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【発明の名称】 落下センサー
【発明者】 【氏名】浦野 充弘

【氏名】武田 照之

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の可動部が中心軸に対して等距離の円周上に均等な間隔で配置された可動電極と、この可動電極の外側に設けられ可動電極と接離可能とされた固定電極と、慣性体を有し、中心軸が重力の方向に対して直角を成すように配置されることにより、通常時は可動電極を慣性体がその重量によって弾性的に変形させて可動接点と固定接点とを接触させて電路を構成し、落下によって慣性体の重量が所定の値以下に減少すると可動接点の弾性により慣性体が押し戻されると共に可動接点と固定接点が開離して電路を開放することを特徴とする落下センサー。
【請求項2】 それぞれの可動部の間に慣性体が固定電極に達するのを防止するための緩衝部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の落下センサー。
【請求項3】 導電性の端子ピンを貫通固定されたヘッダと、金属製の有底筒状容器とを有し、この容器の開口端には前記ヘッダが端子ピンを容器と電気的に絶縁するように固定されており、容器内部には電気絶縁性のガイドと球状の慣性体が配置され、前記端子ピンの容器内部側にはセンサーの実質的な中心軸に対して等距離の円周上に複数の可動部が均等に配置された可動電極が導電的に固定され、それぞれの可動電極の先端は自由状態では実質的な固定電極である容器の内面と等距離となるように配置され、また前記可動部は水平に配置されたときに慣性体の重量を受けると弾性的に変形して容器内面に接触すると共にその重量が所定値にまで減少した場合には慣性体の重量に抗して先端を容器から開離する弾性を有し、前記ガイドによって慣性体が可動接点と端子ピンとの固着部及び容器内面に直接接触しないようにされていることを特徴とする落下センサー。
【請求項4】 ヘッダは金属板と端子ピンからなり、金属板の中心に設けられた貫通孔に端子ピンを電気絶縁性充填材料によって気密に貫通固定し、この金属板を容器の開口端面に気密に固定して密閉容器を構成したことを特徴とする請求項3に記載の落下センサー。
【請求項5】 ヘッダの金属板と容器との固定はレーザー溶接により行われることを特徴とする請求項4に記載の落下センサー。
【請求項6】 可動電極には端子ピンとの固定部分の中央に貫通孔が設けられ、この貫通孔を介して金属製の固定板と端子ピンの端面とを溶接固定することにより可動電極を固定板と端子ピンとで導電的に挟持固定していることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の落下センサー。
【請求項7】 ガイドの端子ピン側には固定板の形状に合わせた凹部が設けられ、固定板をこの凹部に配置する際にガイドと固定板との間に可動電極を配置し、可動電極の可動部の根元近傍をこのガイドと固定板とで挟持して所定の形状に整形していることを特徴とする請求項6に記載の落下センサー。
【請求項8】 固定板の平面形状は非円形とされ、ガイドの凹部に固定板の平面形状に対応する突起を設けたことにより固定板の回転を防ぐことを特徴とする請求項7に記載の落下センサー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は例えばノートパソコンのような携帯電子機器などの落下状態を検出する小形の落下センサーに関する。
【0002】
【従来の技術】上記の携帯電子機器はその使用中に落下事故などを起こすことによってハードウェアにほとんど損傷がなくてもデータに重大な損傷を与える恐れがある。例えばこれらの携帯電子機器の記憶装置として使われるハードディスクは衝撃などに対する強度が近年向上しているが、データの書き込み・読み取り時にはアームに支えられたヘッドがハードディスクのディスク表面近くを微小な間隔で走査しているため、前記機械的強度を超えない比較的小さな衝撃によってもディスクとヘッド先端が接触・損傷してしまう可能性がある。このような衝撃に対してもヘッドをディスクの外周に設けられた退避場所に移動しておくことなどにより、損傷の危険性を最小限とすることができるが、そのためには落下によって衝撃を受ける前の段階で退避処理などを行う必要がある。このように機器が落下した時のハード・ソフト両面の損傷を最小限にとどめるために、機器が落下状態となったこと自体を検出できるセンサーが求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】加速度センサーとしては種々のものが提案されている。例えば鋼球や重錘を使用した機械式のものがあるが、その多くは横方向の加速度にのみ対応したものであり、重力方向の加速度に対応したものは少ない。その上、従来、重力方向の加速度に対応したものの多くは落下した衝撃加速度を検出するものであって落下衝撃を受ける前に落下状態を検出できるものはほとんどない。
【0004】例えば特開平8−321236に示された応震スイッチは、図6に示すように応震スイッチ101内のコイルバネ102によって錘103を支え、その周囲の傘状の電極104と錘103が接触することで電路が形成されるものであるが事実上、横方向の加速度にしか対応していない。
【0005】つまりこのような構造で重力方向の加速度を検出するということは、別の言い方をすれば重錘等の見かけ上の重量変化を検出するものである。しかしながら特に落下による重量の減少変化を検出するには、重錘を支えるバネは通常時には重錘の重量を支えるものであるとともに落下に伴う僅かな重量変化に対しても充分に変化しなければならない。例えば特開平8−321236においてはコイルバネ102がその長さを変化しなければならない為に、バネの選定は非常に困難である。
【0006】また特開平8−249995に示された振動検知スイッチにおいては、図7に示すように振動検知スイッチ111上に設けられたコイルバネ112の先端からL字形の支杆113を介して可動側の接点部材114を横方向に支持し3次元方向の振動に対してこの接点部材114と固定側の接点部材115が接触して信号を発するものが記載されている。しかしながらこのような構造ではそのセンサーの取付姿勢は決められてしまう。つまり例えばこの振動検知スイッチ111を正立姿勢とした場合と倒立姿勢とした場合、さらには90°傾けた場合とではそれぞれコイルバネにかかる力の方向が引張り、圧縮、曲げと異なるためにそれぞれの姿勢での特性を一致させることが困難である。これに対して落下状態を検出するセンサーとしては正立・倒立の両方向での特性が同一であることはもちろん、できるだけ取付姿勢に自由度があることが好ましい。
【0007】つまり従来の加速度スイッチのようなセンサーは比較的大きな機器に取り付けられることを前提としており、そのような機器は使用時の姿勢もほぼ決まっていた。これに対して例えば、センサーをノートパソコン用の一構成部品であるハードディスクなどに使用する場合には、センサーは設置場所の制約等からハードディスク内で正立・倒立のどちらで使用される場合も想定され、さらには例えばこのようなハードディスクをデスクトップパソコン等に流用する場合には近年の省スペースデスクトップ等においては収納場所の制約によってハードディスク自体が横向きに使用される可能性もある。そのため使用時の姿勢が限定されるセンサーではそれが取り付けられた機器の姿勢も限定されてしまうこととなり、利用者の利便性が制限されてしまう。そこで使用時の姿勢の制限が少ないセンサーが求められている。
【0008】加速度センサーとしては別の方法として、磁力により重錘を保持し検出された加速度に応じて重錘の位置を常に一定に保つようにフィードバックを行うサーボ型加速度センサーや、光ファイバーのゆがみを利用する加速度センサーは、その構造上電力消費量が大きく携帯機器などに使用できるほどに小型化することは困難である。
【0009】小形の加速度センサーとしては半導体を使用したものも多く提案されている。これらは例えば片持ち式のカンチレバーの先端に重錘部を、また根元付近に検出部を設け、加速度の変化によるカンチレバーの形状変化を検出部の歪み量として検出するものである。
【0010】しかしながら落下して床面等に落ちた瞬間に落下物が受ける衝撃加速度は容易に重力加速度の1000倍以上に、また通常の使用において机の上に置かれたときなどに受ける衝撃加速度でも容易に重力加速度の10倍以上になりうる。これに対してその方式にかかわらず、見かけ上の重量減少のように小さな加速度変化を検出することができる構造とされた従来の加速度センサーでは、重錘を保持する部分の構造は非常に弱く、上記のような落下時の衝撃を受けた後にも繰り返し使用できるようにすることが非常に困難であることはもちろん、通常の使用において受ける軽微な衝撃においてもセンサーが損傷を受けて本来の機能を失う可能性がある。
【0011】またこれらの加速度センサーにも前述した取付姿勢の問題があり、特にセンサーを横にしても同様の特性が得られるセンサーは複数のセンサーを組み合わせたもの以外では事実上得られていない。
【0012】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は実用性に優れた落下センサーを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の落下センサーは、複数の可動部が中心軸に対して等距離の円周上に均等な間隔で配置された可動電極と、この可動電極の外側に設けられ可動電極と接離可能とされた固定電極と、慣性体を有し、中心軸が重力の方向に対して直角を成すように配置されることにより、通常時は可動電極を慣性体がその重量によって弾性的に変形させて可動接点と固定接点とを接触させて電路を構成し、落下によって慣性体の重量が所定の値以下に減少すると可動接点の弾性により慣性体が押し戻されると共に可動接点と固定接点が開離して電路を開放することを特徴としている。
【0014】上記手段によれば、センサーの静止時には慣性体の重量により可動電極の可動部が曲がり、センサーの落下時には可動部が戻ることにより可動電極と固定電極が接触・開離するので両電極間の導通状態を監視することによりセンサー及びそれが取り付けられた機器の落下を検出できる。また可動電極の複数の可動部をセンサーの中心軸に対して等距離の円周上に均等な間隔となるように配置したことにより、センサーは中心軸を重力方向と直角になるように設置すれば正立・倒立を含めて取付姿勢は自由になりセンサーの取付けが容易になると共に、センサーを取りつけられた機器の取付姿勢の自由度も増す。
【0015】請求項2の落下センサーは、それぞれの可動部の間に慣性体が固定電極に達するのを防止するための緩衝部を設けたことを特徴とする。
【0016】上記手段によれば、緩衝部を設けたことにより慣性体は固定電極に当接することは無く静止時に慣性体が容器内の最下部に位置していても固定接点とは所定の距離を保つので、緩衝部の間に位置する可動接点が慣性体と固定接点によって挟みこまれることはない。そのためセンサーが落下衝撃を受けた場合はもちろん、慣性体が長期間に亘り繰り返し可動部に接触しても、可動部が延展されたり塑性変形することを防止できる。そのため長期間に亘り安定した動作性能を有する落下センサーを得ることができる。
【0017】請求項3の落下センサーは、導電性の端子ピンを貫通固定されたヘッダと、金属製の有底筒状容器とを有し、この容器の開口端には前記ヘッダが端子ピンを容器と電気的に絶縁するように固定されており、容器内部には電気絶縁性のガイドと球状の慣性体が配置され、前記端子ピンの容器内部側にはセンサーの実質的な中心軸に対して等距離の円周上に複数の可動部が均等に配置された可動電極が導電的に固定され、それぞれの可動電極の先端は自由状態では実質的な固定電極である容器の内面と等距離となるように配置され、また前記可動部は水平に配置されたときに慣性体の重量を受けると弾性的に変形して容器内面に接触すると共にその重量が所定値にまで減少した場合には慣性体の重量に抗して先端を容器から開離する弾性を有し、前記ガイドによって慣性体が可動接点と端子ピンとの固着部及び容器内面に直接接触しないようにされていることを特徴とする。
【0018】上記手段によれば、センサーの静止時には慣性体の重量により可動電極の可動部が曲がり、センサーの落下時には可動部が戻ることにより可動電極と固定電極である容器内面が接触・開離するので両電極間の導通状態を監視することによりセンサー及びそれが取り付けられた機器の落下を検出できる。また可動電極の複数の可動部をセンサーの中心軸に対して均等な間隔となるように配置したことにより、センサーの取付姿勢の自由度が増してセンサーの取付けが容易になると共に、センサーが取り付けられた機器の取付姿勢の自由度も増す。さらにガイドにより、慣性体が可動部を挟み込むことも防止され、可動部の塑性変形の発生を防ぐことができる。そのため長期間に亘り安定した動作性能を有する落下センサーを得ることができる。
【0019】請求項4の落下センサーは、ヘッダが金属板と端子ピンからなり、この金属板の中心に設けられた貫通孔に端子ピンを電気絶縁性充填材料によって気密に貫通固定し、この金属板を容器の開口端面に気密に固定して密閉容器を構成したことを特徴とする。上記手段によれば、センサーの容器を気密な密閉容器とすることができ、いわゆる不活性ガスのような汚損防止ガス等を封入したり、容器内への不所望な気体等の侵入を防ぐことができ、長期に亘り安定した特性を得ることができる。
【0020】請求項5の落下センサーは、ヘッダの金属板と容器との固定をレーザー溶接により行うことを特徴とする。上記手段によれば特にセンサーを小形にする場合にもその溶接作業は容易になる。
【0021】請求項6の落下センサーは、可動電極の端子ピンとの固定部分の中央に貫通孔が設けられ、この貫通孔を介して金属製の固定板と端子ピンの端面とを溶接固定することにより可動電極を固定板と端子ピンとで導電的に挟持固定していることを特徴とする。上記手段によれば、可動電極が非常に薄い金属板である場合にも不所望な変形をさせることなく端子ピンに導電的に固定することができる。
【0022】請求項7の落下センサーは、ガイドの端子ピン側に固定板の形状に合わせた凹部が設けられ、固定板をこの凹部に配置する際にガイドと固定板との間に可動電極を配置し、可動電極の可動部の根元近傍をこのガイドと固定板とで挟持して所定の形状に整形していることを特徴とする。上記手段によれば、可動電極を予め整形しておく必要がないので可動電極の取り扱いが容易になり、且つ確実に所定の形状を得ることができる。
【0023】請求項8の落下センサーは、固定板の平面形状を非円形とされ、ガイドの凹部に固定板の平面形状に対応する突起を設けたことを特徴とする。上記手段によれば固定板はガイドの突起により回転を防止されるので、ガイドの凹部への挿入時に可動接点を不必要にねじれさせたりすることがなくなる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図1ないし図5に基づいて説明する。図1は本発明の落下センサーの縦断面図、図2(a)はそのA−A断面矢視図であり図2(b)は慣性球を除いた状態を示す。また図3はこの落下センサーに使用される可動電極の平面図、図4(a)及び(b)は部品を説明するための斜視図、図5はこの落下センサーが落下状態に入った時の例を示す断面図である。
【0025】この実施例の落下センサー1は金属製の容器2を有している。この容器2は金属板を絞り成型したものであり一方をふさがれた円筒形をしており、その開口端には金属製のヘッダ3が嵌合される。このヘッダ3は容器2の内周とほぼ同径の外周を持つ円環状の金属板であり、その中央の貫通孔3Aには導電性の端子ピン4がガラスなどの電気絶縁性充填材料5によって気密に貫通固定されている。また容器2とヘッダ3とはその端面を溶接などによって気密に固定されて密閉容器を構成している。特にこの溶接方法としては小形の密閉容器を構成する場合にはレーザー溶接が適している。
【0026】この密閉容器内の空間には電気的な接触部分である可動電極6や実質的な固定接点である容器2の内面、及び慣性体である慣性球10のそれぞれが電気的接触状態や移動に支障をきたすような腐食を起こさないように窒素やアルゴン、ヘリウムのような不活性ガスを置換封入することが望ましいが、例えばこれらの箇所にメッキなどの表面処理を行い腐食防止が図られている場合や腐食し難い材料を選定されている等には通常の大気を封入しても良い。また落下センサーが設置される空間自体を不活性ガスで満たしている場合のように使用上の問題がないのであれば、必ずしも落下センサー1自体を気密に封入する必要はなく、かしめや接着などの方法で容器とヘッダとを固定してもよい。
【0027】端子ピン4の容器内部側の端面には可動電極6が導電的に固定されている。この可動電極6はリン青銅などの弾性のある導電材料からなり、図3に示すように実質的な可動部である複数の腕状の接触部6Aが放射状に設けられている。実施例においてはこの可動電極6の中央には貫通孔6Bが設けられており、この貫通孔6Bを挟んで金属製の固定板7の中央に設けたプロジェクションと端子ピン4の端面とを溶接固定することにより、可動電極6は固定板7と端子ピン4とにより挟持固定される。
【0028】容器内部の両端面にはそれぞれ電気絶縁材料により成型された第一のガイド8及び第二のガイド9が配置されている。第一のガイド8はその中央に前記端子ピン4を挿通するための貫通孔8Aが設けられていると共に、一端面には前記可動電極6及び固定板7を配置するための凹部8Bを有している。実施例においては凹部8Bには内側に向って3ヶ所の突起8Cが設けられており、固定板7もまたこの突起を避けるような平面形状とされている。また凹部8Bの周囲には可動電極の接触部6Aの動きを妨げないための窪み8Dが接触部6Aに合わせて6ヵ所設けられている。
【0029】前記可動電極6は第一のガイド8上に図3のような平面形状のままで各々の接触部を上記窪み8Dに合わせて配置し、その上から固定板7を凹部8Bに嵌入することによって接触部6Aはその根元を凹部8Bと固定板7によって挟まれて所定の形状に整形され、さらにそのまま固定板7と前記端子ピン4とを溶接することによりヘッダ3に第一のガイド8と固定板7、及び可動電極6を全て固定することができる。そのため後述するように非常に薄い金属板である可動電極6を予め整形しておく必要がなく、その取り扱いは容易になる。さらに凹部8Bに突起8Cを設け、固定板7はこの突起を避けるような非円形の平面形状としたことにより、固定板7の凹部8Bへの挿入時に回転することを防止でき、接触部6Aがねじれたり傾いたりするような不所望な変形を防ぐことができる。
【0030】第二のガイド9は容器2の非開口部側に設けられるものであり、その端面に複数の柱状体9Aが設けられている。この柱状体9Aは後述する慣性球が容器と直接接触しないようにする緩衝部であるとともに、それぞれの先端が第一のガイド8の端面と当接することによりその軸方向の位置関係を決定することができる。さらに円周方向の位置関係は製造時に画像処理などによって両者を合わせることで決定される。さらに第二のガイド9を容器2に挿入した後の軸に対する回転は例えば柱状体9Aをその先端部が外周方向に向って開くような形状とすることによって防止することができるが、この他にも接着剤などによって容器2に固定しても良いし、第1のガイド8との接触部分に嵌合部を設けて両者の位置関係を固定してもよい。
【0031】容器2の内部には慣性体である金属製の慣性球10が配置されている。慣性球10は落下センサー1が図1に示すように正規姿勢でかつ静止状態にある時には常に可動電極6が有する実質的な可動部である複数の接触部6Aのいずれかを弾性的に変位させて、接触部6A先端と実質的な固定電極である容器2の内面を接触させて端子ピン4と容器2との間を電気的に接続している。
【0032】この可動電極6は落下センサーを小形にした場合、慣性球10によって充分に弾性変形するためには非常に薄いものとなる。例えば実施例の場合、容器2の直径を約5mmとした場合には慣性球10の直径は約3.5mmであり、この場合の接触部6Aは幅0.3mmで厚さは15μmである。
【0033】ここで慣性球10が容器2の内面にまで達するような構造とされていると、センサーの落下時等に慣性球10と容器2との間で接触部6Aが衝撃加速度を受けて強く挟まれて接触部6Aが塑性変形したり、接触部6Aが長期間に亘り繰り返し挟まれることにより徐々に延展されて変形してしまい、落下センサーとして所定の性能を得られなくなる可能性がある。そこで実施例では前述した第二のガイド9に設けられた緩衝部である柱状部9Aの働きによって、慣性球10は固定電極である容器2の内面と直接接触しないようにされており、柱状部9Aの間に配置された可動接点である接触部6Aは慣性球10と容器2とで直接挟まれることはなく塑性変形を防止することができる。
【0034】また可動電極6を直接溶接などで端子ピン4に固着しようとするとその固着部分が熱膨張で変形したり溶融変形してしまい、可動電極全体が所定の形状を保てなくなると言う問題がある。そこで可動電極6を直接溶接するのではなく、可動電極6に設けられた貫通孔6Bを通して固定板7と端子ピン4を溶接することによって可動電極を挟み込むことにより、固着時にも可動電極に変形を生じさせるような熱を加えることはなく電極形状の不所望な変形を防ぐことができる。さらに固定板7は可動電極6の固着部近傍の保護板としての役割もなし、慣性球10が直接可動電極6に直接当たることによる電極の変形を防止することができる。また固定板7を第一のガイド8に装着する際に、固定板7とガイドの凹部8Bとで可動電極6の接触部6Aを挟むことにより接触部を確実に所定の形状に整形することができる。
【0035】さらに本実施例においては第一のガイド8に突起8Cを設けたことにより、慣性球10は固定板7、特にその端面とも当たらないので、これによって慣性球の表面に傷がつくことも防止される。また固定板7を突起8Cに合わせた切りこみを設けた形状としたことにより、固定板7を第1のガイド8の凹部8Bに装着する際に固定板の回転が防止され、装着と同時に整形される可動電極6の接触部6Aが予想外の変形をすることを防ぐことができる。
【0036】次にこの落下センサー1の動作について説明する。この落下センサー1はその中心軸が重力方向に対して直角を成すように検出対象物に取り付けられる。落下センサーが静止しているときは、慣性球10は重力を受けて可動電極6の接触部6Aを撓ませて容器内の一番低い位置に位置する。この時、慣性球10は第二のガイド9の柱状部9A上に位置し、接触部6Aを容器2との間で直接挟むことなく接触部6Aの先端を容器2の内面に接触させて端子ピン4と容器との間を電気的に接続している。
【0037】落下センサー1を取り付けた検出対象物が落下状態になると落下センサー1そのものが落下状態となるので、一時的に慣性球10にかかる重力は見掛け上減少する。そのため慣性球10が可動電極6の接触部6Aを押し下げていた力は減少し、やがては接触部6Aの先端は例えば図5に示すように容器2から離れて電路を遮断する。ここで例えば接触部6Aの弾性を慣性球10の重量が見かけ上半分になったときに容器2から先端部が離れるように設定することにより、落下センサー1にかかる重力が0.5G以下となったときに検出対象物が落下状態に陥ったと判定することができる。もちろんこの値は慣性球10の質量と接触部6Aの弾性を選定することにより自由に設定することができる。
【0038】本発明の落下センサーは重力の検出方向に対して直角に中心軸を有する円筒形とし、その周辺方向に可動電極の複数の可動部を均等に配置したことにより落下センサーの取付け時に軸方向だけを合わせれば、容器の取付け姿勢がこの軸を中心にどのような角度で回転した状態で固定されていても基本的な特性に変化はない。そのため例えばノートパソコン等のハードディスクに取り付けられた場合には、その機種毎の仕様によりハードディスクを表向きに取り付けた場合も裏向きに取り付けた場合も同様の保護特性を得ることができる。さらに落下センサーの軸方向に対して回転させた状態で固定されているのであれば、デスクトップパソコンに対して横向きに取り付けても問題はない。
【0039】なお、実施例においては緩衝部である柱状部を第二のガイド側に設けたものについて説明したが、例えば第一のガイド側に設けたとしても同様の効果が得られることは言うまでもなく、さらに両ガイドから独立した部品として構成してもよい。
【0040】また落下センサーの容器内にその粘性を調整されたシリコンオイルの如き制動液体を適量封入することにより、特に落下以外の短時間で且つ問題にならない程度の振動などを受けた場合にも慣性体の動きを抑え、不必要に保護機構などが動作しないようにしてもよい。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、可動電極が複数の可動部をセンサーの中心軸に対して等距離の円周上に均等な間隔となるように配置されることにより、センサーの取付姿勢の自由度が高まり、センサーを取りつけられた機器の取付姿勢の自由度も増える。そのため従来のような設置姿勢の決められたもの以外にも例えばノートパソコンのハードディスクのような小形の構成部品に使用することが可能になる。
【0042】またそれぞれの可動電極の間に緩衝部を設けたことにより、慣性体が固定電極にまで達して可動電極を挟み込むことを防止し、衝撃加速度を受けた場合の慣性体の衝接による可動電極の塑性変形や、可動電極が固定接点と慣性体に繰り返し挟まれることによる延展等の塑性変形を防ぐことができる。
【0043】さらにセンサーの容器を気密な密閉容器とすることにより、容器内部の電気的接触面等を清浄に保つことができ、長期に亘り所期の性能を安定して得ることができる。
【0044】また容器の封入溶接手段としてレーザー溶接を使用することにより、センサーを小形にする場合にもその溶接作業は容易になる。
【0045】また可動電極を固定板と端子ピンとで挟持固定する構造とすることにより、可動電極が非常に薄い金属板である場合にも不所望な変形をさせることなく端子ピンに導電的に固定することができる。
【0046】さらに可動電極の可動部を固定板とガイドとで挟持して所定の形状とすることにより、可動電極を予め変形しておく必要がないので可動電極の取り扱いが容易になり、且つ確実に所定の形状を得ることができる。
【0047】また固定板の平面形状を非円形としガイドの凹部に固定板の形状と合わせた突起を設けたことにより、固定板はガイドの突起により回転を防止され、ガイドの凹部への固定板の挿入時に可動接点を不必要にねじれさせたりすることがなくなる。
【出願人】 【識別番号】591071274
【氏名又は名称】株式会社生方製作所
【出願日】 平成12年1月12日(2000.1.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−194382(P2001−194382A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−4039(P2000−4039)