| 【発明の名称】 |
電気防食状態計測装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】木下 明
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| 【要約】 |
【課題】電気防食が施される地中埋設管などの防食状態の維持管理を容易に行う。
【解決手段】電気防食状態計測装置1は、筺体2内に、処理回路10、表示器11、信号発生器12、電位電流計測器13およびプリンタ15などを一体化して、防食状態の調査と絶縁性能の判定などを可能にしている。地中埋設管20と屋内配管21との間の絶縁フランジ部22での絶縁性能の調査は、信号発生器12で発生する低周波励磁信号を、2つの接触子8,9で地中埋設管20および屋内配管21の表面にそれぞれ印加し、磁気センサ3で励磁電流によって発生する磁界を計測して行うことができる。電気防食状態の良否判定は、電位電流計測器13を用いて、地中埋設管20の表面の防食電位を計測したり、防食のために用いているMg陽極などから供給される防食電流を計測して行う。計測結果や絶縁性能の判定結果は、プリンタ15から印刷して出力することもできる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気防食が施される対象物の防食状態を計測する装置であって、低周波励磁信号を発生する信号発生器と、信号発生器からの低周波励磁信号を、対象物の表面に、間隔をあけて印加する2つの接触子と、2つの接触子間の対象物の表面で、低周波励磁信号に基づく磁界を計測する磁気センサと、磁気センサによって計測される磁界の計測結果を表示する表示器とを含むことを特徴とする電気防食状態計測装置。 【請求項2】 前記信号発生器および前記表示器が収納される筺体と、該筺体に一体化され、照合電極を使用する防食電位計測と、防食電流計測とが可能で、計測結果を前記表示器に表示する電位電流計測器とを、さらに含むことを特徴とする請求項1記載の電気防食状態計測装置。 【請求項3】 前記信号発生器および前記表示器が収納される筺体と、該筺体に一体化され、前記計測結果に基づいて絶縁性能の良否を判定する絶縁性能判定手段と、該筺体に一体化され、該計測結果および絶縁性能判定手段の判定結果をプリントアウトする印刷手段とをさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載の防食状態計測装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電気防食が施される地中埋設管などの対象物に対して、防食状態を調査し、良好な防食状態を維持するための情報を収集する電気防食状態計測装置に関する。 【0002】 【従来の技術】地中に埋設される金属、たとえば都市ガスの供給管などは、電気防食が施される。都市ガスを顧客に供給するためには、地中埋設管を建物敷地内に引込む必要がある。都市ガス配管などの地中埋設管では、マグネシウム(Mg)陽極などを用いて防食を行っていることが多く、防食効果は電位測定によって判断することができる。都市ガス供給用の地中埋設管を建物敷地内に引込む部分では、地中埋設管の端部が地上に露出したり、建物の鉄筋などに接触したりする可能性がある。都市ガス供給管が他の金属部分に接触すると、防食電位が充分に得られなくなったり、防食のために使用しているマグネシウムなどの犠牲陽極材料の消耗が激しくなったりする恐れがある。電気防食が施されている対象物が他の金属部分などと接触する部分には、一般に電気絶縁が施され、電気防食への悪影響がないようにしている。しかしながら、時間の経過とともに電気絶縁の性能が低下したり、電気防食の対象物ということを意識しないで他の金属部分を接触させてしまったりする可能性が生じる。このため、都市ガスの供給管などでは、建物敷地内での防食電位や防食電流を定期的に調査し、防食状態が悪いと判断した場合には、その原因となる地中埋設部と屋内配管部との間の絶縁不良箇所の特定を行って、対策を施すようにしている。 【0003】ただし電位から防食状態が不良と判断するときには、その原因調査に熟練した技能が要求される。建物内引込み管の絶縁状態は、管路を支持するフランジ継手などの絶縁箇所や、壁貫通部や屋内配管の架空管支持金具等を介して絶縁不良となるなど、様々なケースがあり得るからである。このため、防食状態の維持管理には、防食電位や防食電流を計測して防食状態が有効であるか否かを判断するための計測器や、不良時の原因調査用の絶縁抵抗計などの計測器を必要としている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】以上で説明したように、鉄筋集合住宅や病院、学校など、鉄筋コンクリート構造物へのガス供給配管設備では、地中埋設金属管を腐食から守るために、屋内配管部と地中埋設部との間を電気的に絶縁化し、効果的な地中埋設管の防食対策を行っている。しかし、建物構造物の改造や、配管系の変更など、状況の変化によって屋内配管部と地中配管部とが電気的に短絡しているケースが生じ得る。このような状況変化によって、地中埋設金属管の防食効果が悪くなっていることを確認し、悪くなった原因箇所を調査して特定し、対策を施すためには、多くの種類の計測器と熟練した技能が要求される。 【0005】本発明の目的は、地中埋設管など、電気防食が施される対象物の防食不良の原因調査を容易に行うことができる電気防食状態計測装置を提供することである。【0006】 【課題を解決するための手段】本発明は、電気防食が施される対象物の防食状態を計測する装置であって、低周波励磁信号を発生する信号発生器と、信号発生器からの低周波励磁信号を、対象物の表面に、間隔をあけて印加する2つの接触子と、2つの接触子間の対象物の表面で、低周波励磁信号に基づく磁界を計測する磁気センサと、磁気センサによって計測される磁界の計測結果を表示する表示器とを含むことを特徴とする電気防食状態計測装置である。 【0007】本発明に従えば、電気防食が施される対象物の防食状態を、信号発生器から発生される低周波励磁信号を対象物の表面に印加して、発生する磁界を磁気センサによって計測して表示する。信号発生器が発生する低周波励磁信号は、2つの接触子によって対象物の表面に間隔をあけて印加される。2つの接触子間に低周波励磁信号に基づく電流が流れれば、磁気センサによって計測される。絶縁箇所を挟んで2つの接触子を対象物の表面に接触させると、絶縁が不良であれば電流が流れ、磁気センサによって低周波励磁信号に基づく磁界の発生を計測することができる。 【0008】また本発明で前記信号発生器および前記表示器が収納される筺体と、該筺体に一体化され、照合電極を使用する防食電位計測と、防食電流計測とが可能で、計測結果を前記表示器に表示する電位電流計測器とを、さらに含むことを特徴とする。 【0009】本発明に従えば、照合電極を使用する防食電位計測と防食電流計測とが可能で、計測結果を表示器に表示する電位電流計測器をさらに含むので、防食電位の計測と防食電流の計測とを行って、対象物の防食状態が良好か否かの判断を容易に行うことができる。電位電流計測器と信号発生器および表示器とは筺体内に一体化されるので、絶縁状態の確認を、多くの場所に移動しながら容易に行うことができる。 【0010】また本発明は、前記信号発生器および前記表示器が収納される筺体と、該筺体に一体化され、前記計測結果に基づいて絶縁性能の良否を判定する絶縁性能判定手段と、該筺体に一体化され、該計測結果および絶縁性能判定手段の判定結果をプリントアウトする印刷手段とをさらに含むことを特徴とする。 【0011】本発明に従えば、筺体には、計測結果に基づいて絶縁性能の良否を判定する絶縁性能判定手段と、計測結果および絶縁性能判定結果をプリントアウトする印刷手段とをさらに含むので、計測結果および判定結果を記録し、調査および判別のミスをなくすことができる。絶縁性能判定手段および印刷手段と信号発生器および表示器とは筺体内に一体化されるので、絶縁状態の確認を、多くの場所に移動しながら容易に行うことができる。 【0012】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態としての電気防食状態計測装置1の概略的な電気的構成を示す。本実施形態の電気防食状態計測装置1は、筺体2と、必要に応じて筺体2に装着することができる磁気センサ3とを含む。磁気センサ3は、先端部分に磁界検出用のコイルを有し、対象物の表面を流れる電流によって発生する磁界を検出可能である。磁気センサとしては、磁気抵抗効果やホール効果などを利用するものも使用可能である。筺体2にはセンサ端子4が備えられ、磁気センサ3を接続することができる。磁気センサ3からセンサ端子4を介して入力される磁界の強さに対応する信号は、信号処理回路5で増幅やデジタル信号への変換などの信号処理が施される。筺体2には外部端子6,7も設けられ、外部端子6,7には2つの接触子8,9をそれぞれ接続することができる。外部端子6,7および接触子8,9は、種々の機能に切換えることができる。 【0013】筺体2内には、マイクロコンピュータなどを含む処理回路10が設けられ、液晶表示装置(LCD)などの表示器11を用いて、種々の情報を表示することができる。筺体2内には、さらに信号発生器12と電位電流計測器13とが設けられ、信号発生器12からの出力と、電位電流計測器13への入力とは、切換回路14を介して、外部端子6,7に接続される。筺体2内には、さらにプリントアウトを行うための印刷手段であるプリンタ15も一体化され、筺体2の表面には複数の操作ボタン16も設けられる。処理回路10は、操作ボタン16に対する入力操作に従って、切換回路14を切換え、外部端子6,7を信号発生器12の出力側に接続したり、電位電流計測器13の入力側に接続したりすることができる。また、表示器11で計測結果などの情報を表示したり、プリンタ15から計測結果などをプリントアウトすることもできる。 【0014】磁気センサ3による計測は、地中埋設管20と屋内配管21との間の絶縁フランジ部22での絶縁性能の良否判定に好適に用いることができる。地中埋設管20の端部にはフランジ20aが設けられ、屋内配管21の端部のフランジ21aと絶縁パッキン23を介して接合される。フランジ20a,21a間の固定は、フランジ20a,21aの周方向に間隔をあけて配置される複数組のボルト24およびナット25によって行われる。ボルト24とナット25の締結部分も、絶縁カバー26および絶縁ワッシャ27によってそれぞれ電気的に絶縁される。なお、図1では、1組のボルト24およびナット25等を示し、他は省略してある。 【0015】このような絶縁フランジ部22は、絶縁パッキン23や絶縁カバー26、絶縁ワッシャ27などの絶縁性能が良好であれば、複数のボルト24は電気的に浮いた状態となる。ボルト24と地中埋設管20または屋内配管21の一方との絶縁状態は、たとえばメガーと呼ばれる電気絶縁抵抗計を用いても計測することができる。ただし、地中埋設管20と屋内配管21との間での絶縁性能が劣化しているときには、絶縁抵抗計では絶縁フランジ部22の絶縁不良による絶縁性能の劣化であるのか、他の部分の絶縁性能の劣化によるかを判別することができない。【0016】図2は、本実施形態の電気防食状態計測装置1で絶縁不良箇所の特定を容易に行うことができる理由を示す。図2(a)は、図1に示すような絶縁フランジ部22の両側に接触子8,9を介して低周波励磁信号を印加している状態を示す。図2(b)は、接触子8,9の接触位置を両端とする区間内で、地中埋設管20または屋内配管21の表面に流れる励磁電流の分布を示す。図2(a)に示すように、接触子8,9の接触位置では励磁電流28が集中し、接触位置から離れると地中埋設管20や屋内配管21の周方向に拡がるので、表面での電流密度は小さくなる。絶縁フランジ部22での絶縁性能が劣化すると、図2(b)に実線で示すように電流値は大きくなり、絶縁性能が良好であれば仮想線で示すように電流値は相対的に小さくなる。絶縁フランジ部22以外の部分で絶縁性能が劣化しているときには、図2(a)に示すように、接触子8,9の接触位置間の区間の外側に流れる電流29が増加する。磁気センサ3は、対象物である地中埋設管20や屋内配管21の表面に流れる電流の強度に従って起電力が発生するコイルを含んでいるので、検出出力に基づいて電流の計測を行うことができる。信号発生器12は、低周波励磁信号として、たとえば40Hzの周波数の信号を発生する。この周波数の信号は、商用交流電源の周波数とは異なっているので、図1の信号処理回路5でノイズ除去などを容易に行うことができる。 【0017】図3は、都市ガスの配管網から顧客の建物内に引込まれる建物内引込み管30に関連して、図1の電気防食状態計測装置1を用いて絶縁判定調査を行う要領を示す。建物内引込み管30は、建物の支持工31を壁貫通部32で貫通して建物内部に導入される。支持工31は、鉄筋コンクリート製であり、内部には鉄筋が埋め込まれ、これらの鉄筋は、対コンクリート電位であり、鉄対地電位に比べ貴な電位となる。建物内引込み管30は、建物内部でも、架空管支持部33によって絶縁状態で支持される。絶縁フランジ部22で電気的に絶縁されてから、屋内配管21に接続される。屋内配管21は、架空管支持部34によって支持される。架空管支持部34は、特に電気的絶縁は施されておらず、このため屋内配管21は支持工31と同様に対コンクリート電位となる。 【0018】図3のAで示すように、建物内引込み管30に対して、壁貫通部32付近の表面と、架空管支持部33とに接触子8,9を接触させ、その間の区間で磁気センサ3によって低周波励磁電流の計測を行うと、架空管支持部33の絶縁性能の良否を判別することができる。絶縁性能が劣化していると、磁気センサ3によってある程度大きな信号の検出を行うことができる。かりに壁貫通部32側で絶縁性能が劣化しているとしても、架空管支持部33での絶縁性能の劣化がなければ、磁気センサ3は充分な大きさの励磁電流を計測することができない。Aに示すような状態で磁気センサ3が励磁電流を検出するときには、架空管支持部33での絶縁性能が劣化していると判定することができる。 【0019】図3のBは、Aに示す架空管支持部33とは別の架空管支持部33と、建物内引込み管30との間の絶縁性能の調査状態を示す。Aに示す架空管支持部33で絶縁性能が劣化し、この部分から支持工31を介してBの部分の架空管支持部33に励磁電流が流れることはあっても、Bの部分の架空管支持部33での絶縁性能が良好であれば、接触子8,9間の建物内引込み管30では、磁気センサ3によって励磁電流を検出することができない。Cに示すように、絶縁フランジ部22の部分の絶縁性能を判定する場合も、絶縁フランジ部22やBの部分の架空管支持部33での電気絶縁が良好であれば、磁気センサ3は励磁電流を検出することはなく、絶縁性能は良好であると判定することができる。 【0020】図3のA,B,Cに示すような位置での絶縁性能の確認を、従来からの電気絶縁抵抗計を用いて行うと、Aの部分の架空管支持部33での絶縁性能の低下によって、A,B,Cのどの位置でも絶縁抵抗値は低くなってしまい、絶縁不良箇所を特定することができなくなる。また、図3では、接触子8,9として単に先端を対象物の表面に接触させるだけの構成を示しているけれども、クリップなどで機械的に対象物の表面に固定したり、磁力や真空吸着、あるいは粘着剤などを用いて対象物の表面に固定することもできる。 【0021】図4は、図3に示す建物内引込み管30について防食状態の調査を行う際の要領を示す。防食状態は、防食電位と防食電流とを計測して調査することができる。防食電位の計測のためには、電位の基準となる照合電極40を地盤41の表面の地面に設置する必要がある。1つの外部端子7を照合電極40に接続し、他の外部端子6に1つの接触子、たとえば8を接続して、接触子8で対象物の表面の防食電位を計測することができる。建物内引込み管30について絶縁不良が生じているときには、表面の防食電位が悪くなり、地中埋設管の防食状態が悪くなっていることが判る。あるいは、磁性陽極として地盤41中に埋設されるMg陽極42から建物内引込み管30に供給される防食電流も増加するので、防食電流の計測値からも防食状態の判定を行うことができる。なお、一般に建物内引込み管30は、地盤41内で、鋳・鋼絶縁継手43を介して、都市ガス配管網を形成する鋳鉄管と接続されている。 【0022】図5は、図3や図4に示すような調査や計測の結果を、プリンタ15で印刷したプリントアウト50の一例を示す。プリントアウト50には、防食電位計測結果51や、防食電流計測結果52など、図4に示すようにして計測される防食性能に関連する計測結果が印字されるとともに、図3に示すように計測される励磁電流に基づく絶縁判定結果53も印刷される。このように計測結果や判定結果がプリントアウト50に印刷されるので、判定のミスをなくし、計測結果の記録も容易に行うことを可能にしている。本実施形態の電気防食状態計測装置1は、必要な機能が筺体2に一体化されあるいは筺体2に装着して、携帯性が良好となるので、都市ガスの配管路などに沿って多くの場所で容易に防食性能の調査や防食不良原因の調査などを行うことができる。 【0023】 【発明の効果】以上のように本発明によれば、対象物で本来絶縁されているべき箇所を挟むように2つの接触子を接触させ、低周波励磁信号を印加し、2つの接触子間で低周波励磁信号によって生じる磁界を磁気センサが計測して計測結果を表示器が表示させることによって、簡易に絶縁性能の良否を判別することができる。 【0024】また本発明によれば、防食電位計測と防食電流計測とを行って、防食状態の確認に必要な機能を、絶縁性能の良否判定のための機能とともに同一の筺体内に一体化しているので、防食状態の確認から、防食不良時の原因調査まで、必要な計測器類を一体化して、原因調査時や対策後の確認調査等の便宜を図ることができる。 【0025】また本発明によれば、計測結果や判定結果のプリントアウト機能を有するので、調査および判別のミスを低減することができる。絶縁性能判別のために必要な構成要素は、筺体に一体化されて容易に携帯することができるので、対象物に沿って種々の場所に移動しながら、絶縁性能の良否の判定を容易に行うことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000284 【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月11日(2000.1.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075557 【弁理士】 【氏名又は名称】西教 圭一郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−194340(P2001−194340A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−2939(P2000−2939) |
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