トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験




【発明の名称】 表面状態測定装置及び方法
【発明者】 【氏名】吉田 春雄

【氏名】遠藤 礼暁

【要約】 【課題】工程全体のスループットに悪影響を与えることなく、半導体ウェハの周縁の傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射しうる表面状態測定装置及び方法を提供する。

【解決手段】被測定基板12の内部に赤外線を導入する入射光学系16と、被測定基板の内部を多重反射した後に出射される赤外線を検出する検出光学系30と、検出光学系により検出された赤外線に基づき、被測定基板表面の状態を測定する表面状態測定手段38と、被測定基板の位置を光学的に検出する位置検出手段17と、位置検出手段により検出された被測定基板の位置に応じて、被測定基板に赤外線が入射される位置及び角度を制御する制御手段28とを有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被測定基板の内部に赤外線を導入する入射光学系と、前記被測定基板の内部を多重反射した後に出射される赤外線を検出する検出光学系と、前記検出光学系により検出された赤外線に基づき、前記被測定基板表面の状態を測定する表面状態測定手段と、前記被測定基板の位置を光学的に検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された前記被測定基板の位置に応じて、前記被測定基板に赤外線が入射される位置及び角度を制御する制御手段とを有することを特徴とする表面状態測定装置。
【請求項2】 請求項1記載の表面状態測定装置において、前記制御手段は、前記入射光学系を制御することにより、前記被測定基板に赤外線が入射される位置及び角度を制御することを特徴とする表面状態測定装置。
【請求項3】 請求項1記載の表面状態測定装置において、前記制御手段は、前記基板搭載台を制御して前記被測定基板の位置を調整することにより、前記被測定基板に赤外線が入射される位置及び角度を制御することを特徴とする表面状態測定装置。
【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表面状態測定装置において、前記位置検出手段は、前記被測定基板の周縁部の上方に設けられ、前記被測定基板の周縁部に第1の光を入射する第1の光源と、前記被測定基板の周縁部を挟んで前記第1の光源に対向して設けられ、前記第1の光を受光する第1の光検出器とを有し、前記第1の光検出器により検出された光の位置に基づいて前記被測定基板の水平方向の位置を検出することを特徴とする表面状態測定装置。
【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表面状態測定装置において、前記位置検出手段は、前記被測定基板の前記周縁部に第2の光を入射する第2の光源と、前記周縁部で反射された前記第2の光を受光する第2の光検出器とを有し、前記第2の光検出器により検出された光の位置に基づいて前記被測定基板の垂直方向の位置を検出することを特徴とする表面状態測定装置。
【請求項6】 請求項4又は5記載の表面状態測定装置において、前記第1の光源及び/又は前記第2の光源は、前記被測定基板に赤外線が入射される位置を含む領域に前記第1の光及び/又は前記第2の光を走査することを特徴とする表面状態測定装置。
【請求項7】 請求項4又は5記載の表面状態測定装置において、前記第1の光源及び/又は前記第2の光源は、前記被測定基板に赤外線が入射される位置の近傍に前記第1の光及び/又は前記第2の光を周回するように走査することを特徴とする表面状態測定装置。
【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の表面状態測定装置において、前記位置検出手段は、前記被測定基板の周縁部に沿った複数の箇所で前記被測定基板の位置を光学的に検出することを特徴とする表面状態測定装置。
【請求項9】 請求項4乃至8のいずれか1項に記載の表面状態測定装置において、前記第1の光及び/又は前記第2の光は、赤外線と異なる波長の光であることを特徴とする表面状態測定装置。
【請求項10】 請求項4乃至8のいずれか1項に記載の表面状態測定装置において、前記第1の光検出器及び/又は前記第2の光検出器は、前記被測定基板の位置を1次元的又は2次元的に検出することを特徴とする表面状態測定装置。
【請求項11】 被測定基板の内部に赤外線を導入し、前記被測定基板の内部で多重反射した後に出射される赤外線を検出し、検出した赤外線を分析することにより前記被測定基板の表面状態を測定する表面状態測定方法であって、前記被測定基板の位置を光学的に検出し、検出された前記被測定基板の位置に応じて、前記被測定基板に赤外線が入射される位置及び角度を制御することを特徴とする表面状態測定方法。
【請求項12】 請求項11記載の表面状態測定方法において、前記被測定基板を回転しつつ複数回の測定を繰り返し、前記被測定基板の略全面にわたって前記被測定基板の表面を測定するに際し、各測定に先立って前記被測定基板の位置を光学的に検出し、検出された前記被測定基板の位置に応じて前記被測定基板に入射される赤外線の位置及び角度を制御することを特徴とする表面状態測定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線分光法により半導体基板の表面状態を製造現場においてその場測定(in-situ monitoring)する表面状態測定装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体ウェハの表面状態は、半導体装置の製造現場における様々な要請により的確に把握することが望まれている。
【0003】例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などのメモリデバイスやロジックデバイスなどの半導体集積回路の分野では、素子の集積度が向上するにつれて製造時のゲート絶縁膜の膜厚が薄くなり、MOS(Metal Oxide Semiconductor)FET(Field Effect Transistor)の動作中の電界(約4×106V/cm)を絶縁する機能のマージンが少ない設計となっている。ここで、ゲート絶縁膜は一般に熱酸化法により形成されるが、熱酸化法によりゲート絶縁膜を形成する際に金属汚染、化学汚染、有機汚染などの表面汚染が存在すると、形成されるゲート絶縁膜の絶縁破壊を誘発する虞がある。有機汚染についてはゲート絶縁膜の形成後に付着した場合にも絶縁性の劣化をもたらすことが知られている。したがって、所望値の絶縁耐圧を有するゲート絶縁膜を形成するためには、半導体ウェハの表面状態を管理することがきわめて重要となる。
【0004】また、素子構造を形成するためのパターニング工程には、プラズマエッチング技術が広く用いられている。プラズマエッチングの過程は、気相から輸送されるラジカルなイオンなどのインフラックスと、半導体ウェハ表面からのアウトフラックスの吸着、反応及び脱離過程との間のダイナミックなバランスによって決定されている。したがって、プラズマエッチングプロセスにおいて、半導体ウェハ表面における吸着状態、化学結合状態、反応層の構造や厚みなどを知ることは最適なプラズマエッチング条件の設定やプラズマエッチングの終点検出のための設定を行ううえで有効である。
【0005】また、近年の半導体装置では素子の微細化とデバイスの三次元化が進行しており、微細領域或いは急峻な段差部への洗浄溶液の侵入や置換が困難となっているため、微細化が更に進む今後の展望としてドライ洗浄技術が注目されている。例えば、半導体ウェハ上の有機物に起因する付着物の除去にはオゾン或いは紫外線励起した酸素との反応が有効である。酸素分子は242nm以下の波長の光で原子状態酸素に分解する。原子状態酸素によって付着有機物は酸化され、蒸気圧の高いH2O、O2、CO、CO2などに分解される。また、紫外線照射により、C−C、C−H、C−Oなどの有機物の結合を解離することができる。したがって、半導体ウェハ表面の状態を知ることは、ドライ洗浄を行う際の最適な照射光の光量、波長、酸素量などのパラメータを制御するうえでもきわめて重要である。
【0006】また、半導体ウェハの表面に形成される自然酸化膜は、膜厚等の制御が不可能なためデバイスに利用することはできない。このため、デバイスを構築する際には、この自然酸化膜を除去した後、半導体ウェハの表面を安定化するために表面のシリコンの結合手を水素により終端しておくことが好ましい。これは、500℃程度の比較的低温で水素を脱離できるためと、それに続くプロセスへの影響が比較的少ないためである。UVオゾン洗浄と弗酸エッチングされた半導体ウェハ表面のシリコン原子はほとんどが水素により終端され、Si=H2、Si−Hが形成される。したがって、半導体ウェハ表面の水素終端の状態や水素終端除去の温度依存性などを測定できれば、半導体プロセスのスタート時における半導体ウェハ表面の状態を適切に保つことができ、より高品質、高歩留りが期待できる。
【0007】このように、半導体装置の製造プロセスにおいては、半導体ウェハの表面状態を知ることはきわめて重要であり、従来においても種々の測定方法が提案され、一部で実用化されている。
【0008】赤外線を用いた半導体ウェハ内部の多重反射による表面状態を測定する技術としては、例えば米国のパーキン・エルマー(Perkin-Elmer)社などから専用のFT−IR(Fourier Transform - Infrared Radiation spectroscopy、赤外フーリエ分光)装置として販売されている。また、その応用範囲を広げるために、例えば英国のグラスビー(Graseby Specac Limited)社などから多様なアクセサリーが販売されている。
【0009】このような装置を用いた従来の表面状態測定方法は、例えば図12(a)に示すように被測定基板102を例えば40mm×10mmの短冊状に切断し、赤外光源104から発せられた赤外線を被測定基板102を透過させて基板表面の状態を測定し、或いは、例えば図12(b)に示すように端部をテーパ状に加工した被測定基板102の端面から赤外線を入射して基板内部で多重反射させることにより基板の表面状態を測定し、或いは、例えば図12(c)に示すように被測定基板102の上部に配されたプリズム106を介して基板内部に赤外線を入射して基板内部で多重反射させることにより基板の表面状態を測定するものであった。
【0010】基板内部に赤外線を入射して内部多重反射させることにより基板の表面状態を測定する基本原理は、基板表面で光線が反射するときに滲み出る光(エヴァネッセント光)の周波数成分が基板表面の有機汚染物質の分子振動周波数と一致していると共鳴吸収されるので、そのスペクトルを測定することにより有機汚染物質の種類と量が特定できることによる。また、内部多重反射しながら基板表面の有機汚染物質の情報を煮詰めていく(信号対雑音比(S/N比)を向上させる)作用もある。
【0011】しかしながら、これら測定方法は、被測定対象基板を短冊状に切断するか、基板に追加工するか、或いは、基板上部にプリズムを配置する必要があり、半導体装置の製造現場におけるその場測定に使用することはできなかった。
【0012】また、半導体ウェハの有機汚染を検出する測定方法としては、加熱脱離GC/MS(Gas Chromatography/Mass Spectroscopy)、APIMS(Atmospheric Pressure Ionization Mass Spectroscopy)、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)などが知られている。しかしながら、これらの測定方法は、今後展開が予定される直径300mmを超えるような大型ウェハを直接観察することができないこと、真空雰囲気が必要なこと、スループットが悪いこと、などの理由により半導体装置の製造現場におけるその場測定に使用するには適していなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記従来の表面状態測定方法は、その測定方法が破壊的な検査であるため、半導体装置の製造現場におけるその場測定には使用することができず、或いは、大型の半導体ウェハを測定するには不向きであり、半導体装置の製造現場におけるその場観察や大型ウェハの測定が可能な表面状態測定装置及び方法が望まれていた。
【0014】かかる観点から、本願発明者らは、ウェハ表面に付着した有機汚染物質を高感度で検出するために、ウェハ多重内部反射フーリエ赤外分光法を用いた有機汚染検出法をすでに提案している(例えば、特願平11−95853号明細書を参照)。ウェハの一端に赤外光を特定の入射角度で入射すると、赤外光はウェハ内部を両表面で全反射を繰り返しながら伝搬し、その際ウェハ表面に赤外光が滲み出し(エバネッセント光)、表面に付着した有機汚染物質により赤外光スペクトルの一部が吸収される。ウェハの多端から放出されたこの伝搬光をFT−IRによって分光分析することによってウェハ表面に付着した有機汚染物質の検出、同定が可能である。この検査法は、GC/MS法などに比べて同等の感度をもつとともに、測定にリアルタイム性があり、且つ、簡便で経済的である。
【0015】特願平11−95853号明細書に記載の表面状態測定方法では、ウェハのオフセット形状を利用し、ウェハ周縁に設けられた傾斜部よりウェハ内部に赤外線を導入する構成を採用するので、半導体ウェハ自体を加工する必要がなく、半導体装置の製造プロセスにおけるその場測定が可能である。
【0016】ところで、特願平11−95853号明細書に記載の表面状態測定方法では、半導体ウェハの傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射することが重要である。傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射しないと、ウェハ内部での全反射の回数がばらつき、ひいては測定感度がばらつくからである。
【0017】しかしながら、半導体ウェハの周縁の傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射することは、事実上困難であった。例えば、半導体ウェハの傾斜部のうちの一定の傾きの領域を、作業者が測定器を用いて検出し、その領域に赤外線を導入することも考えられるが、これは工程全体のスループットに悪影響を与えるため実用化には適さない。
【0018】また、半導体ウェハの略全面にわたる有機汚染、化学汚染を検出するためには、半導体ウェハを回転させる必要があるが、回転軸にわずかな偏りがあるだけで赤外光に対するウェハ周縁の位置がずれてしまう。半導体ウェハの周縁の位置がずれた場合には、半導体ウェハの位置合わせを再度行うことが必要であるが、工程全体のスループットを更に悪化させる要因となる。
【0019】そこで、工程全体のスループットに悪影響を与えることなく、半導体ウェハの傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射する技術が待望されていた。
【0020】本発明の目的は、工程全体のスループットに悪影響を与えることなく、半導体ウェハの周縁の傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射しうる表面状態測定装置及び方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】即ち、上記目的は、被測定基板の内部に赤外線を導入する入射光学系と、前記被測定基板の内部を多重反射した後に出射される赤外線を検出する検出光学系と、前記検出光学系により検出された赤外線に基づき、前記被測定基板表面の状態を測定する表面状態測定手段と、前記被測定基板の位置を光学的に検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された前記被測定基板の位置に応じて、前記被測定基板に赤外線が入射される位置及び角度を制御する制御手段とを有することを特徴とする表面状態測定装置により達成される。これにより、被測定基板の位置ずれを検出し、被測定基板の位置ずれに応じて赤外光源の位置や角度を迅速に調整することができるので、工程全体のスループットに悪影響を与えることなく、被測定基板の傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射でき、内部反射角を適切な角度に制御することができる。従って、被測定基板内における全反射の回数を適切に制御することができ、ひいては被測定基板の表面状態を高い精度で測定することができる。
【0022】また、上記の表面状態測定装置において、前記制御手段は、前記入射光学系を制御することにより、前記被測定基板に赤外線が入射される位置及び角度を制御することが望ましい。
【0023】また、上記の表面状態測定装置において、前記制御手段は、前記基板搭載台を制御して前記被測定基板の位置を調整することにより、前記被測定基板に赤外線が入射される位置及び角度を制御することが望ましい。
【0024】また、上記の表面状態測定装置において、前記位置検出手段は、前記被測定基板の周縁部の上方に設けられ、前記被測定基板の周縁部に第1の光を入射する第1の光源と、前記被測定基板の周縁部を挟んで前記第1の光源に対向して設けられ、前記第1の光を受光する第1の光検出器とを有し、前記第1の光検出器により検出された光の位置に基づいて前記被測定基板の水平方向の位置を検出することが望ましい。
【0025】また、上記の表面状態測定装置において、前記位置検出手段は、前記被測定基板の前記周縁部に第2の光を入射する第2の光源と、前記周縁部で反射された前記第2の光を受光する第2の光検出器とを有し、前記第2の光検出器により検出された光の位置に基づいて前記被測定基板の垂直方向の位置を検出することが望ましい。
【0026】また、上記の表面状態測定装置において、前記第1の光源及び/又は前記第2の光源は、前記被測定基板に赤外線が入射される位置を含む領域に前記第1の光及び/又は前記第2の光を走査することが望ましい。
【0027】また、上記の表面状態測定装置において、前記第1の光源及び/又は前記第2の光源は、前記被測定基板に赤外線が入射される位置の近傍に前記第1の光及び/又は前記第2の光を周回するように走査することが望ましい。
【0028】また、上記の表面状態測定装置において、前記位置検出手段は、前記被測定基板の周縁部に沿った複数の箇所で前記被測定基板の位置を光学的に検出することが望ましい。
【0029】また、上記の表面状態測定装置において、前記第1の光及び/又は前記第2の光は、赤外線と異なる波長の光であることが望ましい。
【0030】また、上記の表面状態測定装置において、前記第1の光検出器及び/又は前記第2の光検出器は、前記被測定基板の位置を1次元的又は2次元的に検出することが望ましい。
【0031】また、上記目的は、被測定基板の内部に赤外線を導入し、前記被測定基板の内部で多重反射した後に出射される赤外線を検出し、検出した赤外線を分析することにより前記被測定基板の表面状態を測定する表面状態測定方法であって、前記被測定基板の位置を光学的に検出し、検出された前記被測定基板の位置に応じて、前記被測定基板に赤外線が入射される位置及び角度を制御することを特徴とする表面状態測定方法により達成される。これにより、被測定基板の位置ずれを検出し、被測定基板の位置ずれに応じて赤外光源の位置や角度を迅速に調整することができるので、工程全体のスループットに悪影響を与えることなく、被測定基板の傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射でき、内部反射角を適切な角度に制御することができる。従って、被測定基板内における全反射の回数を適切に制御することができ、ひいては被測定基板の表面状態を高い精度で測定することができる。
【0032】また、上記の表面状態測定方法において、前記被測定基板を回転しつつ複数回の測定を繰り返し、前記被測定基板の略全面にわたって前記被測定基板の表面を測定するに際し、各測定に先立って前記被測定基板の位置を光学的に検出し、検出された前記被測定基板の位置に応じて前記被測定基板に入射される赤外線の位置及び角度を制御することが望ましい。
【0033】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]本発明の第1実施形態による表面状態測定装置及び方法について図1を用いて説明する。図1は、本実施形態による表面状態測定装置を示す概略図である。
【0034】(表面状態測定装置)まず、本実施形態による表面状態測定装置の全体構成について図1を用いて説明する。
【0035】本実施形態による表面状態測定装置は、図1に示すように、半導体ウェハ12を載置する基板搭載台10と、赤外線を発する赤外光源16と、半導体ウェハ12の位置ずれを検出する位置検出手段17と、赤外光源16の位置や角度を制御する赤外光源制御機構28と、半導体ウェハ12内部を多重反射した後に被測定基板12から出射される赤外線を集光して赤外線検出器38に入射するための赤外光集光手段30と、赤外線集光手段30から発せられた赤外線を検出する赤外検出器38とを有する。
【0036】位置検出手段17は、2つのレーザ光源18、22と、2つのCCD(ChargeCoupled Device)ラインセンサ20、24と、演算部26とにより構成されている。位置検出手段17は、赤外光源制御手段28に接続されており、赤外光源制御機構28は、位置検出手段17により検出された半導体ウェハ12の位置ずれに応じて赤外光源16の位置や角度を調整するようになっている。
【0037】赤外集光手段30により集光された赤外線は、分光器36を介して赤外線検出器38に入力されるようになっている。赤外線検出器38は、制御・解析用コンピュータ40に接続されており、赤外線検出器38により得られた検出信号を基にして半導体ウェハ12の表面状態を解析できるようになっている。制御・解析用コンピュータ40には表示装置42が接続されており、制御・解析用コンピュータ40により解析された検出信号解析結果やデータベース検索結果を表示するようになっている。
【0038】本実施形態による表面状態測定装置は、半導体ウェハ12の位置ずれを検出する位置検出手段17を設け、位置ずれ検出手段17により検出された位置ずれに応じて、赤外光源16の位置や角度を調整することに主な特徴がある。本実施形態によれば、半導体ウェハ12の位置ずれに応じて迅速に赤外光源16の位置や角度を調整することができるので、工程全体のスループットに悪影響を与えることなく、半導体ウェハ12の傾斜部14の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射することができる。また、半導体ウェハ12を回転させることにより半導体ウェハ12の周縁の位置がずれた場合であっても、半導体ウェハ12の位置ずれに応じて迅速に赤外光源16の位置や角度を再調整することができる。従って、工程全体のスループットに悪影響を与えることなく、半導体ウェハの略全面にわたる有機汚染、化学汚染を測定することができる。
【0039】以下、本実施形態による表面状態測定装置の各構成部分について個々に詳述する。なお、測定系の詳細に関しては、同一出願人による特願平11−95853号明細書を参照されたい。同明細書に記載される種々の測定系を本実施形態による表面状態測定装置及び方法に適用することができる。
【0040】(a) 基板搭載台10基板搭載台10は、被測定対象である半導体ウェハ12を搭載することができるものである。
【0041】基板搭載台10には回転機構が付与されており、半導体ウェハ12を回転することができる。半導体ウェハ12を回転させることにより、半導体ウェハ12の略全面にわたる有機汚染、化学汚染の検出を行うことができる。
【0042】(b) 赤外光源16赤外光源16は、基板搭載台10の周辺部に設けられており、半導体ウェハ12の周縁の傾斜部14に向かって、略平行な赤外線を出射する。
【0043】赤外光源16から出射される赤外線は、半導体ウェハ12の表面に付着した有機汚染物質等を検出するプロービング光として機能する。
【0044】赤外光源16の位置や角度は、赤外光源制御機構28により調整されるようになっている。これにより、半導体ウェハ12の周縁の傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線が入射することとなる。
【0045】(c) 赤外線の入射位置及び入射角半導体ウェハ12の周縁の傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射することの意義を以下に詳述する。
【0046】半導体ウェハの端面形状は、国際的な半導体関連業界団体SEMI(Semiconductor Equipment and Material International)において定められており、2001年頃から導入される予定の300mm半導体ウェハについてもその規格が暫定的に定められている。
【0047】SEMI標準規格により定められた直径300mmの半導体ウェハは、図2に示すようなものである。即ち、300mm半導体ウェハ12は、直径が300mmで厚さが775μmの円形に形成されており、一対の表面と外周面との境界部分が面取りされている。そして、面取りされた半導体ウェハ12の傾斜部14の加工形状は、図3のようになっている。なお、図中ハッチングを付していない領域が加工形状の許容範囲である。
【0048】このようなSEMI標準規格の300mm半導体ウェハは、最終的な加工形状で両面ともに鏡面研磨されており、両面の鏡面仕上げが必要とされる赤外線内部多重反射を用いる分析法にそのまま使用することができる。
【0049】そして、このような半導体ウェハの傾斜部14に赤外線を入射すると、赤外線は以下のようにして半導体ウェハの内部で多重反射する。
【0050】即ち、図4に示すように、半導体ウェハ12の水平面に対する傾斜部14の傾斜角をδ、半導体ウェハ12の水平面に対する赤外線の入射角をθ、傾斜面の法線に対する赤外線の入射角をθ1とすると、θ1は、θ1=θ−(90°−δ)
で表される。
【0051】そして、傾斜部14に赤外線を入射すると、空気とシリコンとの屈折率の相違により、傾斜部14の表面で赤外線が屈折する。ここで、半導体ウェハ12内に入射した赤外線の屈折角をθ2とすると、スネルの法則により、θ2=sin-1((nair/nSi)sinθ1
で表される。なお、空気の屈折率はnair=1、シリコンの屈折率はnSi=3.42である。
【0052】そして、半導体ウェハ12内に入射した赤外線は、半導体ウェハ12内の内部で反射する。ここで、半導体ウェハ12の水平面の法線に対する内部反射角をθ3とすると、θ3=δ−θ2で表される。
【0053】図3に示すように、実際の半導体ウェハ12の傾斜部14は平面ではないため、赤外線の入射位置によって傾斜角δが異なる。従って、傾斜角δは一意的には定まらない。図5は、傾斜角δを変化させた場合の、内部反射角θ3と入射角θとの関係を示すグラフである。
【0054】半導体ウェハ12内に入射した赤外線が、半導体ウェハ12内で内部反射を繰り返して反対側の端面から出射するためには、内部反射角θ3が全反射臨界角θCより大きいことが必要である。半導体ウェハ12では、内部反射が多数回繰り返されるため、全反射以外の反射光は強度が無視できるほど減衰するからである。
【0055】なお、全反射臨界角θCは、θC=sin-1(1/nsi)=17°である。
【0056】図5で粗いハッチングが付されている領域は、内部反射角θ3が全反射臨界角θCより大きい領域である。図5から分かるように、傾斜角δが33°以上の場合には、入射角θがどのように変化しても、内部反射角θ3は全反射条件を満たす。
【0057】また、図5で細かいハッチングが付されている領域は、内部反射角θ3が90°より大きくなる領域である。この場合には、赤外線の最初の反射は、半導体ウェハ12の内側ではなく、外側で起こる。
【0058】また、図5から分かるように、赤外線を多重内部反射させるためには、入射角θを147°〜−90°の範囲内にすることが必要である。
【0059】半導体ウェハ12に入射した赤外線の内部反射回数Nは、内部反射角をθ3、半導体ウェハ12の厚さをd、半導体ウェハ12の直径をφとすると、N=φ/d×tanθ3で表される。
【0060】上述したSEMI規格の300mm半導体ウェハでは、直径φが300mm、厚さdが775μmであるから、内部反射回数Nは図6に示すようになる。図6は、内部反射角θ3と内部反射回数Nとの関係を示すグラフである。
【0061】図6に示すように、内部反射角θ3が、シリコン−空気の全反射臨界角θC=17°のとき、内部反射回数Nは最大の1266回となり、内部反射角θ3が大きくなるに伴って内部反射回数Nは減少する。
【0062】半導体ウェハ12の表面に付着した有機汚染物質による赤外線の吸収の大きさは、半導体ウェハ12内における内部反射回数Nに比例する。このため、半導体ウェハ12の位置ずれや半導体ウェハ12の斜面部14の形状の相違により内部反射回数Nが変化すると、有機汚染物質等の付着量が等しい場合であっても赤外光の吸収の大きさが変化する。このため、半導体ウェハ12内における内部変化回数Nの変化は、測定誤差を生じる要因となる。
【0063】このように、半導体ウェハ12内における赤外線の内部反射回数Nは、内部反射角θ3によって決まり、また、内部反射角θ3の大きさは、傾斜部14の傾斜角δと赤外線の入射角θによって決まる。
【0064】このため、精密な定量分析を行うためには、半導体ウェハ12の傾斜部14の形状が異なる場合であっても、一定の傾斜角δの領域に、一定の入射角θで赤外線を入射し、これにより内部反射角θ3を一定に保つ必要がある。
【0065】以上のことは、定量分析の測定誤差を一定範囲内に抑えるためには、一定量の汚染に対して赤外光の吸収の大きさを一定に保つ必要があり、そのためには内部反射回数Nのばらつきを一定範囲内に抑える必要があることを示している。
【0066】ところで、内部反射角θ3や内部反射回数Nのばらつきによる赤外線の吸収量の変化は、簡単な見積もりとして、以下のような計算で求められる。
【0067】赤外線吸収量の大きさが内部反射回数Nに単純に比例すると考えると、赤外線吸収量のばらつきは内部反射回数Nのばらつきに起因する。ウェハ多重内部反射フーリエ赤外分光法を用いた有機汚染検出法では、赤外線吸収量の大きさによって有機汚染の定量が行われるため、内部反射回数Nのばらつきが定量分析の測定誤差を決めることとなる。
【0068】内部反射回数Nは、上述したように、N=φ/d×tanθ3により求められる。
【0069】また、内部反射角θ3の大きさにつき、その内部反射回数Nの±10%の反射回数を計算する。その結果から、内部反射回数Nが10%増加する場合と10%減少する場合の内部反射角θ3を逆算し、この二つの角の差を内部反射角のばらつきとして考える。
【0070】図7は、この計算結果を示したものである。図7から分かるように、内部反射角θ3が45°のとき、内部反射角のばらつきは最大値5.7°となる。この結果は、内部反射角のばらつきを最大でも±2.8°以内に抑えることが必要であり、内部反射角θ3を正確に制御しなければならないことを示している。
【0071】また、図7に示したように、内部反射角θ3は、傾斜部14への赤外線の入射角θと傾斜部14の傾斜角δとによって決まる。例えば、赤外線の入射角θの範囲が30°〜60°の間で、内部反射角θ3が45°となるように赤外線を入射する場合には、傾斜部14の傾斜角δが40°〜50°である領域に赤外線を入射しなければならない。
【0072】このように内部反射角θ3を正確に制御するためには、傾斜部14への赤外線の入射角を正確に制御することが必要であり、また、半導体ウェハ12の傾斜部14の形状が異なる場合であっても、一定の傾斜角δである領域を検出し、その領域に赤外線を入射することが必要である。
【0073】(d) 位置検出手段17位置検出手段17は、2つのレーザ光源18、22と、2つのCCDラインセンサ20、24と、演算部26とにより構成されている。
【0074】レーザ光源18は、基板搭載台10の周辺部に設けられており、略平行なレーザ光を下方に照射するものである。レーザ光源18は、半導体ウェハ12の傾斜部14のうち、赤外線が入射される領域を含む領域にレーザ光を照射する。
【0075】一方、CCDラインセンサ20は、レーザ光源18の下方に設けられており、X方向、即ち半導体ウェハ12の径方向に沿うように画素が配置されている。
【0076】レーザ光源18から下方に照射されたレーザ光の一部は半導体ウェハ12により遮られ、半導体ウェハ12に遮られなかったレーザ光のみがCCDラインセンサ20に達する。従って、半導体ウェハ12のX方向の位置ずれに応じて、CCDラインセンサ20に設けられた画素がレーザ光を感知する。
【0077】レーザ光源22は、半導体ウェハ12の周縁より内側に位置するように、基板搭載台10の周辺部に設けられており、半導体ウェハ12の傾斜部14に向かって細く絞られたレーザ光を出射する。
【0078】一方、CCDラインセンサ24は、基板搭載台10の側方に設けられており、Y方向、即ち鉛直方向に画素が配置されている。
【0079】レーザ光源22から半導体ウェハ12の傾斜部14に向かって出射されたレーザ光は、半導体ウェハ12の傾斜部のうち、赤外線が入射される領域とほぼ同じ領域に入射される。
【0080】レーザ光源22から出射されたレーザ光は、半導体ウェハ12の傾斜部14で反射され、CCDラインセンサ24に達する。従って、半導体ウェハ12のY方向の位置ずれに応じて、CCDラインセンサ24に設けられた画素がレーザ光を感知することとなる。
【0081】各々のCCDラインセンサ20、24により検出された信号は、演算部26に入力されるようになっている。演算部26は、CCDラインセンサ20から入力される信号に基づいて半導体ウェハ12のX方向の位置ずれを算出し、CCDラインセンサ24から入力される信号に基づいて半導体ウェハ12のY方向の位置ずれを算出する。
【0082】演算部26は、半導体ウェハ12のX方向の位置ずれ及びY方向の位置ずれに応じて、赤外光源16の位置や角度を制御するためのフィードバック信号を生成する。即ち、赤外光源16の位置や角度をどの程度変化させれば半導体ウェハ12の傾斜部14の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射しうるかを算出し、その演算結果を赤外光源制御機構28にフィードバックする。
【0083】なお、半導体ウェハ12の直径や傾斜部14の形状は、メーカや型式によって異なる場合がある。例えば、SEMI規格の半導体ウェハでは、図2に示す範囲内で直径がばらつく場合があり、図3に示す範囲内で傾斜部14の形状が異なる場合がある。従って、半導体ウェハ12の直径や傾斜部14の形状に応じて、レーザ光源18、22の配置位置やCCDラインセンサ20、24の配置位置を適宜設定することが望ましい。
【0084】また、半導体ウェハ12のY方向の位置ずれを演算部26で算出する際に、半導体ウェハ12の傾斜部14の形状を考慮して位置ずれを算出してもよい。この場合には、各メーカの各型式の半導体ウェハ毎に、傾斜部の形状のデータを記憶部(図示せず)に記憶しておき、測定対象となる半導体ウェハに応じて演算部26に適宜データを与えればよい。半導体ウェハ12の直径や傾斜部14の形状を考慮して半導体ウェハ12の位置ずれを検出すれば、レーザ光源20、22やCCDラインセンサ22、24の位置を再設定することなく、半導体ウェハ12の位置ずれを測定することができる。
【0085】(e) 赤外光源制御機構28赤外光源制御機構28は、演算部26からのフィードバック信号に基づいて、赤外光源16の位置や角度を迅速に制御するものである。
【0086】半導体ウェハ12の位置ずれに応じて、赤外光源16の位置や角度を迅速に制御するので、工程全体のスループットに悪影響を与えることなく、半導体ウェハ12の傾斜部14の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射することができる。
【0087】(f) 検出光学系30検出光学系30は、2つの反射鏡32、34により構成されている。
【0088】赤外光源16から半導体ウェハ12内部に入射された赤外線は、半導体ウェハ12内で内部反射を繰り返しながら基板表面の汚染情報を累積してプロービングし、赤外線の入射点と対称的な位置から出射され、検出光学系30に導入される。
【0089】検出光学系30は、半導体ウェハ12から出射された赤外線を集光して分光器36に導く。
【0090】(g) 分光器36分光器36は、例えば、二光束干渉計(マイケルソン光干渉計)を基にしたフーリエ変換分光のメカニズムにより赤外線を分光するFT−IR装置の分光器である。
【0091】分光器36で分光された赤外線は、赤外線検出器38に導入されようになっている。
【0092】(h) 赤外線検出器38赤外線検出器38は、例えばFT−IR装置の検出器であり、窒素冷却型InSbなどの赤外線検出器を用いることができる。
【0093】半導体ウェハ12内部に赤外線を入射して基板内部で多重反射させると、基板表面で光線が反射するときに滲み出る光(エヴァネッセント光)の周波数成分が基板表面の有機汚染物質の分子振動周波数と一致していると共鳴吸収されるので、その赤外吸収スペクトルを分析することにより有機汚染物質の種類と量を特定することができる。
【0094】こうして得られたスペクトルの測定データは、制御・解析用コンピュータ40に送られる。
【0095】(i)制御・解析用コンピュータ40制御・解析用コンピュータ40は、有機汚染物質の特定や量を算出するものである。
【0096】制御・解析用コンピュータ40の記憶部には、有機汚染物質の種類と検量線が別途データベースとして蓄えられており、測定データはそれらのデータを参照して定量化される。このようにして解析された結果は、表示装置42に表示することができる。
【0097】(表面状態測定方法)次に、本実施形態による表面状態測定方法について図1を用いて説明する。
【0098】まず、被測定対象である半導体ウェハ12を基板搭載台10に載置する。基板載置台10には、半導体装置の製造ラインで使用される半導体ウェハ12を載置することができる。
【0099】次に、レーザ光源18から下方にレーザ光を照射する。レーザ光源18から照射されたレーザ光のうち、半導体ウェハ12に遮られなかったレーザ光のみがCCDラインセンサ20に達する。そして、半導体ウェハ12のX方向の位置ずれに応じた信号が、CCDラインセンサ20から演算部26に出力される。
【0100】また、レーザ光源22から半導体ウェハ12の周縁部に向かって、レーザ光を出射する。レーザ光源22から出射されたレーザ光は、半導体ウェハ12の傾斜部14で反射され、CCDラインセンサ24に達する。そして、半導体ウェハ12のY方向の位置ずれに応じた信号が、CCDラインセンサ24から演算部26に出力される。
【0101】演算部26は、CCDラインセンサ20から入力された信号に基づいて半導体ウェハ12のX方向の位置ずれを算出し、CCDラインセンサ24から入力された信号に基づいてY方向の位置ずれを算出する。そして、演算部26は、X方向の位置ずれの演算結果、及びY方向の位置ずれの演算結果に基づいて、赤外光源16の位置や角度を制御するためのフィードバック信号を生成する。なお、この際に、上述したように、半導体ウェハ12のメーカ、型式、スペック等を考慮して算出することもできる。
【0102】演算部26から出力されたフィードバック信号は、赤外光源駆動機構に入力される。赤外光源制御機構28は、演算部26からのフィードバック信号に基づいて、赤外光源16の位置や角度を制御する。こうして、赤外光源16は、半導体ウェハ12の傾斜部14の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射するよう、位置決めされる。
【0103】次に、赤外光源16から赤外線を出射する。半導体ウェハ12の傾斜部14から半導体ウェハ12内部に入射された赤外線は、内部反射を繰り返しながら基板表面の汚染情報を累積してプロービングし、赤外線の入射点と対称的な位置から出射される。本実施形態では、半導体ウェハ12の傾斜部14の適切な位置に適切な角度で赤外線が入射されるので、半導体ウェハ12の内部における全反射の回数が適切な回数に制御される。
【0104】次に、半導体ウェハ12から出射された赤外線を赤外線集光手段30により集光し、分光器36を介して赤外線検出器38に導入する。こうして、例えば二光束干渉計を基にしたフーリエ変換分光のメカニズムにより、各周波数に対応する吸収スペクトラムが得られる。
【0105】次に、赤外線検出器38で得られた吸収スペクトラムのデータを、制御・解析用コンピュータ40に入力する。制御・解析用コンピュータ40は、スペクトルを解析し、有機汚染物質の種類と量を特定する。
【0106】更に、半導体ウェハ12の略全面にわたる有機汚染、化学汚染を測定する場合には、半導体ウェハ12を順次回転させる。半導体ウェハ12の中心と基板搭載台10の回転軸とが一致していない場合には、半導体ウェハ12を回転させると半導体ウェハ12の周縁の位置がずれるが、本実施形態では、半導体ウェハ12の位置ずれに応じて赤外光源16の位置や角度を順次迅速に再調整する。従って、本実施形態によれば、半導体ウェハ12を回転させる場合であっても、工程全体のスループットに悪影響を与えることなく、半導体ウェハの略全面にわたる有機汚染、化学汚染を測定することができる。
【0107】こうして、半導体ウェハ12の表面状態の分析を終了する。
【0108】このように本実施形態によれば、半導体ウェハの位置ずれを検出し、半導体ウェハの位置ずれに応じて赤外光源の位置や角度を迅速に調整することができる。従って、本実施形態によれば、工程全体のスループットに悪影響を与えることなく、半導体ウェハの傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射でき、内部反射角を適切な角度に制御することができる。従って、本実施形態によれば、半導体ウェハ内における全反射の回数を適切に制御することができ、ひいては半導体ウェハの表面状態を高い精度で測定することができる。
【0109】また、本実施形態によれば、半導体ウェハの位置ずれに応じて赤外光源の位置や角度を迅速に調整することができるので、半導体ウェハを回転させて略全面にわたる有機汚染や化学汚染を測定する場合であっても、工程全体のスループットに悪影響が及ぶのを回避することができる。
【0110】(変形例(その1))次に、本実施形態による表面状態測定装置及び方法の変形例(その1)を図8を用いて説明する。図8は、本変形例による表面状態測定装置を示す概略図である。なお、図8は、本変形例による表面状態測定装置を半導体ウェハの上方から見たものであり、レーザ光源等は省略されている。
【0111】図8に示すように、本変形例による表面状態測定装置及び方法は、半導体ウェハ12の位置ずれが3箇所で検出されることに主な特徴がある。即ち、半導体ウェハ12の中心を基準として、120°ずつずらしてレーザ光源(図示せず)やCCDラインセンサ20、24が3組分配置されている。
【0112】そして、3箇所に設けられたCCDラインセンサ20、24により検出された信号は、1つの演算部26に入力されるようになっている。演算部26は、3箇所に設けられたCCDラインセンサ20、24から入力された信号に基づいて、半導体ウェハ12の位置ずれを総合的に算出し、フィードバック信号を生成する。こうして生成されたフィードバック信号は赤外光源制御機構28に入力され、これにより赤外光源16の位置や角度が制御される。
【0113】図1に示す表面状態測定装置では、半導体ウェハ12の位置ずれを1箇所においてのみ測定していたため、Z方向、即ち図1の紙面垂直方向に半導体ウェハ12の位置がずれていても、それを検出することは困難であった。
【0114】これに対し、本変形例では、3箇所において半導体ウェハ12の位置ずれを検出するので、半導体ウェハ12がZ方向、即ち、図8の紙面左右方向にずれている場合でも検出することができる。
【0115】このように、本変形例では、半導体ウェハの位置ずれを3箇所において検出するので、半導体ウェハのZ方向の位置ずれをも検出することができる。従って、本変形例によれば、より高精度に、半導体ウェハの傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射することができ、半導体ウェハの表面状態をより高精度に測定することができる。
【0116】(変形例(その2))次に、本実施形態による表面状態測定装置及び方法の変形例(その2)を図9を用いて説明する。図9は、本変形例による表面状態測定装置を示す概略図である。
【0117】図9に示すように、本変形例による表面状態測定装置には、基板搭載台10を制御する基板搭載台制御装置44が設けられており、基板搭載台制御装置44には、演算部26から出力されるフィードバック信号が入力されるようになっている。
【0118】基板搭載台10には、半導体ウェハの位置を調整する位置制御機構(図示せず)が設けられており、基板搭載台制御装置44は、フィードバック信号に基づいて基板搭載台10の位置制御機構を適宜制御し、これにより半導体ウェハ12の位置ずれを矯正する。
【0119】図1に示す本実施形態による表面状態測定装置では、赤外光源16の位置や角度を制御することにより半導体ウェハ12の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射するように構成したが、本変形例による表面状態測定装置では、基板搭載台10を制御することにより、半導体ウェハ12の位置ずれを矯正する。従って、本変形例によれば、半導体ウェハ12の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射することができる。
【0120】このように、本変形例では、基板搭載台制御装置により基板搭載台を制御し、これにより半導体ウェハの位置ずれを矯正するので、半導体ウェハの傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射することができる。
【0121】[第2実施形態]本発明の第2実施形態による表面状態測定装置及び方法について図10を用いて説明する。図10は、本実施形態による表面状態測定装置を示す概略図である。なお、図1乃至図9に示す第1実施形態による表面状態測定装置及び方法と同一の構成要素には同一の符号を付し説明を省略或いは簡略にする。
【0122】(表面状態測定装置)まず、本実施形態による表面状態測定装置について図10を用いて説明する。
【0123】本実施形態による位置検出手段17aは、2つのレーザ光源18a、22aと、2つのCCDラインセンサ20a、24aと、演算部26とにより構成されている。
【0124】レーザ光源18aは、基板載置台10の周辺部に設けられており、細く絞られたレーザ光を各方向に走査することができるものである。一方、CCD2次元センサ20aは、レーザ光源18aの下方に設けられており、面状に多数の画素が配置されている。
【0125】レーザ光源22aは、基板載置台10の周辺部に設けられており、細く絞られたレーザ光を各方向に走査することができるものである。一方、CCD2次元センサ24aは、基板搭載台10の側方に設けられており、CCD2次元センサ20aと同様に、面状に多数の画素が配置されている。
【0126】そして、CCD2次元センサ20a、24aは、第1実施形態と同様に、演算部26に接続されている。
【0127】本実施形態による表面状態測定装置は、レーザ光を各方向に走査しうるレーザ光源18a、22aを設け、CCD2次元センサ20a、24aを用いてレーザ光を感知することに主な特徴がある。本実施形態では、平面状に多数の画素が配置されたCCD2次元センサ20a、24aを用いてレーザ光を感知するので、画素が線状に配置されたCCDラインセンサ20、24を用いる第1実施形態による表面状態測定装置に比べて、高精度に半導体ウェハ12の位置ずれを検出することができる。
【0128】また、本実施形態では、CCD2次元センサ20a、24aを用いているため、半導体ウェハ12のX方向の位置ずれやY方向の位置ずれのみならず、Z方向、即ち、図10の紙面垂直方向の位置ずれをも検出することができる。第1実施形態では、図8に示す変形例(その1)のように複数の箇所において位置ずれを測定しない限り半導体ウェハ12のZ方向の位置ずれを検出することは困難であったが、本実施形態では、CCD2次元センサ20a、24aを用いているので、1箇所で測定するだけでも半導体ウェハ12のZ方向の位置ずれを検出することができる。
【0129】(表面状態測定方法)次に、本実施形態による表面状態測定方法を図10を用いて説明する。
【0130】まず、被測定対象である半導体ウェハ12を基板搭載台10に載置するのは、第1実施形態と同様である。
【0131】次に、レーザ光源18aから、半導体ウェハ12の傾斜部14に向かって、レーザ光を出射する。レーザ光源18aは、半導体ウェハ12の傾斜部14のうち、赤外線が入射される領域を含む領域にレーザ光が入射されるように、レーザ光を走査する。レーザ光源18aから出射されたレーザ光のうち、半導体ウェハ12に遮られなかったレーザ光のみがCCDラインセンサ20aに達する。そして、レーザ光を感知した画素に応じて、CCD2次元センサ20aから演算部26に信号が入力される。
【0132】また、レーザ光源22aから、半導体ウェハ12の傾斜部14に向かって、レーザ光を出射する。レーザ光源22aから出射されるレーザ光は、半導体ウェハ12の傾斜部14で反射され、CCD2次元センサ24aに達する。そして、レーザ光を感知した画素に応じて、CCD2次元センサ24aから演算部26に信号が入力される。
【0133】演算部26は、CCD2次元センサ20aから入力された信号に基づいて半導体ウェハ12のX方向の位置ずれを算出し、CCD2次元センサ24aから入力された信号に基づいて半導体ウェハ12のY方向の位置ずれを算出する。また、演算部26は、CCD2次元センサ20a、24aから入力された信号に基づいて、半導体ウェハ12のZ方向の位置ずれをも算出する。そして、演算部26は、これら位置ずれの演算結果に基づいて、赤外光源の位置や角度を制御するためのフィードバック信号を生成する。なお、この際に、第1実施形態と同様に、半導体ウェハ12のメーカや型式を考慮して、半導体ウェハ12の位置ずれを算出することもできる。
【0134】演算部26で生成されたフィードバック信号は、赤外光源駆動機構28に出力される。赤外光源制御機構28は、演算部26からのフィードバック信号に基づいて、赤外光源16の位置や角度を制御する。
【0135】こうして、赤外光源16は、半導体ウェハ12の傾斜部14の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射するよう、位置決めされる。
【0136】この後の表面状態測定方法は、第1実施形態と同様であるので省略する。
【0137】このように、本実施形態によれば、多くの情報量を得ることができるCCD2次元センサを用いているので、半導体ウェハの位置ずれを高精度に検出することができる。
【0138】また、本実施形態によれば、CCD2次元センサを用いているので、1箇所の測定のみで、半導体ウェハのZ方向の位置ずれをも測定することができる。従って、本実施形態によれば、簡便な構成で、低廉な表面状態測定装置を提供することができる。
【0139】[第3実施形態]本発明の第3実施形態による表面状態測定装置及び方法について図11を用いて説明する。図11は、本実施形態による表面状態測定装置を示す概略図である。なお、図1乃至図10に示す第1又は第2実施形態による表面状態測定装置及び方法と同一の構成要素には同一の符号を付し説明を省略或いは簡略にする。
【0140】(表面状態測定装置)まず、本実施形態による表面状態測定装置を図11を用いて説明する。
【0141】本実施形態による位置検出手段17bは、レーザ光源22bと、CCDラインセンサ20aと、演算部26とにより構成されている。
【0142】レーザ光源22bは、基板載置台(図示せず)の上方に設けられており、レーザ光源を周回するように走査できるものである。レーザ光源22bは、円形のみならず、楕円形、又は四角形等あらゆる周回経路でレーザ光を走査することが可能である。
【0143】CCD2次元センサ20aは、レーザ光源22bの斜め下方に設けられており、面状に多数の画素が配置されている。なお、図11はCCD2次元センサ20aを用いた場合を示しているが、CCD2次元センサ20aのみならず4分割センサ等を適宜用いてもよい。
【0144】本実施形態による表面状態測定装置は、レーザ光を周回するように走査するレーザ光源が用いられていることに主な特徴がある。レーザ光源を周回するだけで半導体ウェハ12の位置ずれを検出することができるので、第2実施形態のように各方向に走査する場合に比べて迅速に半導体ウェハ12の位置ずれを検出することが可能である。
【0145】(表面状態測定方法)次に、本実施形態による表面状態測定方法を図11を用いて説明する。
【0146】まず、被測定対象である半導体ウェハ12を基板搭載台10に載置するのは、第1実施形態と同様である。
【0147】次に、レーザ光源22bから、半導体ウェハ12の傾斜部14に向かって、レーザ光を出射する。レーザ光源22bから出射されるレーザ光は、半導体ウェハ12の傾斜部14における赤外線の入射領域の近傍を周回するように走査される。レーザ光源22bから出射されたレーザ光のうち、半導体ウェハ12に遮られなかったレーザ光のみがCCDラインセンサ20aに達する。そして、レーザ光を感知した画素に応じて、CCD2次元センサ20aから演算部26に信号が入力される。
【0148】演算部26は、CCD2次元センサ20aから入力された信号に基づいて半導体ウェハ12の位置ずれを算出する。そして、演算部26は、演算結果に基づいて、赤外光源16の位置や角度を制御するためのフィードバック信号を生成する。演算部26で生成されたフィードバック信号は、赤外光源駆動機構28に出力され、赤外光源制御機構28は、演算部26からのフィードバック信号に基づいて、赤外光源16の位置や角度を制御する。
【0149】こうして、赤外光源16は、半導体ウェハ12の傾斜部14の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射するよう、位置や角度が設定される。
【0150】この後の表面状態測定方法は、第1実施形態と同様であるので省略する。
【0151】このように、本実施形態によれば、レーザ光を周回するように走査するレーザ光源を用いて半導体ウェハの位置ずれを検出するので、より迅速に半導体ウェハの位置ずれを検出することができる。また、本実施形態によれば、CCD2次元センサを1つ設けるだけで足りるので、低廉な表面状態測定装置を提供することができる。
【0152】[変形実施形態]本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0153】例えば、第1乃至第3実施形態では、レーザ光源を用いたが、レーザ光源に限定されるものではなく、プロービング光である赤外線と異なる波長の光を発する光源であれば、あらゆる光源を適宜用いることができる。
【0154】また、第1実施形態では、レーザ光源18から略平行なレーザ光を照射し、レーザ光源22から細く絞られたレーザ光を出射したが、レーザ光源18、22の両者から略平行なレーザ光を照射するようにしてもよい。
【0155】また、第1及び第2実施形態では、X方向の位置ずれとY方向の位置ずれの両者を検出したが、必ずしも両者を検出しなくてもよい。即ち、例えばY方向の位置ずれが極めて小さい場合には、X方向の位置ずれのみを検出すればよい。また、X方向の位置ずれを測定することなく、Y方向の位置ずれのみを検出する場合にも適用することができる。
【0156】また、第2及び第3実施形態では、1箇所のみにおける半導体ウェハの位置ずれを検出したが、複数箇所で半導体ウェハの位置ずれを測定してもよい。これにより、半導体ウェハの位置ずれをより精密に検出することができる。
【0157】また、第2及び第3実施形態では、赤外光源の位置や角度を制御したが、基板載置台を制御することにより半導体ウェハの位置ずれを制御してもよい。
【0158】また、第2実施形態では、CCD2次元センサを用いたが、CCDラインセンサを用いることも可能である。
【0159】また、第3実施形態では、1つのレーザ光源と1つのCCD2次元センサとを設けたが、レーザ光源とCCD2次元センサとを更に設けてもよい。これにより、更に高精度に半導体ウェハの位置ずれを検出することができる。
【0160】また、第1乃至第3実施形態では、半導体ウェハの位置を検出する場合を例に説明したが、半導体ウェハのみならず、あらゆる被測定基板の位置を検出する際に適用することができる。
【0161】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、半導体ウェハの位置ずれを検出し、半導体ウェハの位置ずれに応じて赤外光源の位置や角度を迅速に調整することができる。従って、本発明によれば、工程全体のスループットに悪影響を与えることなく、半導体ウェハの傾斜部の適切な位置に適切な角度で赤外線を入射でき、内部反射角を適切な角度に制御することができる。従って、本発明によれば、半導体ウェハ内における全反射の回数を適切に制御することができ、ひいては半導体ウェハの表面状態を高い精度で測定することができる。
【0162】また、本発明によれば、半導体ウェハの位置ずれに応じて赤外光源の位置や角度を迅速に調整することができるので、半導体ウェハを回転させて略全面にわたる有機汚染や化学汚染を測定する場合であっても、工程全体のスループットに悪影響が及ぶのを回避することができる。
【出願人】 【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
【出願日】 平成12年1月6日(2000.1.6)
【代理人】 【識別番号】100087479
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 好人
【公開番号】 特開2001−194320(P2001−194320A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−964(P2000−964)