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【発明の名称】 光ファイバ式流速センサ
【発明者】 【氏名】海野 修司

【氏名】松下 守夫

【氏名】福地 圭介

【氏名】齋藤 健一

【要約】 【課題】電磁環境に強く、自動連続測定が可能で、多点測定が極めて容易な光ファイバ式流速センサを提供する。

【解決手段】歪みによって伝送光が変化する光ファイバ5と、流体の流れによって回転される回転子1と、この回転子1の回転に連動して前記光ファイバ5に歪みを付加する歪み付加手段12とを設け、この光ファイバ5の伝送光より歪みの発生を検出し、この歪みの発生回数から前記回転子1の回転数を求め、この回転数から前記流体の流速を求める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 歪みによって伝送光が変化する光ファイバと、流体の流れによって回転される回転子と、この回転子の回転に連動して前記光ファイバに歪みを付加する歪み付加手段とを設け、この光ファイバの伝送光より歪みの発生を検出し、この歪みの発生回数から前記回転子の回転数を求め、この回転数から前記流体の流速を求めることを特徴とする光ファイバ式流速センサ。
【請求項2】 前記光ファイバの伝送光より前記歪み付加部分の温度を測定することを特徴とする請求項1記載の光ファイバ式流速センサ。
【請求項3】 前記光ファイバの少なくとも歪みを受ける部分を光ファイバブラッググレーティングで構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバ式流速センサ。
【請求項4】 反射波長の異なる複数の光ファイバブラッググレーティングを光ファイバ中に直列に形成し、複数の前記回転子及び歪み付加手段に対して波長別の光ファイバブラッググレーティングを配置し、この光ファイバの一端より波長別の伝送光を用いて回転子毎の流速を測定することを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の光ファイバ式流速センサ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体、液体等の流速を測定する流速センサに係り、特に、電磁環境に強く、自動連続測定が可能で、多点測定が極めて容易な光ファイバ式流速センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】風速計には、プロペラ式、風杯式などがあり、いずれの方式の風速計もプロペラや風杯の回転速度(回転数)が変化し、その回転速度を電圧値、電流値、電気パルスに変換し、このような電気的情報を後段の測定系で感知して風速を求める電気式風速計である。代表的な従来の電気式風速計による風速測定範囲は、瞬時測定値の場合、プロペラ式で20〜70m/s、風杯式で0.5〜60m/sである。
【0003】液体の流速計には、浮きによる目視式、プロペラ式、電波式などがある。目視式は、ある区間内で上流から下流に浮きを流し、区間を通過した時間から流速を求めるものである。プロペラ式は、液体中にプロペラを沈め、流速に応じたプロペラ回転速度を電気接点の開閉回数で測定するものであり、前記風速計と同じ電気式である。電波式は、液体表面に極短波等の電波を照射し、反射波のドップラー効果による周波数シフトから流速を測定するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の電気式の風速計や流速計は、測定情報が電圧値、電流値、電気パルスなどの電気的情報であるため、雷等の周囲の電磁環境に弱いという欠点がある。この電気式風速計や電気的情報を伝送する信号線が高電磁界部周辺に設置された場合には、測定誤差が大きくなる可能性が非常に高く、特別なシールド対策が必要になる。また、電気式風速計は、基本的に一つの測定箇所に一台の電気式風速計が必要であるため、多点測定を行うためには、多数の電気式風速計が必要となり、全体のシステムが複雑で高価になってしまう。
【0005】目視式の測定は、装置が簡素であるが、測定者による測定値のばらつきが大きい。また、目視式では、時間的に連続した測定は不可能である。
【0006】電波式のものは、液体表面に離れたところから電波を照射する構成のため、電波のあて方によっては測定不能であったり、測定誤差が大きかったりする。また、電波式のものは、液体表面の流速を測定することはできても、液体中の流速は測定できない。
【0007】そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、電磁環境に強く、自動連続測定が可能で、多点測定が極めて容易な光ファイバ式流速センサを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、歪みによって伝送光が変化する光ファイバと、流体の流れによって回転される回転子と、この回転子の回転に連動して前記光ファイバに歪みを付加する歪み付加手段とを設け、この光ファイバの伝送光より歪みの発生を検出し、この歪みの発生回数から前記回転子の回転数を求め、この回転数から前記流体の流速を求めるものである。
【0009】前記光ファイバの伝送光より前記歪み付加部分の温度を測定してもよい。
【0010】前記光ファイバの少なくとも歪みを受ける部分を光ファイバブラッググレーティングで構成してもよい。
【0011】反射波長の異なる複数の光ファイバブラッググレーティングを光ファイバ中に直列に形成し、複数の前記回転子及び歪み付加手段に対して波長別の光ファイバブラッググレーティングを配置し、この光ファイバの一端より波長別の伝送光を用いて回転子毎の流速を測定してもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0013】図1に示されるように、本発明に係る風速計は、歪みによって伝送光が変化する光ファイバブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating;以下、FBGという)による光ファイバ歪みセンサを含んだ光ファイバ5と、風速によって回転速度が変化する風杯式の回転子1と、この回転子1の回転に連動してFBGに歪みを付加する歪み付加手段12と、この光ファイバ5の伝送光より歪みの発生を検出し、この歪みの発生回数から回転子の回転数を求め、この回転数から風速を求める測定装置13とからなる。
【0014】FBGは、光ファイバ中に、通常の光伝達部とは屈折率の異なった部分を周期的に格子状に配置したグレーティングを設け、その配置周期を反射させたい光の波長の1/2としたものであり、前記反射させたい波長の光のみを反射させることができる。FBGは、主に光通信の分野で光ファイバ型のフィルタとして使用されているが、近年では、光ファイバに歪みが加わると格子間隔が変わって反射波長が変化するということを利用し、光ファイバ歪みセンサへの用途が検討されている。なお、本発明の光ファイバ歪みセンサには、ファブリ・ペロー型等の光ファイバ歪みセンサを用いてもよい。
【0015】歪み付加手段12は、回転子1の回転軸2の周の一部より径方向に突き出した突起により歪み付加部3を形成し、この回転軸2に径方向より光ファイバ5の一端に形成された歪み受感部4を臨ませ、回転軸2の回転角によって歪み受感部4が歪み付加部3に干渉して歪んだり、自由になったりするように配置し、回転軸2が1回転する毎に1回のパルス状の歪みが歪み受感部に発生するように構成したものである。歪み付加手段12の詳細な実施形態は後述する。
【0016】測定装置13は、光源光を光ファイバ5に導き、光ファイバ5からの反射戻り光を分離する光カプラ6と、光源光を供給する光源7と、反射戻り光の波長(即ち、光ファイバ歪みセンサの反射波長)を測定する波長測定器8と、測定した反射波長から歪み値を演算し前記パルス状の歪みに対応する歪みパルスを形成する歪み演算部9と、単位時間あたりの歪みパルスの数から風速を演算する風速演算部10と、風速を表示する風速表示部11とからなる。
【0017】図1の風速計において、回転子1が1回転する毎に歪み付加部3が歪み受感部4を押し曲げるようにして歪み受感部4に1回のパルス状の曲げ歪みを加える。この歪み受感部4の光ファイバ歪みセンサには、光源7からの光源光が光カプラ6、光ファイバ5を経由して供給されている。歪み受感部4に歪みが加わっていないときには、光源光のうち予め設計製作によって設定されている反射波長の光が反射されて光ファイバ5、光カプラ6を経由して波長測定器8に入射される。歪み受感部4に歪みが加わっているときには、光源光のうち予め設計、調整された歪みに応じた反射波長の光が反射されて光ファイバ5、光カプラ6を経由して波長測定器8に入射される。
【0018】波長測定器8は反射波長を測定し、後段の歪み演算部9は反射波長を歪み値に変換する。FBGの反射波長を1.55μmで設計製作した場合、1マイクロ歪みの波長変化幅は、1.55×10-6×1×10-6=1.55×10-12 m=10pmとなる。歪み付加部3が歪み受感部4に曲げ歪みを加えたときに、例えば、100マイクロ歪みの歪みが発生するように設計、調整した場合、波長測定器8には回転子1が1回転する毎に1.55×10-12 ×100=1.55×10-10 =0.155nmのパルス状の波長変化が1回観測される。この波長変化を歪み値変化に変換すると、図1中のグラフ14に示すような歪みパルスの時間列を得ることができる。単位時間あたりの歪みパルス数は回転子の単位時間あたりの回転数に等しいので、この回転数より風速を求めることができる。風速演算部10では、単位時間あたりの歪みパルスの数を計数し、この計数値より風速を演算する。このようにして測定された風速が風速表示部11に表示される。
【0019】図2に、本発明の一実施形態による歪み付加手段12を示す。歪み付加手段12は、回転子側の歪み付加部3と光ファイバ側の歪み受感部4とからなる。
【0020】歪み付加部3は、回転軸2の周の一部に設けた突起からなり、この突起は、回転軸2の回転方向前方側で曲線的に立上がり、回転方向後方側では略直線的に立下がる形状を有する。
【0021】一方、歪み受感部4は、突起の回転方向に平面を対向させた板状の歪み架台4−3に光ファイバ歪みセンサ4−1を塗布接着により取り付けたものである。光ファイバ歪みセンサ4−1は、光ファイバ5の光ファイバ心線先端近傍にFBG4−2を形成することにより構成されている。歪み架台4−3は、光ファイバ心線よりも曲げ剛性が強く、かつ歪み付加部3による歪みが解放されたときには、跳ね返りの振動が適切な時間で治まるような適切な剛性を持った材質のものがよい。
【0022】歪み付加部3が回転子1の回転に従って回転方向に前進すると、歪み受感部4には徐々に曲げ歪みが加わり、その後、歪み受感部4が解放されて曲げ歪みがなくなる。1パルス分の歪み波形は、時間的に拡大すると図3のようになる。
【0023】なお、歪み付加部3の形状は、図2の形状に限らず、歪み受感部4にパルス状の歪みを発生させるものであれば、任意でよい。歪み付加部3の他の実施形態を図4に示す。この歪み付加部3は、略三角形状の突起を有する偏心したカムで構成されており、この突起で歪み架台4−3を押し曲げるようになっている。
【0024】また、歪み受感部4の構造は、図2の構造に限らず、種々の変形が可能である。歪み受感部4の他の実施形態を図5に示す。この歪み受感部4は、歪み架台4−3に光ファイバ歪みセンサ4−1の光ファイバ心線を挟み込んだサンドイッチ構造を有する。
【0025】また、回転子1の回転軸2にギア等の加減速機構を介して歪み付加用回転軸を設け、この歪み付加用回転軸に歪み付加手段12を設置してもよく、これにより、より速い風速に対応することができる(図示せず)。
【0026】さらに、図2の実施形態では、歪み付加手段12として歪み付加部3を突起で構成し、歪み受感部4を突起に対向させた歪み架台4−3で構成し、光ファイバ歪みセンサ4−1に曲げ歪みが加わるようにしたが、これに限らず、カム等を用いて回転軸2の回転運動を直線運動に変換し、光ファイバ歪みセンサ4−1に伸び歪みを加えるようにしてもよい(図示せず)。
【0027】以上、説明したように、本発明は、プロペラや風杯の回転に応じて光ファイバ歪みセンサ4−1に歪みを付与し、検出される歪みからプロペラや風杯の回転数を計数し、流体の流速を測定することができる。光ファイバ歪みセンサ4−1が受ける歪みや伝送される光は電磁ノイズの影響を受けないので、電磁環境に強い流速センサが実現できることになる。また、光ファイバ歪みセンサ4−1を用いたことによって、回転子部分の装置構成を従来よりも小型化することができ、設置場所に制約がない流速センサが実現できることになる。更に、時間的に連続した測定を自動的に行うことが容易になる。
【0028】次に、多点測定を行う風速計を説明する。
【0029】図6に示されるように、本発明に係る多点風速計は、反射波長の異なる複数のFBGによる光ファイバ歪みセンサを直列に形成した光ファイバ5を用い、複数の回転子1及び歪み付加手段12に対して波長別の光ファイバ歪みセンサを配置し、この光ファイバ5の一端より波長別の伝送光を用いて回転子毎の流速を測定するものである。FBGの反射波長は、少しずつ異ならせることによって、測定装置13で分離して測定できるようになっている。
【0030】ここで用いる測定装置13は、基本的には図1のものと同じであり、光カプラ6、光源7、波長測定器8、歪み演算部9、風速演算部10、風速表示部11からなる。測定装置13は、各FBGの反射波長について前述した歪み値への変換式を備えており、図6中のグラフ15に示すような測定点毎の歪みパルスの時間列を得ることができる。それぞれの歪みパルス列から、それぞれの回転子設置箇所の風速を求めることができる。
【0031】多点測定に適した歪み付加手段12について説明する。
【0032】歪み付加部3は、既に説明したものと同じ構造を有する。一方、歪み受感部4は、光ファイバ5の途中に形成されている。この歪み受感部4を回転軸2に臨ませ、かつ光ファイバ5が各回転子1を渡るように、光ファイバ5を曲げて折り返した構成となっている。例えば、図7に示されるように、FBG4−2を形成した光ファイバ歪みセンサ4−1より光源から見てやや遠端側の光ファイバ5を歪み架台4−3上でU字状に折り返して歪み架台4−3上を往復させるか、又は、図8に示されるように、曲げを緩くして光ファイバ5を歪み架台4−3の側方から逃がすようにする。また、歪み架台4−3に貫通孔を形成し、この貫通孔に光ファイバ5を通して下方から逃がすようにしてもよい(図示せず)。
【0033】なお、多点測定用に適した歪み受感部4の構造は、図7,8の構造に限らず、種々の変形が可能である。歪み受感部4の他の実施形態を図9に示す。この歪み受感部4は、円筒状の歪み架台4−3の軸部に光ファイバ5を挿通したものである。FBG4−2は、円筒状の歪み架台4−3の中に樹脂4−5によって埋め込まれている。この歪み架台4−3の軸を回転軸2に直交させて配置し、回転軸2には、図4で説明したような歪み付加部3を取り付ける。これにより、回転軸2の回転による歪み付加部3の突起の進行方向は歪み架台4−3の軸方向になる。また、歪み架台4−3を使用せず、FBG4−2を形成した光ファイバ心線にナイロンやテフロン等の被覆を施し、この光ファイバ5を回転軸2に直交させて配置してもよい。
【0034】以上、説明したように、本発明は、光ファイバ5に複数の光ファイバ歪みセンサを直列に形成し、反射波長毎に歪みを検出するようにしたので、1本の光ファイバ5と1台の測定装置13を用いて、例えば100箇所もの多点測定を行うことができる。
【0035】次に、温度補償を行うための構成を説明する。
【0036】FBGは、温度によっても反射波長が変化する。従って、歪みによる反射波長変化成分と温度による反射波長変化成分とを分離することが必要になる場合もある。このための温度補償付き光ファイバ歪みセンサは、図10に示されるように、歪み受感部4の近傍、具体的には歪み検出用のFBG4−2と温度が違わない程度の位置で、かつ歪みを受けない位置に、温度補償のための温度を測定するFBG4−4を光ファイバ5に設けたものである。このFBG4−4の反射波長は、測定装置13において、FBG4−2の反射波長の温度による変化を較正することに用いることができる。
【0037】ここまでの説明では、本発明を風杯式の回転子を用いた風速計に適用したが、本発明はプロペラ式に適用することはもちろん、気体、液体等の流速を測定する流速センサに広く適用することができる。
【0038】本発明による流速計を図11、図12に示す。図11の流速計は、プロペラ式の回転子が用いられている他は図1の風速計と同じ構成であり、動作も同じであるから、説明を省略する。また、図12の多点流速計は、プロペラ式の回転子が用いられている他は図6の多点風速計と同じ構成であり、動作も同じであるから、説明を省略する。
【0039】
【発明の効果】本発明は次の如き優れた効果を発揮する。
【0040】(1)センサに光ファイバを用いたので、電磁環境に強い流速センサが実現できる。
【0041】(2)自動連続測定が可能となる。
【0042】(3)1本の光ファイバ中に多数のセンサを設けることができるので、多点測定が極めて容易となる。また、同じ光ファイバで温度の測定も可能となる。
【出願人】 【識別番号】000173577
【氏名又は名称】財団法人河川情報センター
【識別番号】599008126
【氏名又は名称】電設コンサルタンツ株式会社
【識別番号】000005120
【氏名又は名称】日立電線株式会社
【出願日】 平成12年1月12日(2000.1.12)
【代理人】 【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
【公開番号】 特開2001−194378(P2001−194378A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−6349(P2000−6349)