| 【発明の名称】 |
ガス分析装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊永 隆史
【氏名】藤山 陽一
【氏名】中西 博昭
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| 【要約】 |
【課題】経時的変化を調べるガス分析に好適なサンプリングを十分な吸収効率で行うことができるようにする。
【解決手段】この発明のガス分析装置は、分析用セル1のプレート重ね合わせ面に形成された微小流路7にガス成分吸収用液体を流すと共に多孔質ガラス製のプレートに分析対象のガス成分を含む気体を吹き付け、多孔質ガラス製のプレートを透過する多量のガス成分をガス成分吸収用液体が連続的に捕集する。ガス成分捕集済サンプル液を逐次にガス分析することによりガス成分の経時的変化を容易に調べられるのに加え、多孔質ガラス製のプレートへ分析対象ガス成分含有の気体を吹き付けることにより、ガス成分の透過量が増え、サンプリング時の吸収効率が上がる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】重ね合わせられたプレートの重ね合わせ面に液体導入口から流入するガス成分吸収用液体を液体導出口へ向けて流す微小流路が形成されているとともに、この微小流路におけるガス成分吸収区間で重ね合わせられたプレートの少なくとも一方が、ガス成分吸収用液体は透過させずに吸収対象のガス成分は透過させる多孔質ガラスで形成されている分析用セルと、この分析用セルにおける多孔質ガラスからなるプレートに分析対象のガス成分を含む気体を吹きつける気体吹き付け手段と、分析用セルの微小流路にガス成分吸収用液体を供給する液体供給手段と、ガス成分吸収済(捕集済)の液体に反応用薬液を供給添加する薬液供給手段と、ガス成分吸収・反応済の液体についてガス成分の分析を行うガス分析手段とを備えていることを特徴とするガス分析装置。 【請求項2】請求項1に記載のガス分析装置において、前記分析用セルは、微小流路がガス成分吸収区間の後段にガス成分吸収済の液体と反応用薬液の反応が行われる反応用区間を有するとともに、ガス成分吸収区間と反応用区間との間で微小流路に接続されるように反応用薬液導入用流路が設けられており、かつ薬液供給手段は反応用薬液導入用流路から反応用薬液を微小流路に供給するよう構成されているガス分析装置。 【請求項3】請求項2に記載のガス分析装置において、前記分析用セルは、微小流路が反応用区間の後段に分析対象のガス成分の分析を行うガス分析用区間を有しているとともに、ガス分析手段は微小流路のガス分析用区間に到来するガス成分吸収・反応済の液体についてガス成分の分析を逐次行うよう構成されているガス分析装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、分析対象のガス成分をガス成分吸収用液体に吸収(捕集)してガス成分を分析するよう構成されたガス分析装置に係り、特に分析対象のガス成分の経時的変化を調べる分析に適したガスサンプリングが十分な吸収効率(捕集効率)で行われるようにするための技術に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、地球環境の汚染が様々な方面で進みつつある。大気汚染も深刻な環境問題の一つである。大気汚染問題に取り組むには大気中に微量に含まれる汚染物質であるガス成分(例えばNO2 ,SO2 など)の分析が不可欠である。例えば、NO2 の分析の場合、パッシブサンプラーを用いて大気中のNO2 をサンプリング(捕集)して濃度を測定する。従来使われているNO2 捕集用のパッシブサンプラーは、図8に示すように、縦スペーサ52及び横スペーサ53を表面に取り付けたプラスチックプレート51の上にトリエタノールアミンを含浸させた濾紙54、多孔質ガラス55をその順に重ねてセットしてから、多孔質ガラス55の周縁をフッ化樹脂製のテープ56を貼って封止した構成になっている。 【0003】NO2 を捕集する際はパッシブサンプラーを空気中に所定時間(例えば半日)放置(暴露)しておく。そうすると空気中のNO2 がフィルタである多孔質ガラス55を透過して濾紙54に吸着捕集される。このパッシブサンプラーは軽量・小型で操作も簡単なことから、NO2 を容易にサンプリングすることができる。NO2 捕集済のパッシブサンプラーはラボラトリーへ持ち帰られた後、溶出・反応など必要な後処理を経てNO2 濃度を測定することになる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のパッシブサンプラーは経時的変化を調べるガス分析には不向きであるという問題がある。分析結果はパッシブサンプラーの放置時間中に集積したガス成分のトータル値に対応しているだけであり、放置期間の平均値が分かるだけであって、時々刻々の瞬時的な値が分かるわけではないからである。つまり、パッシブサンプラーは、積分型ガスサンプリング方式であって、分析結果から時間的な変化を把握することは事実上できないので、ガス成分の動態解析などは難しくて、十分なものはと言いがたいのである。 【0005】そこで、分析対象のガス成分の経時的変化を調べる分析に適したガスサンプリンが可能なガス分析用のセルが、特願平10−329635号および特願平11−25150号において提案されている。 【0006】すなわち、これらのセルでは、多孔質ガラス製プレートと非多孔質ガラス製プレートの2枚のプレートが重ね合わせられていて、両プレートの重ね合わせ面に液体導入口から流入するガス成分吸収用液体を液体導出口へ向けて流す細溝が形成されていて、細溝を流れるガス成分吸収用液体が、多孔質ガラス製のプレートを透過してくるガス成分と接触して吸収した上でガス成分吸収済(捕集済)サンプル液として液体導出口の方へ流れてゆく構成となっており、ガス成分の濃度の経時的変化に対応するガス成分吸収済サンプル液が連続的に得られるので、分析対象であるガス成分の経時的変化を調べる分析に好適なガスサンプリンが行える。 【0007】しかし、先に提案されているガス分析用のセルの場合、ガス成分の吸収効率の向上が望まれる。提案に係るセルでは、ガス成分吸収用液体がガス成分と接触する機会は多孔質ガラス製のプレートのある箇所を流れている期間だけであるので、ガス成分吸収用液体とガス成分との接触の機会が少なく、ガス成分吸収用液体はガス成分を十分吸収するには至らないからである。ガス成分の吸収効率が十分でない場合、例えば高感度分析や高速分析が難しいこと等から、ガス成分の吸収効率の向上が強く求められる。 【0008】この発明は、上記の事情に鑑み、分析対象のガス成分の経時的変化を調べる分析に適したガスサンプリングを十分な吸収効率(捕集効率)で行うことができるガス分析装置を提供することを課題とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、請求項1の発明に係るガス分析装置は、重ね合わせられたプレートの重ね合わせ面に液体導入口から流入するガス成分吸収用液体を液体導出口へ向けて流す微小流路が形成されているとともに、この微小流路におけるガス成分吸収区間で重ね合わせられたプレートの少なくとも一方が、ガス成分吸収用液体は透過させずに吸収対象のガス成分は透過させる多孔質ガラスで形成されている分析用セルと、この分析用セルにおける多孔質ガラスからなるプレートに分析対象のガス成分を含む気体を吹きつける気体吹き付け手段と、分析用セルの微小流路にガス成分吸収用液体を供給する液体供給手段と、ガス成分吸収済(捕集済)の液体に反応用薬液を供給添加する薬液供給手段と、ガス成分吸収・反応済の液体についてガス成分の分析を行うガス分析手段とを備えている。 【0010】また、請求項2の発明は、請求項1に記載のガス分析装置において、分析用セルは、微小流路がガス成分吸収区間の後段にガス成分吸収済の液体と反応用薬液の反応が行われる反応用区間を有するとともに、ガス成分吸収区間と反応用区間との間で微小流路に接続されるように反応用薬液導入用流路が設けられており、かつ薬液供給手段は反応用薬液導入用流路から反応用薬液を微小流路に供給するよう構成されている。 【0011】また、請求項3の発明は、請求項2に記載のガス分析装置において、分析用セルは、微小流路が反応用区間の後段に分析対象のガス成分の分析を行うガス分析用区間を有しているとともに、ガス分析手段は微小流路のガス分析用区間に到来するガス成分吸収・反応済の液体についてガス成分の分析を逐次行うよう構成されている。 【0012】〔作用〕次に、この発明のガス分析装置の作用を説明する。請求項1に記載の発明のガス分析装置により分析を行う場合、ガス成分を捕集(サンプリング)するために分析用セルは捕集対象のガス成分が存在する場所に据えられ、液体供給手段により、重ね合わせられたプレートの重ね合わせ面に形成された微小流路に液体導入口からガス成分吸収用液体が流される。これと同時に、気体吹き付け手段により、分析用セルにおける多孔質ガラス製のプレートに分析対象のガス成分を含む気体が吹き付けられる。分析用セルの微小流路におけるガス成分吸収区間では、多孔質ガラス製のプレートを透過して進入してくるガス成分とガス成分吸収用液体とが接触することにより、ガス成分がガス成分吸収用液体に吸収される。ガス成分を吸収したガス成分吸収用液体は、ガス成分捕集済サンプル液として液体導出口の方へ向けて流れてゆく。そして、このガス成分捕集済サンプル液には、薬液供給手段によりガス成分捕集済の液体に反応用薬液が供給添加されてガス成分捕集済の液体と反応用薬液との間で反応が行われた後、さらにガス分析手段によりガス成分捕集・反応済の液体についてガス成分の分析が行われる。 【0013】このように、請求項1のガス分析装置の分析用セルにおいては、ガス成分の濃度の経時的変化に応じたガス成分捕集済サンプル液が連続的に得られる(連続的なガスサンプリングが行われる)ので、ガス成分捕集済サンプル液を逐次にガス分析することによってガス成分の経時的変化が容易に調べられる。さらには現場でガス成分の連続的な分析結果を現場で得ることも可能である(オンサイト分析もできる)し、また連続的なサンプリングであっても、ガス成分吸収用液体が流れるのが微小流路であるので、ガス成分吸収用液体は少量で済む。 【0014】加えて、請求項1の発明のガス分析装置の場合、分析用セルにおける多孔質ガラス製のプレートに分析対象のガス成分を含む気体が強制的に吹き付けられることにより、多孔質ガラス製のプレートを透過する分析対象のガス成分の量が多くなり、これに伴って、ガス成分吸収用液体が吸収する分析対象のガス成分の量が一段と増加するので、サンプリングの際のガス成分の吸収効率(捕集効率)が向上する。 【0015】また、請求項2のガス分析装置の分析用セルの場合、ガス成分吸収用液体が微小流路へ流されるのと同時に、反応用薬液導入用流路にも薬液供給手段によって反応用薬液が流され、微小流路のガス成分吸収区間と反応用区間の間でガス成分吸収用液体に反応用薬液が供給添加されるのに引き続いて、反応用区間でガス成分吸収用液体と反応用薬液との反応が連続的に行われる。つまり、請求項2のガス分析装置では、ガス成分の捕集及び反応がひとつの分析用セルで連続的に行われるのである。また、ガス成分吸収用液体が流れるのが、やはり微小流路であるので、添加する反応用薬液も少量で済む。 【0016】また、請求項3のガス分析装置の分析用セルの場合、微小流路のガス分析用区間に反応用区間からガス成分捕集・反応済の液体が連続的に到来するとともに、ガス分析手段によりガス成分捕集・反応済サンプル液に対しガス成分の分析が連続的に行われる。つまり、請求項3のガス分析装置では、ガス成分の捕集から分析までがひとつの分析用セルで連続的に行われるのである。 【0017】 【発明の実施の形態】続いて、この発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。図1は実施例に係るガス分析装置の全体構成を示すブロック図、図2は実施例装置の分析用セルを示す斜視図、図3は図2におけるa−a線で破断した分析用セルの断面図である。 【0018】本実施例に係るガス分析装置は、図2に示すように、分析対象のガス成分をサンプリングする平板状の分析用セル1を備えている。分析用セル1は、図2および図3に示すように、下側プレートとして長尺状の透明ガラス製の短冊プレート2を備えているとともに、この短冊プレート2に重ね合わされる上側プレートとして、多孔質ガラス製の円形プレート3及び長尺状の透明ガラス製の円形孔付き短冊プレート4を備えている。そして、これら上側・下側のプレート2〜4の重ね合わせ面に液体導入口5から流入するガス成分吸収用液体を液体導出口6へ向けて流す微小流路7が形成されている。 【0019】さらに、実施例のガス分析装置は、図1に示すように、分析用セル1の他に、分析用セル1における多孔質ガラス製の円形プレート3の表面に分析対象のガス成分を含む気体を吹きつける送風機(気体吹き付け手段)8と、分析用セル1の微小流路7にガス成分吸収用液体を供給する液体供給部9と、ガス成分吸収済(捕集済)の液体に反応用薬液を供給添加する薬液供給部10と、ガス成分吸収・反応済の液体についてガス分析を行うガス分析部11とを備えている。以下、実施例装置の各部構成をより具体的に説明する。 【0020】分析用セル1の短冊プレート4には、厚み方向に貫通する円形孔4aが形成されていて、この円形孔4aに多孔質ガラス製の円形プレート3が嵌め込まれている。円形プレート3を嵌め込まれた短冊プレート4が短冊プレート2の上に重ね合わされている。また、短冊プレート4における両端側の各位置には、ガス成分吸収用液体導入用の貫通孔4bおよびガス成分吸収用液体導出用の貫通孔4cが厚み方向を貫通するように形成されている。各貫通孔4b,4cの上部開口が液体導入口5および液体導出口6になっている。 【0021】一方、各プレート2〜4の重ね合わせ面には、図1に示すように、液体導入口5から流入するガス成分吸収用液体を液体導出口6へ向けて流す微小流路7が形成されている。この微小流路7には、液体導入口5から液体導出口6の間にわたって、ガス成分の吸収が行われるガス成分吸収区間AR1,ガス成分吸収済の液体と反応用薬液の反応が行われる反応用区間AR2,ガス成分吸収・反応済の液体の分析を行うガス分析用区間AR3がその順に配設されている。短冊プレート2の重ね合わせ側の面には、図4に示すように、微小流路7を構成する細溝7a〜7hが形成されている。すなわち、微小流路7のガス成分吸収区間AR1には、6本に分岐しながら最後は再び一本に纏まる複数本(この例では6本)の細溝7a〜7fが形成されている。ガス成分吸収区間AR1に続く反応用区間AR2及びガス分析用区間AR3では細溝7g,7hが直列に続くよう形成されている。そして、微小流路7の流路始点7Aは貫通孔4bに、流路終点7Bは貫通孔4cに、それぞれ連通していて、液体導入口5から流入したガス成分吸収用液体が微小流路7を経ながら液体導出口6へ流れ出るように構成されている。このような分析用セル1によれば、ガス成分吸収用液体が流れる流路が微小であるので、ガス成分吸収用液体は少量で足りる。 【0022】さらに分析用セル1は、図1に示すように、ガス成分吸収区間AR1と反応用区間AR2との間で微小流路7に連通接続される反応用薬液導入用流路12を備えている。この反応用薬液導入用流路12は、短冊プレート4に設けられている貫通孔4dを経由して薬液導入口13に連通している。薬液供給部10から供給された反応用薬液は薬液導入口13から薬液導入用流路12へ送り込まれてガス成分捕集済の液体に添加された後、反応用区間AR2へ流れてゆく。このような反応用薬液の供給添加のために、分析用セル1の短冊プレート2の重ね合わせ側の面には、図4に示すように、反応用薬液導入用流路12を構成する細溝7iが細溝7gの上流側で連通するように形成されている。このような分析用セル1によれば、反応用薬液が流れる流路が微小であるので、反応用薬液も少量で足りる。 【0023】短冊プレート4に嵌め込まれた円形プレート3は、ガス成分吸収用液体を透過させずに吸収対象のガス成分を透過させる多孔質ガラス製であるので、短冊プレート2と円形プレート3の重ね合わせ面には、ガス成分が外側から円形プレート3を透過して進入し微小流路7を流れるガス成分吸収用液体と接触することにより吸収されて捕集される。さらに、実施例のガス分析装置の場合、分析対象のガス成分を含む気体が分析用セル1の多孔質ガラス製の円形プレート3の表面に送風機8で吹き付けられるので、円形プレート3を透過する分析対象のガス成分の量が増えて、ガス成分吸収区間AR1においてはガス成分吸収用液体により吸収されるガス成分の量が多くなる。また分析用セル1の場合、ガス成分吸収区間AR1では微小流路7が分岐流路構成であるので、ガス成分とガス成分吸収用液体との接触面積も十分に確保される。 【0024】第1実施例の場合、下側の短冊プレート2としては縦2cm,横5cm,厚みが0.5mm程度の透明ガラス製プレートが例示される。短冊プレート2の重ね合わせ面に形成されている細溝7a〜7iとしては幅200μm,深さ100μm程度の溝が例示される。上側の短冊プレート4としても縦2cm,横5cm,厚みが0.5mm程度の透明ガラス製プレートが例示される。また円形プレート3としては、直径1.6cm,厚み0.5mm程度の多孔質ガラス製プレートが例示される。円形プレート3に用いられる多孔質ガラスとしては、ガラスのシリカ成分だけを残して、他の成分を殆ど溶出させる処理により微細気孔を形成したものが例示される。この多孔質ガラスの場合、微細気孔の大きさは例えば40オングストローム程度で気孔率は例えば30%程度である。 【0025】続いて、実施例装置の分析用セル1の製造方法の一例を説明する。短冊プレート2に用いる透明ガラス製の薄板の表面に細溝7a〜7iを、微細加工法(マイクロマシーニング法)のひとつである、いわゆるフォトリソグラフィ技法により形成する。すなわち、透明ガラス製の薄板の表面にフォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜に細溝7a〜7iに対応するパターンを露光した後に現像して細溝7a〜7iのパターンを形成する。このパターンをマスクとしてエッチング処理を行って細溝7a〜7iを形成した後にマスクを除去する。一方、短冊プレート4に用いる透明ガラス製の薄板に、機械加工やサンドブラスト技法などの適当な加工法で、円形孔4aおよび貫通孔4b〜4dを形成する。また、前述した多孔質ガラスを整形加工することにより円形プレート3を作成する。 【0026】そして、短冊プレート2,4の重ね合わせ側表面をフッ酸溶液で少し溶かしておいてから短冊プレート2,4を重ね合わせて接着する。その後、円形プレート3を短冊プレート4の円形孔4aに嵌め込んでから、図3に示すように、円形孔4aの周縁に円形プレート3と短冊プレート4の両方に跨がるように接着剤14を塗布して円形プレート3を接着固定すれば、チップ状の分析用セル1が完成する。 【0027】一方、実施例装置の液体供給部9は、ガス成分吸収用液体を溜めておく液体貯蔵容器15と、この液体貯蔵容器15の液体を液体導入口5に送り込む送液ポンプ16を有する。薬液供給部10は、反応用薬液を溜めておく薬液貯蔵容器17と、この薬液貯蔵容器17の薬液を薬液導入口13に送り込む送液ポンプ18を有する。またガス分析部11はレーザ光照射部19と蛍光検出部20を有している。図2に示すように、レーザ光照射部19により、下側の透明ガラス製の短冊プレート2の側面からレーザ光LBが微小流路7の分析用区間AR3に照射される。レーザ光LBの照射に伴い生じる蛍光LLは上側の透明ガラス製の短冊プレート4を透過して蛍光検出部20により検出される。この蛍光検出部20による光検出強度がガス成分濃度と比例関係にある。つまり、実施例のガス分析装置の場合、微小流路7の分析用区間AR3でガス分析部11によりガス成分捕集・反応済の液体に対し連続的にガス成分の分析が行われる構成となっている。 【0028】次に、以上に詳述した構成を有するガス分析装置によりガス成分としてNO2の分析を行う時の状況を説明する。実施例装置を捕集対象のNO2 (ガス成分)が存在する雰囲気中に置く。ここではNO2 存在雰囲気としてNO2 濃度の調整が可能な風洞を用い、NO2 濃度を適当値にセットする。そして、実施例装置の液体供給部9によりNO2 吸収用液体として3体積%トリエタノールアミン溶液を液体導入口5から微小流路7へ連続的に送り込むとともに、薬液供給部10により反応用薬液としてザルツマン試薬を薬液導入口13から反応用薬液導入用流路12へ連続的に送り込む。これと並行して送風機8を連続稼働させてNO2 を含む空気を多孔質ガラス製の円形プレート3の表面に常に吹き付ける。また、レーザ光照射部19によるレーザ光LBの常時照射も開始する。 【0029】トリエタノールアミン溶液は微小流路7のガス成分吸収区間AR1でNO2 を吸収捕集した後、薬液導入用流路12でザルツマン試薬が連続的に添加された後、微小流路7の反応用区間AR2を流れながら反応を済ませた上で微小流路7の分析用区間AR3に達するとレーザ光LBの照射を受けて捕集NO2 に見合った光量の蛍光LLを発する。この蛍光LLのうちの545nmの波長の光が蛍光検出部20により連続的に検出されてNO2 濃度に対応する亜硝酸イオン濃度の連続定量分析が行われる結果、NO2 濃度の経時的変化が調べられる。 【0030】以上に述べたように、実施例のガス分析装置では、分析用セル1によりNO2濃度の経時的変化を調べるガス分析に非常に好適なガスサンプリングが高吸収効率で行えるのに加え、NO2 濃度の分析結果がリアルタイムで連続的に得られる。ガスサンプリングが高吸収効率で行われるので、高感度分析や高速分析も十分に可能である。なお、分析済の溶液は液体導出口6より廃液溜容器(図示省略)に排出されるが、排出される溶液量が少ないので測定が環境に与える負担も軽くて済む。もし、従来のパッシブサンプラーを用いて仮に同じ測定を行おうとすると、測定数だけパッシブサンプラーが必要となる上に、パッシブサンプラー毎に捕集NO2 を溶出するという煩雑な操作が必要である。 【0031】続いて、実施例装置の分析用セル1において、送風機8による気体の吹き付けによりNO2 吸収効率が向上することを確認するために次のような実験を行った。すなわち、風洞のNO2 濃度を100ppbにセットし、送風機8の風量を2.5m/秒にセットするとともに、薬液供給部10およびガス分析部11は停止状態とした他は、上記と同様にして装置を3時間連続稼働させてNO2 捕集済のトリエタノールアミン溶液を採取した。採取した溶液にザルツマン試薬を添加して反応させた後、レーザ光照射に伴って生じる蛍光の545nmの波長の光強度を測定した。この結果から亜硝酸イオン濃度を求め、さらにNO2 の吸収量に換算したところ、4.4×10-4Mであった。 【0032】一方、比較実験として、送風機8を停止状態とした(送風機8の風量を0m/秒にセットした)他は上記と同様にしてNO2 の吸収量を測ったところ、1.7×10-6Mであった。上記の両試験結果を比較すれば、送風機8の作動の有無により2桁以上のNO2 の吸収効率の違いがあることが認められ、送風機8による気体の吹き付けによりNO2 吸収効率が大きく向上することを確認することが出来た。 【0033】この発明は、上記実施の形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。 (1)実施例において、図5に示すように、ガス成分吸収用液体を流す微小流路のガス成分吸収区間AR1において、2組の微小流路用細溝7a〜7cおよび微小流路用細溝7d〜7fを互いに離間させるように形成した他は同じ構成の分析用セルを装備した装置が、変形例として挙げられる。この変形例の場合、微小流路のガス成分吸収区間では各分岐流路の長さが略同一となることから、ガス成分吸収用液体が各分岐流路を略均等に流れる。 【0034】また、実施例において、図6に示すように、ガス成分吸収用液体を流す微小流路のガス成分吸収区間AR1において、微小流路用の細溝を分岐させずにジグザグの細溝7jを一本だけ形成して吸収面積を確保するようにした他は同じ構成の分析用セルを装備した装置が、変形例として挙げられる。さらに、ガス成分吸収区間AR1における微小流路用の細溝は、ジグザグの形にするのではなくて、真っ直ぐな形にしてもよいし、或いは、幅広で底の浅い溝(図示省略)に形成して吸収面積を確保するようにした形態でもよい。 【0035】(2)実施例装置の分析用セルの場合、微小流路のガス成分吸収区間と反応用区間および分析用区間が全て一つのチップに纏めて形成されたワンチップ構造であったが、分割チップ構造であってもよい。例えば、微小流路のガス成分吸収区間と反応用区間および分析用区間がそれぞれ別々のチップに形成されていて、各チップ間がキャピラリー(ガラス製の細管)等で接続された3分割チップ構造の分析用セルが例示される。 【0036】(3)実施例では、下側の方形プレートあるいは短冊プレートは多孔質ガラス製ではなかったが、下側の方形プレートあるいは短冊プレートも多孔質ガラス製である構成のものが変形例として挙げられる。 【0037】(4)実施例においては、捕集対象のガスがNO2 であったが、この発明での捕集対象のガス成分は特定の種類に限らず、SO2 など他のガス成分も対象となる。またガス分析も定量分析に限らずガス成分の種類を特定する定性分析であってもよい。 【0038】(5)実施例においては、捕集対象のガスがNO2 であったが、この発明での捕集対象のガス成分は特定の種類のガス成分に限らず、SO2 など他のガス成分も対象となる。 【0039】(6)実施例における各プレートの形や寸法、使用材料、製造方法などは実施例に示したものに限らない。例えば、図7に示すように、下側をシリコン(Si)製または透明プラスチック製の短冊プレート21とし、上側を多孔質ガラス製の短冊プレート22にするとともに、両プレートの継ぎ目を接着剤23で封止した構成の分析用セルが、変形例として挙げられる。さらには、液体導入口や液体導出口あるいは薬液導入口が下側のプレートに形成されていたり、或いは、微小流路用細溝が多孔質ガラス製のプレートの側に形成されていたりしてもよい。また、液体供給部や薬液供給部およびガス分析部も実施例に示したものに限らず、捕集対象のガス成分の種類、薬液の種類、分析法などによってそれぞれに適した構成ものが用いられる。 【0040】 【発明の効果】以上に詳述したように、請求項1に記載の発明によれば、分析用セルの微小流路にガス成分吸収用液体を流すとともに、多孔質ガラス製のプレートに分析対象のガス成分を含む気体を吹き付けることによって、ガス成分をガス成分吸収用液体に吸収させているので、ガス成分の吸収効率が高く、高感度分析や高速分析を行うことができる。また、ガス成分吸収用液体は微小流路を流れるので、少量のガス成分吸収用液体で分析を行うことができる。 【0041】また、請求項2に記載の発明によれば、分析用セルの微小流路にガス成分吸収用液体を流すのと並行して反応用薬液導入用流路に反応用薬液を流し込んで分析用セルの反応用区間でガス成分吸収用液体と反応用薬液の反応を行っているので、ひとつの分析用セルでもってガス成分捕集・反応済サンプル液を連続的に得ることができる。また、反応用薬液が流れるのが微小な流路であるので、添加する反応用薬液も少量で足りる。 【0042】また、請求項3に記載の発明によれば、分析用セルの反応用区間の後段のガス分析用区間に連続的に到来するガス成分捕集・反応済の液体に対してガス成分の分析を連続的に行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598160029 【氏名又は名称】伊永 隆史 【識別番号】000001993 【氏名又は名称】株式会社島津製作所 【識別番号】000166247 【氏名又は名称】古野電気株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月14日(2000.1.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093056 【弁理士】 【氏名又は名称】杉谷 勉
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| 【公開番号】 |
特開2001−194361(P2001−194361A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−6432(P2000−6432) |
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