| 【発明の名称】 |
半導体力学量センサ |
| 【発明者】 |
【氏名】柳谷 陽子
【氏名】酒井 峰一
【氏名】青山 正紀
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| 【要約】 |
【課題】差動容量式の半導体加速度センサにおいて、センサの加工ばらつきにより、支持基板の開口縁部に固定される固定電極部の配線部の寄生容量がばらついても、センサのオフセットを極力低減可能とする。
【解決手段】センサ100は、可動電極部30との間に各々第1の検出容量CS1、第2の検出容量CS2を形成する第1の固定電極部40、50及び第2の固定電極部60、70を備える。第1及び第2の固定電極部40〜70を共に、各々が支持基板20の開口部21上にて可動電極部30に対向配置された第1及び第2の対向電極42、52、62、72と、支持基板20に固定されて第1及び第2の対向電極42〜72をそれぞれ支持する第1及び第2の配線部41、51、61、71とにより構成し、これら両配線部41〜71を互いに電気的に独立させ支持基板20の開口縁部において互いに対向するように配置する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一面側に所定形状にて開口する開口部(21)が形成された半導体よりなる支持基板(20)と、この支持基板に支持され前記開口部上にて力学量の印加に応じて変位する可動電極部(30)と、前記可動電極部との間に第1の検出容量を形成する第1の固定電極部(40、50)と、前記可動電極部との間に第2の検出容量を形成する第2の固定電極部(60、70)とを備え、力学量の印加に応じて前記可動電極部が変位したとき、前記第1の検出容量と前記第2の検出容量との差分に基づいて印加力学量を検出する半導体力学量センサにおいて、前記第1及び第2の固定電極部は共に、各々が前記開口部上にて前記可動電極部に対向配置された第1の対向電極(42、62)及び第2の対向電極(52、72)と、前記支持基板に固定されて前記第1の対向電極を支持する第1の配線部(41、61)及び前記支持基板に固定されて前記第2の対向電極を支持する第2の配線部(51、71)とにより構成されており、これら第1及び第2の配線部は、互いに電気的に独立し前記支持基板の開口縁部において対向するように配置されたものであることを特徴とする半導体力学量センサ。 【請求項2】 前記第1及び第2の配線部(41、51、61、71)は、互いに略同一の配線面積を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体力学量センサ。 【請求項3】 前記開口部(21)の開口形状は矩形状であり、前記可動電極部(30)は、前記支持基板(20)の前記開口縁部のうち対向する1組の辺の間にて前記開口部上を横断するように配置されており、前記第1及び第2の配線部(41、51、61、71)は、各々が互いに、前記支持基板の前記開口縁部のうち対向する他の1組の辺に配置されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体力学量センサ。 【請求項4】 前記可動電極部(30)は、前記変位する方向の両端にて前記支持基板(20)の開口縁部に支持された錘部(31)と、この錘部から前記変位する方向と直交する方向にて互いに反対方向へ突出する第1及び第2の突出部(34、35)とよりなり、前記第1の突出部(34)は、前記第1の固定電極部(40、50)における前記第1の対向電極(42)に対向するものと、前記第2の固定電極部(60、70)における前記第1の対向電極(62)に対向するものとより成り、前記第2の突出部(35)は、前記第1の固定電極部における前記第2の対向電極(52)に対向するものと、前記第2の固定電極部における前記第2の対向電極(72)に対向するものとより成ることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体力学量センサ。 【請求項5】 一面側に開口する開口部(21)が形成された半導体よりなる支持基板(20)と、この支持基板に支持され前記開口部上にて力学量の印加に応じて変位する可動電極部(230)と、前記支持基板の開口縁部にて前記支持基板に固定され前記可動電極に対向して配置された固定電極部(240、250)とを備え、力学量の印加に応じて前記可動電極部が変位したとき、前記可動電極部と前記固定電極部との間の容量変化に基づいて印加力学量を検出する半導体力学量センサにおいて、前記固定電極部における前記支持基板の開口縁部に固定された部分は、外部に信号を取り出すための配線部(241、251)として構成されており、この配線部と前記支持基板とが重なり合う部分にて、前記支持基板が露出するように前記配線部の一部が除去された除去部(260〜263)が形成されていることを特徴とする半導体力学量センサ。 【請求項6】 前記除去部は、前記配線部(241、251)の表面から前記支持基板(20)まで貫通し、互いにラーメン構造形状に連結された複数の矩形状の貫通孔(260)により構成されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体力学量センサ。 【請求項7】 一面側に開口する開口部(21)が形成された半導体よりなる支持基板(20)と、この支持基板に支持され前記開口部上にて力学量の印加に応じて変位する可動電極部(230)と、前記支持基板に固定され前記可動電極部に対向して配置された固定電極部(240、250)と、を備え、力学量の印加に応じて前記可動電極部が変位したとき、前記可動電極部と前記固定電極部との間の容量変化に基づいて印加力学量を検出する半導体力学量センサにおいて、前記可動電極部と外部とを電気的に接続するためのワイヤ(W1)が接続される可動電極パッド(223)が、前記支持基板の開口縁部の一側部位に形成され、前記固定電極部と外部とを電気的に接続するためのワイヤ(W2、W3)が接続される固定電極パッド(241a、251a)が、前記支持基板の開口縁部の前記一側部位と対向する他側部位に形成されていることを特徴とする半導体力学量センサ。 【請求項8】 半導体よりなる支持基板(20)と、この支持基板に支持されて力学量の印加に応じて変位する可動電極部(230)と、前記支持基板に固定され前記可動電極部に対向して配置された固定電極部(240、250)と、前記可動電極部と外部とを電気的に接続する可動電極ワイヤ(W1)と、前記固定電極部と外部とを電気的に接続する固定電極ワイヤ(W2、W3)とを備え、力学量の印加に応じて前記可動電極部が変位したとき、前記可動電極部と前記固定電極部との間の容量変化を、前記可動電極ワイヤ及び前記固定電極ワイヤを介して前記外部へ取り出すことにより、印加力学量を検出する半導体力学量センサにおいて、前記可動電極ワイヤと前記固定電極ワイヤとは、80μm以上の距離を持って離れていることを特徴とする半導体力学量センサ。 【請求項9】 前記可動電極ワイヤ(W1)と前記固定電極ワイヤ(W2、W3)とは、100μm以上の距離を持って離れていることを特徴とする請求項8に記載の半導体力学量センサ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、半導体よりなる支持基板の半導体層に溝を形成することにより可動電極部及び当該可動電極部と対向する固定電極部とを形成してなり、これら可動及び固定電極部間の容量変化に基づき印加力学量を検出するようにした容量検出型の半導体力学量センサに関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、例えば容量検出型の半導体加速度センサとして、図15及び図16に示す差動容量式のものが提案されている。ここで、図15は平面図、図16は図15のA−A断面図である。このものは、図16に示す様に、第1の半導体層J1と第2の半導体層J2との間に絶縁層J3を有する半導体基板に半導体製造技術を利用した周知のマイクロマシン加工を施すことにより形成される。 【0003】この半導体加速度センサは、半導体基板の第2の半導体層J2に溝を形成することにより、錘部J4と櫛歯状の突出部J5とが一体形成された可動電極部J6を形成すると共に、当該突出部J5と対向する櫛歯状の固定電極部J7、J8を形成してなる。ここで、第1の半導体層J1及び絶縁層J3により支持基板を構成し、この支持基板には、第2の半導体層J2側の面に開口する開口部J9が形成されている。図示例では、当該支持基板における第2の半導体層J2側の面からこれと反対側の面まで貫通するように開口部J9が形成されている。 【0004】そして、可動電極部J6は、錘部J4の両端部にて上記支持基板の開口縁部に弾性支持され、開口部J9上にて印加加速度に応じて、図15中の矢印X方向に変位するようになっている。また、固定電極部J7、J8は、開口部J9上にて可動電極部J6の突出部J5と対向する対向電極J7a、J8aと、上記支持基板の開口縁部に固定されて対向電極J7a、J8aを支持する配線部J7b、J8bとからなる。このように従来の半導体加速度センサは、最低限1個の可動電極部J6と、この可動電極部J6の両側にそれぞれ設けられた第1の固定電極部J7及び第2の固定電極部J8という、2個の固定電極部を有した構成となっている。 【0005】ここで、第1の固定電極部J7における対向電極J7aと可動電極部J6における突出部J5との間の容量を第1の検出容量CS1、第2の固定電極部J8における対向電極J8aと突出部J5との間の容量を第2の検出容量CS2とする。なお、図中には、各容量をコンデンサを示す記号にて示してある。そして、上記の印加加速度による可動電極部J6の変位に応じて、各検出容量CS1、CS2が変化するのであるが、これを両検出容量CS1、CS2の差分として検出(差動検出)することにより、印加加速度を検出することができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところで、本発明者等が上記従来の半導体加速度センサについて検討したところ、センサの加工誤差によって、センサにおける出力誤差即ちオフセットが大きくなるという問題が発生した。次に、このオフセットの問題について、上記図15及び図16に示した従来のセンサに基づき、本発明者等が行った検討を示す。図4(a)に、差動容量式の半導体加速度センサの検出回路図を示す。CP1、CP2、CP3は寄生容量を示している。 【0007】ここで、上記従来のセンサにおいては、CP1は第1の固定電極部J7の配線部J7bと上記支持基板との間の容量、CP2は第2の固定電極部J8の配線部J8bと上記支持基板との間の容量、CP3は可動電極部J6の配線部J6bと上記支持基板との間の容量である。また、J10はスイッチドキャパシタ回路(SC回路)であり、このSC回路J10は、容量がCfであるコンデンサJ11、スイッチJ12及び差動増幅回路J13を備え、入力された容量差を電圧に変換するものである。 【0008】また、図4(a)に示す回路に対するタイミングチャートの一例を図4(b)に示す。上記従来のセンサにおいては、例えば、固定電極パッドJ7cから搬送波1(周波数100kHz、振幅0〜5V)、固定電極パッドJ8cから搬送波1と位相が180°ずれた搬送波2(周波数100kHz、振幅0〜5V)を入力し、SC回路J10のスイッチJ12を図に示すタイミングで開閉する。そして、印加加速度は、下記の数式1に示す様に、電圧値V0として出力される。 【0009】 【数1】 V0={(CS1−CS2)+(CP1−CP2)・CP3}・V/Cfここで、Vは両パッドJ7c、J8cの間の電圧である。従って、センサの出力は、寄生容量CP1、CP2、CP3の影響を受ける。一般に、容量Cを構成する2つの部材の面積をS、間隔をdとすると、C=ε・S/dである。よって、加工ばらつき等により、配線部J7b、J8bと上記支持基板との重なり部分の面積が変わったり、また、上記支持基板における絶縁層J3の厚さがばらついて容量Cを規定する間隔dが変わったりすると、寄生容量CP1及びCP2にばらつきが生じ、CP1とCP2とが等価でなくなる。即ち、加速度が0の時でも、寄生容量CP1とCP2とに差が生じ、オフセットとして出力されてしまう。 【0010】ここで、上記従来の半導体加速度センサにおいては、通常、フォトリソグラフィ技術を用い、半導体基板の半導体層及び上記支持基板をエッチングすることにより、開口部J9を形成するとともに、可動電極部J6及び固定電極J7、J8等がリリースされた構造体を形成する。そのため、上記重なり部分の面積が変わる原因としては、開口部J9のエッチング加工において、■上記支持基板に対するマスクの合わせずれ、■エッチング時のエッチング量の差、が考えられる。 【0011】図17は、これらの原因■及び■による開口部J9の加工ばらつきを示す説明図である。原因■によれば、例えば図17(a)に示す様に、開口部J9を所定形状に形成できたとしても、破線に示すように一方向へ位置ずれを起こしてしまう。そのため、上記重なり部分の面積が、例えば容量CP1側では小さく、容量CP2側では大きくなる。 【0012】また、原因■によれば、例えば図17(b)に示す様に、狙いの開口部J9の形状に対して破線に示す様な形状ずれを生じてしまう。そのため、上記重なり部分の面積が、例えば容量CP1側でのみ小さくなる。本発明者等の検討によれば、これら原因■及び■によるずれは共に、±1〜50μm程度であった。また、上記支持基板における絶縁層J2の厚さばらつきは±0.1μm程度であった。 【0013】このように、本発明者等の検討によれば、従来の差動容量式のセンサにおいては、センサの加工ばらつきにより、支持基板における開口部の位置ずれや所定形状からの形状ずれが発生したり、支持基板の絶縁層の厚さばらつきが発生する。それによって、支持基板の開口縁部に固定される固定電極部の配線部の寄生容量がばらつくため、結果として、オフセットが大きくなることがわかった。 【0014】また、センサの感度向上化に伴い、オフセットの問題について、更に検討したところ、次のような問題が発生することもわかった。上記従来の半導体加速度センサにおいては、図15に示す様に、可動電極部J6と導通する可動電極パッドJ6c、及び固定電極部J7、J8の配線部J7b、J8bと導通する固定電極パッドJ7c、J8cが、上記支持基板の開口縁部の同じ側に略一列に配置形成されている。 【0015】そして、各パッドJ6c、J7c、J8cには、Al(アルミニウム)やAu(金)等により形成されたワイヤJ6d、J7d、J8dの一端が接続され、これら各ワイヤの他端は、上記のSC回路J10を含む外部回路(図示せず)に接続される。ここにおいて、ワイヤJ6dとワイヤJ7dとの間、ワイヤJ6dとワイヤJ8dとの間には、それぞれ、寄生容量CW1、CW2が形成される。図4に対して、このワイヤ間の寄生容量も含めた検出回路図を図13に示す。印加加速度は、下記の数式2に示す様に、電圧値V0として出力される。 【0016】 【数2】V0={(CS1−CS2)+(CW1−CW2)+(CP1−CP2)・CP3}・V/Cfここで、上記ワイヤにおいては、上記のパッド及び外部回路との接続部分以外は可動であるため振動したり、また、ワイヤボンディングの位置ずれ等により、寄生容量CW1、CW2が大きく異なる。そのため、寄生容量CW1とCW2とが等価でなくなり、センサのオフセットばらつきが大きくなったり、オフセットが変動するという問題が生じる。 【0017】なお、このようなセンサの加工ばらつきによる上記固定電極部の配線部における寄生容量のばらつき、あるいは、ワイヤ間の寄生容量のばらつき、といった問題は、差動容量式に限らず、容量検出型の半導体力学量センサ一般において、起こるものである。つまり、可動電極部と固定電極部との間の容量を検出する際に、上記の寄生容量のばらつきは、検出容量に影響を及ぼし、同様にオフセットを発生させる。 【0018】そこで、本発明は上記問題に鑑み、容量検出型の半導体力学量センサにおいて、センサの加工ばらつきにより、支持基板の開口縁部に固定される固定電極部の配線部の寄生容量がばらついても、センサのオフセットを極力低減可能とすることを第1の目的とする。また、本発明は、容量検出型の半導体力学量センサにおいて、可動電極部用のワイヤと固定電極部用のワイヤとの間の寄生容量を低減し、センサのオフセットばらつきを極力低減可能とすることを第2の目的とする。 【0019】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1〜請求項4記載の発明は、支持基板に形成された開口部上にて変位する可動電極部との間に各々第1の検出容量、第2の検出容量を形成する第1の固定電極部及び第2の固定電極部を備える差動容量式の半導体力学量センサについて、該第1の固定電極部を電気的に独立した一対の構成とし、また、該第2の固定電極部についても同じく電気的に独立した一対の構成とし、第1及び第2の固定電極部における当該一対の電極部の配置構成等に工夫を凝らしたものである。 【0020】即ち、請求項1記載の発明においては、第1及び第2の固定電極部(40〜70)を共に、各々が支持基板(20)の開口部(21)上にて可動電極部(30)に対向配置された第1及び第2の対向電極(42、52、62、72)と、該支持基板に固定されて該第1及び第2の対向電極をそれぞれ支持する第1及び第2の配線部(41、51、61、71)とにより構成し、これら両配線部を互いに電気的に独立させ該支持基板の開口縁部において互いに対向するように配置したことを特徴としている。 【0021】本発明によれば、第1及び第2の固定電極部(40〜70)において、互いに電気的に独立した一対の配線部(41〜71)を、支持基板(20)の開口縁部において対向するように配置させている。それにより、センサの加工ばらつきによって所定形状の開口部(21)の一方向への位置ずれが起こった場合に、例えば、各固定電極において、それぞれ、両配線部の寄生容量の面積が第1の配線部(41、61)側にて増加し、第2の配線部(51、71)側にて減少する。 【0022】そして、各固定電極部においては、配線部の寄生容量は第1及び第2の配線部の総和であるため、上記の増加分と減少分とがキャンセルされ、開口部が位置ずれしない場合に比べて、見かけ上、配線部の寄生容量のばらつきを低減することができる。よって、本発明によれば、センサの加工ばらつきによる開口部の一方向への位置ずれに対応できるため、固定電極部の配線部の寄生容量がばらついても、センサのオフセットを極力低減することができる。 【0023】また、請求項2記載の発明のように、第1及び第2の配線部(41、51、61、71)を互いに略同一の配線面積を有するものとすれば、上記の開口部の位置ずれによる寄生容量の増加分と減少分とを実質的に完全にキャンセルでき、好ましい。ここで、請求項3及び請求項4記載の発明は、可動電極部及び第1及び第2の固定電極部の具体的な構成を示すもので、従来の半導体力学量センサに対して大きく構成を変えることなく、適切に請求項1または請求項2の発明の効果を発揮可能なセンサ構成を提供することができる。 【0024】また、請求項5〜請求項9記載の発明は、容量検出型の半導体力学量センサ一般に適用可能なものである。まず、請求項5の発明においては、支持基板(20)の開口縁部に固定された部分が外部に信号を取り出すための配線部(241、251)として構成されている固定電極部(240、250)において、該配線部と該支持基板とが重なり合う部分にて、該支持基板が露出するように該配線部の一部が除去された除去部(260〜263)を形成したことを特徴としている。 【0025】それによって、従来の固定電極部の配線部に比べて除去部の分だけ、配線部自体の配線面積を小さくできるため、上述のように、加工ばらつきによる開口部の位置ずれや形状ずれが発生したり、支持基板の絶縁層の厚さばらつきが発生しても、配線部における寄生容量の変化を小さいものとできる。よって、本発明によれば、センサの加工ばらつきにより固定電極部の配線部の寄生容量がばらついても、センサのオフセットを極力低減できる。 【0026】ここで、請求項6の発明のように、除去部を、配線部(241、251)の表面から支持基板(20)まで貫通し互いにラーメン構造形状に連結された複数の矩形状の貫通孔(260)により構成すれば、除去部を1個の大きな貫通孔にて構成するよりも、配線部の強度を向上させることができる。 【0027】また、請求項7の発明では、容量検出型の半導体力学量センサにおいて、可動電極部(230)と外部とを電気的に接続するためのワイヤ(W1)が接続される可動電極パッド(223)を、支持基板(20)の開口縁部の一側部位に形成し、固定電極部(240、250)と外部とを電気的に接続するためのワイヤ(W2、W3)が接続される固定電極パッド(251a)を、該支持基板の開口縁部の前記一側部位と対向する他側部位に形成したことを特徴としている。 【0028】上述のように、一般に容量Cは、C=ε・S/dである。本発明によれば、可動電極パッドと固定電極パッドとを、支持基板の開口縁部において互いに対向するように配置しているため、従来のように該開口縁部における同じ側の部位に両パッドを配置した場合に比べて、両パッドに接続されるワイヤ間の距離が大幅に大きくなる。そのため、可動電極部用のワイヤと固定電極部用のワイヤとの間の寄生容量を低減でき、センサのオフセットばらつきを極力低減することができる。 【0029】また、本発明者等は、可動電極用及び固定電極用のワイヤ間の距離とセンサのオフセットとの関係について調査検討を行ったところ、図14(b)に示す様な結果が得られた。請求項8の発明は、この結果に基づき成されたものであり、可動電極部用の可動電極ワイヤ(W1)と固定電極部用の固定電極ワイヤ(W2、W3)とを備える容量検出型の半導体力学量センサにおいて、該可動電極ワイヤと該固定電極ワイヤとを80μm以上の距離を持って離間させたことを特徴としている。 【0030】本発明者等の検討によれば、センサの感度向上に伴い、オフセット(出力誤差)は10%以内であることが実用上好ましい。ここで、可動電極ワイヤと固定電極ワイヤとの間の距離を80μm以上、好ましくは100μm以上とすれば、当該ワイヤ間の距離がばらついたり、変動したりしても、オフセットを10%以内にとどめることが可能である。よって、本発明においても、請求項7の発明と同様に、本発明の第2の目的を達成することができる。 【0031】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。 【0032】 【発明の実施の形態】(第1実施形態)本実施形態は、容量検出型の半導体力学量センサとして、差動容量式の半導体加速度センサについて本発明を適用したものであり、センサの加工ばらつきによる開口部の一方向への位置ずれに対応可能な構成とすることで、センサのオフセットを極力低減可能とすることを狙ったものである。図1に半導体加速度センサ100の平面構成を示し、図2に図1中のA−A線に沿った模式的な断面構造を示す。 【0033】半導体加速度センサ(以下、単にセンサという)100は、上記図15等に示した従来のセンサと同様、半導体基板に周知のマイクロマシン加工を施すことにより形成される。センサ100を構成する半導体基板は、図2に示す様に、第1の半導体層としての第1シリコン基板11と第2の半導体層としての第2シリコン基板12との間に絶縁層としての酸化膜13を有する矩形状のSOI基板10であり、第1シリコン基板11及び酸化膜13が本発明でいう支持基板20に相当する。 【0034】支持基板20には、第2シリコン基板12側の面からこれと反対側の面まで貫通する矩形状の開口部21が形成されている。また、第2シリコン基板12には、溝を形成することにより、可動電極部30及び固定電極部40、50、60、70よりなる櫛歯形状を有する梁構造体が形成されている。開口部21は、支持基板20のうち上記梁構造体30〜70が形成される領域を矩形状に除去した部分により構成されている。 【0035】可動電極部30は、支持基板20の開口縁部のうち対向する1組の辺の間にて開口部21上を横断するように配置されている。この可動電極部30は、矩形状の錘部31の両端を、矩形枠を有する梁部32を介してアンカー部33a及び33bに一体に連結した構成となっており、これらアンカー部33a及び33bは支持基板20の開口縁部における対向辺部上に支持されている。これにより、錘部31及び梁部32は、開口部21に臨んだ状態となっている。 【0036】また、矩形枠状をなす梁部32は、その梁の長手方向と直交する方向に変位するバネ機能を有し、図1中の矢印X方向の成分を含む加速度を受けたときに錘部31を矢印X方向へ変位させるとともに、加速度の消失に応じて元の状態に復元させる。よって、変位する方向(矢印X方向)における錘部31の両端にて支持基板20に支持された可動電極部30は、加速度の印加に応じて、開口部21上にて変位可能となっている。 【0037】また、可動電極部30は、上記変位する方向(矢印X方向)と直交した方向にて、錘部31の両側面から互いに反対方向へ一体的に突出された第1の突出部34及び第2の突出部35を備えており、これら突出部34及び35も支持基板20の開口部21に臨んだ状態となっている。そして、これら第1及び第2の突出部34及び35は、断面矩形の梁状に形成されている。 【0038】固定電極部40〜70は、支持基板20の開口縁部における対向辺部のうち、アンカー部33a、33bが支持されていないもう1組の対向辺部(以下、固定電極用対向辺部という)に支持されている。そして、固定電極用対向辺部のうち、アンカー部33a寄り(図1中、上方寄り)の部位にて互いに対向配置された固定電極部40及び50が第1の固定電極部として構成され、アンカー部33b寄り(図1中、下方寄り)の部位にて互いに対向配置された固定電極部60及び70が第2の固定電極部として構成されている。また、各固定電極部40〜70は互いに電気的に独立している。 【0039】第1の固定電極部40、50は、支持基板20の固定電極用対向辺部に固定され錘部31と対向する配線部41及び51と、可動電極部30の第1及び第2の突出部34及び35の側面と所定の検出間隔(検出空隙)を存して平行した状態で配置された対向電極42及び52とを有した構成となっている。対向電極42、52は、配線部41、51に片持ち状に支持された状態となっており、支持基板20の開口部21に臨んだ状態となっている。 【0040】ここで、第1の固定電極部40、50は、更に、第1の突出部34側(図1中、左側)の固定電極用対向辺部に位置する固定電極40と、第2の突出部35側(図1中、右側)の固定電極用対向辺部に位置する固定電極50とより成る。固定電極40においては、第1の突出部34と対向する対向電極42が第1の対向電極、この第1の対向電極42を支持する配線部41が第1の配線部として構成され、一方、固定電極50においては、第2の突出部35と対向する対向電極52が第2の対向電極、この第2の対向電極52を支持する配線部51が第2の配線部として構成されている。 【0041】また、第2の固定電極部60、70は、支持基板20の固定電極用対向辺部に固定され錘部31と対向する配線部61及び71と、可動電極部30の第1及び第2の突出部34及び35の側面と所定の検出間隔(検出空隙)を存して平行した状態で配置された対向電極62及び72とを有した構成となっている。対向電極62、72は、配線部61、71に片持ち状に支持された状態となっており、支持基板20の開口部21に臨んだ状態となっている。 【0042】ここで、第2の固定電極部60、70は、更に、第1の突出部34側(図1中、左側)の固定電極用対向辺部に位置する固定電極60と、第2の突出部35側(図1中、右側)の固定電極用対向辺部に位置する固定電極70とより成る。固定電極60においては、第1の突出部34と対向する対向電極62が第1の対向電極、この第1の対向電極62を支持する配線部61が第1の配線部として構成され、一方、固定電極70においては、第2の突出部35と対向する対向電極72が第2の対向電極、この第2の対向電極72を支持する配線部71が第2の配線部として構成されている。 【0043】ここで、本実施形態における固定電極40〜70の構成をまとめると、第1の固定電極40、50は、第1の配線部41及び第1の対向電極42よりなる固定電極40と、第2の配線部51及び第2の対向電極52よりなる固定電極50と、により構成されている。また、第2の固定電極60、70は、第1の配線部61及び第1の対向電極62よりなる固定電極60と、第2の配線部71及び第2の対向電極72よりなる固定電極70と、により構成されている。 【0044】また、第1の固定電極部40、50における各対向電極42、52は、各々対向する可動電極部30の突出部34、35との検出空隙に、容量CS40、CS50を形成する。また、第2の固定電極部60、70における各対向電極62、72は、各々対向する可動電極部30の突出部34、35との検出空隙に、容量CS60、CS70を形成する。なお、図1中には、これら容量CS40〜CS70をコンデンサを示す記号にて示してある。 【0045】そして、第1の固定電極部における容量CS40とCS50との和(CS40+CS50)が第1の検出容量、第2の固定電極部における容量CS60とCS70との和(CS60+CS70)が第2の検出容量を構成する。なお、図1に示す様に、各対向電極は、各々対向する突出部の両側面部を挟むように、断面矩形の梁状のものが2本設けられているが、これは、センサの感度を向上させるべく、対向する面積を大きくして各容量を大きくするためである。 【0046】また、第1及び第2の固定電極部40〜70において、互いに電気的に独立した第1の配線部41、61と第2の配線部51、71とは、互いに略同一の配線面積を有することが好ましい。本例では、4つの配線部41〜71が互いに略同一形状、同一の配線面積を有している。そして、支持基板20上における各固定電極の各配線部41、51、61、71上の所定位置には、それぞれワイヤボンディング用の固定電極パッド41a、51a、61a、71aが形成されている。 【0047】また、支持基板20上には、可動電極部30における一方のアンカー部33bと一体に連結された状態の可動電極用配線部22が形成されており、この配線部22上の所定位置には、ワイヤボンディング用の可動電極パッド23が形成されている。上記の各電極パッド23、41a〜71aは、例えばアルミニウムにより形成されている。 【0048】次に、上記構成に基づき、本実施形態に係るセンサ100の製造方法を説明する。図3に、上記のようなセンサ100の製造工程を上記図2に対応した模式的な断面図として示す。まず、図3(a)に示す様に、上記したシリコン酸化膜13を介して、例えば表面の面方位が(100)に設定された単結晶シリコンウェハよりなる第1及び第2のシリコン基板11、12を接合したSOI基板10を用意する(加工されていない状態を示す)。 【0049】次に、図3(b)に示す電極パッド形成工程を実行する。この工程では、第2シリコン基板12上の全面にアルミニウムを例えば1μm程度の膜厚となるように蒸着した後に、そのアルミニウム膜をフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を利用してパターニングすることにより、上記電極パッド23、41a〜71a(図3中、パッド71a以外は図示せず)を形成する。 【0050】この状態から、図3(c)に示す寸法調整工程を実行する。この工程では、第1シリコン基板11の表面(酸化膜13と反対側の面)側に切削・研磨加工を施すことによって、当該基板11の厚さ寸法が例えば300μmとなるように調整し、その加工面に鏡面仕上げを施す。このように、第1シリコン基板11の厚さ寸法を300μmまで減らすのは、後で述べるように、異方性エッチングにより開口部21を形成する際にそのエッチング深さを低減し、以って異方性エッチングに起因するチップ設計寸法の拡大を防止するためである。 【0051】次に、図3(d)に示すマスク形成工程を実行する。この工程では、第1シリコン基板11の表面(鏡面加工面)の全面に、シリコン窒化膜を例えばプラズマCVD法によて0.5μm程度の膜厚となるように堆積した後、そのシリコン窒化膜をフォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を利用してパターニングすることにより、開口部21をエッチングによって形成する際のマスクM1を形成する。 【0052】この後、図3(e)に示す溝(トレンチ)形成工程を実行する。この工程では、第2シリコン基板12及び電極パッド23、41a〜71a上にドライエッチ耐性があるレジスト(図示せず)をマスクとして形成し、ドライエッチング装置により異方性ドライエッチングを実行することにより、第2シリコン基板12中に、シリコン酸化膜13に達する溝T1を形成する。このとき、第2シリコン基板12に、図1に示したような可動電極部30及び固定電極部40〜70(固定電極部40、50は図示せず)からなる梁構造体のパターンが形成される。 【0053】この状態から、図3(f)に示す第1のエッチング工程を実行する。この第1のエッチング工程では、第1シリコン基板12を、マスクM1を使用し且つ例えばKOH水溶液を利用して表面(シリコン酸化膜13と反対側の面)側から選択エッチングする。本実施形態では、第1シリコン基板11の膜厚が10μm程度残存することを目標にしてエッチング時間を管理する。また、具体的には図示しなかったが、この第1のエッチング工程の実行前には、SOI基板10の表面側をレジストにより覆っておくものであり、このレジストは、例えば第1のエッチング工程終了後に除去するようにしている。 【0054】次に、図3(g)に示す第2のエッチング工程を実行する。この第2のエッチング工程では、第1シリコン基板11の表面側から、例えばプラズマエッチング装置を利用したドライエッチングを施すことにより、第1のエッチング工程においてシリコン酸化膜13との間に残した膜厚10μm程度の第1シリコン基板11を除去し、以ってシリコン酸化膜13の裏面(下面)を露出させる。なお、このようなドライエッチングに伴い、マスクM1も同時に除去されることになる。 【0055】次に、第3のエッチング工程(リリース工程)を実行する。この第3のエッチング工程では、HF系のエッチング液によりエッチングを施すことにより、シリコン酸化膜13を除去する。このような第3のエッチング工程の実行に応じて、開口部21が形成されるとともに、可動電極部30及び固定電極部40〜70がリリースされることになる。そして、ダイシングカットによりSOI基板10を所定形状(本例では矩形状)のセンサチップに切断し、図1及び図2に示すセンサ100を完成させる。 【0056】次に、上記のように構成されたセンサ100の作動について述べる。本センサ100は加速度の印加に応じて可動電極部30が変位したとき、第1の検出容量(CS40+CS50)と第2の検出容量(CS60+CS70)との差分に基づいて印加加速度を検出する差動容量式の加速度センサである。そのため、その基本動作は、上記した図4に基づいて説明することができる。 【0057】図4(a)に示す差動容量式の半導体加速度センサの検出回路において、第1の検出容量CS1及び第2の検出容量CS2は、それぞれ、本センサ100における第1の検出容量(CS40+CS50)及び第2の検出容量(CS60+CS70)に相当する。また、図1に、本センサ100の各寄生容量CP3、CP40〜CP70が示してあるが、これら寄生容量と図4(a)中の寄生容量CP1〜CP3との関係は次のようである。 【0058】まず、第1の固定電極部40及び50における寄生容量CP1は、第1の配線部41と支持基板20との間の容量CP40、及び、第2の配線部51と支持基板20との間の容量CP50の総和(CP40+CP50)に相当する。また、第2の固定電極部60及び70における寄生容量CP2は、第1の配線部61と支持基板20との間の容量CP60、及び、第2の配線部71と支持基板20との間の容量CP70の総和(CP60+CP70)に相当する。さらに、可動電極部30における寄生容量CP3は、可動電極用配線部22と支持基板20との間の容量CP3に相当する。 【0059】また、本センサ100においても、図4(b)に示すタイミングチャートのような、波形動作を示す。即ち、本センサ100においては、例えば、固定電極パッド41a、51aから搬送波1(周波数100kHz、振幅0〜5V)を第1の固定電極40、50に対して入力し、固定電極パッド61a、71aから搬送波1と位相が180°ずれた搬送波2(周波数100kHz、振幅0〜5V)を第2の固定電極60、70に対して入力し、SC回路J10のスイッチJ12を図に示すタイミングで開閉する。 【0060】そして、本センサ100においては、可動電極部30が検出方向の加速度を受けると、錘部31が図1中矢印X方向に変位し、各突出部34及び35と対向電極42、52、62、72との検出間隔が変動する。そのため、上記各容量CS40〜CS70が変化する。この変化を、第1の検出容量CS1(つまりCS40+CS50)と第2の検出容量CS2(つまりCS60+CS70)との差分として、上記の数式1に示す様に、電圧値V0として出力する。この電圧値V0が印加加速度として検出される。 【0061】ここで、本センサ100において、例えば上記図3におけるマスクM1の位置ずれ等、センサの加工ばらつきによって開口部21が一方向へ位置ずれした場合の一例を図5に示す。図5(b)は、矩形状の開口部21がその形状及び大きさを変えずに、所望の状態(図5(a))から右側へ位置ずれした場合を示すものである。なお、図5(b)中の破線で示す開口部21は、図5(a)における開口部21の位置を示すものである。 【0062】固定電極部における配線部41、51、61、71の各々の配線面積は、支持基板20との接触面積であるため、図5中のハッチング部分に示されるように、それぞれ、S(40)、S(50)、S(60)、S(70)とする。なお、本例では、4つの配線部41、51、61、71が互いに同一形状及び大きさを有しているため、実質的に、S(40)〜S(70)は各々等しい。そして、第1の固定電極40、50の配線面積をS1、第2の固定電極60、70の配線面積をS2とすると、図5(a)に示す状態では、これら配線面積S1、S2は下記の数式3のようになる。 【0063】 【数3】S1=S(40)+S(50) S2=S(60)+S(70) 次に、図5(b)に示す様に開口部21が位置ずれした状態において、固定電極部における配線部41、51、61、71の各々の配線面積を、それぞれ、S’(40)、S’(50)、S’(60)、S’(70)とする。ここで、各配線面積の変化分をdxとすると、各S’(40)〜S’(70)は下記の数式4のようになる。 【0064】 【数4】S’(40)=S(40)+dxS’(50)=S(50)−dxS’(60)=S(60)+dxS’(70)=S(70)−dxそして、図5(b)に示す状態においては、第1の固定電極40、50の配線面積S1、第2の固定電極60、70の配線面積S2は下記の数式5のようになる。 【0065】 【数5】 S1=S’(40)+S’(50)=S(40)+dx+S(50)−dx =S(40)+S(50) S2=S’(60)+S’(70)=S(60)+dx+S(70)−dx =S(60)+S(70) このように、本実施形態によれば、開口部21が一方向へ位置ずれした場合、第1及び第2の固定電極部の各々において、例えば、寄生容量の面積が第1の配線部41、61側にて増加し、第2の配線部51、71側にて減少するようにキャンセルされるため、結果として、上記開口部21の位置ずれによる配線部の寄生容量のばらつきを低減することができる。 【0066】特に、第1の配線部41、61と第2の配線部51、71とを互いに略同一の大きさ及び形状を有するものとすれば、上記開口部21の位置ずれによる寄生容量の増加分と減少分とを実質的に完全にキャンセルでき、好ましい。本例では、4つの配線部41〜71が互いに同一の形状及び配線面積を有しているため、上記の数式5に示されるように、上記開口部21の位置ずれにより、配線面積S1とS2とに面積差が生じない。 【0067】よって、上記開口部21の位置ずれにより、寄生容量CP1とCP2の差(CP1−CP2)はばらつかないため、上記数式1からわかるように、センサのオフセットがばらついて大きくなるのを防止できる。このように、本実施形態によれば、センサの加工ばらつきによる開口部の一方向への位置ずれに起因して、固定電極部の配線部の寄生容量がばらついても、センサのオフセットを極力低減することができる。 【0068】(第2実施形態)本実施形態は、差動容量式の半導体加速度センサについて本発明を適用したものであるが、上記第1実施形態のように、センサの加工ばらつきによる開口部の一方向への位置ずれに対応可能であるだけでなく、開口部の形状ずれや支持基板の絶縁層の厚さばらつきにも対応可能な構成とすることで、センサのオフセットを極力低減可能とすることを狙ったものである。図6に半導体加速度センサ200の平面構成を示し、図7に図6中のB−B線に沿った模式的な断面構造を示す。 【0069】本実施形態に係る半導体加速度センサ(以下、単にセンサという)200は、上記第1実施形態のセンサと同様、SOI基板10に周知のマイクロマシン加工を施すことにより形成される。また、上記第1実施形態と同様、第2シリコン基板12には、溝を形成することにより、可動電極部230及び第1、第2の固定電極部240、250よりなる櫛歯形状を有する梁構造体が形成されており、支持基板20のうち上記梁構造体230〜250が形成される領域には、矩形状に除去された開口部21が形成されている。 【0070】可動電極部230は、支持基板20の開口縁部のうち対向する1組の辺の間にて開口部21上を横断するように配置されている。この可動電極部230においては、上記第1実施形態の可動電極部をその基本構造としている。即ち、可動電極部230は、矩形状の錘部231の両端を、矩形枠を有する梁部232を介してアンカー部233a及び233bに一体に連結した構成となっており、これらアンカー部233a及び233bは支持基板20の開口縁部における対向辺部上に支持されている。 【0071】ここで、梁部232は、上記第1実施形態と同様のバネ機能を有し、可動電極部230は、加速度の印加に応じて、開口部21上にて図中の矢印X方向へ変位可能となっている。また、可動電極部230は、上記変位する方向と直交した方向にて、錘部231の両側面から互いに反対方向へ一体的に突出された第1の突出部234及び第2の突出部235を備えている。ここで、両突出部234、235は、断面矩形の梁状に形成されている。 【0072】第1の固定電極部240は、支持基板20の開口縁部に固定され錘部231と対向する配線部241と、可動電極部230の第1の突出部234の一方の側面と所定の検出間隔(検出空隙)を存して平行した状態で配置された例えば3個の対向電極242とを一体に有した構成となっている。各対向固定電極242は、配線部241に片持ち状に支持された状態となっており、支持基板20の開口部21に臨んだ状態となっている。 【0073】また、第2の固定電極部250は、支持基板20の開口縁部に固定され錘部231と対向する配線部251と、可動電極部230の第2の突出部235の一方の側面と所定の検出間隔(検出空隙)を存して平行した状態で配置された例えば3個の対向電極252とを一体に有した構成となっている。各対向電極252は、配線部251に片持ち状に支持された状態となっており、支持基板20の開口部21に臨んだ状態となっている。 【0074】ここで、対向電極242、252は、断面矩形の梁状に形成されている。また、外部に信号を取り出すための配線部241及び251上の所定位置には、ワイヤボンディング用の固定電極パッド241a及び251aが形成されている。また、支持基板20上には、可動電極部230における一方のアンカー部233bと一体に連結された状態の可動電極用配線部222が形成されており、この配線部222上の所定位置には、ワイヤボンディング用の可動電極パッド223が形成されている。上記の各電極パッド223、241a、251aは、例えばアルミニウムにより形成されている。 【0075】更に、本実施形態では、可動電極部230における錘部231、アンカー部233a及び233b、第1及び第2の突出部234、235、及び固定電極部における各対向電極242、252は、図6に示す様なラーメン構造形状となっている。即ち、これら各部には、開口部21側から反対側に貫通する矩形状の貫通孔236が複数形成されており、これら貫通孔236により、矩形枠状部を複数組み合わせた所謂ラーメン構造形状が形成されている。これにより可動電極部230及び各対向電極242、252の軽量化、捩じり強度の向上がなされる。 【0076】また、配線部241、251と支持基板20とが重なり合う部分にも、互いにラーメン構造形状に連結された複数の矩形状の貫通孔260が形成されており、図6に示す様に、貫通孔260の一部は、配線部241、251の表面から支持基板20まで貫通している。この配線部に形成された貫通孔260は本発明でいう配線部の一部が除去された除去部として構成されており、この貫通孔260を介して支持基板20の酸化膜13が露出する。 【0077】また、本センサ200においては、可動電極部230の第1の突出部234と第1の固定電極部240の対向電極242との間に第1の検出容量(第1のコンデンサ)CS1が形成され、また、可動電極部230の第2の突出部235と第2の固定電極部250の対向電極252との間に第2の検出容量(第2のコンデンサ)CS2が形成されている。そのため、本センサ200も、加速度の印加に応じて可動電極部230が変位したとき、第1の検出容量CS1と第2の検出容量CS2との差分に基づいて印加加速度を検出することができ、その基本動作は、上記した図4に基づいて説明することができる。 【0078】また、図4(a)中の寄生容量CP1〜CP3と本センサ200の寄生容量との関係は、次のようになる。第1の固定電極部240における寄生容量CP1は、配線部241と支持基板20との間の容量に相当し、第2の固定電極部250における寄生容量CP2は、配線部251と支持基板20との間の容量に相当する。また、可動電極部230における寄生容量CP3は、可動電極用配線部222と支持基板20との間の容量に相当する。 【0079】そして、本センサ200においては、上記第1実施形態と同様、図4に示す如く、例えば、固定電極パッド241aから搬送波1(周波数100kHz、振幅0〜5V)を第1の固定電極240に対して入力し、固定電極パッド251aから搬送波1と位相が180°ずれた搬送波2(周波数100kHz、振幅0〜5V)を第2の固定電極250に対して入力し、SC回路J10のスイッチJ12を図に示すタイミングで開閉する。 【0080】そして、本センサ200においては、可動電極部230が検出方向の加速度を受けると、錘部231が図6中矢印X方向に変位し、各突出部234及び235と対向電極242、252との検出間隔が、変動する。この変化を、第1の検出容量CS1と第2の検出容量CS2との差分として、上記の数式1に示す様に、電圧値V0として出力する。この電圧値V0が印加加速度として検出される。 【0081】ところで、本実施形態によれば、従来の固定電極部の配線部に比べて貫通孔(除去部)260の分だけ、配線部241、251自体の配線面積を小さくできる。そのため、上述のように、加工ばらつきによる開口部21の位置ずれや形状ずれが発生したり、支持基板20の酸化膜(絶縁層)13の厚さばらつきが発生しても、配線部241、251における寄生容量の変化を小さいものとできる。よって、センサの加工ばらつきにより固定電極部240、250の配線部241、251の寄生容量がばらついても、センサのオフセットを極力低減できる。 【0082】なお、本実施形態における除去部としては、図8に示す様な構成(第1の変形例)であってもよい。図8において(a)は平面構成、(b)は(a)中のC−C断面図である。本例は、矩形状の貫通孔262と除去領域263とにより除去部が構成されており、上記の本実施形態の効果を得ることができる。更には、本実施形態における除去部を図9に示す様な1個の大きな貫通孔261により構成(第2の変形例)しても、上記の本実施形態の効果を得ることができる。 【0083】しかし、特に、図6に示す様に、互いにラーメン構造形状に連結された複数の矩形状の貫通孔260により構成すれば、配線部241、251の強度(捩じり強度等)の向上が図れ、好ましい。また、本実施形態のセンサ200も、上記図3に示した製造方法より製造することができ、各除去部236、260〜263は、上記溝(トレンチ)形成工程により形成することができる。 【0084】ここで、本実施形態の具体的な効果を図10に示しておく。これは、センサの加工ばらつきによる狙いの位置(図10の横軸における0μmの位置)からの開口部21の位置ずれ度合との加速度が0のときの出力(オフセット)との関係を調べたものである。図10中、横軸に上記位置ずれ度合(単位:μm)、縦軸に上記オフセットとしての0G誤差(単位:mV)を示す。図10からわかるように、除去部の無い従来のセンサに比べて、本センサ200は、開口部の位置ずれに対し殆どオフセットを生じないことがわかる。なお、上記第1実施形態のセンサも、この図10に示すのと同様な効果が得られることを確認している。 【0085】(第3実施形態)本実施形態は、差動容量式の半導体加速度センサについて本発明を適用したものであるが、可動電極部用のワイヤと固定電極部用のワイヤとの間の寄生容量を低減可能な構成とすることで、センサのオフセットばらつきを極力低減可能とすることを狙ったものである。図11に半導体加速度センサ300の平面構成を示し、図12に図11中のD−D線に沿った模式的な断面構造を示す。なお、本センサ300は、上記図6及び図7に示すセンサの構造及び作動を基本としたものであり、図6及び図7と同一部分には、図11及び図12中、同一符号を付して説明を簡略化し、主として異なるところを述べる事とする。 【0086】本センサ300は、一面側に開口する開口部21が形成された半導体よりなる支持基板20と、この支持基板20に支持され開口部21上にて加速度の印加に応じて図中のX方向へ変位する可動電極部230と、支持基板20に固定され可動電極部230に対向して配置された第1及び第2の固定電極部240、250とを備えている。 【0087】ここで、本センサ300は、上記図6に示すセンサに対して、固定電極部240、250の配線部241、251に除去部が形成されていないものであるが、形成されていても構わない。また、本センサ300は、図12に示す様に、支持基板20の裏面側にて接着剤310を介してパッケージ320に固定されている。このパッケージ320には図示しない外部回路が収納されている。 【0088】そして、本センサ300においては、可動電極用配線部222が、可動電極部230における他方のアンカー部233aと一体に連結された状態に形成されていることが、上記図6のセンサとは相違する。このような構成に伴い、可動電極部230と外部とを電気的に接続するためのワイヤW1が接続される可動電極パッド223と、固定電極部240、250と外部とを電気的に接続するためのワイヤW2、W3が接続される固定電極パッド241a、251aとの配置関係も上記図6とは相違する。 【0089】即ち、支持基板の開口縁部の同じ側に配置された従来のパッドの配置構成(図15参照)とは異なり、可動電極パッド223と固定電極パッド241a、251aとは、支持基板20の開口縁部において、互いに対向する部位に形成されている。そして、このようなパッドの配置とすることにより、可動電極パッド223に接続されたワイヤ(可動電極ワイヤ)W1と、固定電極パッド241a、251aに接続されたワイヤ(固定電極ワイヤ)W2及びW3とは、80μm以上の距離を持って離れている。 【0090】かかる本センサ300も、上記第2実施形態に係るセンサと同様に、上記図3に示した製造方法より製造することができる。各ワイヤW1〜W3は、アルミニウム(Al)や金(Au)等のワイヤボンディングにより、各バッド223、241a、251aとパッケージ320に収納された上記外部回路(図示せず)とを結線することで形成される。各ワイヤW1〜W3は、その線径がワイヤボンディングに用いられるφ30μm、φ50μm程度のものが通常用いられ、長さは特に限定しないが、例えば2mm程度である。 【0091】そして、本センサ300における第1の検出容量CS1及び第2の検出容量CS2、各寄生容量CP1〜CP3は、上記第2実施形態にて述べたものと同様であり、その検出動作も同様である。本実施形態では各ワイヤW1〜W3によるワイヤ寄生容量が検出動作に影響するが、このワイヤ寄生容量を含む検出回路は、上記図13に示したものと同様に説明できる。 【0092】図13中、各容量CS1、CS2、CP1〜CP3は上記第2実施形態にかかるセンサと同様であり、ワイヤの寄生容量CW1は可動電極ワイヤW1と一方(固定電極パッド241a側)の固定電極ワイヤCW2との間に形成されるコンデンサによるもの、ワイヤの寄生容量CW2は可動電極ワイヤW1と他方(固定電極パッド251a側)の固定電極ワイヤCW3との間に形成されるコンデンサによるものである。 【0093】そして、本センサ300においても、上記図4に示す様に、例えば、固定電極パッド241aから上記搬送波1を第1の固定電極240に対して入力し、固定電極パッド251aから上記搬送波2を第2の固定電極250に対して入力し、SC回路J10のスイッチJ12を図に示すタイミングで開閉する。ここにおいて、加速度が印加されると、ワイヤの寄生容量を含めた場合の印加加速度は上記数式2のように求められる。 【0094】ところで、本実施形態によれば、可動電極パッド223と固定電極パッド241a、251aとを、支持基板20の開口縁部において互いに対向するように配置しているため、従来のように該開口縁部における同じ側の部位に可動電極パッド及び固定電極パッドを配置した場合に比べて、可動電極ワイヤW1と固定電極ワイヤW2、W3との間の距離(ワイヤ間隔)が大幅に大きくなる。 【0095】そのため、ワイヤの寄生容量CW1及びCW2を低減でき、ワイヤW1〜W3が振動したり、ワイヤボンディングの際に位置ずれしたりしても、当該寄生容量CW1、CW2の変動は検出回路全体からみて相対的に小さくなる。よって、本実施形態によれば、センサのオフセットばらつきを極力低減することができる。 【0096】ここで、本実施形態においては、可動電極ワイヤW1と固定電極ワイヤW2及びW3との距離(ワイヤ間隔)を80μm以上としている。これは、ワイヤの寄生容量CW1及びCW2を低減すべく上記ワイヤ間隔を大きくするという、本実施形態の着想に基づき、本発明者等が検討した結果得られた好適な距離範囲である。このような検討の一例として、各ワイヤW1〜W3を線径φ30μm、長さ2mmのAlもしくはAuより成るものとした場合を、図14に示す。 【0097】図14(a)は、ワイヤ間隔とワイヤの寄生容量CW1、CW2との関係を示すもので、ワイヤ間隔が100μmより小さくなるあたりから、容量(単位:pF)が急激に増加することがわかる。また、図14(b)はワイヤ間隔が上記の振動や位置ずれにより10μmずれた時のセンサの出力(単位:mV)とワイヤ間隔(単位:μm)との関係を示している。 【0098】ここで、本発明者等の検討によれば、センサの感度向上に伴い、オフセット(出力誤差)は10%以内であることが実用上好ましい。例えば、本検討例ではセンサの出力が40mV/G(加速度1G当たり40mVの電圧値が出力される)であるため、オフセットは4mV以下であることが好ましい。図14(b)から、ワイヤ間隔が80μm以上であれば、オフセットが4mV以下を満足していることがわかる。 【0099】この図14(b)に示す傾向は、通常の線径(例えばφ30μm〜φ50μm程度)であれば、ワイヤの材質や長さに関係なく成立することを確認している。なお、ワイヤ間隔は上記のように80μm以上が好ましいが、このようなワイヤ間隔を設定する際の加工上のばらつきや出力値のばらつき等を考慮すると、より好ましくは100μm以上であることが望ましい。 【0100】(他の実施形態)なお、支持基板の一面側に開口する開口部は、少なくとも一面側が開口していれば良く、他面側が閉じたものでも良い。このような開口部は、例えば、上記SOI基板10において、第2シリコン基板12に溝を形成し、酸化膜13を犠牲層としてエッチングして除去することで、支持基板20において第2シリコン基板12側にのみ開口した開口部を形成することが可能である。また、上記第1及び第3実施形態において、各配線部41、51、61、71、241、251に上記第2実施形態に示す様な除去部を形成しても良い。 【0101】また、上記第2及び第3実施形態は、差動容量式に限らず、容量検出型の半導体力学量センサ一般に適用可能である。その場合も、各実施形態における寄生容量のばらつきを抑制する効果によって、該ばらつきが検出容量に与える影響を低減し、オフセットを低減させることができる。また、本発明は、半導体加速度センサ以外にも、角速度センサや圧力センサ等の力学量を検出する種々のセンサに適用可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー
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| 【出願日】 |
平成11年7月27日(1999.7.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100100022 【弁理士】 【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−41973(P2001−41973A) |
| 【公開日】 |
平成13年2月16日(2001.2.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−212734 |
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