| 【発明の名称】 |
なましフィルタ |
| 【発明者】 |
【氏名】日比野 良一
【氏名】大澤 正敬
【氏名】鈴木 俊成
【氏名】河野 克己
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| 【要約】 |
【課題】制御系の安定性を確保しつつ入力の変化に素速く追従するなましフィルタを提供する。
【解決手段】入力u(n)と出力y(n−1)との偏差の絶対値を順次小さな値に設定された閾値S1〜Skと比較し(ステップ1〜k)、いずれかの閾値より大きいと判定すると、その閾値に対応する値をなまし係数f(n)に設定する(ステップ11〜1k)。そして、設定されたなまし係数f(n)を用いて次式(1)により出力y(n)を計算して出力する(ステップ100)。なまし係数f(n)は、閾値が小さくなるほど大きな値に設定されるから、偏差の絶対値が大きいときは小さな値が設定されて出力yが入力uに追従し、偏差の絶対値が小さいときは大きな値が設定されて出力yが安定するようになる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力される信号をなまして出力するなましフィルタであって、前記入力される信号および/または出力している信号に基づいてなましの程度を変更するなまし変更手段を備えるなましフィルタ。 【請求項2】 前記なまし変更手段は、前記入力される信号の変化が大きいほど小さななましとなるよう前記なましの程度を変更する手段である請求項1記載のなましフィルタ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、なましフィルタに関し、詳しくは、入力される信号をなまして出力するなましフィルタに関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種のなましフィルタを用いる装置としては、車輪速に基づいて車速を演算する装置において、低車速領域にあるときには車速の演算の際のなましの程度を大きくするものが提案されている(例えば、特開平9−196954号公報など)。この装置では、低車速領域のなましの程度を大きくすることにより、車輪速センサの取り付け上のガタツキに起因する車輪速の変動が車速の演算に与える影響を小さくして、制御系の安定性を確保している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、こうした装置では、なましの程度を大きくしている領域でフィルタの入力に大きな変化がある場合、フィルタ出力の追従性が悪いため、真値への収束が遅いという問題があった。即ち、低車速領域で車輪速に大きな変化があった場合、正確な車速を演算できないばかりか、正確な車速への収束も遅いという問題があった。 【0004】本発明のなましフィルタは、制御系の安定性を確保しつつ、入力の変化に素速く追従することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本発明のなましフィルタは、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。 【0006】本発明のなましフィルタは、入力される信号をなまして出力するなましフィルタであって、前記入力される信号または出力している信号に基づいてなましの程度を変更するなまし変更手段を備えることを要旨とする。 【0007】この本発明のなましフィルタでは、入力される信号および/または出力している信号に基づいてなましの程度を変更することができる。したがって、制御系の安定性と入力信号への追従性とを両立するよう変更するようにすることもできる。 【0008】こうした本発明のなましフィルタにおいて、前記なまし変更手段は、前記入力される信号の変化が大きいほど小さななましとなるよう前記なましの程度を変更する手段であるものとすることもできる。こうすれば、入力される信号の変化が大きいときは、その変化に素速く追従し、入力される信号の変化が小さいときは、安定性を確保することができる。 【0009】また、本発明のなましフィルタにおいて、前記なまし変更手段は、前記出力している信号に対する前記入力される信号の偏差が大きいほど小さななましとなるよう前記なましの程度を変更する手段であるものとすることもできる。出力している信号は入力された信号を反映するから、入力される信号の変化が大きいときは出力している信号に対する入力される信号の偏差が大きくなり、その変化に素速く追従し、入力される信号の変化が小さいときは出力している信号に対する入力される信号の偏差も小さくなり、安定性を確保することができる。 【0010】さらに、本発明のなましフィルタにおいて、前記なまし変更手段は、少なくとも2段に亘ってなましの程度を変更する手段であるものとすることもできるし、連続的に変更する手段とすることもできる。 【0011】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。図1は、本発明の一実施例であるなましフィルタ20の構成の概略を示す構成図である。図示するように、実施例のなましフィルタ20は、入力信号uとなましフィルタ20からの出力信号yとを入力してフィルタ出力を演算するなまし演算器22を備えている。なまし演算器22は、CPUを中心としたワンチップマイクロプロセッサとして構成され、処理プログラムを記憶したROMやデータの一時記憶に用いられるRAMを備える。 【0012】図2は、実施例のなまし演算器22により実行されるなまし演算処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、サンプリング周期毎に繰り返し実行される。本ルーチンが実行されると、なまし演算器22では、まず、入力信号uと出力信号yとの偏差の絶対値を順次閾値S1やS2,S3,・・・,Skと比較する処理が行なわれる(ステップ1〜k)。ここで、閾値S1,S2,・・・,Skの設定は、センサの測定誤差の大きさを考慮して決定される。即ち、閾値S1,S2,・・・,Skは、センサの測定誤差が大きいときには大きく設定され、逆にセンサの測定誤差が小さいときには小さく設定される。なお、図2中の入力信号uや出力信号yの括弧書きの(n)は、離散時間におけるn番目のサンプリングにおける値であることを意味する。いま、n番目のサンプリングを考えているから、入力信号uについては現在値であることを意味し、出力信号yについてはこれから出力しようとしている値であることを意味している。 【0013】入力信号uと出力信号yとの偏差の絶対値がいずれかの閾値より大きいと判定されると、その判定された閾値に対応する値がなまし係数f(n)に設定される(ステップ11〜1k)。例えば、入力信号uと出力信号yとの偏差の絶対値が閾値S1より小さいが閾値S2より大きいときには、ステップ2で閾値S2より大きいと判定され、この閾値S2に対応するステップS12で値2がなまし係数f(n)に設定されるのである。そして、設定されたなまし係数f(n)を用いて、次式(1)により出力信号yが計算され(ステップ100)、本ルーチンを終了する。 【0014】 y(n)=y(n−1)+(u(n)−y(n−1))/f(n) (1) 次に、この実施例のなましフィルタ20を車載されたオートマチックトランスミッションのクラッチのスリップ制御系における各時間毎のDCゲインを推定する場合に適用した事例について説明する。図3は、スリップ制御系におけるDCゲインを推定する制御装置を例示するブロック図である。図示するように、この制御装置は、車載されたオートマチックトランスミッションを対象とする制御対象30と、この制御対象30の出力ysとしてのクラッチのスリップ速度を目標値rsに基づいてフィードバック制御するコントローラ32とを備えるスリップ制御系に、コントローラ32から出力される制御対象30への指令値usと制御対象30からの出力ysとを入力して次式(2)によりDCゲインを演算するDCゲイン演算器34と、DCゲイン演算器34からの出力を入力する実施例のなましフィルタ20とが加えられている。 【0015】 DCゲイン(n)=Δys(n)/Δus(n) (2) いま、スリップ制御系の目標値rsとして150[rpm]を中心として振幅が20[rpm]で制御系の離散時間とは異なる周期の矩形波の周期関数を入力したときを考える。このときのスリップ制御系における出力ysと指令値usは、図4のように例示される。このとき、実施例のなましフィルタ20の入力uと出力yは図5に例示するようになる。図5の出力yには、なまし係数fを値2に固定したなましフィルタを用いた場合となまし係数fを値4に固定したなましフィルタを用いた場合とを比較例として示した。なお、図4および図5を得るのに図2のルーチンにおいて、k=4とすると共に、各閾値と各閾値に対応するなまし係数は下記の値を用いた。 【0016】S1=0.25,f(n)=1S2=0.15,f(n)=2S3=0.10,f(n)=4S4=0.00,f(n)=8図示するように、実施例のなましフィルタ20は、離散時間1〜3のように、その入力uが大きく変化しても、それに出力yが追従しており、比較例のフィルタに比して高い追従性を示す。また、実施例のなましフィルタ20は、離散時間3〜9のように、入力uの変化が小さいときには、その変化を大きななまし係数を用いてなまして出力することにより、高い安定性を確保している。 【0017】以上説明した実施例のなましフィルタ20によれば、その入力が出力に比して大きな差をもって変化したときには、この変化に追従するよう出力し、入力が出力に比して小さな差をもって変化するときには、その変化をなまして出力することができる。即ち、入力の変化が大きいときには高い追従性を発揮することができると共に、入力の変化が小さいときには高い安定性を確保することができる。 【0018】実施例のなましフィルタ20では、入力信号uと出力信号yとの偏差の絶対値を順次閾値S1やS2,S3,・・・,Skと比較したが、入力信号u(n)と離散時間でいう一回前の入力信号u(n−1)との偏差の絶対値を順次閾値S1やS2,S3,・・・,Skと比較するものとしてもよい。この場合のなまし演算処理ルーチンを図6に例示する。なお、図6のなまし処理演算ルーチンのステップのうち図2のルーチンから変更したステップには、同一の番号に「’」を付して示した。このように、入力信号uと一回前の入力信号u(n−1)との偏差に基づいてもなまし処理を行なえるのは、出力信号y(n−1)が近似的に入力信号(n−1)とみなすことができるからである。 【0019】実施例のなましフィルタ20では、なまし演算器22をCPUを中心としたワンチップマイクロプロセッサとして構成し、なまし演算処理ルーチンを実行することによりなまし処理を行なったが、複数の比較器を用いてハード的に構成してもよい。 【0020】実施例のなましフィルタ20では、具体例としてスリップ制御系のDCゲインの推定に適用した場合について説明したが、なましフィルタを用いる如何なる制御系にも適用することができるのは勿論である。 【0021】以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003609 【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所 【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年7月30日(1999.7.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075258 【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−41967(P2001−41967A) |
| 【公開日】 |
平成13年2月16日(2001.2.16) |
| 【出願番号】 |
特願平11−216652 |
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