光軸調整され、前記受光部は、第2レンズと、前記第2レンズを収納し、前記第2レンズと接しない側面部分に貫通孔が設けられた第2ホルダと、前記センサ部を通過した前記光ビームを前記第2レンズを介して導出する第2光ファイバーと、前記第2光ファイバーの先端に取り付けられ、前記第2ホルダに挿入されて固定され、前記第2ホルダにおける前記貫通孔と位置が一致する凹部を側面に有する第2フェルールとを含み、前記第2光ファイバーは、前記第2ホルダと前記第2フェルールとの機械精度で前記第2レンズと光軸調整され、前記第1および第2ホルダと前記第1および第2フェルールとを囲み前記第1および第2ホルダにおける前記貫通孔と前記第1および第2フェルールにおける前記凹部とを含む領域に接着剤を充填して硬化させることにより、前記第1および第2ホルダと前記第1および第2フェルールとが一体化されていることを特徴とする。
【0045】上記第16の発明によれば、第1および第2ホルダと第1および第2フェルールとを囲む領域に接着剤を充填して硬化させることにより第1および第2ホルダと第1および第2フェルールとを一体的に固定する固定ブロックが形成されており、この固定ブロックの形成の際に、第1および第2ホルダに設けられた貫通孔ならびに第1および第2フェルールの表面における凹部に接着剤が充填され硬化してその固定ブロックの一部を構成する。これにより、第1および第2フェルールは第1および第2ホルダにそれぞれ挿入された状態で固定されているため、第1および第2フェルールの脱落が防止される。
【0046】第17の発明は、第14ないし第16の発明のいずれかにおいて、前記接着剤は、無機材料を主成分とする無機質接着剤であり、前記第1および第2ホルダならびに前記第1および第2フェルールのうち前記接着剤と接する部分が無機材料で作製されていることを特徴とする。
【0047】上記第17の発明によれば、ホルダとフェルールとを一体化するための接着剤として無機質接着剤が使用されており、かつ、ホルダおよびフェルールのうち接着剤と接する部分が無機材料で作製されているため、接着剤が硬化して形成されるブロックとそのブロックに接するホルダおよびフェルールの部分とは、熱膨張係数が同程度となる。その結果、熱膨張係数の相違に基づく応力の発生を抑えることができ、そのような応力によって好ましくない温度特性が引き起こされるのを防ぐことができる。また、熱応力による光軸ずれ等に起因する温度特性も改善することができる。
【0048】第18の発明は、第17の発明において、前記接着剤は、硬化後の熱膨張係数が20×10-6/℃以下である無機質接着剤であることを特徴とする。
【0049】
【発明の実施の形態】<0.基礎検討>本発明の光電圧センサでは、所望の感度の設定や、感度の温度特性の改善などのために、電気光学結晶であるLiNbO3結晶への入射ビームの光軸に対する軸ずれ角度や軸ずれ方向、広がり角度など、軸ずれに関するパラメータが適切な値に設定されている。この設定には、1つまたは複数の軸ずれに関するパラメータと光電圧センサの特性(感度や感度の温度特性など)との関係(以下「軸ずれ特性」という)を示すデータが必要となる。そこで本願発明者は、本発明の実施形態である光電圧センサを実現するための基礎検討として軸ずれに関するパラメータの適切な値を調べるために、任意の状態の光ビームに対する光電圧センサの出力を求めるためのモデル(以下「光電圧センサ出力算出モデル」という)を考案し、そのモデルに基づく計算機シミュレーション(以下「光電圧センサシミュレーション」という)により上記の軸ずれ特性を示すデータを得ている。以下では、本発明の実施形態を説明する前に、まず、この光電圧センサ出力算出モデルおよび光電圧センサシミュレーションについて説明する。
【0050】図1は、光電圧センサの動作原理を示す図である。本発明に係る光電圧センサも、図1に示すように、センサ部と、発光部10と、受光部12とを備えており、センサ部は、光の入射側から順に同一光軸上に配置された、偏光子1、λ/4板2、電気光学結晶3、および検光子4で構成される。電気光学結晶3には1対の電極が設けられており、その電極対に被測定電圧Vmが印加される。複屈折を有する結晶を電気光学結晶3として使用すると、電気光学結晶3に入射するビームの光軸に対する軸ずれ角度や軸ずれ方向、広がり角度などのビームの状態により、そのビームの参照面上での屈折率楕円体の主軸方向と主軸方向の屈折率とが変化する。ここで、電気光学結晶の屈折率楕円体をビームの参照面で切断した面である楕円の主軸上の主値がそのビームに対する屈折率を表すので、以下では、この楕円を「そのビームに対する屈折率を示す楕円」と呼ぶものとする。電気光学結晶3への入射ビームに対する屈折率が変化すると、電気光学結晶3から出射するビームの偏光状態も変化し、偏光状態の変化は検光子4からの出力光に光量変化をもたらす。
【0051】<0.1 光電圧センサ出力算出モデル>本光電圧センサシミュレーションでは、光電圧センサにおいて使用されるビームを、広がり角度分布の無いビーム(以下「ビーム素線」という)の集合体とみなす。すなわち、光電圧センサにおいて使用されるビームは、図1においてベクトルkとして示されているようなビーム素線の集合体であって、ビーム中心とビームの広がり角度分布(または収束角度分布)とで表現でき、任意の状態のビームに対する光電圧センサの出力は、そのビームを構成する各ビーム素線に対する出力の積分値であると仮定する。
【0052】<0.2 光電圧センサの出力の導出><0.2.1 ビーム素線の出力>図2は、図1に示した光電圧センサの入出力特性を説明するための図である。いま、光電圧センサにおいて電気光学結晶3に入射するビームを、そのビームに対する屈折率を示す楕円の2つの主軸方向のそれぞれに振動する光に分解し、分解されたそれらの光の間での位相差角(以下、単に「位相差角」という)を“Δ”で表すものとする。この位相差角Δはビームの偏光状態に対応するため、電気光学結晶3から出射して検光子4に入射するビームの位相差角Δと検光子4からの出力の光量Pとの関係(以下、この関係を「光電圧センサの入出力特性」といい、この関係を示す曲線を「光電圧センサの特性曲線」という)は、図2に示すようになる。電気光学結晶3への入射ビームの位相差角Δは、λ/4板2の通過によりπ/2となっている。電気光学結晶3に被測定電圧Vmが印加されていない場合には、電気光学結晶3を通過した後の位相差角Δはπ/2のままである。一方、被測定電圧Vmが印加されると、その電圧に応じて位相差角Δが変化する。したがって、電気光学結晶3に被測定電圧Vmとして交流電圧が印加されると、Δ=π/2、P=Po/2の点を光学バイアス点として変動する光学信号が検光子3からの出力として得られる(以下、この光学信号を「光電圧センサの出力」と呼ぶ)。ただし、電気光学結晶3に入射するビーム素線に軸ずれが無いものとする。
【0053】上記のように、電気光学結晶3に入射するビーム素線に軸ずれが無い場合には、Δ=π/2、P=Po/2の点すなわち特性曲線の線形部分の中心をバイアス点として、電気光学結晶3への印加電圧すなわち被測定電圧Vmで変調された光信号が光電圧センサの出力として得られる。一方、電気光学結晶3に入射するビーム素線に軸ずれが生じると、図2に示すように、光電圧センサの特性曲線上において光学バイアス点が移動する。したがって、電気光学結晶3に入射するビーム素線に軸ずれが存在する場合には、光電圧センサの出力における非線形成分が大きくなる。この場合、光電圧センサの出力Pを下記の式で表すことができる。
P=(1/2)Po(1−sinΔpsin2Θ) …(1)
ここで、Δpは、電気光学結晶3に入射するビーム素線に対する屈折率を示す楕円の2つの主軸方向(進相軸方向および遅相軸方向)のそれぞれに振動する光の間の位相差角Δのうち、電気光学結晶において印加電圧Vmによって誘起される位相角である。すなわち、Δp=Δ−π/2=(2π/λ)(n1−n2)L …(2)
ここで、n1とn2は、それぞれ、電気光学結晶の屈折率を示す楕円の遅相軸方向と進相軸方向に振動している光に対する屈折率であり、Lは、光軸方向すなわち光の伝搬方向における電気光学結晶3の長さである。また、Θは、電気光学結晶3に入射するビーム素線に対する屈折率を示す楕円の主軸方向を示す角度であり、「設定角」と呼ばれる。なお、設定角Θは、軸ずれによる複屈折と電圧印加による複屈折とによって決まる。
【0054】ビーム素線の軸ずれ状態は、図1に示すように、光軸に対する軸ずれ角度αと軸ずれ方向βとによって表現することができる。ここで、軸ずれ角度αは、ビーム素線を表すベクトルkと光軸(Z軸)とにより形成される角度であり、軸ずれ方向βは、ビーム素線を表すベクトルkを光軸に垂直な面(光軸面)に射影したベクトルと電気光学結晶3に対する印加電界の方向(X軸)とで形成される角度である。以下では、ビーム素線の軸ずれ状態を“(α,β)”で示すものとする。軸ずれのあるビーム素線に対する電気光学結晶3による複屈折は、電気光学結晶3へ入射するビーム素線の軸ずれ(α,β)により発生する複屈折(以下「軸ずれによる複屈折」という)と電気光学結晶3への印加電圧である被測定電圧Vmにより発生する複屈折(以下「電圧による複屈折」という)とによって決まる。そして、印加電圧Vmが時間変動する場合、軸ずれによる複屈折は変動しないが、電圧による複屈折は印加電圧Vmに応じて変動する。したがって、位相差角Δpおよび設定角Θは共に時間tの関数であり、それぞれΔp(t)、Θ(t)と表現することができる。したがって、印加電圧Vmを次式Vm=Vosinωt …(3)
で表現されるものとし、上記式(1)で表される光電圧センサの出力Pを、印加電圧Vmの周波数ωを基本波の周波数とするフーリエ級数に展開すると、下記のようになる。
P=ps0+ps1sinωt+ps2sin2ωt+… …(4)
【0055】ところで、式(1)に含まれる位相差角Δpは、前述の式(2)で表現することができ、式(2)の右辺における屈折率n1およびn2は、軸ずれ角度αおよび軸ずれ方向βに加えて温度Tにも依存する。また、式(1)に含まれる設定角Θは、前述のように軸ずれによる複屈折と電圧印加による複屈折とによって決まるため、軸ずれ角度α、軸ずれ方向β、印加電圧Vmの振幅Vo、および温度Tに依存する。したがって、上記式(4)におけるフーリエ係数ps0、ps1、ps2、…は、軸ずれ角度α、軸ずれ方向β、印加電圧Vmの振幅Vo、および温度Tの関数であり、式(4)を下記のように書き直すことができる。
P=ps0(α,β,Vo,T)+ps1(α,β,Vo,T)sinωt +ps2(α,β,Vo,T)sin2ωt+… …(5)
【0056】ところで、光電圧センサでは、光電圧センサの出力である光量PのAC成分とDC成分との比を表す値として定義される変調度を算出することにより、印加電圧が測定される。したがって、ビーム素線に対する光電圧センサの感度sは、この変調度mであり、次式により与えられる。
【数1】

【0057】<0.2.2 ビームの出力>前述のように、光電圧センサにおいて使用されるビームは、図1においてベクトルkとして示されているようなビーム素線の集合体であり、光電圧センサの出力は、その集合体における各ビーム素線に対する出力の積分値であると仮定している。さらに、本シミュレーションでは、光電圧センサにおいて使用されるビームを構成するビーム素線の光量は、図3に示すように、αβ平面上において、そのビームの中心方向の軸ずれ角度αcおよび軸ずれ方向βcを示す点(αc,βc)を中心とするガウス分布をしている、と仮定する。
【0058】いま、軸ずれ角度がビーム中心方向に対してγだけずれていて軸ずれ方向がビーム中心方向に対してθだけずれているビーム素線に注目し、上記ガウス分布の標準偏差をσとすると、注目ビーム素線の光量は、ビーム中心方向の光量の exp(−γ2/(2σ2))倍となる(この倍率 exp(−γ2/(2σ2))はθには無関係であり、当然ながら1よりも小さい)。したがって、注目ビーム素線に対する光電圧センサの出力における各フーリエ係数も、ビーム中心方向のビーム素線に対する光電圧センサの出力におけるフーリエ係数の exp(−γ2/(2σ2))倍となる。すなわち、注目ビーム素線の軸ずれ角度および軸ずれ方向をそれぞれαd、βdとすると、 psk(αd,βd,Vo,T)=exp(−γ2/(2σ2))・psk(αc,βc,Vo,T) (k=0,1,2,…) …(7)
である。よって、上記のフーリエ係数psk(αd,βd,Vo,T)を、γについて0から∞まで積分し、θについて0から2πまで積分することにより、光電圧センサの出力Pをフーリエ級数に展開したときのフーリエ係数pkが得られる。すなわち、【数2】

である。上記式(8)よりわかるように、pkは、ビーム中心方向の軸ずれ角度αcおよび軸ずれ方向βcと、印加電圧Vmの振幅Voと、温度Tと、上記ガウス分布の標準偏差σとの関数となる。ここで、図3に示すように、上記のようにガウス分布しているビーム素線から構成されるビームの中心の光量のe-2倍の光量となるγをθcoで表し、「広がり角度」と呼ぶ。この広がり角度θcoはビームスポット径に対応するものであり、θco=2σである。したがって、上記のフーリエ係数pkは、θcoの関数でもあり、pk(αc,βc,Vo,T,θco)と表現することができる。
【0059】以上より、光電圧センサの感度S(すなわち変調度M)は次式により与えられる。
【数3】

このようにして得られた上記式(9)を用いることにより、電気光学結晶3に入射するビームの中心方向の軸ずれ角度αcや軸ずれ方向βc、広がり角度θco等のパラメータと、光電圧センサの感度Sとの関係を求めることができる。
【0060】具体的には、温度Tや、印加電圧Vmの振幅Vo、ビーム中心方向の軸ずれ状態(軸ずれ角度αcおよび軸ずれ方向βc)、ビームの広がり角度θcoをパラメータとし、これらのパラメータの種々の値に対して、光電圧センサの感度S等を求めるための計算すなわち光電圧シミュレーションを上記式を用いて行う。図4は、この光電圧センサシミュレーションの手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照しつつ光電圧センサシミュレーションについて説明する。
【0061】本シミュレーションでは、まず、温度T、印加電圧の振幅Vo、広がり角度θcoの値を指定する(ステップS10)。次に、ビーム中心方向の軸ずれ状態を表すパラメータである軸ずれ角度αcおよび軸ずれ方向βcの値を指定し(ステップS12)、さらに、そのビームを構成する一つのビーム素線を指定する(ステップS14)。このビーム素線の指定は、そのビーム素線の軸ずれ角度αdおよび軸ずれ方向βdの指定により行われる。以下、このビーム素線の軸ずれ状態を“(αd,βd)”で示すものとする。
【0062】このようにして各種のパラメータ値が指定されると、次に、それらのパラメータ値によって特定される条件の下で光電圧センサの出力を計算機シミュレーションによって求める。すなわち、まず、電気光学結晶3への印加電圧Vmとしての正弦波入力Vm=Vosinωtを与える(ステップS16)。次に、そのようにして与えられた正弦波入力の電圧印加の下での、軸ずれ状態(αd,βd)のビーム素線に対する光電圧センサの出力を求める(ステップS18)。これにより、そのビーム素線に対する光電圧センサの入出力関数が得られる。そして、そのビーム素線に対する光電圧センサの出力をフーリエ級数に展開したときの各フーリエ係数psk(k=0,1,2,…)の値を算出する(ステップS20)。
【0063】上記ステップS16、S18、S20を、電気光学結晶3に入射するビームを構成する各ビーム素線について実行することにより、各ビーム素線に対する出力における各フーリエ係数psk(αd,βd,Vo,T,θco) の値が得られる。これらの値を用いて式(8)により、各ビーム素線の集合体としての入射ビームに対する光電圧センサの出力におけるフーリエ係数pkを算出する(ステップS24)。このとき、式(8)に基づき、フーリエ係数psk(αd,βd,Vo,T,θco)が各ビーム素線の軸ずれ角度のビーム中心方向に対するずれであるγについては0から∞まで積分され、各ビーム素線の軸ずれ方向のビーム中心方向に対するずれであるθについては0から2πまで積分される。このようなγおよびθについての積分は総和計算により行われ、このうちγについての0から∞までの積分は0からθcoまでの総和計算で近似される(ステップS22)。
【0064】このようにして、ステップS14〜S22により、0≦γ≦θcoおよび0≦θ≦2πを満たすγおよびθの種々の値に対応する軸ずれ状態(αd,βd)のビーム素線に対する光電圧センサの出力における各フーリエ係数psk(αd,βd,Vo,T)が算出され、ステップS24により、各ビーム素線に対する出力の和(積分値)としての光電圧センサの出力における各フーリエ係数pk(αc,βc,Vo,T,θco)が算出される。
【0065】本シミュレーションでは、中心方向の軸ずれ状態(αc,βc)が0≦αc≦2[°]を満たす各種のビームについての光電圧センサの出力における各フーリエ係数pk(αc,βc,Vo,T,θco) を、上記と同様にして算出する(ステップS12〜S26)。さらに本シミュレーションでは、温度T、印加電圧の振幅Vo、広がり角度θcoという各パラメータ(外部パラメータ)の値を種々変えて、各種のパラメータ値に対する各フーリエ係数pk(αc,βc,Vo,T,θco) を算出する(ステップS10〜S28)。
【0066】以上のようにして、パラメータαc,βc,Vo,T,θcoの各種の値に対する各フーリエ係数pkが得られる。
【0067】上述の光電圧センサシミュレーションにおいて使用したパラメータの範囲と個数は図5に示す通りである。したがって、以上において説明したステップS10〜S28により、この図5に対応するパラメータの各種値に対する各フーリエ係数pkが得られる。この各フーリエ係数pkを用いて、式(9)により光電圧センサの感度Sを計算し、ビーム中心の軸ずれ状態(αc,βc)や広がり角度θcoと光電圧センサの感度Sとの関係を求めることができる。同様に、各フーリエ係数pkを用いて、ビーム中心の軸ずれ状態(αc,βc)や広がり角度θcoと光電圧センサの感度温度特性との関係を求めることもできる。
【0068】以下、添付図面を参照しつつ本発明の各実施形態について説明する。なお、以下では、上記の広がり角度θcoに対応するパラメータとして電気光学結晶3における入射ビームのビーム端での広がり角度に着目し、これを記号“θCLN ”で表すものとする。
【0069】<1.第1の実施形態>まず、本発明の第1の実施形態である光電圧センサについて説明する。本実施形態の光電圧センサは、前述の図1に示すように、センサ部と、発光部10と、受光部12とを備えており、センサ部は、光の入射側から順に同一光軸上に配置された、偏光子1、λ/4板2、電気光学結晶3、および検光子4で構成される。発光部10は光源および入力側光学系を含み、光源から発射されたビームは入力側光学系を経てセンサ部に入射する。センサ部では、そのビームの光路に上記の偏光子1、λ/4板2、電気光学結晶3、および検光子4が配置されており、そのビームは、これらの光学素子により被測定電圧Vmで変調された後に出射される。受光部12は、出力側光学系および光電変換素子を含み、センサ部から出射されたビームは出力側光学系を経て光電変換素子で受光されて電気信号に変換される。
【0070】本実施形態の光電圧センサでは、電気光学結晶3としてZ軸伝播LiNbO3結晶が使用されており、電気光学結晶3はそのZ軸(C軸)を光軸に合わせるように配置されている。また、本実施形態の光電圧センサは、光電圧センサの感度(変調度)が所望の値または状態となるように、電気光学結晶3への入射ビームの中心方向kが適切な方向に設定された設計となっている。ここで、図1に示すように、電気光学結晶3に入射するビームの中心方向kは、その中心方向kのZ軸(光軸)に対する軸ずれ状態を示す軸ずれ角度αおよび軸ずれ方向βにより表すことができる。したがって本実施形態では、軸ずれ状態を示すパラメータとしての軸ずれ角度αおよび軸ずれ方向βと光電圧センサの感度(変調度)との関係(以下「感度の軸ずれ特性」という)に基づき、所望の感度が得られるように、軸ずれ状態を示す軸ずれ角度αおよび軸ずれ方向βが設定される。
【0071】上記のように軸ずれ特性を設定する際に必要となる感度の軸ずれ特性は、前述の光電圧センサシミュレーションにより得られる。図6は、この光電圧シミュレーションにより得られた軸ずれ特性を示す特性図であって、電気光学結晶3に入射するビームが広がり角度分布の無いビームすなわちビーム素線である場合の、本実施形態の光電圧センサの感度(すなわち変調度)の軸ずれ特性を示している。なお、この光電圧センサシミュレーションでは、光源の中心波長は0.8μm〜0.9μmであるとしている。
【0072】図6において、矩形内に描かれた曲線は、光電圧センサの感度を示す等高線である。また、その矩形の中心は電気光学結晶3の光軸に相当し、その中心からの距離は軸ずれ角度αを表し、その中心の周囲の角度は軸ずれ方向βを表している。したがって、図6に示した矩形領域における位置は、電気光学結晶3へ入射するビームの軸ずれ状態に対応し、(α,β)で表現することができる。なお、図6の特性図における横軸は軸ずれ角度αの印加電界の方向(X軸方向)の大きさを示し、縦軸は軸ずれ角度αの印加電界に垂直な方向(Y軸方向)の大きさを示している。
【0073】図6に示した軸ずれ特性、すなわち電気光学結晶3への入射ビームがビーム素線である場合における光電圧センサの感度の軸ずれ特性は、電気光学結晶3の屈折率楕円体で決まり、電気光学結晶3の形状には依存しないが、感度の大きさは電気光学結晶3の形状により変化する。図6によれば、光電圧センサの感度の軸ずれ特性は、軸ずれの無い状態すなわち軸ずれ角度α=0°の状態を鞍点(サドルポイント)とする特性であって、β=45°の方向に平行な軸ずれ方向(β=225°を含む)においては軸ずれ角度αが大きくなるにしたがって感度が増加する傾向を示し、β=−45°の方向に平行な軸ずれ方向(β=135°を含む)においては軸ずれ角度αが大きくなるにしたがって感度が減少する傾向を示す。
【0074】したがって、電気光学結晶3への入射ビームの軸ずれ状態を調整することにより、すなわち軸ずれ角度αおよび軸ずれ方向βを調整することにより、光電圧センサの感度を調整することができる。
【0075】そこで、本実施形態の光電圧センサを実現する際には、電気光学結晶3への入射ビームの軸ずれ状態(α,β)と光電圧センサの感度との関係(図6)に基づき、すなわち前述の光電圧センサシミュレーションにより得られた軸ずれ特性に基づき、所望の感度を与えるように、軸ずれに関するパラメータの値が決定される。そして、そのパラメータが決定された値になるように、光電圧センサの構造や使用される部品などが選定される。
【0076】上述の実施形態では、電気光学結晶3への入射ビームの軸ずれ状態と光電圧センサの感度との関係に基づき軸ずれに関するパラメータにより感度を調整できることを利用して、所望の感度を与えるようにパラメータの値を設定していた。しかし、感度以外にも、受光部での受光光量や、光量温度特性、感度温度特性、感度電圧特性などと軸ずれ状態との間に固有の関係がある。したがって、軸ずれ状態(α,β)を調整することにより、受光部での受光光量や、光量温度特性、感度温度特性、感度電圧特性などを調整することも可能である。よって、例えば、軸ずれ角度αおよび軸ずれ方向βを適切な範囲の値に設定することにより、光電圧センサの感度の温度特性を改善することができる。
【0077】なお、既述の特開平7−248339号公報に記載の光学式センサは、ポッケルス素子(電気光学結晶)に対する入射光の入射角度の調整により温度特性が改善される点で、本実施形態と共通する。しかし、この光学式センサでは、調整される入射角度は軸ずれ角度αに相当し、軸ずれ方向βの変化による出力変化は認識されておらず、したがって軸ずれ方向βの調整は考慮されていない。このように入射光の入射角度すなわち軸ずれ角度αを調整するのみでは、安定な温度特性が得られない。これに対し、本実施形態では、軸ずれ角度αのみならず軸ずれ方向βをも考慮して軸ずれ状態(α,β)を適切に設定することにより温度特性等が改善される。また本実施形態では、軸ずれ角度αおよび軸ずれ方向βは設計パラメータとして決定されるものであるため、上記の光学式センサとは異なり、温度に応じて軸ずれ角度αなどを調整する機構は不要である。
【0078】<2.第2の実施形態>次に、本発明の第2の実施形態である光電圧センサについて説明する。本実施形態の光電圧センサは、第1の実施形態と同様、図1に示すような構成を有している。本実施形態の光電圧センサにおける構成要素のうち第1の実施形態におけるものと同一の構成要素については、同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0079】既述のように、光電圧センサにおける電気光学結晶3に入射する実際のビームは、図7に示す如く、ビーム素線16の集合体であって、そのビーム強度は各ビーム素線の強度の和である、と見なされる。したがって、使用されるビームが軸ずれ状態にある複数のビーム素線を含み、それらのビーム素線の強度すなわち光量が所定の広がり角度分布15を有する場合、光電圧センサの感度は、各ビーム素線固有の軸ずれ状態での感度を広がり角度分布15に応じた割合で加算して得られる和で決まる。ところで、図6によれば、感度が低下する軸ずれ方向βの範囲が感度の向上するβの範囲よりも広い。このため、電気光学結晶3における入射ビームの中心方向の軸ずれ角度αcが0°である状態すなわち入射ビームに軸ずれが無い状態において、ビーム広がりが大きくなると、感度は低下する傾向を示す。よって、ビームの中心方向の軸ずれ角度αcを0°に固定することによりビームの中心方向を軸ずれの無い状態にしておき、ビームの広がりを調整することにより感度を調整することも可能である。
【0080】実際に使用されるビームの光量は、伝播中には回折の影響で図8に示すように軸ずれ角度αに関してガウス分布をしており、ビームの中心強度のe-2倍の強度に対応する軸ずれ角度θcoがビーム端17の角度である。また、ビーム形状測定装置は、ビーム断面においてビームの中心強度のe-2倍の強度の位置をビーム端とみなしてビームスポット径を決めており、ビーム広がり角度θcoに対応するビーム端とビームスポット径上のビーム端とは一致する。したがって、ビーム端によりビームの広がりを指定することができる。
【0081】また、使用されるビームにビーム収縮がある場合においても、同様に、光電圧センサの感度を調整することができる。すなわち、ビーム収縮のあるビームに含まれるビーム素線の軸ずれ状態と、その収縮角度と同じ広がり角度を有するビームに含まれるビーム素線の軸ずれ状態とは、軸ずれ特性の観点からは等価である。このため、図6によれば、感度が低下する軸ずれ方向βの範囲が感度の向上するβの範囲よりも広いので、軸ずれ無ビーム(ビーム中心の軸ずれ角度α=0)のビーム収縮が大きくなると、感度は低下する傾向を示す。したがって、ビーム収縮のあるビームは、その収縮角度と同じ広がり角度を有するビームと同様に扱うことができる。これは、ビーム収縮状態を調整することにより感度を調整できることを意味する。よって、以下では収束角度には特に言及しないが、以下において広がり角度について述べる内容は収束角度についても成立する。
【0082】上記より、電気光学結晶3における入射ビームの中心方向の軸ずれ角度αcを0°に固定することによりビームの中心方向を軸ずれの無い状態にしておき、ビームの広がり角度を調整することにより感度を調整することができる。したがって光電圧センサにおいて感度を所望の値とするには、その光電圧センサの設計において、電気光学結晶3における入射ビームのビーム端での広がり角度θCLN を、電気光学結晶3への入射ビームの軸ずれ状態(α,β)と光電圧センサの感度との関係(図6参照)に基づく適切な値に設定すればよい。
【0083】また、感度以外にも、受光光量や、光量温度特性、感度温度特性、感度電圧特性などと軸ずれ状態との間の固有の関係(軸ずれ特性)があることを利用して、電気光学結晶3における入射ビームの広がり角度θCLN を調整することにより、光電圧センサにおける光量や、光量温度特性、感度温度特性、感度電圧特性などを調整することも可能である。以下、本実施形態の光電圧センサでは、λ/4板2の温度特性に起因する感度温度特性を改善するために、電気光学結晶3における入射ビームの広がり角度θCLN と感度温度特性との関係に基づき、広がり角度θCLN が設定されるものとして説明する。なお、本実施形態では、発光部において中心波長が0.8〜0.9μmの光源が使用され、λ/4板2は水晶製であるとする。
【0084】ビームに軸ずれがないものとし(ビーム中心においてα=0°)、λ/4板2における温度特性を無視すると、光電圧センサの感度温度特性は、図9に示すように、理論的には温度に対して線形で、ビーム端での広がり角度θCLN が大きくなるにしたがって特性直線の傾きが大きくなることが知られている。なお図9において、横軸は温度Tを表し、縦軸は25℃のときの感度を基準とする相対感度変化Dsrを表しており、この図に示す関係は前述の光電圧センサシミュレーションにより得られたものである。図10は、λ/4板2の温度特性を無視した場合の感度温度変化率Rstと、電気光学結晶3における入射ビームの中心の軸ずれ状態(αc,βc)と、ビーム端での広がり角度θCLN との関係を示す図であり、この図に示す関係は、光電圧センサの感度温度特性が線形であることを利用して求められたものである。ここで、感度温度変化率Rstとは、温度に対する相対感度変化Dsrの変化率すなわち単位温度あたりの相対感度変化Dsrの変化をいう。ところで、軸ずれ状態は、軸ずれ角度αと軸ずれ方向βで決まるが、感度温度特性の軸ずれ特性の対称性を考慮すれば、各αに対してβ=±45°,135°,225°の方向が温度特性の極大または極小を示す方向である。したがって、感度温度特性が極大または極小を示す軸ずれ状態を調べるには、β=±45°,135°,225°の方向のみを考慮すればよい。そこで、図10では、θCLN とαcの符号の組み合わせでβ=±45°,135°,225°の4方向が表されている。すなわち、θCLN とαcの符号の組み合わせを、θCLN およびαcのそれぞれの符号を示す+または−を順に並べて括弧で囲んだもの“(θCLN の符号,αcの符号)”で表現するものとすると、(+,+)はβ=45°に、(+,−)はβ=225°に、(−,+)はβ=−45°に、(−,−)はβ=135°にそれぞれ対応している。
【0085】図10によれば、電気光学結晶3における入射ビームの中心の軸ずれ方向βcがβ=+45°の方向に平行な方向の場合すなわちθCLN の符号が+の場合は、ビームの広がりが大きくなるにしたがって温度変化率が−(感度変化率が温度に対して負の相関)から+(感度変化率が温度に対して正の相関)に変化する。これに対し、軸ずれ方向βcがβ=−45°の方向に平行な方向の場合すなわちθCLN の符号が−の場合は、ビームの広がりが大きくなるにしたがって温度変化率は+のまま大きくなる。ただし、|αc|<0.5°である。
【0086】図11は、電気光学結晶3における入射ビームの中心の軸ずれ状態(αc,βc)と、ビーム端での広がり角度θCLN と、水晶製λ/4板2の温度特性を考慮した感度温度変化率Rstとの関係を示す図である。図11によれば、感度温度変化率Rstが概ね0[%/℃]となるビーム状態は、ビーム中心の軸ずれ方向βcがβ=+45°の方向に平行な方向の場合すなわちθCLN の符号が+の場合、αcに関係なくθCLN =1.1°付近に集中する。これに対し、ビーム中心の軸ずれ方向βcがβ=−45°の方向に平行な方向の場合すなわちθCLN の符号が−の場合、感度温度変化率Rstが概ね0[%/℃]となるビーム状態は、|αc|<0.3°の時にはθCLN =1.0°付近に存在し、|αc|≧0.3°のときには存在しない確率が高い。したがって、総合すると、広がり角度θCLN が0.8〜1.4°の範囲にあるビームを使用すると、ビーム中心の軸ずれ状態(αc,βc)によらず感度温度変化率Rstが±0.02[%/℃]程度以下、すなわち−0.02≦Rst≦0.02となる確率が高い。感度温度変化率Rstが±0.02[%/℃]程度以下であれば、温度による感度の変動は、−20℃〜80℃の動作温度範囲において±1[%]程度以下となる。また、ビーム中心の軸ずれ角度αcが0°である軸ずれ無しビームを使用する場合には、そのビームの広がり角度θCLN を0.8〜1.4°の範囲に設定すれば、感度温度変化率Rstが±0.01[%/°]以下、すなわち−0.01≦Rst≦0.01となる確率が高くなる。感度温度変化率Rstが±0.01[%/℃]程度以下であれば、温度による感度の変動は、−20℃〜80℃の動作温度範囲において±0.5[%]程度以下となる。
【0087】そこで、本実施形態の光電圧センサを実現する際には、図11に示した軸ずれ特性すなわち電気光学結晶3における入射ビームの状態(θCLN ,αc,βc)と感度温度変化率Rstとの関係に基づき、電気光学結晶3における入射ビームの広がり角度θCLN が0.8〜1.4°の範囲の値となるように、光電圧センサの構造や使用される部品などが決定される。このような構成によれば、光電圧センサの温度特性が改善され、温度による感度の変動は、−20℃〜80℃の動作温度範囲において±1[%]程度以下となる。特に、電気光学結晶3における入射ビームの中心方向の軸ずれ角度αcが0°に設定された場合には、温度による感度の変動は、−20℃〜80℃の動作温度範囲において±0.5[%]程度以下となる。
【0088】<3.第3の実施形態>次に、本発明の第3の実施形態である光電圧センサについて説明する。本実施形態の光電圧センサは、第1の実施形態と同様、図1に示すように、センサ部と、発光部10と、受光部12とを備えており、センサ部は、光の入射側から順に同一光軸上に配置された、偏光子1、λ/4板2、電気光学結晶3としてのZ軸伝播LiNbO3 結晶、および検光子4で構成される。本実施形態の光電圧センサにおける構成要素のうち第1の実施形態におけるものと同一の構成要素については同一の参照番号を付すものとする。
【0089】本実施形態の光電圧センサの概略構造は、図21に示した従来の光電圧センサと同様である。発光部10は、光源を含むE/O回路と、同一光軸上に配置された、光ファイバー32a、フェルール38a、GRINレンズ33a、およびホルダ28aからなる入力側光学系とで構成され、入力側光学系における各光学部品は互いに接する光軸面で透明接着剤により接着されている。受光部12は、同一光軸上に配置された光ファイバー32b、フェルール38b、GRINレンズ33bおよびホルダ28bからなる出力側光学系と、出力側光学系から出射されるビームを電気信号に変換する変換素子を含むO/E回路とで構成されており、出力側光学系における各光学部品も互いに接する光軸面で透明接着剤により接着されている。
【0090】図12は、本実施形態の光電圧センサにおける軸ずれ無ビームを構成する代表のビーム素線である光線の軌跡の概要を示している。図12に示すように、使用されるビームに軸ずれが無い場合(ビーム中心の軸ずれ角度が0°の場合)、発光部10の光ファイバー32aから出射するビームを構成するビーム素線のうち、その光ファイバー32aのコア端面上の出射位置が互いに異なるビーム素線は、レンズ33aを介して、異なる軸ずれ角度で電気光学結晶3に入射する。
【0091】当然、光ファイバー32aのコア19の端面上におけるビーム素線の出射位置がコア19の中心Caから離れるほど、そのビーム素線の電気光学結晶3における入射角度23が大きくなる。このため、固有の軸ずれ角度を有するビーム素線16の集合体であるビームが受光部12の光ファイバー32bに到達したときの各ビーム素線の到達位置は、発光部10の光ファイバー32aのコア19の端面上の出射位置がコア19の中心Caから離れているほど、受光部12の光ファイバー32bのコア20の中心Cbからの距離が大きくなる。ここで、受光部12の光ファイバー32bに到達したビームに含まれるビーム素線のうち、光ファイバー32bのコア20の径Db内に入らないビーム素線は、受光されない。また、光ファイバー32bの開口数(NA:Numerical Aperture)で決まる受光角度を満足しないビーム素線16も受光されない。そして、光電圧センサの特性は、受光されたビーム素線21の特性のみで決まる。よって、受光部12の光ファイバー32bのコア20の径DbとNAを調整することで、光電圧センサの特性を変えることができる。
【0092】なお、図12には、光軸を含むビーム断面の片半分に対応するビーム素線のみが示されているが、実際には、軸ずれの無いビームは光軸に対して軸対称である。また、受光部12のレンズ33bにもレンズ径やレンズNAによって決まる受光条件があり、レンズ33bの受光条件を調整することによっても光電圧センサの特性を変えることができる。なお、図12に示したビームは軸ずれが無い(ビーム中心の軸ずれ角度が0°である)ものとしているが、軸ずれの有るビーム場合も同様に、ビーム素線16を選択的に受光することで、光電圧センサの特性を変えることができる。
【0093】そこで本実施形態の光電圧センサでは、発光部10の光ファイバー32aを経てGRINレンズ33aから出射し受光部12のGRINレンズ33bまたは光ファイバー32bに到達するビームのうち、一部のビームのみが、GRINレンズ33bまたは光ファイバー32bの受光条件(すなわちレンズ33bの径や開口数(NA:Numerical Aperture) 、光ファイバー32bのコア径DbやNA)に応じて選択的に受光される構成となっていて、光電圧センサとしての所望の特性を得ることができるようにそれらの受光条件が適切に設定されている。
【0094】例えば、感度温度特性を改善するために、前述の第1の実施形態では電気光学結晶3における入射ビームの軸ずれ状態(α,β)が適切な範囲に設定されるが、本実施形態では、この軸ずれ状態の設定を直接行う代わりに、電気光学結晶3における軸ずれ状態(α,β)が設定すべき範囲にあるビーム素線のみを受光するように受光部の受光条件が設定される。また、感度温度特性を改善するために、前述の第2の実施形態では電気光学結晶3における入射ビームの広がり角度θCLN が適切な範囲(具体的にはθCLN =0.8〜1.4°の範囲)に設定されるが、本実施形態において、この広がり角度θCLN の設定を直接行う代わりに、電気光学結晶3における入射ビームのうち広がり角度θCLN が前記範囲となる部分を構成するビーム素線のみを受光するように受光部の受光条件を設定するようにしてもよい。受光条件の設定は、前述のように、受光部12における光ファイバー32bのコア径DbやNA、レンズ33bのレンズ径やNAのいずれか一つまたは複数を選定することにより行われる。
【0095】<4.第4の実施形態>次に、本発明の第4の実施形態である光電圧センサについて説明する。本実施形態の光電圧センサの構成は、図21および図1に示した第3の実施形態の構成と同様であり、同一の構成要素には同一の参照番号を付すものとする。上述の第3の実施形態では、光電圧センサとしての所望の特性が得られるように、受光部においてビームが選択的に受光される。これに対し、本実施形態では、光電圧センサとしての所望の特性が得られるように、発光部10における光ファイバー32aのコア径Daが設定される。なお、本実施形態では、発光部10において中心波長が0.8〜0.9μmの光源が使用され、レンズ33aおよび33bとして光源波長で0.25ピッチのGRINレンズが使用され、電気光学結晶3としてLiNbO3 結晶が使用され、λ/4板2は水晶製である。ただし、光源波長で0.25ピッチのGRINレンズが存在しない場合には、その光源波長の近傍の波長で0.25ピッチのGRINレンズ、すなわち光源波長で概ね0.25ピッチのGRINレンズを使用してもよい。例えば、中心波長が0.85μmの光源が使用されている場合に、0.83μmの波長で0.25ピッチのGRINレンズを使用してもよい。
【0096】図13は、発光部10における光ファイバー32aの端面でのビーム素線の出射位置とそのビーム素線の電気光学結晶3における入射角度23との関係を示す図であり、この関係は主として上記のGRINレンズ33aによって決まる。図13に示す関係は、GRINレンズ33aとして、日本板硝子株式会社より入手可能な型番S20S25XXXXのGRINレンズを使用するものとして、光線追跡法により求められたものである。本実施形態では、このような関係に基づき、所望の感度温度特性が得られるように、発光部における光ファイバー32aのコア径Daが選定される。第2の実施形態に関して述べたように(図11参照)、電気光学結晶3における入射ビームの広がり角度θCLN が0.8〜1.4°の範囲にあるビームを使用すると、ビーム中心の軸ずれ状態(αc,βc)によらず、温度による感度の変動は、−20℃〜80℃の動作温度範囲において±1[%]程度以下となる。また、ビーム中心の軸ずれ角度αcが0°に設定された軸ずれ無しビームを使用する場合には、そのビームの広がり角度θCLN を0.8〜1.4°の範囲に設定すれば、温度による感度の変動は、−20℃〜80℃の動作温度範囲において±0.5[%]程度以下となる。
【0097】そこで本実施形態では、電気光学結晶3における入射角23が0.8〜1.4°の範囲になるビーム素線の光ファイバー32a端面での出射位置の範囲として、光ファイバー32aのコア19の中心Caからの距離が0.08〜0.14[mm]である範囲が選定され、これに対応して、光ファイバー32aのコア径Daが決定される(図12参照)。すなわち、本実施形態におけるGRINレンズ33aの特性などから導かれる光ファイバーの最適なコア径Daは0.16〜0.28[mm]であるとして、このようなコア径Daの光ファイバーが発光部の光ファイバー32aとして使用される。
【0098】このような本実施形態によれば、発光部10においてコア径Daが0.16〜0.28[mm]の光ファイバー32aが使用されていることから、電気光学結晶3における入射ビームのビーム端の広がり角度θCLN が0.8〜1.4°程度となる。その結果、温度による感度の変動は、−20℃〜80℃の動作温度範囲において±1[%]程度以下となる。特に、本実施形態において電気光学結晶3における入射ビームの中心の軸ずれ角度αcが0°に設定されている場合(軸ずれ無しの場合)には、温度による感度の変動は、−20℃〜80℃の動作温度範囲において±0.5[%]程度以下となる。
【0099】<5.第5の実施形態>次に、本発明の第5の実施形態である光電圧センサについて説明する。本実施形態の光電圧センサの構成は、図21および図1に示した第3の実施形態の構成と同様であり、同一の構成要素には同一の参照番号を付すものとする。本実施形態の光電圧センサは、受光部12における受光光量の変動ができるだけ小さくなるように、発光部10における光ファイバー32aのコア19の中心軸を光軸からずらした位置に設定した設計となっている。なお、本実施形態では、電気光学結晶3としてZ軸伝播LiNbO3結晶が使用され、λ/4板2は水晶製であって、その複屈折率の進相軸がX軸(電気光学結晶3に対する印加電界の方向)に対して45°に設定されている。また、偏光子1と検光子4は、偏光方向が互いに平行となるように配置されている。
【0100】図14は、本実施形態の光電圧センサのDC出力の軸ずれ特性、すなわち、電気光学結晶3であるLiNbO3結晶における入射ビームの軸ずれ状態(α,β)と光電圧センサのDC出力との関係を示す特性図である。この特性図に示された関係は、既述の光電圧センサシミュレーションにより得られたものである。図14において、矩形内に描かれた曲線は光電圧センサのDC出力を示す等高線であり、その矩形の中心は電気光学結晶3の光軸に相当し、その中心からの距離は軸ずれ角度αを表し、その中心の周囲の角度は軸ずれ方向βを表している。
【0101】図14によれば、β=+45°の軸ずれ方向において、光電圧センサのDC出力が極小となる軸ずれ角度αが存在し、β=−45°の軸ずれ方向において、光電圧センサのDC出力が極大となる軸ずれ角度αが存在する。
【0102】ところで図12から明らかなように、発光部10における光ファイバー32aのコア19の端面上におけるビーム素線の出射位置と、電気光学結晶3におけるそのビーム素線の入射角度23(=α)とは1対1に対応する。したがって、発光部10における光ファイバー32aのコア19の中心軸を光軸と平行にβ=+45°の方向にずらしていくと、或る位置において光電圧センサのDC出力が極小となり、コア19の中心軸を光軸と平行にβ=−45°の方向にずらしていくと、或る位置において光電圧センサのDC出力が極大となる。すなわち、β=±45°方向にコア19の中心軸を軸ずれさせたときに光電圧センサのDC出力の変化が最も大きい。したがって、β=±45°方向の軸ずれに対するDC出力の変化を調べれば、他の方向の軸ずれに対するDC出力の変化は推測可能である。
【0103】図15は、光ファイバー32aのコア19の中心軸を光軸と平行にβ=±45°の方向にずらした場合における、コア19の中心軸の軸ずれ位置と受光部12での受光量との関係(以下「ファイバー軸ずれ特性」という)を示す特性図である。このファイバー軸ずれ特性のうち破線の曲線で表される「LiNbO3 軸ずれ」の特性は、発光部10から出射された全ビームが受光部12で受光されることを前提としており、図14に示した光電圧センサのDC出力の軸ずれ特性をβ=±45°について示したものと見なすことができる。なお、図15では、光ファイバー32aのコア19の中心軸をβ=−45°方向に平行移動させた場合を+符号で、β=+45°方向に平行移動させた場合を−符号で表している。
【0104】上記のように「LiNbO3 軸ずれ」の特性は、発光部10から出射された全ビームが受光部12で受光されるものとしているが、受光部12の光ファイバー32bを光軸上に静止させた場合、発光部10からのビームを全て受光することはできない。すなわち、受光部12の光ファイバー32bを光軸上に静止させた状態で、発光部10における光ファイバー32aのコア19の中心軸を光軸と平行にβ=±45°方向にずらしていくと、受光部12での受光光量は、図15において点線の曲線で示される「光学軸ずれ」の特性にしたがって低下する。
【0105】したがって、「光学軸ずれ」の特性も加味した総合的な光電圧センサのDC出力のファイバー軸ずれ特性は、図15において「総合軸ずれ」の特性として示される実線の曲線で表される。すなわち、発光部10における光ファイバー32aのコア19の中心軸を光軸と平行にβ=±45°方向にずらした場合の光ファイバー32aの軸ずれ位置と受光部12の光ファイバー32bでの受光光量との関係は、図15において「総合軸ずれ」の特性として示されているように、光軸に対して非対称な減衰曲線で表される。
【0106】図15に示した「光学軸ずれ」、「LiNbO3 軸ずれ」および「総合軸ずれ」の各特性より、「LiNbO3 軸ずれ」が無ければ、発光部10の光ファイバー32aのコア19の中心軸が光軸に一致するときに、受光光量が安定して部品公差等による光量変動が最も小さくなるが、「LiNbO3 軸ずれ」が有る場合には、光軸からβ=−45°の方向に光量安定範囲Stbが存在する。この光量安定範囲Stbは、「光学軸ずれ」による受光光量の低下と「LiNbO3 軸ずれ」による受光光量の増大とが打ち消し合うことによって生じたものである。β=−45°以外の方向にもこのような光量安定範囲が存在するが、図14より、β=−45°以外の方向にコア19の中心軸を軸ずれさせると光電圧センサのDC出力の変化が小さくなるため、β=−45°以外の方向における光量安定範囲は、β=−45°方向における光量安定範囲よりも狭い。
【0107】以上より、光ファイバー32aのコア19の中心軸の軸ずれの方向のうちβ=−45°の方向に最も広い光量安定範囲Stbが存在する(以下、最も広い光量安定範囲の存在する軸ずれの方向を「光量安定方向」という)。そして図15の「総合軸ずれ」の特性によれば、コア19の中心軸がβ=−45°の方向に光軸に対して平行に光軸から約0.01[mm]だけずれているときに、受光光量が安定して部品公差等による光量変動が最小になる。なお、図15より、光量安定方向において受光光量が極大となる軸ずれ位置を、光量変動が最小となる位置と見なすこともできる。
【0108】上記の光量安定方向は、偏光子と検光子の間の設定角差と、λ/4板2と電気光学結晶3の間の進相軸方向の差との関係で決まり、最適な軸ずれ位置、すなわち部品公差等による光量変動が最小となる軸ずれ位置(以下「光量安定位置」という)は、光ファイバーのコア径およびNAや、電気光学結晶3の種類に依存する。光量安定方向は、次のような関係に基づき求めることができる。
【0109】(1)偏光子と検光子の偏光方向が互いに平行の場合λ/4板2の複屈折の進相軸と電気光学結晶3の複屈折の進相軸とが互いに垂直となるような方向に光ファイバー32aのコア19の中心軸を光軸に平行にずらすと、或る軸ずれ位置において部品公差等による光量変動が最小となる。ところで、電気光学結晶3として使用されるLiNbO3 結晶は負の一軸性結晶であるので、光ファイバー32aのコア19の中心軸をλ/4板2の複屈折の進相軸に垂直な方向へ軸ずれさせると、λ/4板2の複屈折の進相軸とLiNbO3結晶3の複屈折の進相軸とが互いに垂直となる。したがって、λ/4板2の複屈折の進相軸に垂直な方向が光量安定方向である。
(2)偏光子と検光子の偏光方向が互いに垂直の場合λ/4板2の複屈折の進相軸と電気光学結晶3の複屈折の進相軸とが互いに平行となるような方向に光ファイバー32aのコア19の中心軸を光軸に平行にずらすと、或る軸ずれ位置において部品公差等による光量変動が最小となる。ところで、電気光学結晶3として使用されるLiNbO3 結晶は負の一軸性結晶であるので、光ファイバー32aのコア19の中心軸をλ/4板2の複屈折の進相軸に平行な方向へ軸ずれさせると、λ/4板2の複屈折の進相軸とLiNbO3結晶3の複屈折の進相軸とが互いに平行となる。したがって、λ/4板2の複屈折の進相軸に平行な方向が光量安定方向である。
【0110】前述のように本実施形態では、λ/4板2の進相軸がX軸(電気光学結晶3に対する印加電界の方向)に対して45°の方向に設定されており、偏光子1と検光子4は偏光方向が互いに平行となるように配置されている。そこで本実施形態の光電圧センサは、上記(1)に基づき、電気光学結晶3としてのLiNbO3結晶に入射するビームの参照面上でのそのLiNbO3 結晶の複屈折の進相軸がX軸に対して約−45°の方向となるように、発光部の光ファイバー32aのコア19の中心軸をX軸に対して−45°方向に光軸に平行にずらした設計となっている。そして、この設計において設定される軸ずれ位置は、図15に示した「総合軸ずれ特性」より、−45°方向に光軸から0.01[mm]だけずれた位置である。このような光ファイバー32aのコア19の中心軸の軸ずれ位置の設定は、例えば後述の第7の実施形態におけるように、ホルダ28aとフェルール38aの機械精度で光ファイバー32aをGRINレンズ33aと光軸調整することにより行うことができる。
【0111】このような本実施形態によれば、発光部の光ファイバー32aのコアの中心軸が光量安定方向における光量安定位置またはその近傍の位置に設定されるため、受光部における受光光量が安定して部品公差等による光量変動がほぼ最小化される。
【0112】<6.第6の実施形態>次に、本発明の第6の実施形態である光電圧センサについて説明する。本実施形態の光電圧センサの構成は、図21および図1に示した第3および第5の実施形態の構成と同様であり、同一の構成要素には同一の参照番号を付すものとする。なお、本実施形態においても、第5の実施形態と同様、電気光学結晶3としてZ軸伝播LiNbO3結晶が使用され、λ/4板2は水晶製であって、その複屈折率の進相軸がX軸に対して45°に設定されている。また、偏光子1と検光子4は、偏光方向が互いに平行となるように配置されている。
【0113】上述の第5の実施形態では、部品公差等による光量変動ができるだけ小さくなるように、発光部10における光ファイバー32aのコア19の中心軸が光軸からずれた位置に設定されている。これに対し、本実施形態では、発光部10の光ファイバー32aのコア19の中心軸の位置を光軸に一致させておき、受光部12の光ファイバー32bのコア20の中心軸を光軸からずらすことにより、受光部12に到達するビームの一部を選択的に受光することで、受光光量が安定して部品公差等による光量変動ができるだけ小さくなるようにしている。
【0114】上述のように本実施形態では、λ/4板2の進相軸がX軸に対して45°の方向に設定されており、偏光子1と検光子4は偏光方向が互いに平行となるように配置されている。そこで本実施形態の光電圧センサは、上記(1)に基づき、電気光学結晶3としてのLiNbO3 結晶に入射するビームを構成するビーム素線であってそのビーム素線の参照面上でのLiNbO3 結晶の複屈折の進相軸がX軸に対して約−45°の方向となるようなビーム素線のみを選択的に受光するように、受光部12の光ファイバー32bのコア20の中心軸を−45°方向に光軸に平行にずらした設計となっている。このような受光部12の光ファイバー32bのコア20の中心軸の軸ずれ位置の設定は、例えば後述の第7の実施形態におけるように、ホルダ28bとフェルール38bの機械精度で光ファイバー32bをGRINレンズ33bと光軸調整することにより行うことができる。
【0115】発光部10の光ファイバー32aをコア19の中心軸が光軸に一致するように設定しておき、受光部12の光ファイバー32bのコア20の中心軸を上記のように光軸からずらした場合においても、受光部12の光ファイバー32bのコア20の中心軸の軸ずれ位置とその光ファイバー32bでの受光量との関係は、前述の図15において「総合軸ずれ」の特性として示されているものと同様である。ただし、発光部10の光ファイバー32aのコア19の中心軸をずらす場合と、受光部12の光ファイバー32bのコア20の中心軸をずらす場合とを比較すると、軸ずれの方向と受光量(DC出力)との関係は一致するが、ビームの広がり分布のため、軸ずれ位置と受光量(DC出力)との関係は一致しない。なお、図15より、光量安定方向において受光光量が極大となる軸ずれ位置を、光量変動が最小となる位置と見なすことができる。
【0116】上記のような本実施形態によれば、発光部10の光ファイバー32aのコア19の中心軸は光軸と一致しているが、受光部12の光ファイバー32bのコア20の中心軸を上記のように光軸からずらした設定とすることにより、第5の実施形態と同様、受光光量を安定化させ、部品公差による光量変動を最小化することができる。
【0117】<7.第7の実施形態>次に、本発明の第7の実施形態である光電圧センサについて説明する。図16は、本実施形態の光電圧センサの概略構造を示す透視正面図である。この光電圧センサも、センサ部と、発光部と、受光部と、発光側および受光側信号処理回路(図示せず)とを備えている。センサ部は、光の入射側から順に光軸OAh上に配置された偏光子1、λ/4板2、電気光学結晶3、および検光子4で構成され、偏光子1および検光子4としては直角PBS(Polarization Beam Splitter)が使用されている。発光部は、光源を含むE/O回路(図示せず)と、光軸OAhに垂直な光軸OAi上に配置された、光ファイバー32a、フェルール31a、GRINレンズ33a、およびホルダ28aからなる入力側光学系とで構成されている。受光部は、光軸OAhに垂直な光軸OAo上に配置された、光ファイバー32b、フェルール31b、GRINレンズ33bおよびホルダ28bからなる出力側光学系と、その出力側光学系から出射されるビームを電気信号に変換する変換素子を含むO/E回路(図示せず)とで構成されている。
【0118】上記光電圧センサの構成要素のうち、センサ部の各構成要素と、発光部の入力側光学系におけるGRINレンズ33a、光ファイバー32a、フェルール31aおよびホルダ28aと、受光部の出力側光学系におけるGRINレンズ33b、光ファイバー32b、フェルール31bおよびホルダ28bとは、ヘッド部を構成する。
【0119】上記のヘッド部を収納するケース29の内部は、概ね光軸OAiおよび光軸OAoに対して垂直且つ光軸OAhに対して平行な仕切り板18によって、センサ領域Csと光学領域Coに二分割されている。仕切り板18には2つの穴HiおよびHoが設けられており、入力側光学系のホルダ28aおよび出力側光学系のホルダ28bは、仕切り板18に接触しないようにそれら2つの穴HiおよびHoにそれぞれ挿入された状態でケース29内に収納されている。仕切り板18の下面、つまりセンサ領域Csに対向する面には、穴Hiおよび穴Hoのほぼ中間の位置に、光軸OAiおよび光軸OAoと概ね平行に延在する固定棒26が設けられている。入力側光学系のホルダ28aには、GRINレンズ33aが内蔵されていて、さらに、光ファイバー32aの先端に取り付けられたフェルール31aが挿入されて固定されている。このフェルール33aはGRINレンズ33aとホルダ28aのいずれとも接しない面を有し、その面に凹部30aが設けられている。同様に、出力側光学系のホルダ28bには、GRINレンズ33bが内蔵されていて、さらに、光ファイバー32bの先端に取り付けられたフェルール31bが挿入されて固定されている。このフェルール33bも、GRINレンズ33bとホルダ28bのいずれとも接しない面を有し、その面に凹部30bが設けられている。
【0120】発光部の入力側光学系における光ファイバー32aは、ホルダ28aとフェルール31aの機械精度でGRINレンズ33aと光軸調整され、受光部の出力側光学系における光ファイバー32bは、ホルダ28bとフェルール31bの機械精度でGRINレンズ33bと光軸調整されている。本実施形態では、第5の実施形態におけるように発光部の入力側光学系における光ファイバー32aのコアの中心軸が光量安定位置に設定されるように、光ファイバー32aとGRINレンズ33aとの間で光軸調整されており、出力側光学系における光ファイバー32bとGRINレンズ33bとの間ではそれらの中心軸が一致するように光軸調整されている。これに代えて、入力側光学系における光ファイバー32aとGRINレンズ33aとの間ではそれらの中心軸が一致するように光軸調整されていて、出力側光学系における光ファイバー32bとGRINレンズ33bとの間では、第6の実施形態の如く、光ファイバー32bのコアの中心軸が−45°方向に光軸に平行にずれた設定となるように光軸調整されていてもよい。すなわち、電気光学結晶3としてLiNbO3 結晶が使用される場合において、出力側光学系における光ファイバー32bとGRINレンズ33bとの間での光軸調整により、電気光学結晶3に入射するビームを構成するビーム素線であってそのビーム素線の参照面上での電気光学結晶3(LiNbO3 結晶)の複屈折の進相軸が約−45°の方向となるようなビーム素線のみが選択的に受光されるように、受光部の光ファイバー32bのコアの中心軸が−45°方向に光軸に平行にずれた設定としてもよい。
【0121】発光部および受光部における各光学部品は、互いに接する光軸面で透明接着剤により接合されている。これに対し、センサ部を構成する各光学部品は、接着剤を用いずに、それぞれの接合面間に働く摩擦力で保持されている。すなわち、偏光子1である直角PBSの出射側光軸面とλ/4板2の入射側光軸面、λ/4板2の出射側光軸面と電気光学結晶3の入射側光軸面、および電気光学結晶3の出射側光軸面と検光子4である直角PBSの入射側光軸面の3カ所の無接着接合面を介して、λ/4波長板2と電気光学結晶3とが適当な力で挟み込まれている。これら3カ所の無接着接合面に発生する摩擦力で、λ/4波長板2および電気光学結晶3が、入力側光学系に接着された偏光子1と出力側光学系に接着された検光子4との間に、固定且つ保持されている。
【0122】ヘッダ部のセンサ領域Csに収納された電気光学結晶3は、光軸OAhに平行な二面のそれぞれに電極35aおよび35b(図示せず)が蒸着されている。さらに、電極35aはリード線34aによって電極端子24aに、電極35bはリード線34bによって電極端子24bに、それぞれ電気的に接続されている。電極24aおよび24bはケース29の蓋16に固定されており、これらの電極24aと24bの間には外部の被測定電圧Vmが印加される。
【0123】ホルダ28aおよび28bと固定棒26とは、それらの周囲に配置された濾紙25にセラミックを主成分とする水溶性の無機質接着剤ASを所定の方法で充填した後に硬化させて形成した固定ブロック27によって、一体的に固定される。この固定ブロック27の形成の際に、ホルダ28aの面に接しないフェルール31aの面に設けられた凹部30aとホルダ28bの面に接しないフェルール31bの面に設けられた凹部30bとに、無機質接着剤が進入してそれら凹部30aおよび30bに充填された後に硬化する。なお、硬化した固定ブロック27とケース29の内壁との間には、互いに間隔Dsだけ離間するように間隙111が設けられている。この間隙111は、温度変化により固定ブロック27が膨張した時にも、固定ブロック27がケース29の内壁に接触してヘッド部の各部材に応力が生じるのを防ぐためのものである。そのため、この間隙111の寸法つまり間隔Dsは、固定ブロック27の熱膨張係数および光電圧センサの使用環境温度範囲に基づいて適切に決定される。
【0124】一例として、固定ブロック27の硬化後の熱膨張係数が20×10-6/℃以下で、使用温度範囲が−20℃〜80℃の場合、間隔Dsは0.2mm程度が好ましい。またヘッド部は、例えば、10−6レベルの膨張率を有するガラスなどの無機材料材質で構成される。そして、ケース29は、10−6レベルの膨張率を有する耐熱ABS樹脂で構成されるのが好ましい。このように、適正な材質を選ぶと、−20℃〜80℃に渡る60℃の使用温度範囲において、光センサの光学部品がケース29に干渉することはない。
【0125】また、セラミックを主成分とする無機質接着剤により上記のようにホルダ28aおよび28bと固定棒26とを一体的に接着硬化させることによって、ヘッド部は固定棒26を介して仕切り板18に固定される。その結果、ヘッド部自体は仕切り板18に対して非接触に取り付けられることは前述より明らかである。このように、ケース29とヘッド部が固定棒26を介して一体化した状態で、電気光学結晶3に蒸着された電圧印加用電極35aおよび35bとリード線34aおよび34bで接続された電極端子24aおよび24bを取り付けた蓋16がケース29に嵌合される。
【0126】さらに、上述のように、固定ブロック27はセンサ部を構成する各光学部品と同程度の熱膨張率を有する無機質接着剤ASで形成されているため、固定ブロック27およびセンサ部の光軸OAh方向への熱膨張の差も実質的に無視できる程小さく押さえることができる。その結果、温度変化に伴う固定ブロック27の熱膨張によって、偏光子1および検光子4がそれぞれ入力側光学系および出力側光学系を経由して押し広げられて、偏光子1、λ/4板2、電気光学結晶3、および検光子4のそれぞれの間の無接着接合面が離反されてしまうことはない。同様に、熱収縮により、入力側光学系および出力側光学系を経由して偏光子1および検光子4が互いに押しつけ合わされて、前記無接着接合面に応力がかかり過ぎることもない。このように、固定ブロック27とセンサ部との熱膨張係数との相違に基づく応力の発生を抑えることができ、このような応力によって好ましくない温度特性が引き起こされるのを防ぐことができる。また、このような熱膨張係数の相違に基づく応力によるセンサ部における光軸ずれを防止することもできる。これは、例えば第1の実施形態のように電気光学結晶3への入射ビームの軸ずれ状態を特定の状態に設定することにより温度特性を改善している場合には特に重要である。
【0127】さらにまた、ホルダ28aおよび28bと固定棒26とを一体的に固定する固定ブロック27の形成の際に、フェルール31aおよび31bの表面における凹部30aおよび30bに無機質接着剤ASが充填され硬化して固定ブロック27の一部を構成する。このため、フェルール31aおよび31bはホルダ28aおよび28bにそれぞれ挿入された状態で固定され、フェルール31aおよび31bの脱落が防止される。
【0128】次に、図17を参照しながら、本実施形態の電圧センサの組立方法を説明する。まず、光軸OAiおよび光軸OAhに対する光軸面の直角度を確保した直角PBSである偏光子1の入射側光軸面と入力側光学系のホルダ28aの出射側光軸面とを、光学接着剤、例えばエポキシ系合成樹脂を使用して張り合わせて一体化する。同様に、光軸OAhおよび光軸OAoに対する光軸面の直角度を確保した直角PBSである検光子4の出射面側光軸面とホルダ28bの入射側光軸面とを張り合わせて一体化する。
【0129】次に、GRINレンズ33aおよび33bがそれぞれ内蔵されたホルダ28aおよび28bを上に、つまり偏光子1の天面を下にして、偏光子1、λ/4板2、電気光学結晶3、および検光子4の順番に、これらの光学部品を光軸調整溝130上に配置する。これらの光学部品の光軸を合わせた状態で、仮押えばね129で押さえられた部品押さえ棒128と、その部品押さえ棒128の反対側に配置されたブロック壁133を用いて、偏光子1と検光子4のそれぞれに、λ/4板2および電気光学結晶3の光軸と平行方向に適当な弾性を有する外力をそれぞれ反平行方向に加える。このようにして、偏光子1とそれに張り合わされたGRINレンズ内蔵ホルダ28a、λ/4板2、電気光学結晶3、および検光子4とそれに張り合わされたGRINレンズ内蔵ホルダ28bを仮固定して、フェルール31aおよび31bと光ファイバ32aおよび32bを除くヘッド部が構成される。
【0130】組立台140に仮固定されたヘッド部の上から、仕切り板18で仕切られたケース29を覆い被せて、GRINレンズ内蔵ホルダ28aおよび28bを仕切り板18における2つの穴のそれぞれに通して光学領域Co側に突出させる。光学領域Coのケース29内壁面に沿って濾紙25を配する。光軸OAiおよび光軸OAoに平行な方向への濾紙25の長さは、仕切り板18の下面からGRINレンズ内蔵ホルダ28aおよび28bにおける凹部30aおよび30bまでの長さ並びに固定棒26の長さよりも長く、かつ仕切り板18からフェルール31aおよび31bの下面までの長さよりも短い。
【0131】このように濾紙25と仕切り板18により光学領域Co中に空間Cpを形成した状態でケース29を組立台140に固定し、セラミック充填器124を使用して水溶性のセラミック接着剤ASを空間Cp中に充填する。充填されたセラミック接着剤ASを自然硬化あるいは加熱硬化させることにより、GRINレンズ内蔵ホルダ28aおよび28bを一体的に保持する固定ブロック27を形成する。
【0132】GRINレンズ内蔵ホルダ28aおよび28bのそれぞれに光学接着剤で一体的に接合されている偏光子1と検光子4の間に挟まれて各光軸面に働く摩擦力によって保持されるλ/4板2と電気光学結晶3を、光軸調整用溝状ガイド130と弾性を有する外力とから解放することにより、ケース29と固定ブロック27により一体化されるヘッド部との間に相互作用のない構成が実現される。GRINレンズ内蔵ホルダ28aにフェルール31aおよび光ファイバ32aを接続し、GRINレンズ内蔵ホルダ28bにフェルール31bおよび光ファイバ32bを接続して、ヘッド部を完成させる。その後、電極端子24aおよび24bが取り付けられた蓋16をケース29に嵌合させ、これにより電圧センサが完成する。
【0133】次に、図18(a)、(b)および(c)を参照して、濾紙25を使用してケース29と固定ブロック27との間に間隙111を生じさせるメカニズムについて詳述する。図18(a)、(b)および(c)は、ケース29の内部をGRINレンズ内蔵ホルダ側から光学領域Coを光軸OAiおよびOAoに概ね平行に見た平面図を示している。
【0134】図18(a)に、光学領域Coのケース29内壁面に沿って、間隔Ds’をもって濾紙25(太線で表示)を配して仕切り板18上に形成された空間Cpを示す。この間隔Ds’は、ゼロより大きい所定の距離である。
【0135】図18(b)に、図18(a)に示した空間Cp中に、セラミック接着剤ASを充填した状態を示す。濾紙25はセラミック接着剤AS中の水分を吸収して、濾紙25の体積が膨張、つまりその厚みが増す。膨張した濾紙25(細斜線で表示)は、ケース29の内壁に接するので、ケース29とセラミック接着剤ASの間隔は濾紙25の厚みが増した分だけ大きくなる。そして、濾紙25の吸水量が飽和した段階で、ケース29内面とセラミック接着剤ASの間隔Ds”が決まる。この状態で、濾紙25の近傍のセラミック接着剤ASは、濾紙25により水分が吸水されて硬化して、その形状もあらかた決まる。
【0136】図18(c)に、図18(b)に示した、濾紙25で形状があらかた決められたセラミック接着剤ASを、加熱硬化あるいは自然硬化させた状態を示す。セラミック接着剤ASを硬化させると、濾紙25中の水分が乾燥して濾紙25の厚みDs”が小さくなるが、濾紙25の内側のセラミック接着剤ASは既にあらかた硬化しているために、セラミック接着剤ASがケース29の内壁側に膨らむことは無く、内部に向かって硬化が進行していく。セラミック接着剤ASが完全に硬化した時点では、セラミック接着剤ASを充填する前にケース29の内壁に接していた濾紙25は、ケース29の内壁から肌別れして固定ブロック27に付着するため、濾紙25(太線で表示)とケース29の内壁の間に濾紙25の膨張時の厚みDs”が小さくなった分に相当する距離Dsだけ離間した一様な間隙111が形成される。以上より、Ds”>Ds>Ds’の関係がある。
【0137】以上に、セラミック接着剤ASの、光軸OAhと平行および垂直な方向の寸法変化のメカニズムについて説明した。なお、光軸OAiおよび光軸OAoに平行な方向についても、仕切り板18上に濾紙25を付与することによって、上述のメカニズムにより、ケース29の仕切り板18と固定ブロック27の間にも一様な間隙ができる。つまり、濾紙25が膨張した時に、セラミック接着剤ASが仕切り板18から濾紙25の膨張した分(Ds”)だけ離れ、水分が吸収されたセラミック接着剤ASは、硬化して固定棒26に固定される。そして、濾紙25から水分が蒸発して濾紙25の厚みが小さくなるその分だけ、仕切り板18と濾紙25の間に隙間Dsが生じる。
【0138】このように、光学部品群を一体化する固定ブロック27は、結局、固定棒26とのみケース29と接するため、ケース29の変形などの影響を光学部品群が受けることは全く無くなる。
【0139】なお、センサ部における電気光学結晶3としては、従来と同様に、Bi12SiO20(BSO)またはKDPや自然複屈折を有するLiNbO3またはLiTaO3等が使用される。また、偏光子1および検光子4の光軸面の面だし精度は、30分以下とし、軸ずれ角を0.2°以下に管理することによって、軸ずれによる温度特性の変動が抑えられている。さらに、ホルダ28aおよび28bの材料としては、温度変化による形状変形の小さい無機材料、例えばセラミックが最適である。しかし、少々の特性劣化が深刻な事態を招かないような用途であれば、コストを考慮して、ホルダ28aおよび28bの材料として金属材料を使用しても良い。
【0140】<8.第8の実施形態>次に、本発明の第8の実施形態である光電圧センサについて説明する。図19は、本実施形態の光電圧センサの概略構造を示す透視正面図である。この光電圧センサも、センサ部と、発光部と、受光部と、発光側および受光側信号処理回路(図示せず)とを備えている。センサ部は、第7の実施形態におけるセンサ部と同様、光の入射側から順に光軸OAh上に配置された偏光子1、λ/4板2、電気光学結晶3、および検光子4で構成される。発光部は、光源を含むE/O回路(図示せず)と、光軸OAhに垂直な光軸OAi上に配置された、光ファイバー32a、フェルール31c、GRINレンズ33a、およびホルダ36cからなる入力側光学系とで構成されている。受光部は、光軸OAhに垂直な光軸OAo上に配置された、光ファイバー32b、フェルール31d、GRINレンズ33bおよびホルダ36dからなる出力側光学系と、その出力側光学系から出射されるビームを電気信号に変換する変換素子を含むO/E回路(図示せず)とで構成されている。本実施形態の光電圧センサにおける構成要素のうち第7の実施形態におけるものと同一の構成要素には同一の参照番号が付されている。
【0141】本実施形態の上記光電圧センサの構成要素のうち、センサ部の各構成要素と、発光部のGRINレンズ33a、光ファイバー32a、フェルール31cおよびホルダ36cと、受光部のGRINレンズ33b、光ファイバー32b、フェルール31dおよびホルダ36dとは、ヘッド部を構成する。
【0142】ヘッド部を収納するケース29の内部は、第7の実施形態のヘッダ部と同様、概ね光軸OAiおよび光軸OAoに対して垂直且つ光軸OAhに対して平行な仕切り板18によって、センサ領域Csと光学領域Coに二分割されている。仕切り板18には2つの穴が設けられており、これら2つの穴のそれぞれを入力側光学系のホルダ36cおよび出力側光学系のホルダ36dが貫通するようにして、ヘッダ部がケース29内に機構的に固定されている。入力側光学系のホルダ36cにはGRINレンズ33aが内蔵されており、ホルダ36cの側面にはGRINレンズ33aと接しない位置に側壁を貫通する穴37cが設けられている。GRINレンズ33aはフェルール31cを介して光ファイバー32aと接続されている。このフェルール31cの側面には、それがホルダ36cに挿入されて固定されたときにホルダ36cの穴37cと一致する位置に凹部30cが設けられている。同様に、出力側光学系のホルダ36dにはGRINレンズ33bが内蔵されており、ホルダ36dの側面にはGRINレンズ33bと接しない位置に側壁を貫通する穴37dが設けられている。GRINレンズ33bはフェルール31dを介して光ファイバー32bと接続されている。このフェルール31dの側面には、それがホルダ36dに挿入されて固定されたときにホルダ36dの穴37dと一致する位置に凹部30dが設けられている。
【0143】入力側光学系における光ファイバー32aは、ホルダ36cとフェルール31cの機械精度でGRINレンズ33aと光軸調整され、出力側光学系における光ファイバー32bは、ホルダ36dとフェルール31dの機械精度でGRINレンズ33bと光軸調整されている。このように光軸調整された状態で、入力側光学系においてホルダ36cにおける穴37cおよびフェルール31cにおける凹部30cに接着剤27cを流し込んで穴37cおよび凹部30cに充填して硬化させることにより、ホルダ36cとフェルール31cが一体化されている。同様に、出力側光学系においてホルダ36dにおける穴37dおよびフェルール31dにおける凹部30dに接着剤27dを流し込んで穴37dおよび凹部30dに充填して硬化させることにより、ホルダ36dとフェルール31dが一体化されている。このようにして、入力側光学系と出力側光学系のそれぞれにおいて、別個に、ホルダとフェルールとを固定することができる。なお、この固定化のための接着剤としては、例えば、第7の実施形態において使用される、セラミックを主成分とする水溶性の無機質接着剤を用いるのが好ましい。このような無機質接着剤を使用すれば、その熱膨張係数は樹脂接着剤に比べ小さいため、熱応力による光軸ずれ等に起因する温度特性を改善することができる。
【0144】また、上述のように、ホルダ36cの穴37cおよびフェルール31cの凹部30c、並びに、ホルダ36dの穴37dおよびフェルール31dの凹部30dに、無機質接着剤ASが流れ込んで充填されて硬化するため、フェルール31cおよび31dはホルダ36cおよび36dにそれぞれ挿入された状態で固定され、フェルール31cおよび31dの脱落が防止される。
【0145】<9.第9の実施形態>次に、本発明の第9の実施形態である光電圧センサについて説明する。図20は、本実施形態の光電圧センサの概略構造を示す透視正面図である。本実施形態の光電圧センサの構成は、概ね、第7の実施形態の光電圧センサの構成と同様であり、同一の構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0146】本実施形態の光電圧センサは、入力側光学系および出力側光学系におけるホルダおよびフェルールの構造が第7の実施形態におけるものと相違する。すなわち、本実施形態の光電圧センサでは、第8の実施形態と同様(第7の実施形態とは異なり)、入力側光学系において、GRINレンズ33aの内蔵されたホルダ36cの側面には、GRINレンズ33aと接しない位置に側壁を貫通する穴37cが設けられている。GRINレンズ33aはフェルール31cを介して光ファイバー32aと接続されている。このフェルール31cの側面には、それがホルダ36cに挿入されて固定されたときにホルダ36cの穴37cと一致する位置に凹部30cが設けられている。出力側光学系においても、同様に、GRINレンズ33bの内蔵されたホルダ31dの側面には、GRINレンズ33bと接しない位置に側壁を貫通する穴37dが設けられており、GRINレンズ33bはフェルール31dを介して光ファイバー32bと接続されている。このフェルール31dの側面には、それがホルダ36dに挿入されて固定されたときにホルダ36dの穴37dと一致する位置に凹部30dが設けられている。
【0147】本実施形態においても、第7の実施形態と同様、ホルダ36cおよび36dと固定棒26とは、それらの周囲に配置された濾紙25にセラミックを主成分とする水溶性の無機質接着剤ASを所定の方法で充填した後に硬化させて形成した固定ブロック27によって、一体的に固定される。この固定ブロック27の形成の際に、入力側光学系において、ホルダ36cとフェルール31cの機械精度で光ファイバー32aがGRINレンズ33aと光軸調整された状態で、無機質接着剤ASがホルダ36cの穴37cおよびフェルール31cの凹部30cに流れ込んで充填され硬化する。同様に、出力側光学系においても、ホルダ36dとフェルール31dの機械精度で光ファイバー32bがGRINレンズ33bと光軸調整された状態で、無機質接着剤ASがホルダ36dの穴37dおよびフェルール31dの凹部30dに流れ込んで充填され硬化する。なお、硬化した固定ブロック27とケース29の内壁との間には、互いに間隔Dsだけ離間するように間隙111が設けられている。この間隙111は、温度変化により固定ブロック27が膨張した時にも、固定ブロック27がケース29の内壁に接触してヘッド部の各部材に応力が生じるのを防ぐためのものである。そのため、この間隙111の寸法つまり間隔Dsは、固定ブロック27の熱膨張係数および光電圧センサの使用環境温度範囲に基づいて適切に決定される。
【0148】上述のように、固定ブロック27はセンサ部を構成する各光学部品と同程度の熱膨張率を有する無機質接着剤ASで形成されているため、第7の実施形態ど同様、固定ブロック27とセンサ部との熱膨張係数との相違に基づく応力の発生を抑えることができ、このような応力によって好ましくない温度特性が引き起こされるのを防ぐことができる。
【0149】また、上述のように、ホルダ36cおよび36dと固定棒26とを一体的に固定する固定ブロック27の形成の際に、ホルダ36cの穴37cおよびフェルール31cの凹部30c、並びに、ホルダ36dの穴37dおよびフェルール31dの凹部30dに、無機質接着剤ASが流れ込んで充填され硬化して固定ブロック27の一部を構成する。このため、第8の実施形態と同様、フェルール31cおよび31dはホルダ36cおよび36dにそれぞれ挿入された状態で固定され、フェルール31cおよび31dの脱落が防止される。
<10.変形例>第3ないし第6の実施形態の光電圧センサは、図21に示した従来の光電圧センサと同様の概略構造を有しているものとして説明されているが、これに代えて、第7ないし第9の実施形態(図16ないし図20参照)のいずれかと同様の構造を有するのが好ましい。第7ないし第9の実施形態の構造が採用された場合には、既述の利点(フェルールの脱落防止や熱応力を抑えることによる温度特性の改善など)が得られる。なお、同様に、第1および第2の実施形態の光電圧センサの概略構造として第7ないし第9の実施形態のいずれかと同様の構造を採用するのが好ましい。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成11年7月29日(1999.7.29)
【代理人】 【識別番号】100098291
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 史朗
【公開番号】 特開2001−41983(P2001−41983A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−215798