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【発明の名称】 加速度検出素子
【発明者】 【氏名】中野 泰之

【氏名】浅野 勝吾

【氏名】馬場 啓之

【氏名】関野 晴彦

【氏名】福田 徹

【要約】 【課題】構造が簡素で、実装基板への実装が簡易かつ迅速にできる、小型で低コストの高精度な加速度検出素子を提供する。

【解決手段】板厚方向と直交する板厚直交方向に分極処理された板状の圧電体11と、圧電体11の表面に膜状に設けられた電極12、13と、を有し、圧電体11の前記板厚直交方向の加速度を検出するユニモルフ構造の検出素子構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】板厚方向と直交する板厚直交方向に分極処理された板状の圧電体と、前記圧電体の表面に膜状に設けられた電極と、を有し、前記圧電体の前記板厚直交方向の加速度に応じた発生電荷を前記電極から取り出すことを特徴とするユニモルフ構造の加速度検出素子。
【請求項2】前記圧電体に固定された錘体を備え、前記圧電体の前記板厚直交方向に向かって前記錘体に作用する加速度に応じた略せん断方向の力が、前記錘体から前記圧電体に加わるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の加速度検出素子。
【請求項3】前記錘体が、前記圧電体に固定された固定面と、前記固定面と所定の交差角をなす側面とを有し、前記錘体の前記側面に信号取り出し用電極が設けられたことを特徴とする請求項2に記載の加速度検出素子。
【請求項4】前記圧電体が、圧電セラミックス素子若しくは圧電性単結晶で構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加速度検出素子。
【請求項5】前記電極が、前記錘体の前記固定面と平行に前記圧電体の両面に対向配置された、互いに逆極性の検出電極であることを特徴とする請求項3又は4に記載の加速度検出素子。
【請求項6】前記錘体との熱膨張係数がほぼ等しい底面板部を有することを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の加速度検出素子。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、加速度検出素子、特に圧電効果を利用した検出素子で、内燃機関や電気モータにより走行する車両等において加速度を測定又は検出するのに好適な加速度検出素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の加速度検出素子としては、電磁型、圧電型、半導体型等の各種方式のものが知られているが、車両等に使用される加速度センサでは、圧電材料の電気・機械変換特性を利用して高検出感度を得るようにした圧電型が多用されている。また、高い周波数領域の加速度を測定する場合、例えば自動車のエアバッグシステムに衝撃感知用センサとして使用されるような場合に対応すべく、バイモルフ構造を採用して出力増大を図ると共に検出素子の共振周波数を高くしたものが多用されている。なお、エアバッグシステムにおいては、その急激な普及に伴い、加速度センサ及びエアバッグコントローラ自体の小型化、低コスト化、高性能化が要求されており、その加速度センサは衝突加速度を高精度に検出する必要がある。
【0003】この種の加速度センサとしては、例えば図6〜図10に示すようなものがある。
【0004】図6〜図8において、1はベースユニットであり、ベースユニット1の中央部には位置決めピン2aを有する突起部2が電気的絶縁状態で一体に形成されている。3は、図8及び図9に示すようにベースユニット1の突起部2に位置決め固定された振動子で、上部溶接電極2bと下部溶接電極2cを用いて突起部2に溶接された振動板4を有している。この振動子3は、振動板4と、その表裏両面に圧電セラミックス素子5,6とで構成されている。圧電セラミックス素子5,6はそれぞれの両面にセンサ出力用の正負の環状電極5a,5b,6a,6bと自己診断用の正負の環状電極5c,5d,6c,6dとを焼付け等により形成したものであり、圧電セラミックス素子5の負の電極5b,5dと圧電セラミックス素子6の正の電極6a,6cとを互いに対向させて対向電極間をそれぞれ導通接続することにより、検出素子としての静電容量を倍にしている。なお、素子と振動板の接着等に際しては、両圧電素子5,6の焦電効果(熱エネルギーを吸収して自発分極の変化を起こし、その変化量に比例して表面に電荷が誘起される現象を生じる)を相殺するように、両電極間をそれぞれショートにさせている。
【0005】この加速度センサでは、外部から加速度が加わることにより振動板4が一面側で凸、他面側で凹となる変形を生じるとき、圧電セラミックス素子5,6のうち一方が引き伸ばされ、他方が圧縮されることで、各圧電セラミックス素子5又は6の発生電圧を、電極5a、6bからボンディングワイヤ7a,7b等を介して信号処理回路を含む信号処理回路基板8に出力することができる。
【0006】なお、自己診断用の正負の環状電極5c,6dの間に駆動回路9からボンディングワイヤ7c,7d等を介して電圧(例えば交流電圧)を印加することで、圧電セラミックス素子5,6により振動板4を撓ませ(振動させ)、この撓みにより内側電極5a,6bより電荷が発生し、この出力電圧を故障チェック等の自己診断や較正用の出力として利用するようになっている。また、図10に示すように、振動板4の上面側には環状突起4aが形成されており、圧電セラミックス素子5,6を振動板4に接着固定する際の電極側への接着剤流れをこの環状突起4aにより防止するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の加速度センサにあっては、加速度検出用の圧電セラミックス素子5,6を振動板4の両面に貼り付け、それら振動板4及び圧電セラミックス素子5,6を位置決め用の突起部2を介してベースユニット1に支持させる検出素子構成となっていたため、検出素子の構造が複雑であるばかりか、検出方向と直交する方向にもかさばる構造となり、小型化及びコスト低減が困難であった。
【0008】しかも、電極5a,6b及び電極5b,6dと、これらから離れた実装基板8とを、ボンディングワイヤ7a,7b及び7c,7d、更に端子7e,7f,7gを介して電気接続していたため、構造の複雑さのみならず、加速度検出素子の実装工程も複雑で手間のかかるものとなっていた。
【0009】そこで本発明は、構造が簡素で、実装基板への実装が簡易かつ迅速にできる、小型で低コストの加速度検出素子を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、請求項1記載の発明に係る加速度検出素子は、板厚方向と直交する板厚直交方向に分極処理された板状の圧電体と、前記圧電体の表面に膜状に設けられた電極と、を有し、前記圧電体の前記板厚直交方向の加速度に応じた発生電荷を前記電極から取り出すことを特徴とする。この発明では、ユニモルフ構造の素子によってその圧電体の板厚直交方向の加速度を検出するので、振動板やベースユニット等を設けることなく、圧電体の表面に検出電極を形成するだけの簡素な加速度検出素子を構成することができ、その圧電体を回路基板等に直付けする実装形態が採用できる。
【0011】請求項2記載の発明に係る加速度検出素子は、前記圧電体に固定された錘体を備え、前記圧電体の前記板厚直交方向に向かって前記錘体に作用する加速度に応じた略せん断方向の力が、前記錘体から前記圧電体に加わるようにしたことを特徴とする。この発明では、錘体を利用することで、広範な使用条件において圧電体に所要の力を加えることができ、検出方向と直交する方向の高さ寸法を小さくすることができるとともに、高感度の加速度検出素子を実現できる。
【0012】請求項3記載の発明に係る加速度検出素子は、前記錘体が、前記検出素子に固定された固定面と、前記固定面と所定の交差角をなす側面とを有し、前記錘体の前記側面に信号取り出し用電極が設けられたことを特徴とするものである。この発明では、錘体の側面を利用して十分な面積の接続容易な信号取り出し用電極を形成することができ、実装の容易化が可能となる。
【0013】請求項4記載の発明に係る加速度検出素子は、前記圧電体が、圧電セラミックス素子若しくは圧電性単結晶で構成されたことを特徴とするものであり、前記圧電セラミックス素子は、板厚直交方向に分極処理されたもの、前記圧電性単結晶からなる板状の圧電体もこれと同様な圧電効果を生じるものであるのが好ましい。このような素子を用いると、表面の電極形成等が容易で、かつ安定した性能が得られる。
【0014】請求項5記載の発明に係る加速度検出素子は、前記電極が、前記錘体の前記固定面と平行に前記圧電体の両面に対向配置された、互いに逆極性の検出電極であることを特徴とするものである。この場合、分極方向に対し直交する板厚方向に検出電極を対向させることにより、温度変化に伴って圧電体に焦電効果が生じても、電極面に生じる焦電電荷を非常に小さくすることができる。
【0015】請求項6記載の発明に係る加速度検出素子は、前記錘体との熱膨張係数がほぼ等しい底面板部を有することを特徴とする。したがって、錘体と加速度検出素子の熱膨張率の差によって検出素子側に不要な応力が生じ検出精度が低下することを防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】図1〜図5は本発明に係る加速度検出素子の一実施形態を示す図ある。図1(a)及び図1(b)において、10は実装基板20に実装されるユニモルフ構造の加速度検出素子(以下、単に検出素子という)であり、この検出素子10は、板状の圧電体11と、圧電体11の表面に平坦な膜状に設けられた上面側検出電極12及び下面側検出電極13と、を有している。
【0018】圧電体11は、予め板厚方向と直交する板厚直交方向(図1(a)中の矢印P方向)に分極処理を施したもので、例えば圧電セラミックス素子で構成されている。この圧電体11は、分極方向の電界では伸縮を生じるが、板厚方向の電界では上下面を逆方向にずらすようなせん断歪みを生じる性質を有し、前記板厚直交方向(図1(b)中の左右方向)に向かう外力によってそれに対応するせん断応力が生じたときには、両面側の検出電極12、13の間に前記せん断応力に応じた電圧を発生するようになっている。なお、圧電体11は、前記圧電セラミックス素子のみならず、これと同様な機能を発揮できる水晶や圧電性単結晶から構成されたものでもよい。
【0019】上面側検出電極12及び下面側検出電極13は、圧電体11の表面部に蒸着又はメッキ等により形成され、圧電体11の両面に対向配置されている。また、下面側検出電極13は上面側検出電極12に対し逆極性となっており、この下面側検出電極13が実装基板20のプラス側電極21(図2参照)に導通する状態で実装基板20上に検出素子10が直接に載置され、例えば導電性接着剤16により実装基板20に固定されている。
【0020】14は検出素子10に固定された錘体(おもり)であり、錘体14は、接着剤17により検出素子10に固定された固定面14aと、固定面14aと所定の交差角(略直角)をなす側面14bとを有している。この錘体14は、圧電体11の板厚直交方向(図1(b)中で左右方向)に向かって加速されるとき、その加速度と錘体14の質量とに応じた略せん断方向の力を検出素子10に加えることができる。
【0021】また、検出素子10には検出素子10の下面側検出電極13に対面する底面板部23が設けられており、この底面板部23は実装基板20のプラス側電極21に接続されている。また、センサ感度を高めるよう、錘体14は底面板部23と同一の材料若しくはこれに近い熱膨張係数の材料からなる。勿論、専用の底面板部23をなくして、検出素子10の電極配置を実装基板20に直付けすることもできる。また、導電接着剤16、17が半田等であってもよいことはいうまでもない。
【0022】一方、錘体14の側面14bには、蒸着又はメッキ等により膜状に形成された信号取り出し用電極15が設けられている。この信号取り出し用電極15は、導電性接着剤17により上面側検出電極12に電気的に接続されるとともに、実装基板20のマイナス側電極22に導電性接着剤又は半田18によって接着固定されている。19は、検出素子10の側端面から露出する下面側検出電極13の端面を覆うよう、検出素子10の側端面と実装基板20との間に塗布され固化した絶縁性の接着剤である。
【0023】図3及び図4に示すように、前記検出素子10及び実装基板20は、センサ基台31a及び封止キャップ31bからなるシールドケース31内に収納され、信号処理基板25とセンサ出力用、グランド用、電源用及び容量チェック用のリードピン32、33、34、35とを有するセンサユニット30として構成されており、検出素子10が実装基板20に実装された状態で錘体14に圧電体11の板面(上面、下面)方向に向かう加速度を受けるように取り付け方向が規定されている。なお、信号処理基板25は、詳細な回路構成を図示しないが、インピーダンス変換回路、出力増幅回路、濾波回路、温度補償回路等を含んで構成されている。
【0024】検出素子10の実装時には、まず、下面側検出電極13を導電性の接着剤や半田等でプラス側電極21に接続するとともに実装基板20に固定し、次いで、検出素子10の側端面から露出する下面側検出電極13の端面を覆うように、検出素子10の側端面と実装基板20との間に絶縁性の接着剤19を塗布する。次いで、錘体14の固定面14aを接着剤17により検出素子10の上面側検出電極12に接着固定するとともに、錘体14の側面14bの信号取り出し用電極15を上面側検出電極12に導通するよう接続する。次いで、信号取り出し用電極15を実装基板20のマイナス側電極22に導電性接着剤又は半田18によって接着固定する。
【0025】以上のように構成された加速度センサにおいては、加速度検出時に、錘体14が例えば図5に実線で示す位置から仮想線で示す位置に移動するよう矢印A方向に加速されて、その質量と加速度に応じた力を検出素子10に加えることになる。このとき、検出素子10にせん断歪みが生じるから、ユニモルフ構造の検出素子10の検出電極12、13間に電圧が生じ、この加速度に応じた電圧信号が信号処理基板25により信号処理されて、センサ出力が得られる。
【0026】本実施形態においては、圧電体11の表面に検出電極12、13を形成するだけの簡素な検出素子10を構成でき、その圧電体11を実装基板20等に直付けする実装形態が採用でき、小型で低コストの加速度センサを実現することができる。
【0027】また、バイモルフ構造の検出素子のような振動板への貼り付けやベースユニットが不必要であり、高さの縮小(低背化)が可能になる。しかも、従来のようにワイヤボンディング等の面倒な接続を行う必要が無いばかりでなく、検出素子10を形成する際に圧電体11の複数個分のサイズを有する圧電材に蒸着やメッキにより複数組の電極を形成したり、蒸着膜やメッキ膜の部分的な剥離処理を行ったりして、検出素子10を多数個採りすることが可能な圧電体ユニットを作製し、これから検出素子10を切り出し加工することができる。したがって、製造工程の大幅な簡易化とコスト低減が可能になる。
【0028】さらに、本実施形態においては、錘体14を利用することで、広範な使用条件において圧電体11に所要の力を加え、せん断歪みを生じさせることができるので、検出方向と直交する方向の高さ寸法を小さくことができるとともに、高感度の加速度センサを実現できる。また、錘体14の側面14bを利用して十分な面積の接続容易な取り出し電極15を形成することができ、実装作業の容易化を図ることができる。また、電極12、13が、分極方向と垂直に、錘体14の固定面14aと平行に圧電体11の両面に対向配置されているため、圧電体11の焦電効果による不要な電荷を電極面において非常に小さくすることができ、センサ感度を高めることができる。
【0029】なお、上述の実施形態においては、検出素子10の検出電極12、13を圧電体11の両面に設けたが、例えば上面側の電極の端部を下面側まで回り込ませる構造とし、実装基板側に対向配置した正負の電極に直付けするような実装形態をとることもできる。
【0030】
【発明の効果】本発明の加速度検出素子によれば、ユニモルフ構造としてその圧電体の板厚直交方向の加速度を検出するようにしているので、圧電体の表面に検出電極を形成するだけの簡素な構成とすることができ、圧電体を実装用の基板等に直付けする実装形態を採用して検出方向と直交する方向の高さ寸法を小さくことができる。その結果、小型、低コストの加速度センサを提供することができる。
【0031】また、本発明の加速度検出素子においては、錘体を利用することで、広範な使用条件において圧電体に所要の力を加えることができ、高感度の加速度センサを実現できる。さらに、錘体の側面を利用して十分な面積の接続容易な信号取り出し用電極を形成することができ、実装の容易化を図ることができる。また、前記圧電体の両面に逆極性の検出電極を対向配置すれば、圧電体の焦電効果による影響を非常に小さくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成11年7月30日(1999.7.30)
【代理人】 【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
【公開番号】 特開2001−41972(P2001−41972A)
【公開日】 平成13年2月16日(2001.2.16)
【出願番号】 特願平11−217756