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【発明の名称】 液体を開放噴流にて付与する微量分配システム
【発明者】 【氏名】ティロ、エンデルレ

【氏名】クリストフ ファッティンガー

【氏名】ゲルハルト フルリイ

【氏名】ハンス − ペテル ヒルト

【氏名】ルネ リートマン

【氏名】ハンスヨルク トシルキイ

【要約】 【課題】非常に多様な物理化学特性を有する液体の微小量をターゲットに与えることができ、汚染を生じることはなく、損失を最小限に抑え、また付与される量を予め定めることができ、せん断力、温度上昇および圧力波の実質的な影響を与えることのない頑丈で不活性な分配システムを提供する【解決手段】 不浸透性の弾性膜(11)で境界を定められ、付与する液体を充満されるバルブ室(16)と、このバルブ室(16)へ通じる1つ以上の液体供給ライン(24,26)とを有し、休止位置にある膜によって外部から閉ざされた出口が前記室から付与ノズル(10)へ通じているバルブを備えた、液体を開放噴流にて付与する微量分配システムである。膜の反対側にアクチュエータ室(29)が配置され、膜を一時的に出口から持上げるためにアクチュエータ室(29)内に電気機械式駆動装置(30)が備えられて膜に連結され、そしてアクチュエータ室が大気圧と異なる圧力を作用できるように圧力密封状態にて閉じられる。

【解決手段】不浸透性の弾性膜(11)で境界を定められ、付与する液体を充満されるバルブ室(16)と、このバルブ室(16)へ通じる1つ以上の液体供給ライン(24,26)とを有し、休止位置にある膜によって外部から閉ざされた出口が前記室から付与ノズル(10)へ通じているバルブを備えた、液体を開放噴流にて付与する微量分配システムである。膜の反対側にアクチュエータ室(29)が配置され、膜を一時的に出口から持上げるためにアクチュエータ室(29)内に電気機械式駆動装置(30)が備えられて膜に連結され、そしてアクチュエータ室が大気圧と異なる圧力を作用できるように圧力密封状態にて閉じられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 不浸透性の弾性膜(11)で境界を定められ、付与する液体を充満されるバルブ室(16)と、このバルブ室(16)へ通じる1つ以上の液体供給ライン(24,26)とを有し、休止位置にある膜によって外部から閉ざされた出口が前記室から付与ノズル(10)へ通じているバルブを備えた、液体を開放噴流にて付与する微量分配システムであって、前記膜の反対側にアクチュエータ室(29)が配置され、該膜を一時的に出口から持上げるためにアクチュエータ室(29)内に電気機械式駆動装置(30)が備えられて膜に連結されていること、そして前記アクチュエータ室が大気圧と異なる圧力を作用できるように圧力密封状態にて閉じられることを特徴とする微量分配システム。
【請求項2】 駆動装置を作動させずに、バルブ室に通じた2つの供給ライン(24,26)が付与する液体の排出、洗浄および回収を可能にすることを特徴とする請求項1に記載の微量分配システム。
【請求項3】 付与ノズル(10)が交換可能であり、不活性な親水性エラストマーで構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微量分配システム。
【請求項4】 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の微量分配システムに使用される付与ノズルであって、不活性な親水性エラストマーで構成され、交換可能であることを特徴とする付与ノズル。
【請求項5】 請求項4に記載の付与ノズルであって、複数の同じ付与ノズルと共にアレーを形成していることを特徴とする付与ノズル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不浸透性の弾性膜(11)で境界を定められ、付与する液体を充満されるバルブ室と、このバルブ室へ通じる液体供給ラインとを有し、休止位置にある膜によって外部から閉ざされた出口が前記室から付与ノズルへ通じているバルブを備えた、液体を開放噴流にて付与する微量分配システムに関する。
【0002】本明細書の目的に関して、「微量分配」という用語は、10マイクロリットル以下の体積の液体を付与することを表すために使用されている。「開放噴流にて付与する」という用語は、汚染を防止するために付与ノズルとターゲットとが空間間隙によって引離された状態で付与することを表している。
【0003】
【従来の技術】開放噴流にて付与するシステムは、付与ノズルと、付与ノズルへ通じる液体供給ラインと、付与装置とを含んでいる。
【0004】微量分配システムにおける付与駆動装置として各種の作動原理が知られており、圧電作動装置、バブル−ジェット作動装置、静電気的、空気式および磁気歪み駆動装置が実際に使用されている。これらの駆動装置の使用の最も重要な分野はインク・ジェット印刷およびマイクロ・ピペット操作である。
【0005】生物学的液体および細胞懸濁液を付与するために、せん断力、圧力および温度の影響が全く生じないか、または最小限度であることが非常に重要である。しかしながら、この結果として周知装置は限られた程度でしか使用することができない。実際に、周知のシステムにおける磁気機械的装置の排熱で液体は加熱され、付与する間に蛋白質および酵素の溶液は安定性に悪影響を受ける。
【0006】大半の微量分配システムは実際の付与作動に先だって、付与運転による排出および初期化を行わねばならない。付与後、各微量分配システムは空にされ、洗浄および浄化を行わねばならなかった。周知の微量分配システムは、駆動装置の作動を繰返して付与運転を多数回行うことでのみ初期化する、空にする、または洗浄することができた。また付与作業の終了後に過剰液体が廃棄されるので、その回収は不可能であった。
【0007】微量分配システムにおいて実際に大きな問題となるのは、厳密に言って浄化であり、これは特に付与ノズルにあてはまる。ノズルの構造形式によっては交換できず、またできたとしても汚染または詰まりが生じた場合に浄化は非常に困難である。
【0008】さらに、最も知られている微量分配システムは完全に不活性な材料で作られているわけでない。周知の電気機械式微量分配システムでは、駆動装置はしばしば付与する液体がその周囲に流される。上述した加熱とは別に、これは液体の汚染と汚れによる駆動装置の不正確な作動とを引き起こす。
【0009】周知の開放噴流にて付与するシステムの他の欠点は、1回の作動当たりの量が構造によって予め定められ、また付与する液体の粘性および表面張力の影響を受けるということである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、非常に多様な物理化学特性を有する液体の微小量を目標物に与えることができ、汚染を生じることはなく、損失を最小限に抑え、また付与される量を予め定めることができ、せん断力、温度上昇および圧力波の実質的な影響を与えることのない頑丈で不活性な分配システムを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】このために、本発明によれば、膜の反対側にアクチュエータ室が配置され、膜を一時的に出口から持上げるためにこのアクチュエータ室内に電気機械式駆動装置が備えられて膜に連結され、またアクチュエータ室は大気圧と異なる圧力を作用できるように圧力密封状態にて閉じられる。バルブは2つの供給ラインを有しており、これらの供給ラインは駆動装置を作動させずに付与する液体の排出、洗浄および回収を可能にする。付与ノズルは不活性な親水性エラストマーで構成され、このことが詰まりを防止し、容易に浄化できるようにしている。
【0012】本発明による微量分配システムは、バルブ、少なくとも1つの液体供給ライン、出口、付与ノズル、アクチュエータ室、そして電気機械式駆動装置を有する。バルブは少なくとも一部が不浸透性の弾性膜で形成された部屋を備え、この膜は休止位置から伸張位置へ引き伸ばすことができる。バルブ室は、付与する液体を満たしている。少なくとも1つの供給ラインが、バルブ室と液体連通している。この少なくとも1つの供給ラインは、液体をバルブ室へ供給するように形状を定め、寸法を決めている。出口は、弾性膜が伸張位置にあると、開いてバルブ室と液体連通し、また、弾性膜が休止位置にあると、バルブ室との液体連通を閉ざす。出口は、弾性膜が伸張位置にある際に液体がバルブ室から出口へ入るように、形状を定め、寸法を決めている。付与ノズルは、出口に液体連通し且つ液体を開放噴流にて付与するように、形状を定め、寸法を決めている。付与ノズルは、液体が出口から付与ノズルへ流入すると、付与ノズルから開放噴流によって付与されるように、構成している。アクチュエータ室は、バルプ室とは反対側にて弾性膜に隣接している。アクチュエータ室は、圧力密封であって大気圧とは異なる圧力を保持するように、形状を定め、寸法を決めている。電気機械式駆動装置は、アクチュエータ室内にあり、膜に接続されている。電気機械式駆動装置は、作動すると、膜を休止位置から伸張位置へと引き伸ばし、これによりバルブ室からの液体が出口へ入り付与ノズルを通して開放噴流により付与され得るように、構成されている。
【0013】本発明のさらに詳細な説明および好ましい特徴は、好ましい代表的な例を図示している添付図面に関連した以下の説明から明白となるであろう。
【0014】
【発明の実施の形態】図1および図2から判かるように、四角形の基板1は中央孔2を有する。付与ノズル部材3は、平坦な上面5および同様に平坦な下面6を有する四角形の頂部4と、毛細管として構成された延長部8を有する円筒形の底部7とを有する。上面5から部材全体を貫通して延在する孔9は延長部8の下端へ導かれている。延長部8は、毛細管を有する交換可能な弾性的な付与ノズル10を備えている。
【0015】付与ノズル部材3は下面6を基板上に係止させ、延長部8を有する底部7は中央孔2を通して伸びている。
【0016】図6に示すように、付与ノズル10は円筒部分40および円錐部分41で構成されており、両部分は中央孔42,43を備えている。円筒部分の中央孔42は、付与ノズルを延長部8の上に押して取付けることができるような直径を有する。円錐部分において、中央孔43は孔9に対応する直径から先細形状になっている。
【0017】付与ノズルは不活性な親水性のエラストマーで作られる。その弾性特性は、ノズルが非常に小量の液体を開放噴流にて付与することに悪影響を与えることなく詰まりを防止し、浄化を容易にする。また、弾性付与ノズルはガラスその他の硬質材料で作られた従来技術の付与ノズル10に比べて機械的損傷を著しく受けにくい。
【0018】製造および取扱いの理由から、1つの付与ラインまたは付与アレー(列)における複数または全ての付与ノズルが連結されてユニットを形成することが有利である。
【0019】図5に詳しく示すように、膜部材11は実質的にディスク形をしており、付与ノズル部材3と実質的に同じ直径である。膜部材は下面に同心環状凹部12と、2つのダクト13とを有し、ダクト13は反対両側に配置されて環状凹部を偏心孔14と連結しており、偏心孔14は軸線と平行に膜部材11を通ってさらに外部へ伸びている。環状凹部12が取り囲む中心部は截頭円錐15によって形成されている。膜部材11は、その下面を付与ノズル部材の上面に係止させて配置される。この状態で、環状凹部12およびダクト13は截頭円錐15のまわりに室16を形成する。截頭円錐15の平坦な下面は孔9を覆う。室16はバルブ室として示される。
【0020】膜部材の上面は、偏心孔14を取り囲むカラー形状のシール・リップ17と、中央肉厚部18とを有し、中央肉厚部18は軸線方向で上方へ向いており、また中央肉厚部18には細長い円柱形の軸線方向に配置された金属製の延長部19が鋳包まれている。エラストマーで作られたシール・ディスク20が膜部材11の上面側に隣接している。このシール・ディスクは基板1と実質的に同じサイズの四角形をしており、シール・リップ17を受入れる孔と、膜部材の下面の環状凹部の外径にほぼ等しい中央孔とを備えている。
【0021】シール・ディスク20に隣接するブロック22は供給ラインと、バルブの作動装置とを収容する。このブロックは2つの孔23,25を有しており、これらの孔は膜部材11の偏心孔14および対応するシール・ディスク20の孔と同心であり、またそれらを通して2つの供給毛細管24,26が延在しており、両供給毛細管24,26は底端がシール・リップ17で囲まれた偏心孔14の中へ導かれ、したがって室16と連通している。
【0022】ブロック22の偏心孔23,25は底部にシール・リップ17を受入れるための拡径部を有する。孔の他の部分は供給毛細管24,26に適合される。
【0023】ブロック22の中央孔27は、ねじ28を形成された細い中央領域と、上方および下方の拡径された領域とを有している。下方へ向かって2段階で拡径されており、底部の直径は再び述べるが膜部材の環状凹部の外径に等しい。これらの拡げられた直径は膜部材11の上方で中央肉厚部18のまわりに室29を形成し、室29は膜部材の駆動側に位置し、それ故に作動室として示される。この作動室は膜部材の環状凹部12の領域における肉薄部分によって室16から隔離される。かくして、この肉薄部分が膜を形成する。
【0024】バルブの駆動部材の実質的に管状ハウジング21は中央孔27の内部に挿入される。周知のソレノイド駆動装置が駆動部材として使用される。ハウジング21は、孔のねじ28内に螺合されるような適当な外ねじを形成された肉厚部分を中央に有する。O−リング32を受入れる円周溝31も肉厚部分に備えられて中央孔27をシールし、それ故に室29を外部から密封する。
【0025】円環ディスク39が中央孔27の底部に圧入されている。螺旋ばね33は円環ディスク39の下面から膜部材の上面まで延在する。この取付け状態において、螺旋ばね33には応力が発生し、この応力が膜部材11の截頭円錐15を付与ノズル部材3の上面に押付ける。
【0026】ブロック22の外部から孔34が室29に通じている。
【0027】作動の間、付与する液体物質は毛細管26を通って室16へ流れ込み、該室から毛細管24を経て流れ出る。したがって室16は常に液体物質で満たされる。付与ノズル10を経て特定量の液体を付与するために、ソレノイド駆動装置に電気パルスを作用させることで膜がその延長部19によって一時的に上方へ引張られ、これにより付与ノズル部材3の孔9が開放される。物質は孔9のこの開きの間に流れ出る。ソレノイド駆動装置が膜を解放すると、膜はばね作用および自体の弾性によって降下し、孔を閉じる。流れ出る量は孔が開かれる継続時間に比例状に依存する。電気パルスの継続時間を変化させることにより、バルブの開き時間を変化させることができ、また付与量を所定値に設定することができる。
【0028】膜の動きは驚くほど急速に行われる。したがって、開きおよび閉じの過程は非常に短時間である。このことは、付与時に非常に高い精度をもたらす。
【0029】膜部材11の上方の室29へ至るブロック22の孔34を通して、その室を室16の内部圧力に適合した作動圧力にすることができる。このことは、室29と室16との間の相対圧力、および外部大気圧とのそれらの差圧を自由に選定できるようにする。例えば、室16,29内の過大圧力が1バールの場合、膜部材11は荷重を解放されて、極めて短い開き時間および閉じ時間を得られるように、また同時に小さな付与量に関して高い付与精度が得られるようになる。
【0030】室16へ供給が二重とされていることは、駆動装置を作動させずにバルブを排出および洗浄できるようにする。毛細管26を経て給送された試薬もバルブを空にすることで毛細管24から回収できる。
【0031】毛細管24,26および室16で構成される流体装置から電気機械部品19,21,30,33を局部的に引き離すことは、電気機械駆動装置30の排熱による液体の加熱、液体のあらゆる汚染、腐食性液体による電気機械部品のあらゆる腐食を防止する。
【0032】図3に示すように、複数の、この例では8つの微量付与バルブが並べて配置できる。このために、基板35、付与ノズル部材36およびブロック37は相応に長くされ、相応の個数の孔を形成される。膜部材はそれらの間に個別に配置される。この代わりに、複数膜部材を備えることができる。作動圧力の供給孔38によりブロック全体を通じて全ての室へ与えられる。基板の孔とブロックとの間隔距離は従来のマイクロ滴定装置に使用されるモジュールに一致される。
【0033】図4は、一連の複数の部材が並べて組合わされて32個の付与ユニットを形成している平坦システムを示す。個々の並べて配置された部材は、この例では、2.25mmほど長手方向へ変位されている。モジュール寸法は9mmである。この形式のシステムによれば、1回の操作で高集積プレートを満たすことが可能となる。
【0034】しかしながら、本明細書で図示し説明した本発明は代表例であると意図するだけであり、多くの変更が本発明の明確な教示から逸脱することなく成し得ることを理解しなければならない。したがって、本発明の完全な範囲を定めるためには特許請求の範囲を参照しなければ成らず、本発明は特許請求の範囲における適正な範囲および公正な意味から逸脱せずに改良、変形および変更が成し得ることは認識されるであろう。
【出願人】 【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【出願日】 平成12年11月8日(2000.11.8)
【代理人】 【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓 (外3名)
【公開番号】 特開2001−194375(P2001−194375A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−340596(P2000−340596)