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【発明の名称】 非破壊検査方法およびその装置
【発明者】 【氏名】野本 峰生

【氏名】勝田 大輔

【氏名】浅野 敏郎

【氏名】酒井 薫

【氏名】田口 哲夫

【氏名】田中 勲夫

【要約】 【課題】非破壊検査である浸透探傷と磁粉探傷とを、従来、目視で行われていたのを、画像データをもちいて検査する。

【解決手段】被検査試料をカラービデオカメラで撮像して得た画像信号を用いて、擬似欠陥を含む欠陥候補を自動検出し、結果を画面上に表示し、その中から真の欠陥を検出する。また、画像データを記憶手段に記憶させておき、画面上に繰り返して表示できるようにした。浸透探傷では、画面各位置の色度を求め、色差から欠陥候補を抽出し、さらに、色差の微分値により欠陥を疑似欠陥を識別する。また、浸透探傷では、照明による正反射を除くため偏光フィルタを用い、磁粉探傷では、紫外線カットフィルタをカメラに装着してノイズを防ぐ。白色照明灯と紫外線照明灯の両方を装備することにより、1つのプローブで、両方の検査を行うことを可能にした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】磁粉探傷法による欠陥検査方法であって、カラービデオカメラを用いて検査対象物の被検査面を撮像し、該撮像して得た画像を用いて前記被検査面の欠陥候補を抽出し、該抽出した欠陥候補の画像を画面上に表示し、該表示した欠陥候補の画像の中から抽出した画像を記憶手段に記憶し、該記憶した画像を画面上に再度表示することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項2】前記カラービデオカメラで撮像して得た画像のうち、RGBのカラーの三原色の信号うちの緑(G)の信号成分の輝度に関する情報を用いて前記被検査面の欠陥を検査することを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査方法。
【請求項3】浸透探傷法による欠陥検査方法であって、カラービデオカメラを用いて検査対象物の被検査面を撮像し、該撮像して得た画像の色度を基準となる色度に変換した情報を用いて前記被検査面の欠陥を検査することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項4】浸透探傷法による欠陥検査方法であって、検査対象物の被検査面を偏光光で照明し、該偏光光で照明された被検査面を偏光フィルタを介してカラービデオカメラで撮像し、該撮像して得た画像の色度を基準となる色度に変換した画像から前記被検査面の欠陥候補を抽出し、該抽出した欠陥候補の画像を表示することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項5】前記検査対象物の被検査面をカラービデオカメラで該カラービデオカメラの視野内に該視野の位置情報を入れて撮像し、該撮像して得た画像から前記被検査面内の欠陥候補を抽出し、該抽出した欠陥候補の画像を前記視野の位置情報と共に画面上に表示することを特徴とする請求項1、3、4の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項6】前記視野の位置情報が、前記視野内に配置されたスケールによるものであることを特徴とする特許請求の範囲第5項に記載の欠陥検査方法。
【請求項7】前期被検査面を、前記カラービデオカメラで、複数の視野にわたって撮像することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項8】前記カラービデオカメラでR、G、B、白の色見本(色票)を撮像し、該撮像したカラービデオカメラ固有のRGB色度値を演算により基準となるxy色度値に変換する変換係数に基づいて、前記検査対象物の被検査面を撮像して得られたカラー画像を前記xy色度に変換し、該変換したカラー画像を用いて前記被検査面の欠陥を検出することを特徴とする請求項3又は4の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項9】前記カラービデオカメラでR、G、B、白、および、浸透探傷に用いる現像液(白色あるいは相当色)および浸透探傷液(赤色あるいは相当色)と、現像液(白色あるいは相当色)と浸透探傷液(赤色あるいは相当色)の化学的変化による混合色を用いた色見本(色票)を撮像し、該撮像して得た前記カラービデオカメラ固有のRGB色度値を基準となるxy色度値に変換する変換係数を求め、該求めた変換係数に基づいて前記検査対象物の被検査面を撮像して得られるカラー画像を前記xy色度に変換し、該変換したカラー画像を用いて前記被検査面の欠陥を検出することを特徴とする請求項3又は4の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項10】前記カラービデオカメラでR、G、B、白、および、浸透探傷に用いる現像液(白色あるいは相当色)および浸透探傷液(赤色あるいは相当色)と、現像液(白色あるいは相当色)と浸透探傷液(赤色あるいは相当色)の化学的変化による混合色を用いた色見本(色票)を撮像し、該撮像したカラービデオカメラ固有のRGB色度値を演算により基準となるxy色度値に変換する変換係数を求め、該求めた変換係数に基づいて前記検査対象物の被検査面を撮像して得られたカラー画像を前記xy色度に変換し、該変換したカラー画像を用いて前記被検査面の欠陥を検出すると共に、該色見本(色票)を撮像して得られるカラー画像のxy色度値と該基準となるxy色度値を比較し、カラービデオカメラの色再現性の違いに基づいて欠陥検出再現性を評価することを特徴とする請求項3又は4の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項11】前記色見本(色票)が、同一面上に構成されていることを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の欠陥検査方法。
【請求項12】前記色見本(色票)が、同一面上に構成され、該カラービデオカメラの撮像範囲と同等以下の大きさであることを特徴とする請求項8記載の欠陥検査方法。
【請求項13】検査対象物の傷を非破壊で検査する欠陥検査方法であって、検査対象物をカラービデオカメラで撮像し、該撮像して得た画像から前記検査対象物の欠陥候補を抽出し、該抽出した欠陥候補の画像を他と区別して画面上に表示することを特徴とする欠陥検査方法。
【請求項14】前記画面上に前記欠陥候補の特徴量も表示することを特徴とする請求項13に記載の欠陥検査方法【請求項15】前記画面上に表示した前記欠陥候補の特徴量を、前記欠陥候補の画像と一緒に記憶手段に記憶することを特徴とする請求項14に記載の欠陥検査方法【請求項16】前記画面上に前記欠陥候補の位置を示す位置情報を表示することを特徴とする請求項13に記載の欠陥検査方法【請求項17】前記画面上に表示した前記欠陥の位置を示す位置情報を、前記欠陥候補の画像と一緒に記憶手段に記憶することを特徴とする請求項16に記載の欠陥検査方法【請求項18】前記欠陥検査方法が浸透探傷による検査方法であって前記画面上に表示する欠陥候補の画像が、前記撮像して得た画像の色度を基準となる色度に変換した画像であることを特徴とする請求項13記載の欠陥検査方法。
【請求項19】前記欠陥検査方法が磁粉探傷による検査方法であって前記画面上に表示する欠陥候補の画像が、前記カラービデオカメラで撮像して得た画像のうち緑色(G)の信号成分に基く画像であることを特徴とする請求項13記載の欠陥検査方法。
【請求項20】探傷法による欠陥検査装置であって、検査対象物の被検査面を照明する照明手段と、該照明手段で照明された前記被検査面をカラービデオカメラで撮像する撮像手段と、該撮像手段で撮像して得た前記被検査面の画像から該被検査面の欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段と、該欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補の画像を表示する表示手段と、前記欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補の画像を欠陥に関する情報と共に記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶した欠陥候補の画像の中から所望の画像を選択して前記表示手段に再度表示させる画像選択手段とを備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項21】探傷法による欠陥検査装置であって、検査対象物の被検査面を照明する照明手段と、該照明手段で照明された前記被検査面をカラービデオカメラで撮像する撮像手段と、該撮像手段のカラービデオカメラでR,G,B、白の色見本(色票)を撮像して得られる前記カラービデオカメラ固有のRGB色度値を基準となるxy色度値に変換する変換係数を求める演算手段と、前記撮像手段で撮像して得た前記被検査面の画像を前記演算手段で求めた変換係数を用いて変換した画像から該被検査面の浸透探傷による欠陥候補を抽出する浸透探傷欠陥候補抽出手段と、該浸透探傷欠陥候補抽出手段で抽出した欠陥候補の画像を表示する表示手段とを少なくとも備えたことを特徴とする欠陥検査装置。
【請求項22】前記被検査面を撮像する前記カラービデオカメラの視野内に該視野の位置情報を表示する位置情報表示手段を配置したことを特徴とする請求項20または21の何れかに記載の欠陥検査装置。
【請求項23】前記位置情報表示手段が、スケールであることを特徴とする請求項22に記載の欠陥検査装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属表面の割れなどの欠陥検査方法に関するものであり、特に浸透探傷および磁粉探傷と称される非破壊検査を行うための検査方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】浸透探傷や磁粉探傷は、金属表面に開口をもつ割れ(クラック)等の欠陥を非破壊で検査するものである。浸透探傷に於いては、通常、浸透液と称される赤い液体を検査面に塗布し、一定時間経過したのち浸透液を拭き取り、現像剤と称される白い粉を塗布する。もし、割れ等の欠陥があれば、割れのなかに残存していた浸透液が毛細管現象により表面に出てきて、赤い欠陥指示を呈す。
【0003】一方、磁粉探傷の場合は、蛍光磁粉のはいった溶液を磁性体である試験体に散布し、試験体を磁化する。割れ等の欠陥があれば、欠陥部に磁束が集中するので、蛍光磁粉が集まり、紫外線を照射すると、緑色に発光し、欠陥指示を呈する。
【0004】従来は、これら欠陥指示を目視で観測し、欠陥を検査していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術のように目視で検査していると、検査員の疲労により、欠陥の見逃しがあったり、検査員の個人差により、検査結果が異なる、検査結果が「合格」などの文字でしか残らないという検査信頼性上の問題があった。
【0006】また、磁粉探傷については、重要でかつ大量生産する部品については、自動検査装置が開発されているが、専用装置であるため、多様な形状の部品を手軽に検査できるものではなかった。
【0007】更に、浸透探傷については、表面色を高精度に2次元分布として検出する必要があるため、ポイントで高精度の色度計測が可能な色彩計があっても、2次元的な掃引が必要になり、多様な形状の部品を手軽に自動検査することは、検査時間的、コスト的に困難であった。
【0008】更にまた、試験体が大きい場合には、自動検査により得られた画像が試験体のどの部分であるか、検出された欠陥が試験体のどの部分であるのかが分からなくなる場合もあった。
【0009】更に、浸透探傷と磁粉探傷の両方を一台の装置で自動検査できれば、経済的価値は飛躍的に向上するが、このような装置、技術は、これまでになかった。
【0010】本発明の目的は、上記したような問題点を解消して、真の欠陥の判別を容易にした欠陥検査方法、欠陥検査装置及び欠陥検査支援方法を提供することにある。
【0011】また、本発明の目的は、大きな試験体に対しても、欠陥位置を容易に知ることができるようにした欠陥検査方法、欠陥検査装置及び欠陥検査支援方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を達成するために、カラービデオカメラを用いて試験体を撮像するようにした。ただし、カラービデオカメラをそのままで使用すると、浸透探傷では、照明による試験体からの正反射光により、正しい撮像ができない。また、磁粉探傷では、照明光(紫外線)のため、試験体上の異物などが青く発光し、欠陥との識別を困難にする。このため、本発明では、正反射光を除くために、照明とカメラの両方に偏光フィルタを入れた。また、紫外線をカットするために、カメラの前にフィルタを配置した。
【0013】また、本発明では、カラーカメラと白色照明灯と紫外線照明灯を一つのプローブとして構成することにより、浸透探傷と磁粉探傷の両方で使えるようにした。
【0014】浸透探傷のときは、カラービデオカメラからの映像信号から、試験体表面のxy色度を計算し、赤い欠陥指示部分を検出し、磁粉探傷のときは、緑の映像信号に微分処理を行い、欠陥を強調してから検出するようにした。
【0015】また、自動検査の見逃しや過検出を防ぐため、本発明では、検査結果をカラー画像で表示し、自動検査で欠陥と判定した部分を矩形で囲み、検査員は、矩形部分を原画像で一つずつ確認して本当の欠陥かどうかを判定するようにした。原画像と検査結果は、記録として、光磁気ディスクなどに保存しておく。
【0016】更に、本発明では、試験体が長尺物のように一視野にはいりきらないときは、撮像視野内にスケールをおき、スケールと検査画像とを同時に撮像することにより、検査位置を特定できるようにした。
【0017】更に、本発明では、浸透探傷法による欠陥検査方法において、使用するカラービデオカメラのカラーキャリブレーションを行うために、R(赤)、G(緑)、B(青)、W(白)の基準色をカラービデオカメラで撮像して得た信号を用いてカラービデオカメラ固有のxyY値の変換パラメータを作成し、試験体の被検査面をカラービデオカメラで撮像して得た画像を一旦変換パラメータで変換し、この変換した画像を用いて欠陥候補を検出するようにした。
【0018】更に本発明では検出した欠陥の画像データをメモリに記憶させて保存することにより、検査後に画面上に繰り返し表示させることができるようにしたまた記憶した画像データを通信回線を用いて遠隔地に画像データを送信できるようにした【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を、図面を用いて説明する。
【0020】図1は、本発明で検査する欠陥の一例である。
【0021】(a)は、浸透探傷像の一例を示すものであり、試験体1には白い現像液が塗布されており、欠陥2(コントラスト大)と疑似欠陥3(コントラスト小)が観測される。浸透探傷では、欠陥2は、赤い指示模様として強調表示される。疑似欠陥は、表面研削すじなどに浸透液が溜まり、きれいに拭き取れなかったときなどに発生し、うすい赤い指示模様となる。
【0022】(b)は、磁粉探傷像の一例を示すものであり、試験体1には欠陥2が存在し、すでに蛍光磁粉が塗布され、磁化されているとする。これに紫外線照明を照射すると、磁化により欠陥2に集まった蛍光磁粉が緑色に発光する。しかしながら、例えば試験体1に溶接部があると、溶接ビードに沿って蛍光磁粉が集まるため、緑色の疑似欠陥3が見えることがある。
【0023】図2は、本発明になる欠陥検査装置の構成図である。試験体1には、欠陥2と疑似欠陥3が存在している。これをカラービデオカメラ21で撮像する。浸透探傷像の検査のときは、白色照明灯24aを点灯させ、磁粉探傷試験のときは、紫外線照明灯24bを点灯させる。白色照明灯24aは白色照明灯用コネクタ25aにつながっており、照明ケーブル26により、照明電源8につながっている。
【0024】磁粉探傷のときには、紫外線照明灯用コネクタ25bに照明ケーブル26をつなげる。外光の影響をさけるため、フード27をつける。図2では、照明灯は、リング状のものを使用しているが、棒状のものを1個または複数個用いてもよい。
【0025】カラービデオカメラ21のカラー映像信号は、R、G、Bが独立した信号の場合と、複合映像信号の場合とがあるが、どちらにしてもカラー画像メモリ4でR、G、Bごとの画像データとして記憶される。カラー画像データは、コンピュータ5で解析され、欠陥検出結果がカラーモニタ6に表示される。
【0026】また、欠陥検査結果は、データ記憶装置7に保存される。更に、必要に応じて、図示されていないプリンタにより、カラーモニタ6に表示された画像をプリントアウトすることもできる。データ記憶装置7の変わりに例えば光ディスクやフロッピー(登録商標)ディスクのような可搬性の有る記憶媒体に記憶しても良い更に検査結果を図示されていないインターネットなどの通信回線を介して遠隔地に転送することまできるこれにより検査地点から遠く離れた場所でも検査データを即座に見ることができる また、検査結果を通信回線を介して転送することにより複数の検査地点のデータを一個所で集中して管理できるようになる。
【0027】カラービデオカメラ21のレンズの前には、偏光フィルタ22aと紫外線カットフィルタ22bが装着されている。また、白色照明灯24aの下方には、偏光フィルタ板23が設置されている。偏光フィルタ22aと偏光フィルタ板23は、浸透探傷像検査のときに照明の映り込みや、試験体1からの正反射を防ぐためのもので、カラービデオカメラ21の出力映像信号を見ながら、偏光フィルタ22aを回転させて、最も映り込みや反射がないところに固定する。この偏光フィルタ22aの調整は、カラービデオカメラ21の映像出力信号に基いて自動で行うようにすることもできる。
【0028】紫外線カットフィルタは、紫外線照明灯24bによる付着異物などからの不要な発光を阻止するためのものである。
【0029】図3は、偏光フィルタ22aと偏光フィルタ板23の効果を示した図である。
【0030】(a)は、フィルタ無しのとき、(b)はそれぞれのフィルタを装着し、フィルタの回転角度を調整したときに、それぞれモニタ画面上に表示される様子を示している。(a)では、照明の映り込み30があり、欠陥検出を困難にしている。映り込みが環状なのは、白色照明灯24aが環状である場合を想定しているからである。(b)では、この映り込みがなくなっている。
【0031】図4は、紫外線カットフィルタ22bの効果を示した図である。(a)は、フィルタ無しのとき、(b)は、フィルタを装着したときに、それぞれモニタ画面上に表示される様子を示している。(a)では、糸屑のような異物40による発光や試験体1からの正反射41がカラービデオカメラ21で撮像され、欠陥検査を難しくする。(b)では、これらのノイズがカットされ、人が試験体1を目視観察したときと同じように、蛍光磁粉による発光のみの画像となっている。
【0032】先ず、図5から図13 を用いて、浸透探傷像における割れ欠陥の検出方法について説明する。図5に、浸透探傷における欠陥2の自動検出方法を示す。
【0033】まず、現像剤を塗布した試験体1を白色照明灯24aを用いて試験体撮像50を行う。つぎに、得られたR、G、Bカラー画像データから、各画素のxy色度値を求めるところの色度変換51を行う。
【0034】次に、現像液の基準白色色度を算出するところの、基準白色の決定52を行い、基準白色に対する画像上の各位置での色相・色差算出53する。
【0035】このあと、欠陥候補領域抽出54をするため、特定範囲の色相・色差にある領域を2値化により抽出する。
【0036】真の欠陥2は、輪郭部がはっきりしており、疑似欠陥は、輪郭部が不鮮明なことが多い。このため、色差画像の微分55を行い、抽出した欠陥候補領域の輪郭部の色差変化割合を求める。次に、欠陥候補領域の面積、縦横比、長さなどの形状計測56を行う。このあと、欠陥の検出57で、色差変化割合が大きく、かつ、規定以上の長さ、面積のある領域のみを真の欠陥2として検出する。さらに、検査結果をカラーモニタ6に表示し、検査員による欠陥の確認をしたあと、画像データや形状データ、位置情報などを記憶装置7に、またはプリントアウトしハードコピーとして保存する(58)。
【0037】色による検査では、色を定量的に評価する必要がある。そのため、色度変換51のステップでは、撮像したカラー画像のRGBデータを、CIE(国際照明委員会)の規定する色度x、y、輝度Yへ変換し、これらを用いて検査を行う。色度x、yを2次元直交座標で表現したものを色度図と呼び、図6に示す。色度図では、白を中心にしてその回りに各色が配置され、各色は、白から離れるほど鮮やかになる。以後、色合いを色相、各色の鮮やかさを彩度、色度図上での2つの色度値間の距離を色差と呼ぶ。浸透探傷像の色度範囲50を図6に示す。
【0038】本方法では、RGBデータから色度x、y、輝度Yへの変換を高精度に行うために、あらかじめ図7に示すようなカメラ校正用色票71を使ってカラーキャリブレーションを行う。その処理の流れを図8に示す。カメラ校正用色票71には、3色以上の色が塗られている。これをカラービデオカメラ21で撮像し(81)、各色のRGB値を算出する(82)。また、色彩計72により、これらの色度x、y及び輝度Yを計測する(83)。ここで、RGB値とxyY値との関係は、(数1)(数2)で表される。
【0039】
【数1】

【0040】ここで、X、Y、Zは、三刺激値と呼ばれる。
【0041】
【数2】

【0042】よって、カメラから取り込んだ各色のRGB値を(数1)(数2)に代入してxyY値を算出し、この値が色彩計で計測したxyY値と一致するようなa11〜a33を求めれば、カメラ固有の変換パラメータを求めることになる。未知のパラメータは9個なので、最低3色のRGB値(R1 G1 B1)〜(R3 G3 B3)とそれに対応する色彩計のxyY値(x1 y1 Y1)〜(x3 y3 Y3)でパラメータは算出できる。
【0043】(数2)よりXYZはxyY値から下記の(数3)で算出できるので、【0044】
【数3】

【0045】色彩計の3色のxyY値を(数3)に代入し、XYZを求め、(数1)に代入する。
【0046】
【数4】

【0047】これにより、カメラ固有の変換パラメータa11〜a33を求め(84)、カメラのRGB値から色彩計の値と等しいxyY値を求めることが可能となる。
【0048】本発明者等は、浸透探傷像検査に用いるカメラ校正用色票71の形態としては、R、G、B、Wの基準色と現像液の白色から浸透液の赤色に変化する数種の色が配されているとカラーキャリブレーションに好適である。
【0049】図6の浸透探傷像の色度範囲60内より、白色から赤色に変化する現像液に近い白色、欠陥候補のピンク色、欠陥に相当する赤色を段階的に選定し、色彩計72にてxyY値を計測しておき、その値と、先に作成した、使用するカメラ固有のxyY値の変換パラメータから各xyY値を算出し比べる事によって、変換パラメータの再現性を確認できる。浸透探傷像検査作業時に定期的に(好ましくは検査作業前に)、図6の色票71を用て色再現性を確認する事によって、容易に信頼性のある高精度な色度測定を実現出来る効果がある。
【0050】また、本発明者らは、上記色票の基準色は照明光源の色温度で異なることを、確認している。すなわち、図2の実施例で用いている白色照明灯を光源として浸透探傷像検査を行う場合と、ハロゲンランプを光源として浸透探傷像検査を行う場合では、図6の色度範囲が異なる可能性があるため、光源に応じてキャリブレーション用の色度を選定する必要がある。
【0051】また、検査対象の表面状態の色合い(ステンレスなどの金属面や鉄系の黒皮状態の黒っぽい表面、あるいは錆びている茶色っぽい表面等)の違いによって、白色から赤色までの色度が異なる。このため白色、ピンク、赤色での補間色の数を多くして、カラーキャリブレーションをするほどxyYへの変換を高精度にすることが可能である。
【0052】さらに現像液や浸透液の色度に応じて の赤、緑、青、白の基準色および、白色から赤色に変化する色度を選定することが好ましい。
【0053】キャリブレーションによりあらかじめ算出したカメラ固有の変換パラメータを用いて、カメラから得られたRGB値をxyY値に色度変換し、画像中の色度分布を算出した後、52では、画像中から現像液の色度値、すなわち、欠陥でない部分の色度を基準値として算出する。まず、画像中の各画素の色度x、yを調べ、図9 (a)のグラフのように各x、y値をとる画素数をカウントし、色度の2次元度数分布を作る。そして、画像中で最も画素数の多いx色度値(図9 (b))とy色度値(図9 (c))を求める。画像中の大部分が欠陥ではない部分であることから、2次元度数分布のピーク値のx、y色度値が基準白色のxy色度値となる。
【0054】53では、この基準白色に対する画像上の各位置での色相、色差を算出する。
【0055】基準白色の色度を(xc、yc)、画像上の位置(i、j)での色度を(xij、yij)とすると、図10 に示すように位置(i、j)での色相を、色度図上での基準色に対する向きで算出する。その算出式を(数5)に示す。
【0056】
【数5】

【0057】また、図11 に示すように位置(i,j)での色差を、色度図上での基準色からの距離で算出する。その算出式を(数6)に示す。
【0058】
【数6】

【0059】以上のように算出した基準白色に対する画像の各位置での色相・色差より、図12 に示すように、色相で欠陥として検出したい範囲を限定し(図では、色相θが、θ1≦θ≦θ2の範囲)、色差で基準白色との色の鮮やかさの違いの程度を限定する(図では、色差dが、d1≦d≦d2の範囲)。そしてこの範囲内にある部分を欠陥候補領域として抽出する。
【0060】このように色相と色差で範囲を限定して求めた欠陥候補の中には、欠陥として検出する必要のないものもある。例えば、基準白色に対し、徐々に色度が変化していくようなものは、欠陥ではなく、輪郭がはっきりとした領域が欠陥である。
【0061】そこで、このように周囲の色に対する色の変化がなだらかなものは正常部あるいは疑似欠陥3と見なし、変化が急激なもののみを欠陥2と見なす。55では、欠陥候補領域について、基準白色との色差の変化量を求め、その値がある一定値以上のものだけを欠陥とする。
【0062】図13 を用いて説明すると、(a)には54により抽出された欠陥候補領域131が示されている。(b)の133は(a)の132上の基準白色との色差グラフである。更に、132上の各位置での色差133の変化量、すなわち、133を微分したものが、(d)の色差微分分布134である。このように基準白色との色差の変化量が小さいものは、微分値も小さくなる。ここで、(d)に示すように、微分値がある一定値135より大きいもののみを欠陥領域とする。その結果、(c)のように色差が大きく、かつ色差変化量が大きい、すなわち輪郭が鮮明な欠陥領域136のみが検出される。
【0063】次に、しきい値135の決定方法を図12 を用いて説明する。図12 (a)のグラフは、縦軸を色相と色差により抽出された各欠陥候補領域内の色差の最大値、横軸を各欠陥領域の輪郭部分の色差微分値の最大値にとり、真の欠陥2の値を×で、疑似欠陥3の値を○でプロットしてある。また、141aは各色差微分値の度数分布、142aは、色差値の度数分布である。欠陥と疑似欠陥が明らかに分かれている場合には合否判定線144aは、141aと142aの度数分布の谷のピーク値を通り、プロットされた点の慣性主軸143aに垂直な直線144aとする。また、欠陥と疑似欠陥が分離していない場合、すなわち、度数分布の谷のピークがない場合には、判定線は144bとする。つまり、全ての欠陥候補領域を欠陥として検出し、見落とし、見逃しがないようにする。
【0064】次に、磁粉探傷での欠陥検出方法について、図14 と図16 とを用いて説明する。
【0065】図14 は、磁粉探傷のときの画像メモリ7の内容を解析する画像処理アルゴリズムの一例である。RGB画像の取り込みを行い(151)、次に蛍光磁粉の発光情報の最も多くはいっているG画像の微分処理を行う(152)。これにより、割れ欠陥のように、線状の輝度変化の大きいところは強調され、磁粉溜りのように輝度は高いが、輝度変化の少ないところは、強調されない。
【0066】次に、G微分画像の平均値からに2値化のしきい値を決定し、2値化する(153)。この2値化した画像から、孤立点などの画像ノイズを除去(154)して、欠陥候補を求めたあと、これらの欠陥候補の長さ、コントラスト等を計算し(155)、これらの値が、規定値より大きい場合、欠陥と判定する。
【0067】図16 は、欠陥と疑似欠陥との区別方法を示したものである。例えば、(a)に示すように、欠陥2と疑似欠陥3の輝度分布を161の線上でとると、(b)のような輝度分布162が得られる。欠陥2と疑似欠陥3の輝度値は、同程度である。輝度分布162を微分すると(b)のような輝度微分分布163が得られる。欠陥2は、輝度が急激に変化しており、疑似欠陥3では、なだらかに変化するので、微分処理をした結果を(d)に示すような判定しきい値164を用いて判定することにより、(c)のように欠陥2のみを抽出することができる。
【0068】さて、図17 で、欠陥確認とデータ保存について説明する。自動検査で欠陥と疑似欠陥とを分離し、欠陥のみを抽出したはずであるが、見逃しや誤判定を防ぐため、浸透探傷のときでも、磁粉探傷のときでも、最後に目視での欠陥確認を行う。
【0069】図17 は、欠陥の確認過程を示すフローチャートである。まず、自動判定で欠陥と判定した部分に欠陥候補のマーカ表示を行う(171)。つぎに、コンピュータ5は、欠陥候補を1個づつ、検査員に判定することを要求する(172)。
【0070】検査員は、カラーの原画像を見て、真の欠陥かどうかを判定し(173)、真の欠陥と認めたときは、欠陥の位置、長さ、コントラストなどは、データ記憶装置7に登録され(174)、マーカは、赤色に変わる(175)。
【0071】さて、欠陥候補の確認で、検査員が疑似欠陥と判定したときは、マーカを消去する(176)。まだ欠陥候補が残っているなら、次の欠陥候補にマーカを表示する。すべての欠陥候補の確認が終わると(177)、カラーの原画像をデータ記憶装置7に保存する(178)。
【0072】図18 に、欠陥候補マーカ発生方法の一例を示す。欠陥候補181の始点P1と終点P2を結ぶ中心線182を求め、それと平行に一定値m離れたところに、欠陥候補マーカ183の長辺AB、CDを設定する。短辺AD、BCも同様にして決定する。欠陥の長さは、P1とP2の距離とする。磁粉探傷のときには、欠陥の深さと関係するコントラストは、P1からP2までコントラスト算出線184を走査し、この線上の平均輝度と最高輝度との差をとり、この差をP1からP2までもとめ、この平均値をもって欠陥のコントラストとする。なお、欠陥候補マーカは、矩形とは限らない。短辺AD、BCを半円にする方法でもよく、大切な点は、欠陥が、マーカで、隠されないようにすることである。
【0073】図19 に、カラーモニタ9における、欠陥候補表示方法の一例を示す。欠陥の長さが長い候補から順番に、検査員に原画像での確認を要求する。最初は、すべてのマーカは、白で表示し、真の欠陥と判定したもののマーカは別の色、例えば赤にし、疑似と判定したものは、消去していく。
【0074】図20 は、試験体1が長尺物であったときに、検査位置を特定する方法の一例である。目盛りの入ったスケール201を試験体1に固定し、スケール201がカメラ視野202の一部に入るように撮像する。スケールの目盛りについては、例えば1センチメートル毎に、数字を書いておく方法が考えられる。また、浸透探傷用のスケール201と磁粉探傷用のスケール201とを、色違いにしておくこともできる。例えば、浸透探傷のときには、スケール201は例えば白地に赤の目盛り及び数字とし、磁粉探傷のときには、スケールの数字は、白地に緑の蛍光色の目盛り及び数字とする。
【0075】図21に、撮像した画面の一例を示す。画面の下部にスケール201が同時に撮像されており、スケール201から、試験体1におけるカメラ位置を計算する。すなわち、スケール201には、目盛り数字210が記入されており、コンピュータ5を用いてパターンマッチング法などにより、認識することができる。また、スケール201には、例えば1センチメートル毎に区切り線211が入っており、より詳細なカメラ位置を計算することができる。画像上C1、C2の探査線212の画像信号として、断面信号213を得る。これから、画像の左端A、右端Bと区切り線211のE1,E2,E3、E4,E5の位置がわかる。E1,E2,E3、E4,E5の位置から撮像倍率が計算でき、目盛り数字210と合わせて、欠陥2の試験体1上での正確な位置がわかる。
【0076】以上の検査結果は記憶装置7に格納されるが、その例を図22に示す。
【0077】試験体1の検査すべき面が大きくて、検査面全体が一つの検査画面に入りきらないときには、いくつかの画像に分割して撮像、検査を行う。このとき、分割する画像は、検査面上で撮像範囲が少しずつ重なるように設定する。221a、221b、221cは、それぞれ試験体1の分割画像を示す。検査は、それぞれの分割画像に対して行う。その結果は、222に示すように、試験体毎に全体の画像情報が1つにまとまって格納され、更に、それぞれの欠陥について、位置、長さ、面積、色度及び色相などの情報も一緒に格納される。検査員は、まず、記憶装置7に格納された試験体毎のデータ222をモニタ6の画面上に表示させて調べ、更に欠陥のあった部分について詳細に見たい場合は、その試験体名と画像NOから、相当する分割画像を呼び出してモニタ6の画面上に表示させることができる。この時、モニタ6の画面上には、表示されている画像データと関連付けて記憶されている欠陥の位置、長さ、面積、色度及び色相などの情報も一緒に表示させることができる。
【0078】また、検出された欠陥候補を、画面上でマーカー等を用いて強調して表示することにより、従来、目視検査で行っていたときと同じ程度の0.1〜0.3mmよりも大きい欠陥を、画面上で見逃してしまうのを防止することができる。
【0079】更に、画像の検出倍率を上げることにより、目視可能な大きさよりも微細な欠陥も、検出できるようになる。そして、この目視可能な大きさよりも微細な欠陥を画面上に拡大して表示させることにより、目視可能な大きさよりも微細な欠陥についても、その位置、長さ、面積、色度及び色相などを画面上で確認することができる。
【0080】データ記憶装置7の変わりに例えば光ディスクやフロッピーディスクのような可搬性の有る記憶媒体に記憶しても良いこのような記憶媒体に記憶させることにより検査地点から離れた場所でも検査結果をディスプレイ上に表示させることができる。
【0081】更に検査結果をインターネットなどの通信回線を介して遠隔地に転送することもできる。これにより、検査地点から遠く離れた場所でも検査データを即座に見ることができる。また、このように検査結果を通信回線で送ることにより、遠隔地から即座に再検査や検査個所の追加・変更などの指示を行なうことができるので、検査の効率を上げることができる。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、カラービデオカメラを用いて画像入力を行うため、更には、磁粉探傷法による欠陥検査では、紫外線カットフィルタによって試験体から反射される紫外線をカットできるため、検査者は、自動欠陥検査結果の確認を容易に行うことができる。また、画面上で、欠陥候補が自動的に指示表示されるので、検査の見逃しがほとんどなくなり、しかも、検査画像を保存するため、検査後に保存された画像を画面上に表示させて再度欠陥を確認することができ、検査の信頼性が向上する。
【0083】また、本発明によれば、カラービデオカメラを用いるため、磁粉探傷と浸透探傷の自動欠陥検査を、同じセンサプローブで行うことができ、利便性が大幅に向上する。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成12年10月18日(2000.10.18)
【代理人】 【識別番号】100075096
【弁理士】
【氏名又は名称】作田 康夫
【公開番号】 特開2001−194316(P2001−194316A)
【公開日】 平成13年7月19日(2001.7.19)
【出願番号】 特願2000−323302(P2000−323302)