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【発明の名称】 パワーデバイス試験装置
【発明者】 【氏名】池ケ谷 剛彦

【要約】 【課題】本発明は、微弱電界から高電界までの電界がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に及ぼす影響を等価的に定量評価し、またパワーデバイスが破壊に至る電界耐量を試験することを目的とする。

【解決手段】電界発生手段2,8,9から発生した電界をパワーデバイスDUTに照射し、電界がパワーデバイスDUTの動作に及ぼす影響、電界による特性劣化あるいは電界によりパワーデバイスDUTが破壊に至る電界耐量を試験することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 任意強度の電界を発生する電界発生手段を有し、この電界発生手段から発生した電界を、IGBT,IEGT,MOSFET,GTOを含むパワーデバイスに照射し、電界が前記パワーデバイスの動作に及ぼす影響、電界による前記パワーデバイスの絶縁耐圧の低下、漏れ電流の増大等の特性劣化あるいは電界により前記パワーデバイスが破壊に至る電界に対する耐量を試験することを特徴とするパワーデバイス試験装置。
【請求項2】 前記電界発生手段は、帯電した電荷量に応じた強度の電界を前記パワーデバイスに照射する帯電球と、この帯電球に近接して設置され供給された電荷量に応じた電荷を当該帯電球に誘起させる電荷供給電極と、この電荷供給電極に所定の電圧を印加することで電荷を供給する電荷供給回路とで構成し、前記パワーデバイスに所定強度の電界を照射して、前記パワーデバイスの電界による影響を定量評価することを特徴とする請求項1記載のパワーデバイス試験装置。
【請求項3】 前記電荷供給回路の電源極性を切替えることにより、前記帯電球に正又は負の電荷を誘起させることを特徴とする請求項2記載のパワーデバイス試験装置。
【請求項4】 前記帯電球をパワーデバイス又はパワーデバイスチップの表面に対して垂直方向に移動可能に構成し、この帯電球の移動により前記パワーデバイスに照射する電界を所定強度に設定して当該パワーデバイスの電界による影響を定量評価することを特徴とする請求項2記載のパワーデバイス試験装置。
【請求項5】 前記電荷供給回路と前記電荷供給電極を接続するためオンして当該電荷供給電極に電荷を供給し、この電荷で前記帯電球を帯電後に、前記電荷供給回路と前記電荷供給電極を絶縁・遮断するためオフする第1のスイッチと、前記帯電球に帯電した電荷のうち、負電荷又は正電荷を大地に放電して前記帯電球を正又は負に帯電させるためオン・オフする第2のスイッチとを有することを特徴とする請求項2記載のパワーデバイス試験装置。
【請求項6】 前記帯電球及び電荷供給電極を囲む静電シールド球とこの静電シールド球に設けた電界放射口とを付加し、前記帯電球の電荷による電界を等価的に細いビーム状として前記パワーデバイスチップの任意の一部分に照射することを特徴とする請求項2記載のパワーデバイス試験装置。
【請求項7】 前記パワーデバイスチップ表面の狭い範囲の一部分に前記帯電球の電荷による電界を略垂直に照射し、電界が前記パワーデバイスの動作特性に最も影響を及ぼす箇所を定量的に評価することを特徴とする請求項6記載のパワーデバイス試験装置。
【請求項8】 前記パワーデバイスを搭載して位置調整する位置調整用X−Yテーブルを備え、この位置調整用X−Yテーブルにより前記パワーデバイスを位置調整することで、電界を略垂直に照射する前記パワーデバイスの狭い範囲の一部分を、前記電界放射口の真下の位置に移動させることを特徴とする請求項7記載のパワーデバイス試験装置。
【請求項9】 前記電界発生手段は、前記パワーデバイスの表面積に対して十分大きな面積を有する可動平行平板電極と固定平行平板電極の電極対と、この電極対に所定の電圧を印加する電界発生回路とで構成し、前記パワーデバイスに対して一様な平等電界を照射することを特徴とする請求項1記載のパワーデバイス試験装置。
【請求項10】 前記パワーデバイスの表面に対する前記可動平行平板電極と固定平行平板電極の傾きを同時に所定の角度に設定する角度制御部を備え、この角度制御部により前記パワーデバイスの表面に対する前記電極対による平等電界の入射角度を所定の角度に設定し、前記パワーデバイスの表面に対する前記平等電界の入射角度が動作に及ぼす影響を試験することを特徴とする請求項9記載のパワーデバイス試験装置。
【請求項11】 前記可動平行平板電極と固定平行平板電極間の距離を可変して前記パワーデバイスに照射する平等電界の強度を所定強度に設定する電極距離制御部を備え、この電極距離制御部により設定された所定強度の平等電界を前記パワーデバイスの表面に対して垂直方向に照射するとともに、前記電界発生回路から前記電極対に印加する電圧の極性を切替えて前記パワーデバイスに照射する前記平等電界の方向を反転可能としてなることを特徴とする請求項9記載のパワーデバイス試験装置。
【請求項12】 装置筐体に、外部からの電界あるいは磁気の影響を抑止する静電シールド及び磁気シールドを施し、外部からの電界あるいは磁気の影響を受けずに、前記パワーデバイスの電界に対する動作特性試験あるいは電界耐量試験を可能としてなることを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載のパワーデバイス試験装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力用機器等に使用されるパワーデバイスの動作特性あるいは特性劣化に対し、電界の及ぼす影響を定量的に評価するためのパワーデバイス試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来は、産業用の電力用機器等の分野に使用されるパワーデバイスが、外来電界の影響によると見られる動作特性異常、絶縁耐圧の低下、漏れ電流の増加等の特性劣化を定量的に評価するための任意の大きさの電界と、この電界の入射角度を任意に設定できる機能及び電界(電気力線)を細いビーム状に制御できる電界発生機能等を持ったパワーデバイス試験装置は無かった。このため、電界がパワーデバイスの動作に及ぼす影響の定量評価あるいはパワーデバイスチップ表面の任意の一部分に電界を照射し、パワーデバイスチップ上の任意の点に対する電界の影響を定量的に評価すること等ができなかった。また、パワーデバイスのモールド樹脂が吸湿した水分等により、パワーデバイスチップの保護膜表面に正あるいは負電荷を持ったイオン(Na+ ,Cl- 等)が誘起され、その直下のシリコン(Si)表面に反対の電荷を持ったイオンが引き寄せられる結果、電界が強まり、あるいは弱まることによりSi内部の空乏層が伸びるあるいは縮まることで、コレクタ・エミッタ間のリーク電流の増加あるいは絶縁耐圧の低下等を引き起こすと言われているが、吸湿により誘起されたこれらの正又は負イオンの影響を定量的に評価できる装置は無かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来は、電力用機器等に使用されるパワーデバイスの動作特性に及ぼす外来電界等の電界の影響を定量的に評価することができなかった。また、パワーデバイスのモールド樹脂が吸湿した水分により、パワーデバイスチップの保護膜表面に誘起される微弱な正あるいは負電荷を持ったイオン(Na+ ,Cl- 等)の影響を等価的、定量的に評価し、これらのイオンとパワーデバイスのコレクタ・エミッタ間の絶縁耐圧の低下、リーク電流の増加等の特性劣化との因果関係と特性劣化の原因究明を行う等のことができなかった。
【0004】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、微弱な電荷のイオン等により微弱電界から外来電界等の高電界までの電界がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に及ぼす影響を等価的に定量評価することができ、パワーデバイスが破壊に至る電界耐量を試験することができ、またパワーデバイスの動作特性あるいは特性劣化と陽イオンや陰イオンとの因果関係の解明や、特性劣化の原因を等価的に究明することができるパワーデバイス試験装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、任意強度の電界を発生する電界発生手段を有し、この電界発生手段から発生した電界を、IGBT,IEGT,MOSFET,GTOを含むパワーデバイスに照射し、電界が前記パワーデバイスの動作に及ぼす影響、電界による前記パワーデバイスの絶縁耐圧の低下、漏れ電流の増大等の特性劣化あるいは電界により前記パワーデバイスが破壊に至る電界に対する耐量を試験することを要旨とする。この構成により、電界発生手段から任意強度の電界をパワーデバイスに照射することで、微弱な電荷のイオン等による微弱電界から外来電界等の高電界までの電界がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に及ぼす影響を等価的に定量評価することが可能となり、またパワーデバイスが破壊に至る電界耐量を試験することが可能となる。
【0006】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載のパワーデバイス試験装置において、前記電界発生手段は、帯電した電荷量に応じた強度の電界を前記パワーデバイスに照射する帯電球と、この帯電球に近接して設置され供給された電荷量に応じた電荷を当該帯電球に誘起させる電荷供給電極と、この電荷供給電極に所定の電圧を印加することで電荷を供給する電荷供給回路とで構成し、前記パワーデバイスに所定強度の電界を照射して、前記パワーデバイスの電界による影響を定量評価することを要旨とする。この構成により、帯電球、電荷供給電極及び電荷供給回路を用いることで、吸湿によりパワーデバイスチップの保護膜表面等に誘起されるイオン等の電荷による微弱な電界と等価な微弱電界を発生させることができ、パワーデバイスの微弱電界による影響を適切に定量評価することが可能となる。
【0007】請求項3記載の発明は、上記請求項2記載のパワーデバイス試験装置において、前記電荷供給回路の電源極性を切替えることにより、前記帯電球に正又は負の電荷を誘起させることを要旨とする。この構成により、パワーデバイスチップの保護膜表面等に誘起されるイオンには、陽イオン(Na+ )や陰イオン(Cl-)がある。パワーデバイスの動作特性あるいは特性劣化と陽イオンや陰イオンとの因果関係の解明や、特性劣化の原因を等価的に究明することが可能となる。
【0008】請求項4記載の発明は、上記請求項2記載のパワーデバイス試験装置において、前記帯電球をパワーデバイス又はパワーデバイスチップの表面に対して垂直方向に移動可能に構成し、この帯電球の移動により前記パワーデバイスに照射する電界を所定強度に設定して当該パワーデバイスの電界による影響を定量評価することを要旨とする。この構成により、パワーデバイスに照射する各電界の強度において、動作特性データや漏れ電流等の特性劣化データを取得することで、微弱電界がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に及ぼす影響を等価的に定量評価することが可能となる。
【0009】請求項5記載の発明は、上記請求項2記載のパワーデバイス試験装置において、前記電荷供給回路と前記電荷供給電極を接続するためオンして当該電荷供給電極に電荷を供給し、この電荷で前記帯電球を帯電後に、前記電荷供給回路と前記電荷供給電極を絶縁・遮断するためオフする第1のスイッチと、前記帯電球に帯電した電荷のうち、負電荷又は正電荷を大地に放電して前記帯電球を正又は負に帯電させるためオン・オフする第2のスイッチとを有することを要旨とする。この構成により、第1のスイッチをオンすることで、電荷供給電極に近い帯電球の一端側に電荷供給電極とは異種の電荷、例えば正電荷が誘起される。この状態で第2のスイッチをオンすることで、帯電球の他端側に誘起されている電荷供給電極と同種の電荷、例えば負電荷が大地に放電される。これにより、帯電球は、例えば正電荷のみが帯電された状態となり、パワーデバイスの動作特性あるいは特性劣化と陽イオンや陰イオンとの因果関係の解明や、特性劣化の原因を適切に究明することが可能となる。
【0010】請求項6記載の発明は、上記請求項2記載のパワーデバイス試験装置において、前記帯電球及び電荷供給電極を囲む静電シールド球とこの静電シールド球に設けた電界放射口とを付加し、前記帯電球の電荷による電界を等価的に細いビーム状として前記パワーデバイスチップの任意の一部分に照射することを要旨とする。この構成により、チップ上の任意の点に対する微弱電界の影響を定量的に評価することが可能となり、イオン等の電荷による微弱電界がパワーデバイスの動作特性あるいは特性劣化に及ぼす影響度が最も大きいチップ上の位置の特定が可能となる。
【0011】請求項7記載の発明は、上記請求項6記載のパワーデバイス試験装置において、前記パワーデバイスチップ表面の狭い範囲の一部分に前記帯電球の電荷による電界を略垂直に照射し、電界が前記パワーデバイスの動作特性に最も影響を及ぼす箇所を定量的に評価することを要旨とする。この構成により、チップ上のごく狭い範囲の一部分に対する微弱電界の影響を定量的に評価することが可能となり、微弱電界がパワーデバイスの動作特性あるいは特性劣化に及ぼす影響度が最も大きい箇所の特定が可能となる。
【0012】請求項8記載の発明は、上記請求項7記載のパワーデバイス試験装置において、前記パワーデバイスを搭載して位置調整する位置調整用X−Yテーブルを備え、この位置調整用X−Yテーブルにより前記パワーデバイスを位置調整することで、電界を略垂直に照射する前記パワーデバイスの狭い範囲の一部分を、前記電界放射口の真下の位置に移動させることを要旨とする。この構成により、一層確実にチップ上のごく狭い範囲の一部分に対する微弱電界の影響を定量的に評価することが可能となる。
【0013】請求項9記載の発明は、上記請求項1記載のパワーデバイス試験装置において、前記電界発生手段は、前記パワーデバイスの表面積に対して十分大きな面積を有する可動平行平板電極と固定平行平板電極の電極対と、この電極対に所定の電圧を印加する電界発生回路とで構成し、前記パワーデバイスに対して一様な平等電界を照射することを要旨とする。この構成により、可動平行平板電極と固定平行平板電極の電極対を用いることで、外来電界等の比較的高電界下において、電界がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に及ぼす影響を等価的に定量評価することが可能となり、またパワーデバイスが破壊に至る電界耐量を試験することが可能となる。
【0014】請求項10記載の発明は、上記請求項9記載のパワーデバイス試験装置において、前記パワーデバイスの表面に対する前記可動平行平板電極と固定平行平板電極の傾きを同時に所定の角度に設定する角度制御部を備え、この角度制御部により前記パワーデバイスの表面に対する前記電極対による平等電界の入射角度を所定の角度に設定し、前記パワーデバイスの表面に対する前記平等電界の入射角度が動作に及ぼす影響を試験することを要旨とする。この構成により、パワーデバイスへの比較的高電界の電界入射角度がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に影響を及ぼす度合いの定量評価が可能となる。
【0015】請求項11記載の発明は、上記請求項9記載のパワーデバイス試験装置において、前記可動平行平板電極と固定平行平板電極間の距離を可変して前記パワーデバイスに照射する平等電界の強度を所定強度に設定する電極距離制御部を備え、この電極距離制御部により設定された所定強度の平等電界を前記パワーデバイスの表面に対して垂直方向に照射するとともに、前記電界発生回路から前記電極対に印加する電圧の極性を切替えて前記パワーデバイスに照射する前記平等電界の方向を反転可能としてなることを要旨とする。この構成により、高電界下における各電界強度及び電界の方向において、パワーデバイスの動作特性データや漏れ電流等の特性劣化データを取得することで、高電界及びその電界方向がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に及ぼす影響を等価的に定量評価することが可能となる。
【0016】請求項12記載の発明は、上記請求項1乃至11の何れかに記載のパワーデバイス試験装置において、装置筐体に、外部からの電界あるいは磁気の影響を抑止する静電シールド及び磁気シールドを施し、外部からの電界あるいは磁気の影響を受けずに、前記パワーデバイスの電界に対する動作特性試験あるいは電界耐量試験を可能としてなることを要旨とする。この構成により、外部からの電界あるいは磁気の影響を受けることなく、微弱電界から高電界までの電界がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に及ぼす影響を等価的に精度良く定量評価することが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】図1は、本発明の第1の実施の形態を示す図である。同図において、DUTは被試験体としてのパワーデバイスであり、パワーデバイスDUTには、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor),IEGT(Injection Enhancement Gate Transistor),MOSFET,GTO(Gate Turn-off サイリスタ)等が含まれる。パワーデバイスDUTは、位置調整用X−Yテーブル7に搭載され、この位置調整用X−Yテーブル7がX−Y位置制御回路3で駆動制御されて水平方向の位置調整が行われるようになっている。そして、このパワーデバイスDUTに電界を照射するための電界発生手段としての電界発生回路が、帯電球9、電荷供給電極10、電荷供給回路・SW制御回路2(以下、単に電荷供給回路又はSW制御回路と言うときも符号2を用いる)、電荷供給と帯電球切り離し用の第1のスイッチS1 及び電荷放電用の第2のスイッチS2 により構成されている。帯電球9が帯電した電荷に応じた大きさの電界がパワーデバイスDUTに照射されるようになっている。帯電球9は絶縁支柱8を介して垂直方向移動機構Zに接続されており、この垂直方向移動機構Zが電極距離制御回路1で駆動制御されて帯電球9とパワーデバイスDUT間の距離が可変されるようになっている。4はパワーデバイス試験回路・制御回路、5はパワーデバイス特性測定・制御回路、6は装置筐体であり、装置筐体6は、試験の際に外部からの電界あるいは磁気の影響を抑止するための静電・磁気シールドが施されている。帯電球9は、電荷供給回路2から電荷供給電極10に印加された電荷により帯電されるが、帯電電荷量はそれ程大きくはない。したがって、図1の帯電球9を用いた場合は、微弱な電荷を持ったイオン等による電界がパワーデバイスDUTの動作特性に及ぼす影響が等価的に定量評価される。強電界下において、電界がパワーデバイスの動作特性に及ぼす影響を定量評価する場合は、後述する図3に示す平行平板電極を用いた回路により行う。
【0019】帯電球9を用いた場合のパワーデバイスDUTに対する電界の大きさ(電界強度・E(V/m))は、帯電球9の電荷量をQクーロン(C)、帯電球9とパワーデバイスDUTとの距離をr(m)、真空中の誘電率をε0 (=8.855×10-12 (F/m))とすると、クーロンの法則により、次式で表される。
【0020】
E=Q/4πε0 2 (V/m) …(1)
次に、帯電球9に電荷を帯電させる原理を説明する。帯電球9を正又は負に帯電させる方法と手順は、まず、SW制御回路2により第1のスイッチS1 をオンし、第2のスイッチS2 をオフする。次いで、電荷供給回路2の電荷供給電源の電圧を正又は負の所定の電圧に設定し、この所定の電圧を第1のスイッチS1 を通して電荷供給電極10に印加する。これにより、電荷供給電極10に近い帯電球9の一端側に、電荷供給電極10とは異種の電荷が誘起される。この状態で、SW制御回路2により、第2のスイッチS2 をオンし、帯電球9の他端側を大地に接地する。これにより、電荷供給電極10から遠い帯電球9の他端側に誘起されている電荷供給電極10と同種の電荷が大地に放電される。放電後、SW制御回路2により、第2のスイッチS2 をオフし、引き続いて電荷供給回路2の電荷供給電源の電圧を徐々に0Vまで下げる。0Vになったら、第1のスイッチS1をオフし、電荷供給電極10と電荷供給回路2間を遮断する。この一連の操作により、帯電球9は、電荷供給電極10に供給された電荷と異種(反対)の電荷に帯電される。
【0021】次に、帯電球9に帯電した電荷による電界を用いて、イオン等の微弱な電界がパワーデバイスDUTの動作特性あるいは特性劣化(絶縁耐圧の低下、漏れ電流の増加等)に及ぼす影響を定量評価する方法について説明する。まず、帯電球9に帯電した電荷による電界の大きさを等価的に変化させ、所定の電界に設定するため、垂直方向移動機構Zにより、帯電球9とパワーデバイスDUTの距離を順次変え、このときの各電界の強さにおいて、パワーデバイス試験回路・制御回路4とパワーデバイス特性測定・制御回路5により、種々の動作条件におけるパワーデバイスDUTの動作特性データと絶縁耐圧や漏れ電流等の特性データを取得する。これらのデータから、吸湿によりパワーデバイスDUTのチップの保護膜表面等に誘起されるイオン等の電荷による微弱な電界がパワーデバイスDUTの動作特性や絶縁耐圧あるいは漏れ電流に及ぼす影響を等価的に定量評価する。また、イオンとの因果関係の解明や、絶縁耐圧劣化、漏れ電流増加等の特性劣化の原因を究明する。
【0022】図2には、本発明の第2の実施の形態を示す。本実施の形態は、前記第1の実施の形態を示す図1の帯電球9の部分に、静電シールド球11と等価的に電界を細いビーム状とする電界放射口12を付加したものである。帯電球9への帯電方法、帯電した電荷による電界でイオン等の微弱な電界がパワーデバイスDUTの動作特性あるいは特性劣化に及ぼす影響を定量評価する方法は、前記第1の実施の形態で示した方法と同様である。
【0023】本実施の形態では、静電シールド球11と電界放射口12を付加したことにより、等価的に電界を細いビーム状とすることが可能なことから、特に電界放射口12からの電界をパワーデバイスDUTのチップ上の任意の一部分に照射可能である。また、細いビーム状の電界を照射するパワーデバイスDUTのチップ上の任意の一部分は、位置調整用X−Yテーブル7により電界放射口12の真下の位置に移動させることが可能である。これにより、チップ表面上の任意の点に対する電界の影響を定量的に評価することが可能となり、イオン等の電荷による微弱な電界がパワーデバイスDUTの動作特性あるいは特性劣化に及ぼす影響度が最も大きいチップ上の位置の特定が可能となる。
【0024】図3には、本発明の第3の実施の形態を示す。本実施の形態では、電界発生手段として、可動平行平板電極14、固定平行平板電極15の2枚の電極対及び電界発生回路・回転角度制御回路13を用いることにより、任意の大きさの平等電界を得ることができ、且つ電界の極性を反転することができ、さらにパワーデバイスDUTの表面に対して電界の入射角度を任意に設定することができて、外来電界等の比較的高電界下において電界がパワーデバイスDUTの動作特性あるいは特性劣化に及ぼす影響を定量的に評価することができる。
【0025】図3に示した回路構成においては、可動平行平板電極14、固定平行平板電極15及び電界発生回路と回転角度制御回路13により、微少電界から高電界までの電界が、パワーデバイスDUTの動作特性及び特性劣化に及ぼす影響の定量評価及び電界によりパワーデバイスDUTが動作不良に至る限界、あるいは絶縁耐圧の低下あるいは漏れ電流の異常増加等の特性劣化により、パワーデバイスDUTが破壊に至る限界までの電界耐量試験が可能である。また、パワーデバイスDUTへの電界入射角度と電界の方向がパワーデバイスDUTの動作特性あるいは特性劣化等に影響を及ぼす度合いの定量評価が可能である。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、任意強度の電界を発生する電界発生手段を有し、この電界発生手段から発生した電界を、パワーデバイスに照射し、電界が前記パワーデバイスの動作に及ぼす影響、電界による前記パワーデバイスの絶縁耐圧の低下、漏れ電流の増大等の特性劣化あるいは電界により前記パワーデバイスが破壊に至る電界に対する耐量を試験するようにしたため、微弱な電荷のイオン等による微弱電界から外来電界等の高電界までの電界がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に及ぼす影響を等価的に定量評価することができ、またパワーデバイスが破壊に至る電界耐量を試験することができる。
【0027】請求項2記載の発明によれば、前記電界発生手段は、帯電した電荷量に応じた強度の電界を前記パワーデバイスに照射する帯電球と、この帯電球に近接して設置され供給された電荷量に応じた電荷を当該帯電球に誘起させる電荷供給電極と、この電荷供給電極に所定の電圧を印加することで電荷を供給する電荷供給回路とで構成し、前記パワーデバイスに所定強度の電界を照射して、前記パワーデバイスの電界による影響を定量評価するようにしたため、吸湿によりパワーデバイスチップの保護膜表面等に誘起されるイオン等の電荷による微弱な電界と等価な微弱電界を発生させることができ、パワーデバイスの微弱電界による影響を適切に定量評価することができる。
【0028】請求項3記載の発明によれば、前記電荷供給回路の電源極性を切替えることにより、前記帯電球に正又は負の電荷を誘起させるようにしたため、パワーデバイスの動作特性あるいは特性劣化と陽イオンや陰イオンとの因果関係の解明や、特性劣化の原因を等価的に究明することができる。
【0029】請求項4記載の発明によれば、前記帯電球をパワーデバイス又はパワーデバイスチップの表面に対して垂直方向に移動可能に構成し、この帯電球の移動により前記パワーデバイスに照射する電界を所定強度に設定して当該パワーデバイスの電界による影響を定量評価するようにしたため、パワーデバイスに照射する各電界の強度において、動作特性データや漏れ電流等の特性劣化データを取得することで、微弱電界がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に及ぼす影響を等価的に定量評価することができる。
【0030】請求項5記載の発明によれば、前記電荷供給回路と前記電荷供給電極を接続するためオンして当該電荷供給電極に電荷を供給し、この電荷で前記帯電球を帯電後に、前記電荷供給回路と前記電荷供給電極を絶縁・遮断するためオフする第1のスイッチと、前記帯電球に帯電した電荷のうち、負電荷又は正電荷を大地に放電して前記帯電球を正又は負に帯電させるためオン・オフする第2のスイッチとを具備させたため、帯電球に正電荷又は負電荷のみを帯電させることができ、パワーデバイスの動作特性あるいは特性劣化と陽イオンや陰イオンとの因果関係の解明や、特性劣化の原因を適切に究明することができる。
【0031】請求項6記載の発明によれば、前記帯電球及び電荷供給電極を囲む静電シールド球とこの静電シールド球に設けた電界放射口とを付加し、前記帯電球の電荷による電界を等価的に細いビーム状として前記パワーデバイスチップの任意の一部分に照射するようにしたため、微弱電界がパワーデバイスの動作特性あるいは特性劣化に及ぼす影響度が最も大きいチップ上の位置を特定することができる。
【0032】請求項7記載の発明によれば、前記パワーデバイスチップ表面の狭い範囲の一部分に前記帯電球の電荷による電界を略垂直に照射し、電界が前記パワーデバイスの動作特性に最も影響を及ぼす箇所を定量的に評価するようにしたため、チップ上のごく狭い範囲の一部分に対する微弱電界の影響を定量的に評価することができ、微弱電界がパワーデバイスの動作特性あるいは特性劣化に及ぼす影響度が最も大きい箇所を特定することができる。
【0033】請求項8記載の発明によれば、前記パワーデバイスを搭載して位置調整する位置調整用X−Yテーブルを備え、この位置調整用X−Yテーブルにより前記パワーデバイスを位置調整することで、電界を略垂直に照射する前記パワーデバイスの狭い範囲の一部分を、前記電界放射口の真下の位置に移動させるようにしたため、一層確実にチップ上のごく狭い範囲の一部分に対する微弱電界の影響を定量的に評価することができる。
【0034】請求項9記載の発明によれば、前記電界発生手段は、前記パワーデバイスの表面積に対して十分大きな面積を有する可動平行平板電極と固定平行平板電極の電極対と、この電極対に所定の電圧を印加する電界発生回路とで構成し、前記パワーデバイスに対して一様な平等電界を照射するようにしたため、外来電界等の比較的高電界下において、電界がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に及ぼす影響を等価的に定量評価することができ、またパワーデバイスが破壊に至る電界耐量を試験することができる。
【0035】請求項10記載の発明によれば、前記パワーデバイスの表面に対する前記可動平行平板電極と固定平行平板電極の傾きを同時に所定の角度に設定する角度制御部を備え、この角度制御部により前記パワーデバイスの表面に対する前記電極対による平等電界の入射角度を所定の角度に設定し、前記パワーデバイスの表面に対する前記平等電界の入射角度が動作に及ぼす影響を試験するようにしたため、パワーデバイスへの比較的高電界の電界入射角度がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に影響を及ぼす度合いを定量評価することができる。
【0036】請求項11記載の発明によれば、前記可動平行平板電極と固定平行平板電極間の距離を可変して前記パワーデバイスに照射する平等電界の強度を所定強度に設定する電極距離制御部を備え、この電極距離制御部により設定された所定強度の平等電界を前記パワーデバイスの表面に対して垂直方向に照射するとともに、前記電界発生回路から前記電極対に印加する電圧の極性を切替えて前記パワーデバイスに照射する前記平等電界の方向を反転可能としたため、高電界下における各電界強度及び電界の方向において、パワーデバイスの動作特性データや漏れ電流等の特性劣化データを取得することで、高電界及びその電界方向がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に及ぼす影響を等価的に定量評価することができる。
【0037】請求項12記載の発明によれば、装置筐体に、外部からの電界あるいは磁気の影響を抑止する静電シールド及び磁気シールドを施し、外部からの電界あるいは磁気の影響を受けずに、前記パワーデバイスの電界に対する動作特性試験あるいは電界耐量試験を可能としたため、微弱電界から高電界までの電界がパワーデバイスの動作特性及び特性劣化に及ぼす影響を等価的に精度良く定量評価することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年6月29日(1999.6.29)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【公開番号】 特開2001−13204(P2001−13204A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−184010