| 【発明の名称】 |
電気化学的測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】森山 仁
【氏名】加藤 知夫
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| 【要約】 |
【課題】ボイラ等の鋼材の表面の酸化皮膜の防食性能を定量的に評価する。
【解決手段】模擬ボイラの耐圧ケース40に抵抗発熱体48付きの試料極45と、抵抗発熱体43b付きの対極(チューブ)43aと、参照極46とを配置し、試料極45に電圧を印加し皮膜破壊電位を測定する。試料極45の自然電位とこの皮膜破壊電位との差に基づいて皮膜の防食性能を評価する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 給水入口とブロー水出口とを備えた高温高圧水の循環系内に、循環水を加熱するためのヒータを兼ねる対極と、金属よりなる試料極と、該試料極を加熱する手段と、参照極とからなる電気化学的測定手段を設け、所定期間高温高圧水を循環させた後、試料極の自然電位と皮膜破壊電位とを測定し、両者の差から試料極の防食性能を評価することを特徴とする電気化学的測定方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はボイラ缶内など高温高圧水と接する金属部材の酸化皮膜の耐食性を評価する方法として好適な電気化学的測定方法に関する。 【0002】 【従来の技術】ボイラ内の酸化鉄の保護皮膜は、水質性状の不良や熱応力などにより部分的に破壊されると図6に示すように露出鋼面、水、保護皮膜面との間で局部電池が構成され、陽極より鉄が溶出する。 【0003】溶出した鉄イオン(II)(Fe2+)は、ボイラ水のpHが適度に高くとも、溶存酸素が存在すると、酸化されて水酸化鉄(III)となり、図7のように腐食生成物は沈殿物状(サビコブ)となって陽極面上に堆積する。このような状態になると、沈殿物内の水の酸素濃度と陰極面を覆っている水の酸素濃度との間に濃度差が生じるため、酸素濃淡電池が構成され、陽極部である鋼面よりさらに鉄が溶出し、鋼面深く腐食が進行する。 【0004】また、給水中の酸消費量(pH4.8)成分〔旧規格のMアルカリ度〕である炭酸水素塩は、ボイラ内で熱分解して二酸化炭素(CO2)及びNaOHを発生させる。 【0005】 2NaHCO3→Na2CO3+CO2↑+H2ONa2CO3+H2O→2NaOH+CO2↑このNaOH濃度が高くなると、鋼が腐食するようになる。 【0006】Fe+2NaOH→Na2FeO2+H2生成したNa2FeO2は分解し、再び遊離のアルカリを生成する。この繰り返し反応によって腐食が進行していく。 【0007】3Na2FeO2+4H2O→6NaOH+Fe3O4+H23Na2FeO2+3H2O+1/2O2→6NaOH+Fe3O4ボイラ鋼材の腐食状況は、定期的(1回/年)にボイラを停止して開放し、鋼材表面の腐食状況(例えばサビコブ等の酸化物発生状況)を目視観察することが行われている。 【0008】この場合、内部の腐食状況や色調はボイラの水処理効果の判定のための重要な判断基準であるが、目視では表現方法が感覚的であり個人差が大きく、定量的ではない。また、ボイラ運転中には鋼材表面の腐食状況を知ることができないため、腐食が進行していることが開放点検時まで認知できずに、鋼材にサビコブを発生させるなどのトラブルが発生していた。 【0009】そこで、本出願人より、ボイラを停止することなくボイラ鋼材の腐食状況をモニタリング(監視又は推定)することができ、また、個人差を生じさせることなく定量的にこのモニタリングを行うことができる腐食モニタリング方法が特開平9−318962号公報にて提案されている。 【0010】同号公報の腐食モニタリング方法に採用された模擬ボイラでは、模擬ボイラのボイラ水に接触されるように配置された、対極、参照極及び実ボイラ鋼材と同じ材質からなる試料極により該試料極の分極抵抗値を測定し、その値からボイラ缶内の腐食状況をモニタリングするものである。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】特開平9−318962号公報記載の方法では、伝熱面における試料の全面腐食速度を求めていたので、実際に起こる腐食形態である局部腐食に対しては、モニタリングできなかった。 【0012】本発明は、試料表面の酸化皮膜の耐食性を測定することにより、局部腐食を推定することができる方法を提供することを目的とする。 【0013】 【課題を解決するための手段】本発明の電気化学的測定方法は、給水入口とブロー水出口とを備えた高温高圧水の循環系内に、循環水を加熱するためのヒータを兼ねる対極と、金属よりなる試料極と、該試料極を加熱する手段と、参照極とからなる電気化学的測定手段を設け、所定期間高温高圧水を循環させた後、試料極の自然電位と皮膜破壊電位とを測定し、両者の差から試料極の防食性能を評価することを特徴とするものである。 【0014】かかる本発明方法によると、鋼材等の金属部材表面に生じた酸化皮膜の防食性能を皮膜破壊電位と自然電位との差により定量的に評価することができる。なお、皮膜破壊電位と自然電位との差によって皮膜の防食性能を評価するのは、水のpH、DO(溶存酸素)あるいは水と接している時間の経過等によって自然電位が変化するため、皮膜破壊電位から自然電位を差し引いた方がより精度の高い防食性能評価を行うことができるからである。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、実施の形態について説明する。図1はボイラ鋼材の表面に生成した酸化皮膜の防食性能を評価するための模擬ボイラの側面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図である。 【0016】図1において、気水分離用耐圧ケース30に液面計31、温度計32、蒸気取出管33、給水管34、ブロー配管35が接続されている。 【0017】このケース30の側方にSUS316L製の加熱用耐圧ケース40が設置されている。前記ケース30と該ケース40の下部同士及び上部同士が循環用配管41,42によって接続されている。 【0018】図2にも示す通り、抵抗発熱体43bをSUS製のチューブ43a内に挿入してなるヒータ43が該ケース40内に挿入されている。このヒータ43のチューブ43aが対極となっている。 【0019】ケース40内に試料極45と参照極46とが挿入されている。この試料極45の後面には抵抗発熱体48が配置されており、該試料極45がヒータ43のチューブ43aと同一温度(例えば230℃)となるように通電が行われる。 【0020】この試料極45は、円筒状のホルダ49の先端にフッ素樹脂製の絶縁シール材50を介して保持されている。該試料極45の後面に、前記抵抗発熱体48を内蔵した保持体51が押し当てられている。この保持体51は先端面が閉鎖された筒状のものであり、先端の温度を測定するための温度計52を備えている。 【0021】この試料極45等を保持したホルダ49は、ケース40から側外方に延出した円筒状のホルダ保持管53内に水密的に挿入され、試料極45がケース40内の水と接するように配置される。 【0022】参照極46は、圧力平衡型外部照合電極であり、Ag/AgClを酸化ジルコニウム製の塩橋54及びフッ素樹脂製のキャピラリ55を介して試料極45の直近においてケース40内の水と接するように配置したものが用いられている。 【0023】なお、参照極46のケースをアース(符号49)することによりノイズが低減し、測定の再現性、精度が向上する。 【0024】この模擬ボイラによる試料極45の防食性能評価を行うには、チューブ43a及び試料極45の温度が所定の同一温度となるように抵抗発熱体43b,48に通電し、この状態に所定期間保つ。そして、試料極45と参照極46とを用いて試料極45の電位を求め、この値が安定したときの電位を自然電位とする。 【0025】次に、試料極45と対極(チューブ43a)との間に所定の電圧を印加し、この電圧を所定時間毎に少しずつ増大させる。そして、通電電流値が急激に増大する電圧を皮膜破壊電位として求める。 【0026】このようにして求めた皮膜破壊電位と自然電位との差ΔEを演算し、このΔEに基づいて試料極45の皮膜の防食性を判断する。この皮膜破壊電位と自然電位との差ΔEが高いほど、皮膜は防食的であると判定される。 【0027】 【実施例】実施例1,2この図1,2の模擬ボイラによる試料極45の防食性能を次のようにして評価した。 【0028】なお、チューブ43aとしては、313mm×41.5mmφのSUS製のものを用い、ヒータ43の伝熱量は98900Kcal/h・m2とした。試料極45としては、13mmφ×2mmtの軟鋼製の平板を用いた。 【0029】(1) ケース30、40内がボイラ水で満たされるように給水管34から実ボイラに供給するものと同じボイラ用水を導入すると共に、液面計31で検出される気水面がケース30の上部となるようにブロー配管35からブロー水を流出させる。全保有水量は4Lであり、ケース40内の流速は8〜12cm/sec、循環比は40〜60であり、いずれも実機ボイラの値と一致した。 【0030】(2) ヒータ43のチューブ43a及び試料極45の温度が230℃となるようにヒータ43及び試料極45の抵抗発熱体43b,48への通電を行う。 【0031】ケース30、40内の圧力は1.0MPaとした。3日経過後、試料極45の自然電位から10mVずつ60秒間その電圧に保ちながら段階的に印加電圧を増大させた。そして、電流が急激に増大するときの電圧を皮膜破壊電位として求めた。 【0032】pH11.5でDOが6μg/L(実施例1)又は300μg/L(実施例2)のボイラ水を循環させて試料極45の皮膜破壊電位及び自然電位を測定した。その結果を図3に示す。図3では横軸がE(印加電圧)であり、縦軸が電流値である。図3の通り、実施例1ではE=−100mV付近で電流が急激に増大し、実施例2ではE=−300mV付近で電流が急激に増大し、それぞれこの電圧で皮膜が破壊したことが認められた。この結果、実施例1の方が皮膜が破壊されにくいことが認められた。 【0033】実施例3,4上記実施例で用いた模擬ボイラにpH10.0,11.0,11.5及び溶存酸素量が8ppm及び0.02ppmの給水を供給して、40mV/分の電位ステップ法を採用した他は上記と同様に皮膜破壊電位と自然電位を測定した。一部の分極曲線を図4に、Eを図5にそれぞれ示す。なお、図4では、それぞれの曲線は一定間隔で横軸方向にずらしてプロットしてある。 【0034】ボイラJIS(JIS B8223)では、ボイラ水のpHを11.0〜11.8に、又、溶存酸素はできるだけ低く保つよう管理するように記載されている。 【0035】本発明例の上記の図から得られる結果は、このJISの基準によく一致することがわかる。 【0036】実施例4上記実施例で用いた模擬ボイラにpH11.5で溶存酸素量が8.3ppm及び0.02ppmの給水を供給すると共に、上記模擬ボイラに組み込んだ参照極の容量をアースした。アースした場合とアースしない場合とで得られた結果を表1,2に示す。 【0037】 【表1】
【0038】 【表2】
【0039】表1,2よりアースすることにより、分極測定の再現性が向上することがわかる。 【0040】 【発明の効果】本発明によると、鋼材等の表面に生成する酸化皮膜の防食性能を再現性よく評価することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001063 【氏名又は名称】栗田工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月13日(2000.1.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086911 【弁理士】 【氏名又は名称】重野 剛
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| 【公開番号】 |
特開2001−194333(P2001−194333A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−4794(P2000−4794) |
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