トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験




【発明の名称】 交差コイル式計器
【発明者】 【氏名】佐藤 浩一

【要約】 【課題】精度良く指針を駆動するとともに、小型の交差コイル式計器を提供するものである。

【解決手段】回転軸5によりマグネット2を回転可能に内装したボビンケース1と、各々が交差するようボビンケース1の各片側に偏って巻装されたコイル6,7と、回転軸5に固着された回転ギア10と、コイル6,7の交差部分に対して回転軸5を隔てて反対側となるボビンケース1に設られるとともに、回転ギア10と噛合する伝達ギア12を備えた偏心軸11とから構成されるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転軸によりマグネットを回転可能に内装したボビンケースと、各々が交差するよう前記ボビンケースの各片側に偏って巻装されたコイルと、前記回転軸に固着された回転ギアと、前記コイルの交差部分に対して前記回転軸を隔てて反対側となるボビンケースに設られるとともに、前記回転ギアと噛合する伝達ギアを備えた偏心軸とから構成される交差コイル式計器。
【請求項2】 少なくとも前記伝達ギアと前記偏心軸とを備えたギアユニットを前記ボビンケースに着脱自在に設けた請求項1に記載の交差コイル式計器。
【請求項3】 前記コイルの無通電時に、前記マグネットを所定位置に保持する固定磁石を前記ボビンケースに設けた請求項1,2に記載の交差コイル式計器。
【請求項4】 前記ギアユニットに前記偏心軸の回転を規制する回転規制部を設けた請求項1から3に記載の交差コイル式計器。
【請求項5】 前記偏心軸を所定の回転方向に付勢する付勢部材を前記ギアユニットに設けた請求項1から4に記載の交差コイル式計器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば車輌用の速度計として用いられる交差コイル式計器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりこの種の交差コイル式計器は、軽量小型で制御容易な計器として種々の指示計器に用いられており、基本的構造としてはほぼ確立したボビンケースやコイル巻装構造となっている。
【0003】すなわち、従来の交差コイル式計器は、たとえば実開平2−67268号にて開示されているように、ボビンケースに2つのコイルを互いに直交する方向に巻回して交差コイルを構成し、この交差コイルの内側に前記各コイルへの通電によりコイルが発生する磁界の合成磁界に応じて回転軸を中心として所定角度回転する回転マグネットを配設し、前記回転マグネットの回転軸を先端部に回転ギアを固着するとともに、前記回転ギアに噛合する伝達ギアが固着されヒゲぜんまいにより0位置方向に付勢される偏心軸を回転自在に配設し、前記偏心軸の先端部に指針を取付けてなり、前記ヒゲぜんまいは前記偏心軸の軸受部材に一体に固着される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、計器装置で扱う種々の表示情報が増加し、それに伴って計器や表示素子の高密度化が進み、計器装置のハウジング内への電子部品増加が不可避となる中で、文字板背後の収納スペースの確保は、内部ランプによる照明の効率化や均一化とともに内部の熱上昇による対流のためにより重要となってきている。しかし、前記計器では、ボビンケースの回転軸を中心とした対称部分全体にコイルを巻装するとともに、精度良く指針を駆動するために、指針と回転軸との間に、偏心軸、伝達ギア、回転ギアを前記計器上方に配設しなければならない構造であるため、計器の小型化、特に、前記回転軸の軸方向に対して制約を与えてしまい、計器装置全体としての大きさも小型化の制限を受けるという欠点を有している。
【0005】そこで、本発明は前記従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、精度良く指針を駆動するとともに、小型の交差コイル式計器を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するため、回転軸によりマグネットを回転可能に内装したボビンケースと、各々が交差するよう前記ボビンケースの各片側に偏って巻装されたコイルと、前記回転軸に固着された回転ギアと、前記コイルの交差部分に対して前記回転軸を隔てて反対側となるボビンケースに設られるとともに、前記回転ギアと噛合する伝達ギアを備えた偏心軸とから構成されるものである。
【0007】また、少なくとも前記伝達ギアと前記偏心軸とを備えたギアユニットを前記ボビンケースに着脱自在に設けたものである。
【0008】また、前記コイルの無通電時に、前記マグネットを所定位置に保持する固定磁石を前記ボビンケースに設けたものである。
【0009】また、前記ギアユニットに前記偏心軸の回転を規制する回転規制部を設けたものである。
【0010】また、前記偏心軸を所定の回転方向に付勢する付勢部材を前記ギアユニットに設けたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の交差コイル式計器は、回転軸5によりマグネット2を回転可能に内装したボビンケース1と、各々が交差するようボビンケース1の各片側に偏って巻装されたコイル6,7と、回転軸5に固着された回転ギア10と、コイル6,7の交差部分に対して回転軸5を隔てて反対側となるボビンケース1に設られるとともに、回転ギア10と噛合する伝達ギア12を備えた偏心軸11とから構成されるものである。このように構成したことにより、各6,7をコイルボビンケース1の各片側に偏って巻いたことで、できた空き部分に伝達ギア12や偏心軸11を配置することで、回転軸5の軸方向に対して小型の交差コイル式計器を提供することができる。
【0012】また、少なくとも伝達ギア12と偏心軸11とを備えたギアユニット13をボビンケース1に着脱自在に設けたものである。このように構成したことにより、指針25の精度を要求されない計測項目に用いる場合には、ギアユニット13を取り外して適用することが可能な交差コイル式計器を提供することができる。
【0013】また、コイル6,7に通電しない状態で、マグネット2を所定位置に保持する固定磁石30をボビンケース1に設けたものである。このように構成したことにより、コイル6,7への通電がなく、マグネット2の位置が定まらない状態のときに固定磁石30により、マグネット2を所定位置に定めることができ、コイル6,7に通電していないときの指針25のふらつきを防止することが可能な交差コイル式計器を提供することができる。
【0014】また、ギアユニット13に偏心軸11の動きを規制する回転規制部24を設けたものである。このように構成したことにより、回転軸5で指針25の動きを規制する場合と、偏心軸11で指針25の動きを規制する場合とでは、回転ギア10と伝達ギア12がない偏心軸11で指針25の動きを規制する場合のほうが、各ギアによる遊びがなく、指針25の位置を所定位置で規制することが可能な交差コイル式計器を提供することができる。
【0015】また、コイル6,7に通電せずマグネット2を回転自在の状態で、偏心軸11が所定の位置に戻るようにするヒゲぜんまいなどの付勢部材26をギアユニット13に設けたものである。このように構成したことにより、回転軸5から偏心軸11へ回転ギア10と伝達ギア12を介して伝わる回転が、ギアによる遊び(いわゆるバックラッシュ)により、指針25の応答遅れなどを発生させていたが、付勢部材26により、所定方向にギアが噛み合っているので、応答遅れを防止することが可能な交差コイル式計器を提供することができる。
【0016】
【実施例】図1から図5は本発明になる交差コイル式計器の代表的実施例を示したもので、樹脂製ボビンケース1は上ボビンケース1aと下ボビンケース1bとからなり、円盤状のマグネット2を回転可能に内装する内装部3の側方に脚部4a,4bを一体形成しており、回転軸5に対してボビンケース1の各片側に各々が略直交するように偏ってコイル6,7が巻装されている。なお、ボビンケース1は、円筒状で有底の金属製のシールドケース29に収納されている。
【0017】コイル6,7のボビンケース1への巻装位置は脚部4a,4bと上ボビンケース1aの回転軸5の軸受部9によって規定され、上方からの各コイル6,7の巻装形態は、その交差部分が回転軸5を挟んで後述する偏心軸11の反対側に位置するよう略直交したV字形として回転軸5の片側に配される。これにより、回転軸5のコイル6,7巻装側とは反対側に空き部分が形成され、マグネット2はその回転中心から偏位したコイル6,7の磁界により回転制御されるが、各磁界はその回転軸を通る直交位置となって何らその磁界方向制御に影響を及ぼすことはなく、磁力によるマグネット2の回転トルクもマグネット2の着磁強度とコイル6,7の線径や巻数調整にて充分得ることができる。下ボビンケース1bの内装部3に近接する部分に、コイル6,7への通電がなくマグネット2が回転自在の状態の時に、マグネット2を所定の位置に留めるように固定磁石30が設けられている。
【0018】ボビンケース1の脚部4a,4bには、コイル6,7への信号供給をなす端子8が装着されている。本実施例では脚部4の縦方向に貫通する孔内に挿通される直線のピン状端子である。端子8の下端側はオス端子構造に形成され、下方に配設される図示しないプリント基板のメス端子と接続可能に構成される。なお、端子の上端を回転軸5側に折り曲げることによって上方への突出を防ぐものでもよい。
【0019】ボビンケース1から露出した回転軸5の先端側には、回転ギア10が固着されている。ボビンケース1のコイル6,7巻装構造による空き部分には、偏心軸11と伝達ギア12とを備えたギアユニット13を備えている。伝達ギア12は回転ギア10と噛み合っており、かつ偏心軸11に固着されている。偏心軸11の端部には指針25が固着される。この指針25と図示しない文字板の目盛とで対比判読をして計測値を指示する。なお、図2中では、指針25は固着されていない状態である。ここで、回転ギア10の歯数は伝達ギア12の歯数よりも少ないために、偏心軸11は回転軸5より減速されて駆動する。このため指針25を精度良く駆動することができる。ギアユニット13は合成樹脂からなる上ギアユニット本体枠13aと下ギアユニット本体枠13bとから構成されており、偏心軸11は上ギアユニット本体枠13aと下ギアユニット本体枠13bとで、回転自在に軸支されている。
【0020】このギアユニット13は、図4から図6に示すように、下ギアユニット本体枠13bに断面形状がくの字状の壁部14を備えており、ギアユニット13は壁部14がボビンケース1の側面15に沿うように配設される。また、ボビンケース1特に下ボビンケース1bの側面15には、孔16を備えた係止部17が形成されている(図3参照)。ギアユニット13には係止爪18を備えた弾性片19が形成されており、この弾性片19を孔16に挿入し係止爪18を係止部17に係止することにより、ギアユニット13をボビンケース1に固定することができる。また、係止爪18と係止部17との係止を解くことにより、ギアユニット13をボビンケース1から取り外すこともできる。このように構成したことにより、指示精度を要求されない例えば、水温や燃料などの計測項目に用いる場合には、ギアユニット13を取り外して適用することができる。
【0021】20はギアユニット13から突出している位置決めピンであり、ボビンケース1に設けた円筒部21内に挿入され、ギアユニット13とボビン本体1の位置を定めるものである。なお、本実施例では、ギアユニット13は着脱可能であるが、組み付け後溶着して着脱不可能にしてもよい。
【0022】伝達ギア12には、図2中で示すように上面12aに溝22が設けられている。そして、上ギアユニット本体枠13aには、溝22内に位置する凸部23を備えている。溝22は伝達ギア12の上面12aに完全な円形に形成されているわけではなく、偏心軸11の回転を所望の位置で止めることができるように偏心軸11を中心として円弧状に形成されている。この偏心軸11の回転規制部24をギアユニット13に設けることにより、偏心軸11に固定されている指針25を直接的に回転の規制を行うことができる。また、溝22内に凸部23を位置させるので、上ギアユニット本体枠13aと伝達ギア12との偏心軸11方向の厚みを薄くすることができる。
【0023】なお、本実施例では、回転規制部24は上ギアユニット本体枠13aと伝達ギア12に形成したが、溝22を伝達ギア12の下面に設け、凸部23を下ギアユニット本体枠13bに設けたものでも良い。また伝達ギア12に凸部を設け、ギアユニット本体枠13a,13bのどちらか一方に溝を設けたものでも良い。
【0024】偏心軸11には、ヒゲぜんまい26からなる付勢手段が設けられている。このヒゲぜんまい26はその一端を偏心軸11にヒゲ玉27で固定されており、他端を上ギアユニット本体枠13aに一体に設けられた固定部28に固定されている。このヒゲぜんまい26により、例えば、偏心軸11が時計回りに回転しても、常に時計と反対回りに回るように、偏心軸11に力を加えている。このように常に偏心軸11がヒゲぜんまい26により、所定の方向に力が加えられていることにより、回転ギア10と伝達ギア12とのギアの歯が常に当接した状態となり、歯と歯の遊びによるがたつきがなく、ひいては、指針のがたつき、つまりふらつきのない指示を行うことができる。
【0025】
【発明の効果】以上、本発明により、初期の目的を達成することができ、精度良く指針を駆動するとともに、小型の交差コイル式計器を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
【出願日】 平成11年7月30日(1999.7.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−41980(P2001−41980A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−216979