| 【発明の名称】 |
吸収体中の吸水性樹脂の含有量の測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】高橋 直子
【氏名】和田 克之
【氏名】石▲崎▼ 邦彦
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| 【要約】 |
【課題】吸収体中の吸水性樹脂含有量の測定を能率的にかつ簡便に行う。
【解決手段】吸水性樹脂を含む吸収体を中性塩を含む水性溶液で予め分散処理し、含水ゲルの分散物とした後に、塩基性溶液または酸性溶液を用いて含水ゲルの分散物をそのまま滴定し、吸水性樹脂の量を定量することを特徴とする吸収体中の吸水性樹脂の含有量の測定方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】吸水性樹脂を含む吸収体を中性塩を含む水性溶液で予め分散処理し、含水ゲルの分散物とした後に、塩基性溶液または酸性溶液を用いて含水ゲルの分散物をそのまま滴定し、吸水性樹脂の量を定量することを特徴とする吸収体中の吸水性樹脂の含有量の測定方法。 【請求項2】中性塩を含む水性溶液の重量が、吸収体の重量に対し10倍〜1000倍、好ましくは50倍〜200倍である請求項1記載の吸収体中の吸水性樹脂の含有量の測定方法。 【請求項3】中性塩を含む水性溶液中の中性塩の濃度が、10-4mol/l〜10mol/l、好ましくは10-3mol/l〜1mol/l、特に好ましくは10-1mol/l〜1mol/lである請求項1又は2記載の吸収体中の吸水性樹脂の含有量の測定方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、吸収体中に含有される吸水性樹脂を定量する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、体液を吸収させることを目的として吸水性樹脂が紙オムツや生理用ナプキン、失禁パット等の吸収体の構成材料の一つとして幅広く利用されている。このような吸収体の吸収性能は含有される吸水性樹脂の量によって決まる為、商品開発、品質管理、及び性能評価において吸収体1枚の吸水性樹脂含有量を測定することは不可欠である。 【0003】この測定方法としては、特開平1−260361号公報に記載された吸水性樹脂とその他の材料からなる吸収体を酸溶液で処理した後に、吸水性樹脂から遊離したアルカリ金属イオンの量を測定することで吸収体中の吸水性樹脂量を測定する方法がある。 【0004】また特開平9−243622公報に記載された吸水体中の吸水性樹脂を既知量の水素イオンを含む酸溶液で処理した後に、吸水性樹脂を構成するアルカリ金属塩基のアルカリ金属イオンと置換して消費された水素イオンを除く余剰の水素イオンを定量し、吸収体中の吸水性樹脂量を測定する方法がある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の如き従来の測定方法は以下の欠点を有していた。 【0006】上記従来技術の特開平1−260361号公報に記載された定量方法で測定に用いるナトリウムイオン測定用電極は、経時変化や温度に対する変動が大きく再現性に乏しい。このため実用上1回のサンプルを定量する毎に検量線を作成し直す作業が必要であり非常に時間と労力を要する。 【0007】さらに、吸水性樹脂以外の成分として、通常吸収体に使用されているセルロース繊維、例えば粉砕パルプにも少量のナトリウムイオンが含まれている。このためナトリウムイオンを定量する方法では、吸水性樹脂含有量の測定精度を向上しにくい。 【0008】また上記従来技術の特開平9−243622公報に記載された定量方法では、吸収体中の吸水性樹脂の測定時にサンプル準備工程・反応工程・定量工程・測定終了後のサンプル廃棄の全ての工程において、特殊な測定装置を要する方法であり、設備費も高く、また簡便な方法であるとは言い難い。 【0009】従って本発明の目的は、これらの課題を解決する、簡便で精度の良い吸収体中の吸水性樹脂の含有量の測定方法を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために成された本発明は、吸水性樹脂を含む吸収体を中性塩を含む水性溶液で予め分散処理し、含水ゲルの分散物とした後に、塩基性溶液または酸性溶液を用いて含水ゲルの分散物をそのまま滴定し、吸水性樹脂の量を定量することを特徴とする吸収体中の吸水性樹脂の含有量の測定方法に関するものである。 【0011】 【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。 【0012】吸水性樹脂としては、通常自重の30倍程度から1000倍程度の水を吸収する能力のある親水性架橋高分子であり、その構成単位にカルボン酸(塩)基[カルボン酸及び/又はカルボン酸塩基を言う。以下同様の記載を用いる。]、スルホン酸(塩)基、リン酸(塩)基、第三級アミノ基、第四級アンモニウム塩基、水酸基、ポリエチレンオキシド基などの親水性基を有する吸水性樹脂であれば樹脂の種類及び製造方法は特に限定しない。 【0013】吸収体は、具体的には、例えば、紙オムツや生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料/吸収性物品等中の液体通過性の上シートと、この上シートに接合された液体不透過性の後シートとの間に存在し、装着者の身体から排出される浸出物吸収する機能を果たす。一般にこれらの吸収体はセルロース繊維の詰綿に分散された吸水性樹脂を含む。 【0014】本発明における吸水性樹脂の定量方法としては、まず衛生材料/吸収性物品より取り出した吸収体を中性塩を含む溶液で予め分散処理を行い、含水ゲルの分散物を作製する。 【0015】吸水性樹脂を水のみで膨潤させた場合、膨潤ゲルに対して滴定した塩基性溶液又は酸性溶液を試料内に均一に拡散させることは困難であり、また時間を要するため1つのサンプルについて定量が終了するまでにかかる時間も莫大なものとなる。そこで、吸水性樹脂を含む吸収体を中性塩を含む溶液で処理することにより、滴定した塩基性溶液又は酸性溶液を試料内に容易に均一に拡散することが可能になり、測定時間短縮が行える。上記試料とは、含水ゲルの分散物であり、試料溶液中に含水状態にあるゲルが存在しているものである。 【0016】本発明で言う中性塩とは、水溶液が酸性でも塩基性でもない塩であり、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸アルミニウムなど、が挙げられる。膨潤ゲルの収縮を効率よく行うには、強電解質または解離後のイオン数の多い中性塩が好ましい。 【0017】中性塩を含む水性溶液とは、実質的に水溶液を示し水の他に親水性の有機溶媒を含んでも良い。親水性の有機溶媒としてはメタノール、エタノール等のアルコール類が挙げられる。水と有機溶媒の比率は吸水性樹脂の定量に影響を与えない量の範囲が好ましい。 【0018】また中性塩溶液の液量は、吸収体の数十倍から数百倍量使用し、通常吸収体の重量に対し10倍〜1000倍、好ましくは50倍〜200倍である。 【0019】中性塩溶液の濃度は溶液中に存在するゲルを容易に撹拌できる程度で、通常10-4mol/l〜10mol/l、好ましくは10-3mol/l〜1mol/l、特に好ましくは10-1mol/l〜1mol/lである。吸収体中の吸水性樹脂の量が多い場合、例えば紙おむつなど、中性塩の濃度は濃いほうがより好ましい。 【0020】中性塩溶液での分散処理後、含水ゲルの分散物を撹拌する。この撹拌の際にゲルを解砕しても良い。撹拌には高速回転が可能な撹拌機器を使用し、例えばホモジナイザーやホモディスパーを使用しても良い。 【0021】撹拌の速度としては、通常500rpm〜10000rpm、好ましくは2000rpm〜6000rpmである。 【0022】次いで、含水ゲルの分散物を撹拌しながらそのまま塩基性溶液又は酸性溶液で滴定を行う。塩基性溶液に使用する塩基としては例えば、アルカリ金属の水酸化物である水酸化ナトリウム、また酸性溶液に使用する酸としては例えば、ハロゲンの水素化物である塩酸が挙げられる。滴定で使用する塩基としては強塩基が好ましく、また酸としては強酸が好ましい。 【0023】滴定結果から吸水性樹脂の量を定量する方法としては、例えば以下のような方法が挙げられる。 【0024】滴定より得られた結果を横軸に滴定した塩基性溶液または酸性溶液の量、縦軸にpHの値をプロットし、その変曲点までに要したアルカリ性溶液の量より吸水性樹脂量を算出する。 【0025】なお、この様な滴定の処理及び吸水性樹脂の重量計算は手動で行っても良いが、一般に市販されている自動滴定装置とパーソナルコンピューターとを組み合わせることにより簡便に実行することが好ましい。 【0026】上記測定結果から吸収体の吸水性樹脂の量を計算するにあたっては、予め測定対象とする吸収体より取り出した既知量の吸水性樹脂について、上記操作と同様の操作を行い求めた変曲点までに要した塩基性溶液又は酸性溶液の量の値と仕込み吸水性樹脂の既知量から検量線を作成しておく必要がある。この検量線を用いて吸収体中の吸水性樹脂の含有量が計算できる。 【0027】検量線が、下記の(式1) 【0028】 【数1】
【0029】で表される時、吸収体中の未知量である吸水性樹脂の含有量を決定するために(式1)の傾きAを用いて、下記の(式2)で求まる。 【0030】 【数2】
【0031】 【実施例】以下、本発明に係わる吸収体中の吸水性樹脂の含有量の測定方法の実施例を説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。 【0032】[実施例1](既知量の吸水性樹脂の定量) 既知量の吸水性樹脂15.0gを5000mlのビーカーに入れ、純水2000gを加え30分間放置し吸水性樹脂を膨潤させた。膨潤した吸収性樹脂を含有する試料にNaCl (特級試薬:関東化学株式会社製)10gを添加してホモディスパー(T.K. HOMO DISPER:TOKUSHU KIKA KOGYO CO.LTD.製 )4000rpmで5分間攪拌した。カップ内の試料を元のビーカーに戻し、ホモディスパーの羽根及びカップに付着した試料を1000gの純水で洗い全量を3000gとした。その後1200rpmで撹拌しつつ、自動滴定装置(平沼産業株式会社製(COM-980Win))のpH電極を試料に浸け、0.1mol/l-NaOH水溶液(factor 1.00:関東化学株式会社製)を1ml/1分の速度で滴下した。pH値は0.1mol/l-NaOH水溶液を1ml滴下ごとに値を読み取り、この操作をpH11付近まで繰り返した。この操作で得られた滴定曲線より変曲点までに要したNaOH水溶液量を算出した。 【0033】予め測定対象としている吸収体より取り出した既知量の吸水性樹脂について、上記操作と同様の操作を行い変曲点までに要した0.1mol/l-NaOH水溶液の量の値を用いて検量線(式1)を作成した。この検量線より、吸収体中の吸水性樹脂の含有量を(式2)を用いて算出した。算出した吸水性樹脂量は14.9gであり、精度の高い定量が行えた。 【0034】[実施例2](使い捨て紙おむつ中の吸水性樹脂の含有量) 実施例1において、既知量の吸水性樹脂に代えて、紙おむつ中の吸水性樹脂を含む吸収体全量26.2gを取り出し、よくほぐしたものを用いた以外は実施例1と同様の操作を行った。算出した吸水性樹脂量は13.0gであった。 【0035】[実施例3](生理用ナプキン中の吸水性樹脂の含有量) 市販品生理用ナプキン中の吸水性樹脂を含む吸収体全量2.34gを取り出し、よくほぐして500mlのビーカーに入れ、純水400gを加え30分間放置し吸水性樹脂を膨潤させた。膨潤したゲルを含む吸収体をホモジナイザー(MAXIMホモジナイザー:日本精機製作所製)のカップに移し4000rpmで3分間攪拌粉砕を行った。カップ内の試料を元のビーカーに戻し、ホモジナイザーの羽根及びカップに付着した試料を100gの純水で洗い全量を500gとした。 【0036】この試料にNaCl (特級試薬:関東化学株式会社製)0.1gを添加してスターラーで撹拌しつつ、自動滴定装置(平沼産業株式会社製(COM-980Win))のpH電極を試料に浸け、0.1mol/l-NaOH水溶液(factor 1.00:関東化学株式会社製)を1ml/1分の速度で滴下した。pH値は0.1mol/l-NaOH水溶液を1ml滴下ごとに値を読み取り、この操作をpH11付近まで繰り返した。この操作で得られた滴定曲線より変曲点までに要したNaOH水溶液量を算出した。 【0037】予め測定対象としている吸収体より取り出した既知量の吸水性樹脂について、上記操作と同様の操作を行い変曲点までに要した0.1mol/l-NaOH水溶液の量の値を用いて検量線(式1)を作成した。この検量線より、吸収体中の吸水性樹脂の含有量を(式2)を用いて算出した。算出した吸水性樹脂量は0.60gであった。 【0038】[実施例4](使い捨て紙おむつ中の吸水性樹脂の含有量) 紙おむつ中の吸水性樹脂を含む吸収体全量24.1gを取り出し、よくほぐして5000mlのビーカーに入れ、0.1mol/lのNaCl水溶液3000gを加え30分間放置し吸水性樹脂を膨潤させた。ついで、ホモディスパー(T.K. HOMO DISPER:TOKUSHU KIKA KOGYO CO.LTD. 製)4000rpmで5分間攪拌した。その後1200rpmで撹拌しつつ、自動滴定装置(平沼産業株式会社製(COM-980Win))のpH電極を試料に浸け、0.1mol/l-HCl水溶液(factor 1.00:関東化学株式会社製)を1ml/1分の速度で滴下した。pH値は0.1mol/l-HCl水溶液を1ml滴下ごとに値を読み取り、この操作をpH11付近まで繰り返した。この操作で得られた滴定曲線より変曲点までに要したHCl水溶液量を算出した。 【0039】予め測定対象としている吸収体より取り出した既知量の吸水性樹脂について、上記操作と同様の操作を行い変曲点までに要した0.1mol/l-HCl水溶液の量の値を用いて検量線(式1)を作成した。この検量線より、吸収体中の吸水性樹脂の含有量を(式2)を用いて算出した。算出した吸水性樹脂量は11.2gであった。 【0040】[実施例5](生理用ナプキン中の吸水性樹脂の含有量) 市販品生理用ナプキン中の吸水性樹脂を含む吸収体全量1.45gを取り出し、よくほぐして500mlのビーカーに入れ、0.005mol/lのNaCl水溶液500gを加え30分間放置し吸水性樹脂を膨潤させた。膨潤したゲルを含む吸収体の存在する水溶液をホモジナイザー(MAXIMホモジナイザー:日本精機製作所製)のカップに移し4000rpmで3分間攪拌粉砕を行った。 【0041】この試料をスターラーで撹拌しつつ、自動滴定装置(平沼産業株式会社製(COM-980Win))のpH電極を試料に浸け、0.1mol/l-HCl水溶液(factor 1.00:関東化学株式会社製)を1ml/1分の速度で滴下した。pH値は0.1mol/l-HCl水溶液を1ml滴下ごとに値を読み取り、この操作をpH11付近まで繰り返した。この操作で得られた滴定曲線より変曲点までに要したHCl水溶液量を算出した。 【0042】予め測定対象としている吸収体より取り出した既知量の吸水性樹脂について、上記操作と同様の操作を行い変曲点までに要した0.1mol/l-HCl水溶液の量の値を用いて検量線(式1)を作成した。この検量線より、吸収体中の吸水性樹脂の含有量を(式2)を用いて算出した。算出した吸水性樹脂量は0.52gであった。 【0043】[比較例1](使い捨て紙おむつ中の吸水性樹脂の含有量) 実施例1において、中性塩としてのNaClを添加しない以外は実施例1と同様にして、既知量の吸水性樹脂15.0gの定量を行ったところ、滴定したNaOH水溶液を試料内に拡散するのにかなりの時間を要した為、定量終了までに12時間以上かかった。さらに算出された吸収性樹脂量は10.5gと、精度が低かった。 【0044】 【発明の効果】本発明に係る測定方法を用いれば、従来方法と比較して以下のような顕著な効果を奏する。 (1)測定時に使用する電極は、精度の劣るナトリウムイオン測定用電極の代わりに通常のpHメーター用電極を用いれば良いので、安定した測定を行うことが可能であり、検量線の作成も1日に1回程度行えば充分である。 【0045】(2)測定時に使用する装置が、特殊な物ではなく全て一般に市販されている、安価なものを利用しているため、測定が非常に簡便に行うことができ測定効率が大幅に向上する。 【0046】(3)本発明は吸水性樹脂を含む吸収体を中性塩を含む溶液で処理することを特徴としており、これにより滴定した塩基性又は酸性溶液は、試料内に均一に拡散するのに必要な時間が中性塩が存在しない場合に比べ短縮される。これにより定量に要する時間も短縮され、測定の能率を一層向上させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004628 【氏名又は名称】株式会社日本触媒
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| 【出願日】 |
平成12年1月14日(2000.1.14) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−194360(P2001−194360A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−10068(P2000−10068) |
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