| 【発明の名称】 |
無機材料中の有機ケイ素化合物の定量方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 隆雄
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| 【要約】 |
【課題】無機材料中の有機ケイ素化合物を簡単に且つ高感度に定量する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】試料を熱分解炉に入れ、試料中の有機ケイ素化合物を900℃以上で熱分解し、生成した炭化水素をガスクロマトグラフ法により測定し、この炭化水素量から有機ケイ素化合物量を算出することを特徴とする無機材料中の有機ケイ素化合物の定量方法である。そして、ガスクロマトグラフ法で用いる検量線は、作成用の標準試料として、有機ケイ素化合物の添加されていない同種の無機材料に有機ケイ素化合物を段階的に添加した試料を用い作成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】試料を熱分解炉に入れ、試料中の有機ケイ素化合物を900℃以上で熱分解し、生成した炭化水素をガスクロマトグラフ法により測定し、この炭化水素量から有機ケイ素化合物量を算出することを特徴とし、かつ、有機ケイ素化合物の添加されていない同種の無機材料に有機ケイ素化合物を段階的に添加した試料を、ガスクロマトグラフ法で用いる検量線作成用の標準試料として用いることを特徴とする無機材料中の有機ケイ素化合物の定量方法。 【請求項2】有機ケイ素化合物の定量値の算出において、有機ケイ素化合物の熱分解生成物であるメタンとエチレンの合量を用いることを特徴とする請求項1記載の無機材料中の有機ケイ素化合物の定量方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、無機材料中の有機ケイ素化合物を、簡単に且つ高感度に定量する方法に関する。 【0002】 【従来の技術】無機材料に少量の有機ケイ素化合物を添加すると、無機材料に撥水性を付与することが可能になるため、撥水性建築用材料の製造等に利用されている。有機ケイ素化合物は無機材料の製造段階で添加混合される場合と、製造後に含浸等される場合がある。何れにしろ、製品の開発や品質管理のためには材料中での有機ケイ素化合物の分布や実際の添加量を把握しなければならない。そのため、無機材料中の有機ケイ素化合物を定量する必要が生じている。 【0003】無機材料中の有機ケイ素化合物の定量方法としては、試料中の有機ケイ素化合物を溶媒抽出し、ガスクロマトグラフ法、赤外分光法、液体クロマトグラフ法、核磁気共鳴分光法等により定量する方法がある。また、試料を化学的に分解処理し、有機ケイ素化合物由来のケイ素を重量法、原子吸光法、ICP発光分析法により定量する方法も知られている。 【0004】しかし、これらの定量分析方法は、試料中の有機ケイ素化合物の抽出操作が時間を要すること、抽出率が低く再現性が得られがたいこと、無機材料として珪素を含むものである場合に特に言えることであるが、無機ケイ素と有機ケイ素との分離が困難であることなどの問題がある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、無機材料中の有機ケイ素化合物を簡単に且つ高感度に定量する方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく種々の検討を行った結果、無機材料共存下で有機珪素化合物をある温度以上で熱分解すると、生成する炭化水素種が極めて限定されることを見出し本発明にいたった。 【0007】すなわち、上記課題を達成する本発明は、試料を熱分解炉に入れ、試料中の有機ケイ素化合物を900℃以上で熱分解し、生成した炭化水素をガスクロマトグラフ法により測定し、この炭化水素量から有機ケイ素化合物量を算出することを特徴とする無機材料中の有機ケイ素化合物の定量方法である。 【0008】なお、ガスクロマトグラフ法で用いる検量線は、作成用の標準試料として、有機ケイ素化合物の添加されていない同種の無機材料に有機ケイ素化合物を段階的に添加した試料を用い作成する。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明の方法は、試料を熱分解し、生成した炭化水素、具体的にはメタンとエチレンとの合量をガスクロマトグラフ法により測定し、有機ケイ素化合物を簡単に且つ高感度に定量するものである。 【0010】本発明では熱分解温度を900℃以上に設定する。これにより、熱分解生成物の化学種を安定させることができる。即ち、熱分解温度が900℃未満では多種の炭化水素が生成するが、900℃以上では主な炭化水素はメタンとエチレンの2種類になり、測定の単純化が図れ、精度が格段に向上するからである。 【0011】検量線作成用の標準試料には、有機ケイ素化合物の添加されていない同種の無機材料に有機ケイ素化合物を段階的に添加したものを用いる。こうするのは、有機ケイ素化合物のみで熱分解をした場合、無機材料に含まれる有機ケイ素化合物が熱分解した場合と異なる化学種が生成し、かつ炭化水素の生成率も異なることが判明したためである。 【0012】有機ケイ素化合物の定量値の算出においては、前記のごとく熱分解温度を900℃以上にすることにより、有機ケイ素化合物の主な熱分解生成物がメタンとエチレンになるため、これらの合量を用いる。 【0013】ガスクロマトグラフ分析装置に使用する分離カラムとしては、一般的に低級炭化水素の分析に使用されている吸着型のものを使用し、検出器に水素炎イオン化検出器を用いれば、非常に短時間に且つ高感度な分析が可能になる。 【0014】 【実施例】(検討例)無機材料としてケイ酸カルシウム、有機ケイ素化合物としてシリコーンオイルを使用し、熱分解挙動を調査した。 【0015】白金製カップに粉末状のケイ酸カルシウム5mgを秤りとり、シリコーンオイルを5μg添加して標準試料とした。このとき、シリコーンオイルはヘキサン溶液として添加し、添加後80℃で30分間加熱し、ヘキサンを揮発除去した。 【0016】標準試料を熱分解炉に入れ700℃、800℃、900℃、1000℃及び1100℃で熱分解し、発生したガスをガスクロマト分析装置に導入し、水素炎イオン化検出器で炭化水素を測定した。その際の測定条件を下記表1に示した。 【0017】 表 1 熱分解炉 装置 : 日本分析工業製 JHP−3 オーブン温度 : 300℃ ニードル温度 : 300℃ 熱分解温度 : 700,800,900,1000,1100℃ 熱分解時間 : 20秒 ガカクロマトグラフ部 装置 : 島津製作所製 GC−14A カラム : J&W製 GS−Q 30m×0.25I.D. df=0.25μm プログラム : 50℃(2分)→80℃,10℃/分昇温 キャリアガス : (種類)He (圧力)1.0kg/cm2 注入口温度 : 300℃ 検出器 : 水素炎イオン化検出器(FID) 可燃ガス : (種類)H2 (圧力)0.7kg/cm2 助燃ガス : (種類)Air (圧力)0.6kg/cm2 検出器感度 : 1000 検出器温度 : 300℃【0018】各熱分解温度で検出された全有機炭素のピーク数を表2に示した。なお、ピークは全ピーク強度に対し3%以上の強度を示すものについて数えた。 【0019】表 2熱分解温度(℃) ピーク数700 6〜8800 5900 21000 21100 2【0020】これらの結果から、熱分解温度が900℃以上になるとピーク数が2本になることが認められ、標準ガスを用いてこの2つのピーク成分を同定したところ、メタンおよびエチレンであることが分かった。 【0021】(実施例1) [検量線の作成]無機材料としてケイ酸カルシウム、有機ケイ素化合物としてシリコーンオイルを使用した。 【0022】粉末状のケイ酸カルシウム5mgを白金製カップに秤取り、シリコーンオイルをそれぞれ0μg、1μg、3μg、5μg、及び10μg添加して検量線用の各標準試料を調製した。このとき、シリコーンオイルはヘキサン溶液で添加し、添加後80℃で30分間加熱し、ヘキサンを揮発除去した。また、白金製カップに直接シリコーンオイルを同様な手順で添加したものも用意した。 【0023】これらの各標準試料を熱分解炉に入れ1000℃で熱分解後、発生したガスをガスクロマト分析装置に導入し、水素炎イオン化検出器でメタン及びエチレンのピーク強度を測定した。その際の測定条件は熱分解温度を1000℃に固定する以外は上記検討例と同じとした。 【0024】各標準試料ごとに得られたピーク強度を下記表3に示した。これらの結果から、有機ケイ素化合物単独のものはケイ酸カルシウムが存在したときに比べ低いピーク強度を示すことがわかった。よって、検量線用の標準試料は有機ケイ素を含まない同種の無機材料を用いて調製が必要であることが分かった。また、ケイ酸カルシウムにシリコーンオイルを添加した標準試料の濃度とピーク強度(メタン+エチレン)の間には良い相関関係が認められ、0.0n%レベルの有機ケイ素化合物が定量できることが分かった。なお、検出器の感度を調整することにより、更に高感度な定量を行うことが可能であった。 【0025】 表 3 シリコーンオイル ピーク強度(メタン+エチレン) 添加量(μg) ケイ酸カルシウム有り ケイ酸カルシウム無し 0 0 0 1 4502 2200 3 13300 6520 5 22310 12720 10 44230 24510【0026】[実試料の測定]上記の各標準試料を用いて作成した検量線を使用して、実際にケイ酸カルシウム成形板(0.1%シリコーンオイル仕込み品)について5箇所のサンプリングを行い、上記検討例と同じ条件で測定を行ってシリコーンオイルを定量した。分析操作は日を変えて2回実施した。得られた結果を下記表4に示した。 【0027】
【0028】表4の結果から判るように、高感度で再現性良くシリコーンオイルの定量が可能であった。また、分析所要時間は、従来の有機ケイ素化合物を溶媒抽出して定量する方法では約3日を要していたのに対して、本発明法では約4時間という非常に短い時間で定量分析が可能であった。 【0029】 【発明の効果】本発明では、検量線作成用の標準試料として有機ケイ素化合物の添加されていない同種の無機材料に有機ケイ素化合物を段階的に添加したものを用い、熱分解処理ガスクロマトグラフ分析法を適用し、熱分解温度を900℃以上に設定する。これにより、熱分解生成物の化学種を二種類に安定させることができ、かつ良好な測定精度が得られる。その結果、従来の溶媒抽出処理や化学的前処理を伴う方法では困難であった無機材料中の有機ケイ素化合物を簡単且つ高感度に定量する事ができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183303 【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月27日(2000.1.27) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−208741(P2001−208741A) |
| 【公開日】 |
平成13年8月3日(2001.8.3) |
| 【出願番号】 |
特願2000−23280(P2000−23280) |
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