| 【発明の名称】 |
ロールの剥離検査方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】米山 勝久
【氏名】古川 誠二
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| 【要約】 |
【課題】紙、プラスチックフィルム等のシート類の塗工やカレンダ処理に用いるロール類、通常、中空又は中実な金属心の表面に弾力性のあるゴム又は合成樹脂の下巻き材が巻かれ、更にその上からカバーリング材で被覆されている。これらロール内部に剥離や空洞部があると、カレンダ処理、塗工、印刷等に悪影響を及ぼす。本発明は、これらロールの欠陥部をロールを傷付けないで発見しようとするものである。
【解決手段】剥離部又は空洞部のあるカバーリング材表面から金属芯に向けて、超音波探触子で超音波を入射しながら、剥離部から健全部に向けて走査し、剥離部のエコーの最大波高又は最大振幅が6dBダウンした位置における探触子の中心位置を前記境界とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】金属芯にゴム、プラスチック等の弾性のある下巻き材及びカバーリング材を前記順に巻き付けたロールについて、各層間における剥離部と健全部との境界又は空洞部と健全部との境界を判定する方法であって、カバーリング材の音響インピーダンスが下巻き材の音響インピーダンスよりも小さいか又はほぼ等しい場合において、カバーリング材表面から金属芯に向けて超音波探触子で超音波を入射しながら、剥離部から健全部に向けて走査し、剥離部のエコーの最高波高又は最大振幅が1/2にダウンした位置における探触子の中心位置を前記境界と判定する方法。 【請求項2】金属芯にゴム、プラスチック等の弾性のある下巻き材及びカバーリング材を前記順に巻き付けたロールについて、各層間における剥離部と健全部との境界又は空洞部と健全部との境界を判定する方法であって、カバーリング材の音響インピーダンスが下巻き材の音響インピーダンスよりも大きい場合において、カバーリング材表面から金属芯に向けて超音波探触子で超音波を入射しながら、健全部から剥離部に向けて走査し、健全部のエコーの最高波高又は最大振幅が1/2にダウンした位置における探触子の中心位置を前記境界と判定する方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、紙、プラスチックフィルム等のシート類の塗工やカレンダ処理に用いるロール類、金属板、無機質ボード類のボード表面の塗工、印刷に使用されるゴムロール又はプラスチックロールの接着の良否を判定する方法に関する発明である。 【0002】 【従来の技術】 上記ロールは、通常、中空又は中実な金属心の表面に弾力性のあるゴム又は合成樹脂の下巻き材が巻かれ、更にその上からカバーリング材で被覆されている。これらロールは、金属芯に駆動力をかけて回転させて用いられることが多いので、金属芯と下巻き材、あるいは、下巻き材とカバーリング材との層間面における接着が不十分であると、下巻き材あるいはカバーリング材が歪み、カレンダ処理、塗工、印刷等に悪影響を及ぼす。また、下巻き材あるいはカバーリング材中に空洞部がある場合も、同様にカレンダ処理、塗工、印刷等に悪影響を及ぼす。 【0003】従来、これらロールの内部における剥離や接着不良等の欠陥を検査する方法として、熟練者がテストハンマーによりロール叩き、その打音から判断する方法が行われている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方法では、欠陥の存在部位、剥離の範囲、程度などの情報が定性的であるばかりでなく、試験者による差異や誤判断が生ずるという問題があった。本発明は、下記に述べる方法により、従来方法による上記問題点を解決しようとするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するために、本発明では、超音波による探傷法を用いる。超音波探傷法は、超音波を検査対象物に入射しながらロール表面を走査し、その反射波(エコー)の波形を分析して対象物の内部に傷があるかどうかを判定する方法であり、溶接部分の検査等の非破壊検査に広く用いられている。 【0006】複数の異なる物質を積層接着した複層構造の検査対象物の表面から超音波を入射すると、物層間の層間面を超音波が通過するときに、その一部が反射される。超音波深傷法は、その反射波の波形を分析することにより、検査対象物の内部の欠陥の存否を判定する方法である。超音波深傷法においては、検査対象物の材質、形状等により、どのような超音波を用いるべきかについて、ある程度の目安はあるものの、反射波を分析して傷等の欠陥の有無の結論を出すには、試行錯誤で実験を行い、エコーの特徴を把握し、無傷のものとの有意差を発見して判定しなければならない。 【0007】特に、本発明が検査対象とするロールのように、3層構造で、超音波を通しにくく、減衰の大きなプラスチック類を含む物質を対象とする場合はなおさらである。超音波検査法には、垂直探傷法と斜角探傷法があるが、本発明の方法は、垂直探傷法に属する方法である。本発明が検査対象とするロールの構造は、通常、図2に示すように、中空の金属芯に下巻き材が巻かれ、下巻き材の表面にカバーリング材が巻かれている。下巻き材の材質やカバーリング材は、ゴムやプラスチック等のである。そして、本発明は、金属芯と下巻き材との間における剥離及び、下巻き材とカバーリング材との間における剥離を発見しようとするものである。 【0008】異なる物質から構成される複層構造物の表面から垂直に超音波を入射すると、材質が異っても、音響インピーダンスの等しい物質間の層間面においては、超音波は、その界面を通り抜けてしまう。音響インピーダンスの異なる物質の層で構成される複層の物体に超音波を入射した場合、超音波は、その界面で一部が反射される。 【0009】また、音響インピーダンスの大きい物質から音響インピーダンスの小さい物質に超音波を入射し、その界面で反射させると、その層間エコーの位相は+位相となる。音響インピーダンスの小さい物質から音響インピーダンスの大きい物質に超音波を入射し、その界面で反射させた場合は、その層間エコーは−位相となる。層間で剥離している場合、その層間には、空気層が存在することになり、空気層は、音響インピーダンスが殆どゼロに近い。よって、音響インピーダンスの大きい物質から音響インピーダンスの小さい物質に超音波を入射したことになり、その層間エコーは+位相となる。 【0010】本発明の目的は、ロール全体の良否を判定するものであるから、その不良部分の分布範囲を明らかにする必要がある。分布範囲が明らかでないと、ロールそのものの良否を判定できない。即ち、局部的、且つ微少面積の剥離があっても、そのロールの使用目的によっては、そのまま、或いは、ロール表面又は側面から接着剤を注入する等の補修により、実用上は問題なく使用できる場合があるからである。 【0011】よって、本発明においては、ロールにおける剥離部分が、カバーリング材と下巻き材の層間であるか、或いは下巻き材と金属芯との間の層間における剥離であるか、また、その分布状態を明らかにしようとするものである。同様に、カバーリング材又は下巻き材の層中の空洞部についてもその分布状態を明らかにしようとするものである。 【0012】本発明においては、1.音響インピーダンスが、空気<カバーリング材<下巻き材<金属芯の場合、2.音響インピーダンスが、空気<カバーリング材>下巻き材<<金属芯の場合、3.音響インピーダンスが、空気<カバーリング材≒下巻き材<金属芯の場合の3つのパターンについて、いずれの場合にも、剥離部分の分布を、カバーリング材と下巻き材と層間と下巻き材と金属芯と層間をそれぞれ独立して判定できることを特徴とする。 【0013】本発明において重要な点は、第1に、最適な深傷器、探触子を選択すること(S/N比、基準感度)、第2に剥離部と健全部及びその境界を判定する方法を確立することである。最適な探触子でロール表面を走査し、剥離部と健全部との境界を確定できれば、剥離部の分布を確定できる。即ち、探触子で、ロール面を軸方向に走査中、最初に遭遇した健全部と剥離部の境界から、次ぎに遭遇した境界までが剥離部と認定できる。このような走査線を例えばロールの軸方向に一定間隔で縞状又は網目状に増やせば、剥離部分の形状を詳細に確定できる。また、剥離部と断定できる部分から走査し、剥離部と健全部の境界を適宜数確定し、それら境界点を結べば、剥離部の広がり、面積を算定できる。 【0014】本発明では、剥離部分の広がりを効率のよい方法で把握するために、以下に述べるように、健全部と剥離部の境界線を検出し、剥離部分の広がりを把握しようとするのである。 【0015】以下に、その方法を述べる。先ず、被検査ロールの全面をほぼ均等な間隔で探触子で走査し、上記に述べた方法により、剥離部を発見する。適正な深傷器、探触子を選択すれば、剥離部分は、後述するように、入射した超音波エネルギーの殆どを反射するので、そのエコーの波形の相違から健全部と識別できる。走査間隔は、例えば径5mm以上の剥離部分を発見しようとするときは、5mm間隔で走査すればよい。剥離部を特定できたならば、次ぎに剥離部と判断した部分から健全部に向けて、図3のように探触子でロール走査する。すると、探触子が剥離部から健全部との境界に達したときに、層間エコーの波形が変化する。 【0016】図1の(1)は、カバーリング材の音響インピーダンスが下巻き材の音響インピーダンスよりも小さく、カバーリング材と下巻き材の層間に剥離がある場合で、探触子を剥離部から健全部に向けて走査した場合の波形図である。探触子がカバーリング材と下巻き材の剥離部を走査している時は、層間エコーは+位相であるが、探触子が健全部に接近するに従い、層間エコーは徐々に+位相から−位相に変わっていく。 【0017】一方、右側に2、3番目に受信する波形が現れはじめ、それが次第に大きくなる。この2番目の波形は、下巻き材と金属芯の層間エコーであり、3番目の波形は、金属芯と金属芯内空気の層間エコーである。探触子が、健全部と剥離部の境界に近づくにつれて、超音波の一部が下巻き材に入射されはじめるため、2,3番目の波形が現れるのである。 【0018】本発明では、剥離部における最大波高hが6dBダウン(1/2にダウン)又は最大振幅aが6dBダウン(1/2にダウン)となったときの探触子の中心位置を境界部とする。原理的には最大振幅aが6dBダウンした位置を測定することが望ましいが、読みとり作業性を重視する場合には、最大波高hが6dBダウンした位置でも実用上の差異はない。人工的に作製した剥離部分を含むロールで実験してみると、上述の判定方法による健全部と剥離部との境界と実際の境界とがほぼ一致する。以上、カバーリング材の音響インピーダンスが下巻き材の音響インピーダンスよりも小さい場合について述べたが、他の場合については、後述する。 【0019】尚、本発明は、金属芯が中空でなく、中実な金属芯の場合も適用できる。その場合、入射する超音波が十分に強力であれば、ロール軸芯を中心として対象の位置にある反対側の金属芯と下巻き材との層間エコー以降のエコーも検出できるが、ロール径が大きいと、超音波の到達経路が長くなるので、直進した超音波のエコーの外に屈折・散乱した超音波のエコーによるノイズが多くなるから、反対側の剥離状況は、反対側から測定したエコーの波形から判定すべきである。 【0020】以下に本発明の実施例について述べる。図2は、検査対象のロールの断面図である。ロールの外径は450mm、長さは500mmである。金属芯Cの材質は鉄で、その厚みは9mmの中空構造である。下巻き材B及びカバーリング材Fの材質はゴム又は合成樹脂であり、下巻き材B及びカバーリング材Fの厚みは、それぞれ6mm、15mmである。用いる探触子は、S/N比が2以上取ることのできるもので、カバーリング材と下巻き材との境界エコーをテレビモニターブラウン管上で80%以上取ることのできるものである。この探触子でもって、垂直方向即ちロール外周面からロール軸芯に向けて超音波を入射し、そのエコーの波形をテレビモニターに映し出した。 【0021】図1及び図4〜6は、その波形の模式図である。いずれの場合も、探触子を図3のように、剥離部から健全部に向けて矢印方向に探触子を移動しながらロール面を走査した。実際の深傷時には上記のように剥離部から健全部に向けて探触子を走査してもよいし、逆に、健全部から剥離部に向けて探触子を走査してもよい。 【0022】上記波形から、先に示した3つの場合において、剥離があるかを判定する方法について述べる。 1.音響インピーダンスが、カバーリング材<下巻き材<金属芯>空気の場合カバーリング材と下巻き材の層間及び下巻き材と金属芯の層間のいずれにも剥離が存在しない場合は、カバーリング材と下巻き材の層間エコー及び下巻き材と金属芯の層間エコーの波形は、図4の4−3又は4−6のように−位相となる。カバーリング材と下巻き材との層間に剥離が存在する場合は、4−1のごとく、1番目のカバーリング材と下巻き材との層間エコーが+位相となり、他の層間エコーは検出されない。 【0023】即ち、カバーリング材と下巻き材との層間に空気が存在し、音響インピーダンスの大きなカバーリング材から音響インピーダンスの小さな空気に入射することになるから、カバーリング材と下巻き材との層間エコーが+位相となる。また、入射した超音波は殆どカバーリング材と下巻き材との層間の剥離部で反射され、下巻き材には殆ど入射されないので、下巻き材と金属芯との層間エコーは殆ど検出されないのである。そして、カバーリング材と下巻き材との層間の剥離部から、健全部に向けて探触子を走査していくと、1番目のカバーリング材と下巻き材との層間エコーが+位相から−位相へと変化していくとともに、下巻き材と金属芯との層間エコーと金属芯と金属芯内の空気の層間エコーが現れはじめる。剥離部と健全部との境界部では、エコーの最大波高又は最大振幅が、それぞれ剥離部の最大波高又は最大振幅から、6dB(1/2)ダウンする。そして、そのときの探触子の中心位置が剥離部と健全部との境界である。 【0024】カバーリング材と下巻き材の層間に剥離が存在しない場合は、最初に現れるカバーリング材と下巻き材の層間エコーの波形は、図4の4−4〜4−6のように位相が−となる。下巻き材と金属芯の層間に剥離が存在する場合は、2番目のエコーの波形が+位相になる。そして、探触子を剥離部から健全部に向けて走査していくと、波形は4−4から4−6に変化していく。即ち、下巻き材と金属芯との層間エコーが+位相から−位相に変化して行くとともに、3番目に現れる金属芯と空気の層間エコーが現れはじめ、次第に大きくなる。そして、下巻き材と金属芯の層間における剥離部と健全部との境界では、2番目のエコーの最大波高又は最大振幅が、それぞれ剥離部の最大波高又は最大振幅から、6dB(1/2)ダウンする。そして、そのときの探触子の中心位置が剥離部と健全部との境界である。 【0025】2.音響インピーダンスが、カバーリング材>下巻き材<金属芯>空気の場合この場合、カバーリング材と下巻き材との層間のエコーの波形は、その層間に剥離が有っても無くても図5のように+位相となり、位相が変化しないから、位相からカバーリング材と下巻き材との層間が健全であるかどうか判定できない。従って、この場合は、2番目に現れる下巻き材と金属芯との層間エコーを見る。図5の5−1のように、2番目の下巻き材と金属芯との層間エコーが殆ど検出されない場合は、カバーリング材と下巻き材の層間で剥離が存在する。入射した超音波がその剥離部で反射され、下巻き材に殆ど入射されないからである。カバーリング材と下巻き材との層間が健全な場合は、超音波が下巻き材にも入射され、下巻き材と金属芯との層間エコーと金属芯と空気との層間エコーが検出されるから、層間エコーの波形は、5−3又は5−6のようになる。 【0026】即ち、カバーリング材と下巻き材との層間では、エコーの波形の位相が+となり、下巻き材と金属芯との層間エコーは−位相になる。そして、カバーリング材と下巻き材との層間の健全部から剥離部に向けて走査していくと、2番目の波形は、5−3から5−1に変化していく。そして、2番目の−位相のエコーが次第に小さくなり、剥離部と健全部との境界では、2番目の波形の最大波高又は最大振幅が、健全部の波形の最大波高又は最大振幅から6dB(1/2)ダウンする探触子の中心位置が健全部と剥離部との境界となる。 【0027】カバーリング材と下巻き材の層間に剥離が存在せず、下巻き材と金属芯の層間に剥離が存在する場合は、エコーの波形は、図5の5−4のようになる。即ち、カバーリング材と下巻き材との層間では、エコーの位相が+となり、下巻き材と金属芯との層間エコーも+位相になる。下巻き材と金属芯の層間に剥離が存在しない健全部では、2番目のエコーは−位相に反転する。そして、下巻き材と金属芯の層間の剥離部から健全部に向けて走査していくと、波形は5−4から5−6に変化していく。即ち、2番目の+位相エコーの波形が次第に小さくなって行くとともに、3番目の+位相のエコーが現れはじめる。下巻き材と金属芯の層間の剥離部と健全部との境界では、2番目の波形の最大波高又は最大振幅が、それぞれ剥離部の波形の最大波高又は最大振幅の6dB(1/2)ダウンする。 【0028】3.音響インピーダンスが、カバーリング材≒下巻き材<金属芯>空気の場合カバーリング材と下巻き材の層間及び下巻き材と金属芯の層間のいずれにも剥離が存在しない場合は、エコーの波形は、図6の6−3又は6−6のようになる。即ち、カバーリング材と下巻き材の音響インピーダンスはほぼ等しいから、入射した超音波はカバーリング材と下巻き材の層間では反射されずに殆どが通り抜ける。よって、カバーリング材と下巻き材の層間エコーは殆ど検出されず、2番目の下巻き材と金属芯の層間の−位相のエコーと、3番目の金属芯と空気の層間エコーが検出される。 【0029】カバーリング材と下巻き材の層間に剥離部が存在せず、下巻き材と金属芯の層間に剥離が存在する場合は、エコーの波形は6−1のようになる。即ち、下巻き材と金属芯との層間では、エコーの位相が+となり、金属芯と金属芯内の空気との層間エコーは検出されない。そして、下巻き材と金属芯の層間の剥離部から健全部に向けて走査していくと波形は、6−1から6−3に変化していく。即ち、2番目のエコーの波形が次第に小さくなって行くとともに、3番目の+位相のエコーが現れはじめ、それが次第に大きくなっていく。剥離部と健全部との境界では、2番目の波形の最大波高又は最大振幅が、それぞれ剥離部の最大波高又は最大振幅のそれの6dB(1/2)ダウンする。そして、そのときの探触子の中心位置が剥離部と健全部との境界である。 【0030】カバーリング材と下巻き材との層間に剥離が存在し、下巻き材と金属芯の層間に剥離が存在しない場合は、6−4のごとく、カバーリング材と下巻き材との層間エコーが+位相となり、2番目の下巻き材と金属芯との層間エコーの波形と、3番目の金属芯と空気のエコー波形は殆ど検出されない。そして、カバーリング材と下巻き材との層間の剥離部から健全部に向けて走査していくと、波形は6−4から6−6に変化していく。即ち、1番目のエコーの波形が次第に小さくなっていくとともに、2番目の−位相の波形と、3番目の+位相の波形エコーが検出されはじめ、その波形が次第に大きくなっていく。剥離部と健全部との境界では、1番目の波形の最大波高又は最大振幅が、それぞれ剥離部の波形の最大波高又は最大振幅6dB(1/2)ダウンする。そして、そのときの探触子の中心位置が剥離部と健全部との境界である。 【0031】以上、カバーリング材の音響インピーダンスが下巻き材の音響インピーダンスよりも小さい場合、大きい場合、及びほぼ等しい場合の3例について述べたが、層間エコーの位相は、層間を構成する2つの材料の音響インピ−ダンスの相違により、+になったり−になったりする。カバーリング材及び下巻き材の音響インピ−ダンスは、ともに金属芯の音響インピ−ダンスより小さく、空気の音響インピ−ダンスよりも大きいから、上述の3例のように、カバーリング材と下巻き材の音響インピーダンスの大小だけを考えればよい。 【0032】下巻き材,カバーリング材の材質は通常の場合、既知であるから、音響インピ−ダンスの大小も既知である。また、材質が不明であっても、打検等の従来方法により、間違いなく健全部又は剥離部であると判定した部分に超音波を入射し、エコーの波形を見れば、層間の材料どうしの音響インピ−ダンスの大小関係が、上記1,2,3のどれに該当するか容易に判断できる。また、剥離部のおおよその位置を見つける際、剥離部は剥離部の波形が同じ層の健全部の波形よりも大きいから容易に見つけることができる。剥離部では、入射された超音波の殆どを反射するので、健全部よりも波形が大きくなるからである。 【0033】 【発明の実施の形態】本発明で用いる深傷器は、帯域特性として広帯域アンプ及び表示方式としてRF波表示が可能な深傷器を用いる。探触子は、超広帯域型探触子で、周波数は、0.4〜3MHzのものが適する。通常、超音波深傷方法で検知可能な剥離部分の最小寸法は、波長の1/2程度であるが、0.4MHzの周波数で、カバーリング材と下巻き材中における音速を2000m/秒とすれば、波長は5mm、従って、3mm程度まで検知できる。周波数を余り大きくすると、検知可能な深度が小さくなる等の欠点が生じる。ロールの剥離検査の場合、特に小さなロールを除いて、5mm以下の径の剥離は余り問題にしないので、周波数は上記範囲で十分である。 【0034】また、最小検出寸法は探触子の径に依存し、探触子径が大きくなるにつれ、最小検出欠陥径並びに欠陥寸法の測定誤差が大きくなる。例えば、市販の探触子に次のような仕様のものある。 探触子径 最小検出欠陥寸法 測定精度 ■ φ28mm φ15mm ±5mm程度 ■ φ20mm φ10mm ±2mm程度 ■ φ10mm φ 5mm ±1mm程度【0035】最小検出欠陥寸法は、検出可能な剥離部分の最小径であると同時に、剥離部分が多数存在する場合、隣接する剥離部分間の距離の検出限界でもあるから、剥離部分が、検出不可能な近接距離で存在する場合、それら剥離部分は、ひとつの剥離部分として検出される。従って、探触子は、検出すべき最小の剥離部分の大きさと、剥離部分どうしの距離に応じて決定する。 【0036】前記「課題を解決する手段」においてはロールの層間剥離について述べたが、本発明は、カバーリング材、下巻き材の層内の空洞部分についても、層間の剥離と同様に検知できる。層内の空洞部分は、カバーリング材及び下巻き材よりも音響インピーダンスの小さい気体で満たされているから、その空洞部のエコーは+位相であり、検知されるエコーの位置は、前記各エコーの波形図において、カバーリング材又は下巻き材の層内である。これを図で示せば、図4において、例えば、点Pの位置である。このように、層間剥離と層内の空洞部は、エコーの波形図に現れる位置が異なるので、区別できる。 【0037】径10mmの剥離部又は空洞部を検知しようとする場合、例えば、上記■の探触子を用い、先ず、ロール表面を、5mm間隔(1/2ラップ)のロール軸方向の直線で走査し、剥離部のほぼ中心に印を付す。この印により、剥離部の広がりが概略判明する。この段階で特に大きな剥離部が発見され、巻き直しを要すると判断すれば、それ以上の検査は必要ないが、さらに詳しく検査する場合は、部分剥離部の中心付近から放射状に走査するか、或いは、適宜間隔のロール軸方向と直交する直線方向に走査して、剥離部と健全部の境界を検知する。それにより、剥離部の広がりが判明する。 【0038】その他、ロールを機械に取り付けた状態で検査する場合、ロールをゆっくりと回転させ、5mm間隔(1/2ラップ)の螺旋状に探触子を走査し、更に詳しく検査する場合は、剥離部分の中心から放射状或いは、ロールの軸方向に走査すればよい。 【0039】 【発明の効果】本発明によれば、紙、プラスチックフィルム等のシート類の塗工やカレンダ処理に用いるロール類、金属板、無機質ボード類のボード表面の塗工、印刷に使用されるゴムロール又はプラスチックロールに関して、ロールの金属芯と巻き材料との層間又は巻き材料どうしの層間に剥離部分があるか否か、また、巻き材料に空洞部があるかどうかを、ロールを傷つけずに判定できるとともに、剥離部分の広がりを測定できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】594029263 【氏名又は名称】日鋼検査サービス株式会社 【識別番号】000183484 【氏名又は名称】日本製紙株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月6日(2000.1.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074572 【弁理士】 【氏名又は名称】河澄 和夫
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| 【公開番号】 |
特開2001−194348(P2001−194348A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−634(P2000−634) |
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