| 【発明の名称】 |
基材からの有機物質の蒸散量を求める方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】竹田 菊男
【氏名】望月 あい
【氏名】野中 辰夫
【氏名】大塚 好恭
【氏名】藤本 武利
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| 【要約】 |
【課題】基材からの有機物質の蒸散量を求める方法において、現在確立されたものはなく、その評価方法は様々である。特に蒸散量の測定温度は使用条件とは異なる条件での評価が多い。このため、測定温度以外の蒸散量を求めることが正しく行えないのが現状である。
【解決手段】上記の課題・目的を解決するため、本発明の基材からの有機物質の蒸散量を求める方法は、任意の1点の温度における基材から蒸散する有機物質成分量から関係式、logM=C1/T+C2{式中、logMは基材から蒸散する有機物質成分量の対数、Tは絶対温度で表す温度、C1は求める有機物質の蒸気圧と温度の関係、すなわちlogP=C3/T+C4(式中、logPは有機物質の蒸気圧の対数、Tは絶対温度で表す温度、C3及びC4は定数)の関係式のC3、C2は定数}を用いて、異なる温度における基材から蒸散する有機物質成分量を推定することを可能とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空気または不活性ガスの流通化において任意の1点の温度における基材から蒸散する有機物質成分量を測定し、次いで関係式、logM=C1/T+C2{式中、logMは基材から蒸散する有機物質成分量の対数、Tは絶対温度で表す温度、C1は求める有機物質の蒸気圧と温度の関係、すなわちlogP=C3/T+C4(式中、logPは有機物質の蒸気圧の対数、Tは絶対温度で表す温度、C3及びC4は定数)の関係式のC3、C2は定数}を用いて、異なる温度における基材から蒸散する有機物質成分量を推定する基材からの有機物質の蒸散量を求める方法。 【請求項2】 空気または不活性ガスの流通化において任意の1点の温度における基材から蒸散する有機物質成分量を測定し、次いで関係式、Md=Me×10exp{C1(1/Td−1/Te)}{式中のMdは求める温度(絶対温度)Tdにおける基材から蒸散する有機物質成分量、Meは実測した温度(絶対温度)Teにおける基材から蒸散する有機物質成分量、C1は求める有機物質の蒸気圧と温度の関係、すなわちlogP=C3/T+C4(式中、logPは有機物質の蒸気圧の対数、Tは絶対温度で表す温度、C3及びC4は定数)の関係式のC3}を用いて、異なる温度における基材から蒸散する有機物質成分量を推定する基材からの有機物質の蒸散量を求める方法。 【請求項3】 請求項1において、任意の1点の温度における基材から蒸散する有機物質成分量から、異なる温度における基材から蒸散する有機物質成分量を推定する関係式、logM=C1/T+C2のノモグラムを作成して、該ノモグラムを用いて異なる温度における基材から蒸散する有機物質成分量を推定する基材からの有機物質の蒸散量を求める方法。 【請求項4】 請求項2において、任意の1点の温度における基材から蒸散する有機物質成分量から、異なる温度における基材から蒸散する有機物質成分量を推定する関係式、Md=Me×10exp{C1(1/Td−1/Te)}のノモグラムを作成して、該ノモグラムを用いて異なる温度における基材から蒸散する有機物質成分量を推定する基材からの有機物質の蒸散量を求める方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、建築、製造等で使用する基材からの有機物質の蒸散量の評価に関する。 【0002】 【従来の技術】電子工業分野、医薬工業分野、及び化学工業分野、又はこれらの研究開発においてはその発達とともに、製品、原材料、及び製造装置若しくはそれらの部品は、汚染を可能な限り低減した清浄なものが必要とされている。特に電子工業分野では半導体デバイス、表示デバイス、記憶デバイス等の集積度が増加するに従い、基材から蒸散する有機物質による汚染が半導体、液晶表示デバイスまたはハードディスク等の製造に重大な障害を与えることが明らかになってきており、そのために上記製品の基材、クリーンルームなどの製造場所の建築基材からの有機物質の蒸散量のレベルを正確に評価・測定することが重要になってきている。また、一般の住宅等の建築基材では、基材から発生する揮発性有機物質が人体に有害であるという事実も明らかとなっており、建築基材からの有機物質の蒸散量を正確に評価・測定することが重要になってきている。この有機物質の蒸散量の評価・分析方法としては、ガスクロマトグラフィ、ガスクロマトグラフ質量分析法、イオンクロマトグラフィ等の機器分析法が知られている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、現在では基材からの有機物質の蒸散量の評価方法は確立されたものはなく、使用条件とは異なる条件での評価が多いのが現状である。特に温度項は使用条件と異なった条件での評価が多い。実際に基材が用いられる室温付近では、その蒸散量が比較的少ないためにガスクロマトグラフィ、ガスクロマトグラフ質量分析法、イオンクロマトグラフィ等の高感度な機器分析法を使用しても高感度測定が困難であることが多く、加温して蒸散量を増加させた加速条件での評価が多い。また、極端な温度条件での使用においても、実際の使用条件での評価は困難である。 【0004】そのため本発明は、任意の1点の試験温度における基材からの蒸散量から試験温度と異なる温度での蒸散量を導く方法を提供するものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記の課題・目的を解決するため、本発明では空気または不活性ガスの流通下において任意の1点の温度における基材から蒸散する有機物質量を測定し、次いで、蒸散量と温度との関係式を用いて、任意の1点とは異なる温度における基材から蒸散する有機物質成分量を推定する基材からの有機物質の蒸散量を求めることを可能とした。 【0006】すなわち、本発明の最大の特徴は測定不可能または測定不都合な温度における基材からの蒸散量を、測定可能な任意の1点の温度における蒸散量を測定することにより、測定不可能または測定不都合な温度領域における蒸散量を推測できる点にある。 【0007】本発明の蒸散量と温度との関係式は(1式)のとおりである。 logM = C1/T + C2 (1式) 1式中のlogMは基材から蒸散する有機物質成分量の対数、Tは絶対温度で表す温度、C1は求める有機物質の蒸気圧と温度の関係、すなわちクラウジウス−クラペイロン式logP=C3/T+C4(式中、logPは有機物質の蒸気圧の対数、Tは絶対温度で表す温度、C3及びC4は定数)の関係式のC3、C2は定数である。 【0008】1式において、蒸散量は統一された表現ならば単位は選ばない。蒸散量の表現としては、質量、重量濃度、体積濃度、単位面積あたり蒸散量などがあげられる。蒸散量は単位時間当りの蒸散速度で表すこともできる。この場合の表現としては、単位時間当り質量、単位時間当り重量濃度、単位時間当り体積濃度、単位時間単位面積当り蒸散量などがあげられる。温度は絶対温度(°K)を使用する。また、測定条件は温度項を除いてすべて同条件とする。そのほかの条件としては、基材試料量、蒸散条件、蒸散物質採取時間及び採取流量、又は採取量などがあげられる。 【0009】本発明における基材から蒸散する有機物質量を測定するには、ヘッドスペース法によって実施される。本発明に使用されるヘッドスペース法としては、空気または不活性ガスの入口および出口を有する密閉容器に基材試料を収め、一定時間、清浄な空気または不活性ガスを通気させながら一定温度の下で蒸散する有機物質を直接、または吸着剤もしくは吸収剤に収集したのち測定するダイナミックヘッドスペース法が用いられる。とくに高感度で測定するには、蒸散する有機物質を吸着剤もしくは吸収剤に収集するダイナミックヘッドスペース法を用いることが望ましい。本発明に使用されるヘッドスペース法としては、基材表面から蒸散する有機物質を測定するために設計された空気または不活性ガスの通気用入口と出口を有するお椀型の密閉容器を用いても良い。本発明における蒸散した有機物質の測定には、ガスクロマトグラフィ、ガスクロマトグラフ質量分析法、イオンクロマトグラフィを用いる。 【0010】本発明に用いる空気または不活性ガスは蒸散する有機物質をガスクロマトグラフィ、ガスクロマトグラフ質量分析法またはイオンクロマトグラフィにて測定するにあたり、該測定を妨害しない程度に精製された空気または不活性ガスを用いる。精製方法は、活性炭による吸着精製、水洗浄による精製などがあげられるが、特に制限されるものではない。空気または不活性ガスの流通量は、あまりに少ないと蒸散する有機物質を測定系に導くのが難しくなり、あまりに多いと経済的に実用的では無くなるので、測定に先だって、最適条件を決定しておく。流通量としては、1分間当り試料を収める密閉容器の容積の0.1倍〜10倍が適当であるが、これに限定されるものではない。 【0011】本発明は、基材から発生する有機物質量は、単一成分でも、2種以上の有機物質を求めることも可能である。 【0012】本発明は、1式を変形した関係式を用いることもできる。一例として関係式(2式)を用いることもできる。 Md=Me×10exp{C1(1/Td−1/Te)} (2式) 2式中のMdは求めたい温度(絶対温度)Tdにおける基材から蒸散する有機物質成分量、Meは実測した温度(絶対温度)Teにおける基材から蒸散する有機物質成分量、C1は求める有機物質の蒸気圧と温度の関係、すなわちクラウジウス−クラペイロン式logP=C3/T+C4(式中、logPは有機物質の蒸気圧の対数、Tは絶対温度で表す温度、C3及びC4は定数)の関係式のC3である。 【0013】さらに本発明は、1式または2式の関係をノモグラムとして使用して、任意の1点の温度における基材から蒸散する有機物質成分量から、異なる温度における基材から蒸散する有機物質成分量を求めることもできる。 【0014】さらに総有機物質の蒸散量を求める場合では、本発明の1式または2式のC1の値を、蒸散する有機物質の代表値を用いて総有機物質の蒸散量を推定することも可能である。 【0015】本発明の重要な特徴は、基材から連続的に蒸散するという動的現象の有機物質蒸散量を求めるにあたり、静的な平衡関係である蒸気圧と温度の関係の物理量が利用できることを見出した点にある。 【0016】次に、実施例により本発明を説明するが、実施例によって本発明方法が制限されるものではない。 【0017】 【実施例1】基材試料として大きさ20×20×3mmのポリプロピレン試料をガラス製容器(内容積150mL)内に収めて、100℃の一定温度下、不活性ガスとして窒素通気を行い、1時間当りのクロロベンゼンの蒸散量を測定した。この際、測定に先だって、窒素流量とクロロベンゼンの蒸散量との関係を求めたところ、窒素流量が50〜500mL/minで蒸散量が凡そ一定値であったので、窒素流量を200mL/minと決定して測定した。測定の結果、クロロベンゼンの蒸散量は76mg/m2・hであった。次に得られた測定値および関係式(3式) logM = C1/T + C2 (3式) を用いて、120、80および60℃におけるクロルベンゼンの蒸散量を計算した。ただし、3式中のMはポリプロピレン試料からのクロルベンゼン蒸散量、Tは絶対温度で表す温度、C1はクロロベンゼンの蒸気圧と温度の関係、すなわちクラウジウス−クラペイロン式logP=C3/T+C4(式中、logPはクロロベンゼンの蒸気圧の対数、Tは絶対温度で表す温度、C3及びC4は定数)より求めたC3の値、すなわち−2.0×103である。その結果、120、80および60℃におけるクロルベンゼンの蒸散量は、それぞれ150mg/m2・h、37mg/m2・hおよび16mg/m2・hであった。一方、120、80および60℃における蒸散量の実測値は、それぞれ143mg/m2・h、27mg/m2・hおよび15mg/m2・hであった。これより本発明における計算値は実測値と良く一致した。 【0018】 【実施例2】実施例1と同様の方法で、大きさ20×20×3mmのポリプロピレン試料をガラス製容器内に収めて、100℃の一定温度下、不活性ガスとして窒素通気を行い、1時間当りのノニルアルデヒドの蒸散量を測定した。その結果、ノニルアルデヒドの蒸散量は24mg/m2・hであった。次に得られた測定値および関係式(4式) logM = C1/T + C2 (4式) を用いて、120、80および60℃におけるノニルアルデヒドの蒸散量を計算した。ただし、4式中のMはポリプロピレン試料からのノニルアルデヒド蒸散量、Tは絶対温度で表す温度、C1はノニルアルデヒドの蒸気圧と温度の関係、すなわちクラウジウス−クラペイロン式logP=C3/T+C4(式中、logPはノニルアルデヒドの蒸気圧の対数、Tは絶対温度で表す温度、C3及びC4は定数)より求めたC3の値、すなわち−2.6×103である。その結果、120、80および60℃におけるノニルアルデヒドの蒸散量は、それぞれ53mg/m2・h、10mg/m2・hおよび3.7mg/m2・hであった。一方、120、80および60℃における蒸散量の実測値は、それぞれ37mg/m2・h、11mg/m2・hおよび4.3mg/m2・hであり、本発明における計算値と実測値は良く一致した。 【0019】 【実施例3】実施例1と同様の方法で、大きさ20×20×3mmのポリプロピレン試料をガラス製容器内に収めて、100℃の一定温度下、清浄空気で通気を行い、1時間当りの2,6−ジ−(ターシャリーブチル)−4−ヒドロキシトルエンの蒸散量を測定した。その結果、2,6−ジ−(ターシャリーブチル)−4−ヒドロキシトルエンの蒸散量は0.26mg/m2・hであった。一方、クラウジウス−クラペイロン式logP=C3/T+C4(式中、logPは2,6−ジ−(ターシャリーブチル)−4−ヒドロキシトルエンの蒸気圧の対数、Tは絶対温度で表す温度、C3及びC4は定数)より求めたC3の値は−2.7×103である。このC3の値をC1の値とした。次に、任意の1点の温度における基材から蒸散する有機物質成分量から、異なる温度における基材から蒸散する有機物質成分量を求めるためのノモグラムを作成した。図1に作成したノモグラムを示す。図1中のC3はクラウジウス−クラペイロン式logP=C3/T+C4(式中、logPは有機物質の蒸気圧の対数、Tは絶対温度で表す温度、C3及びC4は定数)より求めた有機物質毎のC3の値(C1の値と同じ)である。2,6−ジ−(ターシャリーブチル)−4−ヒドロキシトルエンのC3の値は−2.7×103であるのでC3値−2.7×103の横線Aを選択し、試験温度100℃との交点Qを求めた。この交点Qを通る縦線Bを引いて、2,6−ジ−(ターシャリーブチル)−4−ヒドロキシトルエンの蒸散量0.26mg/m2・hに対応する横線Cとの交点Rを求めた。次に交点Rを通る斜線Dを得た。次に80℃の蒸散量を求めるために、横線Aにおける80℃の温度の点(交点Sとする)を通る縦線Eと斜線Dとの交点(交点Tとする)を求めた。この交点Tを通る横線Fを引き、蒸散量の値を読み取ったところ0.09mg/m2・hであった。この0.09mg/m2・hが80℃での蒸散量に相当する。 一方、80℃における蒸散量の実測値は0.12mg/m2・hであったことから、本発明におけるノモグラムより求めた推定値と実測値は良く一致するのがわかった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390000686 【氏名又は名称】株式会社住化分析センター
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| 【出願日】 |
平成12年1月14日(2000.1.14) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−194326(P2001−194326A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月19日(2001.7.19) |
| 【出願番号】 |
特願2000−6965(P2000−6965) |
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